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◇対人2◇

[11] 戦う・争う

    戦う  戦い取る 戦い抜く  格闘する 口げんかする けんかする 口論する   
          戦争する
     争う   争い合う  言い争う    
     競う   競争する 競走する   
     挑む   立ち向かう 張り合う 渡り合う 迎え撃つ  挑戦する 敵対する
     揉める

[12] 攻める・守る

   攻める    攻め合う 攻めあぐむ 攻め入る 攻め落とす 攻めかかる 攻めかける   
          攻め込む 攻め立てる 攻め抜く 攻め上る 攻め滅ぼす 攻め寄せる
          攻め寄る
     襲う   襲いかかる  躍りかかる 飛びかかる
     狙う
               攻撃する 襲撃する 侵略する 爆撃する 反撃する 乱暴する
     守る   守りきる 守り続ける 守り通す 守り抜く  見守る
     防ぐ   防ぎ止める  食い止める    
     かばう
               警備する 護衛する 防衛する 防御する 防止する  防水する 保護する
      保守する 擁護する 予防する  ガードする

[13] 勝つ・負ける

   勝つ  勝ち得る 勝ち越す 勝ちすぎる 勝ち進む 勝ち取る 勝ち抜く 勝ち残る 
         勝ち誇る  打ち勝つ  試合する 勝負する 勝利する 優勝する
     負ける  負け越す 打ち負ける  取りこぼす  降参する 降伏する 敗北する
     負かす  言い負かす 打ち負かす
     破る   打ち破る
     破れる  敗れ去る
     やっつける  圧倒する 退治する
     屈する
     抜く   抜き去る  追い抜く 出し抜く  追い越す
     抜かす

[14] 捕まえる

   捕まえる  捕まえ損ねる  取り押さえる  逮捕する 捕獲する  
     捕まる
     捕らえる  引っ捕らえる
     さらう   かっさらう  誘拐する 拉致する  拘束する 束縛する

[15] 弔う・葬る

   弔う
     葬る                                                                          

    



[11]戦う・争う
  
◇たたかう
 「戦う」は、相手を打ち負かそうとして力を出すこと。武力を使って相手を倒す場合、力や技・作
戦などによる試合の場合、努力によって抽象的な問題を解決しようとする場合などがある。相手とし
てト格をとる。「ものヲ」をとる文型はあまり使われない。「闘う」という書き方もある。
   人ガ 人・ものト (ものヲ) たたかう
    戦争で敵と戦う  大会でライバルと戦う  偏見・困難と闘う  試合を戦う
・複合動詞
 「戦い抜く」は、最後までやめることなく戦うこと。
 「戦いとる」は、戦って何かを自分の手にすること。
・スル動詞 
 「けんかする」は、言い争いをしたり、暴力を用いて争ったりすること。
 「口げんかする」は、ことばのやりとりだけでけんかをすること。
 「口論する」は、口で言い争うこと。「口げんか」の硬い言い方。
 「戦争する」は、国家同士が何かを争うため、軍隊を使って戦うこと。 
 「格闘する」は、人がたがいに組み合って戦うこと。ひゆ的に、困難な物事に取り組むこと。
◇あらそう
 「争う」は、相手よりも自分が(先に)何かを得ようとすること。相手のト格と対象のヲ格をとる。
      人ガ 人ト ものヲ あらそう
    外国の選手と優勝を争う   
・複合動詞
 「争い合う」は、お互いに争うこと。
 「言い争う」は、ことばで争うこと。
◇きそう
 「競う」は、は、相手よりも優れていることを示そうとすること。ものを得ることと共に、その能
力や技が優れていることについても言う。疑問節をとる。
      人ガ 人ト ものヲ/文かヲ きそう
       一位を競う  能力・技を 競う  弟とどちらが早く走れるかを競う
・スル動詞
 「競争する」は、勝ち負け・優劣を人と争うこと。 
 「競走する」は、一定の距離を走って速さを競うこと。  
◇いどむ
 「挑む」は、強い相手に勝とうとして、向かっていくこと。相手は人だけでなく、自然や競技、創
造行為、抽象的な問題にもなる。相手をニ格にとる。
      人ガ 人・ものニ いどむ
       強敵・冬山に 挑む       100キロマラソン・大作・難問に 挑む
  相手と戦おうとすること。相手のニ格のほかにヲ格をとる。
    人ガ 人ニ ものヲ いどむ
    ライバルに決戦・論争を 挑む
・複合動詞
 「張り合う」は、同じ目標に向かって、相手に負けまいと競い合うこと。
 「渡り合う」は、相手と戦うこと。特にことばのやりとりで争うこと。 
 「立ち向かう」は、強い敵、困難な物事に正面から向かい、取り組むこと。
 「迎え撃つ」は、敵が攻めてくるのを待ち構えて戦うこと。
・スル動詞「挑戦する」は、相手に戦いをしかけること。困難な物事に向かっていくこと。
 「敵対する」は、相手に対してはっきり敵となること。
◇もめる
 「揉める」は、意見の相違などで言い争いになること。相手をト格にとる。
      人ガ 人ト もめる
    取引先と揉める  労使で揉める


たたかう(戦う・闘う)五(たたかわない・たたかいます・たたかって・たたかえば・たたかおう)
[1]〔人・ものガ 人・ものト〕
 △たたかいたい  たたかってみる  たたかってほしい  たたかってはいけない
  たたかわなければならない  たたかおうと思う  たたかわせる  たたかわせられる
 △[はじめて/ついに/くりかえし/何度も]~。[おそれずに/勇敢(ゆうかん)に]~。
 △[敵(てき)/相手(あいて)/隣(となり)の国/権力(けんりょく)/資本家(しほんか)]と~。
  [市民(しみん)が暴力団(ぼうりょくだん)と/警察(けいさつ)がテロ組織(そしき)と]~。
 ・日本はむかしアメリカと戦って負(ま)けた。
 ・第一試合(しあい)はPチームとQチームが戦います。
 ・挑戦者(ちょうせんしゃ)となってチャンピオンと戦ったが、残念(ざんねん)ながら敗(やぶ)れた。
 ・勝(か)つか負(ま)けるかということより、どう戦うかが大切だ。
 ・あのチームと戦っても勝ち目(かちめ)がないから、やる気になれない。
 ・陸(りく)で戦うより水中で戦う方がいい。
 ・そのうちPチームと戦ってみたい。
 ・逃(に)げないで、正々堂々(せいせいどうどう)と私と戦え。
 ・よわい国と強い国が戦えばどちらが勝つかは、はっきりしている。
 ・私は平和(へいわ)のために戦うつもりだ。
 ・われわれは要求を勝ちとるまで戦うぞ。
 ・兵士(へいし)は戦いたいわけではない。戦わせられているだけだ。
[2]〔人ガ ものト〕
 △[病気(びょうき)/寒(さむ)さ/運命(うんめい)/死(し)/誘惑(ゆうわく)]と~。
  [貧乏(びんぼう)/貧困(ひんこん)/偏見(へんけん)/差別(さべつ)]と~。
  [社会の悪(あく)/悪徳(あくとく)/不況(ふきょう)/困難(こんなん)]と~。
 ・探検隊(たんけんたい)は雪や寒さと戦いながら、すすんだ。
 ・山田さんは病気と戦いながら、りっぱな本を書いた。
 ・社会の不正(ふせい)と戦おうとする若者(わかもの)が少なくなった。 
[3]〔人ガ ものヲ〕
 ・苦しい試合を最後まで戦った。
 ・彼らは勝ち目(かちめ)のない戦争を戦い、ついに敗れた。
 ・この戦争(せんそう)はおもにヨーロッパで戦われた。

<複合動詞:たたかい->
[たたかいとる] 人ガ ものヲ 
  ・長い戦いの中で、独立を戦いとった人々の顔は喜びにあふれていた。
 ・自由は与えられるものではない。戦いとるべきものだ。
      解放・独立・平和・民主化・民主主義・要求・条件を 自分たちの手で 
[たたかいぬく] 人ガ ものヲ 
 ・最後の一人まで戦い抜く、などというのは誤った考え方だ。
 ・独立戦争を勇敢に戦い抜いた人々が、政治家となるとどうしてあのように堕落してしまうのか。
   戦争・闘争・苦難・学生運動を 正々堂々と 国家の存亡をかけて
<スル動詞>
[格闘(かくとう)する]  人ガ 人・ものト
 ・強い相手と格闘することが、自分の力をさらに強めるのだ。
 ・数学の難問と格闘して、ついに解けたときの喜びは何とも言えない。
[口げんか(くちげんか)する]  人ガ 人ト
 ・夫婦というのはつまらないことで口げんか(を)するものだ。
 ・最初は口げんか(を)していただけだったが、そのうち興奮してきてつかみ合いになった。
   親子が 夫婦がつまらないことで 妹と
[喧嘩(けんか)する]  人ガ 人ト
  ・きのう弟とおやつのとりあいで喧嘩(を)した。
  ・あの夫婦が喧嘩(を)していても、誰も止めようとはしない。
[口論(こうろん)する]  人ガ 人ト
 ・人と口論(を)するのが飯より好きというような人が大学の先生には時々いる。
 ・あの夫婦はしょっちゅう口論(を)している。仲がいいのか、悪いのか、、。
[戦争(せんそう)する]  人ガ 人ト
  ・日本人は何度もいろいろな国民と戦争(を)してきた。
 ・日本は中国やアメリカと資源をめぐって戦争(を)した。  


あらそう(争う) 五(あらそわない・あらそいます・あらそって・あらそえば・あらそおう) 
[1]〔人ガ 人ト〕
 △あらそいたくない  あらそってはいけない  あらそうべきだ  あらそえない
  あらそおうとする  あらそわせる  あらそうな!
 △[必死(ひっし)に/本気(ほんき)で/真剣(しんけん)に/まじめに/力の限(かぎ)り]~。
  △[勝ち負け/社長のイス/首位(しゅい)/勝負(しょうぶ)/なわばり/メダル/優劣(ゆうれつ)
   /領有権(りょうゆうけん)/先頭(せんとう)/順位(じゅんい)/一刻(いっこく)/先]を~。
  ・こんなことで勝ち負けを争っても意味がない。
 ・今の時代に、国と国が争って戦争(せんそう)を始めるなどと、なんと愚(おろ)かなことか。
 ・私は人と争うことはきらいだ。
 ・身内(みうち)どうしで争うのはよくない。
 ・こんな小さなことで、親子兄弟(おやこきょうだい)が争うとはなさけない。
 ・父は、ある人と土地をめぐって争い、裁判(さいばん)をしたが、結局まけてしまった。
 ・このしごとのやりかたについて社長と争ってみてもむだですよ。何十年もこれでやって来たんで
  すから。
 ・あなたがどうしても自分が悪いという事をみとめないのなら、裁判(さいばん)で争うことになり
  ますが、いいですか。
[2]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 △[席(せき)/優勝(ゆうしょう)/先(さき)]を~。
 ・会場の入口をひらくと、人々 が良い席をとろうとして、先を争って入って来た。
 ・QチームとPチームが優勝を争うことになった。
 ・一刻(いっこく)を争うような(=とてもいそぐ)場合に、身(み)なりなど、かまっていられない。
 ・酒田先生は言った。「血筋(ちすじ)は争えないねえ。金田のおじいさんもお父さんもりっぱな学
  者だったが、金田もすぐれた学者になった。」

<複合動詞:あらそい->
[あらそいあう]
 ・同じ日本の選手どうしで優勝を争い合うことになった。
 ・遺産を兄弟で争い合うなんてみっともないからやめなさい。
<複合動詞:-あらそう>
[いいあらそう] 人ガ 人ト                                      
 ・となりのへやから人が言いあらそっているような声がきこえてきた。母の遺産をめぐって兄と姉
  が言い争っていたのだ。私も加わらなくちゃ。
 ・ここは人が言いあらそうようなこともない平和なまちだ。
      親子・男女が  いろいろ はげしく  ~声を耳にした


きそう(競う)  五(きそわない・きそいます・きそって・きそえば・きそおう)
[1]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 △きそいたい  きそってみる  きそってはいけない  きそわせる  きそえ!
 △[いっしょうけんめい/がんばって/力の限り/たがいに]~。
  △[腕(うで)/技(わざ)/勝ち負け/順位(じゅんい)/一二(いちに)/成果(せいか)]を~。
 ・私は田中と計算の速さを競ったが、いつも負けていた。
  ・母と料理の腕を競ってみた。煮物(にもの)では母の勝ち、ケーキ作りでは私の勝ちだった。
 ・あの人は日本で一二(いちに)を競うマラソンランナーだ。
 ・新製品(しんせいひん)の開発(かいはつ)で、部下(ぶか)を競わせた。
 〔文か(ヲ)〕
  ・兄とキムチをどれだけ食べられるか競った。あとで二人とも腹(はら)をこわした。
 ・友人と腕立(うでた)て伏(ふ)せが何回できるか、回数(かいすう)を競った。
 
<スル動詞>
[競争(きょうそう)する]  人ガ 人ト
  ・人と競争(を)するために勉強しても意味がない。
 ・現代は厳しい競争社会で、生きていくためには常に他人と競争(を)しなければならない。
 〔人ガ 人ト 文か(ヲ)〕
 ・私は彼と、どちらが先に剣道の初段になるか競争(を)しています。
[競走(きょうそう)する]  人ガ 人ト
 ・公園で子供と競走(を)したら、負けてしまった。小学生でもなかなか速い。
 ・ウサギとカメが競走(を)する話がありますが、ご存じですか。 


いどむ(挑む)  五(いどまない・いどみます・いどんで・いどめば・いどもう)
[1]〔人ガ 人・ものニ〕
 △いどみたい  いどみかける  いどんでみる  いどまなくてはいけない
  いどんだほうがいい  いどもうとする  いどませる  いどまれる  いどめ!
 △[何度も/また/繰り返し/懸命(けんめい)に/力の限り/あきらめずに]~。
  △[記録(きろく)/強敵(きょうてき)/難関(なんかん)/難問(なんもん)/未知(みち)の世界/可
   能性(かのうせい)の限界(げんかい)/ヒマラヤの高峰(こうほう)]に~。
  ・未知の世界、自分の可能性の限界に挑む気持ちを持ち続けたいと思う。
 ・先輩(せんぱい)が作った記録に挑んでみたい。1時間にラーメン8杯だそうだ。
 ・30歳(さい)のチャンピオンに挑む挑戦者(ちょうせんしゃ)は18歳。白熱(はくねつ)した試合が
  期待(きたい)される。
 ・70歳を過ぎてもなおヒマラヤの高峰に挑もうとする姿に、人々は感動(かんどう)した。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
  △[争(あらそ)い/議論(ぎろん)/試合/勝負(しょうぶ)/果(は)し合い/論戦(ろんせん)]を~。
 ・敵(てき)は我々(われわれ)に最後の決戦(けっせん)を挑んできた。
 ・勝負を挑んできた挑戦者(ちょうせんしゃ)を次々に破(やぶ)り、名人の座(ざ)を守り続けている。

<複合動詞>
[たちむかう] 人ガ ものニ
 ・この映画は、少年と少女が強大な悪に立ち向かう、というストーリーだ。
 ・権力に立ち向かう新聞記者、というのは、実際にはあまりいないらしい。
      危機・逆境・強敵・現実・困難・死・試練・敵・問題・不合理に 素手で
[はりあう] 人ガ ものヲ 人ト
 ・私は、こどもの時から一つ上の兄と張り合ってきた。
 ・そんな小さなことで友だちと張り合うのは、バカバカしい。
      人と ごろつきが 意地を 女を 木が根を 事ごとに 台頭に 精一杯
[わたりあう] 人ガ 人ト
 ・20歳の新人が40歳のベテランを相手に、堂々と互角に渡り合っていた。
 ・世界の国と対等に渡り合うためには、見識のある首相が不可欠だ。不可欠だが、、。
      自力で 討論で 互角・五分・対等に 国・世界・現実と 堂々と
[むかえうつ] 人ガ 人ヲ
 ・万全の準備をして敵を迎え撃った。
 ・相手の予期していないところで迎え撃とうと策を練った。
      追っ手・大軍・敵・敵軍・盗賊の集団を
<スル動詞>
[挑戦(ちょうせん)する]  人ガ 人・ものニ
  ・チャンピオンに挑戦したが、あっさり負けてしまった。
 ・いつかフルマラソンに挑戦してみたい。
[敵対(てきたい)する]  人ガ 人ニ/ト
 ・君たちは政府に敵対(を)するつもりか。
 ・私と彼女は敵対(を)する関係にあるんです。同じ男を愛しているから。


もめる(揉める)  一(もめない・もめます・もめて・もめれば)
[1]〔人・ものガ (人ト) (ものデ)〕
 △もめそうだ  もめてはいけない  もめないようにする  もめさせる  もめるな!
 △[ごたごたと/ああだこうだと/いつまでも/長く/やはり/予想(よそう)通り]~。
  △[家族/兄弟(きょうだい)/夫婦(ふうふ)/会議/判定(はんてい)/交渉(こうしょう)]が~。
  ・国会は予算案(よさんあん)の審議(しんぎ)で揉めている。
 ・今年の春闘(しゅんとう)は労使(ろうし)がベアの数字で揉めそうだ。
 ・工場を建てる時、地元(じもと)の農民(のうみん)と揉めたが、金を積(つ)んでだまらせた。
 ・仲の良い兄弟が遺産相続(いさんそうぞく)で揉めた。みんな自分はいらないと言い出したのだ。
 ・決勝戦(けっしょうせん)は審判(しんぱん)のジャッジミスのために揉め、双方(そうほう)が協会
  (きょうかい)に提訴(ていそ)する騒(さわ)ぎになった。
  ・娘の赤ん坊がなかなか生まれない。気が揉めて仕事にならない。

[12]攻める・守る

◇せめる  
 「攻める」は、戦争・試合などで、相手を負かそうとして戦いをしかけること。ヲ格をとる。
      人ガ 人・ものヲ せめる
    敵・城・弱点を 攻める  
・複合動詞:「せめ-」の形の複合動詞が多い。
 「攻め合う」は、たがいに相手を攻めること。「攻め入る」は、攻めてその場所に入ること。
 「せめあぐむ」は、攻めても効果がなく、どう攻めていいか困ること。
 「攻め落とす」は、攻めて敵の城などを奪い取ること。
 「攻めかかる」は、相手に対して攻め始めること。
 「攻めかける」は、相手の所に攻めていくこと。
 「攻め込む」は、攻めて敵の所に入り込むこと。
 「攻め立てる」は、続けてはげしく攻めること。
 「攻め抜く」は、ずっと続けて(最後まで)攻めること。
 「攻め上る」は、(都のほうへ)攻めていくこと。
 「攻め滅ぼす」は、相手を攻めて滅ぼすこと。
 「攻め寄せる」は、(大勢で)攻めて相手の近くまで行くこと。
 「攻め寄る」は、攻めて相手のすぐ近くまで行くこと。
 「切り込む」は、敵の中に切って攻め入ること。ひゆ的に、鋭い議論で相手を問いつめること。 
・スル動詞
 「攻撃する」は、戦いや試合で敵を攻めること。人の誤りや欠点を攻めること。
 「襲撃する」は、相手の不意をついて襲いかかること。
 「爆撃する」は、飛行機から爆弾などを落として攻撃すること。
◇おそう
 「襲う」は、不意に攻めて危害を加えること。ひゆ的に、自然現象や精神的なことにも言う。やや
書きことば。
    人・ものガ 人・ものヲ おそう
    山賊が旅人を襲う  敵の軍がこの町を襲った  台風・地震が 大都市を襲う
    不安・悲しみに 襲われる
・複合動詞
 「襲いかかる」は、(急に)相手に危害を加えようとすること。
 「躍りかかる」は、勢いよく飛びかかること。
 「飛びかかる」は、相手の体に自分の体をぶつけるようにして攻撃すること。
・スル動詞
 「侵略する」は、ある国(の軍隊)が他国へ攻め入って、土地や財物を奪うこと。
 「乱暴する」は、他人に対して暴力を振るうこと。  
◇ねらう 
  「狙う」は、あるものを手に入れようとして、いい機会をうかがうこと。
       人ガ 人・ものヲ ねらう
        スリが酔っぱらいを狙う  ネコが魚を狙う  相手のすきを狙う  優勝を狙う
・複合動詞
 「つけねらう」は、あとをつけて、常に様子をうかがい、襲う機会をまつこと。

◇まもる
 「守る」は、よく気をつけて、(外部からの力によって)大切なものが犯されないように、失われな
いようにすること。対象をヲ格で、他からの力をカラ格で示す。
      人ガ 人・ものヲ (ものカラ) まもる
       家族を守る   敵・攻撃・災害から 国土を守る
・複合動詞:「まもり-」の形の複合動詞は、基本的に同じような意味を表す。
 「守り続ける」は、ずっと続けて守ること。「守りきる」「守り通す」「守り抜く」は、みな最後ま
で守ること。
 「見守る」は、そのものが無事であるように気をつけて見ること。物事の成り行きを注意しながら
見ること。
   人ガ 人・ものヲ みまもる
    親が子供(の成長)を見守る  事の成り行き・経過を 見守る
◇かばう
  「かばう」は、他から害を受けないように守りいたわること。抽象的なことにも言う。
      人ガ 人・ものヲ かばう
      子ども(の罪)をかばう  痛む腕をかばう
◇ふせぐ      
  「防ぐ」は、外部から来るものや新たに発生する物事によって、好ましくない状態にならないよう
に、それらをおさえること。名詞節をとる。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ ふせぐ
    敵・攻撃・寒さを 防ぐ  事故・混乱を 防ぐ  風(が入るの)を防ぐ
・複合動詞
  「防ぎとめる」は、外部から来る危険や新たに発生する物事をおさえ、止めること。
 「食い止める」は、好ましくない物事がそれ以上進まないようにおさえること。
・サ変動詞
 「ガードする」は、警備・警護をすること。スポーツで、防御すること。
 「警備する」は、万一の場合に備えて建物や土地などの周囲によく注意して守ること。  
 「護衛する」は、そばに付き添って守ること。
 「自衛する」は、他からの攻撃などに対し、自分の力で自分を守ること。
 「防衛する」は、他からの攻撃などを防ぎ守ること。スポーツで選手権を守ること。
 「防御する」は、敵の攻撃を防ぎ守ること。
 「保護する」は、外からの危険・損害などに対して気をつけてかばい守ること。
 「保守する」は、正常の状態を保てるように絶えず注意すること。
 「擁護する」は、侵略や危害を受けないようにかばい守ること。
 「予防する」は、病気や災害などを前もって防ぐこと。
 「防止する」は、望ましくないことが起こらないように対策を立て、防ぎ止めること。
 「防水する」は、水がしみこんだり、流れ込んだりするのを防ぐこと。 

       
せめる(攻める) 一(せめない・せめます・せめて・せめれば・せめよう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ (所カラ)〕
 △せめたい  せめかける  せめてくる  せめてしまう  せめてみる  せめてはいけない
  せめなければならない  せめようとする  せめさせる  せめられる  せめろ!  
 △[もっと/さらに/厳(きび)しく/激(はげ)しく/軽く/うまく/めちゃくちゃに]~。
 △[敵(てき)/相手(あいて)/ゴール/城(しろ)/国/町/弱点(じゃくてん)]を~。
  [空/海/東/右]から~。
 ・相手の弱いところを見つけて、そこを攻めるのがよい。
 ・敵のいる町を攻めるためには、この川をこえなくてはいけない。
 ・この城は、攻めるのは難しいが、守るのはやさしい。
 ・守りよりまず敵を攻めることを考えろ。
 ・攻めて、攻めて、攻め続けろ。攻めなければ、勝ちはない。
 ・このチームは攻めることより守ることの方がうまい。
 ・相手にうまく攻められて、こちらの守りは崩(くず)されそうだ。
 ・ちょうどこちらが攻めようとした時、相手も攻めてきた。
 ・この相手はどの手(=方法)で攻めようか。

<複合動詞:せめ->
[せめあう] 人ガ 人ト ものヲ
 ・両軍は力を尽くして互いに攻め合ったが、なかなか決着が付かなかった。
 ・兄と激しく互いの陣地を攻め合っているうちに、母の「ごはんよー、ゲームはやめなさーい」と
  いう声が聞こえた。
[せめあぐむ]  人ガ ものヲ
 ・その城は堅固で、いくら攻めても落ちず、将軍は攻めあぐんでいた。
[せめいる] 人ガ ものニ 
 ・ボールを奪い返すと、我々は敵陣に攻め入った。
 ・ドイツは突然ポーランドに攻め入った。
   敵陣・敵の領土・隣国に  勝ちに乗じて
[せめおとす] 人ガ ものヲ 
 ・3か月かけて敵の城を攻め落とした。
 ・この城は、攻め落としにくく、守りやすい城だ。
   城・要塞を 一気に 次々に 見る間に
[せめかかる] 人ガ 人・ものニ
 ・援軍が来て勢いづいたわが軍は、夜が明けると同時に相手に攻めかかった。 
 ・敵の守りの弱点を見つけて、一気に攻めかかった。
   城・要塞を 一気に 次々に 見る間に
[せめかける] 人ガ 人・ものヲ
 ・ボールを敵のゴールライン近くに蹴り込んで、一気に攻めかけた。
 ・敵の背後に回って、はさみうちにして攻めかけた。
   からめ手から 敵の機先を制して
[せめこむ] 人ガ ものニ 
 ・城の門が壊され、一気に敵が攻め込んできた。
 ・内閣内の意見の不一致が明るみに出てしまい、野党に攻め込まれた。
   城・敵陣に  数にものを言わせて  ~まれる 野党に 海外から
[せめたてる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・P軍はQ軍の城をはげしく攻め立てた。
 ・敵陣の周囲を取り囲み、じわじわと攻め立て、ついに降服させた。
   城を 徐々に じわじわと 
[せめぬく] 人ガ 人・ものヲ
 ・相手の王将を攻めて攻め抜いたが、ついに詰ますことができず、反撃されて負けてしまった。
 ・攻撃は最大の防御という。ともかく徹底的に攻め抜くことが大事だ。
[せめのぼる] 人ガ 所ニ/へ 
 ・大軍が一気に都へ攻め上り、皇帝は命からがら逃げ出した。
 ・戦国時代の武将は、京へ攻め上り、天下を統一することを夢見ていた。
   大軍が 京・都へ 一気に 一挙に
[せめほろぼす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・長い間戦い続けてきた敵をとうとう攻め滅ぼすことができた。
 ・わが国は大国に攻め滅ぼされ、国民は諸国を流浪する苦境に陥った。
[せめよせる] 人ガ ものニ 
 ・次々と敵の大群がこちらへ攻め寄せて来る。
 ・敵兵がときの声を上げて攻め寄せてきたとき、これまでだと感じた。
   大軍が 敵の軍勢が 終日 ひしひしと ときの声を上げて
[せめよる] 人ガ 人ニ 
 ・敵の軍勢がまさに海岸近くに攻め寄ってきたとき、嵐がやってきた。


おそう(襲う)  五(おそわない・おそいます・おそって・おそえば・おそおう)
[1]〔人・ものガ 人・ものヲ〕
 △おそいそうだ  おそいかねない  おそわせる  おそわれる  おそうな!
 △[突然(とつぜん)/不意(ふい)に/急に/いっせいに/一気(いっき)に/どっと]~。
  △[町/本土(ほんど)/銀行/基地(きち)/空港(くうこう)/交番(こうばん)/列車]を~。
 ・強盗(ごうとう)が銀行を襲い、現金(げんきん)5千万円を奪(うば)って逃走(とうそう)した。
  ・春先(はるさき)にクマが人間を襲うという事件(じけん)が増えている。
 ・大地震(おおじしん)が大都市(だいとし)を襲う可能性(かのうせい)が高くなってきた。
 ・船は暴風雨(ぼうふうう)に襲われ、荒れた海を木の葉のように漂(ただよ)った。
  ・暴徒(ぼうと)が交番を襲い、警官(けいかん)が重傷(じゅうしょう)を負(お)った。
 ・夜道(よみち)を一人歩いていた彼女を痴漢(ちかん)が襲ったが、運の悪い痴漢で、空手(からて)
  の有段者(ゆうだんしゃ)の彼女にあごの骨(ほね)をくだかれ、うでの骨を折られてしまった。
  ・今の状態(じょうたい)では、この前のような経済危機(けいざいきき)が国を襲いかねない。
[2]〔ものガ 人ヲ〕
 ・その瞬間(しゅんかん)、死の恐怖(きょうふ)が私を襲った。
 ・仕事を始めようとすると、強い眠気(ねむけ)に襲われる。ほとんど条件反射(じょうけんはんし
  ゃ)だ。
 ・ベッドに入ってからも、彼女は不安(ふあん)に襲われ、眠りにつけなかった。
 ・すべてが終わった時、激しい疲労感(ひろうかん)が私を襲い、私はその場に倒れ込んだ。

<複合動詞:おそい->
[おそいかかる] 人・ものガ 人・ものニ
  ・オリを抜け出したライオンは、近くにいた人に襲いかかろうとした。
 ・火事ですべてを失った家族に、さらに不幸が襲いかかった。
   嵐・疫病・寒気・寒波・恐怖感・孤独・死・高波・濁流・不幸・猛獣が 不意に
<複合動詞:その他>
[おどりかかる] 人・ものガ 人・ものニ
 ・足をけがした鹿に、ライオンが躍りかかってきた。
 ・虎は一行に猛然と躍りかかるかと見えたが、たちまち身を翻して元の草むらに身を隠した。
      獲物に 女に ぱっと 猛然と
[とびかかる] 人ガ 人ニ
 ・人の家を訪問したら、その家の犬がきゅうに跳びかかって来た。
 ・私が弟をなぐると、弟はそれで泣き出すどころか、ぎゃくに、私にとびかかって来た。
      女・相手・背中に 出し抜けに 猛然と いきなり すばやく 一斉に 


ねらう(狙う)  五(ねらわない・ねらいます・ねらって・ねらえば・ねらおう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △ねらってみる  ねらってはいけない  ねらわなければならない  ねらわれる
 △[ひそかに/大胆(だいたん)に/しつこく/執念深(しゅうねんぶかく)/何度も]~。
  △[獲物(えもの)/小鳥(ことり)/魚/老人/弱者(じゃくしゃ)/若い女性]を~。
  [優勝(ゆうしょう)/社長の座(ざ)/経費(けいひ)の節減(せつげん)/新しい効果(こうか)/
   大きな目標(もくひょう)/利益(りえき)の独占(どくせん)/社内の親睦(しんぼく)]を~。
  ・ネコが小鳥を狙っているが、小鳥もばかではないから、かんたんにはつかまらない。
 ・空き巣(あきす)が留守(るす)の家を狙っている。
 ・相手のすきを狙って攻め込もうと考えている。
 ・今大会では優勝(ゆうしょう)を狙っていたのだが、なんと一回戦で負けてしまった。
 ・オリンピックの放映権(ほうえいけん)独占を狙って、多額(たがく)のワイロを使ったらしい。
  ・宝くじの一等を狙っているんだが、まあ、狙って当たるもんではないな。
 ・彼女はいわゆる「玉の輿(たまのこし)」を狙っていて、社長の息子に近づこうとしている。

<スル動詞>
[攻撃(こうげき)する]  人ガ 人・ものヲ
  ・敵の城を攻撃する。
 ・首相の不用意な発言が野党から攻撃されている。
[襲撃(しゅうげき)する]  人ガ ものヲ
 ・敵の部隊が我が軍の基地を襲撃した。
 ・タンカーが海賊船に襲撃された。
[侵略(しんりゃく)する]  人ガ ものヲ
 ・隣国を侵略した歴史はいつまでも消えない。
 ・侵略されないために先に侵略するという言い訳は、常に有効である。
[爆撃(ばくげき)する]  人ガ ものヲ
 ・非戦闘員を無差別に爆撃するのは、戦争犯罪である。
 ・あたり一帯は徹底的に爆撃され、建物は一つも見あたらなかった。
 [~の爆撃をする]
  ・民間住宅の爆撃をしたため、世界中から非難された。
[反撃(はんげき)する]  人ガ 人・ものニ
 ・敵の攻撃に反撃(を)しようとしたが、あまりにも敵は強かったのでひとまず退却した。
 ・野党の厳しい批判に対して政府も反撃(を)したが、世論は野党についた。
[乱暴(らんぼう)する]  人ガ 人ニ
  ・どんな理由があっても、人に乱暴(を)してはいけません。
 ・町で不良にひどく乱暴され、財布をとられた。


まもる(守る) 五(まもらない・まもります・まもって・まもれば・まもろう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[人/子ども/家族(かぞく)/若者(わかもの)/女性/老人/市民/国民]を~。
  [国/国家(こっか)/町/村/島/海岸線(かいがんせん)]を~。
  [会社/組織(そしき)/店]を~。[城(しろ/基地(きち)/国境(こっきょう)/ゴール]を~。
  [文化/伝統(でんとう)/慣習(かんしゅう)/しきたり/約束(やくそく)/法律(ほうりつ)/
   規則(きそく)/ルール/命令(めいれい)/親の言いつけ]を~。
 △まもりたい  まもりやすい  まもりつづける  まもってほしい  まもってくれる
  まもらなければいけない  まもるべきだ  まもったほうがいい  まもるようにする
  まもろうとする  まもろうと努(つと)める  まもらなければと思う
 △[きちんと/ちゃんと/しっかり/かならず/ぜったいに/忘れずに]~。きびしくまもらせる
 ・彼は、恋人(こいびと)を守るためだといって、柔道(じゅうどう)をならい始めた。
 ・国を守るのは軍隊(ぐんたい)の力だけではない。
 ・そのダイヤモンドは警官(けいかん)に守られながら運ばれた。
 ・今でも、そのおじいちゃんは、その小さな店を守ってくらしているそうだ。
 ・むかしは、家にいて家を守るのが主婦(しゅふ)の大切な仕事と考えられていた。
 ・私たちが出かけたあとは、おばあちゃんが留守(るす)を守っている。
 ・弟(おとうと)は約束(やくそく)を守ったことがない。
 ・このごろ、この規則(きそく)はあまり守られなくなってきた。
 ・学校の規則を良く守る学生と、いつもやぶる学生がいる。
 ・交通法規(こうつうほうき)に違反(いはん)してあぶない運転をするよりは、守って安全な運転を
  したほうがいい。
[2]〔人ガ ものヲ ものカラ〕
 △[破壊(はかい)/盗難(とうなん)/事故(じこ)/危険(きけん)/攻撃(こうげき)]から~。
  [泥棒(どろぼう)/強盗(ごうとう)/火事/火災(かさい)/天災(てんさい)/災害(さいがい)/
   洪水(こうずい)/津波(つなみ)]から~。
 ・森を火事から守るためにパトロールをしています。
 ・バイクに乗っている時は自分の身(み)を危険(きけん)から守るためによく注意しなさい。
 ・子どもを社会の悪い影響(えいきょう)から守りたい。
 ・自然の環境(かんきょう)を、大企業(だいきぎょう)や政府(せいふ)による破壊(はかい)から守る
  運動をしています。

<複合動詞:まもり->
[まもりきる] 人ガ 人・ものヲ
 ・敵の攻撃から国を守りきった。
 ・序盤に得た一点を最後まで守りきって、決勝戦に進んだ。
   無事に家を 虎の子の一点を
[まもりつづける] 人ガ ものヲ 
 ・日本の古い伝統を守り続けて行きたいと思います。
 ・彼は一生その秘密を守り続け、誰にも明かさないまま死んだ。
[まもりとおす] 人ガ ものヲ
 ・相手チームの猛攻に耐えて、ゴールを守り通した。
 ・政治権力からの圧力に抗して、大学の自治を守り通した。
   秘密・約束・体制・思想・大学の自治を 今日まで かたくなに がっちり
[まもりぬく] 人ガ ものヲ 
 ・わたしたちは自分の持ち場をさいごまで守りぬくつもりです。
 ・今の組合は組織を守り抜くことを第一に考え、人間を大切に考えていない。
   家族・子・組織・労働の場・伝統・純血・権益・仕事・義理・恩義を
<複合動詞:-まもる>
[みまもる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・優しい両親に見守られて、私は何一つ不自由なく育った。
 ・神様が私たちをいつも見守っていてくださいます。
   赤ちゃん・子・表情・寝顔・手つき・動き・行列・言動・工事・効果・作業・
   事態の進行・推移・戦況・成り行き・変化を 気長に 興味深く じっと 慎重に


ふせぐ(防ぐ) 五(ふせがない・ふせぎます・ふせいで・ふせげば・ふせごう) 
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △ふせぎたい  ふせいでほしい  ふせいである  ふせがなければならない
  ふせごうとがんばる  ふせげない  ふせがれる
 △[うまく/なんとか/みごとに/必死(ひっし)に/ぎりぎり]~。
  [幸(さいわ)いに/運良く/どうにか]ふせげてよかった
 △[ミス/失敗(しっぱい)/けが/火事(かじ)/事故(じこ)/災害(さいがい)]を~。
  [さむさ/あつさ/病気/インフルエンザ/伝染病(でんせんびょう)]を~。
  [雨/風/スパイ/外敵(がいてき)]を~。
 ・この地方では家の北側に木を植(う)えて、北風を防いでいる。
 ・山下くんが異常(いじょう)に気づいてくれたおかげで、火事を未然(みぜん)に防ぐことができた。
 ・人間は昔から暑さや寒さを防ぐためにいろいろの工夫(くふう)をしてきた。
 ・材料(ざいりょう)の腐食(ふしょく)を防ぐために薬(くすり)を塗(ぬ)った。
 ・インフルエンザを防ぐためにはどうしたらいいでしょう。
 ・そんなことをしたら、外敵の侵入(しんにゅう)を防ぐ今までの努力がむだになってしまう。
〔文ヲ〕
 ・外敵が巣(す)に侵入するのを防ぐのもハタラキバチのしごとです。
 ・ピアノの音が外にもれるのを防ぐために、窓(まど)やかべを二重(にじゅう)に作ってあります。
 ・北海道の家は、すきま風が入るのも防ぐために窓が二重になっています。

<複合動詞:ふせぎ->
[ふせぎとめる] 人ガ ものヲ 
 ・敵をここで防ぎとめてくれ。
 ・洪水の水をふさぎとめるため、入り口に土のうを積んだ。
<複合動詞:その他>
[くいとめる] 人・ものガ ものヲ
 ・3千人の敵を2百人のわが軍の兵が食い止めている。
 ・相手チームの猛攻撃をディフェンスが必死に食い止めた。
 ・入り口に積んだ土のうが、何とか水が入るのを食い止めていた。
      悪影響・悪循環・悪化・勢い・延焼・拡大・攻撃・災害・前進・爆発を
   被害の拡大・ファシズム・猛攻・連敗を かろうじて 水際で 何とか 最小限に


かばう  五(かばわない・かばいます・かばって・かばえば・かばおう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △かばいたい  かばってやる  かばわなくてはいけない  かばわれる  かばうな!
 △[やさしく/注意深(ちゅういぶか)く/しっかり/そっと]~。
  △[足/腰(こし)/痛み/傷(きず)/妻/年寄(としよ)り/人の過失(かしつ)/ミス]を~。
  ・兄が弟をかばって、いたずらを親に謝(あやま)った。
 ・彼は痛(いた)む左足をかばって走り続けたので、右足が疲労(ひろう)してきた。
 ・よい上司(じょうし)とは、部下(ぶか)の過失(かしつ)をかばうものだ。責(せ)めるものではない。
 ・神父(しんぷ)は罪人(ざいにん)をかばい、警察(けいさつ)が来ても、誰もいないとうそをついた。
  ・子どもの罪(つみ)をかばおうとする親の心が、詐欺(さぎ)に引っかかる原因(げんいん)の一つだ。

<スル動詞>
[警備(けいび)する]  人ガ ものヲ
 ・建物の周りを大勢の警官が警備していた。 
 [~の警備をする]
  ・毎日皇居の警備をしています。緊張します。
[護衛(ごえい)する]  人ガ 人ヲ
 ・訪問団の一行を護衛して観光地を回った。
 ・あの首相を護衛する人たちはさぞかし苦労が多いだろう。
 [~の護衛をする]
  ・大統領の護衛をするというのは、かなり危険な仕事です。
[防衛(ぼうえい)する]  人ガ ものヲ
  ・国を防衛するためと言われ、国民は女性や子供まで戦わされた。
 ・昨日の試合に勝ち、田中選手は世界1位の座を再び防衛した。
[防御(ぼうぎょ)する]  人ガ ものヲ
 ・相手の攻撃に対して、主に顔を防御した。
 ・海岸線を防御するには、多くの経費が必要になる。
[防止(ぼうし)する]  人ガ ものヲ
  ・地球温暖化を防止するには何をすればいいか。
 ・病気の再発を何とかして防止したい。
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・子どもが犯罪を犯すことをなんとかして防止しなければならない。
[防水(ぼうすい)する]  人ガ ものヲ
 ・このカメラは防水してありますから、雨に濡れても大丈夫です。
 ・電気関係の部分をきちんと防水してから、工事に取り掛かります。
[保護(ほご)する]  人ガ 人・ものヲ
 ・森の中で道に迷った子どもを保護した。
  ・町に現れた野生のタヌキを保護した。
 [~の保護をする]
  ・森林の保護をしないと、どんどん荒れてしまう。
[保守(ほしゅ)する]  人ガ ものヲ
 ・線路の安全を保守するため、日々点検を欠かさない。
 ・このビルの照明を保守する仕事をしています。
[擁護(ようご)する]  人ガ ものヲ
 ・現憲法を擁護する動きが強まっている。
 ・情報技術の進歩の中で、著作権をきちんと擁護する必要がますます高まっている。
  学説・学問の自由・既得権・権益・憲政・憲法・権利・主権・人権・制度・大学の自治・利益を
[予防(よぼう)する]  人ガ ものヲ
  ・インフルエンザの流行を予防するために、ワクチンが開発された。
 ・食中毒を予防するには、まず新鮮な材料を使うことです。
 [~の予防をする]
  ・結核の予防をしておくことは、現在でも重要なことです。
[ガードする]  人ガ ものヲ
 ・挑戦者の攻撃に対して、チャンピオンは左腕をあげて顔をガードした。
 ・相手の攻撃をしっかりガードして、ダメージを受けないようにする。

[13]勝つ・負ける
 対立・勝負に関する動詞を見る。相手をニ格で示すか、対象としてヲ格で表すかに注意。

◇かつ
  「勝つ」は、戦い、ゲーム、試合などで争い、(一定のルールの下で)相手より優れていると認めら
れること。相手をニ格にとるか、あるいは試合などをニ格にとる。
      人ガ 人・ものニ かつ
       (試合で)敵・ライバルに 勝つ   戦争・決勝戦に 勝つ
・複合動詞    
 「勝ち得る」は、あるものを(努力の結果)自分のものとすること。
 「勝ち越す」は、勝った数が負けた数より多くなること。
 「勝ちすぎる」は、必要以上に多く勝ってしまうこと。
 「勝ち進む」は、その勝負に勝って、次の勝負(段階)へ進むこと。
 「勝ち取る」は、戦って勝ち、それを自分のものとすること。
 「勝ち抜く」は、次々に勝って、次の勝負へ進むこと。長い戦いを勝って、よい結果を得ること。
 「勝ち残る」は、勝負に勝って、次の段階の勝負に出る権利を得ること。
 「勝ち誇る」は、勝って誇らしそうな態度になること。
 「投げ勝つ」は、野球で、投手の良さで相手に打たせず勝つこと。
 「打ち勝つ」は、(自分より)強い相手に勝つこと。ひゆ的に、困難や苦しみに負けず、それを乗り
  越えること。
・スル動詞
 「勝利する」は、戦いや試合などに勝つこと。
 「優勝する」は、スポーツなどの競技で、第一位になること。
◇まける
  「負ける」は、戦い、ゲーム、試合などで争い、(一定のルールの下で)相手のほうが優れていると
認めざるを得なくなること。相手をニ格にとるか、あるいは試合などをニ格にとる。
      人ガ 人・ものニ まける
       (試合で)敵・ライバルに 負ける   戦争・決勝戦に 負ける
・複合動詞
 「負け越す」は、負けた数が勝った数より多くなること。
 「打ち負ける」は、相手より打つ力が弱いために、負けること。
 「取りこぼす」は、当然勝てるはずの相手に負けてしまうこと。
・スル動詞  
 「降伏する」は、敵に対して自分が負けたことを認め、相手の命令・要求に従うこと。
 「降参する」は、戦いに負けて、相手に服従すること。
 「敗北する」は、戦い・試合に負けること。書きことば。
◇まかす
  「負かす」は、相手を負けさせること、相手に勝つこと。ヲ格をとる。
      人ガ 人ヲ まかす
    去年の優勝チームを負かす
・複合動詞
 「言い負かす」は、口で争って、相手が言い返せなくすること。
 「打ち負かす」は、徹底的に打つことによって相手に勝つこと。相手を完全に負かすこと。

◇やぶる
 「破る」は、「紙を破る」のような物理的な意味が基本で、ひゆ的に「敵の守備を破る」のような
戦いの場面で使われ、「敵の攻撃を破る」では「攻撃に勝つ」意味になり、戦い全体で相手を負かす
意味、「敵を破る」にまでなる。戦う相手は対象としてヲ格で示す。戦いや試合はデ格で表す。
      人ガ 人ヲ やぶる
    決勝戦でライバルを破る
・複合動詞
 「討ち破る」は、敵を攻めて負かすこと。
◇やぶれる
  「破れる」は、「やぶる」に対応する自動詞で、表記は「破れる」よりも「敗れる」が使われる。
相手を表すニ格をとるか、事柄をニ格で示す。
      人ガ 人・ものニ やぶれる
    決勝戦でライバルに敗れる   恋・戦いに 破れる
・複合動詞
 「敗れ去る」は、敗れてしまうこと。敗れて、次の試合に出られず、戦いが終わってしまうこと。
    決勝戦で敗れ去る   トーナメントの一回戦で敗れ去る
◇やっつける
 「やっつける」は、相手をひどい目に遭わせること。俗語的な表現。
   人ガ 人ヲ やっつける
    やっつけろ! 
・スル動詞
 「圧倒する」は、相手を問題にしない強い力で負かすこと。
 「退治する」は、害を与えるものを殺して、すっかりなくすこと。
◇くっする
 「屈する」は、相手に負けて服従すること。否定の形でよく使われる。
      人ガ 人・ものニ くっする
    弾圧に屈せず、戦い続ける
◇ぬく
 「抜く」は、競争相手の後ろから前に出ること。
      人ガ 人ヲ ぬく
       駅伝で前の選手を抜く  ライバルに抜かれる
・複合動詞
 「抜き去る」は、前の競争相手を抜いて、ずっと引き離すこと。
 「追い抜く」は、後ろから追って、ついに抜くこと。
 「追い越す」は、前にいた競争相手より先に行くこと。ひゆ的に、歴史的な発展や、背丈に付いて
  も言う。
  「出し抜く」は、相手に気づかれないようにして、先に何かをすること。
◇ぬかす
 「抜かす」は、「抜く」と類義で、より話しことば。
      人ガ 人ヲ ぬかす
       ペースが落ちて3人に抜かされた

かつ(勝つ) 五(かたない・かちます・かって・かてば・かとう) 
[1]〔人ガ (ものデ) 人ニ〕
 △かちたい  かちにくい  かってほしい  かってみたい  かたなければならない
  かたせる  かたれる  かとうとする  かて!  かつな!  かてない  かてそうだ
 △[らくに/ゆうゆうと/大差(たいさ)で/やっと/ぎりぎり/苦しみながら/何とか]~。
 △[ライバル/相手(あいて)/敵(てき)/他の会社/自分/己(おのれ)]に~。
  [誘惑(ゆうわく)/欲望(よくぼう)/怠け心(なまけごころ)]に~。
 ・相手に勝つかどうかは重要じゃない。練習した力を出せるかどうかが問題だ。
 ・春のスポーツ大会(たいかい)で田中さんに勝ったのがうれしかった。
 ・昔(むかし)から我(わ)がチームは、Pチームにだけはどうしても勝つことができない。
 ・日本チームに勝ってほしいと思うが、そうかんたんに勝てるわけではない。
 ・残(のこ)り時間、あと5分。何とか今日は勝てそうだ。
 ・運動会で子どもに勝たせてやりたいと親は思う。
 ・あの戦争(せんそう)でP国がQ国に勝ったのはあたりまえだ。国力がぜんぜんちがう。
 ・人に勝つよりまず自分に勝て。
 ・泳ぎに行こうという友だちの誘惑に(ゆうわく)に勝てず、私は宿題をやらずにプールへ出かけた。
[2]〔人ガ ものニ〕
 △[試合(しあい)/競争(きょうそう)/勝負(しょうぶ)/選挙(せんきょ)/裁判(さいばん)]に~。
 ・この試合(しあい)にだけは勝ちたかった。
 ・今日の試合に勝てば、明日(あした)はいよいよ決勝戦(けっしょうせん)だ。
 ・販売(はんばい)競争に勝つためには良い品を安く売らなくてはならない。
 ・この国の社会は競争社会だから、競争に勝った者だけが生きのこれる。
 ・政治家(せいじか)は選挙に勝たないと職(しょく)を失うわけだから、必死(ひっし)だ。
 ・おじはその裁判(さいばん)に勝つことができなくて、土地や家をとられてしまったという。

<複合動詞:かち->
[かちえる] 人ガ ものヲ
 ・部下の尊敬を勝ち得るためには、上司は何に気を付けなければならないか。
 ・真心を持って仕事に励み、お客様の信頼を勝ち得るように努力した。
   栄冠・成功・対象・名誉・信頼・尊敬・共感・愛の告白を
[かちこす] 人ガ (人ニ)
 ・今年度の彼との勝負は、私が勝ち越している。
 ・両横綱とも、中日(なかび)で勝ち越した。
   あのチームに 8回の攻撃で 連続ホームランで 
[かちすぎる] 人ガ 人ニ
 ・プロ野球は、一つのチームがあまり勝ちすぎると面白くない。
 ・上司とのゴルフは、勝ちすぎても負けすぎてもいけない。
[かちすすむ] 人ガ ものヲ
 ・日本チームはどんどん勝ち進んで、あしたは金メダルをかけてP国と試合をする。
 ・このまま順調に勝ち進むと、予選リーグは首位で通過することができそうだ。
   決勝戦まで 決勝に 順当に 破竹の勢いで
[かちとる] 人ガ ものヲ
 ・日本一の栄冠を勝ち取るために、毎日猛練習に明け暮れた。
 ・今年の組合はベースアップを勝ち取るまで徹底的に粘る方針だ。
   栄冠・栄光・勝利・白星・成果・タイトル・無罪・名誉・優勝賞金・要求金額を
   解放・救済・好感・実効支配・ベースアップを
[かちぬく] 人ガ ものヲ
 ・田中さんははげしい競争を勝ちぬいて、とうとう社長になった。
 ・2か月に渡るトーナメントを勝ち抜いて、来週はいよいよ決勝戦だ。
   戦い・競争・戦争・大乱戦・トーナメント・予選を 市場争奪戦を
[かちのこる] 人ガ ものニ
 ・このジャングルでは、生存競争に勝ちのこった者だけが生きて行く。
 ・あぶない試合もあったが、とうとう決勝まで勝ち残った。
   激戦・決勝・本戦に
[かちほこる] 人ガ
 ・たとえ優勝しても、勝ち誇ったような顔をしてはいけない。
 ・チャンピオンは勝ち誇った表情で言った。「やはりおれがナンバーワンだ」
      ~た表情・声・顔 ~たようにほほえむ  ~て言う・笑う
<複合動詞:-かつ>
[うちかつ] 人ガ ものニ 
 ・いちばん難しいのは、相手に勝つことではなく、自分の恐怖心に打ち勝つことです。
 ・自然界は厳しい。生存競争に打ち勝った者だけが生き残ることができるのである。

<スル動詞>
[勝負(しょうぶ)する]  人ガ 人ト
 ・彼とは何度も勝負(を)したが、勝ったのは一度だけだ。
 ・よし、もう一度勝負(を)しよう。今度は勝つぞ。
[試合(しあい)する]  人ガ 人ト
 ・昨年の優勝チームと試合(を)することになった。 
 ・あの人とは試合(を)したくない。勝つとあとで意地悪されるから。
[勝利(しょうり)する]  人ガ 人・ものニ
 ・我々はついに悪に勝利した。
 ・今回の選挙に勝利するためなら、悪魔とでも手を結びたい、と彼は言った。
 ・明暗を分ける戦いに勝利した。
[優勝(ゆうしょう)する]  人ガ (ものデ)
  ・阪神が優勝(を)するのは、昔は珍しかったが、最近はそうでもないようだ。
 ・私はこの大会で優勝(を)したことが3度ある。


まける(負ける) 一(まけない・まけます・まけて・まければ・まけよう)
[1]〔人ガ 人・ものニ〕 
 △まけそうだ  まけかける  まけたくない  まけてしまった  まけておく
  まけてはならない  まけないようにがんばる  わざとまけさせる
 △[完全に/ひどく/大差(たいさ)で/おしくも/わずかの差で/めちゃくちゃに]~。
  [かんたんに/すぐに/あっさり/ねばりながらも]~。
  [こちらのミスで/反則(はんそく)で/反則をして/作戦(さくせん)負けで]~。
  [力(ちから)を出せずに/力が入らなくて/緊張(きんちょう)して/ふんいきにのまれて]~。
 △[ライバル/敵(てき)/競争相手(きょうそうあいて)/権力(けんりょく)]に~。
  [試合(しあい)/戦(たたか)い/誘惑(ゆうわく)/暑(あつ)さ/金の力]に~。
 ・昨日の試合は、ジャイアンツがタイガースに7対0で負けました。
 ・たまに子どもとピンポンをやるのですが、まあ、勝ったり負けたりです。(子どもに)
 ・今度の彼との試合(しあい)にはぜったいに負けたくない。(=今度の試合では彼に)
 ・この試合にだけは負けられない。
 ・決勝(けっしょう)トーナメントに進むためには、あと1回は負けられる(=負けてもだいじょう
  ぶだ)が、それ以上は負けられない。
 ・わたしはいつもけんかに負けてしまう。
 ・たいていの困難(こんなん)には負けないつもりだったが、今度の病気にはすっかりまいってしま
  った。
 ・会場(かいじょう)の雰囲気(ふんいき)に負けて、自分の本当の力を出せないまま負けてしまった。
 ・暑さ、寒さに負けない強い体をつくろう。
 ・彼女の熱心(ねっしん)な誘(さそ)いに負けて、旅行への招待(しょうたい)を受けることにした。
 ・息子(むすこ)は、悪い友達の誘惑(ゆうわく)にまけて、とうとう悪の道に入ってしまった。
 ・あの男のずうずうしさには負けたね。校長にむかって「先生の話はおもしろくありません。」と
  言うんだから。
[2]〔人・ものガ ものデ 人・ものニ〕
 △[速さ/強さ]で~。
 ・私は腕力(わんりょく)の点では人に負けないつもりだ。
 ・彼女は計算の速さではクラスのだれにも負けないだろう。
 ・わが社のタイヤは他のどのメーカーの物にも負けない強さを持っています。(強さで負けない)

<複合動詞:まけ->
[まけこす] 人ガ
 ・ライバルとの三連戦を1勝2敗で負け越した。
 ・大関が負け越した。来場所は勝ち越さないと大変だ。
 ・七勝八敗で負け越してしまった。
      三連戦を 七勝八敗で 二場所連続で 大きく
<複合動詞:-まける>
[うちまける] 人ガ 人ニ 
 ・ホームランバッターを揃えたあのチームには、くやしいが打ち負けてしまった。
 ・日本のテニス界では強打でならす彼も、外国のトーナメントでは打ち負けることが多い。
<複合動詞:その他>
[とりこぼす] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・優勝候補と言われていたチームが初戦を取りこぼした。
 ・上位のチームには勝っていたが、下位に取りこぼしたのが痛かった。

<スル動詞>
[降参(こうさん)する]  人ガ 人ニ
 ・負けるとわかっていても、戦わずに降参(を)するわけにはいかない。(相手に)
 ・早く降参(を)したほうがいいよ。降参(を)しないとひどい目に遭うよ。
[降伏(こうふく)する]  人ガ 人ニ
 ・どんなことがあっても降伏(を)しないというのは、最低の戦術だ。
 ・日本はポツダム宣言を受け入れ、連合国に降伏(を)した。
[敗北(はいぼく)する]  人ガ (ものデ)
 ・与党が総選挙で敗北した。また政治が変わる。
 ・戦争で敗北したために民主主義が与えられたというのは皮肉な話だ。
 

まかす(負かす) 五(まかさない・まかします・まかして・まかせば・まかそう) 
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △まかしてやろう  ぜったいにまかすぞ  かんたんにまかされた  あいつをまかしてみろ
 △[友だち/ライバル/あいて/敵(てき)]を~。
 ・読書量(どくしょりょう)で大山を負かす学生は、この学校にはいない。
 ・この子どもは大人を負かすほど頭がいい。

<複合動詞:-まかす>
[うちまかす] 人ガ 人ヲ
 ・特に体が大きいわけではないが、どんな相手も打ち負かす力を秘めていた。
 ・P国の軍隊はQ国の大部隊にかんたんに討ちまかされてしまった。
[いいまかす] 人ガ 人ヲ 
 ・もう家内とはけんかをしないことにしているんです。いつもわたしが言いまかされてしまうから。
 ・兄が妹に言い負かされて、ひっぱたいてしまい、母に叱られた。
 ・議論は相手を言い負かすためにするんじゃない。正しい結論を得るためにするんだ。


やぶる(破る) 五(やぶらない・やぶります・やぶって・やぶれば・やぶろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △やぶりたい  やぶるつもりだ  やぶってやる  やぶってはいけない
  やぶってほしい  やぶられそうになった  やぶられるはずがない
 △[ビリッと/ビリビリと/バリッと/バリバリと/思い切り/力を込めて]~。
 △[紙(かみ)/手紙(てがみ)/メモ/ノート/まどガラス]を~。
  [約束(やくそく)/規則(きそく)/法律(ほうりつ).ストライキ]を~。
  [型(かた)/枠(わく)/限界(げんかい)/かこみ/ディフェンス]を~。
  [平和(へいわ)/沈黙(ちんもく)/しずけさ/静寂(せいじゃく)]を~。
  記録(きろく)を[大きく/わずかに/ひさしぶりに/みごとに]~。
 ・弟は書きかけのノートのページをびりびりと破ると、丸めてなげすてた。
 ・くぎにひっかけて、シャツを破いてしまった。
 ・あの人は何度も約束を破ったので、もうだれも、あの人を信用(しんよう)しない。
 ・人をたすけるためなら、規則(きそく)を破るのもしかたがない。
 ・どろぼうは家のうらのまどガラスを破って、そこから手を入れて、鍵(かぎ)をあけたらしい。
 ・A国軍(エイこくぐん)はB国軍のかこみを破ってにげた。
 ・敵(てき)のディフェンスを破れ! シュートを打て!
 ・ストライキを破って工場(こうじょう)で働(はたら)いている人がいる。
 ・古い型を破っただけで、芸術(げいじゅつ)があたらしくなるのではない。
 ・山田さんのつくった記録(きろく)は、12年も破られませんでした。
 ・5年間も何も書かなかった作家(さっか)の山中さんが、沈黙(ちんもく)を破り、作品(さくひん)
  を発表(はっぴょう)した。
 ・とつぜん、森(もり)の静寂(せいじゃく)を破って、「ダーン」というライフルの音がなりひびい
  た。
[2]〔人ガ ものデ 人ヲ〕
 △[人/敵(てき)/強敵(きょうてき)/チャンピオン/ライバル/あいてチーム]を~。
 ・イギリスは1588年のたたかいでスペインを破った。(=スペインにかった)
 ・Aチームは5対1でBチームを破って、優勝(ゆうしょう)をきめた。
 ・市長選挙(しちょうせんきょ)で山下氏(し)は山上氏を破って、市長に再選された。

<複合動詞:-やぶる>
[うちやぶる] 人ガ 人ヲ
 ・一回戦から強敵を次々と打ち破って、ついに決勝戦を迎えた。
 ・近代の息吹に触れた民衆は因習の壁を打ち破り、新しい時代を作り上げた。
 ・P国軍はQ川のたたかいでR国軍を討ちやぶった。


やぶれる(破れる・敗れる) 一(やぶれない・やぶれます・やぶれて・やぶれれば
[1]〔ものガ〕
 △やぶれにくい  やぶれやすい  やぶれがちだ  やぶれそうになる  やぶれちゃった
 △[ビリッと/ビリビリと/バリッと/バリバリと/自然(しぜん)に/ひとりでに]~。
 △[くつした/ズボンのすそ/しょうじ/本のページ/かみぶくろ/まどガラス]が~。
  [ゆめ/つりあい/バランス]が~。
 ・このふくろはかんたんに破れます。
 ・テストの紙(かみ)が破れやすくて、強く字を書いたら、破れてしまった。
 ・ふくろが破れて、買って来たみかんがおちた。
 ・ぼろぼろに破れたふくを着た男が近づいて来て「金をくれ」と言った。
 ・大国(たいこく)のあいだの力のバランスが破れると、せんそうがおきるかもしれない。
 ・若いときは自分の会社を持とうと思っていたが、そのゆめも破れてしまった。
[2]〔人ガ (ものデ) 人ニ〕
 △[試合(しあい)/トーナメント/一回戦(いっかいせん)/決勝戦(けっしょうせん)]で~。
  [相手(あいて)/敵(てき)/強敵(きょうてき)/去年の優勝(ゆうしょう)チーム]に~。
 △やぶれるわけにはいかない  やぶれてはならない  やぶれたらたいへんだ
 △[かんたんに/あっさり/おしくも/ざんねんながら]やぶれた
 ・A国はこの戦(たたか)いでB国に敗れた。
 ・一回目の試合では勝(か)ったが、二回目の試合ではライバルに敗れてしまった。
[3]〔人ガ ものニ〕
 ・試合に敗れた(=まけた)選手(せんしゅ)たちが、さびしそうにかえって行く。
 ・恋(こい)に敗れて彼女(かのじょ)は泣(な)いている。

<複合動詞:やぶれ->
[やぶれさる] 人ガ 
 ・いよいよ決勝戦となりました。今年は、多くの強豪が敗れ去り、初出場同士の決勝です。
 ・惜しくも敗れ去ったチームに、暖かい拍手が送られています。


やっつける  一(やっつけない・やっつけます・やっつけて・やっつければ・やっつけよう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △やっつけたい  やっつけてやる  やっつけなければならない  やっつけられない
  やっつけようと思う  やっつけさせる  やっつけられる  やっつけろ!
 △[ひどく/こてんこてんに/めちゃくちゃに/徹底的(てっていてき)に/ぼろぼろに]~。
  △[相手/親父(おやじ)/兄貴(あにき)/先生/敵(てき)/批判者(ひはんしゃ)]を~。
  ・二度と逆(さか)らう気を起こさないように、ぼろぼろになるまでやっつけてやった。
 ・あんな奴(やつ)らは一度徹底的にやっつけてしまえば、何も言わなくなるさ。
 ・軽くやっつけてやろうと思ったら、反対にいいようにやっつけられた。
  ・こんなつまらない作業は早くやっつけて、ビールでも飲みに行こう。
 
<スル動詞>
[圧倒(あっとう)する]  人・ものガ 人ヲ
 ・うちのチームのフォワードは敵のフォワードを圧倒していた。
 ・彼らの動きは、見るものを圧倒する迫力がある。
 ・タワーの下に立つと、その大きさに圧倒される。
[退治(たいじ)する]  人ガ ものヲ
 ・マンガでは妖怪を退治する超能力者が数多く活躍している。
 ・ゴキブリを退治するには、殺虫剤とスリッパのコンビが最強です。
 

くっする(屈する)  サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人・ものガ 人・ものニ〕
 △くっしたくない  くっしてしまう  くっしてはいけない  くっするな!
 △[ついに/とうとう/やはり/結局(けっきょく)/どうしても/耐(た)えきれず]~。
  [絶対に/苦しくとも/何とか/どこまでも/どんな脅(おど)しにも]くっしない
  △[力/権力(けんりょく)/圧力(あつりょく)/誘惑(ゆうわく)/脅迫(きょうはく)]に~。
 ・弾圧(だんあつ)を受けて、マスコミは時の権力に屈した。
 ・戦わずして敵(てき)に屈してしまった。
 ・彼はどんな批判(ひはん)にも屈しないという決意(けつい)をもっている。
  ・相手の力に圧倒(あっとう)され、短時間のうちに屈せざるをえなかった。
  ・卑怯(ひきょう)な脅迫に屈せず、最後まで戦い抜こう!


ぬく(抜く)五(ぬかない・ぬきます・ぬいて・ぬけば・ぬこう) 
[1]〔人・ものガ 人・ものヲ〕
 △ぬきたい  ぬいてしまう  ぬいてやる  ぬかなければならない  ぬかれる  ぬけ!
 △[かんたんに/あっさりと/軽く/必死(ひっし)になって/なんとか/けんめいに]~。
  △[ライバル/前の選手(せんしゅ)/トップ/先頭(せんとう)]を~。
 ・あと一周で山中は前を走っていた山下に追いつき、ゴールの直前(ちょくぜん)で抜いて、トップ
  でゴールした。
 ・すもうの勝ち抜き戦(かちぬきせん)で5人抜いた。(=続けて5人に勝った)
 ・今年の交通事故(こうつうじこ)の数は昨年を抜いてしまった。ざんねんなことだ。
 ・鉄の生産量(せいさんりょう)で去年2位だったP国は、ことしQ国を抜いて一位になった。
 ・我が国の技術力(ぎじゅつりょく)は隣(となり)の国にもう抜かれていると言う人がいる。
 ・お話ではカメがウサギを抜くけれども、実際(じっさい)には抜けないだろうなあ。

<複合動詞:ぬき->
[ぬきさる] 人ガ ものヲ
 ・十位でたすきを受け取った選手が、一気に9人を抜き去ってトップに躍り出た。
<複合動詞:-ぬく>
[おいぬく] 人ガ 人・ものヲ
 ・日本は西洋のあとを追いかけはじめて百年あまりで、もう、西洋の国々を追いぬいてしまった。
 ・わたしはゆっくり車を走らせているので後ろから来た車がどんどん追いぬいて行く。
   傍ら・そば・人ごみ・群れ・父・西洋を 弟子・後続に~れる
[だしぬく] 人ガ 人ヲ 
 ・競争相手を出しぬくためにいろいろな方法を考えた。
 ・新製品の開発でライバルの会社に出し抜かれた。
      相手・警察・周囲・大臣・敵を  ものの見事に~れる
<複合動詞:その他>
[おいこす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・日本はこの100年ぐらいの間、「西洋に追いつけ、追いこせ」と言ってがんばってきた。
 ・後ろから来たスポーツカーに追いこされた。
      一団・先輩・そば・隣・バス・母親の背丈・横・老人を 足早に すれすれに


ぬかす(抜かす) 五(ぬかさない・ぬかします・ぬかして・ぬかせば・ぬかそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △ぬかしたい  ぬかしてしまう  ぬかしてやる  ぬかそうとする  ぬかされる
 △[軽く/あっさりと/すいすい/なんとか/かんたんに/けんめいに/必死(ひっし)に]~。
  △[車/ライバル/前の選手(せんしゅ)/先生/兄]を~。
  ・前を走っていた選手を次々に抜かしていった。
 ・自転車で走って、軽くバスを抜かした。
 ・子どもの能力(のうりょく)はすぐに親を抜かしてしまうものだ。
  ・日本は国内総生産で中国に抜かされた。

[14]捕まえる

◇つかまえる
 「捕まえる」は、動いたり、逃げたりするものを(押さえて)行けないようにすること。
   人ガ 人・ものヲ つかまえる
        犯人・ネズミを 捕まえる     記者団が首相をつかまえる   タクシーをつかまえる
 「ところを」名詞節をとる。
     泥棒が逃げようとするところを捕まえる
・複合動詞
 「捕まえそこねる」は、捕まえることに失敗すること。
  「取り押さえる」は、逃げようとするものをつかまえること。押さえて動けないようにすること。
◇つかまる
 「捕まる」は、つかまえられること。また、ものをしっかりつかんで体を支えること。
   人・ものガ 人ニ つかまる
     犯人・動物が 捕まる   大臣が記者につかまる  タクシーがつかまらない
      人ガ ものニ つかまる
    手すりや吊革につかまる
 「重要な人と連絡が取れない」という意味で使われることもある。
   人ガ つかまる
     この大事なときに社長が捕まらない
◇とらえる
 「捕らえる・捉える」は、動物や逃げる人を取り押さえること。やや書きことば。ひゆ的に、抽象
的な事柄についても言う。
   人・ものガ 人・ものヲ とらえる
    容疑者をとらえる  真相を捉える  疑惑が彼の心を捉える
    クモが獲物を捕らえる  画家が顔の特徴を捉える
・複合動詞
 「引っ捕らえる」は、つかまえて押さえること。「とらえる」を強めて言う語。
・スル動詞
 「捕獲する」は、動物や(敵の)船などをとらえること。 
 「拘束する」は、捕らえて行動の自由を奪うこと。行動・言論などを制限すること。
 「逮捕する」は、警察が犯人・容疑者を捕まえること。
 「束縛する」は、行動の自由を制限すること。
◇さらう
 「さらう(攫う)」は、相手のすきを見て人やものを奪い去ること。
     人ガ 人・ものヲ さらう
    子どもをさらう   大金をさらって逃げる
・スル動詞
 「誘拐する」は、人をだまして連れ去ること。
  「拉致する」は、人を無理に連れて行くこと。


つかまえる(捕まえる・捉まえる)一(つかまえない・つかまえます・つかまえて・つかま
  えれば・つかまえよう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △つかまえたい  つかまえそうだ  つかまえてほしい  つかまえてしまう
  つかまえておく  つかまえてある  つかまえてはいけない  つかまえなければならない 
  つかまえようとする  つかまえさせる  つかまえられる  つかまえさせられる
 △[たくさん/すこし/おおぜい/すぐに/いそいで/とつぜん/ゆっくり/あわてずに]~。
  [うまく/じょうずに/しっかり/慎重(しんちょう)に/おそるおそる/乱暴(らんぼう)に]~。
 △[犯人(はんにん)/泥棒(どろぼう)/虫(むし)/タクシー]を~。
 ・おまわりさんが逃(に)げようとする泥棒を捕まえた。
 ・せっかく捕まえた犯人をうっかり逃(に)がしてしまったのはざんねんだ。
 ・きれいなチョウを捕まえてもらった。
 ・虫を捕まえれば賞金(しょうきん)がもらえるゲームをやってみたが、ぜんぜん捕まえられなかっ
  た。
 ・逃げようとする子どもを捕まえて、宿題(しゅくだい)をやらせた。
 ・授業(じゅぎょう)のあとで先生を捕まえて、分からないことを質問(しつもん)した。
 ・あのお母さんは、今年33才になったむすこをつかまえて(=に対して)、まだ「あきらちゃん」
  などと呼んでいる。
 ・エスカレーターに乗る時、お母さんは子どもの手をしっかりつかまえて(=つかんで)いてくださ
  い。
 ・保健所(ほけんじょ)の人がのらいぬを捕まえに来た。

<複合動詞:つかまえ->
[つかまえそこねる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・大山さんにお金を返そうと思って会社へ行ったが、いそがしそうに出たり入ったりしていたので、
  捕まえそこねた。
 ・先生にいろいろ質問したかったが、先生が授業の後すぐに帰ってしまったので、捕まえそこねた。
 ・「ゴキブリだ!」必死に追いかけたが、ついに捕まえそこねた。
<複合動詞:その他>
[とりおさえる]  人ガ 人・ものヲ 
 ・警官が手配中の容疑者を発見し、格闘の末、取り押さえた。
 ・動物園から逃げ出したサルが係員に取り押さえられた。
      現行犯・泥棒・猛牛・狼藉者を すばやく 寄ってたかって
<スル動詞>
[逮捕(たいほ)する]  人ガ 人ヲ
  ・警察が強盗事件の容疑者を逮捕した。
 ・収賄容疑で逮捕されたのは、県の土木課長だ。
[捕獲(ほかく)する]  人ガ ものヲ
 ・野生動物を捕獲する際の規則を検討する会議が開かれた。
 ・動物園を逃げ出したチンパンジーを3時間後に捕獲した。
 

つかまる(捕まる・捉まる)五(つかまらない・つかまります・つかまって・つかまれば・
   つかまろう) 
[1]〔人ガ 人ニ〕  (=つかまえられる)
 △つかまりやすい  つかまりにくい  つかまりそうだ  つかまってしまう 
  つかまってほしい  つかまってはいけない  つかまらせる  つかまられる
 △[すぐに/うまく/とうとう/やっと/けっきょく/最後(さいご)には]つかまった
  [なかなか/いつまでも/とうとう/けっきょく/最後まで]つかまらなかった
 △[どろぼう/犯人(はんにん)]が~。
 ・犯人(はんにん)がやっと警察(けいさつ)に捕まったそうだ。
 ・教室(きょうしつ)を出たところで学生に捕まって、試験(しけん)のことをいろいろきかれた。
 ・山田さんから逃げていたが、とうとう捕まって「早くお金を返してください。」と言われた。
 ・あそこで記者(きしゃ)たちに捕まっているのが、新しい社長の小山さんです。
 ・自由(じゆう)を愛する私は結婚(けっこん)などしたくなかったが、ついにつかまってしまった。
[2]〔人ガ ものニ〕
 △[てすり/吊革(つりかわ)/柱(はしら)]に~。
 ・電車がゆれていますから、吊革や手すりにつかまってください。
 ・階段(かいだん)はあぶないから手すりにつかまっておりた方がいい。
 ・この道はすべりやすいから、わたしにつかまってください。
 ・冬のこおった雪道(ゆきみち)を父の手につかまって行ったおぼえがある。


とらえる(捕らえる)  一(とらえない・とらえます・とらえて・とらえれば・とらえよう)
[1]〔人・ものガ 人・ものヲ〕
 △とらえたい  とらえてみる  とらえなければならない  とらえられない
  とらえようとする  とらえさせる  とらえられる  とらえろ! 
 △[しっかりと/確実(かくじつ)に/うまく/正確(せいかく)に/きっちり/のがさず]~。
  △[泥棒(どろぼう)/すり/犯人(はんにん)/容疑者(ようぎしゃ)/敵(てき)/スパイ]を~。
  ・警官(けいかん)がデモ隊の中の暴徒(ぼうと)を捕らえた。
 ・カメレオンが舌(した)で蛾(が)をすばやくとらえた。
 ・チャンピオンのパンチが挑戦者(ちょうせんしゃ)のあごを捉え、挑戦者はマットに沈んだ。
 ・彼のバットがボールを真芯(ましん)で捕らえ、ボールはバックスクリーンまで飛んだ。
  ・この肖像画(しょうぞうが)は彼の特徴(とくちょう)を実にうまく捉えている。
  ・暗闇(くらやみ)の中で壁(かべ)を探ると、指先(ゆびさき)がつまみをとらえた。
  ・その記事は政府(せいふ)が隠(かく)そうとした真相(しんそう)を捉えている。
 ・彼はすぐに人の言葉尻(ことばじり)をとらえるので、みんなに嫌(きら)われている。
 ・敵のすきを捉えて攻撃(こうげき)をしかけるようにしている。
 ・彼の話をぜひ聞きたいので、こんど機会(きかい)を捉えて話しかけてみよう。
  ・基地(きち)のレーダーが国籍不明(こくせきふめい)の機影(きえい)を捉えた。 
[2]〔ものガ 人ヲ〕 
 △[恐怖(きょうふ)/興奮(こうふん)/動揺(どうよう)/予感(よかん)/音楽]が~。
 ・その時、彼に対する疑惑(ぎわく)の念(ねん)が彼女を捕らえた。  
 ・彼は彼女の美しさに捕らえられた。 
 ・どこかで聴(き)いたことがあるようなメロディーが私の耳をとらえた。
 ・彼女のそのことばが世界の人々の心を捉え、世界が少しずつ変わり始めた。
[3]〔人・ものガ ものヲ ものニ〕
 ・テレビのカメラがその惨状(さんじょう)を映像(えいぞう)にとらえていた。
 ・事件の決定的瞬間(しゅんかん)を写真(しゃしん)に捉えたいと思って仕事をしている。
 ・写真家は微妙(びみょう)な表情(ひょうじょう)の変化(へんか)をフィルムにとらえていた。
  ・かすかな物音(ものおと)を耳にとらえ、立ち止まった。

<複合動詞:-とらえる>
[ひっとらえる] 人ガ 人ヲ
 ・西部劇には、お尋ね者を引っ捕らえて賞金をもらう、という主人公が時々出てくる。
 ・空き巣が家に入るところを見て、引っ捕らえたら隣のおじいさんだった。ぼけていて、家を間違
  えたらしい。
     お尋ね者・女・盗人・こそ泥・万引き・人殺しを


さらう(攫う)  五(さらわない・さらいます・さらって・さらえば・さらおう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △さらおうとする  さらわれる  さらうな! 
 △[すばやく/巧妙(こうみょう)に/乱暴(らんぼう)に/ちからずくで/まとめて]~。
  △[子ども/女性/若い娘(むすめ)/優勝(ゆうしょう)/大金(たいきん)]を~。
  ・子供をさらって海外に売り飛ばす犯罪組織(はんざいそしき)が警察に摘発(てきはつ)された。
  ・若い娘がさらわれたといううわさが広がっている。
  ・予想(よそう)もしていなかったチームに優勝をさらわれた。
 ・次の選挙(せんきょ)では、新しい政党(せいとう)が浮動票(ふどうひょう)をさらうということが
  起こりそうだ。
  ・店に押し入った強盗(ごうとう)は、有り金(ありがね)をさらって逃げた。

<複合動詞:-さらう>
[かっさらう] 人ガ ものヲ
 ・空き巣が部屋に入って、手当たり次第にその辺りのものをかっさらっていったようだ。
 ・ある日若い男が家に来て、私の娘をかっさらっていった。今頃は後悔しているだろう。
  母親によく似た娘だから。
      衣類・金・掌中の玉・上客を 手当たり次第に
<スル動詞>
[誘拐(ゆうかい)する]  人ガ 人ヲ
 ・子供を誘拐して身代金を取ろうとした。
 ・日本企業の社員が反政府勢力に誘拐されたが、現地の警察が救出した。
    ~される:テロリスト・武装勢力に
[拉致(らち)する]  人ガ 人ヲ
  ・子どもたちを拉致していった犯人(はんにん)の目的(もくてき)は何なのか。
 ・この海岸で若い女性が何者(なにもの)かに拉致されたと見られている。
[拘束(こうそく)する]  人ガ 人ヲ
 ・この国の政治活動家の多くが拘束され、虐待されているという報告がなされた。
 ・労働者は工場の中の様々な規則に拘束されている。
[束縛(そくばく)する]  人・ものガ 人・ものヲ
 ・人々の自由と権利を束縛している権力を倒さねばならない。
 ・人間を束縛するのは規則や社会制度ではない。それらを支える人間自身だ。
 ・現代人は時間に束縛されて生きている。

[15]弔う・葬る

◇とむらう
 「弔う」は、人の死を悲しんで遺族に悔みを述べること。死者の霊を慰めるために供養すること。
      人ガ 人ヲ とむらう
    遺族・死者を 弔う
◇ほうむる
  「葬る」は、遺体を墓に埋めること。ひゆ的に、人を社会的に失墜させること。不都合な物事を隠
すこと。場所のニ格をとる。ひゆ的な意味でカラ格をとることがある。
      人ガ 人・ものヲ (所ニ)ほうむる
       死者・遺体を 墓地に葬る  論文盗作で学会から葬られる  過去の記憶を葬る


とむらう(弔う)  五(とむらわない・とむらいます・とむらって・とむらえば・とむらおう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △とむらいたい  とむらうべきだ  とむらってほしい  とむらわなければならない
 △[懇(ねんごろ)ろに/丁重(ていちょう)に/心をこめて/故人(こじん)をしのびつつ]~。
  △[遺族(いぞく)/未亡人(みぼうじん)/遺族宅(いぞくたく)/故人の霊(れい)/亡き人]を~。
  ・私は彼の遺族を弔い、お悔(く)やみのことばを述べた。
 ・未亡人を弔うために、友人の家に向かった。
 ・遺(のこ)された人々は亡き人を懇ろに弔った。
 ・故山田氏を弔うことばを述べさせていただきます。


ほうむる(葬る)  五(ほうむらない・ほうむります・ほうむって・ほうむれば・ほうむろう)
[1]〔人ガ 人ヲ (所ニ)〕
 △ほうむりたい  ほうむってしまう  ほうむってはいけない  ほうむられる  ほうむれ!
 △[手厚(てあつ)く/丁寧(ていねい)に/こっそり/うやむやのうちに]~。
  △[死者(ししゃ)/死体/遺体(いたい)/亡骸(なきがら)/骨(ほね)/愛犬(あいけん)]を~。
  ・死者はそれぞれの遺族(いぞく)によって手厚く葬られた。
 ・彼は妻の亡骸を菩提寺(ぼだいじ)に葬った。
 ・彼女は愛犬を泣きながら葬った。 
[2]〔人ガ ものヲ〕
  △[事件(じけん)/事故(じこ)/不祥事(ふしょうじ)/議案(ぎあん)]を~。
 ・周到(しゅうとう)な根回(ねまわ)しによって、議案は日の目(ひのめ)を見ることなく葬られた。
  ・権力者がその事件を闇(やみ)から闇に葬ってしまい、人々に知られることはなかった。
[3]〔人ガ 人ヲ ものカラ〕
 ・彼はライバルをこの業界から葬ってしまおうと考え、卑劣(ひれつ)なわなをしかけた。
  ・彼らは加害者(かがいしゃ)を社会から葬ろうとした。

   

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