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          ◇対人:もののやりとり◇
 
          [1] あげる・くれる   
          [2] もらう・受ける  
          [3] 渡す・配る  
          [4] 貸す・借りる・返す  
          [5] 預かる・預ける  
          [6] 買う・売る  
          [7] 払う  
          [8] 盗む・とる   
                                           
  
    人と人の間のもののやりとりを表す動詞。好意的な場合、単なる所有権の移動、
   金銭が関係する場合、無理に自分のものにする場合、など。
    移動の出発点を表すカラ格、到達点を表すニ格、ものを対象とする場合のヲ格
   が使われるほか、出発点(元の所有者)をニ格で表す用法がある。
      人ニ もらう/かりる

       ◇対人:もののやりとり1◇
 
 [1] あげる・くれる

   やるあげる差し上げる   
     くれるくださる
     与える   買い与える 投げ与える
     譲る    譲り合う 譲り受ける 譲り渡す
     贈る

 [2] もらう・受ける

   もらう   もらい下げる もらい損ねる                                         
     いただく
     受ける      請け合う 受け入れる 請け負う 受け損ねる 受け損じる 請け出す
             受け継ぐ 受けとめる 受け流す 受け持つ    引き受ける  申し受ける

     受け付ける
     受け取る    領収する

 [3] 渡す・配る

  渡す        手渡す  
      渡る   行き渡る
      配る   交付する 配給する 配達する 配布する 配付する
      寄越す
      回す 回る

 [4] 貸す・借りる・返す

  貸す  貸し与える 貸し切る 貸し渋る 貸し出す 貸し付ける  
             融資する 融通する
      借りる   借り上げる 借り集める 借り入れる 借り受ける 借り換える 借り切る
          借り倒す 借り出す  借金する 拝借する 前借りする 間借りする
      返す      返還する 返却する 返済する    

 [5] 預かる・預ける

   預かる 預ける  預け入れる  預金する 貯金する 保管する                  



[1]あげる・くれる
 ものの所有権の移動に関する動詞。「授受動詞」と呼ばれる特徴的な動詞のグループがあり、その
中で「あげる・くれる」が日常的な言い方。用法は同じで丁寧さの違う「やる・差し上げる・下さる」
がある。これらの動詞は、「もらう・いただく」とともに、独特の用法を持つ。「動詞-て」に続く
補助動詞としての用法がある。「あげる・くれる」は、受身の形では使いにくい。
 「やる」と類義の「与える」は書きことば。他に「譲る」「贈る」など。 

◇やる・あげる・さしあげる
 この3語は、意味・文型が共通している。相手に対する丁寧さが違うだけである。
   人ガ 人ニ ものヲ やる/あげる/さしあげる
  「やる」は、自分のものを他人に渡し、その人のものとすること。目下のものに対して使う。
    弟にガムをやる  犬にえさをやる  花に水をやる  お前にこの家をやろう
 ガ格に来る人の人称制限はないが、ニ格に話し手は来ない。「くれる」を使わなければならない。
    姉が妹に本をやる      兄がお前に金をやったというのは本当か
   ×兄が私に本を やる   (兄が私に本をくれる)
  「上げる」は、「やる」の丁寧な言い方。同等または目下のものに対して使う。家族は目上でも同
等扱いとする。
    妹・姉・母に お菓子をあげる  ネコにちくわをあげる  君にこれをあげるよ
 「差し上げる」は、「あげる」の謙譲語。目上の人に対する動作に使う。
    先生に手紙を差し上げる     あなたに差し上げます
 受身の形は、「迷惑の受身」以外には使いにくい。
 「動詞-て」に続く補助動詞としての用法がある。その動作が相手のためにする動作であることを
表す。相手を表すニ格は、基本的に使われない。元の動詞がとる場合のみ。
   人ガ 動詞-て やる/あげる/さしあげる
    (人の)荷物を持って やる/あげる/さしあげる    病人のためにテレビをつけてあげる
        友達にやり方を教えてあげる(友達に教える)
 ただし、ニ格を本来とらない動詞が「-て~」の文型でニ格をとる場合がある。「読む・買う・(料
理を)作る」など。(もともと相手に対して恩恵的な意味を持つ動作か)
    ?子どもに本を読む → 子どもに本を読んでやる/あげる 
 「-てやる」は、相手に対して害を与える場合にも使われる。まれに、「-てあげる」も。
    ひどい目に遭わせてやる  殺してやる!  やさしく殺してあげるわ 
◇くれる・くださる
  「くれる」は、人が話し手などにものを渡し、話し手などのものとすること。同等または目下のも
のに対して使う。家族は目上でも同等扱いとする。「下さる」は、「くれる」の尊敬語。目上の人の
動作に使う。ニ格が話し手である場合は、省略することが多い。話し手以外にも、「話し手側」と見
なせる人に対する場合は、「くれる/くださる」が仕える。家族などの「ウチ」の者や、話し手に対
する「聞き手」も、第三者のことを話す場合「話し手側」と見なされることがある。
   人ガ (話し手ニ) ものヲ くれる/くださる 
    兄・弟・母が(私に)お菓子をくれた      社長が賞を下さる
    小遣いをくれよ  これを三つ下さい
    隣のおばさんが弟にクッキーをくれた
    部長は君に何をくれたんだい? 
 命令の形は「×くれろ・くだされ」ではなく「くれ/ください」で、活用形としては例外的な形。
「くださる」の「-ます」の形は「くださいます」で、これも例外。
 「動詞-て」に続く補助動詞としての用法がある。誰かが話し手のためにそうすること、または話
し手がそれをありがたいと思っていることを表す。ニ格は元の動詞がとる場合のみ。
   人ガ 動詞-て くれる/くださる
        兄が(私の)荷物を持ってくれた  私に写真を見せてくれる(私に見せる)
    先生が(私たちに)説明してくださいました
 ニ格をとらない動詞が「-て~」の文型でニ格をとる場合があることは「-てあげる」と同じ。
    父が私に車を買ってくれた (?父が私に車を買った)
 「動詞-てくれ/てください」は、依頼を表す。「くれ/ください」を省略した形は、親しげな依
頼の表現になる。
    ちょっと手伝ってくれ   ここに名前を書いてください  ちょっと、これ持って!
 より丁寧な依頼の言い方としては、「-ませんか」をつけた否定疑問の形にする。
    すみませんが、それを見せてくださいませんか
 「下さる」は、動詞の敬語表現を形作る用法がある。「お/ご-動詞-下さる」の形。
    お教え下さいました  ご教示下さった  ご覧下さい
 「動詞-てくれ(ないか)」には期待・願望を現す用法もある。
    雨が降ってくれないかなあ  合計が1万円以内に収まってくれると助かるんだが
 「動詞-てくれる」を皮肉として使い、相手に対する非難の気持ちを表すことがある。
    なんてことやってくれるんだよ 
 「くれてやる」という言い方があり、相手に対する軽蔑的な態度を表す。
    こんなもの、おまえにくれてやる!
 慣用的な表現で「目もくれない」は、それに対してまったく関心がないことを表す。
  
◇あたえる
  「与える」は、「やる」と同じく、自分のものを他人に渡し、その人のものとすること。書きこと
ば。「損害」など、不利益なものも言う。
      人ガ 人ニ ものヲ あたえる
      子どもに小遣いを与える  機会を与える  衝撃・損害を 与える
 複合動詞「買い与える」は、相手に必要なもの、ほしがるものを買って与えること。ニ格をとる。
◇ゆずる
  「譲る」は、自分の権利・地位・位置などを他の人に与えること。また、「売る」の婉曲な表現。
      人ガ 人ニ ものヲ ゆずる
     財産・政権を 譲る  電車の席・道を 譲る  車を安く譲る
 あることを今回はせずに、次の機会に延ばすということを表す。
   人ガ ものヲ ものニ ゆずる
    この問題は次回の検討に譲る
・複合動詞
 「譲り合う」は、お互いに相手に譲ろうとすること。
 「譲り受ける」は、人から譲られて受け取ること。
 「譲り渡す」は、譲って他の人に渡すこと。
◇おくる
  「贈る」は、感謝やお祝いの意味を込め、改まって人にものをあげること。(「送る」は、別語)
      人ガ 人ニ ものヲ おくる
    誕生日に花束を贈る  感謝状・拍手・文化勲章を 贈る 

やる(遣る)  五(やらない・やります・やって・やれば・やろう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △やりたい  やってはいけない  やらなければならない  やろうとする  やれ!
 △[ときどき/いつも/かならず/たまに/忘れずに/気が向いたら]~。
  △[お金/プレゼント/小遣(こづか)い/読み終わった本/要らなくなったもの]を~。
 ・ペットにエサをやりすぎないように気をつけてください。
 ・ハトにエサをやってはいけません。
 ・家できんぎょにえさをやるのは、わたしのしごとです。
 ・水をやるのを2、3日わすれてしまったので、花がかれてしまった。
  ・毎朝わすれずに植木鉢(うえきばち)の花に水をやっています。
 ・うちでは毎月千円ずつ子どもにこづかいをやることにしています。
 ・いくらお祝(いわ)いでも、子どもにそんなにたくさんお金をやるのはよくない。
 ・小さな弟(おとうと)に小遣(こづか)いをやったらうれしそうだった。
 ・これ、ほしかったらやるよ。
〔-てやる〕
 ・妹(いもうと)が宿題(しゅくだい)で困っていたので、ちょっと見てやった。
 ・一人でできるかい? 手伝ってやろうか?
  ・子どもの言ったことはウソだと分っていたが、だまされてやった。
 ・一曲(いっきょく)歌います。へたな歌ですが、がまんして聞いてやってください。 
 ・はらが立ったので、なぐってやった。
 ・今日はヤツのおかげでひどい目にあった。いつか仕返(しかえ)しをしてやろう。
 ・ええい、死んでやる!
 ・おまえなんか、ころしてやる。


あげる(上げる)一(あげない・あげます・あげて・あげれば・あげよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △あげたい  あげておく  あげてはいけない  あげてください  あげないようにする
  あげられない  あげようとする  あげさせる  あげろ!  あげるな!
 △[たまに/ときどき/いつも/何度も/忘れずに/心をこめて]~。
 △[プレゼント/花/お金/贈(おく)り物/ほしい物]を~。
 ・彼に何かあげたいんだけど、何がいいかなあ。あげていちばん喜んでもらえるものは何かなあ。
 ・この中から好きなものをあげるよ。どれがいい? これをあげようか。どう?
 ・ゆみ子さんは、私がこのまえ上げたブローチをつけてパーティーに来ていた。
 ・この中にあなたの好きな絵(え)があったら、それをあげますよ。
 ・お子さんにはこれをあげるといいんじゃないですか。
 ・子どもにあんまりお金をあげるのはよくないと思いますよ。
  ・あなたに 女の子の 一番 大切な ものをあげるわ (山口百恵)
〔動詞-てあげる〕
 ・困っている人がいたので、助けてあげた。
 ・テストの時に教えてあげるのは、その人のためになりませんよ。
 ・一人でできるかい? 手伝ってあげようか? 
 ・今の学生は自分でわかろうとしないから、ていねいに教えてあげないといけない。
 ・黙(だま)って見てないで、助けてあげればいいのに。


さしあげる(差し上げる)  一(さしあげない・さしあげます・さしあげて・さしあげれば・
   さしあげよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △さしあげましょう  さしあげてください  さしあげないほうがいい  さしあげようとする
 △[いつも/感謝(かんしゃ)をこめて/お年賀(ねんが)に/ほんの気持ちとして]~。
  △[贈(おく)り物/おしぼり/餞別(せんべつ)/一人娘(ひとりむすめ)/ささやかな物]を~。
 ・私のつたない作品(さくひん)を先生に差し上げましたら、ことのほか喜んでくださいました。
 ・今日(きょう)はいい物を差し上げましょう。これをご覧(らん)下さい。
 ・先日(せんじつ)はつまらない物を差し上げまして、失礼いたしました。
〔動詞-てさしあげる〕
  ・お年よりの方がお困(こま)りの様子(ようす)だったので、出口(でぐち)のところまで連れて行っ
  て差し上げました。
  ・いつか、何かおいしい物をごちそうして差し上げましょう。
 ・時間がなくていらっしゃれないということでしたら、写真を撮(と)ってきて、見せて差し上げた
  らいいんじゃないでしょうか。


くれる  一(くれない・くれます・くれて・くれれば)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △くれそうだ  くれるかもしれない  くれればうれしい  くれないとこまる
 △[いつも/きっと/かならず/やっと/少し/いやいや/久しぶりに]~。
  △[お金/小遣(こづか)い/お菓子(かし)/プレゼント/仕事/休み/連絡(れんらく)]を~。
  ・父が突然(とつぜん)小遣いをくれた。なんだか気味(きみ)が悪いような、、、。
 ・恋人(こいびと)が私の誕生日(たんじょうび)に何かくれるらしい。なんだろうなあ。
 ・しばらく会っていない友だちが電話をくれた。何となく会いたくなったという。
 ・お年玉(としだま)はいくらくれるかなあ。たくさんくれるといいなあ。
 ・妹がお菓子をぼくにくれようとしたんだけど、姉が横からそれを取っていっちゃった。
 ・向こうに着いたらすぐ連絡をくれ。
 ・これ、要らないからお前にくれてやる。ありがたく思え。
〔動詞-てくれる〕
 ・引っ越(ひっこ)しの時、友だちがいろいろ手伝(てつだ)ってくれた。
 ・これを工場へ届(とど)けてくれないか。その時、受取証(うけとりしょう)をもらってきてくれ。
 ・お前がこの仕事をやってくれると、とても助かるんだが、どうだろうか。
 ・もうちょっとまじめにやってくれよ。
 ・なんてことやってくれるんだよ。ひどい迷惑(めいわく)だよ。
 ・雨が降ってくれないかなあ。
 ・経費(けいひ)が予算(よさん)の範囲内(はんいない)におさまってくれるといいんだけど。
 ☆命令形は「×くれろ」ではなく「くれ」となり、活用の例外。


くださる(下さる)五(くださらない・くださいます・くださって・くだされば)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △くださるかもしれない  くださるだろう  くださらないとこまる
 △[いつも/ときどき/ありがたいことに/おもいがけず/ごていねいに]~。
 △[賞(しょう)/手紙(てがみ)/お言葉(ことば)/寄付(きふ)/お小遣(こづか)い]を~。
 ・社長が直接(ちょくせつ)私に賞状(しょうじょう)を下さった。
 ・私は毎週(まいしゅう)お手紙をさし上げるつもりです。あなたも毎週お返事(へんじ)を下さい。
 ・父の友人の木村さんが私の入学いわいに時計(とけい)を下さった。
 ・先生が私にお手紙を下さろうとは、ゆめにも思いませんでした。
〔動詞-てくださる〕
 ・こちらへ来てください。
  ・あなたがしてくださったことは一生(いっしょう)忘れません。
 ・社長が私たちの結婚式(けっこんしき)にいらしてくださいました。
 ・一度私たちの家に来てくださればいいのに。
〔お/ご-動詞-くださる〕
 ・こちらへおいで下さい。
 ・今回のプロジェクトは、社長もご賛成くださいました。
 ・どうぞあちらを御覧(ごらん)下さい。
 ・どうぞお召(め)し上がり下さい。
 ☆命令形は「×くだされ」ではなく「ください」、「-ます」の形は「×くださります」ではなく「く
  ださいます」で、どちらも活用形の例外。


あたえる(与える) 一(あたえない・あたえます・あたえて・あたえれば・あたえよう)
[1]〔人・ものガ 人・ものニ ものヲ〕
 △あたえそうだ あたえかける あたえてしまう あたえておく あたえてはいけない
  あたえてあげる あたえたほうがいい あたえなければならない あたえさせる
  あたえられる あたえようとする あたえろ! あたえるな! あたえられない 
 △[こころよく/いやいや/しぶしぶ/すぐに/ついに/やっと]~。
 △[賞(しょう)/賞品(しょうひん)/賞金(しょうきん)/奨学金(しょうがくきん)/資金(しきん)
   /栄誉(えいよ)/権利(けんり)/自由(じゆう)/時間/猶予(ゆうよ)]を~。
  [問題(もんだい)/課題(かだい)/役割(やくわり)]を~。
  [感銘(かんめい)/感動(かんどう)/ショック/ダメージ/損害(そんがい)]を~。
 ・この学生のレポートはひどい。合格点(ごうかくてん)を与えることはできない。
 ・会社は私たち女性にに重要(じゅうよう)な仕事(しごと)を与えてくれない。
 ・あなたに一度だけやりなおすチャンスを与えよう。
 ・私にも発言(はつげん)の機会(きかい)を与えてください。
 ・学校のそばにパチンコ屋があると、生徒(せいと)に悪い影響(えいきょう)を与える。
 ・ある国で、首相(しゅしょう)が裁判(さいばん)にかけられるということは、世界(せかい)の人に
  悪いイメージを与えることだ。
 ・私は仕事がおそいので、与えられた時間の間にやるのがとてもむずかしい。
 ・母が再婚(さいこん)するという話は、子どもたちに立ちなおれないほどのショックを与えた。
 ・現在の位置(いち)と速(はや)さが与えられれば、ちがう時点(じてん)での位置を計算(けいさん)
  することができます。 (科学・数学の計算問題の表現)
 ・日本にA国の基地(きち)があることが、外国に脅威(きょうい)を与えるのだ。
 ・私は、社長から、ある額(がく)のお金を交際費(こうさいひ)としてつかう許可(きょか)を与えら
  れています。
 ・この映画(えいが)は若い人たちにもとても感動を与えている。
 ・そういう、人に誤解(ごかい)を与えるような事を言ってはいけない。
 ・こういう良い学生が一人いると、ほかの学生に良い刺激(しげき)を与える。
 ・私はその事を決める権限(けんげん)を与えられていません。
 ・この病院では、病気のかるい人は外出の自由(じゆう)が与えられている。
 ・医者(いしゃ)は病人に不安(ふあん)を与えないように気をつけるべきだ。
 ・「天は二物(にぶつ)を与えず」(=人にはすぐれた所もあるし、おとった所もある)

<複合動詞:-あたえる>
[かいあたえる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・子どもにどんなおもちゃを買い与えたらいいかは、親の楽しい悩みである。
 ・うちの社長は気前がよくて、気に入った社員には背広を買い与えてくれる。
   衣服・帯・菓子・玩具・着物・車・背広・土地を ふんだんに
[なげあたえる] 人ガ 人・ものニ ものヲ
 ・住宅街を流れる小川の魚にえさを投げ与える人がいた。後で釣る気かな。
 ・ある国で観光客が乞食に小銭を投げ与えているのを見たことがある。いやな光景だった。


ゆずる(譲る)五(ゆずらない・ゆずります・ゆずって・ゆずれば・ゆずろう) 
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △ゆずりたい  ゆずってほしい  ゆずってくれる  ゆずってもらう  ゆずってやる
  ゆずらせる  ゆずられる  けっしてゆずらない  ゆずれない
 △[こころよく/気持ちよく/いやそうに/いやいや/しかたなく]~。
 △[子犬/めずらしい本/いらない物/バスの席]を~。
  [王座(おうざ)/政権(せいけん)/財産(ざいさん)/首位(しゅい)]を~。
 ・いらなくなったテレビを三千円で友だちに譲った。
 ・A:きみは車を買ったそうだね。もう自転車にはのらないだろう。譲ってくれないか。
  B:いいとも。
  A:いくら払おうか。
  B:きみに譲るんだから、お金なんかいらないよ。
 ・電車で座っていた時、お年よりが前に立った。席を譲ろうと思ったが、何となくはずかしくて、
  できなかった。
 ・この条件(じょうけん)だけはあなたが何と言おうと(=言っても)一歩(いっぽ)も譲れません。
  (ゆずる:ゆずれる=ゆずることができる)
 ・どうしても譲れない一線(いっせん)だけは守(まも)り通した。
 ・私は安全運転(あんぜんうんてん)をしたいので、急ぐ車にはどんどん道を譲ることにしています。
 ・中山氏(し)は、後進(こうしん)に道を譲りたいと言って、社長の座(ざ)をおりた(=やめた)。
 ・Q国はオリンピックでR国にまけて、バスケットボール世界一の座をR国に譲った。
 ・Q社は10年間、売上で第一位(だいいちい)をつづけたが、今年は、とうとうR社に首位の座(ざ)
  を譲った。
 ・そのゆうめいな絵(え)は、Q氏の死んだ後、甥(おい)のR氏に譲られた。
 ・かりに百歩(ひゃっぽ)譲って私が悪いとしても、あなたのほうにもかなりのまちがいがあるのは
  たしかです。
[2]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △〔この次/次の機会(きかい)/次回(じかい)〕に~。
 ・今日は時間がないので、この問題(もんだい)の解決(かいけつ)は次の機会に譲ります。

<複合動詞:ゆずり->
[ゆずりあう] 人ガ 人ト ものヲ 
 ・みんな上座を譲り合ってなかなか席が決まらない。早く座ってほしいんだけど。
 ・電車がだいぶこんでまいりました。みなさまどうか、おたがいに譲り合って、おくのほうへお詰
  めねがいます。
   双方・与野党が 先・席・道を 上品に 互いに
[ゆずりうける] 人ガ 人カラ ものヲ 
 ・このいえは、ある金持ちから譲り受けたものです。
 ・店は先代から譲り受けたものだが、私の代でさらに拡張することができた。
   遺産・土地・店・親父の後を 親から 二束三文で
[ゆずりわたす] 人ガ 人ニ 物ヲ 
 ・この土地はもともと私のおじのものなので、私が勝手に人に譲り渡すことはきない。
 ・ある人から山の別荘を譲り渡されたが、めったに行かないし、管理が面倒で困っている。
      株・宝物・場所・別荘・政権を


おくる(贈る) 五(おくらない・おくります・おくって・おくれば・おくろう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △おくりたい  おくってみる  おくってはいけない  おくったほうがいい  おくらせる
  おくられる  おくろうとする  おくるな! 
 △[心を込めて/謹(つつし)んで/しかたなく/いやいや/義理(ぎり)で/惰性(だぜい)で]~。
 △[プレゼント/時計(とけい)/おみやげ/誕生日(たんじょうび)のお祝(いわ)い]を~。
  [合図(あいず)/メッセージ/拍手(はくしゅ)/視線(しせん)/賛辞(さんじ)]を~。
 ・恋人(こいびと)の誕生日に何を贈るか考えるのは、とても楽しい。
  ・バレンタインデーにチョコレートを贈るというのは、ある企業(きぎょう)の考えだしたことだ。
 ・あの人、何を贈ったらいちばん喜ぶかなあ。
 ・校長から卒業(そつぎょう)生に記念品(きねんひん)が贈られた。
 ・コンテストの賞品(しょうひん)としてテープレコーダーが贈られた。
 ・お中元(ちゅうげん)やお歳暮(せいぼ)は、たがいに贈ったり贈られたり、あなたのことを忘れて
  はいませんよ、というあいさつ代わりのようなものだ。
 ・観客(かんきゃく)が選手(せんしゅ)に拍手(はくしゅ)を贈ると、選手は手を上げてそれに応えた。
 ・海外からの代表団(だいひょうだん)に歓迎(かんげい)のメッセージが贈られた。  

[2]もらう・うける
 「もらう」は、「あげる・くれる」と一つの類を作る表現。「いただく」は、「もらう」の謙譲語。

◇もらう 
  「もらう」は、人からものを贈られ、自分のものとすること。頼んだり、申し込んだりした結果の
こともある。相手をニ格・カラ格で示す。ものの出発点を表すカラ格と同じ意味でニ格が使われるの
はかなり特徴的な用法。
   人ガ 人ニ/カラ ものヲ もらう
       父に/から 小遣いをもらう
 ヲ格に人が来る「人ヲ もらう」という文型があり、その役割をニ格またはヲ格にとる。
      人ガ 人ヲ ものニ もらう
    その子を養子に/彼女を嫁に もらう   養子・嫁を もらう
・複合動詞
 「もらい下げる」は、上の立場の人からもらうこと。特に、警察などから身柄を引き取ること。
 「もらいそこねる」は、もらうことに失敗すること。 
◇いただく  
  「いただく」は、「もらう」の謙譲語で、目上の人から「もらう」こと。
      人ガ 人カラ ものヲ いただく
       社長から社長賞をいただく
◇うける 
  「受ける」は、落ちてくるものや自分に向かってくるものを手などで支え止めること。具体的な動
きの場合、受ける体の部位をニ格で示すか、道具を表すデ格で示す。
   人ガ ものヲ (ものニ/デ) 受ける 
      落ちてくる雨粒を手で受ける  朝日・風を 体に受ける 
 そこから、社会的な事柄、人間関係にまで用法が広がる。
     人ガ ものヲ (人カラ) 受ける
    賞・奨学金・援助・歓迎を 受ける  相談・質問・注文・挑戦を 受ける
 「攻撃を受ける」は、「攻撃される」意味と、「攻撃を(うまく)防ぐ」意味になる。
    敵の激しい攻撃を受けて落城した  敵の攻撃をうまく受けて持ちこたえた
  精神的な影響の場合。
     人ガ 人・ものカラ/ニ ものヲ 受ける
       その絵・人に 強烈な印象を受けた
・複合動詞:「うけ-」の形のものが多い。「請け」という表記を使うものがある。
 「請け合う」は、たしかであると保証すること。責任を持って引き受けること。
 「受け入れる」は、ものを受け取って収めること。人を引き取って面倒を見ること。人の言うこと
  を認めること。
 「請け負う」は、一定の報酬をもらう約束で仕事を引き受けること。
 「受け損ねる」「受け損じる」は、ものを受けることに失敗すること。
 「請け出す」は、質に入れたものなどを代価を払って引き取ること。
 「受け継ぐ」は、前から続いている物事を、誰かに代わって行うこと。 
 「受け止める」は、こちらに向かってくるものを受けて、その進みを止めること。ひゆ的に、人の
  ことばや現状を心でしっかりとらえ、認識すること。
 「受け流す」は、向かってくる刀を軽く受けて交わすこと。ひゆ的に、人の言うことをまともに相
  手にせず、話をそらすようにすること。
 「受け持つ」は、自分の責任の範囲として引き受けて扱うこと。
 「引き受ける」は、依頼や仕事を受けて、しようとすること。人の保証をすること。
 「申し受ける」は、何かを願い出て受けること。相手の依頼を受けること。
◇うけとる     
  「受け取る」は、渡されたもの、送られてきたものを自分の手に受けること。また、自分のものと
すること。ひゆ的に、状況を自分なりに解釈すること。引用の「ト」をうける。
      人ガ 人カラ ものヲ うけとる
     品物・手紙・メールを 受け取る  相手の態度から、了承されたものと受け取った
・スル動詞
 「領収する」は、支払われた金を受け取ること。
◇うけつける
  人の要求・質問などに対して、きちんと対応すること。病人が食べ物などをふつうにとれること。
      人ガ ものヲ うけつける
      申し込み・願書を 受け付ける     体が弱って食べ物を受け付けない
  

もらう(貰う)五(もらわない・もらいます・もらって・もらえば・もらおう) 
[1]〔人ガ 人ニ/カラ ものヲ〕
 △もらいたい  もらうつもりだ  もらってほしい  もらってあげる  もらってくれる
  もらいそうだ  もらってある  もらってみる  もらわないといけない  もらうべきだ
  もらえるかもしれない  もらわずにいる  もらおうと努力した
 △[うれしそうに/ありがたく/いやいや/とつぜん/理由(りゆう)もなく]~。
 △[お金/プレゼント/手紙(てがみ)/賞(しょう)/休暇(きゅうか)/病気/子ども]を~。
 ・友だちにもらった本を読んだ。私の好みがよくわかっているようで、とても面白かった。
 ・父から入学祝(にゅうがくいわ)いにカメラをもらいました。
 ・誕生日(たんじょうび)に知らない人からお花をもらったわ。どうしよう。
 ・あいつは会社を移って、いい給料(きゅうりょう)をもらっているらしい。こんどおごらせよう。
 ・小説を書いて、賞(しょう)をもらおうとがんばった。
 ・よそで変な病気をもらってくるなよ。
 ・友だちから手紙をもらってから、ずいぶん日にちがすぎてしまった。
[2]〔人ガ 人カラ 人ヲ〕
 △[嫁(よめ)/養子(ようし)]を~。
 ・A:ヒロシ、お前、いくつになった。
  B:35だよ。
  A:そろそろ嫁(よめ)さんをもらったらどうだ。
 ・だれか私をもらってくれる人がいないかなあ。(=結婚してくれる人)
 ・子どもがないので養子をもらうことにした。
 ・私の叔父(おじ)は子どもがいなかったので、私は叔父の家に(養子として)もらわれたのです。

<複合動詞:もらい->
[もらいさげる] 人ガ 人・ものヲ
 ・会社で不要となった事務用品をいろいろもらい下げてきた。
 ・警察に補導された生徒をもらい下げてくるもの教師の役目だ。
   土地・不要品・身柄・補導された生徒を 会社・国・警察・政府から
[もらいそこねる] 人ガ ものヲ
 ・ちょうどその時いなかったために、土産の品をもらいそこねた。
 ・惜しくも的をはずして、賞品をもらいそこねてしまい、子供に文句を言われた。
      賞品・切符・駄賃・土産の品・無料の券を


いただく(頂く・戴く) 五(いただかない・いただきます・いただいて・いただけば・いただ
    こう) 
[1]〔人ガ 人ニ/カラ ものヲ〕
  △いただきたい いただいておく いただいたほうがいい いただかなくてはならない
  いただこうとおもう いただけない
 △[ありがたく/よろこんで/とうとう/おもいがけず/さいわいなことに]いただいた
 △[先生/会長/恩師(おんし)/先輩(せんぱい)/社長/天皇(てんのう)]から~。
 ・妹は先生から本をいただいた(=もらった)と言ってよろこんでいる。
 ・けっこうな物を頂きましてありがとうございます。
 ・すみません、おちゃをもう一杯いただけませんか。(=ください)
[2]〔人ガ ものヲ〕
 ☆「のむ」「たべる」のていねい語。女の人がよくつかう。
 △[食事/おかし/にく/おさけ/おちゃ]を~。
 ・A:もう一杯いかがですか。
  B:どうもありがとうございました。もう十分いただきました。
 ・私はお酒はめったにいただきません。
[3]〔人・ものガ 人・ものヲ (ものニ)〕
 ・頂上(ちょうじょう)に雪をいただいた山々が、とおくに見える。
 ・農民たちは夜明(よあ)けとともにはたらきに出て、星をいただいて家へ帰るのだ。
 ・わたしたちは田中先生を会長にいただいた。(=会長にした)


うける(受ける) 一(うけない・うけます・うけて・うければ・うけよう) 
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △うけたい  うけてみる  うけておく  うけてもいい  うけなくてはいけない
  うけさせる  うけられる  うけようと思う  うけろ!  うけるな!
 △[一度/何度も/ためしに/おそるおそる/堂々(どうどう)と/とりあえず]~。
 △[賞(しょう)/試験(しけん)/テスト/面接(めんせつ)]を~。
 ・飛んできた野球(やきゅう)のボールをとっさに手で受けたが、あとでひりひり痛かった。
 ・アインシュタインは1921年にノーベル物理学賞(ぶつりがくしょう)を受けた。
 ・先月の台風(たいふう)でこの地方の作物(さくもつ)は大きな被害(ひがい)を受けた。
 ・来年P大学を受けようと思っています。(入学試験を)
 ・一次(いちじ)試験は通ったが、この次は面接試験を受けなければならない。
 ・取引先(とりひきさき)からの電話を受けたのはだれ? ちゃんとメモはとった? 
 ・ゆうべの雨にぬれた木の葉(きのは)が、朝の光を受けてキラキラ光っている。
[2]〔人・ものガ 人・ものカラ ものヲ〕
 △[影響(えいきょう)/質問(しつもん)/恩恵(おんけい)/批判(ひはん)/損害(そんがい)]を~。
 ・小さい時に親から英才(えいさい)教育を(きょういく)受けたのに英才(えいさい)になれなかった
  人はたくさんいる。
 ・あの人の作品(さくひん)は多くの人からきびしい批判を受けた。
 ・それでは今から時間をとって質問を受けます。どなたでもどうぞ。
 ・私はこの論文(ろんぶん)から大きな影響を受けて、今の研究を始めようと思いました。
 ・この町は去年の災害(さいがい)で大きな損害を受けたが、人々の力でなんとか立ち直った。

<複合動詞:うけ->
[うけあう]人ガ ものヲ
 ・あの人は正直ですよ。人物はわたしがうけあいます。
 ・あなたが品質をうけあうというのなら、それを買うことにしよう。
   身元を 二つ返事で 淡々と 胸を叩いて 絶対に面白いと
[うけいれる]人ガ ものヲ  
 ・あなたの提案はとても受け入れることはできません。
 ・A国は外国の難民をいつでも受け入れている。
 ・どこの文化でも、外国の文化を受け入れることによって、いっそうゆたかなものになるものだ。
   人を 意見を 変化を
[うけおう]人ガ ものヲ (人カラ)
 ・あの工事はA社が請け負うことになったそうだ。
 ・いま、ビルの建設を三つも請け負っているから、とてもいそがしい。
 ・政府から請け負った仕事をやっているが、もうけが少なくて割に合わない。
   家の補修を 建築・工事・仕事・食堂・話を
[うけそこねる] 人ガ ものヲ
 ・打球を受け損ねて腹に受け、息が詰まった。 
 ・日時を間違えて無料の予防接種を受け損ねてしまった。自費で申し込まないと。
   蹴り・ボール・恵み・予防接種・レッスンを
[うけそんじる] 人ガ ものヲ
 ・ゴール下で味方のパスを受け損じ、左手の中指を突き指してしまった。
 ・相手の攻撃を受け損じて、一気に敗勢となった。
   打ち手・送信・太刀・ボール・矢を
[うけだす]人ガ ものヲ
 ・そろそろ寒くなってきたから、冬のボーナスが入ったら、その金でコートを受けだそう。
   質草を ちんぴらを 畑・遊女・指輪を
[うけつぐ]人ガ ものヲ (人カラ)
 ・兄は父の性格をうけついで、とても明るい。
 ・このお店は百年の伝統を受け継ぐ古いお店です。
 ・伝統を受け継ぎながらも、新しい時代にも合うものを作らなければならない。
   遺産・遺伝子・王位・技術・芸風・事業・思想・事務所・性格・宝・血・地位・伝統・富・
   日本文化を 祖先から そのまま 代々 連綿と・先祖代々~れる
[うけとめる] 人ガ ものヲ/文ヲ
 ・立ち会いで相手の出足をしっかり受け止めて、まわしをとりにいった。
 ・彼は私の気持ちをまっすぐに受け止めてくれて、いっしょに生きていこうと言ってくれました。
 ・この事態に至ったことを重く受け止めて、全力で問題解決に取り組みます。
   思い・重み・風・刀・気持ち・警告・現実・言葉・事実・視線・事態を
   衝撃・批判・変化・ボール・問題を  正面から 命がけで 全身・本気で 真剣に
[うけながす]人ガ ものヲ
 ・兄は、よっぱらいの言うことを初めは軽く受け流していたが、とうとうおこり出した。
 ・あの人の言うことなんか本気で聞いてはいけません。受け流しておけばいいんですよ。
   攻撃・視線・冗談・話を いい加減に 巧みに さらり・平然と 軽く笑って
[うけもつ]人ガ ものヲ 
 ・あなたのクラスを受け持っているのはどの先生ですか。
 ・私はこのぼうし売り場を受け持っています。
      一年生・管理・クラス・作成・授業・世話・損な役・役割・任務・費用を

<複合動詞:-うける>
[ひきうける] 人ガ ものヲ  
 ・友だちに引越しのてつだいを頼んだら、引き受けてくれた。
 ・自分で責任の持てない仕事は引き受けられない。
   依頼・解説・家事・講演・交渉・工事・顧問・仕事・実務・事務・重責・出演・世話・捜査・
   対談・頼み・注文・調査・手伝い・仲人・使い・憎まれ役・任務・弁護・編集・申し出・役目
   ・役割・厄介事を 子弟・若者を 他人の苦しみを
   軽い気持で 一手に 気軽に いやいや うっかり 進んで 喜んで 難しい役を 
[もうしうける] 人ガ ものヲ 
 ・送料に関しては、実費を申し受けます。
 ・今回の講習料は無料ですが、材料費は実費を申し受けますので、ご了解下さい。
   命・一命・寄付・実費・別途送料を 


うけつける(受け付ける)  一(うけつけない・うけつけます・うけつけて・うけつければ・う
  けつけよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △うけつけてほしい  うけつけておく  うけつけてはいけない  うけつけるべきだ
  うけつけられない  うけつけようとする  うけつけられる  うけつけろ!
 △[すぐに/こころよく/次々(つぎつぎ)に/てきぱきと/順(じゅん)に/全部]~。
    [なかなか/容易(ようい)に/絶対に/頑(がん)として/頭から/てこでも]うけつけない
  △[縁談(えんだん)/頼(たの)み/申(もう)し込み/願書(がんしょ)/希望(きぼう)]を~。
 ・締(し)め切りを過ぎていますが、特別に受け付けますので、提出(ていしゅつ)してください。
 ・ハイキングの参加(さんか)の申し込みはここで受け付けています。
 ・テストの時は、質問(しつもん)は受け付けません。
 ・あの会社は客からの苦情(くじょう)を受け付けないそうだ。
 ・あの人の頭は、新しい思想(しそう)は絶対に受け付けないようにできているみたいだ。
 ・体がひどく弱ってしまって、胃(い)が食べ物を受け付けないようだ。
 

うけとる(受け取る) 五(うけとらない・うけとります・うけとって・うけとれば・うけとろう)
[1]〔人ガ 人カラ ものヲ〕
 △うけとってほしい  うけとってはいけない  うけとらざるをえない  うけとれない
  うけとろうとおもう  うけとらせる  うけとれ!  うけとるな!
 △[ありがたく/気軽(きがる)に/こころよく/ていねいに/慎重(しんちょう)に]~。
  △[案内状(あんないじょう)/切符(きっぷ)/手紙(てがみ)/願書(がんしょ)/会費(かいひ)/お
   金/裏金(うらがね)/賄賂(わいろ)]を~。
 ・家を出たとき、ちょうど来た郵便屋さんからハガキを受け取った。
 ・その手紙を受け取ったのは、たしか月よう日のことだ。
 ・給料はあちらのカウンターで受け取ってください。
 ・あなたが賄賂を受け取ったというのは事実(じじつ)ですか。
[2]〔人ガ ものヲ ものト〕
 ・あの言葉(ことば)を、そのまま誉(ほ)め言葉として受け取るのは、たぶん間違(まちが)いだ。
  ・運命(うんめい)を必然(ひつぜん)のものと受け取って、強く生きていってほしい。
〔文ヲ〕
 ・相手が何も言わなかったのを承諾(しょうだく)したものと受け取ったが、違ったようだ。

<スル動詞>
[領収(りょうしゅう)する]  人ガ ものヲ
 ・この協会のすべての入金について、いつ、誰が領収したのかを調べてほしい。
 ・代金7万円、確かに領収いたしました。
   会費 代金 料金を
    


[3]渡す・配る
  人の手から人の手へものが移動することを表す動詞。
◇わたす  
  「渡す」は、ものをこちらの手から他の人の手に移すこと。相手のニ格をとる。動作者を出発点と
してカラ格で示すことがある。抽象的なものについても言う。(他の用法は→「移動」)
     人ガ/カラ 人ニ ものヲ わたす
       係りの人に荷物を渡す  この書類はあなたから彼に渡しなさい(あなたが)
       首位の座・経営権を 渡してしまう
◇てわたす
 「手渡す」は、相手に会って、手から手へ直接ものを渡すこと。
   人ガ 人ニ ものヲ てわたす
    これは必ず本人に手渡してください
◇わたる
  「渡る」は、自分のものや権利が他の人に移ること。多くの人にものが届くこと。(→「移動」)
   ものガ (人カラ) 人ニ わたる
       家屋敷が他人の手に渡る      出席者に資料が渡る
・複合動詞「行き渡る」は、ものがある範囲の全体に及んでいること。
◇くばる 
  「配る」は、複数の人のそれぞれにものを渡すこと。
     人ガ 人ニ ものヲ くばる
       生徒に問題用紙を配る  委員に資料を配る
◇よこす
  「寄越す」は、相手が人・ものをこちらへ送ってくること。こちらへ渡すこと。話しことば。
 人ガ 人ニ 人・ものヲ よこす
       隣国の王が使いをよこしてきた    手紙をよこした  その金をこっちによこせ!
 補助動詞的に「~てよこす」の形でよく使われる。
    いなかの母が畑でとれた野菜を送ってよこした
◇まわす
  「回す」は、(複数の人が)ものを順に送って次の人に渡すこと。何かを次の時・所に順に送ること。
必要な人のところへ送ること。  (他の用法は→「動き」)
   人ガ 人・ものニ ものヲ まわす
       みんなにビールを回す  経理に伝票を回す  議題を次回に回す  迎えの車を回す
◇まわる
 「回る」は、ものが(人の間を)順に送られてくること。     (他の用法は→「動き」)
   ものガ 人ニ まわる
       回覧資料が回ってこない
・スル動詞
 「配達する」は、郵便物・品物などを目的のそれぞれの家に届けること。
 「配布する」は、多くの人に配ること。
 「配付する」は、関係者の一人一人に配って渡すこと。 
 「配給する」は、数量に限りのある物資を一定の割合で一人一人に渡すこと。 
 「交付する」は、国や役所が一般の人にお金や書類を渡すこと。  


わたす(渡す)五(わたさない・わたします・わたして・わたせば・わたそう) 
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △どうしてもわたしたい  わたし忘れた  わたさなければならない物  
  金を彼女にわたしてはいけない  金をわたしたはずがない  わたしてもらう
  重い荷物(にもつ)をわたされた  
  直接(ちょくせつ)わたそうとした  わたそうと思ったが、わたせなかった
 △[さっと/ポイと/ていねいに/ゆっくり/落とさないように/気をつけて]~。
  [ひそかに/堂々(どうどう)と/人の目を盗(ぬす)んで]~。
 △[子どもにお金を/車掌(しゃしょう)に切符(きっぷ)を/学生にプリントを/恋人(こいびと)に
   プレゼントを/ともだちにチョコレートを/家の人に小包(こづつみ)を]~。
 ・A:山中さんにあの本を渡してくださいましたか。
  B:あした渡そうと思っているんですけれど、あしたではおそいですか。
 ・あした、会社で田中さんに会ったら、このしょるいを渡してください。
 ・この封筒(ふうとう)には手紙(てがみ)といっしょにお金が入っていますから、かならず本人(ほ
  んにん)に渡すようにしてください。
 ・優勝(ゆうしょう)カップが市長(しちょう)から優勝者の手に渡された。
 ・道を歩いていたらへんなチラシを渡された。


てわたす(手渡す)五(てわたさない・てわたします・てわたして・てわたせば・てわたそう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △てわたしたい  てわたさなくてはいけない  てわたされる  てわたせ!
 △[そっと/じかに/直接(ちょくせつ)/しっかりと/確実(かくじつ)に]~。
  △[おみやげ/カード/名刺(めいし)/抗議文(こうぎぶん)/紹介状(しょうかいじょう)]を~。
 ・これは大事なものなので、かならず本人(ほんにん)に手渡してください。
  ・旅行から帰って、すぐに近くの友達の家に行って、おみやげを手渡した。
 ・デモ隊(たい)の代表(だいひょう)が知事(ちじ)に面会し、抗議文を手渡してきた。
 ・町を歩いていたら、怪(あや)しげなパンフレットを手渡され、次の角(かど)で警官につかまった。
 ・駅に出迎(でむか)えに行ったら、大きなおみやげの袋(ふくろ)を手渡され、家まで持って帰るの
  に苦労(くろう)した。
 ・宣戦布告(せんせんふこく)の文章をやっと相手に手渡したとき、もう戦争は始まっていた。


わたる(渡る)五(わたらない・わたります・わたって・わたれば・わたろう)
[1]〔ものガ (人カラ) 人ニ〕
 △[食べ物が人々(ひとびと)に/資料(しりょう)が全部(ぜんぶ)の委員(いいん)に]~。
 ・資料はみなに渡りましたか? では、検討(けんとう)を始めましょう。
 ・クラスの友だちに食べてもらおうと桃(もも)を買って来たが、数(かず)が少ないので、みんなに
  は渡らなかった。
 ・全員に渡るように数を数(かぞ)えてきたんだけれどなあ。だれか二つとらなかった?
 ・この絵は、ある有名な実業家(じつぎょうか)から彼の先祖(せんぞ)の手に渡った物らしい。
 ・私が父から受け継(つ)いだ家屋敷(いえやしき)は、私の事業の失敗(しっぱい)により、みな人の
  手に渡ってしまった。
 
<複合動詞:-わたる>
[ゆきわたる] ものガ 人・ものニ
 ・コップは全員に行き渡りましたか。まだもらってない人は手を挙げてください。
  ・食料(しょくりょう)や物資(ぶっし)が世界で不足(ふそく)しているわけではない。貧(まず)しい
  人たちの元へ十分に行き渡らないことに問題があるのだ。
 ・この研究計画はよくできている。隅々にまで基本的な構想が行き渡っているのがわかる。
      餌・栄養・資金・酸素・恩恵・サービス・宣伝・思想・神経・光が 隅々まで


くばる(配る)五(くばらない・くばります・くばって・くばれば・くばろう)
[1]〔人ガ 人・所ニ ものヲ〕
 △くばりたい  くばってほしい  くばっておく  くばってある  くばってもらう
  くばらなければならない  くばらせる  くばられる  くばろうとする
  くばれ!  くばるな!  くばれない 
 △[ていねいに/急いで/きちんと/適当(てきとう)に/いいかげんに]~。
 △[家々に牛乳(ぎゅうにゅう)を/子どもたちにおかしを/学生にテストのかみを]~。
  [気/心/目]を~。
 ・毎朝100けんの家に新聞を配っています。(=配達(はいたつ)する)
 ・先生が学生に試験問題(しけんもんだい)を配った。
 ・駅前で学生が人々にビラを配っていた。
 ・子どもたちにこのおかしを、一人5こずつ配ってください。
 ・父は姉の写真(しゃしん)を知り合いに配って、結婚相手(けっこんあいて)をさがしてくれるよう
  に頼(たの)んでいる。
 ・あの人は何をやる時でも、こまかい所にまで気を配ってまちがいのないようにしようとする。だ
  から、つかれるのだ。
 ・あの先生が学生の生活(せいかつ)の問題にもよく気を配ってくれる。ほんとうに良い先生だ。
 ・しごとをする時はぜんたいのに目を配ってバランスを考えなくてはいけない。

<スル動詞>
[交付(こうふ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・外国に行くには、まず旅券を交付してもらわなければなりません。
 ・試験の合格者に免許証を交付する。
 [~の交付をする]
  ・希望者に入館証の交付をした。
[配給(はいきゅう)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・戦後、国から国民に配給される食料だけでは生きて行けなかった。
 ・その頃の映画館は、映画会社から配給された映画を上映していた。
 [~の配給をする]
  ・私が子供の頃、まだ米の配給をしていた。
[配達(はいたつ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
  ・私は毎朝新聞を配達しています。
 ・おととい配達された牛乳を飲んだら、気持ち悪くなった。
 [~の配達をする]
  ・新聞の配達をしながら、大学に通っています。
[配布(はいふ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
  ・街角でマンションのチラシを配布していたので一枚もらった。
 [~の配布をする]
  ・手伝いの学生にパンフレットの配布をしてもらった。
[配付(はいふ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・みなさんに配付した資料は全部で7枚です。ご確認下さい。
  ・調査票を各戸に配付し、記入していただくという方法でデータを集めています。
 

よこす(寄越す)  五(よこさない・よこします・よこして・よこせば・よこそう)
[1]〔人ガ 人ニ 人・ものヲ〕
 △よこしなさい  よこしやがる  よこしてくる 
 △[急に/突然(とつぜん)/久しぶりに/次から次へと/順々(じゅんじゅん)に]~。
  △[お祝い/手紙/便(たよ)り/連絡(れんらく)/返事/金/代金/釣り銭(つりせん)]を~。
 ・長く会っていない男が急にメールをよこし、会いたいと言う。何だろう。
  ・5年間、何の連絡もよこさずに世界をほっつき歩いていた叔父(おじ)が日本に帰ってきた。
 ・あの店のおばあちゃんは、時々忘れたふりをして釣り銭をよこさないことがある。
  ・人手(ひとで)が足りないので、何人かこっちによこしてくれないか。
  ・引っ越しで忙しいと言ったら、手伝(てつだ)いの人をよこしてくれた。
 ・大きな荷物(にもつ)を運ばなくちゃいけないから、車をよこしてほしいんだけど。
〔~てよこす〕
 ・いなかの母が畑(はたけ)でとれた野菜を送ってよこした。見た目は悪いけど、おいしいんだよな。
  ・あのバカ、卵(たまご)を投げてよこしやがった。びっくりしたが、ゆで卵だった。


まわす(回す・廻す)五(まわさない・まわします・まわして・まわせば・まわそう) 
[1]〔人ガ ものヲ 人/所ニ〕
 △まわしつづける  まわしてみる  まわしてもらう  まわそうとしたら
 △[ゆっくり/はやく/なんかいも/ぐるぐる/ぐるっと/順(じゅん)に/右に/左に]~。
 △[書類(しょるい)/請求書(せいきゅうしょ)/伝票(でんぴょう)/回覧板(かいらんばん)]を~。
 ・この書類は会計課(かいけいか)に回してくれないか。
 ・隣(となり)の家から回覧板が回ってきた。読まずに反対側の隣の家に回した。
 ・A:きみはガールフレンドがたくさんいていいねえ。わたしに一人回してくれないか。
  B:わたしはかまいませんが、かのじょたちが何と言うか...。
 ・車(くるま)を裏口(うらぐち)に回してくれ。


まわる(回る)五(まわらない・まわります・まわって・まわれば・まわろう)
[1]〔人・ものガ 人ニ/ヘ〕
 △まわりはじめる  まわりかける  まわりにくい  まわらないようにする  まわらせる
 △[ゆっくりと/なんども/ぐるっと/順(じゅん)に/右に/左に]~。
 △[書類(しょるい)/伝票(でんぴょう)/カンパの袋(ふくろ)/回覧板(かいらんばん)]が~。
 ・会計課(かいけいか)から出張費(しゅっちょうひ)の書類が回ってきた。
 ・組合(くみあい)の基地反対(きちはんたい)の署名用紙(しょめいようし)が回ってきた。
 ・えーと、回覧中(かいらんちゅう)の書類はどこまで回っていますか。あ、そこですか。どうも。
 ・A:大山くんはずっとやすんでいますね。
  B:病気かな。帰りに大山くんのアパートに回ってみよう。
 ・中山さんは、きのうまで賛成派(さんせいは)だったのに、会議(かいぎ)では、反対派(はんたい
  は)に回ってしまった。

[4]貸し借り
  ものの所有権の一時的な移動を表す動詞。「貸す」「借りる」「返す」の3語が基本。

◇かす
  「貸す」は、自分のものを一時的に相手に与え、使わせること。自分の能力・力などを相手のため
に使うこと。相手のニ格をとる。「借りる」に対応する。
  人ガ 人ニ ものヲ かす
      金・本・部屋を 貸す     力・手・知恵を 貸す
 目的をニ格で表すことがある。
    人ガ ものニ ものヲ かす
   計画に力を貸す  彼らのコンサートに会場を貸す
 二重のニ格は言いにくい。
  ?彼らにコンサートに会場を貸す  (コンサートのために彼らに会場を貸す)
 複合動詞は「貸し-」の形のものがある。
  「貸し与える」は、(上位の者が)貸して相手に使わせること。書きことば。
 「貸し付ける」は、利子や期限を決めて、金銭・品物を貸すこと。
 「貸し切る」は、場所・乗り物などを一定期間ある人や団体の専用として貸すこと。
 「貸し出す」は、公共機関などが、ものを外部に持ち出してよいとして人に貸すこと。
 「貸し渋る」は、貸すことをいやがること。特に、金融機関が貸し出しを抑制すること。
  スル動詞
 「融資する」は、資金を融通すること。特に、金融機関が資金を貸し出すこと。 
 「融通する」は、金銭などを都合して貸し借りすること。
◇かりる
  「借りる」は、他人のものを一時的に(自分の所へ持ってきて)使うこと。他人の能力・力などを自
分のために使ってもらうこと。「貸す」に対応する。反対は「返す」。
 相手をニ格またはカラ格で表す。本来到着点を表すニ格が出発点のカラ格と交替できる、特徴的な
用法である。図書館などの組織はニ格にならないが、銀行はなる。場所としてデ格で示せる。
  人ガ 人ニ/カラ ものヲ かりる
      友人に/から 金・本・部屋を 借りる     力・手・知恵・名前を 借りる
   図書館から/で 本を借りる       銀行・サラ金に/から 金を借りる
 目的のニ格をとる。
    人ガ ものニ ものヲ かりる
   コンサートに会場を借りる  事業・計画に 資金・知恵を 借りる
  あるものを使って何かをすること。やや書きことば。
薬の力を借りて眠る  この場を借りてご挨拶いたします 
・複合動詞:「借り-」の形のものがある。
  「借り上げる」は、官庁が民間から、目上の者が目下の者から土地や品物などを借りること。
 「借り集める」は、必要なものを借りて集めること。
 「借り入れる」は、事業をするためなどに資金・資材などを借りること。
 「借り出す」は、ものを借りて外へ持ち出すこと。また、借り始めること。
 「借り受ける」は、「借りる」のやや改まった言い方。
 「借り切る」は、乗り物・場所などをある一定期間、専用に借りること。
 「借り倒す」は、借りたまま返さないで、相手に損害を与えること。

・スル動詞
 「借金する」は、お金を借りること。「拝借する」は、「借りる」の謙譲語。 
 「前借する」は、給料などを本来の支給日より前に受け取り、借りたことにすること。 
 「間借りする」は、代金を払って他人の家の部屋を借りること。  
◇かえす
  「返す」は、借りたり預かったり盗んだりしたものを元の持ち主に渡すこと。「借りる」の反対の
動作。単に元の位置に置くことも言う。
  人ガ 人・所ニ ものヲ かえす
     友人に 金・本を 返す        道具箱の道具を使い、元の場所に返す
・複合動詞:「-かえす」の形のものが多い。
 元のほうへ戻す・戻る
  追い返す 押し返す   突き返す・突っ返す  照り返す 跳ね返す    呼び返す
  引き返す 引っ返す 
 反対の向きに~する
  折り返す ひっくりかえす   見返す(後ろを)  吹き返す 
 相手から受けた行為を相手に対してする
  言い返す 打ち返す 送り返す 聞き返す 切り返す 蹴返す 突き返す 問い返す 取り返す
  殴り返す 投げ返す にらみ返す 見返す  見つめ返す やり返す
 もう一度する
  聞き返す 繰り返す 鋤返す 染め返す  見返す 読み返す
  複合した新たな意味
  まぜかえす・まぜっかえす   見返す   蒸し返す  盛り返す
・スル動詞
 「返却する」は、借りたり預かったりしたものを元の持ち主に渡すこと。
 「返還する」は、一度手に入れたものや預かっていたものを元の持ち主に返すこと。 
 「返済する」は、借りていたお金や物を(期限内に)返すこと。 


かす(貸す)五(かさない・かします・かして・かせば・かそう)
[1]〔人ガ 人・ものニ ものヲ〕
 △かしたい  かしてほしい  かしてあげる  かしておく  かしてはいけない
  かさなければならない  かそうと思う  かせ!  かすな!  かせない
 △[少し/いつも/ときどき/いやいや/不承不承(ふしょうぶしょう)]~。
 △[お金/本/カメラ/車/部屋(へや)/家/土地(とち)/資金(しきん)]を~。
 ・友だちに貸してあった本がやっと返ってきた。
 ・銀行(ぎんこう)はいろいろな会社にお金を貸すのが仕事です。
 ・いくらたのまれても、この車は貸せない。
 ・私が借(か)りようと思っていた本はもう別の人に貸されてしまっていた。
 ・私はいつもお金を借りるばかりだ。たまには貸す方になってみたい。
 ・二階(にかい)の部屋が空いているので、学生に貸してある。
 ・人に家や部屋を貸す人を「大家(おおや)」とか「家主(やぬし)」とか言います。
 ・A:あれ、カメラのシャッターがおりないぞ。どうしたんだろう。
  B:どれどれ、私に貸して(=わたして)ください。
 ・「ちょっと金を貸してくれないか」「金? やだよ」「そう言うなよ。すぐ返すから、ちょっとぐ
  らい貸したっていいだろう?」「この前もそう言って、結局返さなかっただろ」「え? そうだっ
  け? まあ、それはそれ、今日は今日だ。けちなこと言わないで早く貸せよ」
 △[顔(かお)/耳(みみ)/手/知恵(ちえ)/力(ちから)]を~。
 ・ちょっと耳を貸してください。あなたにだけ話したいことがあります。
 ・この箱(はこ)を二階にはこびたいのですが、ちょっと手をかしていただけませんか。
 ・私はてつだってくれと言われてちょっと手を貸しただけで、それがそんなに悪いことだとは知り
  ませんでした。
 ・今、うちの会社はむずかしい問題(もんだい)をかかえているのですが、お知恵を貸していただけ
  ませんか。
 △[仕事に人手(ひとで)を/地域開発(ちいきかいはつ)に資金を/会合(かいごう)に場所を/コン
  サートに会場を/発展(はってん)に力を]~。
 ・こちらの作業(さぎょう)に2時間ほど人手を貸していただけませんか。
 ・私たちのコンサートにぜひこの会場を貸してください。
 ・我が国の発展に多くの力を貸してくださった皆様(みなさま)に感謝(かんしゃ)します。

<複合動詞:かし->
[かしあたえる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・王が農民に土地を貸し与え、作物を作らせて飢饉に備えた。 
 ・経済的に困っている学生に生活費を貸し与える制度ができた。
 ・先生は弟子に自ら貴重な書物を貸し与え、利用させて下さった。
   金・金銭・書物・画集・双眼鏡を
[かしきる] 人ガ ものヲ
 ・ホテルの大広間を貸し切って、政治家のパーティーが行われた。 
 ・町内会でバスを貸し切って海水浴に行った。
   バス・列車・劇場の席・レストランを 
  ▽「借り切る」のほうが自然なはずだが、「貸し切る」がよく使われる
[かししぶる] 人ガ ものヲ 
 ・景気が悪くなって、銀行が企業の運転資金を貸し渋っているそうだ。 
 ・このぐらいの金を貸し渋るなよ。いつもちゃんと返してるだろ。
[かしだす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・今月あたらしく買った本は、整理が終わってから貸し出されます。
 ・衣装を貸し出すのはいいが、汚したまま返す者がいるので困る。
 ・貸し出された図書が戻ってこないことがある。返さないまま卒業してしまうのだ。
   衣装・金・車・スキー・図書・動物を
[かしつける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・銀行はふつうのお客から集めたお金をいろいろの会社に貸しつけて、もうけるのです。
 ・中小企業に無利子で資金を貸し付ける制度を作ってほしい。
      かね・資金を 高利で 無利子で

<スル動詞>
[融資(ゆうし)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・新工場の建設資金を銀行に融資してもらった。
 ・絶対もうかりますから、ベンチャー企業に少し融資しませんか。
   住宅資金を 無担保で
[融通(ゆうずう)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・申し訳ないが、ちょっと金を融通してくれないか。
 ・戦争中で物のない時に、あの人に衣類を融通してもらったことがある。
   ガソリン・金・着物・現金・米を


かりる(借りる)一(かりない・かります・かりて・かりれば・かりよう)
[1]〔人ガ 人ニ/カラ ものヲ (ものニ)〕
 △かりたい かりてほしい かりてみる かりてある かりてはいけない かりてしまう
  かりなければならない かりさせる かりられる かりろ! かりるな! かりられない
 △[ちょっと/なんども/いつも/つい/しかたなく/気軽(きがる)に]~。
 △[本/消しゴム/お金/車/資金(しきん)]を~。
 ・うちの会社は銀行(ぎんこう)から金をたくさん借りている。
 ・図書館で日本語の本を借りようと思っていたのに、他の人に借りられていました。(図書館カラ)
 ・展覧会(てんらんかい)の入り口でイヤホーンも借りられます。
 ・借りた物はすぐ返すこと。
 ・金は借りても貸してもいけない。けんかのもとになりやすい。
 △[トイレ/電話/メモ帳(ちょう)/家/土地]を~。
 ・お宅の電話をお借りできませんか。(=使う)
 ・話し合いをしたいんで、会議室を貸していただけませんか。
 ・東京で家を借りるには、相当(そうとう)お金がかかります。
 ・ちょっとトイレ、借りるね。
 ・そこのメモ帳、ちょっと貸して。
 △[友達(ともだち)の助(たす)け/力(ちから)/人手(ひとで)]を~。
 ・友達の助けを借りてようやく仕事を終わらせた。
 ・この運動の賛同者(さんどうしゃ)としてお名前をお借りしたいのですが、お許(ゆる)しいただけ
  るでしょうか。
 △[仕事に人手(ひとで)を/開発(かいはつ)に資金を/会合(かいごう)に場所を/コンサートに会
   場を/地域(ちいき)の発展(はってん)に大臣(だいじん)の力を]~。
 ・企業(きぎょう)が新製品(しんせいひん)開発に莫大(ばくだい)な資金を銀行から借りている。
 ・大臣のお力をこの地域の発展にぜひともお借りしたいと思っておりますので、よろしくお願いい
  たします。

<複合動詞:かり->
[かりあげる] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・役所がアパートの部屋を借り上げてあって、出張してきた人を泊まらせるんです。
 ・跡継ぎのいない農家の畑を自治体が借り上げ、農業を始めたい人に安く貸している。
   車・土地・部屋・民家を
[かりあつめる] 人ガ 人・ものカラ ものヲ
 ・資金がなくなりそうになり、銀行を回って借り集めた。
 ・急に野球の試合をやることになり、友達から道具を借り集めた。
   金・本を 方々から
[かりいれる] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・企業が資金を銀行から借り入れた。
 ・古い友人から無担保で資金を借り入れることができ、退職後にそば屋を開いた。
   お金・資金・船を 銀行から 短期・長期で 無担保で
[かりうける] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・貴重な資料を借り受けて、複写させていただいた。
 ・社長のご好意で営業所の一室を借り受け、清掃ボランティアの休憩所を設けた。
   一室・カギ・看板・車・工場・品物・従業員を
[かりかえる] 人ガ ものヲ (ものカラ ものニ)
 ・ローンを利息の低い銀行に借り換えた。
[かりきる] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・レストランを一軒借り切って新年会を開いた。
   宴会場・大広間・漁船・グラウンド・小屋・市民会館・二階・バス・店を
  ▽この意味で「貸し切る」がよく使われる
[かりたおす] 人ガ ものヲ
 ・あいつは借金を借り倒して、どこかへ消えてしまった。
 ・叔母からの借金は借り倒すことにした。申し訳ないが。
[かりだす] 人ガ ものカラ ものヲ
 ・図書館から本を借り出して、読みふけった。
 ・学校の倉庫から道具を借り出して、車を分解し、新発明の装置を取り付けた。
      材料・詩集・辞典・小説・道具・トラック・本・名簿・ボート・レンタカーを
<スル動詞>
[借金(しゃっきん)する]  人ガ 人ニ/カラ  ものヲ
 ・妹に借金してパソコンを買った。
 ・毎月、仕送りの金がなくなると、友だちから借金して何とか暮らしている。
 ・友人から借金すると、返さなくてもいいかもしれないが、友人を失うかもしれない。
[拝借(はいしゃく)する]  人ガ 人カラ ものヲ
 ・ちょっとお知恵を拝借したいのですが、、、。
 ・「ちょっと拝借しますね」と言いながら、空き巣は金を取っていった。
 ・「では、お手を拝借、イヨーォッ!」と言って手拍子の音頭をとった。
[間借り(まがり)する]  人ガ ものヲ
 ・たばこ屋の二階に間借りしている大学生が有名な論文を書いた。
 ・知り合いの家の部屋を間借りしていた頃は、本当に金がなくて苦労した。
[前借り(まえがり)する]  人ガ ものヲ
 ・給料を前借りしてまで株を買って、下がったらどうするんだい? 
 ・退職金を前借りして老後のための家を建てた。


かえす(返す・帰す)五(かえさない・かえします・かえして・かえせば・かえそう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △かえしそうだ  かえしそうもない  かえすことにした  かえすべきだ
  かえしてほしい  かえしておく  かえしてはいけない  かえさなければならない
  かえさせる  かえされる  かえそうと思う  かえせ! 
 △[すぐに/いそいで/あわてて/とうとう/ついに/やっと/しぶしぶ/いやいや]~。
 △人に[借りたお金/借金(しゃっきん)/本/道具(どうぐ)]を~。
  [あいさつ/ことば/返事(へんじ)/答え/恩(おん)]を~。
 ・かりたお金は十か月かかって返した。
 ・友だちが貸してくれた本がとても面白かったので、返したくなくなるほどだった。
 ・かれは親類(しんるい)に借金を返さなければならないので大変だ。
 ・銀行(ぎんこう)からかりたお金を返すまいと思っているわけではないのです。返そうと思ってい
  るのですが、事業(じぎょう)がうまく行かず、返せるお金がないのです。
 ・ホテルの部屋のかぎをフロントに返して来ました。
 ・イギリスが中国にホンコンを返す(=返還(へんかん)する)ことになった。
 ・父からの手紙に返事を返すのを忘れていたら、後で怒られた。
 ・お言葉(ことば)を返すようですが、社長のご意見には賛成(さんせい)できません。
 ・外国人だと分かると、手のひらを返したように店の人の態度(たいど)が変わった。
[2]〔人ガ 所ヘ/ニ ものヲ〕
 △[本/道具(どうぐ)/鍵(かぎ)]を~。
 ・きょうは図書館(としょかん)へ本を返し(=返却(へんきゃく)し)に行きます。
 ・使った道具は元の所へ返してください。
 ・鍵を鍵箱に返した時、何かが違っているように感じた。
[3]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 ・公害(こうがい)があるからといって、世の中を不便(ふべん)な昔(むかし)に返すことはできない。
[4]〔人ガ 人ヲ 所ヘ/ニ〕
 ・雨がふり出したので、先生は子どもたちをいつもより早く家に返した。(=かえらせた)
 ・その子は悪いことをしたので、先生に家へ返された。

<スル動詞>
[返還(へんかん)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・余ったお金は、必ず返還して下さい。
 ・組合を脱退するときに、出資金が返還されます。
 ・沖縄がアメリカから日本に返還されたのは、平和条約発効20年後の1972年だった。
[返却(へんきゃく)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・借りた本は、そのブックポストに返却してください。
  ・では、先週のテストを返却します。
 [~の返却をする]
  ・事務所に備品の返却をした
[返済(へんさい)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・借金を返済するためにまた別の借金をしなければならない。
 ・父は働いてなんとか負債を返済し続けたが、とうとう工場を手放すことになった。
 [~の返済をする]
  ・何とか借金の返済をした。

[5]預かる・預ける

◇あずかる 
  「預かる」は、頼まれたものを責任を持って安全に守ること。また、責任を持って任せられた物事
を行うこと。特に、面倒な物事の始末をまかせられること。相手をカラ格にとる。
      人ガ 人カラ ものヲ あずかる
    人から 荷物・子どもを 預かる  帳場・留守を 預かる  けんか・勝負を 預かる
・スル動詞「保管する」は、他人のものを預かって傷めたりなくしたりしないようにしておくこと。
◇あずける  
  「預ける」は、「預かる」に形と意味の上で対応する動詞だが、どちらもヲ格をとる他動詞。もの
の動きの方向が違う。
 人に頼んで、ものを安全に守ってもらうこと。物事の処理を信頼する人に任せること。相手をニ格
にとる。
      人ガ 人ニ ものヲ あずける
       銀行に 金・書類を 預ける  保育所に子どもを預ける      帳場を預ける
・複合動詞「預け入れる」は、銀行などに自分のお金を預けること。
・スル動詞「預金する」は、お金を銀行などに預けること。「貯金する」は、郵便局などにお金を預
 け、貯めること。


あずかる(預かる) 五(あずからない・あずかります・あずかって・あずかれば・あずかろう)
[1]〔人・所ガ 人カラ ものヲ〕
 △あずかりたくない あずかってほしい あずかってしまう あずかっておく
  あずかってはいけない あずからなくてはならない あずからせる あずかろうとする
  あずかれ! あずかるな! あずかれない 
 △[ちょっとだけ/長い間/しばらく/よろこんで/いやいや/つい]~。
 △[荷物(にもつ)/コート/品物(しなもの)/お金/よその子ども]を~。
  [一家の台所(だいどころ)/会計(かいけい)]を~。けんかを~。
 ・さいきんの銀行(ぎんこう)はお金以外(いがい)の物も預かってくれるらしい。
 ・えーと、どこだろう。「手荷物預り所(てにもつあずかりじょ)」、ああ、ここだ。
 ・一年ほど外国へ行くことになったんですが、その間家を預かってくれませんか。
 ・人の命(いのち)を預かる者が、自分のいのちを大切にしないのはおかしい。
 ・この喧嘩(けんか)は私が預かる。(=あとの処理(しょり)は私がする)


あずける(預ける) 一(あずけない・あずけます・あずけて・あずければ・あずけよう)
[1]〔人ガ 人・所ニ ものヲ〕
 △あずけたい  あずけておく  あずけてみる  あずけてはいけない  あずけたほうがいい
  あずけなければならない  あずけられない  あずけようとおもう    あずけさせる
  あずけられる  あずけさせられる  あずけろ!  あずけるな!  
 △[しばらく/長い間/たくさん/うっかり/ついに]~。
 △[荷物(にもつ)/かばん/子ども/お金]を~。ボーナスを銀行(ぎんこう)に~。
 ・大きなお金は銀行に預けておいたほうがいい。
 ・私の妻(つま)は子どもを保育園(ほいくえん)に預けて、デパートで働(はたら)いています。
 ・彼女は小さいころに母がなくなったので、おじのいえに預けられて、そこでそだてられた。
 ・コートや荷物はクロークに預けてください。
 ・つぎの列車(れっしゃ)が出るまで2時間もある。駅(えき)に荷物を預けて、散歩(さんぽ)でもし
  てこよう。
 ・中川さんは私にカバンを預けっぱなしで、どこかへ行ってしまった。
 ・「この問題は家で親(おや)から子どもによく話してください」と先生は言った。これは親にげた
  を預けた(=責任(せきにん)をまかせた)ことになる。   

<複合動詞:あずけ->
[あずけいれる] 人ガ ものニ ものヲ 
 ・銀行に老後のためのお金を預け入れてある。
 ・使おうと思って引き出した金を、また預け入れた。
      小切手を 金融機関に 銀行に

<スル動詞>
[預金(よきん)する]  人ガ ものニ ものヲ
  ・銀行に冬のボーナスを預金した。
 ・この利率では、預金してもほとんど利息が付かない。
[貯金(ちょきん)する]  人ガ ものニ ものヲ
  ・銀行にボーナスを貯金した。
 ・利率が低すぎるので、貯金する人が少なくなったそうだ。
[保管(ほかん)する]  人ガ ものヲ   
 ・ここは歴史の貴重な記録を厳重に保管しておくための施設です。
 ・領収書は最低1年保管しておいてください。

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