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                   ◇人とものの動き◇
 
  人の動き:姿勢
    [1] 座る  
    [2] 立つ・立てる  
    [3] 寝る・寝かす 起きる・起こす
    [4] 姿勢 いろいろ  
 
   ものの動き
    [5] 動く  
   [6] 揺れる・揺らす・揺する  
   [7] 振る・振れる  
   [8] 回る・回す  
   [9] 転がる・転ぶ   
   [10] 倒れる・倒す  
   [11] 滑る 
   [12]  はずむ・跳ねる・跳ぶ 
   [13] 集まる・集める 
   [14] 寄る・寄せる  
   [15] 散る・散らす 撒く  
   [16] こぼれる・こぼす 漏る・漏らす 汲む
  [17] 離れる・放す  
  [18] 付く・付ける  
  [19] かかる・かける 
  [20] 差す  
  [21] 取る  
  [22] 置く・敷く しまう・片づける 
  [23] 並ぶ・囲む  
  [24] ずれる・それる・どく  
 
       人の姿勢・動きとものの動きを表す動詞。「移動動詞」は別にする。
       人の姿勢を表す基本的な動詞は「座る」「立つ」「寝る」「起きる」の4つである。
      ものの動きはさまざまな表し方がある。それ自体の動きと、人が引き起こす動きが
   ある。また、ものどうしの位置関係を表す。「かかる」「かける」は意味が抽象的で、
   多くの用法があり、形式動詞化した用法がある。
    

 
  ◇人の動き:姿勢
   [1] 座る

       座る   座り込む  正座する 着席する  
       腰掛ける
       しゃがむ  しゃがみ込む
       うずくまる
       屈む    かがみ込む
       屈める
       ひざまずく

   [2] 立つ・立てる

     たつ    立ち上がる 立ち至る 立ちこめる 立ちすくむ 立ちつくす 立ち続ける 
           立ち並ぶ 立ち上る 立ちはだかる 立ち働く 立ちふさがる 立ちゆく
             そびえ立つ 突っ立つ    起立する 再起する 逆立ちする 自立する
           独立する 立候補する
       たたずむ
       たてる    立て替える 立てかける 立て込む 立て直す 建て増す

   [3] 寝る・寝かす 起きる・起こす

        寝る   寝込む 寝転がる 寝転ぶ 寝そべる 寝付く                          
       寝かす
       横たわる 横たえる
       伏せる
        起きる  起き上がる 飛び起きる 跳ね起きる
        起こす  抱え起こす 抱き起こす 助け起こす 引き起こす

   [4] 姿勢 いろいろ

    仰ぐ   振り仰ぐ  
      うつむく  うつむける
      うつぶせる
      反る   反り返る
      反らす
      構える   身構える
      もたれる  もたれかかる     よりかかる
      またぐ      またがる
   


◇人の姿勢:座る・立つ・寝る・起きる

  人の姿勢を表す基本的な動詞は「座る」「立つ」「寝る」「起きる」の4つである。
 「座る」「寝る」は、人または動物の姿勢を表す動詞で、一般のものには使われないが、「立つ」
は木や人工物(柱・棒・建物・看板)などにも使われる。
  これらは体の動きを表す動詞だが、体の状態を変える動きなので、その「-ている」の形は結果の
状態を表す。名詞修飾は「-た」の形でその時の状態を表す。
  「立つ・寝る」には、対応する他動詞「立てる」「寝かせる/寝かす」がある。それらと使役形の
「立たせる」「寝させる」の違いに注意が必要である。                      
  「座る」と「立つ」が意味的に対立し、「寝る」に対立するのは「起きる」である。「寝る・起き
る」の睡眠・起床に関する用法は「人と自然」でとりあげる。
 これらの動詞は、その動作をする場所をニ格で表す。
 「座る」は、ひざを曲げて尻を下に下ろすこと。
    床/いすに座る
 尻を床あるいは地面に着ける場合にも、いすを使う場合にも使える。「腰(を)かける」は、いすに
尻をのせる場合。
 「座る」の類義の動詞に、「かがむ・かがめる・しゃがむ・うずくまる・ひざまずく」などがあり、
腰や足を曲げ、体を低くするが、床あるいは地面に尻がつかないことが共通する。
 「立つ」は、人が足で体を支える状態になること。他動詞の「立てる」は長いものを垂直に置く場
合に使い、人間には使役表現の「立たせる」を使う。
    台の上に立つ   子供を立たせる
 「立つ」の類義の動詞に、「たたずむ・つったつ」がある。
 「ねる」は、体を横にして休むこと。他動詞は「寝かせる・寝かす」
    ベンチに寝る   医者が患者をベッドに寝かせる
 どれも「人ガ 所・ものニ」の文型をとる。「所デ」は、一般的にその動作が行われる場所を示す。
「所・ものニ」は、動作の結果、存在する場所を示す。

 


[1] 座る・腰掛ける・しゃがむ

◇すわる
 「座る」は、ひざを曲げて、尻を下(床、地面など)または何かの上におろして足を休めること。
ニ格をとる。
   人ガ 所・ものニ すわる
    いす・岩・地面に 座る  体育館で床に座る  いすに座った/座っている 人
 慣用表現として、「大胆だ」という意味の「腹・度胸・肝が すわっている」がある。
・複合動詞「座り込む」は、座って(しばらく)動かない様子を言う。
・スル動詞
 「正座する」は、膝を折り曲げて床につけ、かかとの上に腰をのせる正式な座り方。それをやめる
場合、「足を崩す」「ひざを崩す」などと言う。
    畳に正座して待つ  どうぞ、ひざを崩して楽になさってください
 関連する表現で「あぐらをかく」は、(男が)足を前に組んで楽に座ること。
 「着席する」は、「席」(座るべき場所)に座ること。「席に着く」という表現もある。
    早く着席してください  席に着きましょう
◇こしかける
 「(腰)掛ける」は、いすなどの高さのあるものに腰(尻)をおろすこと。「腰を掛ける」とも言う。
   人ガ ものニ (こし)かける
    岩に腰掛けて休む   どうぞそちらにお掛けください
 「腰を下ろす」という表現もある。反対は「腰を上げる」。
    近くのベンチに腰を下ろした  ベンチから腰を上げて歩き始めた
◇しゃがむ
 「しゃがむ」は、ひざを曲げ、腰を深く下ろすが、尻を下につけない状態。
   人ガ 所ニ しゃがむ
    道ばたに/で しゃがむ    (和式)トイレでしゃがむ
・複合動詞「しゃがみ込む」は、しゃがんで動かないこと。
◇かがむ
 「かがむ」は、腰を低くし、体を前に曲げて丸くした状態。「屈める」は対応する他動詞で、自分
 の体をヲ格にとる。
      人ガ かがむ       人ガ ものヲ かがめる
    屈んで石を拾う      腰を屈めて歩く
・複合動詞「かがみ込む」は、深くかがむこと。
◇うずくまる
 「うずくまる」は、頭を低くし、体を小さくしてしゃがむこと。
   人ガ 所ニ うずくまる
        地面にうずくまって動かない     猫がうずくまっている
◇ひざまずく
 「ひざまずく」は、床や地面に膝をついて身を屈めること。
   人ガ 所ニ ひざまずく
        神殿の床にひざまずく   神の前にひざまずいて祈る


すわる(座る)五(すわらない・すわります・すわって・すわれば・すわろう) 
[1]〔人ガ もの・所ニ〕
 △すわりたい  すわりかける  すわってみる  すわってしまう  すわりつづける
  すわってはいけない  すわったほうがいい  すわろうとする  すわらせる
  すわられる  すわらせられる
 △[すぐに/さっと/すばやく/深く/ゆったり/どっしりと/ちょこんと/ぺたりと]~。
 △[いす/座席(ざせき)/床(ゆか)/地面(じめん)/草(くさ)の上/先生のまわり]に~。
 ・みんなが決められた席に座り、会が始まった。
 ・立っていないで、そのイスに座って話をしたらどうですか。
 ・長い時間畳(たたみ)の上に座っていたら足が痛(いた)くなった。
 ・どうぞ上座(かみざ)に座って下さい。
 ・私の前に座っている人がどうも見たことのある顔だと思って話しかけたら、中学の同級生(どう
  きゅうせい)だった。
 ・イスを買うときは、実際に何度も座ってみて、自分に合うかどうか確かめたほうがいい。
 ・電車の中で足を組んで座るのはやめよう。
 ・田中君が「ペンキぬりたて」と書かかれたベンチに座ろうとしたので・・・、わたしは何も言わな
  いでおいた。
 ・小学校では、子どもたちをおとなしく座らせておくだけで大変だ、と言ったら、友人の大学教師
  が、大学でも同じだ、と言った。座って寝ているやつも多いけどね、と付け加えて言った。
 ・車内に入ったとき、空いた座席が見えたが、残念、小学生に先に座られた。
[2]〔(人の)ものガ〕
 △[腹(はら)/度胸(どきょう)/肝(きも)]がすわっている
 ・生まれて二ヶ月たったから赤ちゃんの首がすわってきた。
 ・みんながわたしを頼(たよ)りにしていることを知って、やっと、どんなことがあってもこの仕事
  を完成しようという覚悟(かくご)がすわった。
 ・あの社長は腹のすわった人だから、すぐに方針(ほうしん)を変えたりしないだろう。
 ・地震(じしん)で棚(たな)から物が落ちたのに、父はあいかわらず新聞を読んでいる。父は、ほん
  とうに肝がすわっている。
 ・中川くんは、相当(そうとう)酔(よ)っているらしい。目がすわっている。(全然動かない)

<複合動詞:すわり->
[すわりこむ] 人ガ ものニ 
 ・彼は疲れているらしく、へやに入っているとソファにどっかと座りこんだ。
 ・労働組合の人々が工場の門の前に座り込んだ。
    椅子・石・縁側・壁際・地べた・地面・その場・通路・道端・目の前・床に
   車座になって どっかり へたへたと へなへなと 呆然として 崩れるように
<スル動詞>
[正座(せいざ)する]  人ガ
 ・1時間正座したら、足がしびれて立てなくなった。
 ・武道をやると、正座させられることがあるが、足によくないんじゃないか?
[着席(ちゃくせき)する]  人ガ(ものニ)
  ・立ち上がり、礼をして、またいすに着席した。
 ・どうぞご着席ください。


こしかける(腰掛ける)  五(こしかけない・こしかけます・こしかけて・こしかければ・こし
  かけよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △こしかけたい  こしかけてみる  こしかけてはいけない  こしかけたほうがいい
  こしかけなければならない  こしかけさせる  こしかけようとする  こしかけるな!
 △[ちょっと/少しの間/浅く/深く/ゆったり/どっしりと/深々(ふかぶか)と]~。
  [おずおずと/遠慮(えんりょ)がちに/思い思いに/差し向かいに/かわるがわる]~。
  △[いす/ベンチ/箱(はこ)/階段(かいだん)/岩(いわ)]に~。
  ・足が疲れてきましたね。どこかに腰掛けましょう。
 ・まあ、そのいすに腰掛けてください。
 ・こら、どこに腰掛けているのだ。つくえはすわる物ではない。
 ・話をする時は立ってないで、腰掛けたらどうですか。
 ・ベンチに腰掛けようとしたとき、「あ! そこ、ダメ! ペンキ塗(ぬ)り立てだよ!」という声が
  聞こえた。


しゃがむ  五(しゃがまない・しゃがみます・しゃがんで・しゃがめば・しゃがもう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
 △しゃがんでほしい  しゃがんでもいい  しゃがんでもらう  しゃがんだほうがいい
  しゃがまなければならない  しゃがませる  しゃがまされる  しゃがめ!
 △[ゆっくり/急に/深く/ひざを曲げて/深く/頭を下げて/見つからないように]~。
  △[床(ゆか)に/地面(じめん)に/校庭(こうてい)に/トイレで/体育館(たいいくかん)で]~。
 ・昔は、しゃがんでたばこを吸っている大人(おとな)がよくいたものだが、最近は見かけない。
 ・家族みんなでお墓(はか)の前にしゃがみ、手を合わせて祖母(そぼ)の冥福(めいふく)を祈った。
  ・しゃがむスタイルの和式(わしき)トイレが少なくなってきた。私は和式が好きなんだけど。
 ・道ばたにしゃがんでいた子どもに「どうしたの?」と聞いたら、「アリの巣(す)」と指さした。
  ・すいかの畑(はたけ)でしゃがんではいけない。すいかを盗(ぬす)もうとしていると思われるから。

<複合動詞:しゃがみ->
[しゃがみこむ] 人ガ 所ニ
  ・「もう、歩けない」と彼女は言い、木の陰(かげ)にくたくたとしゃがみ込んでしまった。 
 ・子どもが幼稚園に行きたくないと言って、玄関にしゃがみ込んでいる。登園拒否だ。
     床に その場に 枕元に 庭の片隅に ぐったりと だらしなく


うずくまる  五(うずくまらない・うずくまります・うずくまって・うずくまれば・うずくまろう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
 △うずくまりかける  うずくまってしまう  うずくまらないほうがいい  うずくまるな!
 △[急に/じっと/ぐったりして/ひっそり/息(いき)をひそめて/ひざを抱(かか)えて]~。
  △[足元(あしもと)/草むら/道ばた/岩陰(いわかげ)/物陰(ものかげ)/ドアの前]に~。
  ・女は、急にその場にうずくまって、苦しそうな顔をした。
 ・林の中を歩いていくと、暗い木陰(こかげ)に人影(ひとかげ)がうずくまっていた。      
 ・盛り場(さかりば)の電柱(でんちゅう)の横で、酔っぱらいがうずくまって吐(は)いている。
 ・「ことりさんのおはか」と書かれた小さな木の札(ふだ)の前で、小さなむすめがうずくまって泣
  いている。今晩のおかずは鶏肉(とりにく)なんだけど、、、、。
 ・猫が草むらにうずくまって、鳥をねらっている。


かがむ(屈む)  五(かがまない・かがみます・かがんで・かがめば・かがもう)
[1]〔人ガ〕
 △かがみかける  かがんでほしい  かがんでもらう  かがんだほうがいい
  かがまないといけない  かがませる  かがませられる  かがめ!  かがむな!
 △[ゆっくり/急に/すばやく/腰(こし)をまげて/前に/おじぎをするように]~。
  △[床(ゆか)/地面(じめん)/墓(はか)の前/道ばた/木の陰(かげ)]に~。
  ・ちょっとかがんで床のゴミを拾う。
 ・写真を撮(と)るとき、前列(ぜんれつ)の人に少しかがんでもらう。
 ・せまいトンネルの中を、ライトを照(て)らしながら、かがんで歩いていった。
 ・ボールが頭に当たりそうになったので、かがんでよけた。
 ・かがんで靴(くつ)のひもを結(むす)んでいたら、後ろから来た人にぶつかられた。
 ・地面の上をかがんだ姿勢(しせい)で探し回って、やっと落としたコンタクトレンズを見つけた。
<複合動詞:かがみ->
[かがみこむ] 人ガ 所ニ
 ・「どうしたの?」保育士がかがみこんで、泣いている幼児に話しかけた。
 ・刑事は死体の上に屈みこんで、服の汚れや体の様子を調べていた。


かがめる(屈める)  五(かがめない・かがめます・かがめて・かがめば・かがもう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かがめてはいけない  かがめなくてはいけない  かがめさせる  かがめろ!
 △[ゆっくりと/徐々(じょじょ)に/うやうやしく/ひょいと/軽く/大きく/くの字に]~。
  △[体/腰(こし)/上体(じょうたい)/上半身(じょうはんしん)/背中(せなか)]を~。
  ・背(せ)の高い夫(おっと)が体をかがめて、小さなむすめと話をしている。
 ・長い時間、腰をかがめて草取(くさと)りをしたら、腰が痛くなった。
 ・バレーボールの選手(せんしゅ)が巨体(きょたい)を屈めてコーチに叱(しか)られている。   
 ・昔のおじいさん、おばあさんは腰をかがめて歩く人が多かったが、最近はそういう人が少なくな
  った。


ひざまずく(跪く)  五(ひざまずかない・ひざまずきます・ひざまずいて・ひざまずけば・ひざ
  まずこう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
 △ひざまずきたくない  ひざまずくべきではない  ひざまずこうとした  ひざまずかせる
  ひざまずけ!  ひざまずくな!
 △[しずかに/うやうやしく/尊敬(そんけい)の念(ねん)をこめて/おそるおそる]~。
  △[足元(あしもと)/床(ゆか)/地面(じめん)/その場/王の前]に~。
 ・人々は教会の床にひざまずいて神に祈(いの)った。
  ・ベッドの枕元(まくらもと)にひざまずいて、病気の治癒(ちゆ)を祈った。
  ・罪人(ざいにん)はその場にひざまずき、王に許(ゆる)しを願った。
 ・権力(けんりょく)の前にひざまずくな。ひざまずくべきは、正義(せいぎ)に対してのみだ。

[2] 立つ・立てる

◇たつ
  人は座った状態から「立つ」、あるいは、あるところへ行ってそこに「立つ」が、ものは自分で立
つことはないので、人が「立てる」とその結果として「立っている」状態になる。場所は「所ニ」で
示す。建物の場合「建つ」を使うことが多い。
   人・ものガ 所ニ たつ
    人が家の前に立つ  木が家の前に立っている     駅前にビルが建つ予定だ
 人の場合は「所デ」も可能である。「所ニ」との違いは、
     どこに立っているか    人が家の前に立っている      場所の指定
    家の前で何をしているか    人が家の前で立っている      動作の説明
のような違いと言える。
 ふつうの場所でなく、社会的な意味を持つ場である例。
    人が裁判で証言に立つ   優位・首位・苦境に 立つ
  「立つ」の意味が発展して、出現・成立などの意を表す。
   ものガ たつ
    波・煙が 立つ  予定が立つ  悪い評判が立つ  申し訳が立たない
  人の能力、感情に関して、慣用的な表現がいくつかある。
   人ガ ものガ たつ
    あの人は 腕・筆・弁が 立つ   彼女は 腹・気が 立っている
  次の慣用表現は否定で使われる。
      あいつには歯が立たない
・複合動詞
 「たち-」の形の複合動詞は多くあるが、その中で「立つ」の意味を保持しているもの。 
 「立ち上がる」は、座ったり、寝たりしている状態から立つこと。
 「立ちこめる」は、煙・霧などが立ち、それがあたりに広がること。
 「立ちすくむ」は、恐ろしさなどのために、立ったまま動けなくなること。
 「立ちつくす」は、いつまでもずっと立ったままでいること。    
 「立ち続ける」は、立った状態を続けること。
 「立ち並ぶ」は、並んで立っていること。
 「立ち上る」は、煙などが高く上に上がること。
 「立ち働く」は、立って体をよく動かして働くこと。
 「立ちはだかる」は、前に立って進むのをじゃますること。ひゆ的に抽象的・社会的な問題につい
  ても言う。 
 「立ちふさがる」は、前に立って道などをさえぎること。    
 「立ちゆく」は、生活や経営が成り立つこと。多く否定で使う。
・以下は、「立つ」という意味が薄くなっているもので、後ろの動詞の所か、別の意味分野の中でと
りあげる。
 「立ち合う」「立ち上げる」「立ち至る」「立ち入る」「立ち遅れる」「立ち去る」「立ち止まる」
 「立ち直る」「立ち退く」「立ち回る」「立ち向かう」「立ち戻る」「立ち寄る」
・「-立つ」の形の複合動詞
 「そびえ立つ」は、そびえるようにして高く立っていること。
 「突っ立つ」は、まっすぐに立つこと。何もしないで立っていること。
・スル動詞「起立する」「再起する」「逆立ちする」「自立する」「独立する」「立候補する」がある。
◇たてる
 「立てる」は、「立つ」に対応する他動詞で、基本的にものを対象にする。対象が人の場合、「立
つ」の使役形「立たせる」を使う。
   人ガ ものヲ 所ニ たてる     人ガ 人ヲ 所ニ 立たせる
    広場にテントを立てる              生徒を校庭に立たせる 
 対象として、人の抽象的・社会的な役割を「ものヲ」としてとることができる。やや書きことば。
   人ガ ものニ ものヲ たてる
    裁判に証人を立てる  選挙に候補者を立てる
 この「証人」は「人ヲ」ではない。具体的な人はここに入れられない。
   ×裁判に田中さんをたてる
 「人ヲ立てる」は社会的な役割などを「ものニ」とした場合に限られる。これもやや書きことば。
   人ガ 人ヲ ものニ たてる
    友人を 証人・候補者に 立てる
 「立つ」の出現・成立などの「ものガ」に対応した「ものヲ」の用法がある。
   人ガ ものヲ たてる
    ほこりを立てる  予定を立てる  うわさを立てる  面目を立てる
・複合動詞:「立てる」の元の意味を保っているものと、そうでないものがある。
 「建て替える」は、前の建物を壊して、新しい建物を建てること。(「立て替える」は別語)
 「立てかける」は、ものの上のほうを他のものにもたれさせて立てること。
 「立て込む」は、家々がすき間なく立っていること。また、そのようにたくさんの人が集まったり、
  用事などが同じ時に重なったりして込むこと。 
 「立て直す」は、家を造り直すことと、社会的・精神的に好ましくない状態を元の状態に直すこと。
 「建て増す」は、今の建物に新しい部分を付け足すこと。
 「立てる」の意味が薄れているものとして、「立てこもる」がある。(→「こもる」)


たつ(立つ・建つ・起つ)五(たたない・たちます・たって・たてば・たとう)
[1]〔所ニ 人・ものガ〕
 △たってみる  たってはいけない  たったほうがいい  たたなければならない
  たたせる  たたれる  たてる  たっているべきだ  たっていようと思う  たて!
 △[ぼんやり/しずかに/じっと/ならんで/ずっと/しばらく]たっている
 △[家の前/門のところ/ベランダ/木の下/二人のあいだ/車のうしろ/台の上]に~。
  [白い家/ビル/高い建物(たてもの)/ホテル/塔(とう)/標識(ひょうしき)]がたっている
 ・若い者は、すわっていないで立ちなさい。
 ・そんな所に立っていないで、すわりなさい。
 ・丘(おか)の上に白い家が建っていますね。あれが彼女の家です。
 ・駅前に新しいビルが建つそうだ。しかし、どこに建てるんだろう。
 ・道にそって10メートルごとに電柱が立っている。    
 ・一日中(いちにちじゅう)店(みせ)に立っていたので、足がいたくなった。
 ・わたしは、まい朝ジョギングをしていますから、電車で長く立っていてもつかれません。
 ・足が痛そうですが、一人で立てますか。むりして立たないほうがいいですよ。
 ・学生にこの旗(はた)を持たせて、道の角(かど)ごとに立たせた。
 ・ちょっと、立たないでくれない? 前で立たれると、後ろの人は見えなくなるんだよ。
 ・この制度(せいど)は、いま曲がり角(まがりかど)にたっている。(問題点が多く、改正が必要)
 △[水面(すいめん)に泡(あわ)が/海面(かいめん)に波(なみ)が/町にうわさが]~。
  [煙(けむり)/ほこり/かげろう]が~。
 ・雨がふらないと、グラウンドにほこりが立ってしかたがない。
 ・私と先生の変なうわさが立って、こまっているわ。
 ・「火のないところに煙は立たない」ということわざがあります。あることが起こるには、かなら
  ずその原因(げんいん)があるという意味です。
[2]〔人ガ ものニ〕
 △[立場(たちば)/先頭(せんとう)/優位(ゆうい)/苦境(くきょう)]に~。
 ・意見が対立(たいりつ)した時は、あいての立場に立って考えることが大切です。
 ・高校の駅伝(えきでん)で、私たちのチームが首位(しゅい)に立った。
 ・兄(あに)の裁判(さいばん)で、私は証言(しょうげん)に立たなければならなくなった。
 ・次の会長選挙(せんきょ)で、候補者(こうほしゃ)として立つことになった。
[3]〔人ガ ものガ〕
 △[腕(うで)/筆(ふで)/弁(べん)]が~。[腹(はら)/気]が~。
 ・あの大工(だいく)はほんとうに腕(うで)が立つ。
 ・わかいのに、田中さんは筆も立つ(=字がじょうずだ)し、弁も立つ(=話がじょうずだ)。
 ・きのうの試合(しあい)でまけたので、チームのメンバーは気が立っている。
 ・タバコを道にすてる人を見ると、腹(はら)が立ってしかたがない。
[4]〔ものガ〕
 △[予定(よてい)/計画(けいかく)/めど/見通(みとお)し]が~。
 ・やっと夏休みの合宿(がっしゅく)の予定が立った。
 ・今後の見通しが立たなくて困っている。

<複合動詞:たち->
[たちあがる] 人ガ
 ・きゅうに立ち上がったら、目まいがした。
 ・権力者の腐敗を知って、市民が一斉に立ち上がった。
   客・一同・全員が 市民・警察・労働者が 一斉に おもむろに 勇敢に
   すっくと どっこいしょと ふらふらと 身軽く やおら 席を蹴って 椅子から
[たちいたる] ものガ ものニ
 ・こういう事態に立ち至っては、もうやり直すことはできない。進むのみだ。
   最悪の事態・やらなければならない羽目・深刻な関係・経営破綻に
[たちこめる] ものガ 所ニ
 ・あたりには白い煙が立ちこめていて、まわりに何があるのかわからなかった。
 ・霧が街に立ち込め、街灯がやわらかい光をあたりに投げかけていた。
   悪臭・朝靄・暗雲・ガス・霞・霧・疑惑・緊張・静けさ・蒸気・沈黙が
   におい・湯気・妖気・煙が  一面・川面・店内・部屋中に 重く 暗く 濃く
[たちすくむ] 人ガ
 ・突然、大きな犬にほえられ、思わず立ちすくんでしまった。
 ・冗談で飛び込み台の上に立ってみたが、足が立ちすくんで動けなくなった。
   驚いて おもわず ぎょっとして その場に しばらく 凍り付いたように
[たちつくす] 人ガ
 ・指導者を失い、後に残された者たちは、ただしょんぼりと路上に立ちつくしていた。
 ・先生に叱られた私は途方に暮れ、ぼう然とその場に立ちつくすばかりだった。
   その場・路上・廊下・炎天下に しょんぼりと ただ 半日 茫然と 途方に暮れて
[たちつづける] 人ガ 
 ・電車で終点までずっと立ち続けていたので、足が疲れてくたくただ。
 ・寒い中、じーっと立ち続けている仕事って、大変そうだなあ。
[たちならぶ] 人・ものガ 所ニ
 ・道沿いに立ち並ぶ家々の屋根が、朝の光の中に浮かび上がってきた。
 ・その場に立ち並ぶ大人たちの誰一人、この小学生の質問に答えられなかった。
      店・木・小屋・商店・倉庫・ビル・旅館が 一直線に 川沿いに ずらりと
[たちのぼる] ものガ
 ・家々の煙突から、朝の食事をしたくする煙が立ち上っていた。
 ・霧立ち上る秋の夕暮れ
   陽炎・朝霧・ざわめき・水蒸気・匂い・熱気・白煙・火柱・噴煙・湯気が
[たちはだかる] 人・ものガ 所ニ
 ・猟犬の目の前に立ちはだかったのは、大きな熊だった。
 ・着々と計画を進める我々の前に大きな問題が立ちはだかった。
      岩・壁・山・障害・バリケード・権力が 正面・目の前・行く手に
[たちはたらく] 人ガ
 ・のぞいてみると、店の中は満員で、店員が忙しそうに立ち働いていた。
 ・毎日こまめに立ち働いている職員さんたちを見ていると、大変だなあと思います。
   従業員・主婦・店員が こまめに あわただしく 忙しく きびきびと せわしく
[たちふさがる] 人・ものガ 所ニ
 ・部屋をでた我々の前に、人相の悪い男たちが立ちふさがった。
 ・計画の実現には、まだまだ多くの難問が立ちふさがっていた。
   壁・姿・塀・亡霊・山が  入り口・岐路・人生・ドアの前・目の前に
[たちゆく] ものガ
 ・会社が倒産し、父の再就職もうまくいかず、生活が立ちゆかなくなった。
 ・こんなに客が減ってしまっては、店の経営がとても立ちゆかない。
      経営・月日が  暮らし・生活・生計・店が~ない とても
<複合動詞:-たつ>
[そびえたつ] ものガ 所ニ
  ・湖を望む高台に美しい城がそびえ立っている。
  ・北側にそびえ立つ富士山の眺めは、何度見てもすばらしいものだ。
   火山・壁・巨木・城壁・絶壁・超高層ビル・鉄骨・塔・富士山・マンション・山が
[つったつ] 人・ものガ 
  ・久しぶりに実家に帰ったら、家の前に細長いビルが突っ立っていた。
  ・元バスケット選手だというのっぽの新入社員が、課長の机の前にのっそり突っ立って小言を言わ
    れていた。
   建物・火柱・峰が 庭・鼻先・眼前に  無愛想に 黙って

<スル動詞>
[起立(きりつ)する]  人ガ ものヲ
  ・社長が姿を見せると、全員が起立して迎えた。
  ・中学生の時は毎時間「起立! 礼! 着席!」という号令のもとに教師にあいさつをしていた。
   大学はなぜそうしないんだろう。
[再起(さいき)する]  人ガ
  ・足に故障を抱えていた彼は、もう再起(を)するのは難しいと思われていた。
  ・戦争で壊滅的な打撃を受けた産業も、十年の後には再起(を)していた。
[逆立ち(さかだち)する]  人ガ
  ・逆立ち(を)しておにぎりが食べられるだろうか。
  ・月に10万円貯めるなんて、そんなことは逆立ち(を)してもムリだ。(絶対できない)
[自立(じりつ)する]  人ガ
  ・自立(を)した人間となるために必要なのは、しっかりとした意志だ。
  ・親から自立(を)して、自分の考えで生きていきたい。
[独立(どくりつ)する]  人・ものガ (人・ものカラ)
 ・第二次大戦後、多くの新興国が独立(を)した。
  ・子どもが親から独立(を)するのは早いほうがいい。
 ・また一つの植民地が宗主国の支配から独立(を)した。
[立候補(りっこうほ)する]  人ガ ものニ
  ・学生会の次の会長選に立候補しようと思うんですが、応援していただけませんか。
  ・国会議員である父親が急死し、その娘が選挙に立候補することになった。
   議員・生徒会長・町長に  市長選・選挙・総裁選に


たたずむ(佇む) 五(たたずまない・たたずみます・たたずんで・たたずめば・たたずもう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
 △[静かに/ひっそりと/ぼんやり/しょんぼりと/無言(むごん)で/遠くを見ながら]~。
  △[海辺(うみべ)/木陰(こかげ)/墓前(ぼぜん)/窓際(まどぎわ)/丘(おか)の上]に~。
  ・彼女は窓際にじっとたたずんで外の景色(けしき)を見つめていた。
 ・母に叱(しか)られた妻は、しょんぼりと台所(だいどころ)にたたずんでいた。
 ・この絵は、池の縁(ふち)にたたずむ一人の女性の姿(すがた)をしっとりと描(えが)いている。
 

たてる(立てる・建てる)一(たてない・たてます・たてて・たてれば・たてよう)
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △たてたい  たててほしい  たててみる  たててある  たててしまう
  たててはいけない  たてなければならない  たてないようにする
  たてようとする  たてさせる  たてられる  たてさせられる
 △[いそいで/しっかり/まっすぐに/たくさん/どんどん/つぎつぎに/やたらに]~。
 △[家(いえ)/ビル/アパート/柱(はしら)/棒(ぼう)/学校/ホテル]を~。
 ・大工(だいく)さんが家を建てている。基礎(きそ)を作り、柱を立て、屋根(やね)をのせた。
 ・うちの前の空き地(あきち)の地主(じぬし)は、どうやらアパートを建てるつもりらしい。
 ・南側(みなみがわ)に高いビルを建てられたので、日がぜんぜんあたらなくなってしまった。
 ・卒業生が学校のにわに記念碑(きねんひ)を建てることになった。
 ・ここにテントを立てよう。
 ・祝日(しゅくじつ)に国旗(こっき)を立てる家はあまりない。
 ・警察(けいさつ)が道の曲(ま)がり角(かど)に標識(ひょうしき)を立てた。
 ・この子がとなりのご主人(しゅじん)に似ているですって? 平和(へいわ)な家庭(かてい)に波風
  (なみかぜ)を立てるような事を言わないください。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[いそいで/ゆっくり/慎重(しんちょう)に/じっくり/綿密(めんみつ)に/よく考えて]~。
 △[スケジュール/予定(よてい)/計画(けいかく)/方針(ほうしん)/対策(たいさく)]を~。
  「理論(りろん)/仮説(かせつ)/筋道(すじみち)/志(こころざし)]を~。
  ・まず、きちんと計画を立てましょう。計画を立てずに物事を始めてはいけません。
 ・旅行(りょこう)のスケジュールを立てているところです。
 ・排気(はいき)ガスによる大気汚染(たいきおせん)の問題に早く対策(たいさく)を立ててほしい。
 ・自然科学者(しぜんかかがくしゃ)は、仮説を立てて、それを実験でたしかめていきます。
 ・新しい記録を立てても、すぐ破られる。そうしたら、またさらに記録を立てればいい。
 ・ここは、私たちが30年前に結婚(けっこん)の誓(ちか)いを立てた場所だ。夫はもういないけど。
 △[音/寝息(ねいき)/足音(あしおと)/騒音(そうおん)/大声(おおごえ)]を~。
  [しぶき/泡(あわ)/波(なみ)/ほこり]を~。
 ・すぐ前の道をトラックが一日中大きな音を立てて走るので、うるさくてしかたがない。
 ・赤ちゃんがねていますから、大きな音を立てないでください。
 ・たまごはしっかりかきまぜて、よく泡を立てて下さい。
 ・強い風が水面に大きな波を立てている。 
  △[評判(ひょうばん)/うわさ]を~。[手柄(てがら)/面目(めんもく)]を~。
  [相手/上司(じょうし)/夫/顔(かお)]を~。
 ・私と彼女が付き合っているだなんて、変なうわさをたてないでください。
  ・その場では報告(ほうこく)した相手の顔を立てて、問題点は指摘(してき)しなかった。
  ・休日は昼から風呂(ふろ)をたてて、ゆっくり明るい中で湯につかることにしている。
 ・祖母(そぼ)は、日よう日には、にわでお茶を立てる。
 ・小さなことで腹(はら)を立ててはいけない。
[3]〔人ガ (ものニ) ものヲ〕
  ・次の会長選挙(せんきょ)には、このグループから候補者(こうほしゃ)を立てたいと思う。
 ・相手側(あいてがわ)は、裁判(さいばん)に強力な証人(しょうにん)を立ててきた。
  ・我々は会社との交渉(こうしょう)に代理人(だいりにん)を立てることにした。
  ・恋愛結婚(れんあいけっこん)でも、形式的に仲人(なこうど)を立てるということがよく行われる。
[4]〔人ガ 人ヲ ものニ〕
  ・国会選挙で、大学の先輩である山田さんを候補者に立てようという話が持ち上がった。
 ・結婚する時、友だちを証人に立てて、市役所に届け出た。
    
<複合動詞:たて->
[たてかえる] 人ガ ものヲ 
 ・父が建てた家を、私の代になって建て替えた。感慨があった。
   家・校舎・ホテルを 思い切って  そろそろ いい加減
 ・良雄が財布を忘れたので、食事代を立て替えてやったが、まだ返してくれない。
   金・切符代・税金・大金・宿賃を  快く 仕方なく  
[たてかける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・彼は、部屋の隅に立てかけてあった長い棒を持ってきて私に見せた。
 ・材木は壁に立てかけてあるだけで、何かあったらすぐ倒れかかってきそうだった。
      板・傘・カンバス・材木・自転車・スキー・はしごを 壁に 斜めに
[たてこむ] ものガ
 ・この辺は家が建て込んでいて見晴らしが悪い。
 ・今月はいろいろと行事が立て込んでいて忙しそうだ。
      客・仕事・スケジュールが やけに バカに やたらに 家・ビルが~でいる
[たてなおす] 人ガ ものヲ 
 ・古くなった家を思い切って建て直した。
 ・経営が悪化していた会社を新社長がみごとに立て直した。
 ・夏休みに崩れてしまった生活習慣を何とか立て直さないといけない。
   家・行き詰まった政治・看板・気分・気持・国・暮らし・計画・経済・財政・姿勢・
   社会保障・自宅・陣容・生活・戦略・体制・秩序・店を 一から 根本的に
[たてます] 人ガ ものヲ 
 ・子供が大きくなって家が狭くなってきたので、少し建て増した。
 ・あのデパートは新館を建て増したので、売り場がとても広くなった。
   家・倉・新館・茶の間・病院・部屋・一間を 新しく

[3] 寝る・寝かす 起きる・起こす
 体を床・地面につけるような姿勢を表す動詞。「寝る」「横たわる」「伏せる」など。基本文型は、
   人・ものガ 所ニ/デ 動詞
となる。「横になる」も使われる。対応する他動詞は「寝かせる」「横たえる」「横にする」など。
 自動詞の「-ている」の形は、動作の結果としての状態を表す。

◇ねる
 「寝る」は、「体を横にする」意味と、「眠る」意味がある。文型は同じ。複合動詞は意味的に2
つに分かれる。
    人ガ ものニ ねる
    たたみに寝る  寝転がる(横になる)  寝つく(眠る) 
 「寝る」に対応する他動詞は「寝かす・寝かせる(寝せる)」。使役形「寝させる」も使われる。
      人ガ 人ヲ ものニ ねかす/ねかせる
    けが人を床に寝かせる   ベッドに寝させる 
 ひゆ的な用法として、動物以外の物が休止状態にあることを表す用法がある。「-ている」の形で
使われる。
   ものガ (所デ) ねている
       資金が銀行で寝ている  資材が倉庫で寝ている
・複合動詞
 「寝込む」「寝付く」は、病気になって一日中寝ていること。
 「寝転がる」「寝転ぶ」は、ごろりと横になること。体を休めながら何かをすることが多い。
 「寝そべる」は、腹這い、または横になって寝ること。行儀が良くない、という含みがある。
◇よこたわる
 「横たわる」は、長いものが横になることで、人にも使える。動けなくて、という意味合いになる
ことが多い。障害物になることも言う。
   人・ものガ 所ニ よこたわる
        ベッドに横たわる  大木が道に横たわっている  問題が横たわる
 対応する他動詞は「横たえる」。「人が体を」では「横たわる」と同じ。
   人ガ 人・ものヲ ものニ よこたえる
    看護士が病人をベッドに横たえる  けが人が体を横たえる
◇ふせる
 「伏せる」は、体を下に向けて横になること。見つかりにくいように、という意味合いがある。
「体を伏せる」とすれば他動詞だが、「人ガ 伏せる」だけなら自動詞と見なせる。
      人ガ 所ニ ふせる
    兵士が草むらに伏せる   
 より一般的な名詞をとる「人ガ ものヲ 伏せる」という用法は、他のところでとりあげる。
◇おきる
 「寝る」の反対の意味を表す「起きる」は「自分の体を起こす」ことであるが、「眠り」を終えて
活動を始めることも表す。
   人ガ おきる
    倒れてもすぐ起きる  朝7時に起きる 
・複合動詞
 「起き上がる」は、横になっていた体をおこすこと。さらには立ち上がること。
    ベッドの上に起きあがる   倒れたボクサーが起きあがる 
  「飛び起きる」は、勢いよく起きあがること。「跳ね起きる」は、跳ねるように勢いよく起きあが
ること。
    目覚ましが鳴ると同時に 飛び起きる/跳ね起きる
◇おこす
 「起こす」は、水平になっていたものを垂直に近い状態にすること。眠っているものを目覚めさせ
ることも表す。
     人ガ 人・ものヲ おこす
    毎朝子どもを起こす  倒れた台を起こす
・複合動詞は、起こすやり方を表すものが多い。
 「抱え起こす」「抱き起こす」「引き起こす」はそれぞれ「抱えて~」「抱いて~」「引いて~」こ
とを表す。「助け起こす」は、助けるために起こす場合。「揺り起こす」は体を揺らして目覚めさせ
ること。(→「睡眠」)


ねる(寝る)一(ねない・ねます・ねて・ねれば・ねよう) 
[1]〔人・ものガ ものニ〕
 △ねたい  ねそうだ  ねてしまう  ねてみる  ねておく  ねてある
  ねてはいけない  ねてもいい  ねないようにする  ねたほうがいい
  ねようとする  ねかせる  ねられる
 △[少し/ゆっくり/のんびり/ゆうゆうと/きもちよさそうに/くるしそうに]~。
  [ごろっと/ごろりと/ごろごろ/ばたんと/だらしなく/いたそうに]~。
  [あおむけに/うつぶせに/横向きに/体を丸めて/体をまっすぐ伸ばして]~。
 △[ベッド/ソファー/たたみ/床(ゆか)/草の上/砂浜(すなはま)]に~。
 ・寝ながら本を読んでいると眠くなってくる。
 ・わたしがへやに入った時、兄はたたみにうつぶせになって寝ていた。
 ・病気の友人(ゆうじん)を見舞(みま)いに行くと、ベッドでつまらなそうに寝ていた。
 ・「じゃ、そこの診察台(しんさつだい)に寝てください」とお医者(いしゃ)さんが言った。
 ・かぜで10日も寝ていたら、もう寝るのにあきた。
 ・しばふに寝て、そらに浮かぶ白いくもを見ていると、このあとの授業(じゅぎょう)なんかどうで
  もいいような気がしてくる。
  ・こら、こんなところに寝て(い)るんじゃない。通るのにじゃまだ。
 ・たたみはどこでもごろっと寝られるのがいいよね。ベッドは倒れ込めるのがいいけれど。

<複合動詞:ね->
[ねこむ] 人ガ
 ・私はあんまり忙しかったので、とうとう病気になって寝こんでしまった。
 ・長い間寝込んでいたので、足がすっかり弱ってしまった。
   風邪・病気・ショックで しばらく どっと 長いこと 体を壊して 疲れが出て
[ねころがる] 人ガ ものニ
 ・夕食のあと、たたみに寝転がって新聞を読んでいた。
 ・息子はソファーに寝転がって、子犬と遊んでいる。
   草原・畳・ベッド・シートに 仰向けに 大の字に ごろりと ごろごろと
[ねころぶ] 人ガ ものニ
 ・このていどの本はうちで寝ころんで見るのにちょうどいい。
 ・ベッドに寝ころびながら先生に電話をするなんて、しつれいだよ。
   草むら・芝生・ソファー・畳・浜辺に 腹這いに 勢いよく ごろんと
[ねそべる] 人ガ ものニ
 ・ソファーに寝そべってテレビを見る。私の日曜日の楽しみ。
 ・猫は日だまりで、犬は木陰で寝そべっている。みんな気持ちよさそうだ。
   犬・猫が 芝生・木陰・地面・畳・長椅子・布団・道の真ん中に 長々と
[ねつく] 人ガ ものニ
 ・父は会社の倒産問題がやっと解決すると、その疲れからどっと病の床に寝ついた。


ねかす(寝かす)五(ねかさない・ねかします・ねかして・ねかせば・ねかそう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ 所ニ〕
 △ねかしておく  ねかしてある  ねかしたほうがいい  ねかしてはいけない 
  ねかそうとする  ねかされる 
 △[少し/ゆっくり/じゅうぶん]~。
 △[赤んぼう/子ども/病人/けが人]を~。
 ・けが人を早くそこのベッドに寝かしてください。
 ・けがをした人たちが部屋(へや)のあちこちに寝かされていた。
 ・たおれるとあぶないから、そのハシゴは床(ゆか)に寝かしておいた方がいいですよ。


よこたわる(横たわる)  五(よこたわらない・よこたわります・よこたわって・よこたわれば
  ・よこたわろう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △よこたわりたい  よこたわってしまう  よこたわっていてはいけない  よこたわるな!
  △[ぐったりと/ごろりと/長々(ながなが)と/丸太(まるた)のように/だらしなく]~。
 △[祖父(そふ)/病人(びょうにん)/負傷者(ふしょうしゃ)/遺体(いたい)/死体(したい)]が~。
  [床(ゆか)/足元(あしもと)/死の床(とこ)/寝床(ねどこ)/棺桶(かんおけ)]に~。
  ・父はベッドに横たわって苦しそうにしていた。
 ・歩き疲れた人々は、冷たい草の上にぐったりと横たわっていた。
 ・我々は、撃(う)たれて戦場に横たわった戦友(せんゆう)をそのままにして行かざるをえなかった。
 ・嵐(あらし)で倒(たお)れた大木(たいぼく)が道に横たわり、車の進行をはばんでいた。
 ・天の川が空に横たわっているように見える。      


よこたえる(横たえる)  一(よこたえない・よこたえます・よこたえて・よこたえれば)
[1]〔人ガ 人・ものヲ ものニ〕
 △よこたえてみる  よこたえてもいい  よこたえさせる  
 △[そっと/静かに/やさしく/慎重(しんちょう)に//]~。
  △[ベッド/寝床(ねどこ)/草の上/ベンチ/芝生(しばふ)/砂浜(すなはま)]に~。
  ・彼女は疲れ切った体をぐったりとベッドに横たえて、しばらく動かなかった。
 ・ホテルの人たちが意識(いしき)を失って倒れた女性をソファーの上にそっと横たえた。
 ・港(みなと)には、私たちがこれから乗る船が静かに船体(せんたい)を横たえていた。

ふせる(伏せる)  一(ふせない・ふせます・ふせて・ふせれば・ふせよう)
[1]〔人ガ (所ニ/へ)ものヲ〕
 △ふせかける  ふせておく  ふせてしまう  ふせてはいけない  ふせなくてはいけない
  ふせようとする  ふせさせる  ふせられる  ふせろ!  ふせるな!
 △[さっと/すばやく/いそいで/あわてて/静かに/ゆっくりと]~。
  △[体/上半身(じょうはんしん)/顔/目/トランプ/茶わん]を~。
  ・人の声が近づいてきたので、彼は草むらに身を伏せた。
 ・危ない! 床に伏せろ! 
 ・子どもはちょっと恥(は)ずかしそうに顔を伏せた。
  ・手品師(てじなし)は机にコップを伏せた。
 ・彼女がへやに入ってきたので、私は本を伏せて机の上に置いた。
 ・カードを相手に見えないようにテーブルに伏せておく。   
 ▽「母は長い間ふせっている」の「ふせる」は別の動詞で五段活用 


おきる(起きる)一(おきない・おきます・おきて・おきれば・おきよう)
[1]〔人ガ〕
 △おきかける  おきてほしい  おきてみる  おきてはいけない  おきてしまう
  おきなくてはいけない  おきさせる  おきられる  おきろ!  おきるな! 
 △[早く/すぐ/さっと/すばやく/勢(いきお)いよく/静かに/ゆっくり]~。
 △[赤ちゃん/子供(こども)/母親(ははおや)/おじいさん/ねこ]が~。
  ・居間(いま)で寝転(ねころ)がっていた娘(むすめ)が急に起きて、さけんだ。「ゴキブリ!」
 ・私は子供がころんでも、起こさないで、自分で起きる(=起き上がる)のをまつことにしている。
 ・病気で寝ていた母が、ベッドの上で起きていられるようになった。

<複合動詞:おき->
[おきあがる] 人・ものガ
 ・その子はころんでもすぐに起き上がって、ズボンのどろをはらった。
 ・とてもつかれていたので、どうしても起き上がることができなかった。
 ・倒されても倒されても、また起き上がって相手に向かっていった。
   犬・髪の毛が ベッドから 元気に いきおいよく やおら とっさに
<複合動詞:-おきる>
[とびおきる] 人ガ
  ・夜中に地震があったので、家中のものがとび起きたが、弟だけはへいきで寝ていた。
  ・父は毎朝、5時にとび起きて、にわへ出てそうじや体操をやる。
      ベッドから がばっと びっくりして 反射的に はっと気付いて
[はねおきる] 人・ものガ
 ・新しい目覚ましの特大のベルが鳴り、弟はベッドから跳ね起きた。
 ・芝生に寝転んでいたとき、地面がゆれるのを感じ、あわてて跳ね起きた。
      寝床を 布団・ベッドから 元気に とっさに 反射的に がばっと


おこす(起こす)五(おこさない・おこします・おこして・おこせば・おこそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △おこしかける  おこしてほしい  おこしておく  おこしてはいけない  おこしてしまう
  おこさなければならない  おこさせる  おこされる  おこせ!  おこすな!
 △[ゆっくり/そっと/ぐいと/力いっぱい/らんぼうに/むりに]~。
 △[子ども/妹(いもうと)/病人(びょうにん)の体/倒(たお)れた木]を~。
 ・きのうは体がとてもだるくて、ふとんから体を起こすことができなかった。
 ・そこにある台を起こしてください。
 ・台風(たいふう)で倒れた木を起こさなくてはならない。

<複合動詞:-おこす>
[かかえおこす] 人ガ 人ヲ
 ・警官は、倒れている女性の上半身を抱え起こすと、意識があるかどうかを確かめた。
 ・父は倒れた母を抱え起こして抱き上げ、ベッドに運んだ。
      体・死体・上体・上半身・女性・青年を
[だきおこす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・寝たきりの母親を抱き起こして、食事を食べさせた。
 ・保育士は転んで泣いている子を急いで抱き起こして、「どこが痛いの?」と聞いた。
      男・肩・体・子供・死骸・上半身・泣いている子を 急いで
[たすけおこす] 人ガ 人ヲ 
 ・倒れて動けなくなっていた人を助け起こして車に乗せた。
 ・誰かが倒れた選手を助け起こしたりすると、その選手は失格になってしまうそうだ。
      少女・選手・子分を 国を
[ひきおこす] 人ガ ものヲ  
 ・救急隊員が倒れている人の上体を引き起こして、意識があるかどうかを確かめた。
 ・いなかへ遊びに行っていたうちの子がちょっとした事件を引き起こしたらしい。
      上体・相手・オートバイ
      


[4] 姿勢 いろいろ
  基本の「座る・立つ・寝る・起きる」以外の姿勢を表す動詞。

◇あおぐ
 「仰ぐ」は、顔を上に向けて上方を見ること。ひゆ的に人を尊敬すべきものとしてみること、教え
や助けを乞うことを表す。用法によって文型の違いがはっきり現れる動詞。
   人ガ ものヲ あおぐ
    空を仰ぐ  富士山を仰ぐ
   人ガ 人ヲ ものト あおぐ
    その人を師とあおぐ  指導者として仰ぐ
   人ガ 人ニ ものヲ あおぐ
    社長の指示を仰ぐ  参加者の協力を仰ぐ
・複合動詞「振り仰ぐ」は、(顔を早く動かして)上の方を見ること。
◇うつむく・うつむける
 「うつむく」は、顔を下の方に向けること。その姿勢が心理的な元気のなさを暗示する。
  「うつむける」は、顔を下に向けること。「うつむく」と同じだが、「顔を」をとる。
   人ガ うつむく
        うつむいて歩く
   人ガ ものヲ うつむける
    顔をうつむける
◇うつぶせる
  「うつ伏せる」は、顔を下に向け(腹を床や地面につけ)て横たわること。
   人ガ 所ニ うつぶせる
        兵士が草むらにうつ伏せている
◇そる
   「反る」は、平らなものが(弓形に)曲がること。
   ものガ (ものニ) そる
    体が後ろに反る  棚が重さで反る  反った板
◇そらす
 「反らす」は自分の一部を(ふつうとは反対のほうに)反るようにすること。
      人ガ ものヲ そらす
      上体を後ろに反らす  胸を反らす
  体を前に、では「上体を前に曲げる」となる。
◇かまえる
 「構える」は、建物などを作り、整えること。ある目的のために何かを準備すること。ある姿勢・
態度をとること。やや書きことば。
   人ガ (所ニ) ものヲ かまえる
      駅前に店を構える    腰を低く構える  のんびり構える
 複合語「身構える」(名詞+動詞)は、何かが迫ってくるのに対して、構える姿勢をとること。
◇もたれる
 「もたれる」は、体が楽になるように何かに体をつけ、それを支えにすること。「よりかかる」よ
りも体重をまかせてしまう感じが強い。
      人ガ ものニ もたれる
    壁・手すりに もたれる
・複合動詞
 「もたれかかる」は、体全体を何かにもたれさせること。
  「よりかかる」は、体を斜めにして他のものにつけ、体重をかけて楽にすること。
◇またぐ
   「またぐ」は、足を広げて何かの上を越えること。
   人・ものガ ものヲ またぐ
        柵・ラインを またぐ  川をまたいだ橋
◇またがる
   「またがる」は、またをひらいて、足を何かの両側において乗ること。ひゆ的に、隣り合ったも
のの両方に関わるようなことを表す。
   人・ものガ ものニ またがる
        馬・ラクダに またがる  二つの世紀にまたがる仕事


あおぐ(仰ぐ)  五(あおがない・あおぎます・あおいで・あおげば・あおごう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △あおぎたい  あおいでみる  あおいではいけない  あおがなければならない
  あおごうとする  あおがれる  あおぐな! 
 △[ゆっくりと/悠然(ゆうぜん)と/はるかに]山の頂(いただき)を~。
  △[青空(あおぞら)/天/月/星空(ほしぞら)/夕焼(ゆうや)け/夜空(よぞら)]を~。
  ・夜空を仰いでまたたく星をみつめた。君のいない砂浜(すなはま)はさびしい。
 ・夕焼けを仰ぎながら思うのは、自然はなんとむだに美しいことか、ということだ。
 ・北に富士(ふじ)を仰ぐこの旅館は、古くから画家や小説家が泊まるところとして有名だ。
 ・林の中を散歩(さんぽ)して、ふと頭上(ずじょう)を仰ぐと、、、鳥のフンが落ちてきた。
[2]〔人ガ 人ヲ ものト〕                     
 ・私はその人を師と仰いで、その一言(ひとこと)一言をこころに刻(きざ)み込んだ。
 ・死刑(しけい)になった独裁者(どくさいしゃ)を、国の指導者(しどうしゃ)として仰いだ人たちは、
  今、何を考えているのだろうか。
[3]〔人ガ 人ニ ものヲ〕                                              
 △[援助(えんじょ)/教え/協力(きょうりょく)/指示(しじ)/指導(しどう)]を~。
  ・議論(ぎろん)は最後までまとまらず、我々は社長の指示を仰いだ。
 ・この問題の解決はかなり時間がかかるものと思われます。関係各所のご協力を仰ぎたく、せつに
  お願い申し上げます。

<複合動詞:-あおぐ> 
[ふりあおぐ] 人ガ ものヲ
 ・上空を振り仰ぐと、はるか高いところにジェット機が小さく見えた。
 ・かなり下ってから後ろを振り仰ぐと、夕日に照らされた山の頂上が美しかった。
   上・枝の先・顔・ジェット機・城壁・空・太陽・山・夜空を  


うつむく  五(うつむかない・うつむきます・うつむいて・うつむけば・うつむこう)
[1]〔人ガ〕
 △うつむきがちだ  うつむいてしまう  うつむいてはいけない  うつむかないほうがいい
  うつむかせる  うつむくな!
  △[悲しそうに/寂(さび)しそうに/恥(は)ずかしそうに/しょんぼりと/力なく]~。
  ・彼はうつむいたまま、顔を上げようとしなかった。
  ・学生たちは、自信がないのか、やる気がないのか、うつむいてばかりいて何も言わない。
  ・うつむいて歩かずに、顔を上げて歩いたほうがいいよ。
 ・彼は妻(つま)を亡(な)くしてからというもの、いつもうつむきがちに歩いている。

        
うつむける  一(うつむけない・うつむけます・うつむけて・うつむければ・うつむけよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △うつむけがちだ  うつむけてしまう  うつむけないほうがいい
  △[悲しそうに/寂(さび)しそうに/恥(は)ずかしそうに/しょんぼりと/力なく]~。
 ・顔をうつむけて黙り込んでしまった。
 ・彼はどうも元気がなく、毎日顔をうつむけて力なく歩いている。
 ・一度上げた顔をまたうつむけた。


うつぶせる(うつ伏せる) 一(うつぶせない・うつぶせます・うつぶせて・うつぶせれば・うつ
  ぶせよう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
 △うつぶせてしまう  うつぶせなければならない  うつぶせさせる  うつぶせろ!
 △[さっと/あわてて/ずっと/じっと/ぐったりと/体を伸(の)ばして]~。
 ・では、このベッドにうつ伏せてください。
 ・我々は草むらの中にうつぶせて、敵に見つからないようにしていた。
 ・母はふとんにうつぶせたまま、顔を上げようとしなかった。
  ・乳児(にゅうじ)をうつ伏せて寝かせると、窒息(ちっそく)するおそれがある。
 ☆「うつぶす」(五段活用)の形もある。
  うつぶさない・うつぶします・うつぶして・うつぶせば・うつぶそう


そる(反る)  五(そらない・そります・そって・それば)
[1]〔ものガ (ものデ) ものニ〕
 △そりやすい  そってしまう  そらないようにする
 △[後(うし)ろ/横(よこ)/斜(なな)め/しなやか/弓(ゆみ)なり]に~。
  △[板(いた)/本の表紙(ひょうし)/木の枝(えだ)/背骨(せぼね)/指(ゆび)]が~。
 ・ボクサーの身体(からだ)が後ろに大きく反った。  
 ・木の枝に雪が積(つ)もって大きく下に反っている。   
  ・棚(たな)が本の重さで弓形(ゆみがた)に反っている。
 ・こんな反った板は使えないよ。まっすぐな板はないの?
 ・本の表紙が日に当たって反ってしまった。 
<複合動詞:そり->       
[そりかえる] 人ガ 人ものヲ
 ・叔父はソファーにどっかりと腰を下ろし、反り返ってテレビを見ていた。
 ・安物の雑誌らしく、ビニールの表紙が陽に当たって反り返ってしまっている。

そらす(反らす)  五(そらさない・そらします・そらして・そらせば・そらそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △そらしてみる  そらさなければならない  そらさせる  そらすな!
 △[しなやかに/思いきり/できるだけ/ぐいっと/悠然(ゆうぜん)と/]~。
  △[頭/肩(かた)/胸(むね)/上体(じょうたい)/体/身(み)]を~。
  ・映画の中で、体を後ろに大きく反らして銃弾(じゅうだん)をよけたが、あんなことできるのか?
 ・ギャングのボスはソファーに深く座り、胸を反らして偉(えら)そうな顔をしている。
 ・この寺(てら)の本堂(ほんどう)は、屋根(やね)の線を軽く反らしてあるのがじつに美しい。
     (「逸(そ)らす」は別語 → 「ものの動き」)


かまえる(構える)  一(かまえない・かまえます・かまえて・かまえれば・かまえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[ナイフ/ピストル/刀(かたな)/ペン/ラケット/ミット]を~。
  ・富士山(ふじさん)に向かってカメラを構え、夕日(ゆうひ)の輝(かがや)きをとらえようとした。
  ・門の前には銃(じゅう)を構えた兵士(へいし)が立ち、厳(きび)しい目で私を見つめていた。
  ・ドアの回りには、多くのテレビ記者がマイクを構えて首相(しゅしょう)が来るのを待っていた。
 ・組合(くみあい)は、交渉(こうしょう)の最後の手段(しゅだん)として、ストを構えている。
 ・腰(こし)を低く落として構え、相手にぶつかっていった。
[2]〔人ガ〕
  ・みんなはうまくいくだろうとのんびり構えているが、本当にだいじょうぶだろうか。
 ・まだ日にちがあるとのんきに構えていたら、もう明日が締(し)め切りだ。こまった。
[3]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
  △[家/屋敷(やしき)/城(しろ)/豪邸(ごうてい)/店/店舗(てんぽ)/事務所]を~。
  ・このチェーン店は、私鉄路線(してつろせん)の主な駅に店を構えている。
 ・結婚後は、都心(としん)に新居(しんきょ)を構え、ミュージシャンとして活動を続けるそうだ。

<複合動詞:-かまえる>
[みがまえる] 人ガ   (名詞+動詞)
 ・部屋に入ると、男が立っていた。私は無意識に身構えた。
 ・道ですれ違ったネコは、私の動きを見つめながら身構えているようだった。


もたれる(凭れる)  一(もたれない・もたれます・もたれて・もたれれば・もたれよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △[ぼんやり/ぐったりと/深く/力なく]~。
  △[いす/壁(かべ)/机(つくえ)/テーブル/手すり/柱(はしら)/人の胸(むね)]に~。
  ・彼はだれと話す気もなく、壁にもたれてぼんやりしていた。
 ・ダンスをしながら、彼の胸にもたれて、私は幸せだった。
 ・深々(ふかぶか)とソファーの背(せ)にもたれて、ワイングラスを傾(かたむ)けていた。
  ・窓にもたれてぼんやり外の景色(けしき)を眺めていたら、どこかから音楽が聞こえてきた。
[2]〔ものガ〕
  ・どうも胃(い)がもたれる。夕べ肉を食い過ぎたせいだろうか。
<複合動詞:もたれ->
[もたれかかる] 人ガ ものニ 
 ・終電で隣に座った酔っ払いが眠り込み、私にもたれかかってきた。最低。
 ・彼女は、グラスを片手に、壁にもたれかかって連れと話していた。
<複合動詞:その他>
[よりかかる]人ガ ものニ                 
 ・このかべに寄りかからないでください。たおれやすいのです。
 ・彼女は大人になっても、精神的に母親に寄りかかっているところがある。
 ・常識に寄りかかって判断してはいけない。自分の頭で考えるようにしなさい。


またぐ(跨ぐ)  五(またがない・またぎます・またいで・またげば・またごう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △またいではいけない  またごうとする  またげない  またぐな! 
 △[軽く/ひょいと/大きく/一足(ひとあし)で]~。
  △[道路(どうろ)/国境(こっきょう)/センターライン/線/川/ロープ/柵(さく)]を~。
  ・彼女は低い柵をひょいとまたいで畑の中に入ってきた。
 ・巨人(きょじん)は高い塀(へい)を一足でまたいで中に入ってきた。
 ・足の短い私がロープをまたごうとしたら、足が引っかかって転(ころ)んでしまった。   
 ・たたみに寝ている私を妻がまたいでいった。うーむ。軽く見られているなあ。
 ・国境の川をまたいで橋(はし)がかかっている。


またがる(跨る) 五(またがらない・またがります・またがって・またがれば・またがろう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △またがってみる  またがらないほうがいい  またがろうとする  またがれ!
 △[ひらりと/ひょいと/軽(かろ)やかに/こわごわと/堂々(どうどう)と]~。
  △[馬/らくだ/オートバイ/自転車のサドル/人の背中(せなか)]に~。
  ・ラクダにまたがってピラミッドを見に行きたい。
 ・昔の魔女(まじょ)はほうきにまたがって空を飛んでいたが、今のアニメではどうしている?
 ・小さい子がお父さんの背中にまたがって楽しそうだ。
  ・この民族の居住地域(きょじゅうちいき)は二つの国にまたがっている。
  ・10年にまたがる大きな仕事だったが、そろそろ終わりが見えてきた。

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