日本語動詞文型用例辞典        →意味別動詞分類へ      →五十音順indexへ


 
            ◇存在・必要・可能◇
 
     [1] ある・いる  
     [2] 要る   
     [3] できる 
 
                   ◇関 係◇
 
     [1] 合う・合わせる 
     [2] 違う・異なる  
     [3] 似る・似せる  
     [4] 含む・含める  
     [5] 足りる・欠ける 
     
 
      状態を表す動詞をまとめる。これらの動詞は、そのままの形で、「現在」の状態を表す。
     特に、「ある」「いる」「要る」は、「-ている」の形を持たない。「できる」は可能・能力
     の意味では「-ている」の形にならず、「できている」は「完成」の意味になる。       
     「関係」としてまとめたものの自動詞は、そのままでも、「-ている」の形でも使われる。
     ただし、「似る」は、「-ている」の形のほうが一般的である。  
     

         ◇存在・必要・可能◇ 
    
    [1] ある・いる  

        ある   ありうる・ありえる 有り余る ありつく ありふれる   
        ござる   
        いる    居合わせる 居座る 居着く 居直る 居並ぶ 居残る   存在する    
        いらっしゃる  おいでになる  おられる   
        おる   

    [2] 要る  
        要る      要する   

    [3] できる 
        できる  できあがる   
 
 
                 ◇関係◇  
                          
    [1] 合う・合わせる 
        合う        当てはまる     一致する 合致する 該当する 相当する 調和する
        合わせる  当てはめる  合計する 合成する 適応する 同化する  
        合わさる  合併する 合同する 合流する 複合する 連合する 

    [2] 違う・異なる  
        違う 
        違える   
        異なる    

    [3] 似る・似せる  
        似る   似合う 似通う   
        似せる  

    [4] 含む・含める  
        含む   含み込む  
        含める  

    [5] 足りる・欠ける 
        足りる        -足りない   
        欠ける 欠く  欠如する 欠乏する 不足する   

  

 

[1]ある・いる
 存在を表す動詞で、「ある」と「いる」の2つの動詞が基本語。「いる」は基本的に人と動物の存
在、「ある」はそれ以外のものの存在を表す場合に使われる。例外的に、「ある」で「人ガ」が使わ
れる用法、「いる」で人工物などが使われる用法もある。
 文型は、
   所ニ 人・ものガ ある/いる
で、ガ格よりも場所のニ格が前に来るのが基本的な形。このガ格は、主題化されると文頭に来る。
   人・ものハ 所ニ ある/いる
 特別な敬語動詞がある。
  いる  尊敬語:いらっしゃる・おいでになる・おられる
      丁重語:おる
  ある  丁重語:ござる

◇ある
 「有る・在る」は、ものの存在を表す。場所を示す「~の上・下・中・そば」などの表現を使う。
   所ニ ものガ ある
       机の上に本がある  家のそばにきれいな公園がある
 否定は形容詞の「ない」が使われる。
    ここに置いた財布がない  カタツムリには殻があるがナメクジにはない
 抽象的なものの存在も表す。
    問題に誤りがある  この法律には問題がある  話に説得力がある
 人がものを所有していることを表す。所有の主体である人は、ニ格で示されるが、このニは主題化
された時、省略されることも多い。
   人ニ ものガ ある
    彼は車が2台ある  私(に)は住む家がない
    あなたに責任がある  彼女(に)は音楽の才能がある  私(に)は教養・悩みが ない
    金もひまもある
 ガ格の名詞が精神的な態度を表す名詞の場合、対象のニ格をとることがある。
   人ガ 人・ものニ ものガ ある
    私は彼女に恨みがある  そのことに興味・関心が ある     
 ガ格の名詞が「ある」とともに一つの述語のようになって、ト格やニ格を求める場合がある。
   人・ものガ 人・ものト/ニ ものガ  ある
    この事件は十年前の事件と/に つながりがある  私は彼女と面識がある 
    A国はB国と国交がある  彼の失脚はこの事件と関係がある
  重さや長さ、時間などの数量を表す時に「ある」が使われる。
   ものガ (数量) ある
       家から駅まで(距離が)500メートルある  まだ20分・2か月(時間が)ある
   人・ものガ ものガ (数量) ある
    私は体重が60キロある  この本は厚さが10センチある 
 物事がおこなわれること、起こることを表す。場所はデ格で示す。
    交差点で事故があった  掃除・試験・運動会・合宿が ある
  人の行為を表す名詞がガ格に置かれ、その行為がなされたことを表す。カラ格をとる名詞がある。
    友人から電話・連絡・質問が あった  午後に発表・報告・謝罪会見が ある
 家族・親族の存在を表す場合、「人ガ」をとる。
   人ニ 人ガ ある
       夫・子どもが ある/いる     あの夫婦(に)は子どもが ない/いない  
  人の存在を表す場合で、ある特徴やグループ分けをいう場合は「人ガ ある」が使える。
    日本人の中にはそう考える人も ある/いる
    これに反対する人も ある/いる
 また、やや慣用的な表現で、地位・状況にいる場合、「人ガ ある」が使える。
    現在は理事長の職にある  あなたは指導する立場にあるのだから
    恵まれた環境にあるうちに業績を残したい  病床にあってなお執筆を続けた
  引用を表す「と」を受けて、そう書かれていること、そういう状況であることなどを表す。
    メモには「先に行く」とあった  だれも行けないとあれば私が行くしかない
 動詞を受ける用法を持つ「名詞+が」を受けて、意志・可能性・必要性などを表す表現を形作る。
    行く つもり・気・意志が ある
    先生に会う チャンス・恐れ・心配・可能性・必要が ある 
 次の複合述語の文型で使われる。
 「動詞+ことがある」は、基本形・否定形を受けて、時々その動作・現象が起こることを表す。
 「動詞-た ことがある」は、過去形を受けて、過去の経験を表す。
    遅刻をすることがある  そこへ行ったことがある  
・複合動詞
 「ありうる/ありえる」は、ある可能性があること。否定は「ありえない」。
 「ありあまる」は、十分すぎて、余るほどあること。
 「ありつく」は、求めていたものが、やっと手に入ること。
 「ありふれる」は、どこにでもあり珍しくないこと。「-ている」「-た+名詞」の形で使われる。
・補助動詞の用法
  「動詞-てある」は、動作の結果が状態として存在することを表す。ヲ格をガ格に替えると、動作
の主体の存在が薄くなる。
   (窓を開ける)→ 窓を開けてある/窓が開けてある
 「ある」は「だ」について「である」の形を作る。名詞述語・ナ形容詞の語尾となる。「だ」の書
きことば。
    学生である   きれいである
 また、イ形容詞にも「は」などを介して使われる。対比を表す。
    大きくはあるが、重くはない
 名詞述語・ナ形容詞の場合も、対比を表す「は」が「(で)ある」の前に挿入されることがあり、「で
はある/ではあります」の形になる。その否定形が「ではない/ではありません」。
    暇ではあるが、退屈ではない
    名目上は役員ではありますが、執行部員ではありません
・敬語動詞
 「ござる」は、「ある」の丁重語。「ございます」の形で使われる。
    カギはこちらにございます  折り入って、お願いがございます
◇いる
 「居る」は、基本的に、人・動物の存在を表す。植物・無生物には使われない。
   所ニ 人・動物ガ いる
    門の上にネコがいる  へやに人がたくさんいる  法案に反対する人がいる
 (動く)乗り物や擬人化されたものには「いる」が使われることがある。
    よかった、まだバスがいた!  エレベーターは7階にいる
    私の机の上にぬいぐるみのクマがいる  西の空にまだ月がいた
・複合動詞
 「居合わせる」は、何かの時に、たまたまその場にいること。
 「居座る」は、(いるべきでない)ある場所・地位に(座って)いて、動かないこと。
 「居着く」は、落ち着いてそこにいること。その場所に住んで他へ行かないこと。
 「居直る」は、追いつめられた者が、急に攻撃的な態度になること。
 「居並ぶ」は、(偉い)人たちが多く座って並んでいること。名詞修飾の形で使われる。
 「居残る」は、他の人が帰った後も、あるいは定刻が過ぎた後も、残ること。
・補助動詞の用法
  「動詞-ている」は、動作が進行中であること、動作の結果が状態として存在することを表す。
  ある種の動詞は、「-ている」の形にしてもしなくても同じような意味を表す。
    違う/違っている  含む/含んでいる  存在する/存在している
 ある種の動詞は、「-ている」の形が基本的な形となる。
    そびえている(?そびえる)  ありふれている(?ありふれる)
 「-ている」は、動詞だけでなく、ナ形容詞・名詞述語にもつく。その状態に自覚的であることや、
意志的に続けようとすることなどを表す。?
    きれいでいる  若いつもりでいる
・敬語動詞
 「いらっしゃる/おいでになる/おられる」は、「いる」の尊敬語。
    社長・先生は あちらに いらっしゃいます/おいでになります/おられます
 「おいでになる」は、「おいでだ」の形でもよく使われる。
    会長はあちらにお出でです
 それぞれ、「-ている」の文型でも使われる。
    テニスをなさっていらっしゃいます(している)
    庭に出ておいでになります(出ている)
    ごらんになっておられます(見ている)
 「いらっしゃる」は、名詞・ナ形容詞を受けて「お~でいらっしゃる」の形で、「だ」の尊敬語と
なり、相手の状態を表す。
    こちらの旅館にお泊まりでいらっしゃいます(お泊まりだ)
       お元気でいらっしゃいますか(お元気ですか)
    どちら様でいらっしゃいますか(どなたですか)
 また、イ形容詞の場合は、「お~ていらっしゃる」で、相手の状態を表す尊敬語となる。
       あの方は経済に大変お詳しくていらっしゃいます
    いつもお若くていらっしゃって、おうらやましい
 「おる」は、「いる」の丁重語。
    わたくしはここにおります
 「-ている」の文型でも使われる。
    毎日学校に通っております(通っています)


ある(有る・在る)五(あります・あって・あれば)
[1]〔所・ものニ ものガ〕
 △ありそうだ  あってほしい  あってはならない  なければならない
 △[いつも/ときどき/たまに/かならず/さいわいに/あいにく/確(たし)かに]~。
  △[いす/窓(まど)/店/家/公園(こうえん)/病院(びょういん)/駅(えき)]が~。
  [間違(まちが)い/傷(きず)/欠点(けってん)/問題(もんだい)/疑問(ぎもん)]が~。
 ・へやの中にイスと机とベッドがあります。
 ・会社のそばにきれいな公園があって、いつもそこでおひるご飯(はん)を食べます。
 ・デパートは駅の北側(きたがわ)にあった。
 ・病院は学校と目と鼻(はな)の先(=すぐそば)にあります。
 ・「さいふはどこにある?」「引き出しの中にない?」「え? 引き出し? ああ、あった」
 ・この問題には誤(あやま)りがいくつかある。
 ・ミスプリントがあったら、赤い鉛筆(えんぴつ)で印(しるし)をつけておいてください。
 ・A:このレコードはどうしてこんなに安いのですか。
  B:少し傷があるのです。(レコードに)
 ・きのう買ったこのテーブルは汚(よご)れがあります。きれいな物ととりかえてください。
 ・この法律(ほうりつ)には問題点がいろいろある。
 ・あなたの今の発言(はつげん)にはおかしなところがある。
 ・あの人の話は説得力(せっとくりょく)がある。
[2]〔人ニ 人・ものガ〕
 △[妻(つま)/兄弟(きょうだい)/兄(あに)/妹(いもうと)]が~。
 ・私は子どもが3人あります。息子(むすこ)が二人と、娘(むすめ)が一人です。
 ・あなたは奥(おく)さんがありますか。
 ・あの人は家族(かぞく)がぜんぜんないのだそうだ。
 ・彼は車が3台もあるそうだ。けれども、まだ車の免許(めんきょ)はないそうだ。
 ・私には住む家もありません。
 △[才能(さいのう)/やさしさ/勇気(ゆうき)/根性(こんじょう)]が~。
  [詩人(しじん)/役者(やくしゃ)/画家(がか)]の素質(そしつ)が~。
 ・あなたは才能がないから、いくられんしゅうをしてもだめですよ。
 ・うちの子は絵(え)の才能がありましてね。
 ・山川さんは役者の素質がありそうですよ。友だちのまねがうまい。
 ・うちの主人(しゅじん)はやさしさがないから、いやだ。もうわかれたい。
 ・私は教養(きょうよう)がないので、人と話をしていても、よく分からないことがあって困ります。
 ・分からない事があったら、何でも聞いてください。
 ・私のかわりにごはんを作ってくれるなんて、あんがい、やさしい所もあるのね。
 ・この事故(じこ)の責任(せきにん)の一端(いったん)は、私にあります。
 ・自分の部屋(へや)がある人はうらやましい。
 ・今、兄は仕事(しごと)がなくて、うちであそんでいます。
[3]〔人ガ 人・ものニ/ト ものガ〕
 △[興味(きょうみ)/関心(かんしん)/あこがれ/恨(うら)み/違和感(いわかん)]が~。
 ・私は、日本の音楽(おんがく)に興味があります。
 ・いろいろなことに興味があって、毎日楽しく時間を使っています。
 ・あなたは日本のどんな物に関心がありますか。
  ・学生たちは政治(せいじ)にまったく関心がありません。困ったことです。
 ・私は田舎(いなか)の暮らしにあこがれがあるのですが、実際に暮らしたら大変でしょうか。
  ・私は彼女に深い恨みがあります。
 ・この地方の商売(しょうばい)のやり方にはどうも違和感があって、やりにくい。
 ・親は子どものした事に対(たい)して責任があります。
 ・佐藤さんは、酒(さけ)に目がない。(=とてもすきだ)
 △[関係(かんけい)/つながり/縁(えん)/国交(こっこう)/面識(めんしき)]が~。
  ・うちの会社はあの会社と取引(とりひき)関係があって、もう長いつき合いだ。
 ・我が国は、長い間その国と国交がありませんでした。
 ・またお会いしましたね。どうもあなたとは縁がありますね。
[4]〔人・ものガ ものガ (数)〕
 △[長さ/身長(しんちょう)/重さ/体重(たいじゅう)/高さ/距離(きょり)]が~。
 ・あなたは身長がどのぐらいありますか。
 ・この子は体重が12キロしかない。同じ年の子はふつう16キロぐらいあるのに。
 ・A:富士山(ふじさん)は(高さが)何メートルぐらいあるんですか。
  B:富士山はだいたい 3776メートルぐらいです。
 ・東京から大阪までだいたい何キロメートルぐらいありますか。(距離が)
 ・地球(ちきゅう)から月までどのぐらいあるか知っている?
[5]〔(所デ)ものガ〕
 △[会/会議(かいぎ)/パーティ/事故(じこ)/事件(じけん)/連絡(れんらく)/知らせ]が~。
 ・きょう学校でパーティがあります。
 ・3時から食堂(しょくどう)で学生の会議があります。出席(しゅっせき)してください。
 ・来月、バンコックで日本文学についてのシンポジウムがあります。
 ・昨夜(さくや)9時ごろ、前の道でトラックとタクシーがぶつかるという事故があった。
  ・私が出ている間に、知人(ちじん)から電話があったそうだ。
 ・この会場では、午後、研究発表(けんきゅうはっぴょう)が三つあります。
[6]〔人ニ ものガ〕
 △[チャンス/機会(きかい)/やる気/つもり]が~。
 ・チャンスがあれば、いちど北海道(ほっかいどう)に行ってみたい。
 ・中西と会っていろいろと話をしたいのだが、なかなか会う機会がない。
 ・やる気がなければ、何をやっても、うまくできるはずがない。
 ・山田をおこらせる気はなかったのだが。
 ・悪気(わるぎ)があってしたことではないのです。ゆるしてください。
 ・お前は、ほんとうにこのしごとをやるつもりがあるのか。
 ・そんなつまらない事をやるつもりはありません。
 ・わが国はQ国と話し合う用意(ようい)がある。
[7]〔文+名詞ガ〕
 △[可能性(かのうせい)/危険(きけん)性/おそれ/心配(しんぱい)/必要(ひつよう)]が~。
 ・このままにしておくと、事故がおきる可能性がある。(起きるかもしれない)
 ・彼女が私とあってくれる可能性はもうない。
 ・入院(にゅういん)させないと、手遅(ておく)れになるおそれがある。(手遅れになりかねない)
 ・手にメモを書いておけば、わすれる心配はない。
 ・うまくなるためにはたくさん練習する必要がある。(練習しなければならない)
 ・あしたは教科書(きょうかしょ)を持ってくる必要はありません。(持ってこなくてもいい)
〔~することがある〕
 ・父はときどき会社に泊(と)まって来ることがあります。
 ・兄は前は宿題(しゅくだい)を教えてくれることもあったが、今は忙(いそが)しいと言ってほとん
  ど教えてくれない。
 ・もう遅(おそ)いから、山田さんが来ることはあるまい。(=たぶん来ないだろう)
〔~したことがある〕
 ・A:スキーをしたことがありますか。
   B:ええ、三回ぐらいあります。
 ・あの人とは、どこかで会ったことがあるような気がする。
 ・電車にかさを忘れたことがないという人は、たぶんいないでしょう。
[8]〔文ト〕
  ・机の上に残(のこ)されたメモには「先に行く」とあったので、私も急いで行った。
 ・この資料(しりょう)には「死者(ししゃ)は五万人を超えた」とあるが、本当だろうか。
 ・だれも行かないとあれば、私が行くほかはなかった。
[9]〔人ガ〕
 ・日本人はたくさんいるから、中には、そう考える人もある。
  ・こんな当たり前のことに反対する人があるんですから、まったく世の中わかりません。
  ・ぼけ老人()は早く死ね、だなんて、ひどいことを言う人があるもんだ。
〔人ガ ものニ〕
 ・彼女は、現在は財団(ざいだん)の理事長(りじちょう)の職(しょく)にある。
  ・あなたは指導(しどう)する立場(たちば)にあるんですから、そのことを忘れないでください。
 ・恵(めぐ)まれた環境(かんきょう)にあるうちに、いい仕事をして、あとに残したい。
 ・彼は、病床(びょうしょう)にあっても、最後の力を振(ふ)りしぼって詩(し)を書き続けた。
[10]〔形式動詞の用法:イ形容詞+は ある/名詞・ナ形容詞-で+は ある〕
  ・大きくはあるが、重くはない。(大きいが、重くない)
 ・ひまではあるが、たいくつではない。(ひまだが、たいくつではない)
 ・いちおう大学生ではあるが、大学にも行かず、あそんでばかりいる。

<複合動詞:あり->
[ありうる/ありえる] ものガ
 ・「そんなバカな! ありえない!」「いや、そういうことも十分ありうる。」
 ・無防備な今の日本では、どういう事態もありえます。
 ・常識的には絶対にあり得ない話だけれど、あの男が絡んでいるとなると、あり得ることかもしれ
  ない。
   大いに 実際に 確かに 十分  
   あり得ない 絶対に およそ 常識では  ~こと・話ではない
[ありあまる] ものガ
 ・外資ファンドが有り余る資金を使って、中堅企業の買収をねらっている。
 ・ちょうど体力が有り余っていた時だったので、引っ越しを手伝うことにした。
   元気・精力・力が  資金は~ほどある
[ありつく] 人ガ ものニ
 ・寒い山道を迷い歩き、山小屋にたどり着いて、やっと暖かい食事にありついた。
 ・大学を卒業しても仕事がなく、どうにかありついた仕事はチラシ配りだった。
[ありふれる] ものガ 
 ・「こんなありふれた話が、何でベストセラーになるんだろう?」「ありふれているからこそ、み
  んなが安心して読める、軽い小説になっているんだよ。」
 ・人生の大部分は、ありふれた会話、ありふれた風景、ありふれた毎日からなっている。しかし、
  その中にキラッと光る何かがあれば、生きて行くに値する人生となるのだ。
   ありふれた言い方・回答・現象・光景・事件・話・表現・もの・例・会話・退屈な風景
   表現・形容・例がありふれている  きわめて・ごく

 
ござる(御座る)  五(ございます)
[1]〔所ニ ものガ〕 (=ある)
  △[あちら/向こう/二階(にかい)/反対側(はんたいがわ)/この下]に~。
  ・トイレはあちらにございます。
 ・申しわけありませんが、書類(しょるい)に誤(あやま)りが2か所ございます。
 ・折り入(おりい)って、お願(ねが)いがございます。
  ・何か変更(へんこう)がございましたら、すぐお電話いたします。

▽活用に注意(「-ます」の形が例外)
      ござる  ございます
     (ある) (あります)


いる(居る) 一(いない・います・いて・いれば・いよう) 
[1]〔所ニ 人・ものガ〕
 △いそうだ  いたい  いたがる  いてほしい  いてみる  いたほうがいい
  いてはいけない  いては困る  いなくてはならない  いさせる  いられる
  いようと思う  いろ!  いるな!  いざるをえない  
 △[おおぜい/わずかしか/ながいあいだ/ずっと/しばらく/よく]~。
 △へやの中に[学生/子ども/ねこ/はえ/病原菌(びょうげんきん)/幽霊(ゆうれい)]が~。
 ・教室に学生が三人います。
 ・うちには女の子が二人いますから、家事(かじ)がらくです。
 ・退職(たいしょく)した夫(おっと)に毎日家にいられると、どうもうっとうしい。
 ・あんたみたいな人がこんな所にいちゃいけない。
 ・あ、つくえの下にねこがいる。
 ・コアラはもともとオーストラリアにしかいなかったそうです。
 ・山田さんは子どもが二人います。
 ・おや、10分も前に出たバスがまだあんな所にいる。やっぱり歩いたほうが早いね。
 ・このあたりにパトカーがいるらしい。スピードを出しすぎないように気をつけよう。

<複合動詞:い->
[いあわせる] 人ガ 所ニ
 ・ちょうどそこに居合わせた人たちを誘って、河原へ花火を見に行った。
 ・事故の時、現場に居合わせた人々は揃って次のようなことを証言した。
   家・会場・近所・現場・その場・そば・近くに 偶然・たまたま・ちょうど
[いすわる] 人ガ 所ニ
 ・理事長の息子というだけで、能力のない人間が校長の地位に居座っている。
 ・へや代をはらわない人にアパートにいすわられて、こまっています。
   寒気・低気圧が 我が物顔で 永久に 他人の家に 部屋・店・目の前に
   図太く 堂々と あの手この手を使って  首相の・政権の座に 地位に
[いつく] 人ガ 所ニ
 ・のらねこがわが家の庭に居着いてしまい、子猫まで産んだ。
 ・離婚して戻ってきた娘が家に居着いてしまいそうだ。誰かいい相手はいないか。
   よそ者が 島・土地・町・村に ずるずると  家に居着かない
[いなおる] 人ガ
 ・花瓶をこわしたあと、初めはあやまっていた山田は、そのうち「こわしたのも悪いが、もともと
  こんな所に花瓶をおくのが悪いんだ。」と居直った。
 ・学生に試験の解答の間違いを指摘すると、たまに、「教え方が悪いからでしょ」と居直るバカが
  いて困る。
[いならぶ] 人ガ 所ニ
 ・とつぜん入ってきた会長は、居並ぶ重役たちに目もくれず、社長に近づいていった。
 ・きら星のごとく居並ぶスターたちの中に、最優秀新人賞の彼女がいた。
   重役・将兵が 左右に ずらりと  ~審査員・人々  綺羅星のごとく
[いのこる] 人ガ 所ニ
 ・私だけが仕事が終わらず、誰もいないオフィスに居残って仕事を片づけた。
 ・仕事時間に遊んでいた社員を居残らせ、みっちり仕事をさせた。
      あとに 会社に 辛抱強く ひとり 車に
 
<スル動詞>
[存在(そんざい)する]  人・ものガ (所ニ)
  ・神は存在するか。
 ・霊が本当に存在するかどうかは、科学では証明できない。  


いらっしゃる 五(いらっしゃらない・いらっしゃいます・いらっしゃって・いらっしゃれば)
[1]〔所ニ 人ガ〕 (=いる)
  △[いつも/ときどき/たまに/毎日]~。
 △[ご自宅(じたく)/お二階(にかい)/研究室/ホテル/あちら]に~。
 ・公園(こうえん)におたくのおじいちゃんがいらっしゃいました(=いた)よ。
 ・A:大西先生がどちらにいらっしゃるかわかりますか。
  B:ああ、先生なら食堂(しょくどう)にいらっしゃいました。
 ・いつまでこちらにいらっしゃれますか。(いることができるか)
〔-ていらっしゃる〕
 ・会長は今お食事をなさっていらっしゃいます。(食事をしています)
 ・今、お休みになっていらっしゃいます。(休んでいます)
 ・あちらで着替(きがえ)えていらっしゃいます。
〔お-でいらっしゃる〕
 ・お久しぶりです。お元気でいらっしゃいましたか。(お元気でしたか)
 ・失礼(しつれ)ですが、どちら様でいらっしゃいますか。(どなたですか)
  ・何日お泊(と)まりのご予定(よてい)でいらっしゃいますか。

▽活用に注意(「-ます」の形と命令形が例外)
   いらっしゃる    いらっしゃいます     いらっしゃい 
       やる       やります         やれ (「-る」の五段の例) 
 「いらして/た」の形がある。「いらっしゃって/た」よりも軽い言い方。
   いらっしゃって(ください):いらして(ください)  いらっしゃった:いらした
  ・どうぞ、開場の時間までこちらのロビーにいらしてください。
 ・ああ、こちらにいらしたんですか。


おいでになる(御出になる) 五(おいでにならない・おいでになります・おいでになって・お
  いでになれば)
[1]〔所ニ 人ガ〕
  △[いつも/ときどき/たまに/毎日]~。
 △[ご自宅(じたく)/お二階(にかい)/研究室/ホテル/あちら]に~。
  ・会長はあちらにおいでになります。(「おいでになられます」の形も)
〔おいでだ〕
 ・こちらに田中さんがおいででしたら、お会いしたいのですが。
  ・ここにおいでだとは存じませんで、失礼いたしました。
〔-ておいでになる〕
 ・何をしておいでになりましたか。(何をしていましたか)
 ・午後は、絵を描いておいでになりました。


おられる  一(おられない・おられます・おられて・おられれば)
[1]〔所ニ 人ガ〕
  △[いつも/ときどき/たまに/毎日]~。
 △[ご自宅(じたく)/お二階(にかい)/研究室/ホテル/あちら]に~。
  ・校長先生はどちらにおられますか。
 ・田中さま、おられましたら、受付までお越し下さい。
〔-ておられる〕
 ・何をしておられますか?
 ・教授(きょうじゅ)は、研究室でお仕事をなさっておられます。


おる(居る)  五(おります・おって・おれば) 
[1]〔所ニ 人ガ〕
  △[いつも/ときどき/たまに/毎日]~。
  △[部屋(へや)/ホテル/拙宅(せったく)/仕事場(しごとば)]に~。
  ・わたくしはいつもこの部屋におります。
 ・子どもでもおればもっとにぎやかなんでしょうが。
〔-ておる〕
  ・毎日がんばっております。
 ・マグロを捕(と)る船で働いております。

[2]要る
  ある物事のために、ある人・ものがなくてはならないことを表す動詞。「要る」は状態動詞で、基
本形が現在の状態を表す。「-ている」の形はない。「要って/た」の形もあまり使われない。
 日常的には「必要だ」がよく使われる。
◇いる
 「要る」は、必要であること。あることのために、それがないとだめであること。目的となること
をニ格で示す。名詞節をとる。「動詞+には」の形もある。
   ものニ ものガ いる
        登山には体力が要る  入場には整理券が要る 
   文のに/には ものガ いる 
        屋根に上るのにハシゴが要る   会員になる(の)には紹介者が要る  
◇ようする
 「要する」は、必要とすること。書きことば。
   人・ものガ (ものニ) ものヲ ようする
    政府はこの事業に多額の資金を要する  この患者(に)は細心の注意を要する


いる(要る)五(いらない・いります・いれば) 
[1]〔人・ものニ ものガ〕
 △いりそうだ  いるかもしれない  いらなそうだ  
 △[すこしだけ/たくさん/ぜったいに/かならず/たぶん/きっと]~。
 △[金/時間/人/証明書(しょうめいしょ)/根気(こんき)/道具(どうぐ)]が~。
 ・外国語の勉強には辞書(じしょ)が要ります。お金も要ります。時間も必要(ひつよう)です。
 ・きょう中に30万円要るのですが、かしてくれませんか。
 ・それを用意(ようい)するために、ちょっと時間が要るな。
  ・これはずいぶん根気が要りそうな仕事だね。
 ・おつりは要らないよ。
 ・あなたがいれば、ほかに何も要らない。
 ・それは要らぬお節介(せっかい)だよ。
 ・このしごとには人手(ひとで)がたくさん要る。
 ・何かほかに要る物があったら言ってください。(あなたに)
 ・紙(かみ)はここにたくさんありますから、要るだけ持って行ってください。
〔文のに/には〕
 ・手続きをするのに、何が要るのかなあ。身分(みぶん)証明書だけでいい?
 ・この仕事をするには、ずいぶんと人手(ひとで)が要りそうだ。
 ・入会するにはだれか紹介者(しょうかいしゃ)が要ります。


ようする(要する)  サ変(ようしない・ようします・ようして・ようすれば)
[1]〔人・ものガ (ものニ) ものヲ〕
 △ようしそうだ  ようするかもしれない  
  △[予算(よさん)/人手(ひとで)/人員(じんいん)/時間/根気(こんき)/決断(けつだん)]を~。
  ・これは、綿密(めんみつ)な計画(けいかく)を要する事業(じぎょう)だ。
 ・この計画の実行(じっこう)には、多くの予算を要することは明らかだ。
 ・込み入った案件(あんけん)ですので、回答にはかなりの時間を要しますが、よろしいですか。
 ・事態(じたい)は急を要します。いたずらに会議(かいぎ)で時間をつぶしてはなりません。
 ・この問題は十分な検討(けんとう)を要する問題です。結論(けつろん)を急いではいけません。

[3]できる

◇できる
 「できる」は、物事の発生・完成と、人に能力があること、可能な状況であることを表す。
 具体物の発生・完成を表す場合、その場所をニ格で示す。
      ものガ (所ニ) できる
        体に 傷・あざ・こぶが できる  壁に 穴・へこみが できる
    用事・心配事が できる
    ご飯・宿題・橋・映画・準備が できる     駅前にスーパーができた
    狭い庭でトマトがたくさんできた  兄夫婦に子供ができた
 ものが、部分・材料からなることを表す。部分・材料を示すデ格・カラ格が使われる。「できてい
る」「できた(+名詞)」の形で使われる。
    この箱は木でできている  この本は7つの短い章からできている
 可能を表す表現では、能力の主体である人はニ格で示されるが、主題化されて「ニ」は省略される
ことが多い。「する」の可能形として、スル動詞に使われる。
   人ニ ものガ できる
        彼女は 外国語・運転・数学・仕事が できる    この問題は私にはできない
    この部屋で勉強できる  6歳以下の子どもは入場できない
 「動詞+ことができる」という複合述語を形作る。「が」は、「は/も/さえ」などに替えうる。
    読むことはできるが、書くことはできない 
  人に関して、人柄が優れていることを「できている」または「できた(+名詞)」の形で言う。
        あの人は人間ができている  よくできた人
  話しことばで、男女が親密な関係にあることを言う。「できている」の形で使われることが多い。
    あの二人はできている
・複合動詞
 「できあがる」は、すっかりできること。完成すること。また、話しことばで、酒に酔ってよいき
げんになること。
    料理・ビル・論文が できあがる  彼はもうできあがっている


できる(出来る)一(できない・できます・できて・できれば) 
[1]〔人ニ ものガ〕
 △できそうだ  できかける  できてほしい  できてしまう  できるようになりたい
  できなければならない  できないとこまる  できるはずがない
 △[すこし/うまく/よく/多少(たしょう)/かなり/すばらしく/なんとか/どうにか]~。
 △[フランス語/ピアノ/自動車(じどうしゃ)の運転(うんてん)/仕事(しごと)]が~。
 ・私はフランス語も英語もできないので、フランスで生活するのはたいへんだった。
 ・この公園(こうえん)はせまいので野球(やきゅう)はできない。
 ・子どもでもできるかんたんな問題だ。 (←子どもに問題ができる)
 ・これができたら、次はもっと難しいことをやってみたい。
 ・あの人は何でもできるすごい人だ。
 ・こんなことは、ぼくにはとてもできない。
 ・私にできるかどうかわかりませんが、ともかくやってみます。
 ・できれば、あしたまた来ていただきたいのですが。
[2]〔ものガ〕
 △[ごはん/料理(りょうり)/食事の支度(したく)/天ぷら/ケーキ]が~。
  [作文/原稿(げんこう)/詩(し)/映画(えいが)/アニメ/音楽/人形(にんぎょう)]が~。
  [用意(ようい)/準備(じゅんび)/計画(けいかく)/スケジュール表(ひょう)]が~。
   [用事(ようじ)/こまった事/心配(しんぱい)な事]が~。
 ・ごはんができましたよ。
 ・きゅうに用事ができたので、パーティーに出られなくなりました。すみません。
 ・今日じゅうにあの書類(しょるい)ができないとこまります。
 ・お食事の用意ができました。
 ・出発(しゅっぱつ)の日がちかづいてくるのに、旅行(りょこう)の準備はなかなかできない。
 ・計画(けいかく)ができなければ、仕事がはじめられない。
 ・パーティーに着て行くスーツが、きのうになってやっとできてきた。
 ・ちょっとこまった事ができてしまった。
 ・大川さんはやっと子どもができたと言ってよろこんでいる。
 ・A:このあたりではどんな物ができるのですか。
  B:いろいろな野菜(やさい)ができるよ。
[3]〔所・ものニ ものガ〕
 △駅(えき)の近くに[橋(はし)/高いビル/学校/新しい図書館(としょかん)]が~。
  [顔(かお)/足の裏(うら)/腕(うで)/指(ゆび)]に[ニキビ/豆(まめ)/あざ/きず]が~。
 ・駅の前に新しいビルができた。
 ・家の南がわにマンションができたので、日があたらなくなった。
 ・このあたりは、十年前は家の数がとても少なかったが、今では家や店がたくさんできて、ずいぶ
  んにぎやかになった。
 ・この橋(はし)ができてから、もう10年になる。
 ・柱(はしら)にひどくぶつかって、頭にコブができた。
 ・中学生のむすめは顔にできたニキビをとても気にしている。
 ・ハイキングでたくさん歩いたので、足に豆ができた。
 ・大雨がふったので、家の前の道に水たまりができている。
[4]〔ものガ ものカラ〕
 △[部分(ぶぶん)/部品(ぶひん)]からできている
 ・日本は4つの大きな島(しま)とたくさんの小さな島からできています。
 ・この教科書は本文とドリルと単語表(たんごひょう)からできています。
 ・このシンフォニーは四つの楽章(がくしょう)からできています。
[5]〔ものガ ものデ〕
 △[かみと木/石(いし)/土(つち)]で~。
 ・紙(かみ)でできた花がかざってある。
 ・ドラマで使う刀(かたな)は竹(たけ)でできています。
 ・ここにある人形(にんぎょう)の着物(きもの)は菊(きく)の花でできています。それで、菊人形と
  いいます。

<複合動詞:でき->
[できあがる] ものガ
 ・ドレスがやっとでき上がりました。
 ・トンカツ、いっちょう、できあがり!

関係

[1]合う・合わせる

◇あう
 「合う」は、二つ以上のもの、人が一緒になっておかしくないことを表す。相手をニ格またはト格
で表す。その部分について言う場合は、ガ格がもう一つ使われる。「合う」の形で、そのものの関係
を表し、現在の状態も表す。「-ている」の形は現在の状態を表す。名詞修飾では「-た」の形も現
在の状態を表す。
   人・ものガ 人・もの ニ/ト 合う
        私の考え方は彼の考え方と合う   わさびは醤油とよく合う
        そのネクタイはスーツによく合う/合っている  部屋に合う/合った カーテン
   人・ものガ 人・もの ニ/ト ものガ あう
        私は彼女と 意見・趣味・気が 合う  この車はサイズが車庫に合う
  正しいものと同じであることを示す。「合っている」の形でよく使われる。
   ものガ あっている
        答え・計算が 合っている
・複合動詞 
 「あてはまる」は、あることが他の場合についても成り立つことを表す。
・スル動詞
 「一致する」は、二つのものが、違うところがなく、同じであること。
 「合致する」は、(基準となるもの、問題になっているものと)ぴったり合うこと。
 「調和する」は、二つのもの、あるいは全体がうまくつり合っていること。
 「該当する」は、ある条件・資格に当てはまること。
 「相当する」は、程度・地位・状態などが他のものとちょうど合うこと。
◇あわせる
 「合わせる」は、「合う」に対応する他動詞で、使役形に当たる。
   人ガ ものヲ ものニ/ト あわせる
    右の手を左の手とぴったり合わせる   カーテンの色を部屋に合わせる
   人ガ 人ニ/ト ものヲ あわせる
    人に話を合わせる  仲間と力を合わせてがんばる
・複合動詞 
 「あてはめる」は、ある物事を他のこと、他の所にうまく合わせること。同じようなものとして考
  えてみること。
・スル動詞
 「合計する」は、いくつかの数量を(計算して)合わせること。
 「合成する」は、二つ以上のものを合わせて一つのものを作ること。
 「同化する」は、他のものの中に入り、それと同じようになること。他のものを自分と同じような
  ものにすること。
 「適応する」は、他の状況・環境に自分をうまく合わせること。
◇あわさる
 「合わさる」は、「合わせる」に形が対応する自動詞で、話しことば的。二つのものがうまく合っ
て、すき間・ずれがないような状態になること。
   ふたがぴったり合わさる
・スル動詞
 「合併する」は、二つ以上のものが一つに合わさること、また、合わせること。
 「合同する」は、二つ以上の団体・組織などが一つにまとまること。
 「合流する」は、二つ以上の川が一つになって流れること。人の集団が移動して他の集団と一緒に
  なること。
 「複合する」は、二つ以上のものが一つになること。
 「連合する」は、いくつかの団体・組織などがまとまって一つになること。


あう(合う)五(あわない・あいます・あって・あえば) 
[1]〔ものガ ものニ/ト〕
 △あいそうだ  あってほしい  あえばいい  あわないとこまる  
 △[うまく/よく/だいたい/ぴったり/ほとんど/完全に]~。
  △[ネクタイ/ハンカチ/靴下(くつした)]が[スーツ/シャツ/靴]に/と~。
   [カーテン/ソファー/スタンド]が部屋(へや)に/と~。
  [色/形/大きさ]が[注文(ちゅうもん)/希望(きぼう)]に/と~。
  政策(せいさく)が[実情(じつじょう)/実態(じったい)]に/と~。
 ・そのネクタイはあのスーツに合わないよ。こっちのほうがよく合うと思うよ。
 ・場面(ばめん)に合った(=合う)話しかたをおぼえることも大切です。
 ・ご希望に合った品物(しなもの)をお取りよせいたします。
 ・この部品(ぶひん)は規格(きかく)に合っていない。
 ・加藤さんのあの性格(せいかく)は監督(かんとく)という仕事には合わない。
 ・この法律(ほうりつ)は実情に合っていない。改正(かいせい)すべきだ。
 ・おちついた色のカーテンが部屋(へや)のふんい気とよく合っている。
 ・このおかしは、中国のお茶(ちゃ)とよく合う。
 ・君(きみ)の出した数字は、この報告書(ほうこくしょ)の数字と合っていないね。どっちかがまち
  がっているようだね。
 ・私たちの要求(ようきゅう)と合った回答(かいとう)を出してほしい。
 ・君に合う服(ふく)は、なかなかないね。君がきれいすぎるんだよ。
 △人の[足/体/スタイル/体型(たいけい)/好(この)み/趣味(しゅみ)]に/と~。
  [私の趣味(しゅみ)/彼女の主義(しゅぎ)/社会のしきたり]に/と~。
 ・この洋服(ようふく)は私の体に合わなくなってしまった。
 ・この薬(くすり)は私には合わないようです。
 ・姉は足がとても大きいので、足にぴったり合うくつをさがすのはむずかしい。(くつが姉の足に)
 ・このネクタイは夫の趣味に合わないらしく、ぜんぜん使ってくれない。
 ・東京のファッションは私の好みには合わない。
 ・山田さんのやりかたはどうもわたしの性(しょう)に合わない。(=わたしはきらいだ)
 ・彼の演技(えんぎ)は、この役(やく)には合っていない。前の映画(えいが)の役ではぴったり合っ
  ていたんだが。
[2]〔人・ものガ 人・ものト ものガ〕
 △人と[気/うま/気持ち/性格(せいかく)/話/意見(いけん)/趣味(しゅみ)/
  調子(ちょうし)/考え方/ものの見方(みかた)/世界観(せかいかん)]が~。
  [大きさ/サイズ/寸法(すんぽう)/長さ/幅(はば)/色/形]が~。
 ・旅行(りょこう)に行くのなら、気が合う人と行くほうがいい。(私はその人と気が合う)
 ・私はあの人と、どうもうまが合わない。(=気が合わない)
 ・あの人とは合わない(=気が合わない)から、話をしないことにしています。
 ・わたしはいつも父とは意見が合うが、母とは合わないことが多い。
 ・あの人は釣(つ)りがすきで、わたしは花がすきだ。わたしはあの人とはどうも話があわない。
 ・ぼくは、あの人たちとは人生観(じんせいかん)がまるで合わない。一生(いっしょう)遊んでくら
  せればいいなんて、信じられない!   
 ・夫婦は、いろいろなものの見方が合っていると、長く続きやすい。
 ・この部品(ぶひん)はサイズが合わない。(この器械(きかい)と)
 ・これを入れるのに、大きさがちょうど合う箱(はこ)を探(さが)して来てくれないか。
 △二人の[呼吸(こきゅう)/息(いき)/うま/タイミング/性格/意見/趣味]が~。
 ・ダンスは二人の息が合わないときれいにできない。
 ・私たち夫婦(ふうふ)は趣味が合うので、いつも楽しくやっています。
 ・今のところ、二人のタイミングが合っていなかったよ。はい、じゃあ、もう一度! 
 ・あの人たちの証言(しょうげん)の内容(ないよう)が合っていないんですよ。どちらかがうそをつ
  いているんじゃないでしょうか。
[3]〔ものガ〕
 △[答(こた)え/計算(けいさん)/時計(とけい)/採算(さいさん)]が~。 
  話の[つじつま/筋(すじ)/ピント]が~。   
 ・A:あの時計は合っていますか。
  B:いいえ、5分(ふん)ぐらい遅(おく)れています。
 ・A:私の答えは合っていますか。(=ただしい)
  B:いや、まちがっている。君は、考えかたは合っていたが、計算をまちがえたのだ。
 ・なんどやっても計算が合わない。
 ・おかしいなあ。そうだとすると、話のつじつまが合わないですね。  
 ・あの人の話はたいていピントが合っていないから、何が言いたいのかわからない。
 ・この古い写真(しゃしん)、なんだかピントが合っていないね。

<複合動詞:その他>
[あてはまる] ものガ ものニ
 ・文中の空欄に当てはまることばを次の中から選んで入れなさい。
 ・この時期になって、この募集条件にぴったり当てはまるような人を探すのは難しい。
 ・実際に実験をしてみると、その結果の数字は、法則がうまく当てはまらないことも多い。
      考え・言葉・法則が 原則・条件・万人に 基本的に きちんと しっくり
   そのまま ぴたりと ぴったり うまく 
<スル動詞>
[一致(いっち)する]  ものガ ものト
 ・現場の指紋が容疑者の親指と一致した。
 ・みごとに予想と一致した結果になった。(結果が予想と)
[合致(がっち)する]  ものガ ものト
 ・こちらの要求と、相手の回答がなかなか合致しないので、交渉を繰り返している。
 ・実験結果を理論と合致させるためにデータを操作するなんて、とんでもない話だ。
[該当(がいとう)する]  人・ものガ ものニ
 ・こんなに厳しい条件に該当(を)する企業は多くないのではありませんか。
 ・ここに書かれた募集基準に該当(を)する人は、窓口に申し出てください。
[相当(そうとう)する]  ものガ ものニ                     
 ・戦前の高校は戦後の大学の教養課程に相当する。
 ・この金貨は現在の金額では1億円に相当する。 
[調和(ちょうわ)する]  ものガ ものト
 ・家具の色が建物の雰囲気とよく調和している。
 ・自然とうまく調和した美術館を設計した。


あわせる(合わせる)一(あわせない・あわせます・あわせて・あわせれば・あわせよう)
[1]〔人ガ ものヲ ものト/ニ〕
 ・aとbを合わせると20になります。
 ・今年の残金(ざんきん)を去年の繰越金(くりこしきん)と合わせるとかなりになる。
 ・西ヨーロッパと北アメリカを合わせて「欧米(おうべい)」とよんでいます。
 ・紙(かみ)の端(はし)と端をきちんと合わせて折(お)ってください。
 ・こっちのケーキを、そっちのと合わせれば、何とか足りるんじゃないか?
 ・鍵(かぎ)を鍵穴(かぎあな)に合わせてみたらぴたりと合った。 
 ・とけいが遅れていますね。次の時報(じほう)にあわせてください。
 ・学生のレベルに合わせてテキストをえらびました。
 ・その本は、上下巻(じょうげかん)の2冊セットです。こちらの下巻と合わせて千円になります。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 ・かかったお金をぜんぶ合わせる(=合計(ごうけい)する)と5300円になります。
 ・兄がへんな事を母に言ったから、あとで話のつじつまを合わせるのがたいへんだった。
 ・洋服屋(ようふくや)に服のサイズを合わせに行った。
 ・手を合わせて、神様(かみさま)に祈(いの)った。
 ・私はたしかに事故(じこ)を見たのだが、ほかの人はしらないと言う。みんなで口うらを合わせて
  (=同じことを言うように相談して)いるらしい。
[3]〔人ガ 人ニ/ト ものヲ〕
 △[話/調子(ちょうし)]を~。
 ・おじいさんは話を聞いてくれる人がほしいだけだから、うまく話を合わせておくだけでいい。
 ・父がまたむかしの話をはじめたので、適当(てきとう)に調子(ちょうし)を合わせておいた。
 ・こんな失敗(しっぱい)をしてしまったので、みんなに合わせる顔(かお)がない。
 ・こまった時だけ神さまに手を合わせたってだめだ。
 ・手を合わせてたのんだが、「だめだ。」と言われた。
 △[心/気持ち/声(こえ)/力/楽器(がっき)の音]を~。
 ・仲間(なかま)といっしょに力を合わせて街(まち)の掃除(そうじ)をした。
 ・みんなで心を合わせてしごとをやってしまおう。
 ・教室のすみで山田と山中が額(ひたい)を合わせて何かそうだんしている。

<複合動詞:その他>
[あてはめる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・計算問題を公式に当てはめて解こうとしたが、うまくいかなかった。
 ・この古い学説を現代の複雑な国際経済の状況に当てはめるのは無理だ。
      解釈・概念・学説・形・漢字・言葉・問題を 規格・現代・公式・図式に
<スル動詞>
[合計(ごうけい)する]  人ガ ものヲ
  ・二つの数を合計する。
 〔人ガ ものヲ  ものト〕
 ・右の欄の数を左の欄の数と合計する。
[合成(ごうせい)する]  人ガ ものカラ ものヲ
 ・最近は石油らいろいろな物を化学的に合成して作ることができる。
 [~の合成をする]
  ・今、新しい繊維の素材を合成しています。
[適応(てきおう)する]  人・ものガ ものニ
  ・人が新しい文化に適応(を)するにはかなり時間がかかる。
 ・新しい土地に離された動物たちは、次第に環境に適応(を)していった。
[同化(どうか)する]  人ガ ものニ
 ・多数派の意見に同化(を)する必要はない。少数意見を持ち続けることが重要だ。
 ・移民は、その土地に同化(を)しないと生きて行けなかった。
 〔人ガ ものヲ〕
 ・外来文化を上手に同化(を)して、伝統文化と共存させていくのが日本のやり方だった。


あわさる(合わさる)  五(あわさらない・あわさります・あわさって・あわされば)
[1]〔ものガ ものト〕
 △あわさりそうだ  あわさらないかもしれない  あわさるようにする
 △[ぴったり/だいたい/ほとんど/すこしずつ]~。
  ・木で箱を作ってみた。ふたがぴったり合わさった時はうれしかった。
 ・二人がたがいに近づき、二つの影(かげ)が合わさった。
 ・昼間(ひるま)、月がちょうど太陽(たいよう)に合わさるような位置(いち)に来ると、皆既日食(か
  いきにっしょく)が起こります。

<スル動詞>
[合併(がっぺい)する]  ものガ ものト            
 ・大手銀行が合併(を)して、国際競争力を付けたそうだが、利息はぜんぜん上がらない。
 ・町と村が合併(を)して市になった。市民、と言うとちょっと偉くなったような気分だ。
[合同(ごうどう)する]  人・ものガ 人・ものト             
 ・ばらばらにやるのでは効果がない。みなが合同して事に当たるべきだ。
 ・二つの調査チームが合同して調査することになった。
[合流(ごうりゅう)する]  人・ものガ 人・ものニ/ト       
 ・この川は、もう少し下流に行くと、もっと大きな川に合流する。
 ・ホテルで他のグループと合流する予定です。
[複合(ふくごう)する]  ものガ
 ・様々な汚染物質の影響が、複合して人体に影響を与える恐れが強く指摘された。
 ・小さなミスが複合して、大きな事故を引き起こすものだ。
[連合(れんごう)する]  人ガ ものヲ/ト
 ・小さなグループを連合して大きな組織を作った。
 ・この国は、近隣の諸国と連合して大国に対抗してきた。

[2] 違う・異なる
  二つ以上のものが同じでない点を持つことを表す動詞。ト格をとる。そのままでも、「-ている」
の形でも現在の状態を表す。名詞修飾では「-た」の形で現在の状態を表す。

◇ちがう
  「違う」は、あるものが他のものと同じでないこと。ト格をとる。
   人・ものガ 人・ものト (ものガ) ちがう 
    ぼくは君と違う  私はあなたと考え方が違う  この前と違う  違った性格
 あるものが正しいもの、基準となるものと同じでないこと。
   人・ものガ ちがう
       道・やり方・カギ・答え・担当者が 違う    条件・話が 違う     違った環境
 「-ちがう」の形で複合動詞の要素として使われる。違っていること、一致しないことを表す。
      入れ違う 掛け違う 食い違う すれ違う 飛び違う 行き違う
◇ちがえる
 「違える」は、「違う」に対応する他動詞で、違うようにすること。間違えること。筋肉などを痛
めること。「違う」と比べて、あまり使われない。
   人ガ ものヲ (ものト) ちがえる
    やり方を人と違える  約束の時間を違える  首の筋を違える
 「-ちがえる」の形で複合動詞の要素として使われる。
   間違えること:取り違える 履き違える 見違える
   筋を痛めること:寝違える  
   それぞれの方向から互いにすること:組み違える 差し違える 
◇ことなる
  「異なる」は、あるものが他のものと同じでないこと。やや書きことば。
      人・ものガ 人・ものト (ものガ) ことなる
       私は彼と意見が異なる  異なった性格の兄弟


ちがう(違う)五(ちがわない・ちがいます・ちがって・ちがえば)
[1]〔人・ものガ (人・ものト)〕
 △ちがいそうだ  ちがいすぎる  ちがってしまう  ちがってくる  ちがってはいけない
  ちがってはこまる  ちがわないようにする  ちがわなければならない  
 △[少し/かなり/そうとう/まるで/ひどく/ぜんぜん/まるっきり]~。
 △[答え/計算(けいさん)/論証(ろんしょう)]が~。[かさ/靴(くつ)/帽子(ぼうし)]が~。
  [様子(ようす)/わけ/事情(じじょう)/状況(じょうきょう)]が~。
  [鍵(かぎ)/へや/相手(あいて)/担当者(たんとうしゃ)/番号(ばんごう)]が~。
 ・残念(ざんねん)ながら、この答えは違います。(正解(せいかい)と)
 ・韓国人は、日本人といろいろな点で違います。
 ・ピラフはチャーハンとは違う。どう違うかと言うと、、、一言(ひとこと)では言えない。
 ・「これはあなたのですか?」「いいえ、違います」
 ・すみません。このカバンは違います。私のじゃありません。(にもつのあずかり所で)
 ・「知らない」のと「知ろうとしない」のは違う。
 ・シーズンオフにでかけると、ひと味違った旅(たび)をたのしむことができるでしょう。
 ・何か違ったものが食べたいなあ。(いつも食べるものとは)
 ・どうもいつもと様子(ようす)が違うぞ。
 ・この前とは状況が違うのだから、同じやり方でうまくいくとは思えない。
 ・ことの成り行き(なりゆき)は、我々(われわれ)の思惑(おもわく)と違ってしまった。
 ・鍵が違っていたので、へやに入れなかった。
 ・担当者が違ってしまうと、この前いっしょうけんめい説明(せつめい)したのがむだになる。
 ・それじゃあ、話が違うじゃないか。
 ・さすがに金持ちは、我々貧乏人(びんぼうにん)とは違うね。
[2]〔人・ものガ 人・ものト ものガ〕
 △[形/サイズ/味(あじ)/香(かお)り/大きさ/値段(ねだん)/色(いろ)]が~。
  [意味/ニュアンス]が~。
 ・あれとこれは、箱(はこ)は似(に)ていますが、中身(なかみ)がちがいます。
 ・「ついに」と「やっと」は、だいたい同じですが、ニュアンスが違います。
 ・わたしは、兄と性格(せいかく)がぜんぜん違っています。(わたしと兄は)
 ・あなたのは、わたしのとは質(しつ)が違う。
 ・この靴はサイズが違います。
 ・少しぐらい形が違っていてもかまいません。
 ・この部品(ぶひん)は規格(きかく)が違うから、この機械(きかい)には使えない。


ちがえる(違える)  一(ちがえない・ちがえます・ちがえて・ちがえれば・ちがえよう)
[1]〔人ガ ものヲ (ものト)〕
 △ちがえたい  ちがえておく  ちがえてはいけない  ちがえようとおもう  ちがえろ!
 △[うっかり/不注意(ふちゅうい)で/思わず/ぼんやりして/ときどき/いつも]~。
  △[日時(にちじ)/場所/名前/意味(いみ)/順序(じゅんじょ)/方角(ほうがく)/道]を~。
  ・ぼんやりしていて、作業(さぎょう)の順序を違えてしまった。
 ・ときどき人の名前を違えてしまって、失礼(しつれい)することがある。
  ・自分の説(せつ)を立てる時は、人の説とは多少違えておかないと意味がない。


ことなる(異なる)五(ことならない・ことなります・ことなって・ことなれば)
[1]〔人・ものガ 人・ものト〕
 △ことなってしまう  ことなっていそうだ  ことならないようにする 
 △[少し/やや/とても/いちじるしく/まったく/明らかに]~。
 △[温度(おんど)/値段(ねだん)/形/制度(せいど)/文化(ぶんか)]が~。
 ・あの人のやり方は、私とはずいぶん異なったやり方だ。
 ・わたしの意見は先ほどの提案(ていあん)とは異なって、もっと制限(せいげん)をゆるめよう、と
  いうものです。
 ・同じ温度でも、湿度(しつど)が異なると、人間の感じる暑(あつ)さも異なる。
[2]〔人・ものガ 人・ものト ものガ〕
 △[意見(いけん)/立場(たちば)/性格(せいかく)/状況(じょうきょう)]が~。
 ・この山中さんは、私のさがしている山中さんと年が異なるので、別の人だと思います。
 ・ビタミンB1とビタミンB2は組成(そせい)がかなり異なります。
 ・あなたとわたしは立場が異なるから、あなたの意見に賛成(さんせい)するわけにはいかない。
 ・あなたの違反(いはん)とこちらの人の違反は、同じ違反でもだいぶ性格が異なりますよ。あなた
  の方がだいぶ重いですね。
 ・P国と日本はいろいろな条件(じょうけん)が異なるから、単純(たんじゅん)にくらべるわけには
  いかない。
[3]〔文ト 文ガ〕
 ・口で言うのはじっさいにやるのとはまったく異なる。

[3]似る・似せる
 二つ以上のものが外見の共通点を持ち、区別がつきにくいこと、そのようにすることを表す動詞。
     
◇にる
 「似る」は、互いに同じようであること、区別が付きにくいことを表す。現在の状態を「似ている」
の形で表す。名詞修飾では「-ている」「-た」の形で現在の状態を表す。相手をニ格またはト格で
表す。
   人・ものガ 人・もの ニ/ト 似ている
 ガ格が複数の名詞の場合、ガ格の名詞同士が共通点を持つことを表す。
   人・ものガ 似ている
    あの兄弟は(互いに)よく似ている
 ニ格は一方が基準になり、他方はそれに対して共通点を持つと見なされる。
    妹は母に似ている    女の子は父親に似るそうだ
    この町は私が生まれた町に似ている 
 ト格は、名詞を互いに入れ替えられる。
AがBと → BがAと
    僕は弟と似ている=弟は僕と似ている=僕と弟は似ている
・複合動詞
 「似合う」は、あるものが他のものにふさわしい感じでよく合うこと。
 「似通う」は、互いに共通する点が多くあること。
◇にせる
 「似せる」は、「似る」に対応する他動詞。別のものに似るようにすること。片方が基準になるの
で、ニ格になる。ト格は使いにくい。
   人ガ ものヲ ものニ 似せる
        人は神を人に似せて作った
    このプラモデルはとてもうまく本物に似せてある
        本物に似せて作った模造品 


にる(似る)一(にない・にます・にて・にれば)
[1]〔人・ものガ 人・ものニ/ト〕
 △にすぎる  にたくない  にてしまう  にてほしい  にないほうがいい 
  にてはいけない  にさせる  にられる
 △[少し/まあまあ/よく/かなり/とても/まったく/そっくり]~。
 △[お母(かあ)さん/お父(とう)さん/外国の物]に~。
 ・あの子はお父さんによく似ている。
 ・これと似たような(=少し似ている)話は前に聞いたことがあるぞ。
 ・これとよく似た料理(りょうり)がロシア料理にもあります。
 ・いもうとは母親に似て、きれいずきです。
 ・子どもが自分の悪い所には似ないようにと親はねがうものだが、なかなかうまくは行かない。
 ・この国の気候(きこう)は日本の長野県(ながのけん)に似ているね。
 ・いくら親子(おやこ)でも、似たところもあるし、ことなるところもある。それは当り前だ。
[2]〔人・ものガ 人・ものト ものガ〕
 △[目/声(こえ)/口元(くちもと)]が~。
 ・あなたとお兄さんは目が似ていますね。
 ・日本人とモンゴル人は顔(かお)がよく似ている。
 ・山下さんとお母さんは、顔はあまり似ていないが、耳のかたちがよく似ている。
 ・P社が新しく出したカメラはうちのカメラとボディのかたちが似ている。コピーだ。
 ・妹はとてもおしゃべりで、そこは母とよく似ている。
 ・弟と父はせの高いところが似ている。

<複合動詞:に->
[にあう] ものガ 人・ものニ
 ・あなたには明るい服がとてもよく似合いますよ。
 ・そのスーツにそのネクタイはよく似合う。
 ・彼女にはウエディングドレスがよく似合う。見るのはこれで3回目だ。
   赤・黒・制服・長い髪・宝石・洋服・和服・笑顔・独りが よく 驚くほど
[にかよう] ものガ ものト
 ・毎日似通った料理だとあきてしまう。
 ・僕の家族と彼女の家族はいろいろと似通ったところがある。
 ・テレビは似通った内容のドラマばかりで、もう見飽きたねえ。
   意味・形・考え方・気性・経験・好み・性格・性質・発音が ~た境遇・手口


にせる(似せる)一(にせない・にせます・にせて・にせれば・にせよう)
[1]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △にせてみる  にせてはいけない  にせようとする  にせられる  にせるな!
 △[そっくりに/わざと/いくらか/かなり/まるっきり]~。
  △[形/色/見た目/格好(かっこう)/動き/声(こえ)]を~。
 ・昔の日本のある車は、デザインを外国の車に似せていた。
  ・形をちょっと有名なキャラクターに似せてみたんだけど、やっぱりまずいかなあ。
 ・物まねは声を似せようと思ってはいけない。その人になりきることだ。
  ・有名商品(しょうひん)に似せたコピー商品が出回(でまわ)っている。
 ・他の商品にあまり似せた名前を使うことは、法律(ほうりつ)で禁(きん)じられている。

[4]含む

◇ふくむ
 「含む」は、あるものが他のものを中に持っている状態を言う。「含む」は性質・状態を表し、「含
んでいる」もその時の状態を表す。名詞修飾で「-た」の形が使われる。
 比喩的に、抽象的なことに言う。また、表情がある感情を表すことを言う。
   ものガ ものヲ ふくむ
    海水が塩分を含む  価格表示は税金を含む  
    大きな問題を含んだ提案  深い意味を含んだことば  愁いを含んだ顔
  口の中に入れて、そのままにしている状態を言う。ひゆ的に、精神的なことに言う。
   人ガ ものヲ (口ニ) ふくむ
    水を口に含む  私は彼に対して含むところがある(恨みなどを持っている)
・複合動詞
 「含み込む」は、(重要な要素として)中に含んでいること。 
◇ふくめる
  「含める」は、「含む」に対応する他動詞で、含むようにすること。あるものの中に、他のものを
入れて考えること。
   人ガ ものヲ ものニ ふくめる
        経理が飛行機代を出張費に含める  担当者が外国人も居住者に含めた
  「人ガ」を表に出さず、「ものニ ものヲ」の関係だけを示すことが多い。「~を含めて/含めると」
の形で使われることが多い。
    会費はおみやげ代を含めて5千円だ  参加者は私を含めて5人です


ふくむ(含む)五(ふくまない・ふくみます・ふくんで・ふくめば) 
[1]〔ものガ ものヲ〕
 △ふくんでいそうだ  ふくまれる
 △[多く/たくさん/すこし/半分以上]~。
 △[水分/別の意味]を~。[ビタミン/えいよう/毒素(どくそ)/葉緑素(ようりょくそ)]を~。
 ・海水は塩分(えんぶん)を含んでいる。
 ・酸(さん)を含んだ雨がふったために木が弱(よわ)っている。
 ・ミカンにはビタミンCが含まれている。
 ・事故の死傷者(ししょうしゃ)の中には、日本人は含まれていないそうです。
 ・「私もそう思う」と言った中西さんのことばには、実(じつ)は深い意味が含まれているのだ。
 ・この事件は、いろいろと問題を含んでいるから、解決(かいけつ)するのはむずかしいだろう。
 ・彼女は憂(うれ)いを含んだまなざしを私に向けた。
 ・この日当(にっとう)には交通費(こうつうひ)が含まれています。
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 ・父は水を少し口に含むと、花の葉(は)にぷっとふきかけた。
 ・先生は口もとに笑(え)みを含みながら、ないている子どもにゆっくり近づかれた。

<複合動詞:ふくみ->  
[ふくみこむ] ものガ ものヲ
 ・現代社会の問題は、さまざまな側面を含みこんで発生する。
 ・日本の思想は、かつては中国の、近代以後は西洋の思想を含みこんで成立している。


ふくめる(含める)一(ふくめない・ふくめます・ふくめて・ふくめれば・ふくめよう)
[1]〔人ガ ものヲ ものニ〕 
 △ふくめてほしい  ふくめてある  ふくめるべきだ  ふくめないほうがいい
  ふくめようと思う  ふくめられる  ふくめさせる
 △[子ども/君(きみ)/交通費(こうつうひ)/タクシー代]を~。
  ・データには外国人も含めますか。それとも、別にしますか。
 ・この計算(けいさん)には、子どもは含めていません。
 ・この大学には留学生を含めて23,000人の学生がいます。
 ・参加者(さんかしゃ)は、君を含めると8人だ。(君を参加者に含める)
  ・この費用(ひよう)は交通費を含めてですか。それとも、交通費は別ですか。
 ・経費(けいひ)は、おみやげ代を含めないとしても、4万円かかる。ちょっと高いね。
 ・うちは私をふくめて7人家族(かぞく)です。私をふくめて子どもが5人います。
  ・今回のアンケートは十歳以下の子どもも対象に含めますのでよろしくお願いします。
 ・ホテル代も含めて3泊(さんぱく)で2万円とはずいぶん安い旅行だ。
  ・ここでの「中国」は台湾(たいわん)を含めて考えていますので、注意して下さい。
  ・今回の法案(ほうあん)には、私も含めてみなが大反対(だいはんたい)です。
 ・今年は、経理(けいり)が飛行機代を出張費(しゅっちょうひ)に含めてくれたので助かった。

[5]足りる・欠ける

◇たりる
 「足りる」は、何かが必要なだけあること。何かをするのに、それだけで充分であること。
   ものガ たりる
    金・時間・人手が 足りる  電話で用が足りる
 精神的なことに関して、否定の形でよく使われる。
    経験・自覚・注意・準備・考え・思いやり・配慮が 足りない
  目的のニ格をとる。名詞節をとることができる。
    集めた資金が目標額に足りない    この作業に人手が足りるかどうか
      一週間旅行をするのに10万円で足りるか
 慣用的な表現で、「動詞+に」の形を受ける。(「たる」の形も使われる)
    信頼するに足(り)る人物  論ずるに足りない  取るに足りない/取るに足らぬ こと
・複合動詞:「-たりない」の否定の形で使われる。不十分であることを表す。
    寝足りない  まだ飲み足りません  言い足りない所を書き足す     
◇かける
  「欠ける」は、一部分がなくて不完全になること。
   ものガ かける
        茶わんが欠けている  月が欠ける  いつものメンバーが一人欠けている
 あるべきものがないこと。ニ格は不足しているもの、またはそれがあるべき所を示す。やや書きこ
とば。「足りない」が日常的な表現。
   人・ものニ ものガ かける / 人・ものガ ものニ かける
    彼には基本的常識が欠けている/彼は基本的常識に欠けている  (常識が足りない)
    彼の説明は説得力に欠ける 
◇かく
  「欠く」は、「欠ける」に対応する他動詞。固いものの一部を壊すこと。あるべきものがないこと。
この用法は「欠ける」と同じだが、ヲ格をとる。やや書きことば。
      人・ものガ ものヲ かく
    茶わんのふちを欠いてしまう  彼(のやり方)は 常識・柔軟性・迫力を 欠いている
・スル動詞
 「不足する」は、人・ものが足りないこと。
 「欠如する」は、あるべきものが欠けて足りないこと。ニ格でそのところを示す。
 「欠乏する」は、必要なものが足りず、好ましくない事態であること。ニ格でそのところを示す。


たりる(足りる)一(たりない・たります・たりて・たりれば) 
[1]〔人・ものニ ものガ〕
 △たりそうだ  たりている  たりそうもない  たりないといけない
  たりるようにする  たりなくならないようにする 
 △[充分(じゅうぶん)/だいたい/ほぼ]~。[たぶん/きっと/おそらく/うまくいけば]~。
  [ぜんぜん/まったく/おそらく/もしかすると/どう見ても/どう考えても]たりない
 △[金/時間/人/人手(ひとで)/力(ちから)/材料(ざいりょう)/コップ/大きさ]がたりない
  [資料(しりょう)/肥料(ひりょう)/栄養(えいよう)/部品(ぶひん)]がたりない
  [考え/気配(きくば)り/配慮(はいりょ)/思いやり/自覚(じかく)]がたりない
  ・ごはん、足りると思うけど、足りなかったら、おモチでも食べてね。
 ・「この予算(よさん)で足りるだろうか」「たぶん足りるよ。足りない時は、君が出しておいて」
 ・何度計算(けいさん)してもお金が足りません。どこかで落としたんでしょうか。
 ・募金(ぼきん)の額(がく)が、期待(きたい)した金額(きんがく)に足りそうもないので、期間(き
  かん)をのばすことにした。
 ・この作業(さぎょう)に人手が足りるかどうか、ちょっと心配(しんぱい)だ。
 ・私の方は人が足りているから、彼女の方をてつだってあげてください。
 ・問題(もんだい)はあと3題。テストの残(のこ)りの時間は20分。どうやっても時間が足りない。
 ・あまみが足りないケーキというのはさびしいので、少し砂糖(さとう)を多めに入れました。
 ・どうも彼は根性(こんじょう)が足りない。すぐあきらめてしまう。
 ・集中力(しゅうちゅうりょく)が足りないので、ついほかのことが気になってしまうのです。
 ・この食堂は広さが足りないから、ピアノはおけない。
 ・お米がこれだけあれば、1週間は足りるでしょう。
 ・あの男は少し(頭が)足りない(=頭のはたらきが十分でない)。
[2]〔文ニ ものガ〕
 ・このしごとをするには、今日は少し時間が足りない。
 ・二人で海外(かいがい)旅行(りょこう)に行くのには、50万円あれば足りるでしょう。
 ・彼は、リーダーになるには決断力(けつだんりょく)が足りない。
 ・いろいろ買い物したら、うちに帰るのにお金が足りなくなってしまった。
 ・映画を見るだけなら、このお金で足りる。(映画を見るのに)
 ・食事をするだけなら、2000円ぐらいあれば足りるでしょう。

<複合動詞:-たりない>
 ・仕事で疲れていて、毎日寝足りない感じだ。
  ・子どもたちは、いくら食べても食べたりないという顔をしている。元気でいいなあ。
 ・いろいろ言い足りないことがあったので、後で長いメールを送った。
 ・千ページ書いても、まだ書き足りません。


かける(欠ける)  一(かけない・かけます・かけて・かければ)
[1]〔ものガ〕
 △かけそうだ  かけつつある  かけてしまう  かけてはならない  かけないようにする
 △[少し/少しずつ/半分/かなり/大部分(だいぶぶん)/ほとんど]~。
  △[茶わん/テーブルの端(はし)/月/メンバー/揃(そろ)いの一部/]が~。
  ・茶わんの縁(ふち)が欠けてしまった。新しいのを買わないと。
 ・引っこしで荷物(にもつ)の角(かど)があたり、テーブルの端が欠けてしまった。
  ・小学生の子どもが毎晩、月が少しずつ欠けていくのを観察(かんさつ)している。
  ・古本(ふるほん)である作家(さっか)の全集を買った。一冊欠けているのでかなり安かった。
  ・田中さんが会社をやめると、野球チームのメンバーが一人欠けてしまうんだ。君、やらないか。
[2]〔人・ものニ ものガ〕
 △[判断力(はんだんりょく)/計画性(けいかくせい)/柔軟(じゅうなん)性/具体(ぐたい)性/バ
   ランス/見通(みとお)し/常識(じょうしき)/理解(りかい)力]が~。
  ・あの人はどうも常識が欠けていて、ときどき変なことをするから困るよ。
 ・うちの会社は、経営方針(けいえいほうしん)に一貫性(いっかん)が欠けていると思う。
  ・この計画に欠けているものは何か、それを考えてほしい。
 ・私の人生は、いつも見通しが欠けていて、すぐ行き詰(づ)まってしまうことが多かった。
[3]〔人・ものガ ものニ〕
 △[思慮(しりょ)/配慮(はいりょ)/まじめさ/迫力(はくりょく)/気力(きりょく)]に~。
 ・お前のやることはいつも思慮に欠けているんだ。やった後、どうなる考えてからしろ。
  ・私たちの行動が、皆様(みなさま)への配慮に欠けるところがありましたことをおわびいたします。
 ・この指針(ししん)は、ただことばだけで、具体性に欠けますね。


かく(欠く)  五(かかない・かきます・かいて・かけば・かこう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △かいてしまう  かいてはいけない  かいていそうだ  かかないようにする
 △[つい/うっかり/ときどき/いくらか/まったく]~。
  △[茶わん/信頼(しんらい)/義理(ぎり)/決め手(きめて)/安定感(あんていかん)]を~。
  ・うっかり落として茶わんのふちを欠いてしまった。
 ・親戚(しんせき)への義理を欠かないようにしておかないと、何かあった時に助けてくれない。
 ・これが原因(げんいん)だとは思うが、どうも判断(はんだん)に決め手を欠く。
  ・今日の田中君はどうも精彩(せいさい)を欠いているね。プレーに切れがない。
 ・ゆうべの宴会(えんかい)は司会(しかい)がへたで、ちょっと盛(も)り上がりを欠いたように思う。
 ・首相(しゅしょう)の演説(えんぜつ)は、説得力(せっとくりょく)を欠くものばかりだ。

<スル動詞>
[欠如(けつじょ)する]  人・ものニ ものガ
 ・リーダーに指導力が欠如している国家というのは、なさけないものだ。
 ・あの人は周りの人間に対する配慮というものがまったく欠如している。
   栄養分・科学的精神・協調性・緊張感・見識・指導力・責任感・独創性・認識・モラルが
[欠乏(けつぼう)する]  人・ものニ ものガ
 ・災害で孤立した地域で食料が欠乏しているので、早急に送り届けなければならない。
 ・私には、根気と努力と才能と決断力とその他いろいろなものが欠乏している。
   空想力・決断力・酸素・資金・食料・弾薬・ビタミン・野菜が
[不足(ふそく)する]  ものガ 
  ・事務の仕事が多く、人手が不足(を)している。
 ・常に不足(を)するのが予算と人員だ。
      運動・栄養・学力・金・カルシウム・技術者・議論・才能・指導力・準備・水分・睡眠・説明
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