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動き4   

[19] かかる・かける

       かかる  跳ねかかる 引っかかる 降りかかる  
       かける  掛け合う 掛け合わせる 掛け替える 掛けそびれる 掛け違う 掛け直す
               かけ離れる 掛け忘れる  吐きかける 引っかける 振りかける 

[20] 差す

     差す  差し上げる 差し入れる 差し置く 差し押さえる 差し替える 
              差し掛かる 差し掛ける 差し込む 差し障る 指し示す 差し迫る
           差し出す 差し支える 差し出る 差し止める 差し伸べる 差し挟む
           差し控える 差し引く 差し向ける 差し戻す

[21] 取る

    取る 取り合う 取り上げる 取り扱う 取り集める 取り合わせる 取り入る  
          取り入れる 執り行う 取り抑える 取り落とす 取り返す 取り替える  
          取りかかる 取り囲む 取り片づける 取り交わす 取り決める 取り崩す  
          取り組む 取り消す 取りこぼす 取り込む 取り殺す 取り壊す  
          取り下げる 取り去る 取りしきる 取り締まる 取り調べる 取りすがる  
          取り澄ます 取り損なう 取りそろえる 取り出す 取り立てる  
          取り違える 取り散らかす 取り付く 取り次ぐ 取り繕う 取り付ける  
          取り止める 取り直す 取りなす 取り逃がす 取りのける 取り残す 
          取り除く 取りはからう 取り運ぶ 取り外す 取り払う 取り紛れる  
          取り巻く 取りまくる 取り混ぜる とりまとめる 取り乱す 取り結ぶ  
          取り持つ 取り戻す 取りやめる 取り寄せる 取り分ける 取り忘れる 
          えぐり取る 搾り取る 吸い取る 巻き取る もぎ取る  
          撮影する 収穫する 録音する 録画する                                
                                                                              

 

[19] かかる・かける

  「かかる・かける」は、どちらも用法が非常に広い動詞で、それ自体の意味が薄くなって、機能動
詞的にも使われる。また、複合動詞の後項としてアスペクトを表すほか、多くの動詞について意味を
添える。
◇かかる
 「かかる」は、用法が広い動詞である。もの(の一部)が他のものにとめられ、支えられること、も
のから他のものに対して関わりがもたれること、また、ものが他のものを(全体的に)覆うことなどを
表す。また、それらの具体的な関係を表す用法から、ひゆ的な用法が広がる。
 場所または対象をニ格で示す。「-ている」の形で状態を表す。
    所・ものニ ものガ かかる
     壁に絵が掛かっている  川に橋が架かっている  本にカバーが掛かっている
  抽象的なものをガ格にとる。
     法案が本会議にかかる  試合に優勝がかかっている  利息に税金がかかる
  方向性のある動きの出発点または行為のでどころとしてカラ格が使われる。
    所カラ (所マデ) ものガ かかる
    この地点から山頂までロープウエーが架かっている
  「かかる」の意味が非常に薄れ、機能動詞的な用法で、「人ニ ものガ かかる」となる。
     人ニ (人カラ) ものガ かかる
    彼女に 疑い・期待が かかる(疑われる・期待される)
    友人から誘いがかかる  上部から圧力がかかってきた
 また、「人ガ ものニ かかる」という文型になる。その影響を受けることを表す。
    病気にかかる(病気になる)   医者にかかる(医者に診てもらう)
    わなにかかる(わなに捕らわれる)    暗示にかかる(暗示の影響を受ける)
 「始める」意味になる。
    人が 仕事・作業に かかる
 ある物事に必要なものを表す。その物事は文の形をとることができる。
    仕事に 時間・金・手間・人手が かかる  
    人を集めるのに 時間・金が かかる
 この「のに」は、目的を表す接続助詞相当の機能を持つ。
・複合動詞は、他の動詞に「-かかる」が付く形で、「はねかかる」「ひっかかる」「降りかかる」「振
りかかる」などがある。
  「はねかかる」は、何かがはねて、他のものにかかること。
 「ひっかかる」は、何かにかかって止まってしまうこと、物事が進まないこと。また、水などがか
  かること。比ゆ的に、人にだまされることなどを表す。
 「降りかかる」は、降って、体にかかること。ひゆ的に、良くないことが人に起こることを表す。
・「-かかる」は、アスペクトを表す用法があり、主に無意志的な動詞につく。もう少しでそうなり
そうだ、ということを表す。  (→「-かける」)
      死にかかる  おぼれかかる  日が沈みかかる 
 次の例は慣用的な表現。
    乗りかかった舟(関わってしまった以上、途中でやめることができないこと)
◇かける
 「かける」は、「かかる」ようにすること。ものを他のものに留めて、動かないようにすること、
ものから他のものに対して関わりを持たせること、また、ものが他のものを覆うようにすることなど
を表す。その他、「かける」の具体的な意味が薄くなって、機能動詞的な用法が多くある。
 対象をヲ格で、場所またはものをニ格で示す。「-ている」の形は、動作の進行中または結果の状
態を表す。
   人ガ 所・ものニ ものヲ かける
      ハンガーに服を掛ける  川に橋を架ける  本にカバーを掛けている(動作中/状態)
 「本にカバーを掛けている」は、今の動作とも、本の状態とも解釈できる。文脈による。
 「所カラ 所マデ」をとれる例。
    ここから向こう岸に(まで)橋を架けたい
 「かかる」と対応する用法と、「かける」独自の用法がある。
 対応する場合。上に上げた例は、「かかる」の用法に対応する。他にも次のような例がある。
       法案を会議にかける  作業に時間をかける      利息に税金をかける
    彼女に期待・疑いを かける  捜査に圧力をかける  
  対応しない場合。
     めがねを掛ける  イスに腰を掛ける  首にネックレスを・手首に手錠を かける
       7に35をかける  
・複合動詞
 「かけ-」の形のもの。
 「掛け合う」は、お互いに何かを相手にかけること。
 「掛け合わせる」は、二つのものを互いにかけること。
 「掛け替える」は、今掛けているものをやめて、別のものを掛けること。
 「かけそびれる」は、掛けようと思ったが、事情により掛けることができなかったこと。
 「掛け違う」は、二つのものがうまく合わず、ずれてしまうこと。
 「掛け直す」は、もう一度掛けること。
 「かけ離れる」は、大きな違いがあること。 「はなれる」にも 
 「掛け忘れる」は、掛けるのを忘れること。
 「-かける」の形のもの。
 「かける」の元の意味が保たれているもの。
 「吐きかける」は、(何かを)吐いて(何かに対して)かけること。
 「引っかける」は、何かにかけてものを動かないようにすること、液体をかけること、人をだます
  ことなどの用法がある。
 「振りかける」は、振って、上から少しずつかけること。
 「-かける」は、「少し~する、~し始める、~しそうになる」などの意味を表す用法があり、多
くの動詞につく。
     読みかける 食べかける 倒れかける 消えかける 死にかける


かかる(掛かる・架かる)五(かからない・かかります・かかって・かかれば・かかろう)
[1]〔所・もの・人ニ ものガ〕
 △かかってほしい  かかってはこまる  かからないようにする  かからせる 
 △[いつも/たまに/いくつか/いくつも/うまく/あぶなく]かかっている
 △[ハンガーに服(ふく)が/柱(はしら)の釘(くぎ)にカレンダーが]かかっている
 ・洋服(ようふく)ダンスのハンガーには何も掛かっていなかった。
 ・壁(かべ)に大きな絵の額(がく)が掛かっている。
 ・高い木の枝先(えださき)に何かかかっているようだ。子どものあげたタコだろうか。
 △[橋(はし)/雲/ひも/ロープ]が~。
 ・深い谷川(たにがわ)の上に、細い釣り橋(つりばし)がかかっていた。あれを渡(わた)るのはこわ    いだろう。
 ・東の空に美しい虹(にじ)がかかっている。
 ・富士山(ふじさん)の頂上(ちょうじょう)には、雲がかかっている。
 ・中天(ちゅうてん)にかかる月を見上げて、虎(とら)が吠(ほ)えていた。
 ・送られてきた荷物(にもつ)には、じょうぶなひもが何重(なんじゅう)にも掛かっていた。母の顔
  が見えるようだ。
 △[かぎ/ブレーキ/エンジン/自動停止装置(じどうていしそうち)]が~。
 ・ドアにかぎがかかっていて、中に入れなかった。
 ・地震(じしん)があったが、自動的にブレーキがかかり、電車は安全に停止(ていし)した。
 ・車のエンジンがかからず、雪の中で死にそうになった。
 △[会議/裁判(さいばん)]に~。
 ・重大な議案(ぎあん)が会議(かいぎ)にかかり、夜遅くまで慎重(しんちょう)な議論(ぎろん)が 
  積(つ)み重(かさ)ねられた。
 ・彼らの犯罪(はんざい)は裁判にかかることはなく、闇(やみ)から闇へと消された。
 △[水/雨/波(なみ)しぶき/息(いき)/泥(どろ)]が~。
 ・船から身を乗り出して魚を見ていたら、波しぶきが顔にかかった。
 ・パソコンにコーヒーがかからないように注意(ちゅうい)してください。
 ・メガネに息がかかって白くなり、前が見えなくなった。
 ・オムレツにはたっぷりケチャップがかかっていた。うまそうだ。
 △[人の命(いのち)/会社の将来(しょうらい)/国の命運(めいうん)/地位(ちい)/賞金(しょう
  きん)]が~。  
 ・医者の腕(うで)に、私の息子(むすこ)の命がかかっていた。
 ・あなたの判断(はんだん)にこのチームの未来(みらい)がかかっているんです。
 ・この試合(しあい)は優勝(ゆうしょう)がかかった試合だから、ぜったい負けられない。
 ・凶悪(きょうあく)な犯人の首に賞金(しょうきん)がかかった。
 △人に[疑(うたが)い/迷惑(めいわく)/期待(きたい)/電話]が~。
 ・そんなことをしたら、あなたに迷惑(めいわく)がかかるでしょう。
 ・金庫(きんこ)の金が盗(ぬす)まれ、警備員(けいびいん)に嫌疑(けんぎ)がかかった。
 ・真夜中(まよなか)に電話(でんわ)がかかってきた。出てみたら、間違い電話だった。
[2]〔ものニ ものガ〕
 △[手間(てま)/ひま/時間/金/費用(ひよう)]が~。
 ・こんどの旅行(りょこう)には、20万円も費用がかかった。
 ・一つ一つ直していくのは、ずいぶん手間のかかる作業(さぎょう)だ。
 ・プログラムの訂正(ていせい)作業に3時間かかった。
[文ニ ものガ]
 ・大学に入るのにはそんなに金がかかるのか。
 ・仕度(したく)をするのに時間がかかったので、タクシーを呼んで駅まで行った。
[3]〔人ガ ものニ〕
 △[わな/網(あみ)/計略(けいりゃく)/詐欺(さぎ)]に~。
 ・あちこちにしかけておいたわなに、ウサギが何匹(なんびき)もかかっていた。
 ・敵(てき)のわなにかかってしまった。
 ・大きな魚が網にかかり、子供たちが大声(おおごえ)を上げて喜んだ。
 ・犯人(はんにん)は警察(けいさつ)の網にかかった。
 ・私はどうも暗示(あんじ)にかかりやすい。
 △[病気(びょうき)/結核(けっかく)]に~。
 ・インフルエンザにかかって、学校を一週間休んだ。
 ・病気にかからないようにふだんから健康(けんこう)に気をつけましょう。
 ・わたしは1年も前から歯医者(はいしゃ)にかかっています。
 ・はやく医者にかかった方がいいですよ。
 △[準備(じゅんび)/調査(ちょうさ)/製作(せいさく)]に~。(=はじめる)
 ・さあ、準備(じゅんび)にかかりましょう。(=準備をはじめましょう)
 ・しゃべっていないで、早く仕事(しごと)にかかれ。
 ・来月の二日には第二期(だいにき)工事(こうじ)にかかれるだろうと思います。

<複合動詞:-かかる>
[はねかかる] ものガ 人・ものニ              
 ・自転車で水たまりを走ったら、水が歩行者にはねかかってしまい、降りて謝った。
 ・対向車がはねた泥水がフロントガラスにばしゃっとはねかかった。
   泥水が 水が 服に フロントガラスに ばしゃんと
[ひっかかる] 人・ものガ 人・ものニ
 ・クモの巣に虫がたくさん引っかかっている。
 ・車がはねた泥水がズボンに引っかかり、靴の中にまで入った。
 ・手品師のかんたんなトリックにやすやすと引っかかってしまった。
   雨戸・針・クモの巣・獲物・疑問・一言が 網・網の目・枝・茨・罠・渋滞・信号・
   おとり・駆け引き・計略・検閲・詐欺・心理作戦・誘導尋問・悪だくみ・作り話に
   トリック・非常線・法律に うっかり うまく ころっと たわいなく まんまと 
   やすやすと 言葉が頭の隅に 魚の骨・餅・痰がのどに あっちこっちに 店に
[ふりかかる] ものガ 人・ものニ
 ・駅を出ると、ザアッと雨が降りかかってきた。
 ・危機を脱したあとも、主人公には様々な災難が降りかかるが、何とか切り抜けていく。
 ・空を見上げた顔に、細かい雨が降りかかった。
      雨・石・火の粉・災い・災難・罵声が 頭上に 我が身に ぱらぱらと


かける(掛ける・架ける)一(かけない・かけます・かけて・かければ・かけよう)
[1]〔人ガ 所・ものニ ものヲ〕
 △かけそうになる  かけてみる  かけておく  かけたほうがいい
  かけなくてはいけない  かけるべきだ  かけさせる  かけられる
  かけようとおもう  かけろ!  かけるな!
 △[少し/たくさん/たっぷり/十分に/惜(お)しまずに/いやいや]~。
 △[服にブラシを/ハンガーにスーツを/壁に絵を/サラダにドレッシングを]~。
  [問題に賞金(しょうきん)を/家に保険(ほけん)を]~。
  制作(せいさく)に[時間/手間(てま)/人手(ひとで)]を~。
  [用意(ようい)/準備(じゅんび)/支度(したく)/飾(かざ)り]にお金を~。
 ・この川に橋(はし)が掛けられたのは20年ぐらい前だ。
 ・梯子(はしご)をかけて屋根(やね)に上がった。
 ・ツバメがまどの上に巣(す)をかけた。
 ・にげようとする男の肩(かた)に手を掛けてひきもどした。
 ・ぼうしやコートは、そこのぼうしかけに掛けてください。
 ・わたしはかばんを左肩(ひだりかた)に掛けるクセがある。
 ・あなたの絵(え)は食堂のかべに掛けることにしました。
 ・この服(ふく)にブラシをかけてください。
 ・汚(よご)れないように、大事な本にはカバーをかけてもち歩きます。
 ・この家には(お金を)五千万円かけただけあって、立派(りっぱ)な家ができた。
 ・定価(ていか)に割り引き率(わりびきりつ)をかけて、安く売る。
 ・町に火をかけて(=火をつけて)やいてしまった。
[2]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △[なべをコンロに/議案(ぎあん)を会議(かいぎ)に/予算を委員会(いいんかい)に]~。
 ・つった魚をはかりにかけて、重さをはかってみた。
 ・フライパンを火にかけて温(あたた)めておきます。
 ・この事業(じぎょう)は私一人の判断(はんだん)では決められない。会議にかけよう。
[3]〔人ニ ものヲ〕
 ・子どもにふとんをかけてやった。
 ・事務室に電話をかけたが、誰もいないようだった。
 ・体育の先生は学生に号令(ごうれい)をかけてならばせた。
 ・親にあまり心配(しんぱい)をかけるなよ。
 ・子どもたちが人に迷惑(めいわく)をかけることのないように育てています。
 ・あの人に思いをかけたのがまちがいだった。
[4]〔ものヲ〕
 △[めがね/まえかけ]を~。
 ・あき子ちゃんは、かわいいピンクのエプロンを掛けている。
 ・このごろめがねをかけている人が多い。
 ・店の前に看板(かんばん)をかける。
 ・あとからすぐに行きますから、車のエンジンをかけてまっていてください。
 ・しめ切りまであと3日だ。馬力(ばりき)をかけてやってしまおう。

<複合動詞:かけ->
[かけあう] 人ガ 人ニ/ト(ものヲ)
 ・事務に掛け合って、書類の締め切りの日を延ばしてもらった。(事務に延期を)
 ・試合中はチームメートと互いに声を掛け合って、励まし合った。
   声を 電話を 政権移譲を 役所に 直接 賃上げで経営者と
[かけあわせる] 人ガ ものト/ニ ものヲ
 ・速度と時間を掛け合わせると、走行距離が計算できます。
 ・トマトとポテトを掛け合わせて「ポマト」という新種の野菜を作った。
[かけかえる] 人ガ ものヲ (ものト/ニ)
 ・台所のカレンダーをかけかえた。
 ・玄関に飾ってあったピカソの絵をゴッホの絵にかけかえた。
   絵・カーテン・掛け軸・看板を   架け替える:石橋・橋を
[かけそびれる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・街で友だちを見かけたが、声をかけそびれた。恋人といっしょだったみたいで。
 ・あまりに悲しそうな顔をしていたので、言葉をかけそびれた。
[かけちがう] 人ガ ものヲ
 ・大掃除のあと、展示室の絵の順番を掛け違ったらしい。
 ・どこかでボタンを掛け違ったような気がする。
[かけなおす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・壁の絵をしばらく外していたのだが、また掛け直した。
 ・今、電話に出られません。後ほどまたお掛け直しください。
[かけはなれる] ものガ ものト/カラ
 ・ねらいとはかけ離れた所にボールが飛んでいった。
 ・あなたの言っていることは、現実からかけ離れているんですよ。 
   気持が 原点から 現実・実力・日常・予想・理念と 予測と結果が ~た
[かけわすれる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・シャツをハンガーに掛け忘れていたら、しわになってしまった。
 ・家に電話しようと思っていたが、忙しさに紛れてつい掛け忘れてしまった。
<複合動詞:-かける>
[はきかける] 人ガ ものヲ
 ・窓ガラスに息を吐きかけ、指で字を書いた。.uoY evol I と。
 ・将軍は、テレビに映った敵国の大統領に向かって呪いの言葉を吐きかけた。
   息・唾・痰・呼気・呪いの言葉・罵詈雑言を ぺっと
[ひっかける] 人ガ 人・ものヲ ものニ
 ・どこかで釘にでも引っかけてしまったらしい。コートに穴があいている。
 ・お互いに水を引っかけ合うお祭りにちょうど出くわして、さんざん引っかけられた。
 ・親父は、さっき下駄を引っかけてどこかへ行ったよ。パチンコかな。
 ・うまい話に引っかけられて金をだまし取られた。
 ・あの教授はウイスキーを一杯引っかけてから講義に行くそうだ。口がよく回るんだと。
   足・腕を コード・ひもを 杭・釘・ロープに 上着・オーバー・下駄・サンダルを
   相手・女の子・客を タオル・コートを 水・おしっこを カーブを 酒を一杯
[ふりかける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・油っこい料理のあとで、ごはんにごま塩を振りかけて食べると、実にうまい。
 ・この店のたっぷりコショウを振りかけたステーキは絶品だよ。
   塩・砂糖・胡椒・脂・香水・灰・水・オーデコロンを たっぷり

[20]差す

◇さす
  「差す」は、前に来る名詞によって多くの用法がある。用法によって「射す・挿す・注す」などの
漢字表記が使われることがある。名詞は、細いもの、かすかなものが多い。
  光が入ってきて、そこが明るくなること。それまでなかったものが(少しずつ)現れること。比ゆ的
に、精神的なことにも言う。
   ものガ さす
    窓から日が差す    ほおに赤みが差す
     かげりが差す    嫌気が差す  魔が差す
  あるものに他のものを(少し)入れること。つけること。液体や先の細いものが多い。
   人ガ ものニ ものヲ さす
    水・茶を差す  目薬・油を 差す  口紅を差す  
       花瓶に花を挿す  髪にかんざしを挿す    刀を差す
 「傘を差す」は、傘を広げて手に持つこと。
 慣用句で「水を差す」は、他人の熱意を冷ますようなことをすること。「流れにさおさす」は、時流
に乗ること。
・複合動詞:「さし-」の形が多い。元の意味は薄いものが多い。
 「差し上げる」は、手に持って高く上げること。「やる・あげる」の謙譲語。補助動詞用法がある。
 「差し入れる」は、何かの中に入れること。差し入れをすること。
 「差し置く」は、考慮すべきものを無視すること。
 「差し押さえる」は、抑えて動かないようにすること。差し押さえをすること。
 「差し替える」は、あるものをやめて、別のものを差すこと、取り替えること。
 「差し掛かる」は、ちょうどそこを通りかかること。その時期・場面になること。
 「差し掛ける」は、他のものの上に、おおうように差すこと。
 「差し込む」は、ものの中やすき間に突き刺すように入れること。光がその中に差すこと。腹が急
  に激しく痛み出すこと。
 「差し障る」は、他のことに対してさまたげとなること。
 「差し迫る」は、解決すべき問題やその期日が間近に迫ってくること。
 「差し出す」は、相手の前に出すこと。相手に渡すために出すこと。郵便物などを送り出すこと。
 「差し支える」は、何かをするのに妨げになること。
 「差し出る」は、身分・地位・立場などを越えた言動をすること。
 「差し止める」は、ある行為をやめさせること。社会的な事柄に言う。
 「差し伸べる」は、(手を)ある方向にのばして出すこと。「手を~」の形で助けることを表す。
 「差し挟む」は、何かの間に入れること。「口を~」の形で他人の話に割り込むこと。
 「差し控える」は、(中心人物の)そばに控えていること。控えめにすること。遠慮してやめること。
 「差し引く」は、ある数量から他の数量を引くこと。ひゆ的に、ある判断をする際に、ある事柄を
  考慮に入れないこと。
 「差し向ける」は、その方にものを向けること。そこへ人を向かわせること。
 「差し戻す」は、もう一度やり直すように元に戻すこと。上級の裁判所が、下級の裁判所の判決を
  破棄して、審理をやり直させること。

さす(差す・射す・挿す・注す)五(ささない・ささります・さして・させば・さそう)
[1]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △さしたい  さしてほしい  さしておく  さしてある  さしてしまう
  さしてはいけない  ささなければならない  さそうとする  ささせる  さされる
 △[少し/たくさん/たっぷり/そっと/すっと]~。
 △[髪(かみ)に花を/唇(くちびる)に口紅(くちべに)を]~。
 ・弟が自転車(じてんしゃ)に油(あぶら)をさしている。
 ・テーブルの上のかびんにきれいな花が挿してある。
 ・ゆみ子は花たばから花を一本ぬきとって胸(むね)にさした。
 ・目がつかれたら、目薬(めぐすり)をさした方がいいですよ。(目に)
 ・腰(こし)に刀(かたな)をさした俳優(はいゆう)がテレビ局の食堂でコーラを飲んでいた。
 ・お鍋(なべ)が煮立(にた)ったら、わすれずに水をさしてください。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[かさ/将棋(しょうぎ)/チェス]を~。
 ・静かに降る雨の中を、かさをささずに二人であるいた。
 ・父と兄が将棋をさしている。
[3]〔ものガ 所ニ〕
 △[西日(にしび)/日光(にっこう)]が~。 
 ・目がさめると、朝日(あさひ)が部屋(へや)いっぱいに射していた。
 ・寒い中を歩きつづけて冷えきっていた頬(ほお)にあかみが射してきた。
 
<複合動詞:さし->
[さしあげる] 人ガ 人ニ ものヲ      (「あげる」の敬語表現は別)
 ・両手を高く差し上げて、喜びを表した。
   腕・枝・グラス・コップ・両腕・両手を 高く 高々と 空に さっと
[さしいれる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・あなの中に手を差入れたら、中にいた動物に手をかまれた。
 ・遅くまで残業をしている連中に飲み物とサンドイッチを差し入れた。
   足・腕・カード・鍵・片手を 軽食・酒・弁当を そっと そろそろと
[さしおく] 人ガ 人ヲ 
 ・より重要な問題を差し置いて、なぜこんなことから話題にするのか。
 ・亡くなった人の遺族を差し置いて会社の人間があれこれ言うのは見苦しい。
 ・この私を差し置いて、誰が主役をやるというのか。
   兄・姉・親・社長・大家・妻・母・上級生を 根本的な問題を 冗談は
[さしおさえる] 人ガ ものヲ 
 ・ローンが払えなくなって、家を差し押さえられた。
 ・月給を差し押さえるなんてひどいじゃないか。家族はどうやって暮らすんだ。
   月給・工場・財産・施設・住宅・飛行機を
[さしかえる] 人ガ ものヲ ものニ/ト
 ・この例文はよくないから、他の例文に差し替えよう。
 ・花瓶の花がしおれてきたので、新しいものと差し替えた。
   花瓶の花・記事・写真を 正しいものと
[さしかかる] 人・ものガ ものニ  
 ・夜行列車は峠にさしかかっていた。
 ・わたしたちがようやく林に差しかかろうとした時、きゅうにはげしい雨がふり始めた。
 ・事件の捜査はいよいよ山場に差しかかった。
 ・今は家族のあり方の新たな時代にさしかかっているのだろう。
   入り口・カーブ・下り坂・高原・山間部・雨期・過渡期・危機・終盤に
   初老の域・政権交代期・中盤・峠・半ば・反抗期・踏切・曲がり角・山・山道に
[さしかける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・「濡れますよ。」と言って、彼女は客に傘をさしかけた。
 ・隣の家の大きな木が我が家の庭に枝をさしかけていて、いい木陰を作っている。
   枝・傘・屋根を 日が暖かに
[さしこむ] ものガ ものニ
 ・冬の日が部屋に差し込んでいて、とても気持ちいい。
 ・そのコードをコンセントに差し込んで下さい。
   明かり・月光・西日・日光・陽・夕陽・日射しが コード・ナイフ・棒を
   鍵穴・穴・部屋・窓一杯に プラグをコンセントに 拳銃をベルトに
[さしさわる] ものガ ものニ
 ・そんなことを言うと、いろいろ差し障るから、あなたは黙っていてください。
 ・今回の私のミスが仕事の進行に差し障るようなことがあったら申し訳ない。
   関係・仕事の進行に 
[さししめす] 人ガ ものヲ 
 ・太郎は、「あの光るのがあぶくま川です。」と指で指し示した。
 ・技師は、メーターの指し示す数字から機械の状態を知ることができるのです。
   絵・前方・ビル・窓の外・道・下流・原点・事実・未来・行く手を
[さしせまる] ものガ 
 ・この金の返却は、まだ差し迫った話ではないから大丈夫だ。
   危険・期限が 身に  ~た課題・事情・表情・問題 
[さしだす] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・えらい人と握手をするとき、手を差し出すタイミングがむずかしい。
 ・社員から部長に差し出された文書には、会社にたいする要求がいくつも書かれていた。
   金・贈り物・カード・企画書・切符・座布団・辞表・紹介状・書類・右手を
[さしつかえる] ものガ ものニ
 ・明日の仕事に差しつかえるから早めにマージャンを切り上げた。
 ・子供の勉強に差し支えますから、テレビの音は小さくして下さい。
   営業・暮らし・仕事・診察・勉強・輸送・レッスンに
[さしでる] 人ガ   (名詞の前に置く形がふつう)
 ・私のような者が差し出たまねをして済みません。
 ・部局が違うんだから、人の仕事に差し出たことをするな。
   ~たまね・ことをする
[さしとめる] 人ガ ものヲ 
 ・党の本部は、批判記事を書いた新聞記者の出入りを差し止めた。
 ・首相のプライバシーを侵害しているとして、出版物が差し止められた。
   違法工事・記事・出港・出版・使用・出入り・発売を
[さしのべる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・彼は天に祈るように、空に向かって両手を差し伸べ、願いの言葉を口にした。
 ・地震の被害者に救援の手を差し伸べた。
   腕・右手・両腕・両手を 天に  援助・救い・誘惑の手を 
[さしはさむ] 人ガ ものニ ものヲ 
 ・部外者が内輪のことに口を差し挟むのはやめてほしい。
 ・彼女の言動には、何ら疑いを差し挟む余地がない。
   異議・異論・疑い・感情・感想・疑念・疑問・くちばし・言葉・説明・口を
[さしひかえる] 人ガ ものヲ 
 ・これからはお酒は差しひかえたほうがいいでしょう。
 ・この件に関しては、意見や問い合わせは差しひかえてください。
   引用・援助・活動・発言・好評・選択・立ち上げ・断定を
[さしひく] 人ガ ものカラ ものヲ 
 ・売り上げから経費を差し引くと、たいして残らなかった。
 ・字の汚なさを差し引いても、内容のよさで十分合格です。
   勘定・休業補償・経費・源泉課税・仕送り・時間・諸雑費・水道代・手間・
   費用・家賃を 売り上げ・給料から
[さしむける] 人ガ ものヲ 所ニ 
 ・ホテルの玄関でお待ちください。車を差し向けます。(玄関に)
 ・王は辺境の地を平定するために兵を差し向けた。
   医師・討っ手・援助の手・車・殺し屋・刺客・大軍・使い・兵を 迎えに
[さしもどす] 人ガ ものヲ ものニ
 ・総会は議案の検討が不十分だとして、作業委員会に差し戻した。
 ・高裁はその事件を地裁に差し戻した。
   控訴・書類・申請書を 事件を地裁に 法案を委員会に

[21]取る

◇とる
 「取る」の基本は、何かをするために、ものを手に持つこと。具体的なものから、抽象的なものま
で用法が広がる。
   人ガ ものヲ とる
    コップ・ナイフ・メモ用紙を取る   食事・栄養・休憩・睡眠を取る
    授業・コース・満点・学位を取る   政権・天下を取る   実質・手段をとる
 元の位置から離れることはカラ格で示す。
      人ガ ものカラ ものヲ とる
    本棚から本を取る    この中から一つ取る
 ものの到着点をニ格で表すことがある。
   人ガ ものニ ものヲ とる
    めいめいの皿に肉と野菜をとる
 抽象的な役割もニ格で表す。
    息子に嫁を取る   客を人質に取る
 「取る」ことによって、もともとの位置から離れることに重点を置いて、不要なものを除くことを
表す。
    ぼうし・めがねを取る    雑草・汚れ・疲れ・痛みを取る 
 しっかり付いていたものは「はずす」意味になる。
    ふたを取る   カバーをとる
 対象がもともと人の物である場合は、「奪う・盗む」の意味になる。
    人の財布をとる      金を取られる
 形容詞を受ける。            
      人ガ ものヲ い形容詞-く/な形容詞-に とる
     人のことばを悪くとる  好意的にとる
・複合動詞:複合動詞が非常に多い。「とり-」、「-とる」どちらの形も多い。
 「とり-」の形のものには、「取る」の意味が生きているものと、あとの動詞に軽く意味を添える
程度のものがある。類似性があるものをまとめておく。
 後項が方向を表す動詞のもの
 「取り上げる」は、手にとって持ち上げること。人のものをむりに奪うこと。ひゆ的に、そのこと
  を問題として考えること。また、赤ん坊が生まれるときに手伝うこと。
 「取り下げる」は、提案などを取り消すこと。提出した書類などを取り戻してやめること。
    ペン・おもちゃを取り上げる  問題を取り上げる  告訴を取り下げる
 「取り入れる」は、外にあるものを中に入れること。農作物を収穫すること。ひゆ的に、他の長所
  を自分のものにすること。
 「取り込む」は、外にあるものを取って中に入れること。抽象的なものも、自分のものにすること
  を表す。また、自動詞として、何かの事情で落ち着かない様子を表す。
 「取り出す」は、中から取って外へ出すこと。
 「取り入る」は、相手の気に入ってもらうようなことをすること。「人ニ」をとる。
    洗濯物を取り入れる/取り込む  野菜を取り入れる  流行を取り入れる/取り込む
    箱から鍵を取り出す  ボスに取り入る
 「取り返す」は、人に取られたものをまた自分のものにすること。比ゆ的に、抽象的なこともいう。
 「取り戻す」は、取られたものをまた自分のものにすること。比ゆ的に、抽象的なこともいう。
    損害を取り返す/取り戻す  落ち着きを取り返す/取り戻す
 「取って~する」類
 「取り集める」は、いろいろな所から取ってきて集めること。
 「取り崩す」は、崩してしまうこと。多くあるものから少しずつ取っていくこと。
    資料を取り集める  貯金を取り崩す  
 「取りのける」は、取って別に置くこと、除くこと。
 「取り除く」は、不要のものを取って除いてしまうこと。
 「取り外す」は、取り付けてあったものをはずすこと。ものを取ろうとして落とすこと。
 「取り去る」は、取って除くこと。「去る」は「去らせる」という意味合い。
 「取り払う」は、不要なものを残らず取ってしまうこと。
    障害物を取りのける/取り除く  足場を取り去る/取り外す/取り払う
 「取り混ぜる」は、いろいろなものを混ぜること。
 「取り分ける」は、区別して取って分ける。めいめいに分けて取る。
    大小を取り混ぜる    子供の皿に料理を取り分ける
 「取る」ことの様子
 「取り直す」は、もう一度取ること。元の状態に直すこと。すもうで、勝負をやり直すこと。
 「取りまくる」は、どんどん続けて取ること。
    ノートを取り直す  気持ちを取り直す  料理を取りまくる
 「取る」ことに失敗する類
 「取り落とす」は、手に持っていたものを、またはものを取ろうとして落とすこと。
 「取りこぼす」は、勝てるはずの勝負に負けてしまうこと。
    カップを取り落とす  初戦を取りこぼす
 「取り損なう・損ねる」、取ることに失敗すること。
 「取り違える」は、間違ってほかのものを取ること。間違って理解すること。
 「取り逃がす」は、捕まえかけたものに逃げられること。
   ボールを取り損なう  荷物を取り違える  犯人を取り逃がす
 「取り忘れる」は、取ることを忘れること。
 「取り残す」は、全部は取らないで残しておくこと。取り忘れて残してしまうこと。受身形「取り
  残される」で、置いて行かれること。
    新聞を取り忘れる  雑草を取り残す  時代の変化に取り残される
 「取る」意味が薄いか、ほとんどなく、後項動詞の意味が生きているもの
 「取り扱う」は、人・ものを扱うこと。その扱い方を表す副詞句を伴う。
 「執り行う」は、行事などを改まってすること。
 「取り替える」は、今までのものを別のものに替えること。人とものを替えること。
 「取りかかる」は、仕事や作業を始めること。ニ格をとる。
 「取り囲む」は、まわりを囲むこと。 
 「取り片づける」は、きちんと片づけること。
 「取り交わす」は、互いにやりとりすること。
 「取り決める」は、相手と話し合って決めること。
 「取り壊す」は、建物などを壊すこと。
 「取り仕切る」は、自分で責任を持っていっさいを処理すること。
 「取り調べる」、ある事柄について詳しく調査すること。特に警察が容疑者を調べること。
 「取り澄ます」は、きどって、まじめな顔をすること。
 「取りそろえる」は、もれなくそろえること。
 「取り散らかす」は、あちこちに物をちらかすこと。
 「取り繕う」は、間に合わせの修理をすること。外見だけ体裁よく見せること。ひゆ的に、気まず
    い雰囲気を何とか収めること。
 「取り紛れる」は、雑事や忙しさのために心が奪われること。
 「取りやめる」は、する予定だったことをやめること。
 後項が「付く」ことに関わるもの
 「取りすがる」、人の身体につかまって離れないようにすること。
 「取り付く」は、離れないようにしっかりつかまること。魔物などが人につくこと。ひゆ的に、あ
  る感情などが頭から離れなくなること。
 「取り付ける」は、器械などを設置すること。約束などをうまく成立させること。
 問題や人間関係に関するもの
 「取り組む」は、相手と互いに組み付くこと。問題などを解決しようとすること。
 「取りはからう」は、物事がうまくいくように処理すること。
 「取り運ぶ」は、式典などをうまく進行させること。
 「取りまとめる」は、多くのものを集め、まとめること。争いなどをうまく解決すること。
 「取りなす」は、仲直りをさせること。人をなだめること。
 「取り結ぶ」は、約束などを固く結ぶこと。二人の間に入って仲立ちをする。
 「取り持つ」は、二人の間に入って物事がうまく運ぶようにする。宴会などでうまくもてなすこと。
 「取る」の意味でも、後項動詞の意味でもないもの
 「取り締まる」は、不正や事件がないように、管理し監督する。
 「取り消す」は、言ったこと、決定したことを、あとで否定すること。
 「取り次ぐ」は、両者の間に立って一方の意向を他方に伝えること。一方の品物を他方に渡すこと。
 「取り止める」は、何とか命が助かること。
 その他
 「取り合う」(取り合わない)は、互いに取ろうとして争うこと。相手にする、関わりあうこと。
 「取り合わせる」は、違ったものをうまく合わせてまとめること。
 「取り抑える」は、押さえて動けないようにすること。
 「取り殺す」は、死霊などがついて人を殺すこと。
 「取り立てる」は、強制的に払うべき金を取ること。人を引き上げてよい地位につける。特別のも
  のとして、問題にすること。
 「取り巻く」は、まわりを囲むこと。複数の人がついて機嫌を取ること。
 「取り乱す」は、気持ちが動揺して、見苦しいようすをすること。
 「取り寄せる」は、注文して持ってこさせる、送らせること。 
・「-とる」の形の複合動詞には、次のものがある。例文は、それぞれ前の動詞の項を参照。
  a 取り去る、除くこと(ものカラ ものヲ ~とる)
   えぐり取る 掻き取る 切り取る くみ取る 削り取る こすり取る 搾り取る 吸い取る
   つまみ取る つみ取る 抜き取る はぎ取る 巻き取る もぎ取る  
 b 自分のものにすること   受け取る 書き取る 聞き取る 読み取る(上のaのもの全部)
 c 人から奪うこと      奪い取る 脅し取る 盗み取る 寝取る 乗っ取る 
 d 相手を倒すこと    打ち取る 討ち取る 
・スル動詞
 「収穫する」は、実った農作物を取り入れること。
 「撮影する」は、カメラなどで写真・映画を撮ること。
 「録音する」は、再生できるように音声や音楽を媒体に記録すること。
 「録画する」は、(テレビの)映像を記録すること。


とる(取る・捕る・撮る・採る・執る)五(とらない・とります・とって・とれば・とろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △とりたい  とっておく  とってある  とってほしい  とってしまう
  とってもらう・あげる・くれる  とってみる  とってくる・いく  とってはいけない
  とらなければならない  とろうとする  とらせる  とられる  とれ!  とるな!
 △[少し/かなり/ゆっくり/いそいで/ていねいに/らんぼうに/むりに]~。
  [ついに/やっと/おもわず/よろこんで/ざんねんながら/しかたなく]~。
 △[コップ/本/おかし/カメラ/]を~。
 ・子どもは、手を伸(の)ばして目の前のコップをとった。
 ・すみませんが、それをとっていただけませんか。
 ・上の棚(たな)の本を取りたいんだけれど、手が届(とど)かない。ちょっととってくれないか。
 ・ケーキを二つに切って、一つをとった。もちろん少し大きい方をとった。
 ・駅の近くまで行ってから財布(さいふ)がないのに気づき、家に忘財布を取りに帰った。
 ・電話(でんわ)が鳴(な)ったので、受話器(じゅわき)をとった。
 ・電話は、取ったとたんに切れてしまった。
 ・名月を 取ってくれろと 泣く子かな (一茶の俳句)
 △[食事/栄養(えいよう)/休み/休暇(きゅうか)/睡眠(すいみん)/授業(じゅぎょう)]を~。
 ・毎日決まった時間にきちんと食事を取るようにしましょう。
 ・食事をとる時にメガネをはずして、そのままわすれて来てしまったらしい。
 ・いつもいそがしくて、休暇(きゅうか)をとることもできません。
 ・健康のためには、しっかり睡眠と栄養をとることが大切です。
 ・この科目(かもく)を取らなければいけないのだが、英語の授業とぶつかってしまっている。
 △[学位/免許(めんきょ)/賞(しょう)/満点(まんてん)/合格(ごうかく)点]を~。
  ・彼女は60歳になってから博士号(はくしごう)を取ったそうだ。たいしたものだね。
 ・会社に入ったら、まず車の免許を取らされた。(=とらせられた)
 ・今回の試験は満点を取れそうだと思ったが、つまらないミスをして、取れなかった。 
 △[めがね/ネクタイ/帽子(ぼうし)/指輪(ゆびわ)/手袋(てぶくろ)]を~。
 ・ネクタイを取ると首がすっきりして、ほっとする。
 ・あいさつをする時は帽子を取らないと失礼ですよ。
 △[庭(にわ)の草/ズボンの汚(よご)れ/服(ふく)のシミ/ビンのふた]を~。
 ・ズボンのよごれをとるにはどうしたらいいですか。
 ・にわの草(くさ)をとるのは、私のしごとです。
 ・おなべのふたをとると、良いにおいがへやじゅうにひろがった。
 △[疲(つか)れ/痛(いた)み/人の命(いのち)]を~。
 ・この薬は患部(かんぶ)の痛みを取ってくれます。
 ・ビールを飲むと一日の疲れが取れるような気がする。
 ・革命(かくめい)は成功()したが、彼は部下(ぶか)に命(いのち)を取られてしまった。
 △[ホテルのへや/飛行機(ひこうき)のチケット/映画の指定席(していせき)]を~。
 ・ホテルに部屋を取ってありますから、今日はごゆっくりお休みください。
 ・1時の特急(とっきゅう)の切符(きっぷ)が取れたら、間に合うと思います。もし取れなかったら、
  すみませんが、少し遅刻(ちこく)します。
 △[ノート/コピー/記録(きろく)/写真(しゃしん)/映画(えいが)]を~。
 ・みんなは、先生の話をノートをとりながら聞いていた。
 ・メンバーの血(ち)を採って検査(けんさ)したが、さいわいこの病気をもっている人はいなかった。
 ・ここでならんで写真を撮りましょう。はい、にっこり笑って、撮りますよ。
 ・大学に入ったら映画を撮りたい。今まで、だれも撮ったことがないような、新しい映画を。
 △[責任(せきにん)/慎重(しんちょう)な態度(たいど)/手続(てつづ)き]を~。
 ・山中さんは、事故の責任(せきにん)をとって社長をやめた。
 ・このへやでは、いつも10人ぐらいの人が事務をとっている。
 ・国王は、毎日9時から4時まで、このへやで政務(せいむ)を執られる。
 ・入学の手続(てつづ)きを取ってくれた。
 △[畑(はたけ)で野菜(やさい)を/海で魚を/山でキノコを/林で虫を]~。
 ・ネコがネズミを捕らなくなった。
 ・野原(のはら)で花の標本(ひょうほん)を採る。
 ・「わが党はいつかは、きっと政権(せいけん)をとる。」と山田さんは、言うのだが。
 △[ハンドル/船の舵(かじ)/指揮(しき)]を~。
 ・事故(じこ)が起こった時、社長は現場(げんば)へ行って、じかに指揮(しき)をとった。
 ・車のハンドルを取らなくなってから、もう20年経(た)つ。
 △[すもう/バランス/筆(ふで)/機嫌(きげん)/議決(ぎけつ)/年]を~。
 ・子どものころ、よく兄とすもうを取ったものだ。
 ・栄養(えいよう)のバランスをとることが大切です。
 ・みんなにすすめられて、随筆(ずいひつ)の筆をとる気になった。
 ・妹は、おじいちゃんの機嫌(きげん)をとるのがうまい。
 ・きょうの会議では、この案(あん)にたいして、いろいろな意見が出されたので、決(けつ)を取る
  ことはできなかった。
 ・きのうひさしぶりで父に会ったが、父はすっかり年を取った。
〔形容詞-く/に〕
 ・人のことばを悪くとるのはやめた方がいい。
 
[2]〔人ガ 人ヲ〕
 ・今年は新入社員を3人採りました。
 ・「希望者は4人いますが、何人採っておきますか」「2人採ればいいだろう」
[3]〔人ガ ものカラ ものヲ〕
 ・ゆうべは、ラーメン屋(や)からそばをとって食べた。
 ・本棚(ほんだな)のいちばん上から本を取ろうとして、いすにのったら、いすがこわれた。
 ・庭の畑(はたけ)からジャガイモをとった。ほんの3つだけだが。
 ・海水から塩(しお)を取る。
[4]〔人ガ 人カラ ものヲ〕
 △[金/会費(かいひ)/税金(ぜいきん)]を~。
 ・大山さんからは今月の会費をまだとっていない。
 ・毎月会費は取られるが、会にはあまり行っていない。
 ・国が国民(こくみん)から税金をとるのはあたりまえだと思っていたが、そうでもないらしい。
[5]〔人ガ 人・ものニ 人・ものヲ〕
 ・お母さんがみんなのお皿(さら)にケーキをとった。
 ・品物を手に取ってよく見た。
 ・おおい、こっちにもおさしみをとってくれ。
 ・今年は、営業部(えいぎょうぶ)に10人、開発部(かいはつぶ)に5人ほど(人を)取りたい。
 ・そろそろむすこに嫁を取りたいと思っているのですが、適当(てきとう)な方はいませんか。
 ・ハイジャックの犯人(はんにん)たちは、乗客(じょうきゃく)を人質(ひとじち)に取って、ジェッ
  ト機に立てこもった。
                                                 
<複合動詞:とり->
[とりあう]  人ガ (人ト)ものヲ /人ガ ものニ
 ・兄弟がおやつを取り合ってけんかしている。(兄が弟と)
 ・二人は互いに手を取り合って、海の中へ入っていった。
 ・隣のおばさんの苦情にいちいち取り合っていられないよ。
 ・あの人が来ていろいろ言っても、取り合わなくていいからね。
   女・カード・客・場所・漁業権・連絡を 手と手を  
[とりあげる]  人ガ ものヲ (人・ものカラ) 
 ・夜中に電話が鳴った。受話器を取り上げると、「寝てた?」と彼女の声。
 ・夫は、息子が隠し持っていたポルノ小説を取り上げて、自分で読んでいた。なんという親子だ。
 ・「生徒の意見も取り上げて、学校行事を見直していきたい。」と校長が言った。
 ・今日の会議は、この問題をいよいよ取り上げるらしい。長くなりそうだ。
 ・私もお世話になった助産婦さんが1000人目の赤ちゃんを取り上げたそうだ。お祝いしなくちゃ。
   赤ん坊・意見・鉛筆・おもちゃ・刀・権限・財産・事件・問題を 議題に
[とりあつかう]  人ガ ものヲ 
 ・この道具は大切に取り扱ってください。母の形見の品なのです。
 ・ずいぶんひどい取り扱われ方をしたみたいだね。傷だらけだ。
 ・我々の部署は、どんな問題でも取り扱う、いわば何でも屋だ。大変だけど面白いよ。
 ・その問題は、総会の議題として取り扱う必要はないでしょう。
 ・申し訳ありませんが、当店ではこの品物は取り扱っておりません。
   事件・問題・事務を 公平・ぞんざい・大切・乱暴・好意的・批判的に 軽く
[とりあつめる]  人ガ ものヲ 
 ・関係資料を取り集めて、今後の方針を考えたいと思います。
 ・あたりに散らかった書類を取り集め、内容別にファイルに分類した。
[とりあわせる]  人ガ ものヲ 
 ・当店では、様々な食材を取り合わせ、栄養満点の料理をお出ししています。
 ・小説・エッセイ・詩などを取り合わせて、一冊で彼の仕事が見渡せるように編集した。
[とりいる]  人ガ 人ニ 
 ・あの男、社長に取り入って支店長にしてもらったそうだ。
 ・ボスや権力に取り入ることで身の安全を図ることは、私のよくするところではない。
   相手・上役・ボス・権力・重役・先生に 言葉巧みに ひそかに
[とりいれる]  人ガ ものヲ 
 ・雨が降ってくるみたい。洗濯物を取り入れて。
 ・春に植えた野菜を取り入れる季節になった。
 ・新しい方法を取り入れて、これまでにないものを作り出したい。
   洗濯物・葡萄を アイデア・考え方・形式・習慣・新機軸・制度・長所を
   変化・方法・やり方・よいところ・要求・流行・笑いを 最初に 作品に 巧みに
[とりおこなう]  人ガ ものヲ 
 ・3時から授賞式を執り行いますので、関係者はお集まりください。
 ・宮中では、新年の儀式が厳粛に執り行われた。
   儀式・式・葬儀・仏事・ミサを 古式ゆかしく 質素に・盛大に~われる
[とりおさえる]  人ガ 人・ものヲ 
 ・警官が手配中の容疑者を発見し、格闘の末、取り押さえた。
 ・動物園から逃げ出したサルが係員に取り押さえられた。
   現行犯・泥棒・猛牛・狼藉者を すばやく 寄ってたかって
[とりおとす]  人ガ ものヲ 
 ・手に持っていたコップを、なぜかわからないが、取り落としてしまった。
 ・棚のカップを取ろうとして、なぜか指に力が入らず、取り落としてしまった。
 ・私は視力が弱いので、メガネを取り落としてしまうと、そのメガネを探すのが大変だ。
   グラス・コップ・刀・受話器・卵・袋・めがね・フォーク・大切なものを
[とりかえす]  人ガ ものヲ (人カラ)
 ・振り込め詐欺で取られた金を何とか取り返したい。
 ・タレントが一度落ちた人気を取り返すのは難しいことだ。
   金・借用証文・損害・負け・失敗・落ち着き・元気・睡眠不足・若さ・自分を
[とりかえる]  人ガ ものヲ ものト / 人ガ 人ト ものヲ
 ・すみませんが、この品物、別のと取り替えてくれませんか。ここに傷があるので。
 ・赤ん坊のおしめを取り替えるのは、面倒だけれど、なかなか楽しい作業だ。
 ・王子が乞食の少年と互いの服を取り替えて、ちょっとした冒険をしようとした。
   おしめ・ガーゼ・鍵・機械・着物・車・恋人・下着・畳・電球・ネクタイを
   新品に 別のものと 次々と 手際よく どんどん こまめに 毎日
[とりかかる]  人ガ ものニ
 ・試験が終わってすぐ採点に取りかかった。ひどい出来だ。
 ・休憩のあと、新しい作業に取り掛かかろうとしたら、社長に呼ばれた。
   解説・儀式・検査・攻撃・工事・作業・仕上げ・仕事・執筆・実験・準備・政策・整備・
   整理・設計・説明・洗濯・掃除・次の段階・別の企画・問題・料理に
[とりかこむ]  人・ものガ 人・ものヲ 
 ・幼稚園の子供たちが先生を取り囲んで騒いでいる。
 ・道が森の中に入ったとき、いきなり何人かの男たちに取り囲まれた。
 ・高い塀が建物を取り囲んでいる。
   大群・空気が 家・丘・女・体・工場・死体・四方・周囲・城・庭・ホテルを
   新郎新婦・前後左右・広場・二人・まわり・山・パトカーを ぐるりと 遠巻きに
[とりかたづける]  人ガ ものヲ 
 ・辺りに散らばっているものを取り片付けて、ごろりと横になった。
 ・テーブルの上の物を取り片づけ、人数分の食器を並べた。
   家財道具・座敷・戸棚の上を 杯盤を 清潔に
[とりかわす]  人ガ 人ト ものヲ 
 ・二人は、あいさつの後、名刺を取り交わした。
 ・正式な契約書はまだ取り交わしていないが、実質的な取引はもう始まっている。
   挨拶・覚え書き・契約書・言葉・盃・冗談・目礼・約束・結納を
[とりきめる]  人ガ ものヲ  
 ・野球のリーグ戦の日程を取り決めた。
 ・隣国と海洋資源の開発について暫定的なルールを取り決めた。
   会場・規約・条件・条約・日・日取り・枠組みを 厳重に 包括的に
[とりくずす]  人ガ ものヲ 
 ・子供の学費のため、これまでの貯金を少しずつ取り崩している。
 ・今回の事故で、予備費をかなり取り崩してしまった。
   貯金・ストック・積立金・内部留保・予備費を  計画的に
[とりくむ]  人ガ ものニ 
 ・数学の難しい証明問題に取り組んでみた。結果は惨敗。
 ・政府は若年層の就職問題に本気で取り組むことを約束した。
   力士が 運命と 課題・研究・再調査・再発防止・仕事・新分野・大事業に
   難問・任務・復興・問題に 本気で 果敢に 真剣に 速やかに 積極的に
   本格的に きちんと しっかり じっくりと ねばり強く 本腰を入れて 
[とりけす]  人ガ ものヲ 
 ・先ほどの発言は取り消します。失礼しました。
 ・ある企業に内定していたのだが、取り消された。
   採用・承認・生命・前言・単位・内定・発言・命令・免許・約束・予約を
[とりこぼす] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・優勝候補と言われていたチームが初戦を取りこぼした。
 ・上位のチームには勝っていたが、下位に取りこぼしたのが痛かった。
   初戦・勝てる試合を 初戦で 下位に
[とりこむ]  人ガ ものヲ 
 ・雨が降ってきたので洗濯物を急いで取り込んだ。
 ・ネットから資料を取り込んで利用している。
   洗濯物・暖簾を 異質な物・新しい事物を 人・消費者を 家の中・味方に
[とりころす]  人ガ 人ヲ 
 ・悪い霊が人を取り殺すとおどして、信者から金を取っていた男女が逮捕された。
 ・昔の人は怨霊に取り殺されることを信じていた。
   怨霊が人を  生き霊・死霊に~される
[とりこわす]  人ガ ものヲ 
 ・旧市街で古くなったビルを取り壊している。
 ・道路拡張のため、私が生まれた家は取り壊されてしまった。
   家・囲い・形・小屋・建物・飯場・病棟を ばらばらに
[とりさげる]  人ガ ものヲ 
 ・社長が代わり、私の意見が認められたので、一度出した辞表を取り下げた。
 ・政府が世論の批判を受けた議案を取り下げた。
   案・控訴・告訴・裁判・請求・訴訟・申し出・食膳を
[とりさる]  人・ものガ ものヲ 
 ・薬の成分がすばやく痛みを取り去ります。
 ・人間は、よけいな飾りを取り去った後の姿がいちばん美しい。
   角・小石・魚の骨・水分・タグ・包み紙・破片・無駄な部分・目隠し・枝葉・隔壁・支え・
   憎しみ・不安・偏見を きれいに すっかり すばやく
[とりしきる]  人ガ ものヲ 
 ・議長がしっかり取り仕切ってくれないと、論議が進まず、混乱するばかりだ。
 ・この町の裏の世界は古いやくざが取り仕切っているそうだ。
   家の中・奥の事・火事・現場・進行・生活・政務・葬儀・縄張りを 堅実に
[とりしまる]  人ガ 人・ものヲ 
 ・警察が飲酒運転を取り締まっているが、なかなか根絶できない。
 ・暴力団をもっと厳しく取り締まってほしい。
   違反者・違法駐車・犯罪・風紀・麻薬・密猟者・海賊・無免許を 厳重に
[とりしらべる]  人ガ 人・ものヲ 
 ・関係者を呼んで、一人ずつ取り調べよう。
 ・警察で殺人事件の容疑者が取り調べられている。
   中身・罪状・被疑者を 厳重に 厳しく 任意同行して
[とりすがる]  人ガ ものニ 
 ・子供が母親の服に取りすがって泣いている。
 ・クビになりそうな社員が取りすがるような声で部長に頼み込んでいる。
 ・気弱そうな老人がおろおろと警官に取りすがって何か言っている。物をとられたのだろうか。
   体・袖・手・母親・栄光に おどおどと ~ような声・眼差し
[とりすます]  人ガ 
 ・あの奥さんの取り澄ました態度はなんなんだろう。私をバカにしているのか?
 ・今の庶民的な女優もいいが、昔の取り澄ましたような美しさを持った女優はよかった。
   ~た美しさ・顔・口調・女優 つんと・ひどく・高慢ちきに~態度・表情
[とりそこなう] 人ガ ものヲ
 ・今回の作品は自信があったんだが、また賞を取り損なった。
 ・外野の新人選手がフライを取り損ない、2点を失ったのが敗因だ。
   休暇・賞・ゴロ・フライを
[とりそろえる]  人ガ ものヲ 
 ・大工さんが大工道具を取り揃えて、いよいよ我が家のリフォーム開始!
 ・生命保険のプランをいろいろと取り揃えてあります。
   品数・証拠書類・民芸品・小道具・用具・美人・心尽くしの品を
[とりだす]  人ガ ものヲ ものカラ
 ・彼はかばんの中からわけのわからないものを次々と取り出した。まるでドラえもんのポケットだ。
 ・押入れの奥から箱を取り出そうとしたが、何かに引っかかって取り出せない。
 ・「いただきまーす!」子供たちは争って目の前のお菓子を取りだした。(=取り始めた)
   金・えさ・鏡・鍵・下着・書類・財布・扇子・タバコ・地図・手帳・ペンを
   ポケット・引き出しから おもむろに 慎重に 目の前に 急いで うやうやしく
[とりたてる]  人ガ 人・ものヲ  
 ・サラ金は借金を取り立てるのが商売です。そんないやな顔をしないでください。
 ・あの事故は、原因も対策も明らかなので、取り立てて問題にする必要はない。
 ・彼女は能力を認められ、特別研究員に取り立てられた。
   税金・年貢・保険料・診療代・授業料・貸した金を 人を大臣・弟子に
[とりちがえる]  人ガ ものヲ 
 ・空港で手荷物を取り違えたらしい。かばんに変なものが入っている。
 ・病院で取り違えられた赤ちゃんが、十年後にやっとわかったということがあった。
 ・申し訳ありません。お話の意味を取り違えていました。
   意味・上下・流れ・場面・ユーモア・相手・一部分・歌の文句・右と左を
[とりちらかす]  人ガ ものヲ 
 ・取り散らかしておりますが、よろしければどうぞお上がりください。
 ・乱雑に取り散らかされた作業場で、職人が一心に腕を振るっている。
   部屋・家の中・材料を 乱雑に
[とりつく]  人ガ ものニ / ものガ 人ニ
 ・数人の登山家が切り立つ岩壁にとりついて、少しずつ、登っている。
 ・田舎のひいおばあさんが、キツネにとりつかれたことがあると言うんだ。
 ・このところ、妙な考えにとりつかれて困っている。
 ・あんなそっけない言い方があるかなあ。とりつく島もない、というところだね。
   霊・物の怪・虱・狐・ウイルス・疑問・我欲が 人が岩場・崖・仕事に
[とりつぐ]  人ガ ものヲ 
 ・外からかかってきた電話を課長に取り次いだ。
 ・すみませんが、この要望書を知事に取り次いでいただけませんか。
   意向・客・言葉・電話・話・名刺・要求・来客を 支配人・主人・大統領に
[とりつくろう]  人ガ ものヲ 
 ・いくら外見を取りつくろっても、面接すればどんな人間かわかってしまうものだ。
 ・「まあまあ、お茶でも」と母はその場の気まずい雰囲気を取り繕うように言った。
   笑顔・外面・知らぬ風・体面・表情・冷淡さ・人前・座・その場・敗北を
[とりつける]  人ガ ものニ ものヲ 
 ・電気のスイッチはどこに取り付けましょうか。
 ・エアコンの室外機を壁の外に取り付ける工事をしている。騒音がひどい。
 ・役所の仕事というものは、偉い人たちの了解を取り付けないと何事も進まない。
   アダプター・アンテナ・板・換気扇・機械・日除け・部品を 許可・協力・委任状・
   開発認可・承認・約束・了解を 上手に いち早く うまく 苦心して
[とりとめる]  人ガ ものヲ 
 ・がんの手術をしたが、何とか命は取りとめた。
 ・壊れた建物の下敷きになり、重傷を負ったが、危うく一命は取り留めた。
[とりなおす]  人ガ ものヲ 
 ・去年はいい年ではなかった。さて、新年。気持ちを取り直してがんばろう!
 ・妹は身分証明書の写真を何度も撮り直している。どう撮っても変わらないのに。
 ・行司の軍配に物言いがついて、すもうを取り直すことになった。客は大いに喜んだ。
   ペン・杖・フォークを 気・気分・気持ち・元気・勇気を ようやく はっと
[とりなす]  人ガ 人ヲ 
 ・けんかしていた恋人同士を取りなしてやったが、ほうっておいてもよかったかな。
 ・店の料理に腹を立てた社長を何とか取りなして、次の店へ連れていった。
   座・その場・双方を 両親に 愛想良く いろいろと 間に入って しきりに
[とりにがす]  人ガ ものヲ 
 ・庭の柿の実を盗んだ子供を追いかけたが、取り逃がした。足の速いガキだ。
 ・犯行現場にふたたび現れた犯人を取り逃がした警察は、世間の非難を浴びた。
   獲物・機会・幸運・幸せ・犯人・虫・果報を
[とりのける]  人ガ ものヲ 
 ・道にあったじゃまなものを取りのけて、自転車が通れるようにした。
 ・少しいたんでいるものは横に取り除けて、みかんを袋につめた。
   石・板・川・網・毛玉・残骸・布・葉・匂い・枠・テーブルクロスを
[とりのこす]  人ガ ものヲ 
 ・午後は庭の雑草を取った。取り残したところはまた明日。
 ・足の遅い私はみんなに取り残され、道がわからなくなってしまった。
 ・私のような考え方の古い者は時代に取り残されてしまいそうだが、しかたがない。
   ~される 開発・時代・世界・国際的な流れ・時代の変化・山に 一人だけ
[とりのぞく]  人ガ ものヲ (ものカラ)
 ・化学処理をして、不純物を取り除く。
 ・少し書き直して、多少の問題点を取り除けば、相当いい論文になりますね。
 ・心の中から、不安や心配事を取り除いて、前向きに生きていくことが大切です。
   覆い・ガーゼ・垣根・かゆみ・疑問・驚異・恐怖感・臭み・苦痛・ゴミ・雑草・邪魔物・
   障害物・障害・ぜい肉・土・不安・不純物・ふた・矛盾・憎しみ・病巣を
[とりはからう]  人ガ ものヲ 
 ・部下が働きやすいよう取りはからうのが上司の仕事だ。
 ・担当の人がいろいろと便宜を取りはからってくれたので、仕事がしやすかった。
   便宜・手続き・国政・後を 有利に 好意的に しかるべく 油断なく
[とりはこぶ]  人ガ ものヲ 
 ・順調に取り運ばれていた結婚式だったが、ケーキカットのところで問題が生じた。
 ・今回の葬儀は滞りなく取り運ぶことができ、安堵しました。この前は愛人の女が奥さんと取っ組
  み合いのけんかを始めたりして、大変だったからなあ。 
    明鏡:式典を滞りなく 
[とりはずす]  人ガ ものヲ (ものカラ)
 ・居間の時計が止まっていた。電池を取り外して新しいものに換えたら動き出した。
 ・寝る前に、入れ歯を取り外してよく洗い、うがいをする。年をとったなあ。
      足場・イヤリング・垣根・機械・ゴム管・障子・戸・骨・松飾りを
[とりはらう]
 ・古くなった金網を取り払って、すっきりした塀にした。庭が明るくなった。
 ・続いた和室は、ふすまや障子を取り払えば、一つの大きな部屋として使える。
   椅子・垣根・壁・境・しきり・ふすま・疑念・制限・制約・よそよそしさを
[とりまぎれる]  人ガ ものニ 
 ・忙しさに取り紛れて、大事なことを忘れそうになった。
 ・母が亡くなった後、葬式の準備などに取り紛れて悲しむひまもなかったが、すべてが落ちついた
  今、改めて悲しみが戻ってきた。
   忙しさ・雑事に  ~て用・約束を忘れる
[とりまく]  人・ものガ 人・ものヲ 
 ・空港の到着ゲートで、新婚旅行から帰った映画スターをカメラが取り巻いた。
 ・警官隊が犯人の立てこもった銀行を取り巻いていた。
 ・社長が大勢の社員に取り巻かれて夜の銀座を歩いていた。あの会社はだめだね。
 ・古い木立が大きな家を取り巻いて立ち並んでいた。
   寒気・道路・闇・人が 家・子ども・周囲・建物・病床・周り・リングを
   遠巻きに 幾重にも  ~れる 大勢・危険・記者・客・煙・雰囲気・皆・男に
[とりまくる] 人ガ ものヲ
 ・子どもがカメラに夢中になって、家の中や家族を撮りまくっている。
 ・修道院に入るという知人の女性が、家の中の物を何でも持って行っていいというので、片端から
  取りまくった。我ながら何ともあさましい。
   家の中・写真・風景・村中の人間を
[とりまぜる]  人ガ ものヲ (ものト)
 ・悲しい話、楽しい話、いろいろ取り混ぜた作品集です。
 ・いろいろなお菓子を大小取り混ぜて箱詰めにしました。ご進物にどうぞ。
   大小・和洋・虚実・あることないことを 洋風と和風・平仮名と漢字を
[とりまとめる]  人ガ ものヲ 
 ・あちこちに散らばっていた荷物を取りまとめて、出発の支度をした。
 ・今週中に報告書を取りまとめたいので、委員の皆さんのご協力をお願いします。
 ・この商談、どうにかして取りまとめたいですね。金額が大きいですからね。
   意見・具体策・政策・対策・調査結果・クラス・荷物・品物・食料を
[とりみだす]  人ガ 
 ・警察が来たと言われて取り乱した犯人は、窓から逃げようとして大けがをした。
 ・あの時は突然の事件に取り乱してしまい、今思い出すと恥ずかしい、と彼女は語った。
   心・気を 恐ろしさ・愛児の死に いささか  ~た姿・態度・様子
[とりむすぶ]  人ガ 人ト ものヲ 
 ・我が社は中国の会社と契約を取り結ぶことになった。
 ・赤ん坊のご機嫌を取り結ぶのがなかなか大変でね。なにせ、言葉が通じないからねえ。
   機嫌・契約・条約・取引を
[とりもつ]  人ガ ものヲ 
 ・役所と企業の間をうまく取り持つのが「天下り」の役目だ。それで給料をもらっている。
 ・二人の仲を取り持って、ついに結婚させた私だけれど、本当はその一人が好きだった。
   間・縁・機嫌・男女・仲・取引相手を 
[とりもどす]  人ガ ものヲ (人カラ)
 ・泥棒を追いかけ、取り押さえて、盗まれたかばんを取り戻した。
 ・興奮していた彼も、しばらくすると落ち着きを取り戻した。
 ・「さようなら。」そう言って目を閉じた彼女がふたたび意識を取り戻すことはなかった。
   失った物・安心・威厳・意識・いつもの調子・遅れ・女・活気・気力・記憶・くつろぎ・
   元気・健康・自信・静かな朝・静けさ・自分・正気・鋭さ・命・損・地位・力・縄張り・
   人間らしい生活・平安・平和・勇気・理性・若さを だいぶ やや
[とりやめる]  人ガ ものヲ 
 ・風雨が強くなってきたので、残念ながら、駅伝大会は取りやめることにします。
 ・このたび、私たちの結婚を取りやめることに致しましたので、お知らせ申し上げます。
   帰宅・規制・結婚・集会・手術・上映・発表・旅行を 土壇場になって
[とりよせる]  人ガ ものヲ 
 ・通信販売で外国の本を取り寄せたが、かなり高くついた。
 ・日本各地の名産品を宅配便で取り寄せて、一杯飲む。いい時代だねえ。
   案内書・カタログ・代わり・雑誌・書類・資料・記録を 外国から
[とりわける]
 ・大皿の料理を各自で小皿に取り分けて食べる。
 ・子供たちには母親が肉を取り分けてやった。 
   魚・刺身・自分の分・スープ・肉・料理・同じ分量を 小皿・小鉢に
[とりわすれる] 人ガ ものヲ
 ・朝、新聞を取り忘れ、夕刊と一緒に取った。
 ・卒業に必要な教養科目を取り忘れていて、4年であわてて取った。

<複合動詞:-とる>
[えぐりとる] 人ガ ものヲ
 ・芽の部分には毒がありますから、ていねいにえぐり取ることが大切です。
 ・悲劇の主人公は、自ら目をえぐり取って、二度とこの世界を見ることのないようにした。
[しぼりとる] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・政府は国民から税金を搾れるだけ搾り取ろうとしているかのようだ。
 ・毎日運動をしてぜい肉を搾り取りたいのだけれど、その後のビールがうまくて、、。
   汗・金・税金・相当な金額・血を 絞れるだけ
[すいとる] ものガ ものヲ
 ・掃除機はごみを吸い取る機械です。
 ・彼はどうしたんだ? 魔女に精気を吸い取られたみたいに元気がないな。
      汗・生き血・栄養分・水分・力・精気・熱・光・蜜・物音・知識を たっぷり
[まきとる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・その電気のコードはこのドラムに巻きとってください。(コードを)
 ・残ったテープは別のリールに巻き取っておいた。
      糸・コード・釣り糸・テープ・フィルム・巻き尺・メジャーを
[もぎとる] 人ガ ものヲ
 ・庭の木になった柿の実をもぎ取ってかじってみたが、渋いだけだ。
 ・警備員は強盗のナイフをもぎ取り、腕を取って床に押さえつけた。
 ・ケータイもパソコンもないと、手足をもぎ取られたような感じがする。
   一勝・かばん・果物・受話器・タバコ・短刀・手足・葉・羽・ボタン・桃を 

<スル動詞>
[撮影(さつえい)する]  人ガ 人・ものヲ
 ・子供を撮影するのは、なかなか難しい。 
 ・駅前で映画を撮影しているそうだ。見物に行こう。
    雲・自然・風景・人物・群衆・建物の中・試合・場面・ラストシーンを
 [~の撮影をする]
  ・今日、最後のシーンの撮影をして、仕事は終わりだ。
[収穫(しゅうかく)する]  人ガ ものヲ
 ・米を収穫する季節になった。 
 [~の収穫をする]
  ・麦の収穫をすると、辺りが急に広くなったような気がした。
[録音(ろくおん)する]  人ガ(ものカラ)ものニ ものヲ
 ・ラジオ講座を録音して聞いている。
 ・レコードからテープに録音(を)した。(レコードの音楽をテープに録音した)
 [~の録音をする]
  ・自分の講演の録音をしてみた。つくづく、下手な話し方だ。
    自供 会話 やりとりを            
[録画(ろくが)する]  人ガ ものニ ものヲ
  ・衛星放送のスポーツ中継をDVDに録画する。
 ・夜中にやる映画を録画しようと思ったが、タイマーの合わせ方がわからない。
 ・不審者を調べるため、裏口のあたりを録画するカメラを取り付けた。
     子どもの様子 セミの脱皮 浮気の現場を 

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