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◇動き 2
 [5] 動く

     動く   動き出す 動き回る  作動する 
       動かす  振り動かす 
       うねる

[6] 揺れる・揺らす・揺する

     揺れる  揺れ動く
       揺らす 揺する 揺らぐ 揺さぶる 揺るがす  揺り動かす 揺り起こす  
       震える 震わせる

 [7] 振る・振れる

     振る  振り仰ぐ 振り上げる 振り当てる 振り動かす 振り起こす 振り落とす 
            振り下ろす 振り替える 振り返る 降りかかる 振りかける 振りかざす
            振りかぶる 振り切る 降り込む 振り絞る 振り捨てる 振り出す
            振り立てる 振り付ける 振り飛ばす 振り放す 振り払う 振りほどく
            振りまく 振り回す 振り乱す 振り向く 振り向ける 振り分ける
       振れる  振動する

 [8] 回る・回す

     回る  回り込む  一周する 回転する 自転する 転回する 宙返りする 
       回す  回覧する

 [9] 転がる・転ぶ

    転がる  転がり落ちる 転がり込む 転がり出る   転げ落ちる 転げ回る 
       転がす
       転ぶ
       つまずく

[10] 倒れる・倒す

      倒れる  倒れかかる 倒れかける 倒れ込む  ぶっ倒れる
       倒す  打ち倒す 押し倒す 蹴倒す 突き倒す なぎ倒す 殴り倒す 投げ倒す 
           張り倒す 引き倒す 吹き倒す 寄り倒す 

[11] 滑る

      滑る      滑り落ちる 滑り降りる 滑り込む 滑り出す 滑り出る  
           スリップする  すべすべする つるつるする ぬるぬるする

[12] はずむ・跳ねる・跳ぶ

       はずむ  
       跳ねる    跳ね上がる 跳ね上げる 跳ね起きる 跳ね返す 跳ね返る 跳ねかかる
           はねつける 跳ね飛ばす はねのける 跳ね回る  
       跳ぶ      跳びあがる 跳びかかる 跳びこえる 跳び越す 跳び込む

 

[5]動く
  ものの動きを表す、最も基本的な動詞。ものの位置が移ることと、そのものが働くことの二つの意
味を持つ。

◇うごく
 「動く」は、止まった状態から他の位置に移ること。機械などがその働きをすること。
   人・ものガ動く
        動かないでください  心臓・電車・機械が 動く
・複合動詞
 「動き出す」は、とまっていたものが動き始めること。
 「動き回る」は、あちこちに動くこと。
・スル動詞
 「作動する」は、機械(の部分)が予定されたとおり働くこと。
◇うごかす
  「動かす」は、「動く」に対応する他動詞で、ものの位置を移すこと。機械などを働かせること。
      人ガ ものヲ うごかす
    机の位置を少し動かした  車を動かす  会議の日を動かす
・複合動詞
 「振り動かす」は、振るように動かすこと。
◇うねる
 「うねる」は、川や道が左右に大きく曲がりながら続いていること。また、波の表面が上下に大き
く揺れ動くこと。
      ものガ うねる
    川がうねる  祭りの列がうねりながら進む


うごく(動く) 五(うごかない・うごきます・うごいて・うごけば・うごこう) 
[1]〔人・ものガ (所カラ 所ニ/へ)〕
 △うごきそうだ  うごいてほしい  うごいてはいけない  うごいたほうがいい
  うごこうとする  うごかれる  うごけ!  うごくな!  うごけない
 △[少し/大きく/ゆらゆらと/ふらふら/がたがた/ぐらぐら]~。
 △[木の葉(は)/枝(えだ)/からだ/手/筋肉(きんにく)/目/頭(あたま)]が~。
  [モーター/機械(きかい)/警察(けいさつ)/政府(せいふ)/世のなか]が~。
  [バス/電車/地下鉄(ちかてつ)/交通機関(こうつうきかん)]が~。
  「心(こころ)/気持(きも)ち/決心(けっしん)/表情(ひょうじょう)]が~。
 ・あ、写真(しゃしん)をとるから動かないで。
 ・手がつめたくて、指(ゆび)がうまく動かない。
 ・このむしは足が動いているから、生きているらしい。
 ・強い風がふいて、木の枝が大きく動いている。
 ・池の水面がはげしく動いたかと思うと、大きな魚がとびあがった。
 ・動いている機械(きかい)にさわってはいけない。
 ・道がこんでいるので、車がほとんど動かない。
 ・事故(じこ)でとまっていた電車がおひるごろから動き出した。
 ・調子よく動いていたエンジンが急に止まってしまった。どうしたんだろう。
 ・このしごとのためには、あなたにぜひ動いて(=はたらいて)もらいたい。
 ・この事件(じけん)を解決(かいけつ)するために、日本の警察(けいさつ)だけでなく、P国の大
  使館(たいしかん)も動き始めたらしい。
 ・準備(じゅんび)にだいぶ時間がかかったが、やっと計画(けいかく)がじっさいに動き出した。
 ・世の中はどんどん動いている。うっかりしていると、世の中においていかれてしまう。
 ・友だちが紹介してくれたしごとは給料(きゅうりょう)が高いので、かなり心が動いた。
  しかし、わたしは資格(しかく)がないので、だめだと分かった。
 ・わたしたちは、この時計の正確(せいかく)さには動かぬ自信(じしん)を持っています。
 ・会社は、出発して3年のうちに動かぬ基礎(きそ)を築(きず)き上げることができた。
 ・今気づいたんだが、つくえがほんの少しかべの方に動いている。誰が動かしたのだろう。
 ・ゴールキーパーが右に動いたので、左の隅(すみ)をねらってシュートした。
 ・いいですか。この場所から動かないで待っていてくださいね。
 ・わたしは来月、大阪支社へ動くことになりました。
 ・小山さんは、しょうらいはよその会社へ動くつもりらしい。
[2]〔人ガ 所ヲ〕
 ・わたしがきっぷを買って来るまで、ここを動かないでください。
 ・そこを動くな。
 ・すぐにむかえに行きますから、今いる所を動かないでください。
 ・今いるポジションを動きたくはないのですが、会社の命令ですから、しかたありません。

<複合動詞:うごき->
[うごきだす] ものガ
 ・ごとん、と音を立てて列車が動き出した。
 ・静かに草を食べていたシマウマの群がいっせいに動き出した。
   行列・人だかり・人々・世の中が いっせいに おもむろに ひとりでに 不意に
[うごきまわる] 人ガ
 ・あなたは病人なんだから、動き回らないで、寝ていなさい。
 ・母は働き者で、朝から夜まで一日じゅう動き回っている。
 ・忙しく動き回っている時は忘れているのだが、夜一人になると、死んだ母のことを思い出す。
      部屋の中・外・広場を 勝手・自由・身軽に 精力的に 我が物顔に 忙しく
<スル動詞>
[作動(さどう)する]  ものガ
 ・朝になって器械が作動(を)し始め、計器に明かりがついた。
 ・スイッチを入れてもシステムが作動(を)せず、皆があわてた。
   モーター・エンジン・エアコン・コンピュータが


うごかす(動かす) 五(うごかさない・うごかして)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △うごかしたい  うごかしてみる  うごかしてもらう  うごかしてはいけない
  うごかしたほうがいい  うごかさないといけない  うごかさせる  うごかされる
  うごかそうとする  うごかせ!  うごかすな!  うごかせない
 △手を[はげしく/ゆっくり/しずかに/左右に/上下に]~。
 △[手/いす/人/心/気持ち]を~。
 ・写真(しゃしん)をとりますから、体を動かさないでください。
 ・机の上の物をかってに動かさないようにしてください。
 ・ちょっとタンスを動かしたいので、てつだってください。
 ・鳥がはねをはげしく動かしている。
 ・この人形は今つくったばかりです。しばらく動かさないでください。
 ・むかしから歴史(れきし)を動かして来たのは、ふつうの人々だ。
 ・健康のためになるべく体を動かした(うんどうをした)ほうがいい。
 ・この機械(きかい)を動かす(=はたらかせる)ためには、とても大きな電力がいります。
 ・私は車の免許(めんきょ)を持っていないが、動かしかたは知っている。
 ・市会議員(しかいぎいん)を動かして、学校のやっていることに干渉(かんしょう)する親がいる。
 ・あの人のりっぱな行動(こうどう)には、とても心を動かされました。
 ・わたしがいくらあやまっても、ゆみ子はつめたい表情(ひょうじょう)を動かさなかった。
 ・その男は、こんなおそろしい事を眉(まゆ)ひとつ動かさずに(=ひょうじょうをかえずに)言った。
[2]〔人ガ ものヲ (所・時カラ) 所・時ヘ〕
 ・ここは人が通りますから、そのイスをあちらへ動かしてください。
 ・じゃまですから、車をそこから動かしてください。
 ・その花びんをもう少し右へ動かしたほうがいい。          
 ・A:木よう日に会議(かいぎ)がありますね。
   B:ええ、そういう予定(よてい)になっています。
   A:その日はお客さんに呼ばれているので、(会議を)ほかの日に動かしてくれませんか。

<複合動詞:-うごかす>
[ふりうごかす] 人・ものガ ものヲ
 ・細長い虫が頭を振り動かしながら細い枝の上を歩いている。
 ・指揮者が大きく腕を振り動かして、曲想を表現している。


うねる  五(うねらない・うねります・うねって・うねれば)
[1]〔ものガ〕
 △うねりそうだ  うねりだす  うねってきた  うねりつづける  うねらせる
 △[うねうねと/くねくねと/へびのように/なみのように]~。
  △[道/人の列(れつ)/大波(おおなみ)/ヘビ/水面(すいめん)]が~。
 ・ヘビがくねくねとうねりながら前進(ぜんしん)している。
  ・空から見ると、道がうねうねとうねっていて、車で走るのは大変(たいへん)そうだ。
 ・デモの人の列がどこまでも大きくうねりながら続いていた。
 ・ゆるやかにうねる丘(おか)がどこまでも連(つら)なっている田園風景(でんえんふうけい)だ。
  ・台風(たいふう)が近づいてきて、海面(かいめん)が大きくうねっている。
 △[大きく/ゆるやかに/たえまなく/はてしなく/くりかえし]~。
  △[川/道/人の流れ/列(れつ)/海/海の面(おもて)/水面/波(なみ)]が~。
 ・川は大きくゆったりとうねりながら、広い大地(だいち)を流れていく。
 ・新しいデパートの開店前、店の前は人の列が大きくうねって続いていた。
  ・台風が近づいてきて、海面(かいめん)が大きくうねっている。
 ・ゆるやかにうねる丘(おか)がどこまでも連(つら)なっている田園風景(でんえんふうけい)だ。
 ・大蛇(だいじゃ)が体をうねらせている。 

[6] 揺れる・揺らす・揺する
 ものの揺れを表す動詞を見る。似た形で、微妙に違う動詞が多い。ひゆ的に、精神的・社会的なこ
とに使われることも多い。

◇ゆれる
 「揺れる」は、ものが不安定な状態で、前後左右などにくり返し動くこと。抽象的なものをガ格に
とる用法もある。
      ものガ ゆれる
    電車・つり橋・建物が 揺れている   心・国が 揺れる
◇ゆらぐ
 「揺らぐ」は、抽象的なものについて使われることが多い。「揺るぐ」という形もある。
   ものガ ゆらぐ/ゆるぐ
    決心・自信・信頼・理性が 揺らぐ   制度・システム・政府・体制が 揺らぐ
    揺るがぬ自信 
・複合動詞「揺れ動く」は、揺れて動くこと。
◇ゆらす・ゆする・ゆさぶる
 「揺れる・揺らぐ」に対応する他動詞「揺らす・揺する・揺さぶる」は、何かが揺れるようにする
ことで、基本的な意味は同じ。
   人ガ ものヲ ゆらす・ゆする・ゆさぶる
 「揺らす」は、ものを前後左右などにくり返し動かすこと。
 「揺する」は、ものを前後左右などにくり返し動かすことことで、「揺らす」と重なる部分が大き
いが、「揺らす」よりも動きが細かく、速いという印象がある。「強請る」と書くと、人を脅して金
を取る意味だが、かなで書くことも多い。
    ゆりかご・ブランコを揺らす
    木の枝を揺する   人をゆすって金を取る
 「揺さぶる」は、「揺らす」「揺する」より激しい動きで、抽象的な対象をヲ格にとる用法がある。
ガ格にも抽象的な名詞が来ることがある。「揺すぶる」という形もある。
    オレンジの実を幹を揺さぶって落とす  心・社会・世界を 揺さぶる事件
 「揺るがす」は、「揺るぐ」に対応する他動詞で、物事の根底から全体を強く揺らすこと。
       世界を揺るがす大事件
・複合動詞「揺り動かす」「揺り起こす」の「揺り-」は、「揺る」という古い動詞の形から作られ
ている。「揺り動かす」は、何かを揺すって動かすこと。「揺り起こす」は、眠っている人を、体を
揺すって目覚めさせること。
◇ふるえる
  「震える」は、細かく揺れ動くこと。特に、人の体が病気や精神的な理由によりそうなること。
   人・ものガ ふるえる
        寒さで体が震える  風で電線が震えている
◇ふるわせる
 「震わせる」は、細かく揺れ動くようにすること。
   人ガ ものヲ ふるわせる
        凍えて体を震わせる    声を震わせる     

ゆれる(揺れる)一(ゆれない・ゆれます・ゆれて・ゆれれば) 
[1]〔ものガ〕
 △ゆれだす  ゆれつづける  ゆれているようだ  ゆれないようにする 
 △[グラッと/ぐらぐらと/はげしく/大きく/強く/小さく/かすかに/ぶらぶら]~。
  [また/ふたたび/なんども/くりかえし/つづけて/うねるように]~。
  [前後(ぜんご)/左右(さゆう)/上下(じょうげ)/小刻(こきざみ)み]に~。
 △[電車/船(ふね)/バス/飛行機(ひこうき)/機体(きたい)/枝(えだ)/心]が~。
 ・電車が揺れますので、手すり、つりかわなどにしっかりおつかまりください。
 ・地震(じしん)で家がはげしく揺れ、家具(かぐ)が倒(たお)れた。
 ・台風(たいふう)が来ているので、きょうは、船(ふね)がとても揺れた。
 ・悪天候(あくてんこう)のため、機体が大きく揺れ、怖(こわ)くてたまらなかった。
 ・木のえだが大きく揺れている。外は風が強いらしい。
 ・心が揺れて、決心(けっしん)がつかない。
 ・社長交代(こうたい)をめぐって、社内が大いに揺れた。

<複合動詞:ゆれ->
[ゆれうごく] ものガ
 ・風にふかれて、にわの木が揺れ動いている。
 ・そのころ、彼女と結婚(けっこん)しようか、やめようかと、私の心は揺れ動いていた。
      家・船・梢・空気・人波・考え・心が かすかに ぐらぐらと 激しく


ゆらす(揺らす)五(ゆらさない・ゆらします・ゆらして・ゆらせば・ゆらそう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ゆらしてはいけない  ゆらしてやる  ゆらさないでください  ゆらされる  ゆらすな!
 △[ぐらぐら/はげしく/大きく/ちいさく/かすかに]~。
  [なんども/くりかえし/また/ふたたび]~。
 △[ボート/ハンモック/ブランコ/手/えだ/ゆりかご/赤ちゃん]を~。
 ・木を揺らしたら、うまいぐあいに柿(かき)の実(み)がおちてきた。
 ・あぶないからボートをそんなに揺らさないでください。
 ・波が優(やさ)しく船を揺らしている。いい気持ちでデッキに寝そべっていたら、大波(おおなみ)
  が来て、大きく揺らされ、船から落ちそうになった。


ゆする(揺する) 五(ゆすらない・ゆすります・ゆすって・ゆすれば・ゆすろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ゆすってはいけない  ゆすってみる  ゆすってやろう  ゆするな! 
 △[少し/大きく/つよく/はげしく/こきざみに/なんかいも]~。
  [ぐらぐら/ちいさく/かすかに]~。[なんども/くりかえし/また/ふたたび]~。
 △[木/枝(えだ)/体/箱(はこ)/テーブル]を~。
 ・そばの人が体を小きざみに揺すっている。イライラしているようだ。
 ・木のえだにボールがひっかかった。木を揺すっておとそう。
 ・箱(はこ)がいっぱいになったら少し揺すってみてください。すきまができて、もっと入れられる
  はずです。
 ・子どもがよくねむっていて、いくら揺すってもおきない。
 ・つりばしを揺すってあそんではいけません。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[なんども/しつこく/くりかえし]~。
 △[人/会社/組織(そしき)/政治家/社長]を~。
 ・悪い男に会社の秘密(ひみつ)を知られてしまった。私か会社をゆすりに来るかもしれない。
 ・むかしの悪い友だちにゆすられてこまっている。
 ・昔の手紙をネタに、金をゆすられた。


ゆらぐ(揺らぐ) 五(ゆらがない・ゆらぎます・ゆらいで・ゆらげば) 
[1]〔ものガ〕
 △ゆらぎそうだ  ゆらぎはじめる  ゆらがないようにする  ゆらぎつつある
 △[わずかに/かすかに/大きく/かなり/ぐらりと]ゆらいだようだ
 △[心/気持ち/決心(けっしん)/基礎(きそ)/基盤(きばん)]が~。
 ・強い風で木が大きく揺らいでいる。
 ・おいしそうなケーキを見ると、ダイエットの決心が揺らぐなあ。
 ・離婚(りこん)することに決めたのだが、あの人にやさしいことを言われると心が揺らぐ。
 ・これぐらいの損失(そんしつ)で、この会社の基礎(きそ)が揺らぐようなことはない。


ゆさぶる(揺さぶる)  五(ゆさぶらない・ゆさぶります・ゆさぶって・ゆさぶれば・ゆさぶろう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △ゆさぶりたい  ゆさぶってみる  ゆさぶってはいけない  ゆさぶらせる  ゆさぶられる
  ゆさぶろうとする  ゆさぶれ!  ゆさぶるな!
 △[大きく/強く/激しく/根底(こんてい)から/根本(こんぽん)から]~。
  △[体/頭/肩(かた)/心/木/枝(えだ)/いす/棚(たな)/政権(せいけん)/国]を~。
  ・起こしてやろうと思って肩を揺さぶったが、まるで目を覚まさない。
 ・枝を大きく揺さぶると、柿(かき)の実(み)が落ちてきた。
 ・その本を読んで、自分の存在(そんざい)を根底から揺さぶられるような気がした。
  ・魂(たましい)を揺さぶる感動(かんどう)巨編(きょへん)!本日(ほんじつ)堂々(どうどう)公開!
      
        
ゆるがす(揺るがす) 五(ゆるがさない・ゆるがします・ゆるがして・ゆるがせば・ゆるがそう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △ゆるがしたい  ゆるがしてはいけない  ゆるがされる  ゆるがそうとする
  ゆるがせ!  ゆるがすな!
 △[大きく/根本(こんぽん)から/激(はげ)しく/がたがたと]~。
  △[基礎(きそ)/基盤(きばん)/根幹(こんかん)/政権(せいけん)/国/世界/平和]を~。
  [自信(じしん)/自尊心(じそんしん)/信頼(しんらい)/信仰(しんこう)]を~。
 ・爆発(ばくはつ)の衝撃(しょうげき)は、1キロ離れた建物を揺るがすほどの大きさだった。
 ・観客(かんきゃく)の爆笑(ばくしょう)は場内(じょうない)を揺るがすほどだった。
  ・今回の汚職(おしょく)は、政界を揺るがす大事件となった。
 ・彼らの提案(ていあん)は、制度(せいど)の根幹を揺るがすような改正案だ。
 ・一部の議員(ぎいん)の言動(げんどう)によって、我が党への信頼が揺るがされてしまった。
 ・独走(どくそう)のつもりだったが、最後のゴール近くで追いつかれ、自信を揺るがされた。
  
<複合動詞>  (「揺る」という動詞から作られる)
[ゆりうごかす] 人ガ ものヲ
 ・頭や体を揺り動かしても、ぜんぜん起きない。うちの息子は毎日遅刻だ。
 ・世界を揺り動かすような革命の時代がやってきた。
 ・彼女の演奏を聴くと、魂が大きく揺り動かされるようだ。
   頭・体・足・夫・木の枝・木の葉・旗・容器・大地・社会・体制・世界・秩序・魂を
[ゆりおこす] 人ガ 人ヲ
 ・「朝ごはんだよー」とベッドの妻を揺り起こした。日曜の朝の私のつとめだ。
 ・電車で眠ってしまい、終点の駅で揺り起こされた。
   兄・夫・仲間・母・老人を 昼寝から~される


ふるえる(震える) 一(ふるえない・ふるえます・ふるえて・ふるえれば)
[1]〔人・ものガ (ものニ)(ものガ)〕
 △ふるえそうだ  ふるえはじめる  ふるえないようにする  ふるえさせる  
 △[かすかに/こまかく/小さく/大きく/がくがく/がたがた/ぶるぶる/わなわな]~。
  △[体/全身(ぜんしん)/足/ひざ/手/唇(くちびる)/声/ことば/心]が~。
  [寒さ/恐(おそ)れ/恐ろしさ/恐怖(きょうふ)/恥ずかしさ/興奮(こうふん)]に/で~。
 ・私は恐怖に足が震え、立っていられなかった
  ・山の頂上(ちょうじょう)では、寒さでひざが震えてしまった。
 ・怒(いか)りに震えた彼女の声も、権力者(けんりょくしゃ)の耳にはとどかなかった。
 ・ジェット機の爆音(ばくおん)で窓ガラスが震え、先生の声が聞こえなかった。
 ・助けられて水から上がった時、紫色(むらさきいろ)の唇は震え、歯ががちがちと鳴っていた。
 ・高熱のため、体ががたがたと震えていた。


ふるわせる(震わせる)  一(ふるわせない・ふるわせます・ふるわせて・ふるわせれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ふるわせがちだ  ふるわせてしまう  ふるわせないほうがいい  ふるわせるな!
 △[かすかに/こまかく/小さく/大きく/ぶるぶると/がくがくと]~。
  △[体/肩(かた)/声/のど/唇(くちびる)/窓(まど)ガラス/空気]を~。
  ・そこにいたみんなが大きく体を震わせながら、大声で笑った。
 ・子どもは、泣きそうになりながら、声を震わせてこう言った。
 ・負けたチームの選手(せんしゅ)たちは肩を震わせて泣きじゃくっていた。
 ・爆弾(ばくだん)の音が窓ガラスをびりびりと震わせ、我々を恐怖(きょうふ)におとしいれた。
 ・耳に突(つ)き刺(さ)さるようなサイレンの音が夜の空気を震わせながら遠ざかっていった。

[7] 振る・振れる
  ものが細かく往復運動をすることを表す動詞。

◇ふる
 「振る」は、ものを上下、左右などに早く動かすこと。また、それを繰り返すこと。
   人ガ ものヲ ふる
    手・旗を 振る   頭を縦に振る  犬がしっぽを振る
 「ものニ」が加わる文型では、少し別の意味になる。
   人ガ ものニ ものヲ ふる
 ものを、下にあるものに、早く動かして落とすこと。
    肉に塩をふる   さいころを振る
  また、ものに割り当てること。
    俳優に役を振る   漢字に読みがなを振る
 「落とす」ことから、ひゆ的に、何かを捨ててしまう、むだにすることを表す。
    恋人を振る  地位を振る  大臣の椅子を振る  人生を棒に振る(むだにする)
・複合動詞が非常に多い。「振り-」に元の意味が生きているもの、「振る」の元の意味から離れた
もの、両方の用法があるものにわけられる。まず、元の意味を保持しているものをあげる。
 「振り上げる」は、手や手に持ったものを勢いよくあげること。
 「振りかざす」は、頭の上にかざすように振り上げること。
 「振りかぶる」は、頭の上に勢いよく振り上げること。
    旗を振り上げる  小旗を振りかざす  刀を振りかぶる  
  「振り立てる」は、相手によく見えるように立てて、勢いよく振ること。
 「振り下ろす」は、振るようにおろすこと。
     牛が角を振り立てる    ハンマーを振り下ろす
 「振り切る」は、(離れないようについているものを)振って放すこと。ひゆ的に、精神的なもの
  を思い切って捨ててしまうこと。
  「振り落とす」は、振って落とすこと。
    男の手を振り切る  誘いを振り切る  馬が人を振り落とす 
 「振り放す」は、(離れないようについているものを)振って放すこと。
 「振りほどく」は、振ってほどくこと、放させること。
    警官の手を振り放す    ロープを振りほどく
 「振り払う」は、振って離れさせる。ひゆ的に精神的なことにも使う。
 「振り飛ばす」は、振って飛ばすこと。
    手の水滴を振り払う  眠気を振り払う  大男に振り飛ばされる
 「振り動かす」は、振るように動かすこと。
 「振り回す」は、勢いよく振って丸く動かす。ひゆ的に、思うように人を動かす、何かをむやみに
  使う、自慢そうに見せつける、ことを表す。
 「振り乱す」は、激しく降り動かして、乱すこと。
    棒を振り回す  彼女に振り回される  権力を振り回す  髪を振り乱す
 「振りかける」は、細かいものを振って何かの上にかけること。
 「振り出す」は、振って出すこと。また、振り始めること。
 「振りまく」は、振るように広くまくこと。ひゆ的に、何かを広めること、相手に気持ちのよいも
  のをたくさん与えること。
    料理に塩を振りかける  穴から砂を振り出す  うわさ・笑顔を振りまく  
 「振り当てる」は、人それぞれに合ったものを割り当てること。
 「振り向ける」は、別の目的のためにまわすこと。
 「振り分ける」は、それぞれのために一部を分けること。
    適当な役を振り当てる  予算を福祉に振り向ける  仕事を各チームに振り分ける
・以下は、「振る」の具体的な意味が薄れていて、後ろの動詞に何か別の意味合いを付け加えるもの。
 「振り仰ぐ」「振り返る」「振り向く」「振り向ける」では、体を動かして、ぐらいの意味を後ろの
  動詞に加える。
    太陽を振り仰ぐ  後ろを振り返る/振り向く  頭を振り向ける
 「振り起こす」「振り絞る」「振り捨てる」では、思い切りがんばって、という意味を付け加える。
    やる気を振り起こす  全力を振り絞る  何もかも振り捨てる
 「振り替える」「振り込む」では、何かを動かして、という意味合いを加え、全体でまったく別の
  意味の動詞になる。「振り付ける」も、二つの要素が合わさって別の意味の動詞になっている。
    休日を振り替える  口座に金を振り込む  ダンスを振り付ける 
・スル動詞「振動する」は、繰り返し左右または上下に細かく、速くことを表す。 
◇ふれる
  「振れる」は、ものが左右に動いている状態で、「揺れる」に近い。
   ものガ ふれる 
       メータの針が左右に振れる  針が大きく右に振れた


ふる(振る)五(ふらない・ふります・ふって・ふれば・ふろう)    
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ふりはじめる  しおをふっておく  ふってある  ふってみる  ふってしまう
  ふってはいけない  ふったほうがいい  ふってもらう  大きくふれ!
 △[小さく/こまかく/大きく/すばやく/こきざみに/何度も/くりかえし]~。
  [イヌがしっぽをぱたぱた/バットをびゅんびゅん/ハンカチをひらひら]~。
 △[手/旗(はた)/棒(ぼう)/バット/びん]を~。[頭/首(くび)/尾(お)/しっぽ]を~。
 ・汽車(きしゃ)のまどから手を振っている。
 ・ドレッシングのビンに「よく振ってからお召し上がりください」と書いてある。
 ・首を縦(たて)に振ったらイエス、横(よこ)に振ったらノーという意味です。それから、この場合
  の「首」は、「頭」の意味ですね。わかりにくい言い方かもしれません。
 ・来年カラヤンが中国で「(ベートーベンの)第九(だいく)」を振る(=指揮(しき)する)そうだ。
 ・大手(おおで)を振って歩ける。
 △[恋人(こいびと)/男/女/客]を~。
  [地位(ちい)/権力(けんりょく)/首相(しゅしょう)の座(ざ)]を棒(ぼう)に~。
 ・男に振られたぐらいのことで泣くのはよしなさい。
 ・小さな失敗(しっぱい)のために課長(かちょう)のイスを棒に振ってしまった。
[2]〔人ガ 人・ものニ ものヲ〕
 △[ラーメンにコショウを/日本そばに七味(しちみ)を/魚に粉(こな)を]~。
  [人に役(やく)を/名前に番号(ばんごう)を/漢字にかな]を~。
 ・料理(りょうり)に塩(しお)を振ってください。
 ・肉にこしょうを振りすぎたら、子どもたちはからくておいしくないといって食べない。
 ・良い役を振ってもらうために、いっしょうけんめい練習した。
 ・リストには番号(ばんごう)を振っておいたほうがいいでしょう。
 ・むずかしい漢字(かんじ)には、読みがなを振ります。

<複合動詞:ふり->
[ふりあおぐ] 人ガ ものヲ
 ・上空を振り仰ぐと、はるか高いところにジェット機が小さく見えた。
 ・かなり下ってから後ろを振り仰ぐと、夕日に照らされた山の頂上が美しかった。
   上・枝の先・顔・ジェット機・城壁・空・太陽・山・夜空を  
[ふりあげる] 人ガ ものヲ 
 ・頭の上にいきおいよく棒を振りあげた。
 ・「こら!」祖父は、振り上げたこぶしを、子供の頭に振り下ろすまねをして、笑った。
  足・椅子・腕・斧・刀・鎌・クラブ・鍬・杖・ナイフ・ラケット・刃物を
[ふりあてる] 人ニ ものヲ
 ・実力のある人に難しい役を振りあてよう。
 ・それぞれの能力に合わせて仕事を振り当てたつもりだったが、計算違いもあったようだ。
   役・役目・役割・宿舎を
[ふりうごかす] 人・ものガ ものヲ
 ・細長い虫が頭を振り動かしながら細い枝の上を歩いている。
 ・指揮者が大きく腕を振り動かして、曲想を表現している。
   脚・頭・腕・首・触手・手首・袂・両腕・両手を 左右に 思い切り
[ふりおこす] 人ガ ものヲ 
 ・勇気を振りおこしてふたたび相手に立ち向かった。
 ・ここで気力を振り起こして、がんばらないといけない。
[ふりおとす] 人・ものガ ものヲ 
 ・初めて乗った馬から振りおとされた。
 ・帽子に積もった雪を振り落として、またかぶりなおした。
   灰・殻・髪・淡雪・問題・意識・苦しさを 邪険に 手荒く 
[ふりおろす] 人ガ ものヲ 
 ・思いハンマーを振り下ろして、木の棒を地面に打ち込んでいく。
 ・刀を振りおろしたが、相手の刀に受け止められた。
   刀・クラブ・拳・つるはし・ハンマー・鞭・両腕を 幾度となく
[ふりかえる]
 ・大きな音にびっくりして後ろを振り返った。
 ・子供のころを振り返ってみると、実にいい時代だったと思う。
[ふりかえる] 人ガ ものヲ      (「振り返る」「振り替える」は活用の型が違う。)
 ・休日を振り替えて、月曜に休むことにする。
 ・君の役は彼に振り替えよう。君はこっちをやってくれ。
   資金・預金・休日・授業・コンサートを一週間後に 
[ふりかかる]   
 ・運の悪い主人公に様々な災難が振りかかるが、何とか切り抜けていく。
[ふりかける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・油っこい料理のあとで、ごはんにごま塩を振りかけて食べると、実にうまい。
 ・この店のたっぷりコショウを振りかけたステーキは絶品だよ。
   塩・砂糖・胡椒・脂・香水・灰・水・オーデコロンを たっぷり
[ふりかざす] 人ガ ものヲ 
 ・その武士は、刀を振りかざして敵陣におどり込んだ。
 ・独裁者は権力を振りかざして国民を支配した。
   刀・小旗・権力・特権・学歴・民主主義・理屈を 高々と てんでに
[ふりかぶる] 人ガ ものヲ 
 ・刀を大きく振りかぶって切りかかった。
 ・ピッチャー、振りかぶって、第一球、投げました。
   刀・鍬・剣を 大上段に さっと  モーションを? 
[ふりきる] 人ガ ものヲ/文ヲ 
 ・引き止めようとする彼の手を振りきって、タクシーに乗り込んだ。
 ・40キロ地点まで並走していたライバルの選手を振りきって、ゴールに飛び込んだ。
 ・彼女は皆が止めるのを振り切って、会社を辞めて落語家の道に進んだ。
   腕を 思い・不安・思い出・制止・誘い・追っ手・白バイ・追跡・過去を
[ふりこむ] 人ガ ものヲ 
 ・工事代金を銀行で振り込んだ。
 ・息子だと言って、親に大金を振り込ませてだまし取る詐欺が続いている。
   家賃・生活費・出演料を 銀行の口座に 塩を 役満を 
[ふりしぼる] 人ガ ものヲ 
 ・声を振りしぼって助けを呼んだ。
 ・最後の力をふりしぼって相手を倒そうとした。
   力・全力・気力・知恵・勇気・声を 
[ふりすてる] 人ガ ものヲ 
 ・恋人も、過去も振りすてて、新しく生きようと思った。
 ・これまでのすべてを振り捨てて、自分の持てる能力だけで道を切り開いてみたい。
   荷物・家族・男・望み・行きがかりを 何もかも
[ふりだす] 人ガ ものヲ 
 ・振りだした手形が不渡りとなり、会社は倒産した。
[ふりだす] 人ガ ものヲ 
 ・この容器は、この穴から粉を振り出すようになっているんですけど。
 ・手品師はポケットからハンカチを出して振り出した。
 ・振りだした手形が不渡りとなり、会社は倒産した。
[ふりたてる] ものガ ものヲ 
 ・牛が角を振りたてて、闘牛士に向かっていった。  
 ・二匹のカニがはさみを振り立てて戦っている。
[ふりつける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・ダンスの先生に振り付けてもらったダンスを踊ってみます。
 ・それぞれの生徒の能力に合うように振り付けるのは、なかなか苦労する。
[ふりとばす] 人ガ ものヲ
 ・バトンを勢いよく振ったら、観客席に振り飛ばしてしまった。
 ・大きな相手に組み付いたが、あっさりと振り飛ばされた。
[ふりはなす] 人ガ ものヲ
 ・少年は警官の手を振り放して逃げた。
 ・二位以下を大きく振り放し、独走態勢でゴールした。
   腕・女・肩・手を  

[ふりはらう] 人ガ ものヲ 
 ・引き止めようとする夫の手を振り払って、由美子は家を出て行った。
 ・襲ってくる眠気を振り払うため、窓を大きく開けて冷気を部屋に入れた。
   髪・水滴・縄・差し出された手を 思い・圧力・重い気分・影・疑問・幻影・眠気・
   幻・うっとうしさ・不安な気持ち・弱気を  あらっぽく 
[ふりほどく] 人ガ ものヲ 
 ・彼女はつかみかかってくる男の手を振りほどいて大声を上げた。
 ・少年は体を縛っていた縄を振りほどき、鍵を壊して小屋から逃げ出した。
   腕・体・手・身・指を 邪険に がむしゃらに
[ふりまく] 人ガ ものヲ 
 ・まったく、いい加減なうわさを振りまいているのは誰だ!  
 ・彼は観客に笑顔を振りまいて番組を収録したあと、楽屋で暗い顔で鏡を見つめていた。
   塩・花・香り・しぶき・笑顔・愛嬌・愛想・笑いを
[ふりまわす] 人ガ ものヲ 
 ・ちょっと、そこの男の子、かさを振りまわしたら危ないよ。
 ・小人物が権力を持つと、やたら振り回したがるから困る。
 ・他人の言葉に振り回されてはいけない。自分の考えをしっかり持ちなさい。
   刀・鞄・ナイフ・棒・手足を 肩書・権力・正義感・特権・学識を 女の子を
   左右に むちゃくちゃに 思いきり  ~れる 相手・金・女・子供・嘘・流行に
[ふりみだす] 人ガ ものヲ 
 ・女は髪を振りみだして家から飛び出した。
 ・彼女は子供たちのために髪を振り乱して働いた。
   髪・黒髪・白髪・たてがみを 髪を~て走る・働く
[ふりむく] 人ガ 所ヲ 
 ・絵の中の少女は、斜め後ろを振り向き、ちょっと驚いたような表情をしている。
 ・彼女、ぼくの方を振りむいてくれないかなあ。
   後ろ・後方・ドア・背後・窓・声のした方を 一斉に 反射的に ぱっと
[ふりむける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・馬は、音のした方へ顔を振り向けた。
 ・ダム建設中止で余った資金を教育予算に振り向けてほしい。
 ・あなたねえ、遊びに使うエネルギーを少しは仕事に振り向けたらどう?
   顔・体・力・スタッフを 蓄えを雇用維持に 予算を福祉に 労力を他に
[ふりわける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・仕事の一部を各支店に振り分けてやってもらうことにした。
 ・我が社の持つ人材を適所に振り分け、効率よく事業を進めていきたい。
   仕事・商品・高級品を 適所に 等級ごとに 荷物を肩に


ふれる(振れる)  一(ふれない・ふれます・ふれて・ふれれば)
[1]〔ものガ〕
 △ふれだす  ふれつづける  ふれないようにする  ふれさせる  
 △[小さく/大きく/小刻(こきざ)みに/ぐんと/ぐいっと/ふらふら]~。
  △[振り子(ふりこ)/針(はり)/指(ゆび)の先/マスト/木の小枝(こえだ)]が~。
  ・女の子の乗ったブランコが大きく振れている。
 ・スイッチを入れると、電流計(でんりゅうけい)の針が左右にふれた
 ・さっきからメーターの針が小刻みに振れている。  

<スル動詞>
[振動(しんどう)する]  ものガ
 ・建物が振動している。何だろう。 
 ・容器を振動させて、中身をよく混ぜる。

[8] 回る・回す

◇まわる
 「回る」は、ものが円を描くように動くこと。円の中心がものの中にある場合と、ものの外にあっ
て全体が移動する場合がある。
   人・ものガ まわる
    コマが回る    扇風機(の羽根)が回る 
    地球が回る(それ自体が)    エンジンが回る
   人・ものガ 所ヲ まわる
    地球が太陽のまわりを回る  
 人がいくつかの所を順々に訪れること。          
   人ガ 所ヲ まわる
    取引先を回る    関東地方を回る
 それぞれの所に行く、順番で行く。
   人・ものガ 所ニ/へ まわる
    (玄関から)裏へ回る   家々にポスターの配布に回る
    酔いが全身に回る     意見を変えて反対派に回る
・複合動詞「回り込む」は、あるもののまわりを回ってその後ろに行くこと。
    相手の後ろに回り込む  家の裏手に回り込む
 「-まわる」は、前の動詞に「あちこち~する」という意味を加える。前の動詞の項を参照。
    「あるきまわる」「さがしまわる」「さわぎまわる」「はしりまわる」「みまわる」など
・スル動詞
  「回転する」は、回るの基本的な意味と同じ。
    コマが回転する    エンジンが回転する
 「一周する」は、一回回って元の位置に戻ること。「転回する」は、回って方向を変えること。ひ
  ゆ的に、抽象的なことにも言う。
        グラウンドを一周する  方針を転回する
  「自転する」は、それ自体が軸を中心に回ること。「宙返りする」は、空中で体を回すこと。
        地球は自転している  飛行機が宙返りした
◇まわす
 「回す」は、人が、ものが回るようにすること。
      人ガ ものヲ まわす
        コマを回す  腕・首・腰を回す
 丸く動くように、という意味から、手の動かし方や書類が人に行くようにするやり方を言う。
   人ガ 人・ものニ ものを まわす
    恋人の肩に手を回す  会議で委員に資料を回す  車を玄関に回す
・スル動詞「回覧する」は、資料などを回してみんなが見ること。
・複合動詞「-まわす」は、それぞれ前の動詞のところでとりあげる。
   回るように~する  「かきまわす」「ふりまわす」「みまわす」
   あちこちにずっと~する    「つけまわす」「のりまわす」「ひきずりまわす」「ひきまわす」
  うまく処理する   「きりまわす」 

  

まわる(回る)五(まわらない・まわります・まわって・まわれば・まわろう)
[1]〔人・ものガ〕
 △まわりはじめる  まわりかける  まわりすぎる  まわりにくい
  まわらないようにする  まわらせる  まわれない  まわろうとしている
 △[くるくる/ぐるぐる/ぐるっと/くるりと/ゆっくりと/速く/何度も]~。
 △[車(くるま)/モーター/扇風機(せんぷうき)/ファン/風車(ふうしゃ)]が~。
  [首/肩(かた)/腕(うで)/手首(てくび)/足首]が~。
 ・飛行機のプロペラが回り出した。いよいよ離陸(りりく)だ。
 ・機械(きかい)のモーターが回らない。故障(こしょう)かな。 
 ・列車(れっしゃ)の窓(まど)から、大きな風車がゆっくり回っているのが見えた。
 ・中華料理屋(ちゅうかりょうりや)のテーブルは、上の段(だん)が回るようになっています。
 ・フィギュアスケートの選手(せんしゅ)がクルクル回っている。あれで目が回らないのだろうか。
 ・よっぱらってしまって、口はうまく回らないが、目が回る。(=話せない)
 ・回れ、回れ、メリーゴーランド。
[2]〔人・ものガ もの・所ヲ〕                                            
 △[くるくる/ぐるぐる/くるっと/ぐるっと/くるりと/ゆっくりと/なんども]~。
 △[まわり/周囲(しゅうい)/グラウンド/友達の家]を~。
 ・月は地球(ちきゅう)のまわりを回り、地球は太陽(たいよう)のまわりを回っている。
 ・このグラウンドを10回回ると4キロ走ったことになる。
 ・2週間ぐらいで東北地方をぐるっと回って来ました。なかなかたのしい旅(たび)でした。
 ・この飛行機(ひこうき)は北極(ほっきょく)を回るコースをとびます。
 ・セールスマンが得意先(とくいさき)を回って注文(ちゅうもん)をとってくる。
 ・毎日支店(してん)を回っているのですが、1日で10か所は回れません。
 ・A:いま何時ごろですか。
  B:3時を少し回ったところです。(=すぎた)
[3]〔人・ものガ (所カラ) 人・所ニ/ヘ〕
 △[書類(しょるい)/カンパの袋(ふくろ)]が~。
 ・A:大山くんはずっとやすんでいますね。
  B:病気かな。帰りに大山くんのアパートに回ってみよう。
 ・会計課(かいけいか)から出張費(しゅっちょうひ)の書類が回ってきた。
 ・組合(くみあい)の基地反対(きちはんたい)の署名用紙(しょめいようし)が回ってきた。
 ・中山さんは、きのうまで賛成派(さんせいは)だったのに、会議(かいぎ)では、反対派(はんたい
  は)に回ってしまった。

<複合動詞:まわり->
[まわりこむ] 人ガ 所ニ
 ・敵(てき)のうしろにまわりこめ。
 ・頂上の北側に回り込んで、そこから登ることにした。
   山・ふもと・外周・東側を 後ろ・北側・裏道・裏手に 大きく ぐるりと
<スル動詞>
[一周(いっしゅう)する]  人・ものガ ものヲ
 ・時計の短針は12時間で一周する。
 ・このコースを一周すると、30分ぐらいかかります。
 ・世界を一周してみてわかったことは、それぞれの文化がいかに違うかということだ。
 ・光は一秒間に地球を7周半する速度だそうだ。
[回転(かいてん)する]  ものガ
 ・モーターが順調に回転(を)している。 
 ・遊園地の乗り物に乗ると、頭の中が回転するようだ。
 ・この皿を回転させると、面白い模様が見えます。
[自転(じてん)する]  ものガ 
 ・地球は一日に一回自転しているが、月は約一か月に一回自転する。
 ・太陽が自転しているかどうかは、黒点の動きをみるとわかる。
[転回(てんかい)する]  人・ものガ / 人ガ ものヲ
 ・前方へ一度転回(を)して、そこでジャンプする。
 ・そう簡単に基本方針を大きく転回されては困る。     
[宙返り(ちゅうがえり)する]  人・ものガ
 ・選手は鉄棒から離れると、2回宙返り(を)して着地した。
 ・飛行機が青い空をバックに宙返り(を)した。


まわす(回す・廻す)五(まわさない・まわします・まわして・まわせば・まわそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △まわしつづける  まわしてみる  まわしてもらう  まわそうとしたら
 △[ゆっくり/はやく/なんかいも/ぐるぐる/ぐるっと/くるりと/右に/左に]~。
 △[コマ/ハンドル/ダイヤル/音量(おんりょう)のつまみ/ふた/キャップ/ねじ]を~。
  [腕(うで)/手首(てくび)/首/肩(かた)/腰(こし)/足首]を~。
 ・このハンドルを回すと、そこからおつりが出ます。
 ・子どもがコマを回してあそんでいる。
 ・手で自転車(じてんしゃ)のタイヤを回してみたが、どうもなめらかに回らない。
 ・首をぐるっと回して。はい、次は反対(はんたい)に回してください。
 ・ねじをゆるめる時は、右に回すんだっけ? それとも、逆(ぎゃく)?
 ・年をとると肩が回らなくなる。むりに回そうとすると痛みが走る。
[2]〔人ガ ものヲ 人・所ニ〕     
 △[書類(しょるい)/資料(しりょう)/調味料(ちょうみりょう)/車]を~。
  ・恋人(こいびと)の肩(かた)にそっと手を回した。
 ・車(くるま)を裏口(うらぐち)に回してくれ。
 ・この書類は会計課(かいけいか)に回してくれないか。
 ・A:きみはガールフレンドがたくさんいていいねえ。わたしに一人回してくれないか。
  B:わたしはかまいませんが、かのじょたちが何と言うか...。
  ・そこのしょうゆを回して。(食事のテーブルで)

<スル動詞>
[回覧(かいらん)する]  人ガ 人ニ ものヲ                
 ・転校した元同級生からの手紙をクラスで回覧した。
 ・議案を関係者に回覧したが、特に異議は出なかった。
  


[9] 転がる・転ぶ

◇ころがる
 「転がる」は、丸いものが回転しながら進むこと。また、回転するように倒れること。「-ている」
の形は、継続中を表すが、その「転がっている」の形で、結果の状態としてそこにある、まわりにた
くさんあるという意味になる。「-ていく/てくる」の形で方向を示す。
   人・ものガ ころがる
    今、ボールが転がっている   部屋の隅にボールが(いくつも)転がっている
    つまずいて床に転がった
・複合動詞は、転がる方向を示す「転がり落ちる」「転がり込む」「転がり出る」がある。「転がり込
む」は、ひゆ的に、幸運が訪れるという意味がある。
    下に転がり落ちる  部屋に転がり込む  箱から転がり出る
 「転げる」は、「転がる」とほぼ同じ意味を表し、あまり使われないが、複合動詞「転げ落ちる」
「転げ回る」はよく使われる。
    坂を転げ落ちる  雪の上で転げ回る
◇ころがす
 「転がす」は「転がる」に対応する他動詞で、回転させながら動かすこと。また、回転するように
倒すこと。
   人ガ 人・ものヲ ころがす
    たるを転がす   相撲で相手を転がす
◇ころぶ
  「転ぶ」は、立って動いている人が倒れること。「-ている」は結果の状態を表す。
      人ガ ころぶ
    つまずいて転ぶ      転んだ人を起こす
◇つまずく
 「つまずく」は、歩いているときに足の先を何かにぶつけ、倒れそうになること。ひゆ的に、うま
くいっていた物事が途中でうまくいかなくなること。
      人ガ (ものニ) つまずく


ころがる(転がる)五(ころがらない・ころがります・ころがって・ころがれば・ころがろう)
[1]〔ものガ (所ヲ)〕
 △ころがりやすい  ころがりそうだ  ころがっていく  ころがらないようにする 
 △[ころころ/ごろごろ/勢(いきお)いよく/はずむように]~。
 △[ボール/たま/すいか/みかん/タイヤ/十円玉]が~。
 ・どこからかボールが転がって来た。
 ・たたみの上におちたミカンは、ころころと転がって行って、部屋のすみでとまった。
 ・ボールは坂道(さかみち)をどんどん転がって、とうとう見えなくなった。
 ・ゆきのたまは坂道を転がって行くうちにだんだん大きくなった。
[2]〔人・ものガ (所ニ)〕
 △[すてんと/ごろりと/ごろんと]~。[道/床(ゆか)/たたみ/ベッド]に~。
 ・敷居(しきい)につまずいて部屋の中に転がってしまった。
 ・前を歩いていた人が凍(こお)った道に足を取られ、すってんころりん、もののみごとに転がった。
  ・たたみにごろんと転がって、新聞でものんびり読む。日曜の朝の楽しみだ。
 ・ベッドにゴロゴロ転がっていないで、少しはへやの掃除(そうじ)でもしなさい。
 ・そんな話はどこにでも転がっているさ。

<複合動詞:ころがり->
[ころがりおちる] 人ガ ものカラ/ヲ
 ・今朝、ねぼけてベッドから転がりおちてしまった。
 ・あき子は、ちょっとしたまちがいが元で、坂道を転がりおちるように、どんどん悪い道に入って
  いった。
   石・銅貨が 石段・丘・階段・崖・坂・坂道・斜面を
[ころがりこむ] 人・ものガ ものニ 
 ・手から落ちたボールは、コロコロ転がって、ごみを捨てる穴に転がり込んだ。
 ・家をおい出されたので、友だちの家へ転がりこんだ。
 ・願ってもないチャンスが転がり込んだ。
   遺産・金・現金・幸運・政権・チャンス・莫大な収入・厄介者が ~の座が
[ころがりでる] ものガ ものカラ
 ・ズボンをタンスにしまおうとしたら、ポケットからだれかのライターが転がり出てきた。
 ・獰猛な番犬に追いかけられ、逃げるようにして門から転がり出た。
<複合動詞:ころげ->
[ころげおちる] 人・ものガ ものカラ
 ・足を踏み外して階段から転げ落ちた。
 ・坂道を転げ落ちるように、会社の業績は傾いていった。
   岩が 石段・崖・坂・斜面を 頭から 馬・ベッドから 穴・谷底に
[ころげまわる] 人ガ 所ヲ
 ・あまりの痛みのために、床の上を転げ回った。
 ・子猫たちが芝生の上を転げ回ってじゃれあっている。
   芝生・地面・そこら・部屋・雪の上を どたばたと


ころがす(転がす)五(ころがさない・ころがします・ころがして・ころがせば・ころがそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ころがしにくい  ころがしてしまう  ころがされる  ころがそうとする
 △[ころころ/ごろごろ/ごろりと/思い切り/そっと/力を入れて]~。
 △[ボール/たま/鉛筆(えんぴつ)]を~。
 ・ボーリングとは、大きなボールを転がして遠くにあるピンをたおすという、単純(たんじゅん)な
  あそびです。
 ・テーブルの上でたまごを転がしてあそんでいたら、お母さんにしかられた。
 ・ゆきのたまを転がして大きなたまを作り、それを二つかさねると、雪だるまができる。
 ・答えがわからないときは、鉛筆を転がしてどれをえらぶか決める。
 ・大きな男が小さな男にかんたんに転がされて(=たおされて)しまう。柔道(じゅうどう)では、こ
  れがおもしろい。
 ・今日は、車を転がして(=自動車を運転して)来たから、お酒は飲めない。

ころぶ(転ぶ)五(ころばない・ころびます・ころんで・ころべば・ころぼう)
[1]〔人ガ〕
 △ころびそうだ  ころびかける  ころんでしまう  ころばないように ころばせる
 △[うっかり/ぼんやりして/わざと/不自然(ふしぜん)に/わざとらしく]~。
  [すべって/足をとられて/バランスをうしなって]~。
 ・雪道(ゆきみち)ですべって転んでしまった。
 ・子どもが石(いし)につまづいて転び、大ごえで泣いている。
 ・岩場(いわば)で転ぶとけがをするから、転ばないようによく注意(ちゅうい)しなさい。
 ・スキーは転べば転ぶほど上手になると言われたが、わたしは転んでも上手にならない。


つまずく(躓く) 五(つまずかない・つまずきます・つまずいて・つまずけば)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △つまずきそうだ  つまずきかねない  つまずいてしまう  つまずかないようにする
 △[つい/うっかり/ぼんやりしていて/はでに/いろいろと]~。
  △[石/段差(だんさ)/階段(かいだん)/道の凹凸(おうとつ)/敷居(しきい)]に~。
  ・ぼんやり歩いていたら、石につまずいて転んだ。
 ・土の上に出ている松の根(まつのね)につまずいてしまった。
 ・わからないことが多く、初仕事(はつしごと)の最初からいろいろとつまずいた。
  ・部長に昇進(しょうしん)して、はりきっていたが、人事(じんじ)の問題でつまずいた。
  ・大学まで順調に進んできたが、就職(しゅうしょく)の時期(じき)になって、初めてつまずいた。

[10] 倒れる・倒す

◇たおれる
 「倒れる」は、垂直に立っていたものが横になる変化。その結果、位置する場所をニ格で示すこと
がある。権力を持った組織が力を失うことにも使われる。「-ている」の形は、動きの結果としての
状態を示す。原因をデ格、ニ格で示す。ニ格はやや書きことば。
    ものが (所に) 倒れる
     木が倒れる   イスが床に倒れている   政権が倒れた
     過労で倒れる(病気になる)  病に倒れる
・複合動詞
 「倒れかかる」「倒れかける」は、どちらも「倒れそうになる」の意を表す。「倒れかかる」は、
対象のニ格をとり、それに向かって倒れること。
   倒れかかった/倒れかけた 家  隣の人がこちらに倒れかかる 
 「倒れ込む」は、倒れてしまって起きられない様子を表す。「ぶっ倒れる」は、強く倒れること。
   選手はゴールに倒れ込んだ      パンチをあごに受けてぶっ倒れた
◇たおす
 「倒す」は、人の意志的な行為。相手が人の場合は、ひゆ的に「勝つ」ことも表す。
    人が もの・人を たおす
          木・ビルを 倒す   瓶を横に倒しておく   大関が横綱を倒す  幕府を倒す
・複合動詞
 「-たおす」の形のものが多い。「~して、倒す」の意味で、倒し方を示す。
    打ち倒す 押し倒す 蹴倒す 突き倒す なぎ倒す 殴り倒す 投げ倒す 張り倒す
    引き倒す 吹き倒す 寄り倒す
 「なぎ倒す」は、横に打ち払って(草などを)倒すこと。多くの相手を勢いよく打ち負かすこと。
 「張り倒す」は、相手を平手で強く打って倒すこと。
 「寄り倒す」は、相撲の勝ち方で、寄って土俵の外に相手を倒すこと。


たおれる(倒れる) 一(たおれない・たおれます・たおれて・たおれれば・たおれよう
[1]〔人・ものガ (所ニ)〕
 △たおれそうだ  たおれかける  たおれてしまう  たおれている  たおれてはいけない
  たおれないようにする  たおさせる  
 △[ばったり/ばたんと/ばたっと/ばたばたと/ぱたっと/どさっと]~。
  [急に/突然(とつぜん)/ふいに/ゆっくり/くずれるように/次々(つぎつぎ)に]~。
 △[看板(かんばん)/立て札(たてふだ)/塀(へい)/戸(と)/ストーブ/にわの木]が~。
  [台風(たいふう)/大風(おおかぜ)/地震(じしん)/落雷(らくらい)]で~。
  [病気/過労(かろう)/はたらきすぎ]で~。[つまずいて/よっぱらって/ふらついて]~。
  [床/たたみ/廊下(ろうか)/地面(じめん)/草の上/道]に~。
 ・私は急に足の力が抜けて、その場に倒れてしまった。
 ・子どもがあおむけに倒れて頭のうしろをうった。すぐ病院につれていかないと。
 ・バスが急にとまったので、客(きゃく)が何人か床(ゆか)に倒れた。
 ・ゆうべの嵐(あらし)のせいで、にわの木が地面に倒れている。
 ・大きな木が道に倒れていて、通れない。
 ・家が台風で倒れそうになった(=家が台風のために倒れかけた)。
 ・ビルが地震(じしん)で倒れた。
 ・風で花が倒れないように板(いた)でまわりがかこってある。
 ・公園(こうえん)の木が倒れたままになっている。
 ・父が心臓(しんぞう)の病気で倒れ、その看護(かんご)の過労(かろう)で母が倒れた。
 ・独裁政権(どくさいせいけん)が倒れて、革命政権(かくめいせいけん)ができた。
 ・山本内閣(ないかく)はこの問題が原因(げんいん)でとうとう倒れた。

<複合動詞:たおれ->
[たおれかかる] ひと・ものガ 人・ものニ
 ・きゅうにガラス戸が倒れかかって来たのでおどろいた。
 ・電車が大きく揺(ゆ)れて、となりの人が私に倒れかかってきた。
[たおれかける] ものガ
 ・木の塀がくさって倒れかけている。
 ・階段を上っていたとき、急にめまいがして、倒れかけた。
     めまいがして 窓のほうに
[たおれこむ] 人ガ ものニ
 ・足を滑らせて、道ばたの雪の中に倒れ込んだ。
 ・家へ帰ると、疲れ切ってベッドに倒れ込む、そんな毎日が続いた。
   地面・ぬかるみ・布団・ベッド・胸・床・雪の中に 仰向け・うつぶせに
<複合動詞:-たおれる>
[ぶったおれる] 人ガ 所ニ
 ・夜遅く辛い作業が終わると、疲れてその場にどっとぶっ倒れる毎日だった。
 ・新人戦で相手のパンチを食らって仰向けにぶっ倒れ、そのまま病院送りとなった。


たおす(倒す)五(たおさない・たおします・たおして・たおせば・たおそう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ (所ニ)〕
 △たおしたい  たおしてしまう  たおしてみる  たおしてはいけない
  たおさなければならない  たおそうとする  たおさせる  たおされる
 △[ゆっくり/すばやく/力で/何とかして/うまく/とうとう]~。
 △[コップ/ストーブ/いす/木/柱(はしら)/塀(へい)/家/ビル]を~。
  [敵(てき)/あいて/ライバル]を~。[内閣(ないかく)/政権(せいけん)]を~。
 ・力いっぱい押(お)してあいてを倒そうとしたが、反対に倒されてしまった。
 ・背の高い瓶(びん)などを運(はこ)ぶ時は倒して運びます。
 ・長い棒(ぼう)は立てておかないで、地面(じめん)に倒しておきなさい。
 ・この試合(しあい)でP国チームを倒さなければ、日本はオリンピックに出場できない。
 ・デモクリトスは王(おう)を倒して新しい王になった。
 ・敵(てき)を倒さなければこちらがやられてしまう。
 ・△△将軍(しょうぐん)はこの政権を倒して新しい政権をうちたてた。
 ・幕府(ばくふ)を倒して、天皇(てんのう)を中心とする政府(せいふ)を作ろうとした。

<複合動詞:-たおす>
[うちたおす] 人ガ 人・ものヲ
 ・民衆の力が独裁者を打ち倒した。
 ・挑戦者がストレート一発でチャンピオンを打ち倒した。
   男・子供・敵・支配・政府・封建制・抑圧を  一撃で 横殴りに 
[おしたおす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・ブルドーザーが塀を押し倒し、家の解体が始まった。
 ・たくさんのお客が急いで出ようとしたので、出口のそばにいた私は押したおされてしまった。
   相手・女・体・子ども・苗・人・門を 仰向けに その場・畳の上・ベッドに
[けたおす] 人ガ 人・ものヲ
 ・「こんな店には二度と来るもんか!」そう言って男はいすを蹴倒して出ていった。
   いす・桶・戸・踏み台・ポリバケツを
[つきたおす] 人ガ 人ヲ
 ・初めの勝負は兄に投げ出されたが、次の勝負ではうまく突き倒してやった。
 ・電車に乗ろうとしたら、走って来た人に突きたおされそうになった。
   男の子・女・刑事・柱を 渾身の力を込めて
[なぎたおす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・かかってくる敵をなぎ倒しながら、敵の王に向かっていった。
 ・大風が収穫前の麦をなぎ倒してしまった。
   草・樹木・並み居る敵・花・両足を ばったばったと 当たるを幸い
[なぐりたおす] 人ガ 人ヲ
 ・山下さんは5人の暴漢をあっという間に殴りたおした。
   相手・大男・警官・息子を 一撃・一発・素手で 
[なげたおす] 人ガ 人ヲ
 ・大きな力士が力で相手を投げ倒そうとしたが、逆に足をすくわれて倒れた。
 ・柔道で投げ倒されたとき、腰を打ってけがをした。受け身の練習が足りなかった。
   敵を 地面・床に
[はりたおす] 人ガ 人ヲ
 ・子どもが言うことをきかないので張り倒してやった。
 ・あの顔を思い切り張り倒してやりたい。
   相手・頬・ほっぺた・向こうっ面を  札びらで 一発
[ひきたおす] 人ガ 人・ものヲ
 ・ロープをかけて、力まかせに枯れ木を引き倒そうとしたが、なかなか倒れない。
 ・押してきた相手を、その力を利用して逆に引き倒してやった。
   相手を 地面に 力任せに わしづかみにして
[ふきたおす] ものガ ものヲ 
 ・家が台風で吹きたおされてしまった。
 ・にわの木が風に吹きたおされた。
   嵐・風・強風が 木・草・樹木を 猛烈に 遠慮なく 家・工場・塀・塔を 
[よりたおす] 人ガ 人ヲ
 ・新入幕の外人力士が横綱を寄り倒して勝ったので、場内は騒然となった。
 ・息子と相撲を取って、寄り倒された拍子に腰を打った。年をとったなあ。

[11] 滑る

◇すべる
  「滑る」は、ものの表面をなめらかに移動すること。また、その表面がなめらかな状態を表す。
      ものガ (所ヲ) すべる
     氷の上を滑る   この床は滑りやすい  この床は滑る
 ひゆ的に、「口が滑る」は言うべきでないことを言ってしまうこと、「試験に/を 滑る」は試験に
落ちることを表す。
・複合動詞
 「滑り落ちる」「滑り降りる」「滑り込む」「滑り出る」は、その方向を表す。また、ひゆ的に、滑
るように何かをすることを表す。「滑り出す」は、滑り始めることで、ひゆ的に何かが順調に始まる
ことを表す。
・スル動詞「スリップする」は、車などが道で滑ること。「オノマトペ+する」のものがある。


すべる(滑る)五(すべらない・すべります・すべって・すべれば・すべろう)
[1]〔所・ものガ〕
 △すべりすぎる  すべりにくい  すべるとこまる  すべってはいけない
  すべらないようにする  すべらせる  すべるな!
 △[つるつる/つるりと/つるっと/すうっと/ずるずる/ずるっと/ぬるぬる]~。
 △[道/階段(かいだん)/坂(さか)/廊下(ろうか)/床(ゆか)/畳(たたみ)/雪道]が~。
  [手/足/靴(くつ)/靴底(くつぞこ)/タイヤ/スキー板]が~。
 ・この廊下はつるつる滑るからあぶない。ワックスが滑りやすいんだ。
 ・雨で道が滑るから気を付けて下さい。滑りにくい靴をはくといいですよ。
 ・階段が滑るから、手すりにつかまりなさい。滑っても転ばないようにね。
 ・通行人(つうこうにん)が滑ってはいけない。前の道の雪かきをしておこう。
 ・戸(と)がよく滑るようにロウを塗(ぬ)った。これですっと滑るようになった
 ・汗(あせ)をかいているので手が滑る。よく汗を拭(ふ)いて滑らないようにした。
 ・皿を洗っているとき、手が滑って皿を割ってしまった。
 ・指(ゆび)が滑って、うまく辞書のページがめくれない。
 ・この車はすべるようになめらかに走る。
 ・あの学生は日本へ来てまだ十カ月なのに、もうすべるようになめらかに日本語を話す。
[2]〔人・ものガ 所ヲ〕
 △すべりたい  すべってみる  すべってみせる  すべってはいけない  すべってしまう
  すべらなければならない  すべろうとする  すべらせる   
 △[すいすい/さっそうと/気持ちよく/軽(かろ)やかに/ずるずる]
 △[ゲレンデ/リンク/氷(こおり)の上/坂/テーブルの上]を~。
 ・フィギュアスケートの選手(せんしゅ)が軽やかに氷のリンクを滑っている。
 ・スキーを始めたばかりだから、急な坂を滑るのはまだ怖(こわ)い。
 ・先輩(せんぱい)がゲレンデをさっそうと滑って降りてくる。さすがに滑るのがうまいなあ。
 ・泥(どろ)の坂道(さかみち)を車がずるずると滑り始め、とても怖かった。
[3]〔人・ものガ (所デ)〕
 ・今年の冬は北海道で滑った。(=スキーをした)
 ・スキーの先生がゆるい坂で滑ってみせてくれた。
 ・坂道で滑ってころんでけがをした。
 ・階段(かいだん)で足が滑って落ちそうになった。
 ・このタイヤは雪道でも滑りにくいタイヤです。
 ・寒い朝、雪が凍(こお)った道で車が滑って事故(じこ)を起こした。
 ・雪道(ゆきみち)でタイヤがずるずる滑ってしまい、後ろの車にぶつかりそうになった。
 ・酒を飲んでつい口が滑ってしまい、人の悪口(わるくち)を言ったら、その人が後ろにいた。
 ・エッセイを書いていた時、つい筆(ふで)が滑って、書かなくてもいいことを書いてしまった。
 ・上司(じょうし)の前でうっかり口を滑らせたのがよくなかったのか、支店(してん)に飛ばされた。
  ・兄はまた卒業試験(そつぎょうしけん)を滑ったらしい。留年(りゅうねん)だ。
 ・面接(めんせつ)試験で滑って入りそこねた会社が何社もある。

<複合動詞:すべり->
[すべりおちる] 人・ものガ  
 ・寒くて目が覚めた。寝ている間に毛布(もうふ)が滑り落ちてしまったらしい。
 ・山道を歩いているうちに足を踏(ふ)み外(はず)し、斜面(しゃめん)を滑り落ちてけがをした。
   汗・涙・砂が 崖・壁・傾斜・斜面・肌・頬・胸・雪の上を 政権の座から
[すべりおりる] 人ガ ものヲ 
 ・子供がすべり台を滑り降りながら楽しそうに笑っている。
 ・まっしろなゲレンデを滑り降りるのは最高だ。
   坂・土手・断崖・壁・いす・ソファー・ベッドを 表面を スキー・そりで 
[すべりこむ] 人ガ ものニ
 ・ランナーが二塁(にるい)に滑りこんだ。
 ・列車の時間ぎりぎりにホームに滑りこんだ。
 ・「これでよろしく頼むよ」と言いながら、金を相手のポケットに滑り込ませた。
 ・スキー選手が試合前にしっかりと滑り込む。(充分に滑る)
   二塁・会社・教室・布団・毛布・運転席に するりと 難なく 手に~せる
[すべりだす] 人ガ 
 ・「では、出発!」新雪の上を三台のそりが快調に滑り出した。
 ・新しい事業が順調に滑り出し、我々の未来は明るいように思えた。
   順調に 音もなく すうっと やっと ゆっくり
[すべりでる] 人ガ 
 ・スタートの合図が鳴る前に、隣の選手のスケート靴がわずかに滑り出ていた。
 ・言うまいと思っていたのだが、言葉が口から滑り出てしまっていた。
    横に 船が港を 言葉が口から   
<スル動詞>
[スリップする]  ものガ
 ・雪道でタイヤがスリップし、電柱にぶつかりそうになった。
 ・ブレーキをかけた後続の車が次々とスリップし、追突した。
[すべすべする]  ものガ
 ・赤ちゃんの肌はすべすべしていて、いいなあ。
[つるつるする]  ものガ
 ・この床はつるつるしていて滑りやすい。
[ぬるぬるする]  ものガ
 ・油がこぼれたらしい。ぬるぬるして滑る。

[12]はずむ・跳ねる

◇はずむ
 「はずむ」は、ものにぶつかって勢いよく元のほうに戻ること。ひゆ的に、心理的に生き生きとし
ていることを表す。また、気前よく大きなお金を出すことも言う。
   ものガ はずむ
    ボール・ばね・心・胸が はずむ  このボールはよくはずむ
   人ガ (人ニ) ものヲ はずむ
        ウエイターにチップをはずむ
◇はねる
 「はねる」は、(力を加えられた)ものが勢いよく上または他の方向へ動くこと。自動詞と他動詞
としての用法がある。地面などを強くけって、上に上がること。液体が飛び散ること。また、(ぶつ
かって)何かを飛ばすこと、ひゆ的に、基準に合わないものを取り除くこと。
      人・ものガ はねる
    カエル・ウサギが 跳ねる  水・油が 跳ねる
   人・ものガ 人・ものヲ はねる
    車で人をはねる  車が人をはねる  車が泥水をはねる  検査で不良品をはねる  
・複合動詞:「はね-」の形のものが多い。
 「はね上がる」は、上にはねること。はねるように急に上がること。
 「はね上げる」は、ものがはね上がるようにすること。
 「はね起きる」は、跳ねるように起きること。
 「はね返す」は、勢いよく元へほうへ戻すこと。はねるようにして、受けた力を返すこと。ひゆ的
  に、相手からの強い働きかけに負けないこと。
 「はね返る」は、はねて元の所へ戻ること。勢いよくはねること。ひゆ的に、何かをした影響が他
   に波及すること。
 「はねかかる」は、水などがはねて、何かにかかること。
 「はねつける」は、(要求・申し込みなどを)まったく受け付けないこと。
 「はね飛ばす」は、はねるように勢いよく飛ばすこと。
 「はねのける」は、はねるようにして勢いよくのけること。不良のものを選んで取り除くこと。
 「はね回る」は、あたりを跳ねて回ること。
◇とぶ
  「とぶ」は、「空を飛ぶ」ほかに「はねる」と共通する用法があり、「跳ぶ」と表記される。地面
などを強くけって上に上がり、ある距離を動くこと。そのようにして上を越す対象をヲ格にとる。
    水たまり・跳び箱を 跳ぶ
・複合動詞
  「跳び上がる」「跳びかかる」「跳び越える」「跳び越す」「跳びこむ」などがあり、「飛び-」と共
通する。他の複合動詞に関しては「飛ぶ」の項参照。


はずむ(弾む)  五(はずまない・はずみます・はずんで・はずめば)
[1]〔ものガ〕
 △はずみそうだ  はずまなくなる  はずませる  はずむようにする
 △[よく/大きく/何度も/ぽんぽんと/勢(いきお)いよく]~。
  △[まり/ゴムボール/ばね/気分(きぶん)/こころ/胸(むね)]が~。
  ・ボールが壁(かべ)に当たって大きく弾んだ。
 ・このベッドはよく弾むので、ちいさな娘が来て、とびはねて遊びたが。
 ・夕べは久しぶりに会ったいとこたちと話が弾んで、夜中まで話していた。
 ・彼女はよほどうれしいのか、声が弾んでいる。
 ・とうとう彼女と話をすることができた! うれしくて、うれしくて、胸が弾む思いだ。
 ・男の子は、急いで走ってきたので息(いき)が弾んでいた。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 ・イタリアのレストランでウエイターにチップを弾んだら、一曲(いっきょく)歌ってくれた。
  ・このトーナメントは優勝者(ゆうしょうしゃ)に賞金(しょうきん)をはずむので、みんな出たがる。


はねる(跳ねる)  一(はねない・はねます・はねて・はねれば・はねよう)
[1]〔人・ものガ (ものニ)〕
 △はねてばかりいる  はねてしまう  はねてはいけない  はねないようにする
  はねさせる  はねられる  はねるな!
 △[ぴょんと/ぴょんぴょん/ぴしゃっと/びしゃっと/ばしゃっと]~。
  △[ウサギ/カエル/馬/バッタ/魚]が~。[水/泥(どろ)/油(あぶら)]が~。
  [服/シャツ/ズボン/スカート/着物(きもの)/靴(くつ)/スニーカー]に~。
  ・魚が水面で勢いよく跳ねた。
 ・うさぎはピョンピョン跳ねて逃げてしまった。
 ・暖炉(だんろ)ではまきが勢いよく燃(も)え、パチパチと跳ねている。
 ・てんぷらを揚(あ)げる時は、油が跳ねるので注意してください。
 ・この芝居がはねたら、いっしょに飯(めし)でもどうだ?
 ・イルカが水中からジャンプした時、観客席にまで水がはねた。
 ・土砂降(どしゃぶ)りの雨の中を来たので、ズボンに泥がはねてびしょびしょだ。
 ・揚げ物(あげもの)を料理していたら、腕(うで)に油がはね、やけどしてしまった。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[うっかりして/不注意(ふちゅうい)で/ぼんやりして/わき見していて]~。
  [注意深(ちゅういぶか)く/次々(つぎつぎ)と/慎重(しんちょう)に/手際(てぎわ)よく]~。
  △[車/トラック/電車]が[人/歩行者(ほこうしゃ)/老人(ろうじん)/動物/水]を~。
  [きずもの/不良品(ふりょうひん)/腐(くさ)ったリンゴ/形の悪いもの]を~。
 ・彼は不注意で年とった犬をはねてしまった。
  ・急行電車が線路内(せんろない)に入っていたお年寄(としよ)りをはねた。
 ・道を渡(わた)るときは、車にはねられないようによく左右(さゆう)を見てから渡るんですよ。
 ・夫は妻を交通事故(こうつうじこ)に見せかけて殺そうと考え、自分の車ではねようとした。
 ・検査係(けんさがかり)が素早(すばや)く不良品をはねていく。
  ・印刷(いんさつ)の不鮮明(ふせんめい)なものは、係員(かかりいん)によってはねられる。
 ・車が水たまりの泥水をビシャッとはね、私はあわてて飛びのいた。

<複合動詞>    
[はねあがる] ものガ ものニ
 ・ズボンに跳ね上がった泥をティッシュでふき取った。
 ・遠い国の戦争のために物価が跳ね上がった。
   体・泥・計器の針・物価・費用・金利・視聴率が 勢いよく ぐんと
[はねあげる] 人・ものガ ものヲ
 ・大浴場で子供たちがお湯を跳ね上げ、きゃっきゃっ騒いでいる。親のしつけがよくない。
 ・雨の中の試合となり、選手たちは泥を跳ね上げながらボールを追いかけた。
   足・尾・尻尾・スカート・水・泥・土・湯・帽子を 勢いよく 高く
[はねおきる] 人・ものガ
 ・新しい目覚ましの特大のベルが鳴り、弟はベッドから跳ね起きた。
 ・芝生に寝転んでいたとき、地面がゆれるのを感じ、あわてて跳ね起きた。
   寝床を 布団・ベッドから 元気に とっさに 反射的に がばっと
[はねかえす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・頑丈な堤防が寄せてくる大波を跳ね返している。
 ・見方のディフェンスが相手の攻撃を跳ね返した。
   圧力・視線・重圧・パンチ・プレッシャー・誘惑・水・音・光・言葉を 
[はねかえる] ものガ  (ものニ)
 ・ボールはフェンスに当たると大きく跳ね返った。
 ・オールで水をたたいたら、水が跳ね返ってきた。
 ・授業をサボったツケが成績に跳ね返って、ひどい結果になった。
   音・声・泥水・しぶき・ボール・ばねが 岩で 壁・建物に 我が身に 
[はねかかる] ものガ 人・ものニ
 ・自転車で水たまりを走ったら、水が歩行者にはねかかってしまい、降りて謝った。
 ・対向車がはねた泥水がフロントガラスにばしゃっとはねかかった。
   泥水が 水が 服に フロントガラスに ばしゃんと
[はねつける] 人ガ ものヲ
 ・ワンマン社長は組合の要求をはねつけたが、かえって組合の団結は強まった。
 ・聖人が悪魔の誘惑をはねつけると、悪魔は消えてしまった。
   男・誘い・要求・援助・言葉・常識・請求・面会を 一方的に きっぱりと
[はねとばす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・体の大きな選手が、タックルに来た選手を跳ね飛ばした。
 ・トラックは柵をはね飛ばして暴走していった。
   泥水・水・雨滴・木刀・群集・努力・煩わしさを 一生懸命 ばしゃっと
[はねのける] 人ガ ものヲ
 ・彼女は服をつかもうとする男の手をはねのけ、ハイヒールで男の足をけった。
 ・警察の捜査は、政治家からの圧力をはねのけて行われた。
   体・敵・毛布・腕・外圧・圧迫・誘惑・押しつけ・苦難・視線を 邪険に
[はねまわる] 人・ものガ
 ・子犬が芝生の上をうれしそうに跳ね回っている。
 ・チャンピオンを倒した挑戦者がリング上を跳ね回って、喜びを表している。
   家の中・ソファーの上・リング上を 無邪気に うれしそうに ぴょんぴょん


とぶ(跳ぶ)五(とばない・とびます・とんで・とべば・とぼう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △とびたい  とびそうだ  とびかける  とんでみる  とんではいけない
  とばなければならない  とぼうとする  とばせる  とばれる  とべ!
 △[少し/大きく/力強く/いきおいよく/さっそうと]~。
 ・私は、跳び箱(とびばこ)を跳ぶのはどうも苦手(にがて)だ。
 ・道の水たまりをエイッと跳んで、持っていたカバンを水たまりに落としてしまった。

<複合動詞:とび->
[とびあがる] 人・ものガ
 ・このニュースを聞いて、山下さんは跳び上がってよろこんだ。
 ・この注射は跳び上がるほどいたかった。
   体・心が 椅子から 座席の上で 空中・荷台に ~ほど・ように
[とびかかる] 人ガ 人ニ
 ・人の家を訪問したら、その家の犬がきゅうに跳びかかって来た。
 ・わたしが弟をなぐると、弟はそれで泣き出すどころか、ぎゃくに、わたしにとびかかって来た。
   女・相手・背中に 出し抜けに 猛然と いきなり すばやく 一斉に 
[とびこえる] 人ガ ものヲ 
 ・その選手は軽がると2mの高さのバーを跳び越えた。
 ・水たまりを跳び越えようとして、水たまりの中に落ちた。
   石垣・囲い・花壇・流れ・頭上・ガードレール・塀・時間・時代・制約を
[とびこす] 人ガ ものヲ 
 ・小さな(=ほそい)川なので、橋を渡らないで、跳び越した。
 ・飛行機でエベレスト山を飛び越した。
 ・仕事をするには順序があるのです。とちゅうの段階を跳び越してはいけない。
 ・初級の文法を少しやって、そのあと、中級を飛び越していきなり小説を読もうとしたって、それ
  はむりだ。
   小川・柵・茂み・手すり・溝・先輩・時間を ひらりと
[とびこむ] 人ガ ものカラ ものニ 
 ・きゅうに雨がふって来たので、いそいで、そばの店に飛び込んだ。
 ・兄は飛び込み台の上に立つと、プールにいきおいよく跳び込んだ。
   虫・しぶき・銃弾が 海・敵の中・家・学生運動・川・警察・線路・電車に
   流れ・プール・胸・湯船・部屋に あわてて ざぶんと どぶんと 勢いよく 

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