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動き5

[22] 置く・敷く しまう・片づける

      置く    置き換える 置き忘れる    配置する  
       敷く   敷き詰める  
       しまう   しまい込む 
       片づける   取り片付ける  後片付けする 始末する 整理する 整頓する  
       片づく  
       おさまる    おさめる  

[23] 並ぶ・囲む

     並ぶ     居並ぶ 立ち並ぶ  行列する 整列する 並行する 並列する  
       並べる     並べ上げる 並べ替える 並べ立てる  書き並べる 
                陳列する 配列する 列挙する  

[24] ずれる・それる・どく

     ずれる   ずれ込む  
       ずらす 
       それる    そらす  
       どく      立ち退く  
       どける     どかす                                                                 

       さける
      よける   よけそこなう・よけそこねる
      かわす

 

 

[22] 置く・敷く しまう・片づける

◇おく
 「置く」は、(別の場所にあったものを)その場所(ふつう、何か固いものの上)にあるようにするこ
と。場所のニ格をとる。
   人ガ 所ニ ものヲ おく
        床に荷物を置く  水面にオモチャの船を置く(浮かべる)
  ひゆ的に、抽象的な価値を考えることで、あることを特にとりあげるを表す。
    子どもの教育に重点を置く
 「所ニ 人ヲ」の文型で、人をその場所にいさせることを表す。
    事務所に電話番を置く
・複合動詞
 「置き換える」は、置く場所をかえること。あるものをどかして、別のものを置くこと。
 「置き忘れる」は、ものをどこかに置いたまま持ってくるのを忘れること。
        花瓶を新しいものに置き換える   カバンを電車に置き忘れる
・スル動詞
 「配置する」は、人やものを適当な持ち場や位置に割り当てて置くこと。
    人員を各所に配置する  会場にテーブルを配置する
・補助動詞「-ておく」
  「おく」は、他の動詞のテ形に接続して「-ておく」の形の文型を作る。現在の物事の状況を考え
て、今後のためにある判断をすることを表す。今後の事態のためにあらかじめ何かをすることや、と
りあえず何かをすること、また、現在の事態をそのままにすること、などを表す。
    カレンダーに予定をメモしておく    前もって調べておく  大事にしまっておく
    この辺でやめておく    とりあえず相手の言い分を聞くだけ聞いておく
    ドアを開けたままにしておく   彼には言わないでおく
◇しく
 「敷く」は、ものを広く平らにして、おくこと。
   人ガ 所ニ ものヲ しく
       たたみにふとんを敷く  道路に砂利を敷く
・複合動詞「敷き詰める」は、すき間がないように、一面に何かを敷くこと。
◇しまう
  「しまう」は、使ったもの、大事なものなどを元の場所や入れ物に入れておくこと。また、仕事な
どを終わりにすること(少し古い用法)。
   人ガ ものヲ (所ニ) しまう 
       使ったもの・大事なものを しまう    年をとって店をしまう
・複合動詞「しまい込む」は、しっかりした場所にしまうこと。
    金を金庫にしまい込む
・補助動詞「-てしまう」
  「しまう」は、他の動詞のテ形に接続して「-てしまう」の形の文型を作る。動作が終了したこと
を強める場合と、好ましくない結果になったことを表す場合がある。
    一気に読んでしまった  電車が行ってしまった
 否定の形は、「-てしまわない」「-ないでしまう」の2つの形がある。あまり使われない。
    昔のラブレターを捨ててしまわないうちに死んでしまって、子どもに読まれたら恥ずかしい。
    本当に言いたいことを言わないでしまったのは残念だ。
◇かたづける
  「片づける」は、乱れていたものをきちんとすること。気にかけていたことを解決すること。もの
と所のどちらも対象としてヲ格になりうる。ものの場合、それを置く場所をニ格で表す。
   人ガ もの・所ヲ かたづける
    へやの荷物を片づける   部屋を片づける     宿題を片づける
   人ガ ものヲ 所ニ かたづける
       道具を元の棚に片づける
・複合動詞
 「取り片付ける」は、きれいにすっかり片づけること。
・スル動詞
  「後片付けする」は、何かが行われた後、元通りにきちんと整理すること。
 「始末する」は、物事の最後をきちんとすること。ものを片づけること。
 「整理する」は、乱れた状態のものをきちんと整えること。不要なものを処分すること。
 「整頓する」は、散らかっている場所やものなどを片づけて整った状態にすること。
◇かたづく
  「片づく」は、乱れていたものがきちんとなること。気にかかっていたことが解決する。ものと所
のどちらもガ格になりうる。
   もの・所ガ かたづく
    机の上が片づく   部屋の中が片づく   宿題が片づく
◇おさまる
  「収まる・納まる・治まる・修まる」は、物事が安定した、整った状態になること。
   ものガ おさまる
        嵐・風・地震・ストライキ・インフレが 収まる  痛みが治まる  国が治まる
  ものや金が正しく渡るべき人の所に渡ること。
    品物・税金・授業料が 納まる 
 人がある地位・境遇に落ち着くこと。行いがよくなること。
    重役におさまる  それぞれの座席におさまる    身持ち・素行が 修まる
 ものがあるところにうまく入ること。場所のニ格をとる。
   ものガ 所ニ おさまる
    本が棚に収まる  2ページに収まる文章
◇おさめる
  「収める・納める・治める・修める」は、「おさまる」に対応する他動詞で、物事を安定した、整
った状態にすること。よい結果を得ること。
   人・ものガ ものヲ おさめる
    勝利・利益・成功・よい成績を 収める  混乱・紛争を 治める  心を治める
    積極的な対策が効果を収めた
  学問・技芸などを身につけること。行いをよくすること。
      学問を修める  身を修める   
 ものをあるところにきちんと入れること。渡すべき人に渡すこと。ニ格をとる。
   人ガ ものヲ 所・人ニ おさめる
    資材を倉庫に収める  注文品を納める  授業料を納める
    レポートを5枚以内に収める  その場の光景をカメラに収める


おく(置く)五(おかない・おきます・おいて・おけば・おこう)
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △おいてみる  おいておく  おいてほしい  おいてもらう  おいてはいけない
  おいたほうがいい  おかないほうがいい  おかなくてはいけない  おかせる
  おかれる  おかされる  おこうとする  おけ!  おくな!
 △[そっと/慎重(しんちょう)に/どさっと/どんと/乱暴(らんぼう)に]~。
  [一つずつ/まとめて/並(なら)べて/重(かさ)ねて]~。
 △[つくえの上に花びんを/枕元(まくらもと)にスタンドを]~。
  [荷物(にもつ)を床(ゆか)に/本だなを壁際(かべぎわ)に]~。
 ・その箱(はこ)はつくえの上に置いてください。
 ・A:テレビはどこに置きましょうか。
  B:ここに置こうと思ったのですが、日があたりますね。
  A:じゃあ、こっちに置いたらどうでしょう。
  B:そうですね。そこに置いてください。
 ・たたみの上にすわった時は、手をひざに置くものです。
 ・あぶないですから、廊下(ろうか)に物を置かないでください。
 ・ちょっとした失敗(しっぱい)も大きな問題になります。いつもその事を念頭(ねんとう)に置いて
  行動(こうどう)してくださいね。
 ・この研究所(けんきゅうじょ)には四つの研究部門(ぶもん)が置かれています。
 ・わたしたちの会社はバンコックとカルカッタにも事務所(じむしょ)を置いています。
 ・ここで筆(ふで)をおきます。(=書くのをやめる)  ☆てがみのおわりにつかう
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △[ウェート/比重(ひじゅう)/重点(じゅうてん)/力点(りきてん)/眼目(がんもく)]を~。
  [ねらい/目標(もくひょう)/目安(めやす)]を~。
 ・この学校では音楽の教育に重点を置いています。
 ・数学の教育にウェートを置いたコースを新たに設置(せっち)した。
 ・この計画(けいかく)は、経済(けいざい)の10パーセント成長(せいちょう)に目標を置いている。
[3]〔人ガ 所ニ 人ヲ〕
 △[留守番(るすばん)/下宿人(げしゅくにん)/手伝(てつだ)い]を~。
 ・しごとで海外に出ている間、家に留守番を置くことにした。
 ・おじの家はひろいので、下宿人を4人も置いている。
 ・わたしの妻(つま)は子どもを家に置いて外をあそび歩いている。

<複合動詞:おき->
[おきかえる] 人ガ ものヲ ものト/デ
 ・花瓶の位置を置き換えてみた。
 ・この式のyをaで置き換えると、式は次のようになる。
   一部・机・制度・立場・標識を 数値に 機械的に 数字を文字に 言葉に
[おきわすれる] 人ガ 所ニ ものヲ
 ・電車にかさを置きわすれる人がとても多い。
 ・コートを映画館(えいがかん)に置きわすれてしまった。
      鍵・傘・荷物・本・過去・気持ち・心を 網棚・仕事場に 忘却の彼方に


<スル動詞>
[配置(はいち)する]  人ガ 人・ものヲ 所ニ
 ・これらの家具をどう配置したら住みやすい家になるか。
 ・それぞれの能力に合わせて人員を各部署に配置しています。
 [~の配置をする]
  ・ボード上に各部品の配置をする場合、配線のむだを省くような配置を考える。


しく(敷く) 五(しかない・しきます・しいて・しけば・しこう) 
[1]〔人ガ ものヲ 所ニ〕
 △しいてほしい  しいてある  しいておく  しいてみる  しいてもらう 
  しかなければならない  しこうとする  しかせる  しかれる  しかせられる
 △[ていねいに/ざつに/あつく/うすく/びっしり]~。
 △[ふとん/シーツ/カーペット/たたみ]を~。
 ・日本式の旅館(りょかん)では女中(じょちゅう)さんが客のふとんを敷いてくれる。
 ・その箱は床(ゆか)の上にじかに置かないで、下に新聞紙(しんぶんし)を敷いたほうがいい。
 ・最近は部屋(へや)にカーペットを敷いているうちが多い。
 ・昔この道路(どうろ)には市内電車の線路(せんろ)が敷かれていた。
 ・建設会社(けんせつがいしゃ)の人が道にじゃりを敷いている。
 ・石畳(いしだたみ)を敷いたヨーロッパの町を歩いていると、その長い歴史を感じる。
 ・敵(てき)の軍隊(ぐんたい)はあの山の上に陣(じん)を敷いている。
 ・彼は奥さんのしりに敷かれているらしい。(=奥さんのほうが強い)

<複合動詞:しき->
[しきつめる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・ごはんの上いっぱいに海苔(のり)を敷きつめて、その上におかずをのせます。
 ・壁をぬる前にへやじゅうに新聞紙を敷きつめた。
 ・広い社長室には、赤いじゅうたんが敷きつめてあった。
      石畳・タイル・畳・カーペット・砂利・じゅうたん・わらを 一面に
 

しまう(仕舞う・終う)五(しまわない・しまいます・しまって・しまえば・しまおう)
[1]〔人ガ (所ニ) ものヲ〕
 △しまいなさい  しまいかける  しまっておく  しまってある  しまってはいけない
  しまわなければならない  しまおうとする  しまわせる  しまわれる 
 △[はやく/ゆっくり/急いで/さっさと/のろのろと/きちんと/てきとうに/ていねいに]~。
 △[金を財布(さいふ)に/道具(どうぐ)を箱(はこ)に/服(ふく)をたんすに]~。
  [食器(しょっき)を食器棚(だな)に/書類(しょるい)をファイルに]~。
 ・母が茶碗(ちゃわん)やコップをを戸棚(とだな)にしまっている。
 ・テニスのネットやボールは倉庫(そうこ)にしまってあります。
 ・仕事が終ったら、道具(どうぐ)をしまって、そうじをすること。
 ・この書類のファイルも同じ所にしまっておいて下さい。
 ・スキーの道具をどこにしまったか忘れてしまった。この前つかったのは二年も前だから。
 ・落とすといけないから、その手に持っているお金をポケットにしまっておきなさい。
 ・夏物(なつもの)をしまって、冬物(ふゆもの)を出す季節(きせつ)になった。
 ・長い間しまってあった和服(わふく)を出して着てみた。やはりいい物はいい。
 ・家の大事な書類は銀行の貸金庫(かしきんこ)にしまわないとどうも心配だ。
 ・使おうと思って出した道具をしまわれてしまった。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[仕事(しごと)/店(みせ)]を~。
 ・もうじき店をしまう(=しめる)時間だ。
 ・今日は早めに仕事をしまおう。(=終えよう)
 ・商売(しょうばい)がうまく行かないので、店をしまって、故郷(こきょう)に帰ることにしました。

<複合動詞:しまい->
[しまいこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・古いアルバムはおしいれの奥にしまいこんでしまったから、出すのはちょっと大変だ。
 ・父は、物が部屋に出してあるときたないと言って、何でもしまいこんでしまう。
      金・空き箱・着替え・凶器・靴・財布・札束・写真・宝物・武器・メガネを
   大事に 大切に 引き出し・ポケット・胸・心の奥に  不満を心に


かたづける(片付ける)一(かたづけない・かたづけます・かたづけて・かたづけば・かたづ
  けよう)
[1]〔人ガ もの・所ヲ〕
 △かたづけたい  かたづけはじめる  かたづけてほしい  かたづけてある
  かたづけたほうがいい  かたづけなければならない  かたづけさせる
  かたづけられる  かたづけようとする  かたづけろ!  かたづけるな! 
 △[すぐに/急いで/きちんと/ざっと/だいたい/ていねいに]~。
 △[荷物(にもつ)/道具(どうぐ)/仕事/事件(じけん)]を~。[部屋/食卓(しょくたく)]を~。
 ・私は、いつも机の上を片付けてから帰ります。
 ・食事の時間になりましたから、テーブルの上を片付けてください。
 ・はやく仕事を片付けて、あそびに行きたい。
 ・私はものを片づけるのがどうも下手だ。いつもそのへんにほうっておいてしまう。
[2]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △[棚(たな)/元の所]に~。
 ・使った道具は、元の棚に片付けてください。
 ・大きなものはへやのすみに片付けておきました。

<複合動詞:-かたづける>
[とりかたづける]  人ガ ものヲ 
 ・辺りに散らばっているものを取り片付けて、ごろりと横になった。
 ・テーブルの上の物を取り片づけ、人数分の食器を並べた。

<スル動詞>
[後片付け(あとかたづけ)する]  人ガ 
 ・ちょっと後片付け(を)してから行きます。
 ・あの人は何でもやりっぱなしで、後かたづけ(を)しないのが欠点だ。
 ・友だちがたくさん来て、火事でもえた家の後片付けをしてくれた。
 ・あそんだあとは、みんなで後片付けをしましょう。
 [~の後片付けをする]
  ・食事の後片付けをしてからテレビを見る。
  ・部屋の後片付けをする。
[始末(しまつ)する]  人ガ ものヲ
 ・この大量のごみをどう始末するかが問題だ。
 ・台所のゴキブリの死骸、あなた、始末してくれない? 
 [~の始末をする]
  ・放射線による汚染物質の始末をしなければならないことを忘れている。
[整理(せいり)する]  人ガ ものヲ
  ・机の上の物を整理しなさい。
 ・まず、問題の条件を整理することから始めよう。
 [~の整理をする]
  ・一日中、書類の整理をしていた。
[整頓(せいとん)する]  人ガ ものヲ
 ・机の上を整頓しなさい、といつも母に言われたが、これは死ぬまで治らない。
 ・きれいに整頓された図書が棚に並んでいるのを見ると心が落ちつく。
 [~の整頓をする]
  ・資料の整頓をしていたら、本の間から昔の手紙が出てきた。
 

かたづく(片付く)五(かたづかない・かたづきます・かたづいて・かたづけば)
[1]〔ものガ〕
 △かたづきそうだ  かたづきつつある  かたづいてほしい  かたづかないとこまる
 △[すぐに/あっさり/かんたんに/だいたい/ほとんど/ぜんぶ]~。
 △[ゴミ/荷物(にもつ)/仕事/事件(じけん)/やっかいごと]が~。
 ・先週引っ越してきて、積(つ)んであった荷物がやっと片付いた。
 ・押し入れの中を片づけようと思ったが、ものが多くてなかなか片づかない。
 ・大変な仕事がやっと片付いた(=おわった)ので、あしたから休める。
 ・あそびに行くのは、しゅくだいが片付いてからにしなさい。
 ・この借金(しゃっきん)が片付かないうちは心がおちつかない。
[2]〔所ガ〕
 △[部屋(へや)/机(つくえ)の上/食卓(しょくたく)]が~。
 ・少し片付けても、すぐまた子どもがおもちゃをちらかすので、部屋がなかなか片付かなくて困る。
 ・あなたの家は、どの部屋もずいぶんきれいに片付いていますね。
 ・いつまでも食卓(しょくたく)が片付かないから、早く起きて朝ごはんを食べなさい。
 ・きれいに片づいていない作業台(さぎょうだい)で仕事をするのは、どうも落ち着かない。
 ・この十年来(らい)、つくえの上が片付いたことがない。


おさまる(収まる・納まる・治まる・修まる)五(おさまらない・おさまります・おさま
  って・おさまれば) 
[1]〔ものガ〕
 △おさまってほしい  おさまらないと困る  おさまれ!  
 △[すでに/やっと/ついに/結局(けっきょく)/何となく/いつのまにか]~。
 △[風/火事/あらし/台風(たいふう)/地震(じしん)/洪水(こうずい)]が~。
  [インフレ/混乱(こんらん)/戦火(せんか)/内紛(ないふん)/けんか]が~。
  [はらの虫(むし)/いかり/気もち/いたみ]が~。
  [身もち/素行(そこう)]が~。
 ・さっきはとても強い風がふいていたが、もう、おさまったらしい。
 ・昨日の地震は、強い揺れがなかなかおさまらず、とても怖(こわ)い思いをした。
 ・今のデフレが収まらないと、日本経済(けいざい)は回復(かいふく)できない。
 ・長く続いた戦火がようやくおさまり、人々は平和な生活を取りもどした。
 ・中西さん、五月分の授業料(じゅぎょうりょう)がまだ納まっていませんよ。
 ・今、ストライキなんかされたら、品物(しなもの)が約束(やくそく)の日までに納まらない。
 ・小川さんが間に入ってくれたので、やっとケンカがおさまった。
 ・はじめ、父は姉をぜったいにゆるさないと言って、おこっていた。が、やがて姉に子どもがうま
  れると、孫(まご)の顔(かお)を見た父のいかりはやっとおさまった。
 ・あんなひどい事を言われてそのままでは腹(はら)の虫がおさまらない。こんど会ったらなぐって
  やろう。
 ・大山さんはさけに酔(よ)って、小山さんの悪口をあれこれ言ってからねてしまった。おさまらな
  いのは小山さんだ。(気もちが)
 ・国の指導者(しどうしゃ)が不正(ふせい)をやっているのだから、国が治まるわけがない。
 ・むすこは学校を卒業(そつぎょう)して、会社に入ったら、やっと身もちが修まった(=悪いこと
  をしなくなった)。
[2]〔もの・人ガ 所ニ〕
 △[タンス/カメラ/もとの鞘(さや)]に~。
 ・本棚の本は、この箱(はこ)の中には収まりませんね。もう一つ箱が要(い)ります。
 ・物が多すぎて、タンスに納まらない。
 ・彼女は今では社長夫人(しゃちょうふじん)に納まっているが、むかしはキャバレーで働いていた
  そうだ。
 ・みんなでカメラにおさまった。
 ・兄は奥(おく)さんと別れると言っていたが、なんとかもとの鞘におさまったらしい。


おさめる(収める・納める・治める・修める)一(おさめない・おさめます・おさめて・おさ
  さめれば・おさめよう) 
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △おさめてほしい  おさめておく  おさめなければならない
  おさめさせる  おさめようと思う  おさめろ!  おさめるな! 
 △[早く/おくれないように/いそいで/あわてて/期限(きげん)ぎりぎりに]~。
 △[授業料(じゅぎょうりょう)/税金(ぜいきん)/月謝(げっしゃ)/会費(かいひ)]~。
  [見本(みほん)/品物(しなもの)/製品(せいひん)]を~。[学校/会社]に~。
 ・次に名前のあがっている学生は早く会計課(かいけいか)に授業料を納めてください。
 ・この論文(ろんぶん)は「山川わたる数学論文集」に収められています。
 ・これはめずらしい踊(おど)りだから、ぜひ写真(しゃしん)に収めたい。
 ・ダンス教室(きょうしつ)の月謝を納めに先生の家へ行ったら、しょくじにさそわれた。
 ・社長はその書類(しょるい)を金庫(きんこ)に収めた。
 ・お客が帰ると、父は大事そうに壷(つぼ)を箱(はこ)に納めた。
 ・品物は来月13日までに店の方に納めてください。
 ・原稿(げんこう)は7まい以内(いない)に収めてください。
 ・壷(つぼ)はきれいな箱に納められている。
 ・この部屋には遺骨(いこつ)が納められている。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[勝(か)ち/勝利(しょうり)/成功(せいこう)/成果(せいか)/大きな利益(りえき)/優秀(ゆ
  うしゅう)な成績(せいせき)]を~。
  [あらそい/けんか/さわぎ/混乱(こんらん)/内紛(ないふん)/紛争(ふんそう)]を~。
  [いかり/気もち]を~。[学問(がくもん)/身]を~。
 ・きょうの研究会(けんきゅうかい)ではさまざまな事が話し合われ、大きな成果を収めることがで
  きました。
 ・この学生は去年の3月に優秀な成績を収めてそつぎょうしました。
 ・山川さんのジャカルタでの演奏会(えんそうかい)は大成功を収めた。
 ・この年から新しい国王(こくおう)が国を治めることになった。
 ・山川先生は大学で数学と哲学(てつがく)を修めてから、ドイツに留学(りゅうがく)した。
 ・この会談(かいだん)で両国(りょうこく)は矛(ほこ)を収める(=たたかいをやめる)ことになっ 
 た。

[23] 並ぶ・並べる
  ものの位置関係を表す動詞で、ものが線の上に続いてある状態になること、そうすることを表す。
  「囲む」は、他のものの周りにあること。

◇ならぶ  
 「並ぶ」は、複数の人・ものが線の上に続いてあるような状態、あるいはその状態になること。場
所をニ格で示す。「-ている」の形で状態を表す。
   人・ものガ 所ニ ならぶ
     広場に人が二列に並ぶ  道の両側に古本屋が並んでいる
 人・ものが他の人・ものに対して、「並んだ」状態になることも言う。隣の人・ものをニ格・ト格
で表す。物理的な空間でなく、ひゆ的な用法もある。
    彼の隣に並んで立つ  売り上げでA社と並んだ
・複合動詞
  複合動詞は、並ぶ時の姿勢を示す。「居並ぶ」は、(偉い)人たちが多く座って並んでいること。名
詞修飾の形で使われる。「立ち並ぶ」は、並んで立っていること。名詞修飾の形で使われることが多
い。どちらも書きことば。
    会議室に居並ぶ議員たち  街道に立ち並ぶ家々 
・スル動詞
 スル動詞「行列する」は、多くの人が列を作って順序良く並ぶこと。「整列する」は、きちんと列
を整えて並ぶこと。「並行する」は、並んで進むこと。「並列する」は、いくつかのものが横に並ぶ
こと。また、並べること。「並行する・並列する」は書きことば。
    売り場の前に行列する   児童が校庭に整列する   線路が並行している 
    地殻の断層が並列する 
◇ならべる
 「並べる」は、「並ぶ」に対応する他動詞で、複数の人・ものが「並ぶ」ようにすること。場所の
ニ格をとる。人の場合は、「並べる」よりも「並ぶ」の使役形「並ばせる」を使う。
      人ガ 所ニ ものヲ ならべる
    会議室にテーブルを並べる     生徒を校庭に並ばせる
 特に他のものとの位置関係を表したい場合、ニ格・ト格で示す。
   人ガ ものヲ ものニ/ト  ならべる
    セザンヌの絵をゴッホの絵に/と 並べる
 他の人・ものと並んだ状態になることを表す慣用句に「肩を並べる」「軒を並べる」がある。
    成績で彼女と肩を並べる   軒を並べる家々
 比ゆ的に、あることを次々と言うことを表す用法がある。
    不平・泣き言を並べる   製品の欠点を並べる(並べるように言う)
・複合動詞
 「ならべ-」の形の複合動詞は「並べあげる」「並べ替える」「並べ立てる」がある。「-並べる」
の形の複合動詞に「書き並べる」がある。
 「並べ替える」は、並べる順を変えること。「書き並べる」は、並べて書くこと。
    机(の順)を並べ替える      名前を書き並べる
  「並べあげる」は、多くのものを(すべて)並べること。「並べ立てる」は、多くのものを並べるこ
と。また、多くのことを次から次へと言うこと。
    問題点を並べ上げる   台の上に品物を並べ立てる     不平を並べ立てる 

・スル動詞
 「陳列する」は、人に見せるためにものを並べておくこと。「配列する」は、順序を考えて並べる
こと。「列挙する」は、多くのものを一つ一つ並べて人に示すこと。
    商品を陳列する   単語を配列する   事実を列挙する
◇かこむ 
 「囲む」は、人・ものが何かの回りに並ぶこと。  
      人・ものガ 人・ものヲ かこむ
       生徒が先生を囲む   回りを海に囲まれた島
・複合動詞「取り囲む」「取り巻く」は「囲む」こと。「囲い込む」は、囲んで外に出さないこと。
・スル動詞「包囲する」は、「囲む」の硬い表現で、社会的な事柄に使われる。


ならぶ(並ぶ) 五(ならばない・ならびます・ならんで・ならべば・ならぼう) 
[1]〔人・ものガ 所ニ〕
 △ならびはじめる  ならびかける  ならびなさい  ならんでみる  ならんではいけない
  ならばなければならない  ならぼうとする  ならばせる  ならばせられる  ならべ!
 △[きちんと/きれいに/せいぜんと/まっすぐに/ずらりと/ずらっと/長く]~。
  [2列(れつ)/縦(たて)/横(よこ)/左右(さゆう)/前後(ぜんご)/向かい合わせ]に~。
  [ゆっくり/のんびり/いそいで/あわてて/かけ足で/いやいや/めんどうくさそうに]~。
 △[人/子ども/学生/社員/客/店員/兵隊(へいたい)/警官(けいかん)]が~。
  [いす/テーブル/ごちそう/品物(しなもの)/店/建物(たてもの)/車]が~。
 ・もうたくさんの人が並んでいますね。あの後に並んでまっていてください。
 ・列をみださないで、きちんと並んでください。
 ・この線に沿(そ)って、2列(れつ)に並んでくださるよう、お願いいたします。
 ・何人も横に並んで道を歩かないでください。ほかの人の邪魔(じゃま)になります。
 ・門の前には警官がずらりと並んで、デモ隊(たい)を近づけないようにしている。
 ・あそこに人がおおぜい並んでいる。何があるのだろう。
 ・古本屋(ふるほんや)が並ぶ街(まち)をぶらぶら散歩して、何冊か本を買った。
 ・豪華(ごうか)な料理(りょうり)がテーブルいっぱいに並んでいて、おいしそうだった。
 ・店の中にはテレビやテープレコーダーなどの品物がずらっと並んでいる。
 ・中西さんの家の棚(たな)には優勝(ゆうしょう)カップやトロフィーがずらりと並んでいた。さす
  がにスポーツマンだ。
 ・バス停(てい)では、きちんと並ぼうとする人と、何とかうまく他の人より早く乗ろうとする人が
  いて、見ていると面白い。
 ・中学の時、夏の暑い日に校庭に並ばせられ、行進(こうしん)の練習をさせられるのがいやだった。
[2]〔人/ものガ 人/ものト/ニ〕
 ・初めて父と並んで写真を撮(と)った。父は、娘と並ぶのはなんだか照(て)れくさそうだった。
 ・宴会(えんかい)の席で部長と並ばせられた。若くて美人だと、こんなとき損(そん)だわ。
 ・テレビ局(きょく)の車が選手(せんしゅ)と並んで走って、選手の表情(ひょうじょう)を放送(ほ
  うそう)している。
 ・奈良(なら)は京都と並ぶ観光都市(かんこうとし)だ。
 ・ワールドカップの優勝回数(ゆうしょうかいすう)で世界記録(きろく)に並んだ。
 ・今、日本のテニス選手で彼女に並ぶほどの人はいない。
 ・とりあげた赤ん坊の数で、あの産婆(さんば)さんに並ぶ人はいないそうだ。
<複合動詞:-ならぶ>           
[いならぶ] 人ガ 所ニ
 ・とつぜん入ってきた会長は、居並ぶ重役たちに目もくれず、社長に近づいていった。
 ・きら星のごとく居並ぶスターたちの中に、最優秀新人賞の彼女がいた。
   重役・将兵が 左右に ずらりと  ~審査員・人々 
[たちならぶ] 人・ものガ 所ニ
 ・道沿いに立ち並ぶ家々の屋根が、朝の光の中に浮かび上がってきた。
 ・その場に立ち並ぶ大人たちの誰一人、この小学生の質問に答えられなかった。
      店・木・小屋・商店・倉庫・ビル・旅館が 一直線に 川沿いに ずらりと


<スル動詞>
[行列(ぎょうれつ)する]  人ガ 所ニ
  ・人々が宝くじの売り場の前に行列(を)している。よく当たると言われる売り場だ。
 ・バスが来るまではきちんと行列(を)しているが、バスが来るととたんに入り口に殺到する。
[整列(せいれつ)する]  人ガ 所ニ
 ・全校の生徒が校庭に整列(を)した。運動会の始まりだ。 
 ・船積みを待つ車がずらりと整列(を)している。
[並行(へいこう)する]  ものガ ものト       
 ・このあたりでは、道路と並行して鉄道が走っている。
 ・A案とB案の両案が並行したまま、お互いに歩み寄る気配もない。
[並列(へいれつ)する]  ものガ / 人ガ ものヲ
 ・二つの叙述が並列していて、どちらか好きなほうを選ぶという実験的な小説だ。
 ・二つの事件の経過を並列してみると、類似点が浮かび上がる。

ならべる(並べる) 一(ならべない・ならべます・ならべて・ならべれば・ならべよう)
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △ならべたい  ならべてみる  ならべておく  ならべてある  ならべてしまう
  ならべてはいけない  ならべなければならない  ならべようとする
  ならべさせる  ならべられる  
 △[きちんと/きれいに/せいぜんと/まっすぐに/ずらりと/ずらっと/2列(れつ)に]~。
  [ゆっくり/のんびり/いそいで/あわてて/いやいや/めんどうくさそうに]~。
 △[品物(しなもの)/いす/テーブル/はしや皿(さら)]を~。
 ・わすれものはその棚(たな)に並べてありますから、その中からさがしてください。
 ・もうじき料理(りょうり)ができるので、食器(しょっき)をテーブルに並べてください。
 ・店の棚には古い皿やちゃわんがホコリをかぶって並べられていた。
 ・新しい教室(きょうしつ)にこのつくえとイスを持って入って5列に並べなさい。
 ・田中は目の前に証拠(しょうこ)を並べられても、金をとったのは自分ではないと言いはった。
 ・いたんだ商品(しょうひん)をわきにのけておいたのだが、店長に店に並べられてしまった。
 ・いま会場にイスを並べさせていますから、もう少しまってください。
 ・神社(じんじゃ)の前の道には、いろいろな店が軒(のき)をならべている。
[2]〔人ガ ものヲ ものト〕
 ・小さないすを2つ、大きないすと並べておいた。
 ・セザンヌの絵をゴッホの絵と並べてみた。どちらも大したものだ。
 ・彼の絵は、世界の名作と並べると、まだ見劣(みおと)りがするのはしかたがない。
[3]〔人ガ ものヲ〕
 △[文句(もんく)/不平(ふへい)/悪口(わるくち)/御託(ごたく)]を~。
 ・あの人はしごとをやらないで、不平ばかり並べている。
 ・そんなにあの人の悪口を並べないでください。わたしの友だちなんですから。
 ・えらそうに御託ばかり並べてないで、はやく自分のしごとをやれ。
 ・きみの計画(けいかく)の良くない点をいくつか並べてみよう。
[4]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 ・木山くんは私と机(つくえ)を並べて勉強した仲(なか)だ。
 ・大山選手(せんしゅ)と小山選手の実力(じつりょく)は同じぐらいだ。いま二人は肩(かた)を並べ
  ている。

<複合動詞:ならべ->
[ならべあげる]
 ・警察が多くの証拠を並べ上げたので、誰の目にも有罪に見えた。しかし、、。
 ・準備の検討会で担当者が調査項目を並べ上げ、私はその多さに驚いた。
   条件・証拠・営業品目・質問項目を
[ならべかえる]
 ・カードの順番を並び替えて、どれがどれかわからなくします。
 ・何か雰囲気が違うと思ったら、何枚もある壁の絵が並び替えられていたのだった。
   順番・人形・番組・貝殻を
[ならべたてる] 人ガ ものヲ 
 ・ひろ子は自分の良い所を並べたてた。
 ・中山さんは問題点を二十ほど並べたてて、計画の変更をもとめて来た。
   言い訳・お世辞・脅し文句・記録・ぐち・言葉・建前・不平・屁理屈・おべんちゃら・理由を
   目の前に あれこれと くどくどと とめどなく
<複合動詞:-ならべる>
[かきならべる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・台所のメモに買い物の予定が書き並べてあった。大根・牛乳・パン...
 ・相手を中傷する文書とは言え、よくもまあ、こんなウソを書き並べたものだ。

<スル動詞>
[陳列(ちんれつ)する]  人ガ 所ニ ものヲ
 ・ショーケースの中にいかに商品を見栄えよく陳列するかで店の売り上げが大きく変わる。
 ・会場には5千年前の見事な美術品が陳列されていた。
 [~の陳列をする]
  ・国宝の陳列をしたときは、さすがに緊張した。
[配列(はいれつ)する]  人ガ ものヲ
 ・資料は五十音順に配列してあります。内容別の分類はこちらを参照して下さい。
 ・各地の事件を年代順に配列して比較すると、興味深い関連が見えてくる。
[列挙(れっきょ)する]  人ガ ものヲ
 ・検事は証拠を列挙して、被告の有罪を証明しようとした。
 ・コーチはチームの抱える問題点を具体的に列挙して、選手たちに考えさせた。

かこむ(囲む)五(かこまない・かこみます・かこんで・かこめば・かこもう)
[1]〔人・ものガ 人・ものヲ〕
 △かこんでしまう  かこんでおく  かこんである  かこんではいけない
  かこまなくてはならない  かこもうとする  かこませる  かこまれる  かこめ!  
 △[さっと/すっかり/完全に/しっかりと/きっちり]~。
 △[火/ストーブ/テーブル/食卓(しょくたく)]を~。[人/家のまわり]を~。
 ・卒業生(そつぎょうせい)たちは先生を囲んで思い出話(おもいでばなし)をたのしんだ。
 ・日本は四方(しほう)を海に囲まれている。
 ・あやしい男たちにまわりを囲まれて、お金をおどしとられた。
 ・コースを囲む観客(かんきゃく)の応援(おうえん)にこたえて、選手たちは手をふった。
 ・会議(かいぎ)のあとも昼食(ちゅうしょく)を囲んで話がつづいた。
 ・私たちはたき火を囲んでおしゃべりをした。
 ・建物(たてもの)を囲むように木がうえられている。

<複合動詞:かこい->
[かこいこむ] 人ガ ものヲ
 ・自分の土地を柵で囲い込み、野生の動物が入らないようにした。
 ・会社は、優秀な学生を囲い込み、他の会社にとられないようにしている。
   自然・品物・情報・世界を 制度に 別枠に

<複合動詞:-かこむ>
[とりかこむ]  人・ものガ 人・ものヲ 
 ・幼稚園の子供たちが先生を取り囲んで騒いでいる。
 ・道が森の中に入ったとき、いきなり何人かの男たちに取り囲まれた。
 ・高い塀が建物を取り囲んでいる。
   大群・空気が 家・丘・女・体・工場・死体・四方・周囲・城・庭・ホテルを
   新郎新婦・前後左右・広場・二人・まわり・山・パトカーを ぐるりと 遠巻きに
<複合動詞:その他->
[とりまく]  人・ものガ 人・ものヲ 
 ・空港の到着ゲートで、新婚旅行から帰った映画スターをカメラが取り巻いた。
 ・警官隊が犯人の立てこもった銀行を取り巻いていた。
 ・社長が大勢の社員に取り巻かれて夜の銀座を歩いていた。あの会社はだめだね。
 ・古い木立が大きな家を取り巻いて立ち並んでいた。
   寒気・道路・闇・人が 家・子ども・周囲・建物・病床・周り・リングを
   遠巻きに 幾重にも  ~れる 大勢・危険・記者・客・煙・雰囲気・皆・男に
<スル動詞>
[包囲(ほうい)する]  人ガ ものヲ
 ・警官隊がテロリストが立てこもったビルを包囲している。
 ・もう観念しろ。お前達は完全に包囲されている。

[24]ずれる・ずらす それる・そらず どく・どかす さける・よける
 ものが正しい位置・元の位置から動いてはずれること、はずすことを表す動詞。

◇ずれる
  「ずれる」は、正しい位置からはずれること。抽象的なことにも言う。基準を表すカラ格またはト
格をとる。結果の状態を「-ている」の形で示す。
      ものガ (ものカラ/ト) ずれる 
    印刷の色がずれている   考え方がずれている      方針からずれている
 状態を表す形容詞的な表現なので、「全体は部分が」の「は・が文」になる。
    このページは印刷がずれている  あの人が考え方がずれている
・複合動詞「ずれ込む」は、予定などが延びて、後のことの時間に入ってしまうこと。
◇ずらす
 「ずらす」は、ものを持ち上げずに、横に滑らせて位置を少し変えること。時間を変えることや抽
象的なことにも言う。
      人ガ ものヲ ずらす
    机をずらす   出発の時間をずらす   話をずらす
◇それる
  「それる」は、行くはずの方向・道・目標から外れて進むこと。カラ格、ニ/へ格をとる。
      ものガ ものカラ ものニ/へ それる
    シュートが右に逸れる   大通りから逸れて脇道に入る 
◇そらす
 「そらす」は、ものが行くはずの所へ行かないようにすること。ねらいを外すこと。ひゆ的な意味
で使うことが多い。
      人ガ ものヲ (ものカラ) そらす
    的を逸らしてしまった  非難を逸らすのがうまい  本題から話をそらす
◇どく
  「どく」は、体を動かして、その場所を空けること。何かのじゃまにならないようにするため。
   人ガ (所カラ) (所ニ) どく
    脇にどく    いすからどく
・複合動詞
 「たちのく」は、いた場所を離れてどこかへ行くこと。
◇どける
 「どける」は、あったものを動かして、その場所を空けること。
   人ガ ものヲ (所ニ)どける
        荷物を横にどける
◇どかす
 「どかす」は、じゃまなもの、要らないものを他の場所に移すこと。話しことば。
   人ガ ものヲ どかす
        車をどかす
◇さける
 「避ける」は、好ましくないもの、事柄に近づかないようにすること。名詞節をとる。
   人ガ もの・人ヲ/文ヲ さける
    危険・トラブル・ラッシュアワー・暗い道・いやなやつを 避ける
  ある話をしたり、ことばを使ったりしないようにすること。
    性的・政治的な 話題を避ける  強い表現を避ける
◇よける
 「よける」は、近づいてくる人・ものに接しないように、横に動いたり、間にものを置いたりする
こと。不要なものを取り去ること。
   人ガ 人・ものヲ よける
    ボール・石・自転車・水たまり・相手の攻撃を よける  不良品を脇によける
・複合動詞         
 「よけ損なう」「よけ損ねる」は、よけることに失敗すること。
◇かわす
 「かわす」は、何かに当たりそうな時に、体を動かして当たらないようにすること。ヲ格には、向
かってきたものも、自分の体もとれる。ひゆ的に、抽象的なことにも言う。
   人ガ ものヲ かわす
    矢・キック・攻撃・追及を かわす  体をかわして刀をよける

     
ずれる 一(ずれない・ずれます・ずれて・ずれれば)
[1]〔人・ものガ ものガ〕
 △ずれがちだ  ずれてしまう  ずれてはいけない  ずれないようにする  
 △[少し/かすかに/心持ち/かなり/ひどく/おおきく/まったく]~。
 ・テーブルクロスがずれて落ちそうだったので中央(ちゅうおう)にずらして直した。
 ・昔の写真はどうしてもピントがずれがちですね。手で合わせていましたからね。
  ・あの人はどうもファッション感覚がずれていて、奇妙(きみょう)な格好(かっこう)をしたがる。
 ・この指揮者(しきしゃ)の指揮は、テンポが大きくずれていて、私は好きになれない。
 ・しっかり縛(しば)ったつもりだったが、積み荷(つみに)が振動(しんどう)でずれてしまった。
 ・地震(じしん)のために、壁(かべ)にかけた額(がく)が少しずれて落ちそうになっている。
[2]〔人・ものガ ものト/カラ〕
  △[位置(いち)が中央(ちゅうおう)から/中心(ちゅうしん)が図面(ずめん)と]ずれている
  [家具(かぐ)の配置(はいち)が希望(きぼう)と/理念(りねん)が現実(げんじつ)と]ずれている
 ・机の位置(いち)がずれている。だれが動かしたのだろう。
 ・包帯(ほうたい)が傷口(きずぐち)からずれてしまっている。巻(ま)き方がへただなあ。
  ・この線は、中央から少し右にずれていませんか。
 ・この事故報告書(じこほうこくしょ)は、現場(げんば)にいた私の実感とずれている。
 ・政治の現実は、国民の期待(きたい)から大きくずれていることが多い。
[3]〔人・ものガ ものト/カラ ものガ〕
  ・私とあの人とは、いろいろな点で考え方がずれているようで、どうも話が合わない。
 ・日本政府は米政府(べいせいふ)と条約(じょうやく)の解釈(かいしゃく)がずれているのを知りな
  がら、それをただそうとはしてこなかった。。
 ・今日の議論は、この前の議論から少し論点がずれていませんか。

<複合動詞:ずれ->
[ずれこむ] ものガ ものニ
 ・法案の成立は来月にずれ込みそうな状況だ。
 ・会議が長引き、次の会議の時間にずれ込んでしまった。
     時間・竣工・成立が 来年まで 十日以降に 来月に 半年近く


ずらす 五(ずらさない・ずらします・ずらして・ずらせば・ずらそう)
[1]〔人ガ ものヲ 所ニ/へ〕
 △ずらしてしまう  ずらしてはいけない  ずらそうとする  ずらされる  ずらせ!
 △[少し/かなり/大きく/すっと/ずずっと/ずるずる]~。
  △[右/左/横(よこ)/後ろ/脇(わき)]に~。
  ・青葉(あおば)の季節(きせつ)になったので、机を窓(まど)の近くにずらした。
 ・おしりを脇にずらして弟が座る場所を空けた。
 ・掃除(そうじ)の時にこたつをずらしたら、下から100円玉が出てきた。
[2]〔人ガ (ものカラ) ものヲ〕
  ・攻撃(こうげき)のタイミングをずらすことで、相手の守備(しゅび)をやぶることができた。
 ・あなたは議論(ぎろん)を本筋(ほんすじ)からずらそうとしているんじゃありませんか?
 ・都合(つごう)により、出発の日を予定から一週間あとにずらすことにした。


それる(逸れる)  一(それない・それます・それて・それれば)
[1]〔ものガ ものヲ/カラ〕
 △それがちだ  それてしまう  それてはいけない  それないようにする
  それようとする  それさせる  それろ!  それるな!
 △[少し/大きく/意外に/予想通り/いつも/ときどき]~。
  △[矢(や)が的(まと)を/弾(たま)がねらいを/飛行機が針路(しんろ)から]~。
  ・選手の打った弾丸(だんがん)は的を大きくそれていた。
 ・台風は予想された進路をそれて、大きく東にカーブした。
[2]〔人・ものガ (ものカラ) ものニ/へ〕
 △[シュートが右に/台風の進路が西に/車が違った方向に/話が横道に]~。
 ・私たちは大通りから脇道にそれて、小さな商店の間を歩いていった。
 ・田中の放(はな)ったシュートはわずかに右にそれ、ゴールとはならなかった。
  ・ハイジャックされた飛行機の針路(しんろ)は、次第に北にそれていった。
 ・講師(こうし)の話はどんどん本題(ほんだい)からそれて、首相の批判(ひはん)になっていった。
  ・このぐらいの年代の男の子は、つい悪の道にそれていくことが多いのです。


そらす(逸らす)  五(そらさない・そらします・そらして・そらせば・そらそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △そらしたい  そらしておく  そらしたほうがいい  そらすようにする  そらすな!
 △[的(まと)/狙(ねら)い/標的(ひょうてき)/獲物(えもの)]を~。
  ・彼の放(はな)った矢(や)は、すべて的(まと)をそらしていた。
 ・さっきはわざと狙いをそらしてやったが、次は本気で狙うから覚悟(かくご)しろ。
[2]〔人ガ (ものカラ)(ものニ/へ) ものヲ〕
  △[目/気/注意(ちゅうい)/関心(かんしん)/批判(ひはん)/質問(しつもん)]を~。
  ・母親が子どもからテレビに目をそらしたすきに、子どもは外へ逃げ出した。
 ・難しい問題から話をそらして、軽い話題(わだい)に切り替えた。
  ・あの人は、自分に対する批判をうまく他の問題へそらすのがうまい。
  ・ヒットラーは現実から国民の注意を巧みに逸らした。
  ・国民はしだいに政治から関心をそらしていった。
 ・すみませんが、問題をそらさないで、私の質問にきちんと答えてくださいませんか。


どく(退く)  五(どかない・どきます・どいて・どけば・どこう)
[1]〔人ガ (所カラ)(所ニ)〕
 △どいてほしい  どかないとこまる  どかなければならない  どけ! 
 △[すぐ/早く/さっと/すばやく/すぐに/急いで/のろのろと]~。
  △[左/右/横/脇(わき)/後ろ]に~。
  ・ちょっとすみません。ちょっと脇にどいてもらえませんか。
 ・早くそこからどけ!
 ・じゃまだ、どけどけ! 道をあけろ!
  ・道で遊んでいたら、車が走ってきたので、どかなければならなかった。    

<複合動詞>
[たちのく] 人ガ 所ヲ/カラ
 ・この建物から半径200メートル以内の家の人は、危険ですから立ち退いてください。
 ・道路が拡張されるので、私の家はここから立ち退かなければならない。
 ・政府はその土地に不法に住んでいた人を立ち退かせて、新しいビルを建てた。


どける(退ける)  一(どけない・どけます・どけて・どければ・どけよう)
[1]〔人ガ ものヲ(所ニ)〕
 △どけてほしい  どけてしまう  どけたほうがいい   どけなければならない  どけろ!
 △[すぐ/早く/さっと/すばやく/すぐに/急いで/のろのろと]~。
  △[じゃまもの/障害物(しょうがいぶつ)/荷物(にもつ)/車/ゴミ/本の山]を~。
  ・道に倒れていた木を道ばたにどけて車が通れるようにした。
 ・門の前をふさいでいる車をどけて下さい。
  ・手伝ってくれ。このタンスをどけないと、後ろに落としたものがとれないんだ。
 ・机の上の要らないものを全部どけて、新しいパソコンを置いた。さあ、ゲームをするぞ!


どかす(退かす)  五(どかさない・どかします・どかして・どかせば・どかそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △どかしてほしい  どかしてしまう  どかしたほうがいい  どかさなければならない
  どかさせる  どかされる  どかせられる  どかせ!
 △[すぐ/早く/さっと/すばやく/すぐに/急いで/のろのろと]~。
  △[じゃまもの/障害物(しょうがいぶつ)/荷物(にもつ)/車/あの連中(れんちゅう)]を~。
  ・その辺の荷物は全部どかして。この部屋、掃除(そうじ)するから。
 ・古いテレビをどかして、薄型(うすがた)テレビを置いた。やっぱりいいなあ。
 ・人命救助(じんめいきゅうじょ)にじゃまなあのやじうまをどかしてくれ!


さける(避ける)一(さけない・さけます・さけて・さければ・さけよう) 
[1]〔人ガ もの・人ヲ〕
 △さけたい  さけておく  さけてはいけない  さけなければならない
  さけようとする  さけさせる  さけられる  さけさせられる  さけろ!  さけるな!
 △[うまく/微妙(びみょう)に/なんとなく/それとなく/はっきり/露骨(ろこつ)に]~。
  [どうしても/いやでも/なかなか]さけられない 
 △[親(おや)/いやなやつ/混雑(こんざつ)/紫外線(しがいせん)/トラブル/誤解(ごかい)]~。
  [日光(にっこう)/湿気(しっけ)/危険(きけん)/つらい仕事/ラッシュアワー]を~。
  [その話/プライベートなこと/性(せい)に関すること/政治(せいじ)的な話題(わだい)]を~。
 ・あの人は私に借りたお金を返していないので、私を避けているようだ。
 ・まじめに勉強したいのなら、あのような悪い友達は避けたほうがいいですよ。
 ・留学生と話すときには、難(むずか)しい言葉を避けるようにしています。
 ・政治家は国民の誤解(ごかい)を避けるために、自分の意見をはっきり言うべきだ。
 ・社長は給料(きゅうりょう)を上げる問題については、明言(めいげん)(=はっきり言う)を避けた。
 ・息子(むすこ)が泥棒(どろぼう)をして捕(つか)まったので、その母親は人目(ひとめ)を避けるよ
  うにして暮(く)らしている。
 ・わたしたちにとってはいやなことだが、これは避けて通ることの出来ない、重大な問題です。
 ・道で自転車を避けきれなくてぶつかってしまった。
[2]〔人ガ 文ヲ〕
 ・あの人はどうもわたしに会うのを避けているらしい。(=会わないようにしている)
 ・誤解(ごかい)されるのを避けるために、わたしはゆみ子さんとつき合うのを止めた。
 ・個人(こじん)的な問題を話題にすることは避けたほうが安全でしょう。
 ・戦(たたか)いになることは避けたい。
 ・最近の若い人は、人と深く付き合うことを避けようとしていると言われる。
 ・おたくの会社と競争(きょうそう)になることは、避けて通れない(=避けられない)ことのよう
  ですね。


よける(避ける)  一(よけない・よけます・よけて・よければ・よけよう)
[1]〔人ガ ものヲ (所ニ/へ)〕
 △よけておく  よけたほうがいい  よけようとする  よけられる  よけろ!
 △[ちょっと/軽く/大きく/さっと/とっさに/ぎりぎりで]~。
  △[ボール/打球(だきゅう)/車/自転車/人/パンチ/水たまり/煙(けむり)]を~。
  ・チョウチョが飛んできたので、体をよけた。
  ・盾(たて)で投石(とうせき)をよけた。
 ・雨の後、道のの水たまりをよけて歩いた。
 ・子どもは炒(いた)め物のにんじんをよけて食べている。
  ・腐(くさ)りかけの実(み)は脇へよけて、良さそうな実だけを皿にのせた。
 ・相手の攻撃(こうげき)をうまくよけ、正確(せいかく)なパンチで相手にダメージを与えていった。

<複合動詞:よけ->
[よけそこなう・よけそこねる] 人ガ ものヲ
 ・自転車で走っていて、道の穴をよけ損ない、派手に転んでしまった。
 ・猛スピードで走ってきた自転車をよけ損ねてぶつけられ、けがをした。
 ・ピッチャーが打球を受け損なって足に当て、交替してしまったのが敗因だ。
      障害物・電柱・パンチ・太刀を  車・打球・トラック・言葉を うまく

かわす  五(かわさない・かわします・かわして・かわせば・かわそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かわさなくてはいけない  かわそうとする  かわされる  かわせ!  かわせない
 △[上手(じょうず)に/巧(たく)みに/とっさに/危(あや)うく/かろうじて/ひらりと]~。
  △[刀(かたな)/攻撃(こうげき)/質問(しつもん)/襲撃(しゅうげき)/追及(ついきゅう)/非難
  (ひなん)/批判(ひはん)/矛先(ほこさき)/矢(や)]を~。
  ・ボールが飛んできたのを危うくかわした。
 ・相手のパンチをかわし、逆にあごに一発(いっぱつ)お見舞(みま)いしてやった。
  ・首相(しゅしょう)は野党(やとう)の追及をのらりくらりとかわしたが、国民の評価(ひょうか)は
  きびしかった。
 ・相手がナイフでかかってきたので、体をかわしてよけた。

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