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                              ◇対人:精神◇
 
    [1] 教える・示す  
    [2] 勧める  
   [3] 頼む・命じる・禁じる 
   [4] 許す・認める・断る  
   [5] 謝る・感謝する  
   [6] ほめる・祝う  
   [7] けなす・軽蔑する  
   [8] 励ます・慰める  
   [9] 尊敬する  
   [10] だます・逆らう  
   [11] 責める・いじめる  
 
 
    人に対する行為を表す動詞をとりあげる。初めに、精神的な関わりを表す動詞。
    言語を使うものが多いので、「言語」の動詞とのつながりが大きい。名詞節・引用節を
   とる動詞が多い。
 
 

         ◇対人:精神1◇
 
 [1] 教える・示す

  教える  教え込む 教え諭す  植え付ける 吹き込む    
          教育する 教授する 訓練する 啓蒙する コーチする  指導する
     教わる  習う  
     諭す
     示す    
     指す   指し示す    暗示する 掲示する 指示する 指摘する 提示する 展示する

 [2] 勧める

   勧める  働きかける  奨励する 推薦する 忠告する   
     うながす

 [3] 頼む・命じる・禁じる

     頼む   頼み込む  依頼する 
   頼る   頼り切る  泣きつく
     願う    願い上げる 願い出る  
     命令する 命じる  言いつかる 言いつける 申しつける  指図する 指示する
     禁じる    禁止する

 [4] 許す・認める・断る

   許す     許可する 許容する 勘弁する  
     認める   受け入れる 聞き入れる 聞き届ける 公認する 承諾する 承認する
          認可する
     断る
     拒む      突っぱねる 拒絶する 拒否する 辞退する  

 [5] 謝る・感謝する

   謝る   謝罪する   
      わびる   言い訳する 告白する 弁解する
      感謝する

 [6] ほめる・祝う

   ほめる  ほめ上げる ほめそやす ほめ称える 褒め立てる 褒めちぎる 
       たたえる  賛美する 賞賛・称賛する 
   祝う   お祝いする 祝福する



[1] 教える・習う・示す
  「聞く・尋ねる」に対応する動詞として、「答える」のほかに「教える」などがある。
  「示す」は具体的な動作と、抽象的な内容の場合がある。
◇おしえる
  「教える」は、知識・技術などをわかりやすく説明し、相手の身につくようにすること。相手のニ
格、対象のヲ格をとるほか、名詞節・疑問節・引用節をとる文型がある。人を対象のヲ格としてとる
文型もある。
   人ガ 人ニ ものヲ おしえる
        人に道を教える  留学生に日本語を教える
   人ガ 人ニ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ヨウニ/文ト おしえる
        人はうそをつくものだということを子どもに教える  どうすべきか(を)教える  
    生徒にこの道を行くように教える  うそをついてはいけないと教える
   人ガ 人ヲ おしえる
    今年は3年生を教える  あの学生を教えたことがある
・複合動詞:「おしえ-」の形のものがある。
 「教え込む」は、相手が本当によくわかるまで教えること。
 「教え諭す」は、目下の者を物事の是非がわかるように教えること。
 類義の複合動詞
 「植え付ける」は土に植物を植えるように、人の心にある考えを残そうとすること。
 「吹き込む」は、人にある考えを信じさせようとすること。
・スル動詞
 「教育する」は、能力を伸ばし、社会の一員として生きていけるように、知識や技能を教えること。
  特に、学校で教師が生徒を教えることを言うことが多い。
 「教授する」は、学問・技術・技芸などを教えること。
 「コーチする」は、スポーツの技術などを実地に教えること。
 「指導する」は、(直接)相手に説明したり、質問に答えたりして教えること。
 「啓蒙する」は、人々に正しい知識を与え、ものの道理がわかるように導くこと。
 「訓練する」は、ある能力・技術などを十分に身につけるまでくり返し練習させること。
◇おそわる
 「教わる」は、教えてもらうこと。相手としてニ格またはカラ格をとる。名詞節・疑問節・引用節
をとる文型がある。
 「教える」の受身形「教えられる」と類義。「教わる」のほうが「教えてもらう」という「恩恵」
の意味合いがはっきり出る。
      人ガ 人ニ/カラ ものヲ 教わる
    兄に数学を教わる
   人ガ 人ニ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ヨウニ/文ト 教わる
        攻めるより守ることを教わる  どう考えるか(を)教わる
    そうするように教わる  自分を大切にしろと教わる 
◇ならう
 「習う」は、知識・技術などを教えてもらうこと。また、それをくり返し練習して身につけること。
名詞節・疑問節・引用節をとる文型がある。
      人ガ 人ニ/カラ ものヲ 習う 
        車の運転を習う
   人ガ 人ニ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ヨウニ/文ト 習う
        人にあいさつをすることを習う  どうすべきか習わなかった
    おじぎをするように習う   ルールを守れと習う
◇さとす
 「諭す」は、目上の者が下の者に物事の是非をよくわかるように言い聞かせること。書きことば。
   人ガ 人ニ ものヲ/文ト さとす
    親が子に心得違いを諭す  人生の道理を諭す  こういうことをしてはいけないと諭す
   人ガ 人ヲ さとす
    親が子を諭す    
◇しめす
 「示す」は、相手にはっきり分かるように、何かを見せること。人・ものが人に方向を教えること。
人に物事の内容を目に見える形にしてみせること。伝えたい意味や気持ちを何かの方法で表すこと。
 相手のニ格、対象のヲ格の他、示す方法としてのニ格をとる。名詞節・疑問節も受ける。
   人・ものガ (人ニ) ものヲ 示す
       警官に免許証を示す  指で答えを示す  矢印が進む方向を示す  
     人ガ ものニ ものヲ 示す
     結果に 興味・不満を 示す
   人ガ ものヲ ものニ 示す
    変化をグラフに示す  気持ちを態度に示す
   人・ものガ 文(か)ヲ 示す
    この記号はトイレがあることを示す  距離が何キロあるか示す
◇さす
 「指す」は、指などをその方向に向けてある物事の場所を教えること。
   人・ものガ 人・ものヲ 指す
      教師が学生を指す(何かの課題をする学生を決める)  磁石の針が北を指す
・複合動詞「指し示す」は、(指などを向けて)人に示すこと。
・スル動詞
 「指示する」は、指などで指し示すこと。人に命令すること。
 「指摘する」は、問題となること、注意すべきことなどを具体的に取りあげて示すこと。
 「提示する」は、ものを相手に差し出して見せること。問題となる事柄をとりあげて示すこと。
 「暗示する」は、手がかりとなる情報をそれとなく示すこと。
 「掲示する」は、伝達事項などの文書を人の目につくところに掲げ、人々に示すこと。
 「展示する」は、作品や資料などを並べて多くの人が見られるようにすること。


おしえる(教える) 一(おしえない・おしえます・おしえて・おしえれば・おしえよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △おしえてほしい  おしえておく  おしえてみる  おしえてはいけない
  おしえてもらう  おしえたほうがいい  おしえないほうがいい   
  おしえなければならない  おしえさせる  おしえられる  おしえさせられる
  おしえろ!  おしえるな!
 △[少し/だいたい/ぜんぶ/完全(かんぜん)に/こまかいところまで]~。
  [こまかく/ていねいに/しんせつに/いいかげんに/わかりやすく]~。
 △[数学/中国語/道/住所(じゅうしょ)/使い方]を~。おいしいお店(みせ)を~。
 ・父は中学で数学を教えています。
 ・駅へ行く道を教えていただけませんか。
 ・コピーの機械(きかい)の使い方を教えてください。
 ・外国で日本語を教えたが、教えるよりも教えられる事の方が多かったように思う。
 ・教わろうという気もちのない者には、いくら教えてもだめだ。
 ・この子は世(よ)の中の事をまだよく知らないから、悪い事を教えないでくださいよ。
 ・独裁者(どくさいしゃ)は必ず滅(ほろ)びる。これは歴史(れきし)の教える所だ。 
〔文ヲ〕
 ・世の中の人がこんなに冷たいという事をだれも教えてくれなかった。
 ・この問題はやらなくてもいい(という)ことを学生に教えなかった。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・どうしたらいいか教えてください。
 ・このやり方でいいかどうか教えてください。
[2]〔人ガ 人ヲ〕
 △[一年生/子ども/中学生/外国人]を~。
 ・わたしはあの学生を教えていないが、どんな学生か、だいたい分る。
 ・知っている人が知らない人を教える。これは良いことだ。
[3]〔人ガ 文ト/ヨウニ〕 
 ・わたしは子どものころから、人にたよってはいけないと教えられてそだった。
 ・子どもには、「親のいうとおりにする子になるな!」と教えている。
 ・地震(じしん)の時はつくえの下に隠(かく)れるように子どもに教えた。

<複合動詞:おしえ->
[おしえこむ] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・セールスのイロハを教え込むことから始まって、女の口説き方から、別れ方まで教えた。
 ・大学は知識を教え込むところではない。知識の重要さを自分で感じさせるところだ。
   商い・歌・基礎技術・作法・サル・仕事・重要さ・知識・手順・発音を みっちり
[おしえさとす] 人ガ 人ニ ものヲ/人ガ 人ヲ 
 ・おじいさんは小さな孫に向かって、教え諭すようにゆっくりと話し始めた。
 ・いいかい、民衆を教え諭す知識人、という態度で話したら誰も聞こうとはしないよ。
      愚かさ・充足を  生徒・民衆を
<複合動詞:その他>
[うえつける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・子どもたちに親を大切にする気持ちをよく植え付けるべきだ。
 ・へんな考えを子どもに植え付けないでください。
   イメージ・印象・期待・恐怖・疑惑・固定観念・罪悪感・自信・習慣・忠誠心・同情・
   被害者意識・不信・病・劣等感を 心・証人に
[ふきこむ] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・子供たちにあなたの偏った考えを吹き込まないで下さい。
 ・会員たちに、新しい会長に対する警戒心を吹き込んでおいた。

<スル動詞>
[教育(きょういく)する]  人ガ 人ヲ
  ・父が息子を教育する。
  ・夫が妻に教育される。
 [~の教育をする]
  ・次の世代の教育をすることは、国家の大きな義務だ。
[教授(きょうじゅ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・祖母は私の小さいころ、家で生け花を教授していて、若い女性がよく出入りしていた。
 ・若い人たちに新しい分野の学問を教授することは、お互いに新鮮な気持ちになれて楽しい。
[訓練(くんれん)する]  人ガ 人・ものヲ
  ・犬を訓練するのは大変なことだ。
  ・若いうちに訓練しておかないと、覚えられない技術もある。
 [~の訓練をする]
  ・年に一度、災害時のための訓練をしなければならない。
[啓蒙(けいもう)する]  人ガ 人ヲ
 ・明治時代の知識人は国民を啓蒙するために多くの書物を書いた。
 ・この本を読んで、大いに啓蒙されたような気がする。
[コーチする]  人ガ ものヲ
 ・シュートのしかたをコーチしたら、すぐに欠点が直って上手になった。
 ・だれかにカーブの曲がり方をコーチしてもらったほうがいいよ。
 [~のコーチをする]
  ・彼女のテニスのコーチをするのは大変だ。まったく運動音痴だから。
[指導(しどう)する]  人ガ 人ニ ものヲ / 人ガ 人ヲ
  ・新入生にコンピュータの使い方を指導した。
 〔人ヲ〕
 ・やる気のない学生を指導するのは大変だ。
 ・彼らは大衆を指導して、反政府運動を起こそうとした。 
 [~の指導をする]
  ・子供たちに着衣水泳の指導をした。
  ・新人の指導をするように言われたが、あまりやりたくない。
 〔人ガ 人ニ 文ヨウニ〕
 ・つまらぬミスをしないようによく指導してください。
    

おそわる(教わる) 五(おそわらない・おそわります・おそわって・おそわれば・おそわろう)
[1]〔人ガ 人ニ/カラ ものヲ〕
 △おそわりたい  おそわっておく  おそわってはいけない  おそわったほうがいい
  おそわるべきだ  おそわらないほうがいい  おそわろうとした  おそわるな!
 △[細(こま)かく/だいたい/ていねいに/じっくりと/ざっと]~。
 △[数学/中国語/漢字/道/住所(じゅうしょ)/行き方]を~。
  [やり方/使い方/いい方法/技術(ぎじゅつ)/生き方/人生]を~。
  [基本(きほん)/要点(ようてん)/ポイント/コツ]を~。[おいしい/安い/便利な]店を~。
 ・私は、高校で西山先生に国語を教わりました(=ならいました)。
 ・中国語は中国人から教わった方がいい。
 ・私は、人とのつき合い方を先輩(せんぱい)の中川さんに教わった。
〔文ヲ〕
 ・店長といっしょに仕事をしながら、商売(しょうばい)はこうやるものだということを教わった。
  ・母には、人の悪口(わるくち)を言わずに、自分の人生をしっかりして生きていくことを教わった。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・私は、生きて行くために何が大切か(を)大山さんに教わった。
 ・会社に入ってすぐに工場に行かされたが、何をどうしたらいいか教わっていなかったので、まっ
  たく困った。
 ・こういう場合、機械(きかい)をとめるべきかどうか、まだ教わっていなかった。
 ・先生には、どのように生きるべきか(ということを)教わりました。
[2]〔人ガ 人ニ/カラ 文ト/ヨウニ〕
 ・行きづまったときは、しばらくほかのことを考えろと教わった。
 ・目上の人に対しては、この言葉は使わないように教わった。


ならう(習う) 五(ならわない・ならいます・ならって・ならえば・ならおう) 
[1]〔人ガ 人ニ/カラ ものヲ〕
 △ならいたい  ならいかける  ならいはじめる  ならってみる  ならっておく  
  ならってもいい  ならわなければならない  ならおうとおもう  ならわせる
 △[少し/まじめに/真剣(しんけん)に/いっしょうけんめいに/ゆっくり/あせらずに]~。
 △[ピアノ/ダンス/英語/テニス/お茶/お花]を~。
 ・私は週に2回、近所(きんじょ)の音楽の先生にピアノを習っています。
 ・この料理(りょうり)は母から習ったものです。
 ・外国語は教室(きょうしつ)でいくらいい先生に習っても、自分で使わなければ身(み)につかない。
〔文ヲ〕
  ・学校で、まず先生にあいさつすべきであることを習う。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・タイヤがパンクした場合、どうすればいいか習っていなかった。
[2]〔人ガ 人ニ〕
 ・私は先輩(せんぱい)にならって、寮(りょう)ではなてアパートにすむことにした。
 ・日本は西洋諸国(せいようしょこく)にならって、社会制度(しゃかいせいど)や文化(ぶんか)を変
  えて来た。
[3]〔人ガ 人ニ/カラ 文ト〕
 ・緊張(きんちょう)したときは、まず深呼吸(しんこきゅう)をしろと習った。


さとす(諭す)  五(さとさない・さとします・さとして・さとせば・さとそう)
[1]〔人ガ (人ニ) ものヲ〕
 △さとしておく  さとしてもらう  さとさなくてはいけない  さとそうとする
 △[やさしく/ゆっくりと/落ち着いて/諄々(じゅんじゅん)と/懇々(こんこん)と]~。
  ・父親が息子(むすこ)に心得違(こころえちが)いを諭したが、息子は聞く耳を持たなかった。
 ・教師が生徒の考え違いを諭すと、生徒は自分の誤(あやま)りを理解したようだった。
[2]〔人ガ 人ヲ (文ト/ヨウニ)〕
  △[親が子を/先生が生徒(せいと)を/警官(けいかん)が犯人(はんにん)を]~。
 ・父親が本当のこと言うように(と)我が子を諭した。

しめす(示す) 五(しめさない・しめします・しめして・しめせば・しめそう)
[1]〔人・ものガ 人ニ ものヲ〕
 △しめしにくい  しめしてある  しめしておく  しめさなければならない 
  しめそうとする  しめさせる  しめされる
 △[はっきり/きちんと/正確(せいかく)に/わかりやすく/ていねいに/くわしく]~。
 △[数字(すうじ)/データ/統計表(とうけいひょう)/図表(ずひょう)/地図(ちず)]を~。
  [手本(てほん)/条件(じょうけん)/意向(いこう)/方向(ほうこう)/方針(ほうしん)]を~。
  [意思(いし)/誠意(せいい)/決意(けつい)/覚悟(かくご)]を~。
 ・セールスマンはお客に見本を示し(=見せ)ながら説明(せつめい)した。
 ・おまわりさんは地図を示し(=さし)ながら道を教えてくれた。
 ・矢印(やじるし)の示す方向へすすんでください。
 ・社長が示した給料(きゅうりょう)の値上げ額(ねあげがく)を組合(くみあい)は受け入れなかっ
  た。
 ・先生の今日の話は、私たちの進むべき道を示してくれた。
 ・A国はB国に、条約(じょうやく)の改定(かいてい)の意向(いこう)を示した。
 ・おまえは長男(ちょうなん)なのだから、ほかの兄弟(きょうだい)に手本(てほん)を示さなくては
  いけない。
 ・相手の会社が、契約(けいやく)を結ぶための新しい条件を示して(=提示して)きた。
 ・自分がわるいことをしたと本当に思っているのなら、誠意を示してほしい。
 ・このルールの意味を、例を示して(=あげて)説明しましょう。
 ・「*」という記号(きごう)は大切なことばを示す。
 ・図書館に入る時は、入口で受付(うけつけ)の人に学生証(しょう)を示してください。(=みせる)
 ・首相(しゅしょう)は国民に対して、景気回復(けいきかいふく)の決意のほどを示そうとした。
[2]〔人ガ ものヲ ものニ/デ〕
 ・物価(ぶっか)の変化(へんか)の様子(ようす)を次のページの表(ひょう)に示しておきました。
 ・三角形(さんかくけい)ABCのAから図に示したように線をひきなさい。
 ・表に示してあるように、いちばん重い金属(きんぞく)はプラチナです。
 ・輸入(ゆにゅう)が年々ふえている様子がはっきりとこの数字に示されている。
 ・感謝(かんしゃ)の気持ちがあるのなら、それを態度(たいど)で示してほしい。
 ・地図に道順(みちじゅん)が矢印(やじるし)で示してある。
 ・ガソリンスタンドの位置(いち)は赤い点で示されている。
[3]〔ものガ ものヲ〕
 △[数字が温度(おんど)を/メーターの針(はり)が気圧(きあつ)を/ある傾向(けいこう)を]~。
 ・最近、交通事故の死亡率(しぼうりつ)が減少(げんしょう)の傾向を示している。
 ・この選挙(せんきょ)の結果(けっか)は、若い人の政治離(せいじばな)れの傾向をよく示している。
 ・その人の病気はもう末期症状(まっきしょうじょう)を示している。
 ・矢印(やじるし)の示す方向(ほうこう)に進んで下さい。
 ・この地域(ちいき)の気圧(きあつ)は下降傾向(かこうけいこう)を示している。
 ・「℡」という記号(きごう)は電話のあるところを示している。
 ・この事件はこの国がかかええている問題を端的(たんてき)に示している。
 ・各地(かくち)の事故数(じこすう)が数字によって示されている。
[4]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △提案(ていあん)に[共感(きょうかん)/深い関心(かんしん)/興味(きょうみ)]を~。
 [問題解決(かいけつ)に前向(まえむ)きの姿勢(しせい)を/騒音(そうおん)問題に解決策(さく)]
  を~。
 ・多くの人が彼女の話に共感を示した。
 ・私がどんな話をしてやっても、子供はそれに何の関心も示さなかった。 
 ・多くの人が困っている現状(げんじょう)に対して、政府(せいふ)は何の解決策も示せないでいる。
 ・この質問に対して人々は様々(さまざま)な反応を示した。
 ・彼は相手に対してむきだしの敵意(てきい)を示して向かって行った。
 ・その会社はこちらの出した条件に対して難色(なんしょく)を示した。(=いやがった)
 ・裁判所(さいばんしょ)は、この件に対して新しい判断(はんだん)を示した。
[5]〔人・ものガ 文(か)ヲ〕
 ・表の中のこの記号(きごう)は学生が休んだことを示している。
 ・彼は、自分の主張がどれほど大事なことか(ということ)を自分の行動で示した。
 ・むかしの人は、そのことばが火に関係(かんけい)があるということを、漢字の中に「火」を表す
  部分をつけることによって示そうとした。
 ・このエピソードは彼の決心がどんなに堅(かた)いかを示している。
 ・この、いたんだ辞書は、兄がいかに(=どのくらい)努力したか(ということ)を示している。
 ・Q国は現在の国力がどのくらいであるかを、オリンピックを開くことによって、世界に示そうと
  している。
 ・P国は、R国に和平交渉(わへいこうしょう)を呼びかけることによって、自国がいかに平和を望
  んでいるかを、示そうとした。


さす(指す) 五(ささない・さします・さして・させば・さそう) 
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △さしなさい  さすようになっている  さされる 
 △[はっきり/ぴったり/正確(せいかく)に/ちょうど]~。
 △[時計(とけい)が12時を/磁石(じしゃく)の針(はり)が北を]~。
 ・時計の針(はり)が3時12分を指したまま止まっている。
 ・コンパスの指す方向(ほうこう)が北です。
 ・南を指して歩いて行くと、やっと森から出られた。
 ・その中学生は、白い建物を指(ゆび)で指して「あれが、その銀行です。」と教えてくれた。
 ・急に先生に指されたので、うまく答えられなかった。
 ・文中の「それ」は何を指していますか。文中のことばでこたえなさい。

<複合動詞:さし->
[さししめす] 人ガ ものヲ 
 ・太郎は、「あの光るのがあぶくま川です。」と指で指し示した。
 ・技師は、メーターの指し示す数字から機械の状態を知ることができるのです。
      絵・前方・ビル・窓の外・道・下流・原点・事実・未来・行く手を
<スル動詞>
[暗示(あんじ)する]  人・ものガ ものヲ
 ・この音楽のリズムの変化は、人間の運命を暗示している。
 〔文ヲ〕
 ・彼女の言い方は、事件の裏に何かがあることを暗示していた。

[掲示(けいじ)する]  人ガ 所ニ ものヲ/文ヲ/文ト
  ・廊下に今日の予定を掲示しておきましたから、あとで見ておいてください。
 ・トイレや非常口はどこにあるか(を)掲示しておいてほしい。
  ・玄関のかべに「ここではきものをぬぎなさい」と掲示してあった。
 [~の掲示をする]
  ・館内の案内の掲示をしておこう。
[指示(しじ)する]  人ガ 人ニ ものヲ/文ヨウニ             
 ・社長はすぐ部長を呼んで、いくつかの対策を指示した。
 ・部下に余計なことは何も言わないように指示した。
 ・今の若い者は指示しないと何もしようとしない。指示されるのを待っているのだ。
   研究・公表・修理・待機・手直し・処理・場所・方向・方法を
[指摘(してき)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・報告会では、上司が部下に数多くのミスを厳しく指摘していた。
 ・私のレポートは多くの表現の誤りや論理の不確かさなどが指摘され、さんざんだった。
 ・不十分なところをぜひご指摘下さい。できるだけ改善していきたいと考えております。
 [~の指摘をする]
  ・間違いの指摘をする
[提示(ていじ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・私に提示された金額は予想よりも多いものだった。
 ・もっと具体案を提示していただかないと、構想だけではコメントしかねます。
   改革案・考え方・計画・結論・条件・試算・主題・全体像・対案・代案・テーマ・
   プラン・プログラム・方向・骨組み・目安を  国民・委員・出席者に
 [~の提示をする]
  ・新しいプランの提示をしたが、積極的な反応はなかった。
[展示(てんじ)する]  人ガ 所ニ ものヲ
 ・博物館のホールに大きな恐竜の骨が展示してあった。
 ・子どもが学校で描いた絵が、市の展覧会で展示されていた。
 [~の展示をする]
  ・子供が工作の時間に作った作品の展示をしている。

[2]勧める

◇すすめる
 「勧める・薦める」は、自分がよいと思うことを人に言って、その人がするようにし向けること。
相手のニ格と、物事をヲ格にとるか、名詞節・引用節をとる。
   人ガ 人ニ ものヲ すすめる
    本・映画・よい病院を 薦める
   人ガ 人ニ 文ヲ/ト/ヨウニ すすめる
        入院することを/するように 勧める   入院しろと勧める
    この本は役に立つ本だと薦める 
・複合動詞
 「働きかける」は、ある行動をするように人に提案すること。
・スル動詞
 「推薦する」は、自分がよいと思う人・物事を人に勧めること。
 「奨励する」は、あることをよいことだとして、それを行うように人に勧めること。
  「忠告する」は、心から相手のことを思い、相手がすべきこと、直すべき所などを言うこと。
◇うながす
  「促す」は、早く何かをするように急がせること。ある作用を活発化させること。やや書きことば。
   人ガ 人ニ ものヲ うながす
        人に出発・反省・再起・辞任・退却を 促す
      ものガ ものヲ うながす
        戦争特需が復興を促した


すすめる(勧める・薦める)一(すすめない・すすめます・すすめて・すすめれば・すすめよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △すすめたい  すすめてみる  すすめてもらう  すすめてはいけない
  すすめようとする  すすめさせる  すすめられる  
 △[強く/本気(ほんき)で/真剣(しんけん)に/適当(てきとうに)/冗談(じょうだん)で]~。
 △[コーヒー/酒/本/CD/見物(けんぶつ)する所/働き口(ぐち)/座布団(ざぶとん)]を~。
  [おもしろい映画/よい病院(びょういん)/安い旅館(りょかん)/掘(ほ)り出し物]を~。
 ・先生が勧めてくれた本を買って読んでみた。
 ・人に勧められるままに、つい酒を飲み過ぎた。
 ・姉は親(おや)の勧める人と結婚(けっこん)したが、けっきょくうまく行かず、わかれてしまった。
 ・このセーターの色はあまり好きではないが、お店の人に強く勧められて買ってしまった。
 ・このCDをお薦めします。きっとお気にいることと思います。
 ・人に酒を勧めるのがこの国の文化だが、あまり無理強(むりじ)いするのはよくないと思う。
 ・ある席(せき)で、偉(えら)い先生に座布団(ざぶとん)を勧められて恐縮(きょうしゅく)した。
〔文ヲ〕
 ・できるだけ早く専門(せんもん)の医師(いし)に見せることをお勧めします。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト/ヨウニ〕 
 ・健康(けんこう)のために毎日運動した方がいいと医者に勧められた。
 ・知人(ちじん)がこの男は役に立つ男だから使ってくれと薦めるので雇(やと)ってみたが、ぜんぜ
  ん期待(きたい)はずれだった。
 ・わかい時に本をたくさん読んでおけと父に勧められた。
 ・私は弟に悪い友達とつき合わないように勧めた。私のようにならないように。
 ・海辺(うみべ)に住んでいる叔父(おじ)が夏休みに遊びにくるように勧めてくれた。

<複合動詞>
[はたらきかける] 人ガ 人ニ ものヲ/文ヨウニ  
・一部の若手が執行部に働きかけ、方針を変えさせたらしい。
・死刑廃止を求める運動に参加し、多くの国会議員に法律改正を働きかけた。  
・県議会に条例を改正するように働きかけた。
<スル動詞>
[奨励(しょうれい)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・県はトマトの栽培を農家に奨励している。
 ・政府は国民に貯蓄を奨励し、その金を企業に回した。
[推薦(すいせん)する]  人ガ 人・ものニ 人・ものヲ
  ・私は自信を持って、この辞典を皆さんに推薦します。
 ・学生が奨学金に推薦してほしいと言ってきた。
 ・我々は田中氏を次期会長に推薦する。
 [~の推薦をする]
  ・優秀な学生の推薦をする場合は、推薦状にウソを書かなくていいので、いい。
[忠告(ちゅうこく)する]  人ガ 人ニ ものヲ/文ト/文ヨウニ
  ・「離婚はしなほうがいい」と忠告(を)されたので、思いとどまった。
 ・タバコをやめるように忠告(を)したのに、彼はがんとしてやめず、ガンになった。


うながす(促す)  五(うながさない・うながします・うながして・うながせば・うながそう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △うながしたい  うながしてもらう  うながすべきだ  うながさないほうがいい
  うながそうとする  うながされる  うながせ! 
 △[しきりに/強く/気短(きみじか)に/目で/そっと/それとなく]~。
  △[決断(けつだん)/再考/自粛(じしゅく)/辞職(じしょく)/実行/反省(はんせい)]を~。
  [双方(そうほう)に歩(あゆ)み寄り/社内の結束(けっそく)/本人に猛省(もうせい)]を~。
 ・日が沈(しず)もうとしているので、仲間(なかま)に下山(げざん)を促した。
  ・長い議論(ぎろん)の末(すえ)に、専務(せんむ)が社長に決断を促した。
 ・今一度の慎重(しんちょう)な考慮(こうりょ)を促しておくことが必要だ。
 ・失敗(しっぱい)の責任(せきにん)をとってボーナスの辞退(じたい)を促された。厳(きび)しいが
  しかたがない。
 ・妻は夫に今回のことについて強く反省を促した。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト〕
 ・母親が子供に「もう帰ろう」と促したが、子どもは目の前のものがほしくてたまらない。
[3]〔ものガ ものヲ〕
 ・戦争の特需(とくじゅ)が経済復興(ふっこう)を促したというのは事実である。
 ・酪農(らくのう)が村の発展(はってん)を促すと考えられた。  


[3] 頼む・命じる
  人が他の人に、ある行動をとるようにことばで言うことを表す動詞。
  両者の力関係により、「頼む」「お願いする」「命令する」などの中から選ばれる。
  漢語の「命令する」が一般的な表現で、「命じる」は硬い言い方。反対に、ある行動をとらないよ
うに言うのは「禁じる」で表す。
  
◇たのむ
 「頼む」は、何かをしてくれるように人に言うこと。あるものの世話をしてくれるように言うこと。
 あることをしてくれる人に来てもらうこと。「ト」「ヨウニ」の引用節をとる。
      人ガ 人ニ ものヲ たのむ
    借金・手伝いを 頼む  赤ん坊・荷物を 頼む  医者・家政婦を 頼む
   人ガ 人ニ 文ト/文ヨウ(ニ) ねがう
       すぐ来てくれるように頼む   やめてくれと頼む
・複合動詞「頼み込む」は、ぜひしてほしいと熱心に頼むこと。
・スル動詞「依頼する」は、何かをしてもらうように人に頼むことで、「頼む」より改まった表現。
◇たよる
 「頼る」は、自分を助けてくれると信用し、その力に期待すること。ニ格をとる。ヲ格をとる場合
は、助けてもらうために、その相手へのつながりを求めて行くことを意味することが多い。
   人ガ 人・ものニ たよる
        親・親戚・友人・国に 頼る  記憶・翻訳・宗教に 頼る
   人ガ 人ヲ たよる
        知り合いを頼って外国へ行く(外国にいる知り合い)
・複合動詞
 「頼り切る」は、(自分では何もせず)完全に頼ってしまうこと。
 「泣きつく」は、非常に困って、泣くようにして頼むこと。
◇ねがう
 「願う」は、「そうなればいいと強く思うこと」で、この用法は「精神」で扱う。ここでは、それ
を人や神仏に伝えて、その実現を頼むこと、という相手に関わる用法をとりあげる。
 文相当の内容を受ける。引用の「と」をとる。「よう(に)」をとることができる。
   人ガ 人ニ 文ト/文ヨウ(ニ) ねがう
    ぜひやってほしいと願った  やめるようお願いした
 人や神仏に頼む場合は「お願いする」の形がよく使われる。  
        ぜひ来てくださいとお願いした
◇めいじる 
  「命じる」は、目上の者、立場上権限をもつ者などが、目下の者などに対して、自分の思うように
行動するよう言うこと。名詞節、「と」「ように」の引用節をとる。「と」引用節は動詞の命令形をと
る。書きことば。
      出発・停止を 命じる       進むことを/進めと/進むように 命じる
 「命ずる」の形もある。仮定形が「めいずれば」となる。
◇めいれいする 
  「命令する」は、目上の者、立場上権限をもつ者などが、目下の者などに対して、自分の思うよう
に行動するよう言うこと。名詞節、「と」「ように」の引用節をとる。「と」引用節は動詞の命令形を
とる。
   掃除・攻撃を 命令する     やめることを/やめろと/やめるように 命令する
・複合動詞
 「言いつかる」は、(目上の人から)用事などを命令されること。
 「言いつける」は、目下の者に命令すること。告げ口をすること。言い慣れていること。
 「申しつける」は、上のものが下の者に対して命令すること。
・スル動詞
 「指図する」「指示する」は、人に言いつけて仕事などをさせること。「指示する」のほうが事務
的、職務的な事柄に関して多く使われ、「指図する」はその場での行動を示すことが多い。また、「指
図する」は「人ヲ」をとりうる。
        処理・退却を 指示する      荷物の出し入れ・片づけを 指図する  職人を指図する
◇きんじる
 「禁じる」は、(規則などの形で)やってはいけないこととしてとめること。名詞節をとる。やや硬
い表現で、「禁止する」のほうが日常的な表現。
        使用を禁じる   走ることを禁じる 
  「禁ずる」の形もある。
・スル動詞
 「禁止する」は、「禁じる」と同義。「禁じる」のほうが硬い言い方。名詞節をとる。
        室内での喫煙を禁止する     歌うことを禁止する


たのむ(頼む) 五(たのまない・たのみます・たのんで・たのめば・たのもう) 
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △たのみたい  たのみにくい  たのみやすい  たのんでおく  たのんではいけない
  たのまないほうがいい  たのまなければならない  たのもうとする  たのませる
  たのまれる  たのまれやすい   たのめ!  たのむな!
 △[ちょっと/かるく/まじめに/必死(ひっし)に/何度も/しつこく]~。
  [ぜひ/どうか/そこを何とか/お願いだから]たのむ
 △[仕事(しごと)/用事(ようじ)/手伝(てつだ)い/協力(きょうりょく)]を~。
  [めんどうなこと/見張(みは)り/車/子ども/医者]を~。
 ・山田君、ちょっと仕事を頼みたいんだけど、いいかなあ。
 ・あなたに頼みたい事があるんですが。
 ・いくら頼まれても、できないことはできない。
 ・私は、頼まれれば「いやだ」とは言えない性格(せいかく)で、いつもめんどうにまきこまれる。
 ・あの人は、頼めばいやとは言わない人だから、ちょっと頼んでみたら? 
 ・ちょっと用(よう)を頼まれてくれないか。
 ・ソバ屋に電話して、ソバを三つ頼んで(=注文(ちゅうもん)して)ください。
 ・わたしが海外に出張(しゅっちょう)している間、家族(かぞく)をよろしく頼みます(=世話(せわ)
  をしてください)。
 ・きゅうに電話でよび出されたので、家の者にあと(=その後のこと)を頼んで家を出た。
 ・A:何かてつだう事はありませんか。
  B:うん、ある。ちょうど、きみに頼もうと思っていたところだ。
 ・もしもし、こちらは東町の山田といいますが、車(=タクシー)を一台頼みます。
 ・こちらがいそがしくなったら、ちょっと手助(てだす)けを頼みますよ。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト/ヨウニ〕
 ・友だちにお金をかしてくれるように頼んである。
 ・父にネコを飼(か)わせてくれるように頼んだが、父は「うん」と言わなかった。
 ・「もう一度会ってください」と彼女(かのじょ)に頼んだが、ことわられた。

<複合動詞>
[たのみこむ] 人ガ 人ニ (ものヲ/文ト) 
 ・親に頼み込んで留学させてもらった。
 ・おじに借金(しゃっきん)を頼み込んだが断られた。
 ・借金が返せなくなり、何とか助けてくれと友人に頼み込んだ。
<スル動詞>
[依頼(いらい)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・本部に救援を依頼した。
 〔文ヨウニ〕
 ・資金をいくらか回してもらうように銀行に依頼した。


たよる(頼る)五(たよらない・たよります・たよって・たよれば・たよろう) 
[1]〔人ガ 人・ものニ〕
 △たよりやすい  たよりたい  たよってみる  たよってはいけない  たよろうと思う
  たよらせる  たよられる  たよりがちだ  たよれる
 △[いつも/しきりに/つい/なんとなく/どんなことでも/いろいろと]~。
 △[人/知り合い/親戚(しんせき)/杖(つえ)/記憶(きおく)/カン]に~。
 ・きみはもう大人なんだから、人に頼るな。
 ・あんまり頼られても困るんですけどねえ。私だって金があまっているわけではないし。
 ・わからない時はどうしても人に頼りたくなるが、人に頼ってばかりいると自分の力がつかない。
 ・重要な文書(ぶんしょ)は、翻訳(ほんやく)に頼らないで、原文(げんぶん)で読む必要がある。
 ・古い記憶に頼って、むかしの友だちの家をたずねたら、もう引っこしていていなかった。
 ・試験(しけん)の時はとにかくカンに頼って答えを選んでいったら、何とか合格(ごうかく)した。
 ・どんなに苦しい時でも宗教(しゅうきょう)に頼らずに、問題を自分で解決(かいけつ)してほしい。
 ・足の骨(ほね)を折ってしまい、しばらく松葉杖(まつばづえ)に頼って歩いた。
 ・日本は原料(げんりょう)を輸入(ゆにゅう)に頼っているので、非常の事態(じたい)が起こるとす
  ぐに困ってしまう。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[おじ/兄/友だち/知り合い/他人(たにん)]を~。
 ・中西さんは17才の時、パリに住むおじさんを頼ってヨーロッパへわたった。
 ・知り合いのつてを頼って、有名な画家(がか)に会うことができた。
 ・金がなくなると、つい人に頼って金を借りに行ってしまう。
 ・人を頼ってばかりいないで、自分ひとりでやってみなさい。
 ・私には頼るべき身寄り(みより)がない。
 ・私たちは地図(ちず)を頼って山道(やまみち)を進んだ。
 ・年をとると、頼れるものは子どもだけだ。

<複合動詞:たより->
[たよりきる] 人ガ 人ニ 
 ・彼は絵を描(か)く以外のことは何もできないので、生活のことは奥さんに頼りきっている。
 ・この国の国民は、老後の生活を国に頼り切っている。
   夫・父・年金に 政府・国に 
<複合動詞:その他>
[なきつく] 人ガ 人ニ
 ・先生に泣きついて、レポートのしめきりを3日のばしてもらった。
 ・あんなヤツに泣きつかれて金を貸したの間違いの元だ。(cf. 泣き疲れる)
      親・先生・医者に 金に困って  ~て頼む ~れる


ねがう(願う) 五(ねがわない・ねがいます・ねがって・ねがえば・ねがおう) 
[1]〔人ガ 人・ものニ ものヲ〕
 △ねがってみる  ねがおうと思う  ねがわせる  おねがいする
 △[どうか/どうぞ/心から/本当に/くれぐれも/かならず/ぜひとも]お願いします
 △[手伝(てつだ)い/参加(さんか)/募金(ぼきん)/援助(えんじょ)]をお願いする
 ・ご協力(ごきょうりょく)をお願いします。(=たのむ)
 ・ちょっとお願いしたいことがあるんですが。
 ・ちょうど良い時に来てくれた。あなたにも何かお手伝いをお願いしようと思っていたところです。
 ・ひとこと、ご挨拶(あいさつ)をお願いします。
[2]〔人ガ (人・ものニ) 文ヲ/ト〕
 ・早くお金を返してくれるようにその方にお願いしているが、なかなか返してくれない。
 ・「どうか宝(たから)くじがあたりますように」と願っていた夢(ゆめ)がとうとう実現(じつげん)
  した。
 ・神様(かみさま)に「どうかもう一度秋子に会わせてください。」とお願いした。

<複合動詞:ねがい->
[ねがいあげる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・よろしくご指導のほど、願い上げます。
 ・大臣にお目通りを願い上げましたが、許されませんでした。
   お目通り・ご指導を・ご足労のほど・ご配慮を
[ねがいでる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・一週間の休暇を願い出たが、認められなかったので、会社を辞めた。
 ・農民たちは小作料の引き下げを願い出、受け入れられないと一揆を起こした。
      閲覧・帰国・帰省・休暇・休学・許可・再検討・辞任・借用・免除を 上司に


めいれいする(命令する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △命令しかける  命令してほしい  命令してはいけない  命令しなければならない
  命令しようとする  命令される  命令しろ!  命令するな! 
 △[厳しく/はっきりと/しかたなく/ひそかに/断固(だんこ)として/大声(おおごえ)で]~。
  △[延期(えんき)/禁止(きんし)/出発(しゅっぱつ)/中止(ちゅうし)/突撃(とつげき)]を~。
  ・大統領(だいとうりょう)は大使(たいし)に帰国を命令した。
 ・社長はプロジェクトの中止を命令しようとしたが、社員たちに反対された。
  ・将軍(しょうぐん)は全軍(ぜんぐん)に攻撃(こうげき)を命令した。
 [~の命令をする]
  ・先発隊(せんぱつたい)に出発の命令をした。
〔文ヲ〕 
 ・校長は教師にこの歌を歌うことを命令した。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト/ヨウニ〕
 ・父親(ちちおや)は息子(むすこ)にもっと勉強しろと命令した。
 ・社長が社員に7時に集合するように命令(を)した。


めいじる(命じる)  一(めいじない・めいじます・めいじて・めいじれば・めいじよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △めいじておく  めいじてはいけない  めいじなくてはいけない  めいじられる
  めいじようとする  めいじろ!  めいじるな! 
 △[急に/突然(とつぜん)/強く/むりやり/軽い気持ちで/厳(きび)しく]~。
  △[掃除(そうじ)/仕事(しごと)/残業(ざんぎょう)/出張(しゅっちょう)/転勤(てんきん)/
   退場(たいじょう)/営業停止(えいぎょうていし)/攻撃(こうげき)/退却(たいきゃく)]を~。
 ・危険(きけん)なファールを犯(おか)した選手に審判(しんぱん)が退場を命じた。
  ・将軍(しょうぐん)が全部隊(ぜんぶたい)に攻撃を命じ、戦闘(せんとう)の火ぶたが切られた。
 ・社長から九州(きゅうしゅう)への出張を命じられた。
 ・役所が企業(きぎょう)に3か月間の営業停止を命じた。
〔文ヲ〕 
 ・師匠(ししょう)は弟子(でし)に、まずよく見ることを命じた。
 ・次に、射撃(しゃげき)の際に瞬(まばた)かないことを命じた。
 ・皇帝(こうてい)に歴史を書くことを命じられた。
[2]〔人ガ 人ヲ ものニ〕
 ・会社が彼に課長(の職)を命じた。
[3]〔人ガ 人ニ 文ト/ヨウニ〕
 ・将軍が兵士(へいし)に突撃(とつげき)せよと命じた。
 ・社長がライバル会社の新製品について調べるよう部下(ぶか)に命じた。

<複合動詞>
[いいつかる] 人ガ 人カラ/ニ ものヲ/文ト
 ・部長からこちらの作業を手伝うようにと言いつかっております。
 ・このてがみを小西先生にわたすように(と)言いつかって来ました。
      買い物・社命・使い・用・用事・留守を  家に帰る早々
[いいつける] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・大山先生は学生にてがみを中山先生にとどけるように言いつけた。
 ・私は上司に用を言いつけられて、隣の部署へ書類を探しに行った。
      お茶・買い物・家事・交替・子のお守り・酒・雑事・雑用・仕事・支度・食事を
   供・見張り・もの・役目・用・用事を 父に 早口に 矢継ぎ早に 荒々しく きつく
[もうしつける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・御用の際は何なりとお申し付けください。(何でも命令してください)
 ・役員として恥ずべき行動を取ったため、謹慎を申しつけられた。
     用事・供・警護を 重罪・追放・閉門・禁固を かたく しかと
<スル動詞>
[指図(さしず)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・新人に書類の書き方、表の作り方をいろいろと指図した。
 ・私は上司に指図されたとおりにしただけで、何の責任もありません。
 ・おまえみたいな若造が人にあれこれ指図するのは20年早い。
 〔人ヲ〕
 ・数人の大工を指図して、柱を組み立てた。
   行く先・順序・やり方・細かい点を  職人・庭師・軍隊・若い者を
[指示(しじ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
〔人ガ 人ニ ものヲ/文ヨウニ〕
 ・社長はすぐ部長を呼んで、いくつかの対策を指示した。
 ・今の若い者は指示しないと何もしようとしない。指示されるのを待っているのだ。
   研究・公表・修理・待機・手直し・処理・方法を
 〔文ヨウニ〕
 ・部下に余計なことは何も言わないように指示した。


きんじる(禁じる)  一(きんじない・きんじます・きんじて・きんじれば・きんじよう)
[1]〔人・ものガ 人ニ ものヲ〕
 △きんじてほしい  きんじてしまう  きんじてはいけない  きんじなくてはならない
  きんじようとする   きんじさせる  きんじられる  きんじろ!  きんじるな!
 △[厳(きび)しく/きつく/厳重(げんじゅう)に/強く/固く/一切(いっさい)]~。
  △[甘え/飲酒(いんしゅ)/喫煙(きつえん)/公表(こうひょう)/使用/酒/通行(つうこう)/
   出入(でい)り/取引(とりひき)/持ち込み/持ち出し/恋愛(れんあい)]を~。
  ・この部屋(へや)からの書類(しょるい)の持ち出しを禁じます。
 ・辞書類(じしょるい)の貸し出しは禁じられている。
 ・医者は彼に酒を禁じているのだが、彼はこっそり飲み続けている。
 ・医者が何と言おうが、たばこを禁じようが、俺(おれ)の人生だ。医者の知ったことか。
  ・当然のことながら、美術館では展示品(てんじひん)の撮影(さつえい)を禁じている。
  ・我が国の放送では、わいせつな表現(ひょうげん)や差別(さべつ)的表現を禁じていますが、古い
  作品を放映(ほうえい)する場合は、その限りではありません。
[2]〔人・ものガ 人ニ 文ヲ〕
 ・担当者に勝手(かって)に持ち場を離れることを禁じた。
 ・医者に酒を飲むことを禁じられた。
 ・事務所は観客(かんきゃく)に対して、タレントを撮影(さつえい)することを禁じている。

<スル動詞>
[禁止(きんし)する]  人ガ ものヲ
  ・この機械の使用を禁止する。
 ・世の中には、禁止されると一層やりたくなる、というへそ曲がりの人間が必ずいる。
 〔人ガ 文ヲ〕
  ・この部屋に入ることを禁止します。
 ・私は、何であれ、禁止するのはよくないと思う。だから、禁止することを禁止したい。

[4] 許す・認める・断る

◇ゆるす
  「許す」は、上位の者が下位の者のしたいことをさせること。下位の者がすべきことをしなくても
いいとすること。対立する相手がすることを(力がなくて)止められないこと。相手のニ格と対象のヲ
格をとる。名詞節を受ける用法がある。
  人ガ 人ニ ものヲ 許す
   願い・外出を 許す  罰・兵役を 許す  得点・侵略を 許す
      息子に留学することを許す
 人が相手のした悪いことを(広い心で)とがめないこと。対象として、人・ものをとる。名詞節を受
ける用法がある。
  人ガ 人・ものヲ 許す
   犯人・罪人を 許す   罪・過ちを 許す     (友人が)約束を破ったことを許す
 状況などがある物事を可能にすること。
  ものガ ものヲ 許す
      時間・事情の許すかぎり  状況は楽観を許さない
  慣用的な表現として「(人に)気・心を 許す」がある。相手が信頼できること。「自他共に許す」
は、自分がそう思うだけでなく、他人も自分をそう評価している、ということ。
・スル動詞
 「許可する」は、権限のある者が下位の者の願いをしてもよいとすること。
 「許容する」は、(ある程度を越えてはいけないものに関して)ここまではよいとして認めること。
  「勘弁する」は、相手の過ちや要望をがまんして許すこと。
◇みとめる
  「認める」は、他人の意見や申し出を適当なものと考えること。あるもの・人を高く評価すること。
    人ガ 人ニ ものヲ みとめる  
      異議・外出を 認める  能力・作品を 認める  
 (「人影・異状を認める/事実・誤りを認める」のような「認識」の用法は「精神」で扱う)
・複合動詞
 「認める」を要素とする複合動詞は「認め合う」のような生産性の高い後項以外のものは特にない
が、類義の複合動詞がいくつかある。
 「受け入れる」は、相手の要求を聞いてその通りにすること。批判などをその通りだと認めること。
 「聞き入れる」は、相手の要求や願いなどを聞いて認めること。
  「聞き届ける」は、(上位の立場のものが)相手の要求は願いなどを聞いて認めること。
・スル動詞
 「公認する」は、国など公の団体または自分の属する組織が正式に認めること。
 「認可する」は、公的機関が認め、許可すること。 
 「承諾する」は、相手の要求や希望を聞き入れて、それを引き受けること。
 「承認する」は、その事柄が正当だと認めること。
◇ことわる
 「断る」は、相手の要求・依頼・提案などに応じないことを告げること。また、後で問題が起きな
いように、何かをする前にそのことを人に告げておき、了解を得ておくこと。引用節を受ける。
  人ガ 人ニ ものヲ/文ト ことわる
      要求・誘いを 断る  借金を断られる    「いやだ」と断る 
      外出を守衛に断ってから出る
◇こばむ
 「拒む」は、相手の要求などに応じないこと。進んでくるものを妨げること。
  人・ものガ ものヲ こばむ
   書類の提出を拒む   自然の城塞が敵の侵入を拒む
・複合動詞
 「突っぱねる」は、要求・依頼などを厳しく断ること。
・スル動詞
 「拒絶する」は、相手の依頼・要求などをいやだと言って断ること。
 「拒否する」は、相手の依頼・要求・提案などをいやだと言って断ること。
 「辞退する」は、勧め・資格・権利などを自分の意志で断ること。


ゆるす(許す) 五(ゆるさない・ゆるします・ゆるして・ゆるせば・ゆるそう)
[1]〔人ガ (人ニ) ものヲ〕
 △ゆるしがたい  ゆるしてほしい  ゆるしてあげる/ゆるしてくれる/ゆるしてもらう
  ゆるされない  ゆるさなければならない  ゆるそうとおもった  ゆるそうとしない
 △[こころよく/心から/あっさり/寛大(かんだい)な心で]~。
  [ぜったいに/けっして]ゆるさない   どうしてもゆるせない
 △[入学/参加(さんか)/グラウンドの使用(しよう)/営業(えいぎょう)/通行]を~。
  [税(ぜい)/兵役(へいえき)]を~。[相手の得点(とくてん)/侵略(しんりゃく)]を~。
 ・両親(りょうしん)が二人の結婚(けっこん)を許して(=みとめて)くれない。
 ・大学はボランティア活動のための休学を許してくれなかった。
 ・7-8月だけは、公園(こうえん)での営業が許されている。(営業を許す)
 ・彼は特別な事情(じじょう)のため、兵役を許されたらしい。
 ・絶好(ぜっこう)の位置(いち)からのシュートを許してしまったのは、まったくのミスだった。
 ・あんなに気をつけていたのに事故の再発(さいはつ)を許してしまった。
〔文ヲ〕
 △[早く帰る/休暇(きゅうか)をとる/留学(りゅうがく)する/車をとめる]ことを~。
 ・父は私がヨーロッパへ行くのを許してくれた。 
 ・学校に連絡せずにやすむことは許されない。
 ・市は、市民が日よう日に学校のグラウンドをつかうことを許した。
 ・両親(りょうしん)は私たちが結婚(けっこん)することを許してくれない。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △人の〔間違(まちが)い/ミス/誤(あやま)り/過(あやま)ち/過失(かしつ)/罪(つみ)/ミス/
  嘘(うそ)/裏切(うらぎ)り/わがまま]を~。
 ・あんなに謝(あやま)っているんだから、もう許してあげなさいよ。
 ・友だちがカメラをこわしてしまったが、山本さんは何を言わないで、許してやった。
 ・あなた罪を許すことはできないが、償(つづな)いをした後はまたこころよく迎え入れよう。
 ・この過ちは、一生(いっしょう)許されないものだと深く反省(はんせい)しています。
 ・今度の失敗(しっぱい)だけは許そうにも許せません。
 ・人を許して、罪(つみ)を許さず。
〔文ヲ〕
 △[うそをついた/掃除(そうじ)をさぼった/人にけがをさせた/浮気(うわき)した]ことを~。
  ・父は私が勝手(かって)に結婚したことを許してくれず、孫(まご)の顔も見てくれない。

<スル動詞>
[許可(きょか)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・面倒な書類を何枚も書いて、やっと施設の使用を許可してもらった。何と官僚的な!
  ・合格者に入学を許可する、というと偉そうだが、実のところは入っていただくのだ。
 〔人ガ 人ニ 文ヲ〕
  ・市民に広場を使うこと(=広場の使用)を許可する。
[許容(きょよう)する]  人ガ ものヲ
 ・3万円がわれわれの許容できる最高の金額です。
 ・ここで一人の離脱を許容したら、次から次へと離脱してしまうのではないか。
[勘弁(かんべん)する]  人ガ 人ヲ
 ・申し訳ございません。どうぞご勘弁ください。
 ・謝っているんだから、もう勘弁してやれよ。


みとめる(認める)    
[1]〔人ガ もの・人ヲ〕
 △みとめたい  みとめられる  みとめるべきだ  みとめなくてはならない 
  みとめようと思う  みとめてしまったら  みとめてはいけない 
  みとめられる  みとめさせる  みとめさせられる
 △[ついに/とうとう/さいごまで/どうしても/けっきょく]みとめなかった
  [どうしても/ぜったいに/なにがなんでも]みとめられない
 △[発言(はつげん)/参加(さんか)/計画(けいかく)/外泊(がいはく)/権利(けんり)]を~。
  [作品さくひん/研究(けんきゅう)/長い間の努力(どりょく)/主張(しゅちょう)]を~。
  ・委員会の傍聴(ぼうちょう)は認めますが、発言は認められませんので、そのつもりで。
 ・娘の外泊(がいはく)を認めていいかどうか、親の悩(なや)むところだ。
 ・女性が男社会に対して自分たちの権利を認めることを求めだしたのはごく最近のことだ。
 ・あなたの業績(ぎょうせき)は多くの人たちに認められている。(多くの人があなたの業績を)
  ・この作品は音楽の近代と現代を分けるものとして認められている。
〔人ガ 文ヲ〕
 ・中川先生は、長い間医学の進歩(しんぽ)に貢献(こうけん)したことが認められて、学会賞をおく
  られた。
[2]〔人ガ ものヲ 量(まで)〕
 ・旅行(りょこう)の時の小づかいは一万円までしか認められていない。
 ・この会社では病気の休みが3か月まで認められている。
 ・遅刻(ちこく)は10分だけ認めよう。それ以上おくれたら欠席(けっせき)にする。

<複合動詞>
[うけいれる] 人ガ ものヲ  
 ・あなたの提案はとても受け入れることはできません。
 ・A国は外国の難民をいつでも受け入れている。
 ・どこの文化でも、外国の文化を受け入れることによって、いっそうゆたかなものになるものだ。
        要求・提案・希望を 難民・希望者を 文化・思想・技術を 批判・勧告・忠告を 
    こころよく いやいやながら しかたなく よろこんで 必死に
[ききいれる]  人ガ ものヲ
 ・P社はこころよく、こちらの要求を聞き入れてくれた。
 ・私たちは、この古い家をこわさないで、のこすように市に何度もおねがいをした。しかし、私た
  ちのねがいはとうとう聞き入れられなかった。
      希望・願い・望み・わがまま・忠告・諫言を 仕方なく どうしても~ない
[ききとどける] 人ガ ものヲ
 ・私たちの希望を聞きとどけてくれるまで、私たちは帰りません。
 ・神は私たちの祈りを聞き届けて下さるだろうか。
      祈り・希望・声・願い・不平を
<スル動詞>
[公認(こうにん)する]  人ガ ものヲ
 ・まず選挙委員会に届け出て、候補者として公認してもらうことが必要だ。
 ・このサークルは大学によって公認されていない。
[承諾(しょうだく)する]  人ガ ものヲ / 文ヲ
 ・相手側の申し出を快く承諾した。
 ・利益を半々に分けることを承諾していただきたい。
[承認(しょうにん)する]  人ガ ものヲ
 ・新薬の販売を承認した。
 ・調査員から出張の申請が出ています。承認したいと思います。
 ・あなたの参加は役員会で承認されました。 
 [~の承認をする]
  ・新入会員の承認をしていただきたい。
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・部下が1週間の休暇を取ることを承認した。
[認可(にんか)する]  人ガ ものヲ
  ・県がごみ処理場の建設を認可した。
 [~の認可をする]
  ・開発の認可をしたのは、都知事です。


ことわる(断わる) 五(ことわらない・ことわります・ことわって・ことわれば・ことわろう)
[1]〔人ガ (人ニ) ものヲ〕
 △ことわりたい  ことわりそうだ  ことわってもいい  ことわらなければならない
  ことわろうとした  ことわられる  ことわらせる  ことわるな!
 △[すぐに/きっぱり/はっきり/強く/すげなく/ぴしっと]~。
 △[誘い(さそい)/申(もう)し込み/申し出(で)/頼(たの)み/協力(きょうりょく)の依頼(いら
   い)/来客(らいきゃく)]を~。
 ・いろいろな人がてつだおうと言ってくれたが、父はそうした申し出をみんな断わってしまった。
 ・今日はむずかしい仕事をやりますから、来客も電話も断わってください。
 ・せっかくパーティーにさそってもらったが、かぜをひいているから、やはり断わろう。
 ・大西さんをパーティーにさそったが、断わられてしまった。(さそいを)
 ・銀行(ぎんこう)に500万円の融資(ゆうし)を申し入れたが、断わられてしまった。
 ・兄に借金(しゃっきん)を申し込んだが、きっぱりと断わられた。
 ・おじに車を10日ほどかしてほしいとたのんだが、にべもなく断わられた。
 ・断わりきれなくて、いやな仕事をひきうけてしまった。
 ・先生のたのみなので断わりにくい。
 ・知り合いにすすめられて、むべに断わるわけにも行かず、、、
 ・ゆみ子さんにプロポーズしたが、断わられた。私はこれからどうやって生きていけばいいのだ。
 ・P社はわたしたちが出した工場見学の申し込みを断わって来た。
 ・A:お母さん、あの縁談(えんだん)はどうなった?
  B:ああ、お前があまりうれしそうにしていなかったから、私から断わっておきましたよ。
  A:えっ、そんな。ボクの好みのタイプだったのに...。
 ・わけもなく招待(しょうたい)を断わるのは失礼(しつれい)だ。
 ・友だちに資料(しりょう)をかしてくれるようにたのんだが、断わられた。
 ・友人から援助(えんじょ)の申し出が来たが、自力でできるだけのことはやってみたいので、断わ
  ることにした。
 ・日本はP国にたいして援助の申し出をしたが、P国は二日後に断わってきた。
[2]〔人ガ 人ニ (ものヲ)〕
△[先生/係員(かかりいん)/守衛(しゅえい)/上司(じょうし)]を~。
 [入口/受付(うけつけ)/門の所]で~。
 ・ここにある本はどれをもって行ってもいいですが、一言断わってください。
 ・帰る時には、守衛(しゅえい)にちょっと断わってくだっさい。
 ・夏休みの間に旅行に行く人は先生に断わってください。
 ・つぎの会に欠席なさる方は、前もってこちらに断わってください。
 ・A:小山さん、無断で(=ことわらないで)休んではこまりますよ。
  B:いいえ、おとといたしかに断わったはずです。
 ・だれに断わってそんな事をしたんだ。かってにそんな事をするな。
[3]〔人ガ 人ニ 文ト〕
 ・「今日はお友だちの家にとまって来ると母に断わってきたから、帰らなくてもいいの。」と、ゆ
  み子は言った、目をふせながら。
 ・「今日はいそがしくて、行けない。」と山川さんに断わってください。
 ・帰るなら、帰ると一言(ひとこと)断わってくれればよかったのに。


こばむ(拒む)  五(こばまない・こばみます・こばんで・こばめば・こばもう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △こばみたい  こばんでみる  こばんではいけない  こばめない  こばもうとする
  こばませる  こばまれる  こばめ!  こばむな!
 △[強く/絶対に/かたくなに/どうしても/きっぱりと/厳(きび)しく]~。
  △[申し出(もうしで)/要求(ようきゅう)/同行(どうこう)/参加(さんか)/入場/証言(しょう
   げん)/支払(しはら)い/入国(にゅうこく)]を~。
  ・国は政治亡命者(ぼうめいしゃ)の入国を拒んだ。
 ・何度要求を出しても拒まれた。
 ・請求書(せいきゅうしょ)が来ても支払いは拒むべきだ。
 ・自分が不利(ふり)になるような証言は拒んでもいい。
〔文ヲ〕
 ・あなたが真実(しんじつ)を話すことを拒むのはなぜですか。
 ・彼らは会場の外に出ることを拒んで、警備員(けいびいん)ともみ合いになった。 
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 ・軍隊(ぐんたい)が敵(てき)の侵入(しんにゅう)を拒んでいる。
 ・深い谷(たに)が行く手(ゆくて)を拒んでいる。   

<複合動詞>  
[つっぱねる] 人ガ ものヲ
 ・教師たちは子どもの自由を奪おうとする校長の不合理な指示を突っぱねた。
 ・上司の無理な命令を突っぱねたために会社をやめざるを得なくなったが、過労死するよりはいい
  と思っている。負け惜しみかな? 
      強情に 頑強に むっとして わざと ~ように言う・答える すげなく~られる
<スル動詞>
[拒絶(きょぜつ)する]  人ガ ものヲ
 ・乾杯の強要をきっぱり拒絶したら、あとあといろいろ嫌がらせをされた。
 ・そんな無理な要求は断固として拒絶すべきだ。
   援助・縁談・オファー・好意・誘い・団交・治療・面会・申し込み・申し出・要求を
   強く・はっきり・頑固に・絶対に・きっぱり 
[拒否(きょひ)する]  人ガ ものヲ
  ・彼は私達の提案(ていあん)を拒否した。
 ・彼らは安易な同情を拒否し、自らの力で政府と戦うことを宣言した。
 〔人ガ ものヲ 文ト〕
 ・彼女は「絶対にいや!」と見合いの話を拒否した。
   斡旋案・受け取り・援助・押しつけ・協力・誘い・支援・辞任・氏名・出席・世話・調査・
   提案・提出・同情・取引・任務・部外者・申し出・隷属を  かたくなに・強情に・はっきり
[辞退(じたい)する]  人ガ ものヲ
 ・不祥事件のため、高校の野球部が大会への出場を辞退した。
 ・大阪支店長のお話は辞退させていただきたく、お願い申しあげます。(支店長になれ、という話)
   委員・給付金・公職・仕事・賞・招待・待遇・出迎え・申し出・役員を    丁寧に・一応

[5]謝る・感謝する

◇あやまる
  「謝る」は、自分が悪かったということを認め、相手に許しを求めること。相手のニ格をとる。
また、名詞節・引用節をとる。
   人ガ 人ニ ものヲ/文ヲ/文ト あやまる
        先方に失礼を謝る   委員長に遅れたことを謝る   「すまない」と謝る
・スル動詞「謝罪する」は、罪や過ちを謝ること。 
◇わびる
  「詫びる」は、自分が悪かったということを認め、相手に許しを求めること。改まった語で、子ど
もは使わない。相手に対して言う場合は、丁寧な「お~(いた)します」の形でつかわれることが多い。
   人ガ 人ニ ものヲ/文ヲ わびる
    過ちをわびる    失礼いたしましたことを心からお詫びいたします
・スル動詞
 「言い訳する」は、自分の失敗や相手からの批判などに対して、事情を説明し相手の了解を得よう
  とすること。
 「弁解する」は、言い訳をすることの漢語的表現。
 「告白する」は、心の中の思いや秘密を打ち明けること。
◇かんしゃする
 「感謝する」は、ありがたいと思うこと。そう思って礼を言うこと。対象はヲ格またはニ格で示す。
    人ガ 人ニ ものヲ/ニ かんしゃする
    お心遣いに感謝します  お世話になりましたことを感謝申し上げます
 「人ニ ものニ」の形はとりにくい。   
 和語には、「感謝する」に当たる動詞がない。「お礼を言う」などが使われる。  


あやまる(謝る) 五(あやまらない・あやまります・あやまって・あやまれば・あやまろう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕     ものヲ  無礼/失礼を謝る    
 △あやまりたい  あやまっておく  あやまったほうがいい  あやまらなければならない
  あやまらせる  あやまられる  あやまらされる  あやまれ! 
 △[しきりに/あわてて/ちゃんと/率直(そっちょく)に/素直(すなお)に/ぺこぺこ]~。
 △[ミス/言い過ぎ/手落(てお)ち/失礼(しつれい)/態度(たいど)の悪さ]を~。
  ・彼はしきりに自分のミスを謝っていたが、誰もあまり気にしていなかった。
 ・お客様からのクレームには、まず、謝りなさい。
 ・子どもがけんかをした。子どもと相手のうちへいって、子どもに謝らせた。お互いが謝って、す
  ぐに仲直(なかなお)りをした。大人のけんかもこういう風(ふう)に行かないものか。
 ・あいつはすぐ謝るんだけど、態度の悪さはぜんぜん変わらない。口先(くちさき)で謝るだけで、
  心の中ではすまないと思っていないからだ。心から謝らせるにはどうしたらいいんだろう。
 ・今の言い方は何だ! 失礼じゃないか。謝れ!
 ・謝ってすむ事とすまない事がある。
 ・こちらから謝るべきだと思い、謝りに行こうと思って出ようとしたところに向こうが来て、先に
  謝られてしまった。謝るのが遅れたことをまた謝るというみっともないことになってしまった。
〔文ヲ〕
 ・みなさんに迷惑(めいわく)をかけたことをきちんと謝りなさい。
 ・駅員(えきいん)が電車が遅れたことを乗客(じょうきゃく)に謝っている。 
[2]〔人ガ 人ニ 文ト〕
  ・弟に、「さっきはごめん」と謝ったら、弟は「いいよ」と言った。
 ・自分が悪いと思ったら、みんなに「ごめんなさい」と謝りなさい。
  ・夫は妻に「悪かった」と謝ったが、妻は許そうとしなかった。ギャンブルで百万円もすってしま
  ったなんて、謝ったからといって許されることではない。

<スル動詞>
[謝罪(しゃざい)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・首相(しゅしょう)は、今回の失言(しつげん)について国民に謝罪するつもりはないようだ。
 ・言い訳(いいわけ)ばかりしていないで、潔(いさぎよ)く謝罪しなさい。
 ・事故(じこ)を起こしたバス会社の社長が遺族(いぞく)に謝罪した。


わびる(詫びる)  一(わびない・わびます・わびて・わびれば・わびよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △わびたい  おわびしたい  おわびしなければならない  おわびしようと思う  わびろ!
 △[心から/小声(こごえ)で/しきりに/丁寧(ていねい)に/泣いて/頭を下げて]~。
  △[過(あやま)ち/誤(あやま)り/ミス/手違(てちが)い/無礼(ぶれい)/暴言(ぼうげん)]を~。
  ・妻に過去(かこ)の過ちを心からわびた。
 ・公害企業(こうがいきぎょう)がついに自(みずか)らの責任(せきにん)を認め、被害者(ひがいし
  ゃ)団体(だんたい)に対して公式にわびることになった。
 ・御迷惑をおかけしました。お詫びいたします。 
 ・この度の不祥事をお詫びいたします。まことに申し訳ありませんでした。
 ・社長にプロジェクトの失敗(しっぱい)をおわびしなければならない。
 ・私たちの至(いた)らなかった点をお詫びいたしたいと思います。
〔文ヲ〕
 ・家の改築でうるさかったことを近所の人にお詫びした。
 ・重要な契約に失敗したことを社長にお詫びした。
  ・車掌(しゃしょう)が車内放送で「電車が遅れましたことをお詫びします」とくり返し言っている。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト〕
 ・父親は我(わ)が子に「すまない」とわびた。
  ・企業の役員がずらりと並んで、「この度(たび)は誠(まこと)に申しわけありませんでした」と頭
  を下げてわびた。

<スル動詞>
[言い訳(いいわけ)する]  人ガ 人ニ
 ・言い訳(を)するな! おまえが悪いんだ! 
 ・どんなに言い訳(を)しても、妻が許してくれるはずはなかった。結婚記念日を忘れていたという
  だけなのに。
 [~の言い訳をする]
  ・遅刻の言い訳をいろいろしていたら、よけいに怒られた。何も言わずすぐあやまってしまった
   ほうがいいようだ。

[弁解(べんかい)する]  人ガ ものヲ
 ・自分の過失を弁解するつもりはない。
 ・お前のやったことはいくら弁解してもむだだ。ただひたすら謝れ。
[告白(こくはく)する]  人ガ ものヲ
 ・和夫は道子に愛を告白した。
 ・神にすべてを告白しなさい。そうすれば神は許して下さる。
 〔文ヲ〕
 ・彼女は罪を犯したことをすでに神父に告白していた。
 [~の告白をする]
  ・彼女に愛の告白をした。きっぱり断られた。


かんしゃする(感謝する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ 人ニ (ものニ/ヲ)〕
 △かんしゃしたい  かんしゃしなければならない  かんしゃせずにはいられない
  かんしゃさせる  かんしゃされる  かんしゃしろ!
 △[心から/深く/心より/あらためて/一生(いっしょう)]~。
  △[ご親切/お心づかい/ご厚意(こうい)/ご尽力(じんりょく)/お力添(ちからぞ)え]に/を~。
  ・たいへんお世話(せわ)になりまして、皆様に心から感謝致します。
  ・ご親切に心より感謝申し上げます。
 ・ご厚意には感謝いたしますが、この品(しな)はお受け取りできません。
 ・私がせっかく親切に間違いを直してあげたのに、彼は感謝するどころかいやな顔をした。(私に)
   


[6]ほめる・祝う

◇ほめる
  「褒める」は、自分と同等あるいは目下の人や物事を優れていると認めてよく言うこと。名詞節・
引用節をとる。
      人ガ 人・ものヲ ほめる
    子どもを褒める
   人ガ 文ヲ/文ト ほめる
       よくできたことを褒める   「とてもよかった」と褒める
・複合動詞
 「ほめ-」の形の複合動詞は同じような意味で、「褒める」を強調するだけである。
 「褒めあげる」は、大いにほめていい気分にさせること。「褒めそやす」は、(複数の人が)盛んに
ほめること。「褒めたたえる」は、公的な意味合いがあり、りっぱだとほめること。「褒め立てる」
は、くり返し強くほめること。「褒めちぎる」は、これ以上ほめられないほどほめること。
◇たたえる
 「称える」は、(優れた業績や立派な行為として、公的に)心からほめること。書きことば。命令
形「たたえろ」は、古い形の「たたえよ」の形も使われる。名詞節をとる。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ たたえる
        業績・勇気を 称える  新惑星を発見したことを称える
・スル動詞
 「賛美する」は、神や、特に美しいもの、素晴らしいものを(心から)ほめたたえること。
 「称賛する」は、心の底から感嘆し、ほめたたえること。
◇いわう 
 「祝う」は、めでたいことがあった時、喜びの気持ちを改まった言葉や動作で表すこと。名詞節、
引用節を受ける。
   新年・合格を 祝う     成人したことを祝う
・スル動詞
 「お祝いする」は、「祝う」の丁寧な言い方。 
 「祝福する」は、人の幸福を祝うこと。また、その後の幸福を祈ること。


ほめる(褒める・誉める)一(ほめない・ほめます・ほめて・ほめれば・ほめよう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △ほめておく  ほめてやる  ほめてもらう  ほめすぎる  ほめられたい
  ほめないほうがいい  ほめようと思う
 △[少し/非常に/大げさに/わざと/必要以上に/心から]~。
 △[人の努力(どりょく)/しごとの出来(でき)/作品]を~。
 ・先生がわたしの詩(し)を誉めてくれた。
 ・子どもがなにか仕事をした時はよく誉めてやる方がよい。
 ・良い親は子どもを上手に褒める。
 ・子どもをそだてる時は、良い事をしたら褒める、悪い事をしたらしかる、ということが大切です。
 ・きみがしたことは悪いとは言えないが、あまり誉められた事(=とても良い事)ではないな。
 ・酒を飲むのが悪いとは言わないが、君のように毎日飲むのはあまり誉められたことじゃないね。
〔文ヲ〕
 ・そのころ小さかったわたしがいっしょに上手におどったのを大人たちは誉めてくれた。
 ・マラソン大会で、ビリでも最後まで走ったことを父にほめられた。
[2]〔人ガ 人ヲ 文ト〕
 ・「よくがんばった」とみんながほめてくれた。

<複合動詞:ほめ->
[ほめあげる] 人ガ 人・ものヲ
 ・評論家(ひょうろんか)は、彼女の小説をこぞってほめあげた。
 ・多くの人がほめあげ、
[ほめそやす] 人ガ 人ヲ
 ・多くの人が彼を誉めそやすけれど、彼のどこがそんなにすぐれているというのだろう。
 ・誰もがしきりに党首の人柄をほめそやすが、逆に言えば、人柄以外にほめるところがないという
  ことだ。党首に必要なのはまず政治能力だろう。
   みんなが 才能・地位・身分・装った姿を 口々に しきりに 口を極めて
[ほめたたえる] 人ガ 人・ものヲ
 ・子どもをたすけるために列車の前にとび出した学生の勇気をだれもが誉め称えている。
 ・建国に当たっての将軍の功績を国民は褒め称え、将軍を「建国の父」と呼んでいる。
   美しさ・眼識・功績・行動・徳・努力・魅力・生・死・自国を
[ほめたてる] 人ガ 人・ものヲ
 ・テニスの大会で優勝したら、練習態度までほめたてられて、決まり悪かった。練習は好きじゃな
  いんだけど。
 ・王は兵士の勇気ある行動を褒め立て、勲章を授けた。
   男・手柄・勇気・勇気ある行動を 
[ほめちぎる] 人ガ 人・ものヲ
 ・担任の教師は、その生徒のことを褒めちぎった。
 ・あの人は私のことをみょうに高く評価していて、私が何をやっても誉めちぎる。
      店・舞台・謡曲を 書評で 無責任に この世で一番美しいと 


たたえる(称える)  一(たたえない・たたえます・たたえて・たたえれば・たたえよう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕         
 △たたえたい  たたえてやまない  たたえなければならない  たたえよ!
 △[高く/長く/心から/尊敬(そんけい)の念(ねん)をもって]~。
  △[栄誉(えいよ)/快挙(かいきょ)/健闘(けんとう)/功績(こうせき)/勇者(ゆうしゃ)]を~。
 ・山田先生の栄誉を称え、今後のご活躍(かつやく)を祈念(きねん)して、乾杯(かんぱい)いたした
  いと思います。
 ・今回の日本チームの快挙を、多くの新聞、マスコミが称えている。
  ・権力者(けんりょくしゃ)を称える人々が広場に集まっている。
 ・彼女の業績(ぎょうせき)は不滅(ふめつ)のものとしていつまでも称えられるだろう。
〔文ヲ〕
 ・人々は、田村氏が新しい理論体系(りろんたいけい)を打ち立てたことを称えて、学会の賞(しょ
  う)に田村賞と名付けた新しい賞を創設(そうせつ)した。


<スル動詞>
[賛美(さんび)する]  人ガ 人・ものヲ
 ・神を賛美するのもいいが、現実の問題にも目を向けてほしい。
 ・英雄を賛美し、それを支えた国民の犠牲を忘れる歴史小説が多い。
 ・経済成長を賛美する声は多かったが、その負の側面に目を向けた論は少なかった。
 [~の賛美をする]
  ・建国の英雄の賛美をする。
[賞賛・称賛(しょうさん)する]  人ガ ものヲ
 ・彼の今回の作品を賞賛する人は多い。本当に力のこもったいい作品だ。
 ・皆が彼女の、何ものにもひるまない勇気を称賛した。 


いわう(祝う) 五(いわわない・いわいます・いわって・いわえば・いわおう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △いわいたい  いわってもらう  いわってほしい  いわってはいけない
  いわわなければならない  いわわせる  いわわれる  いわおうとする
  いわえ! いわうな!  いわえない
 △[心から/気持ちよく/盛大(せいだい)に/みんなで/お義理(ぎり)で/しかたなく]~。
 △[誕生日(たんじょうび)/結婚(けっこん)/卒業(そつぎょう)/合格(ごうかく)]を~。
 ・父の誕生日を祝って、乾杯(かんぱい)をした。
 ・お二人の門出(かどで)を祝って、乾杯をしたいと思います。
 ・祖母(そぼ)の長寿(ちょうじゅ)を祝って、着物をおくった。
 ・工事の完成(かんせい)を祝うパーティーがひらかれた。
 ・みんなが集まって大学合格を祝ってくれた。
〔人ガ 文ヲ〕
 ・みんなが無事(ぶじ)卒業できたことを祝って、乾杯!
 ・会社の上司(じょうし)が、子どもが生まれたことを祝ってくださった。
[2]〔人ガ 文ト (ものヲ)〕
 ・友だちが口々(くちぐち)に「おめでとう!」と就職(しゅうしょく)の内定(ないてい)を祝ってく
  れた。

<スル動詞>
[お祝い(おいわい)する]  人ガ ものヲ
 ・ご入学をお祝いします。
 ・中学の先生の御結婚をみんなでお祝いした。
〔人ガ 文ヲ〕
 ・母の病気が全快したことを親戚が集まってお祝いした。
[祝福(しゅくふく)する]  人ガ 人・ものヲ
 ・みんなで二人の新しい門出を祝福しましょう。
 ・心から彼ら(の勝利)を祝福したいと思った。

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