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◇加力2◇

[8] 突く・刺す

   突く  突き上げる 突き当たる 突き合わせる 突き動かす 突き落とす  
        突き返す・突っ返す 突き崩す 突き殺す 突き刺さる 突き刺す 突き進む
        突き倒す 突き出す 突き立てる 突きつける 突き詰める 突き出る 突き通す
        突き通る 突き飛ばす 突き止める 突き抜く 突き抜ける 突きのける
        突き放す 突き戻す 突き破る  突っかかる 突っかける 突っ切る 突っ込む
        突っ立つ 突っ走る 突っ放す 突っぱねる 突っ張る
    刺す     刺し殺す 刺し通す  突き刺す
    刺さる    突き刺さる

[9] 絞る・揉む・練る

   絞る    絞り上げる 絞り込む 絞り出す 搾り取る  引き絞る  
    絞める  絞めあげる 絞め殺す 絞め付ける
    揉む  もみ合う もみ消す もみつぶす もみほぐす
    練る   練り上げる 練り合わせる 練り歩く 練り固める 練り込む 練り直す
    捻る   ひねり出す ひねり潰す      

[10] 踏む・蹴る

   踏む  踏み荒らす 踏み入れる 踏み固める 踏み切る 踏み消す 踏み越える  
         踏みこたえる 踏み込む 踏みしめる 踏み倒す 踏み出す 踏み散らす
         踏みつける・踏んづける 踏みつぶす 踏みとどまる 踏み鳴らす 踏み均す
         踏みにじる 踏み抜く 踏み外す 踏み迷う 踏み破る 踏み分ける
         踏ん張る  ふんぞり返る
     蹴る  蹴り上げる 蹴り入れる 蹴り返す 蹴り込む 蹴り殺す 蹴り出す
         蹴りつける 蹴落とす・蹴り落とす 蹴倒す・蹴り倒す 蹴散ら(か)す
       蹴つまずく 蹴飛ばす・蹴り飛ばす・けっ飛ばす 蹴破る

[11] 投げる

   投げる   投げ合う 投げ上げる 投げ与える 投げ入れる なげうつ 投げ落とす
        投げ下ろす 投げ返す 投げかける 投げ勝つ 投げ込む 投げ捨てる
        投げ倒す 投げ出す 投げつける 投げ飛ばす
   ほうる  放り上げる 放り込む 放り出す 放り投げる
   投じる  投入する 投票する

      



[8] 突く・刺す
  「突く」は、細いものを使って、対象に強く力を加える動作を表す。その結果、それが対象の中に
入りこむのが「刺す」。
  「突く」は、それ自体の用法以上に、複合動詞を多く形作ることが重要。音変化して「つっ-」と
なるものも多い。
  「さす」は、「刺す・指す・差す・射す・挿す・注す」などの漢字表記により、さまざまな意味を
表し分ける。ここでは、大きく「刺す・指す・差す」の三つに分けた。「指す・差す」は力を加える
動きではないので、「指す」は「対人」で、「差す・射す・挿す・注す」は「位置変化」で扱う。

◇つく
  「突く」は、先が細い物を使って、何かに強い力を加えること。道具または対象をヲ格にとる。
 「杖を突く/杖でものを突く」の二つの型がある。また、(細いものを)押し当てること。
   人ガ (ものデ) ものヲ つく
        杖で地面を突く  敵をやりで突く
    杖を突いて歩く  書類に判をつく    まり・球を つく  羽根をつく
      きねで餅をつく
      人ガ ものニ ものヲ つく
    床に手をついて謝る  机に肘をつく  ほおづえをつく
 ひゆ的に抽象的なことにも言う。
   人・ものガ ものヲ つく
    敵に不意をつかれる  背後・弱点・意表を 突く
        その指摘は問題の核心を突いている
        闇を突いて走る  吹雪を突いて進む        臭気が鼻を突く
  慣用表現で「底を突く」は、物がなくなること。いちばん悪い状態になること。
 「うそをつく」は、「ため息をつく」のように口から出すことで、「突く」ではない。
・複合動詞:「つき-」の形のものが非常に多い。音変化して「つっ-」の形もある。 
 「突き上げる」は、下から突いて上へ上げること。ひゆ的に、下位の者が上位の者に、ある行動を
  とるように圧力をかけること。
 「突き当たる」は、強い勢いでぶつかること。先をさえぎられてまっすぐ行けなくなること。
 「突き合わせる」は、くっつきそうになるほど近づけること。二つのものを並べて比べること。
 「突き動かす」は、心に強い刺激を与えて、今すぐそうしなければという気持ちにさせること。
 「突き落とす」は、突いて落とすこと。ひゆ的に、社会的地位や精神的なことにも言う。
 「突き返す」は、(相手に突かれて)逆に相手を突くこと。ものを受け取らないで冷たく返すこと。
 「突き崩す」は、突いて崩すこと。ひゆ的に、精神的なことにも言う。
 「突き殺す」は、突いて殺すこと。
 「突き刺さる」は、突き刺した状態になること。
 「突き刺す」は、先の鋭いもので突いて、それが内部に入るようにすること。
 「突き進む」は、(さえぎる力を押しのけて)勢いよく進むこと。
 「突き倒す」は、強く突いて倒すこと。
 「突き出す」は、突いて外へ、または前へ出すこと。その結果、(その部分が)外へ出ていること。
    ひゆ的に、警察などに強制的に連れて行って引き渡すこと。
 「突き立てる」は、先の鋭いものを突き刺して立てること。激しく突きまくること。
 「突きつける」は、(相手の体を突くように)強い態度で相手に対して何かを差し出すこと。
 「突き詰める」は、問題の最後の所まで追究すること。
 「突き出る」は、突き破って出ること。他の部分より外側に目立って出ていること。
 「突き通す」は、突いて裏まで通すこと。ひゆ的に、最後まで貫くこと。
 「突き通る」は、突いて向こう側まで抜けること。
 「突き飛ばす」は、強く突いたり激しくぶつかったりしてはねとばすこと。
 「突き止める」は、よく調べて不明な点をはっきりさせること。
 「突き抜く」は、突いて向こう側まで貫くこと。
 「突き抜ける」は、何かを貫いて向こう側へ出ること。
 「突きのける」は、乱暴に押しのけること。
 「突き放す」は、突いて、または強く押して、相手を離れさせること。ひゆ的に、相手に冷たい態
    度をとること。
 「突き戻す」は、あらっぽく元のほうへ戻すこと。
 「突き破る」は、突いて破ること。強い力で敵の防備を破ること。 
 「突っ返す」は、「突き返す」の俗語的表現。
 「突っかかる」は、相手をめがけて突いていくこと。歩いていて足が何かにぶつかること。相手に
  乱暴なことばを言って、争いをしかけること。
 「突っかける」は、履き物を(つま先にかけるように)無造作に履くこと。強い勢いでぶつけること。
 「突っ切る」は、(突くように)まっすぐに通り抜けること。勢いよく横切ること。
 「突っ込む」は、激しい勢いで入ること。ひゆ的に、問題に深く入り込むこと。勢いよく、または
  無造作に入れること。問題点などを鋭く追及すること。慣用表現で「首を突っ込む」は、物事に
  興味を持って関わること。
 「突っ立つ」は、まっすぐに(何もしないで)立つこと。    
 「突っ走る」は、勢いよく(速く)走ること。ひゆ的に、ある目的に向かって全力で行動すること。
 「突っ放す」は、「突き放す」の俗語的表現。
 「突っぱねる」は、相手の要求などを厳しくはねつけること。
 「突っ張る」は、ものに棒などを押し当てて、支えること。足腰の筋肉などが強く張って堅くなる
  こと。ひゆ的に、相手に対して自分の主張をあくまで通すこと。(若者が)虚勢を張ること。 
◇さす
 「刺す」は、先がとがった物を使って、何かにその先端を押し入れること。対象のヲ格は、「刺す
道具/刺される場所」のどちらも表せる。
   人ガ 人・ものヲ (ものニ) 刺す
    蚊が足を刺す  棒を地面に刺す  ナイフで胸を刺す/ナイフを胸に刺す
・複合動詞
 「刺し殺す」は、相手の体を刺して殺すこと。
 「刺し通す」は、刺して裏側まで穴をあけること。
 「突き刺す」は、先の鋭いもので突いて、それが内部に入るようにすること。
◇ささる
 「刺さる」は、とがった物の先端が、何かの中に入ること。
   ものガ ものニ 刺さる
    指にとげが刺さる
・複合動詞
 「突き刺さる」は、突き刺した状態になること。

つく(突く・衝く)五(つかない・つきます・ついて・つけば・つこう) 
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △ついてみる  ついてくる  ついてはいけない  つけない  つこうとする  つかせる
  つかれる  つけ!  
 △[強く/かるく/ぐっと/どんと/らんぼうに/慎重(しんちょう)に/思いきり]~。
 △[杖(つえ)/やり/頬杖(ほおづえ)]を~。[棒(ぼう)/やり/はし/手]で~。
  [意表(いひょう)/盲点(もうてん)/核心(かくしん)/痛(いた)い所/隙(すき)]を~。
 ・強い力で胸(むね)を突かれ、後ろにひっくり返ってしまった。
 ・壁(かべ)をこわそうとして、ふとい棒で壁を何度も突いた。
 ・よく煮(に)えたかどうかを見るために、はしでジャガイモをかるく突いてみた。
 ・おじいさんが、杖(つえ)をついて歩いている。
 ・むかしは鐘(かね)をついて(=ならして)時間をしらせた。
 ・彼女の反論(はんろん)、いいところを突いてくるね。
 ・大川さんの質問(しつもん)はこちらの痛い所をついていた。
 ・意表をつく質問をされたので、うまくこたえられなかった。
 ・あいての隙(すき)をついて攻(せ)めなくてはいけない。
 ・探検隊(たんけんたい)は吹雪(ふぶき)を突いて進んでいった。
 ・へやに入ると鼻(はな)を突くような臭(にお)いがして、思わず「うっ」と声が出た。
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 ・私は、畳(たたみ)に手をつき、頭を下げてあやまった。
 ・頬杖を突いて人の話を聞くなんて、まったく失礼(しつれい)だ。
 ・ごはんを食べる時はテーブルに肘(ひじ)をつかないこと。

<複合動詞:つき->
[つきあげる] 人ガ ものヲ / ものガ (ものニ)
 ・目の前にあった相手のあごを、両手で思い切り突き上げてやった。
 ・胸の中に突き上げてくる怒りを相手にぶつけた。(怒りが胸に)
 ・若手議員が党執行部の責任を追及し、幹事長を突き上げている。
   言葉・激しい感情が 顔を 手・拳・腕を 警官を 熱いものが胸を
[つきあたる] 人・ものガ 人・ものニ 
 ・くらい部屋に入ったら、テーブルに突きあたった。
 ・あの角をまがって突きあたった所が中山さんの家です。
 ・財布がない。駅で人に突きあたられたが、あれがどうもスリだったらしい。
 ・自分の研究が壁に突きあたって、なやんでいます。
   頭・肩・道が 壁・屋根・海・川・限界・現実・障害物・ジレンマ・難問に
[つきあわせる] 人ガ ものヲ ものト
 ・山田先生の授業の記録を本にするために、何人かの学生のノートを突き合わせてみた。
 (比べて調べる)
 ・引用と原本を突き合わせてみると、いくつかの違いが見つかった。
   額を 要求を 予想と 原稿とゲラを  顔を~て暮らす・話す
[つきうごかす] ものガ 人ヲ
 ・この文章は読んだものを行動に突き動かす力がある。
 ・欲望に突き動かされて愚かな罪を犯してしまった。
   体・気持ち・空気・読者を ~れる 怒り・痛み・内なる衝動・期待・欲望に
[つきおとす] 人ガ 人・ものヲ ものカラ
 ・木の枝にぶら下がっていたハチの巣を長い棒で突き落とした。
 ・彼女はがけから男を突き落とした。
 ・彼女は卑劣な男のわなにかかり、不幸のどん底に突き落とされた。
   人間を 岩・崖から 川の中・谷へ 海・線路・底・どん底・悲しみに
[つきかえす・つっかえす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・「こんなものは欲しくない!」彼女は渡された金を男に突き返した。
 ・出入りの業者が差し出した封筒を突き返して言った。「こういう物は受け取れません」
 ・クラスのかわいい女の子に手紙を渡したが、突っ返されてしまった。
   贈り物・金・品物・書類・本・リスト・論文を 腕・男を そのまま
[つきくずす] 人ガ ものヲ
 ・がけ崩れで道にたまった土砂の山を突き崩しながら、我々は被災地に向かった。
 ・かたまった砂糖のかたまりをフォークで突きくずした。
   地盤・岩石・勢力・信頼関係・気持ち・原則・喜び・妙な空気を 足元から
[つきころす] 人ガ 人ヲ
 ・やぶの中から飛び出してきた獣を、やりで一突きに突き殺した。
 ・その隊長は、新兵に刀で捕虜を突き殺させたとして、戦争裁判で死刑になった。
   獣・兵隊を 刀・槍で 一突きに
[つきささる] ものガ ものニ
 ・倒れていた男の胸にはナイフが突き刺さっていた。
 ・「あなたは卑怯です!」彼女の言葉が私の心に突き刺さった。
   針・矢・ガラス・視線・非難・一言一言・風・音・悲鳴が 壁・体・心に
   耳の奥・目・腹・肌に  冷たく 心の底深く 心臓にぐさりと~ひと言
[つきさす] 人ガ ものヲ ものニ / ものガ ものヲ
 ・職人が竹の串をうなぎに突き刺した。
 ・その女は、真夜中にわらで作った人形にピンを突き刺していた。 
 ・鼻を突きさすようなにおいがしてきた。
 ・この土地の冬を初めて過ごしたが、肌を突きさすような寒さだ。
   針・フォーク・棒・楊枝・画鋲を のどに 胸・足・肉・天を ナイフで
   ぐさりと 鋭く 深く ぶすりと 言葉が胸を 叫びが耳を 冷気が肌を
[つきすすむ] 人・ものガ (ものヲ)
 ・この戦車は、障害物をものともせず、まっすぐに突き進むことができます。
 ・人に何と言われようと、かまわず、自分の道を突き進む。
   道を ゴール・死へ 戦争に 尾根・目標に向かって 船が波間を 脇目もふらず
[つきたおす] 人ガ 人ヲ
 ・初めの勝負は兄に投げ出されたが、次の勝負ではうまく突き倒してやった。
 ・電車に乗ろうとしたら、走って来た人に突きたおされそうになった。
   男の子・女・刑事・柱を 渾身の力を込めて
[つきだす] ものガ (ものカラ) / 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・板から何か突き出している。くぎだろうか。(突き出る)
 ・突然、その男は右のこぶしを前に突き出した。
 ・よっぱらって女の人にいたずらをしていた男を警察に突き出したら、学校の先生だった。私も気
  を付けよう。
   崖・砂浜・釘が あご・足・頭・腕・杯・手・両手を 目の前に 警察に
[つきたてる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・男はスコップを地面に突き立てて言った。「この下に財宝が埋まっているはずだ」
 ・彼女ははしを焼き肉に突き立てて言った。「この肉はあたしのよ。手を出さないで」
   スコップ・財布・箸・針・包丁・オールを 力まかせに  地面に
[つきつける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・この証拠をあの男に突きつけて、やった事をみんな言わせてしまおう。
 ・法外な金額の勘定書をつきつけられて、おどろいた。
   ナイフ・銃・証拠・結果・要求・抗議文・脅迫状・辞表・資料・請求書・
   逮捕状・離婚届・難問・ノー・マイクを じかに 目の前に まざまざと
[つきつめる] 人ガ ものヲ 
 ・突きつめて考えれば、人間が生きているという事、それだけでもとても不思議な事です。
 ・地下鉄の線路に電車をどうやって入れるのか、などという問題はあまり突き詰めて考えない方が
  いい。
   気持ち・問題を とことんまで ひたむきに 論理的に ~て考える
[つきでる] ものガ
 ・くぎが板から1センチほど突き出ていて非常に危ない。
 ・この器具は真ん中が突き出た、変な形だね。何に使うんだろう? 
   腹・頬骨・管が ぐっと にゅっと ぬっと 庭の木のこずえが空に
[つきとおす] ものガ ものヲ
 ・「この爆弾は屋根や壁を突き通して、中にいる敵を殺すことができます。お買い得ですよ」と死
  の商人が言った。
 ・昔、ある中国人が「このヤリはどんな物でも突き通すことができます。」と言った。そして、、、。
  (「矛盾」の話)
 ・神の使いだというその男は、最後までウソをつきとおした。
   体・板壁・空を 五寸釘を ずぶりと
[つきとおる] ものガ ものニ
 ・男がさしたナイフは、警官の肝臓にまで突き通っていた。
 ・板塀に打ったくぎが反対側まで突き通ってしまった。
   泣き声が 頭の中を 頭の芯に 鋭く 
[つきとばす] 人ガ 人ヲ
 ・「火事だ!」人々は先を争い、他人を突き飛ばして、外へ逃げようとした。
 ・公園で遊んでいたら、走ってきた男の子に突き飛ばされた。
   夫・男・肩・体・上役・看守・食卓・背中・胸を 乱暴に 力一杯
[つきとめる] 人ガ ものヲ  
 ・田中博士は、とうとうその病気の原因を突き止めた。
 ・警察は犯人のいる所を突き止めたらしい。
   アジト・アパート・家・隠れ家・正体・真犯人・つながり・謎・事の真相・問題・行方・
   ルートを 背後にいる人間を  徐々に ようやく
[つきぬく] 人・ものガ ものヲ
 ・ライフルの弾は、こんな薄い板塀は突き抜いてしまいます。
 ・その言葉は、私の胸を突き抜く力を持っていた。
   ひばら・胸板・胸を 
[つきぬける] 人・ものガ ものヲ 
 ・このトンネルを突き抜けると、雪国ですよ。
 ・この道は突き抜けることができない。行き止まりだ。
 ・弾丸は体を突き抜けて、壁にめり込んでいた。
   声・寂しさ・笑い声が 家の中・体・全身・空気・心を 現実を 空に
[つきのける] 人ガ 人・ものヲ
 ・そのおじいさんは人々を突き除けて優先席に座った。元気あるなあ。
 ・倒れた敗者は、差し出された手を突き除けるようにして立ち上がった。見苦しい。
   相手・母親・若者・顔・手・ひざ・胸元を 邪険に
[つきはなす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・飛びかかかってきた男を両手で思い切り突き放した。
 ・トップの選手がスパートをかけて、2位以下の選手を突き放した。
 ・金を借りに来た親戚を、突き放すような態度で追い返した。
   相手・女・夫・肩・体・胸・老人を 冷淡に 冷たく きっぱり あえて
   ~ような言い方・態度・表情  もう一歩というところで~される
[つきもどす] 人ガ 人・ものヲ
 ・押してくる相手を両手で強く突き戻した。
 ・教授は、学生の出したレポートの字があまり汚いので、1行も読まずに突き戻した。
   小学館:相手を 書類を
[つきやぶる] 人・ものガ ものヲ 
 ・暴走車はコンビニのドアを突き破って、店内に突っ込んだ。
 ・私たちは、世の中の偏見や差別を突き破って進まねばなりません。
      壁・ガードレール・ガラス戸・静けさ・沈黙・扉・フロントガラス・屋根を  
[つっかかる] 人ガ 人ニ
 ・その日は朝からイライラしていたので、小さな事で課長に突っかかっていった。
 ・そういう、突っかかるような言い方はやめなさい。
   相手・人に 喧嘩腰で つまらないことで 猛烈に 反射的に 激しく
[つっかける] 人ガ ものヲ
 ・外が騒がしいので、サンダルを突っかけて表通りに出てみた。
 ・スリッパを突っかけてホテルの中をぺたぺた歩くのはやめたほうがいい。
   靴・スニーカー・下駄・サンダル・スリッパ・草履を
[つっきる] 人ガ ものヲ
 ・うちの猫が車道を突っ切って、向こう側にいた猫のところへ行った。恋の季節か?
 ・戦車が刈り取り前の畑を突っ切って走っていくのを、農民が力無く見ていた。
   荒波・公園の中・校庭・芝生・車道・島・中央・畑の中・森・人ごみを 強引に
[つっこむ] 人ガ ものヲ ものニ  / 人ガ ものニ
 ・子どもが穴の中に上半身を突っ込んで何かを探しているようだった。
 ・弟は手をカバンに突っ込んでノートを取りだし、私に見せた。
 ・あんた、やくざの事件に首を突っ込むとろくな事はないよ。やめときな。
 ・(敵陣に)突っ込めー!  
 ・(核心に)突っ込んだ話し合いが行われた。
   顔・体・足・スプーン・手・ノートを 穴・押し入れ・口の中に 事件に首を
[つったつ] 人・ものガ 所ニ
 ・久しぶりに実家に帰ったら、家の前に細長いビルが突っ立っていた。
 ・元バスケット選手だというのっぽの新入社員が、課長の机の前にのっそり突っ立って小言を言わ
  れていた。
   建物・火柱・峰が 庭・鼻先・眼前に  ~ている 無愛想に 黙って のっそり
[つっぱしる] 人・ものガ 所ヲ
 ・高速道路を突っ走るスポーツカーをパトカーが追いかけていた。
 ・入社以来、出世街道を突っ走ってきたが、あと少しのところで会社が倒産した。
   救急車が 大通り・広場・海の上・崖っぷちを 出世街道を まっしぐらに
[つっぱなす] 人ガ 人ヲ 
 ・組もうとする相手力士を突っ放し、土俵下に押し出した。
 ・金を借りに来た後輩を「甘ったれるんじゃない!」と突っ放した。  
[つっぱねる] 人ガ ものヲ
 ・教師たちは子どもの自由を奪おうとする校長の不合理な指示を突っぱねた。
 ・上司の無理な命令を突っぱねたために会社をやめざるを得なくなったが、過労死するよりはいい
  と思っている。負け惜しみかな? 
   強情に 頑強に むっとして わざと ~ように言う・答える すげなく~られる
[つっぱる] 人・ものガ
 ・寝違えたらしく、どうも首筋がつっぱる感じがする。
 ・子どもは両足をつっぱって、おもちゃ売場の前から離れまいとした。
 ・あんた、欲の皮がつっぱってるね。宝くじを百枚買うなんて。
   体・筋肉・首筋・欲の皮が 腕・ひじ・両足・足・意地を 硬く 


さす(刺す)五(ささない・さします・さして・させば・さそう) 
[1]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △さしたい  さしておく  さしてある  さしてはいけない  さしてもらう
 さそうとする  ささせる  さされる 
 △[強く/深く/軽く/浅く/ぐさっと/ぶっすり]~。
 △[針(はり)を指(ゆび)に/ナイフを胸(むね)に/包丁(ほうちょう)を腹(はら)に]~。
 ・指にとげを刺してしまった。
 ・胸にナイフを刺された男が道にたおれていた。
 ・地面(じめん)に棒を刺して、その影(かげ)の方向(ほうこう)と長さによって時間を知る。
[2]〔人・ものガ もの・人ヲ〕
 △[ナイフで人を/針で指を]~。[蜂(はち)/蚊(か)]が~。
 ・虫に顔(かお)を刺された。かゆくてたまらない。
 ・誤(あやま)って人を刺し、警察(けいさつ)に捕(つか)まった。
 ・ピッチャーがランナーを一塁(いちるい)で刺した。

<複合動詞:さし->
[さしころす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・父は酒をのんだ時にケンカをして刺しころされたのです。
 ・浮気をした夫を妻が包丁で刺し殺したそうだ。君も気をつけたほうがいいよ。
   夫・男・女・恋人・夫婦を 短剣・短刀・ナイフで 
[さしとおす] 人ガ ものヲ 
 ・ここにあながあいています。長い針で刺しとおしたのでしょう。
 ・この厚い生地は針を刺し通すのが難しい。
   すね・頬・眉間を  針を布に
<複合動詞:-さす>
[つきさす] 人ガ ものヲ ものニ / ものガ ものヲ
 ・職人が竹の串をうなぎに突き刺した。
 ・その女は、真夜中にわらで作った人形にピンを突き刺していた。 
 ・鼻を突きさすようなにおいがしてきた。
 ・この土地の冬を初めて過ごしたが、肌を突きさすような寒さだ。
   針・フォーク・棒・楊枝・画鋲を のどに 胸・足・肉・天を ナイフで
   ぐさりと 鋭く 深く ぶすりと 言葉が胸を 叫びが耳を 冷気が肌を


ささる(刺さる)五(ささらない・ささります・ささって・さされば) 
[1]〔ものガ 所ニ〕
 △ささりそうだ  ささりにくい  ささってしまう  ささらないようにする
 △[深(ふか)く/浅(あさ)く/ブスッと/ぶっすり]~。
 △[針(はり)/とげ/釘(くぎ)/ナイフ/包丁(ほうちょう)/棒(ぼう)/ガラスの破片]が~。
 ・指(ゆび)にとげが刺さってしまい、なかなか抜(ぬ)けない。
 ・注射(ちゅうしゃ)の針が刺さりやすいようにうでの力を抜いて下さい。
 ・ガスの爆発事故(ばくはつじこ)があり、とびちったガラスの破片(はへん)がそばにいた人の顔(か
  お)や腕(うで)に刺さって、多くのけが人が出た。

<複合動詞:-ささる>
[つきささる] ものガ ものニ
 ・倒れていた男の胸にはナイフが突き刺さっていた。
 ・「あなたは卑怯です!」彼女の言葉が私の心に突き刺さった。
   針・矢・ガラス・視線・非難・一言一言・風・音・悲鳴が 壁・体・心に
   耳の奥・目・腹・肌に  冷たく 心の底深く 心臓にぐさりと~ひと言

[9] 絞る・練る
  対象に力を加えて、水分を取ったり、柔らかくしたり、回したりする動作を表す動詞。
  手で力を加えることが基本だが、ひゆ的に対人的・精神的な用法に使われることがある。

◇しぼる
  「絞る」は、(ぬれた)ものを強く握ったりねじったりして水分(液体)をなくすようにすること。不
要なものを取り去る場合と、有益なものを取り出す場合がある。ヲ格は、液体を含むものまたは液体
そのものを示す。
      人ガ ものヲ しぼる
    洗濯物・タオル・ぞうきん(の水)を 絞る   牛の乳・植物の油を 搾る
 ひゆ的に、出ないものを無理に出させること。
     知恵を絞る   頭を絞る
 人を叱ること、鍛えること。
   人ガ 人ヲ しぼる
       こってり絞られる  合宿・特訓で 絞る
 広がっているものを小さくまとめること。
    袖口を絞る  候補者の数を5人に絞る   議論の範囲を輸出の問題だけに絞る
 小さくすること。
    音量を絞る  レンズを絞る  弓を絞る
・複合動詞
 「絞り上げる」は、強く絞ること。ひゆ的に、人を強く叱ること。無理にたくさん金を出させるこ
  と。無理に大きな声を出すこと。
 「絞り込む」は、汁などをしぼって中に入れること。ひゆ的に、対象となる範囲を狭めていくこと。
 「絞り出す」は、中にあるものをしぼって出すこと。ひゆ的に、無理をしてやっと出すこと。
 「搾り取る」は、しぼって取ること。ひゆ的に、人から無理をして取り上げること。
 「引き絞る」は、弓に矢をつがえて弦を十分に引くこと。強く絞ること。無理に声を出すこと。
◇しめる
 「絞める/締める」は、周りから力を加えて強く押しつけること。ひゆ的に、たるんだ気持ちをな
くすことにも言う。
    腕で相手の首を絞める  気を締めて仕事にかかる
・複合動詞
 「締め上げる」は、強く締めること。ひゆ的に、厳しい態度で訓練したり、追及したりすること。
    首を締め上げる  両腕を縄で締め上げる  部下・容疑者を 締め上げる
 「絞め殺す」は、首を絞めて殺すこと。
 「締め付ける」は、固く締めること。比ゆ的に、精神的なこと、社会的なことにも言う。
    腕を締め付けられる  規則が精神を締め付ける    円高が経営を締め付ける
◇もむ
  「揉む」は、手のひらで強く押したりつまんだりこすり合わせたりすること。
   人ガ ものヲ もむ
       服を揉んで洗う  肩を揉む  キュウリを塩で揉む      手を揉む
 激しい上下動や回転で、ものを揺り動かす。
    みこしを揉む  波にもまれる船  人波に揉まれる  満員電車で揉まれる
 ひゆ的に、意見を十分に出して議論すること。世の中で苦労すること。
    原案をよく揉んで作り直す      世間の荒波で揉まれてきた
 勝負事で、相手を厳しく鍛えること。
      一丁揉んでやる
 慣用表現で、「気を揉む」は心配すること。
・複合動詞
 「もみ合う」は、大勢の人が入り乱れ押し合って争うこと。ひゆ的に、激しく議論すること。
 「もみ消す」は、火のついたものを揉んで火を消すこと。ひゆ的に、自分に都合の悪いことやうわ
  さが広まらないように、それを抑えてないことにしてしまうこと。
 「もみつぶす」は、揉んでつぶすこと。ひゆ的に、自分に都合の悪いことやうわさが広まらないよ
  うに、それをないことにしてしまうこと。
 「もみほぐす」は、堅くなったものを揉んで柔らかくすること。精神的なことにも言う。
◇ねる
  「練る」は、粗いもの、固まっているものなどを、混ぜたり叩いたり、水を加えたり温めたりして、
柔らかく粘りけのあるものにすること。
      人ガ ものヲ ねる
    あん・セメント・薬を 練る   
 ひゆ的に、いろいろ工夫して、未完成なものをよりよいものにすること。
       案・計画・対策・文章を 練る  腕・人格を 練る
 また、(人に見せるため)列を整えてゆっくり歩くこと。
・複合動詞
 「練り上げる」は、よく練って、よく仕上げること。
 「練り合わせる」は、二つ以上のものを練って混ぜ合わせること。
 「練り歩く」は、行列を作ってゆっくり歩くこと。
 「練り固める」は、よく練って固くすること。
 「練り込む」は、中に混ぜ入れて練ること。
 「練り直す」は、もう一度よく練ること。ひゆ的に、考え直してよいものにしようとすること。
◇ひねる
  「捻る」は、指でものをつまみ、回すこと。体の部分を少し回すこと。 
   人ガ ものヲ ひねる
    つまみ・蛇口を ひねる     首・胴・腰を ひねる  相手の腕をひねる
    階段で足をひねる(傷める)
 考え、工夫して何かをすること。慣用表現で、「頭をひねる」は、あれこれ考えること。「首をひ
ねる」は、考え込むこと、疑問に思うこと。
    俳句をひねる  ひねった試験問題  その話を聞いて首をひねった
 相手をかんたんにやっつけること。
    軽くひねられた
・複合動詞
  「ひねり出す」は、いろいろと頭をひねって考え出すこと。無理に工面して費用を作り出すこと。
 「ひねりつぶす」は、ひねってつぶすこと。かんたんに相手をやっつけること。


しぼる(絞る・搾る)  五(しぼらない・しぼります・しぼって・しぼれば・しぼろう)
[1]〔人ガ (ものカラ) ものヲ〕
 △しぼってみる  しぼっておく  しぼってやる  しぼらなくてはならない  しぼれない
  しぼろうとする  しぼられる  しぼれ!  しぼるな!
 △[軽く/きつく/ぎゅっと/ぎゅうぎゅう/できるだけ/徹底的(てっていてき)に]~。
  △[ぞうきん/ふきん/シャツ]を~。[牛乳/ミルク/油(あぶら)/水]を~。
  ・手でタオルをよく絞って干した。
 ・サトウキビを搾って、甘い汁(しる)を飲んでみた。
 ・機械でゴマから油を絞るところを見学した。
 ・牛の乳(ちち)を搾ったことがありますか。なかなか搾りにくいものですよ。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
  △[学生/選手(せんしゅ)/後輩(こうはい)/新入社員(しんにゅうしゃいん)]を~。
 ・こんどの新人は有望(ゆうぼう)だから、しっかり絞って鍛(きた)えてやろう。
 ・若いころ、先輩(せんぱい)にみっちり絞られたおかげで、一人前になれた。
 △[テレビの音/音量(おんりょう)/ボリューム]を~。
 ・ちょっとうるさいから、少しボリュームを絞ってくれない?
 ・少し音を絞らないと、音が割れてしまって聞きづらい。
 ・こういう明るさのときは、少し光を絞って撮るといい写真が撮れるんだよ。え? カメラが自動
  絞りだって? それじゃだめだよ。手動(しゅどう)で絞らないと。
  △[頭/知恵(ちえ)]を~。
 ・暑いときにいくら頭を絞ってみても何も出てこない。ビールでも飲もう。
 ・こういう大事なときに知恵を絞らないで、いつ絞るんだよ。
[3]〔人ガ ものヲ (ものニ)〕
 △[候補者(こうほしゃ)/人数(にんずう)/範囲(はんい)/目標(もくひょう)]を~。
 ・候補者をたくさん立てると、共倒(ともだお)れになるから、少し数を絞ろう。3人に絞るか?
 ・議論(ぎろん)が錯綜(さくそう)してきましたね。少し問題を整理(せいり)して、論点(ろんてん)
  を絞りましょう。
 ・持ち物は最小限(さいしょうげん)に絞ること。
 ・今回は目標を予選突破(よせんとっぱ)に絞る。その後のことは考えていない。
 ・ターゲットを女性に絞った新製品(しんせいひん)を開発(かいはつ)します。

<複合動詞:しぼり->
[しぼりあげる] 人ガ もの・人ヲ
 ・政府は国民から税を絞り上げて、ムダなことに使っている。
 ・最近、練習がだらけている。今日は部員を徹底的に絞り上げてやろう。
 ・精一杯声を絞り上げ、学校のチームを応援した。
   明鏡:洗濯物を 声を~て応援する 容疑者を 人民から税を 小学館:宿題で生徒を
[しぼりこむ] 人ガ ものヲ
 ・何もかもやろうとせず、課題を絞り込んで、それに集中したほうがいい。
 ・区域を絞り込んで、徹底的に調査することに決定した。
   候補・重点課題・候補・区域・雇用・消費・対象・投資・貸し出し・案件を
[しぼりだす] 人ガ ものヲ
 ・けちな姉は、平たくなったチューブからさらに歯磨きをしぼり出そうとしている。
 ・カラカラになったのどから何とか声を絞り出して、助けを呼んだ。
 ・新商品の開発は、いかに多彩なアイデアを絞り出すかにかかっている。
   アイデア・汗・歯磨き・声・体力・力・知恵・妙案を のどから 腹の底から
[しぼりとる] 人ガ 人カラ ものヲ
 ・政府は国民から税金を搾れるだけ搾り取ろうとしているかのようだ。
 ・毎日運動をしてぜい肉を搾り取りたいのだけれど、その後のビールがうまくて、、。
      汗・金・税金・相当な金額・血を 絞れるだけ
<複合動詞:-しぼる>
[ひきしぼる] 人ガ ものヲ 
 ・ゆみを思いきり引きしぼった。
 ・中年になってゆるんできた体をきりりと引き絞りたいところです。
   手綱・弓・体・気持・下腹部を きりりと 満々と


しめる(絞める)一(しめない・しめます・しめて・しめれば・しめよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △しめたい  しめてやる  しめてはいけない  しめようとする  しめられる
 △[きつく/強く/しっかり/かたく/思いきり/力を入れて]~。
 ・子どもの時、冗談(じょうだん)で友だちの首を絞めたら気を失ってしまい、おおさわぎになった。
  ・こんどの仕事は大変そうだ。気を締めてやらないといけない。
 ・人の首を絞めて殺(ころ)すことを絞殺(こうさつ)という。
<複合動詞:しめ->
[しめあげる] 人ガ 人ヲ 
 ・酔っぱらいがからんできたので、柔道のわざでちょっと締め上げてやった。
 ・容疑者が本当のことを言わないので、時間をかけて締め上げたら、とうとう話し始めたよ。
   首・首の根・腕・胴・のど・胸ぐらを 犯人を ウエストを きりきりと
[しめころす] 人ガ 人ヲ 
 ・あのやろう、いつか絞め殺してやる! 
 ・店の主人は何者かに絞め殺されたらしい。 
      女・首・人間・猫・娘を ネクタイで ひもで 両手で
[しめつける] 人ガ ものヲ 
・器械のネジがゆるんでいたので、強めに締め付けておいた。
・あいつら、最近少したるんでいる。少し締め付けてやらないといけない。
    頭・頭の周り・胃・腕・体・首・首筋・腰・自分・胴・のど・腹を ひもで


もむ(揉む)  五(もまない・もみます・もんで・もめば・ももう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △もんでおく  もんだほうがいい  もむべきだ  ももうとする  もまれる  もめ!
 △[軽く/強く/しっかり/徹底的(てっていてき)に/ぎゅっぎゅっと/力を入れて]~。
  △[足/腰(こし)/肩(かた)/体/手/首]を~。
  ・シャツのシミの付いた部分を水につけて、かるく指で揉みます。
 ・ちょっと肩をもんでくれないか。
 ・若い人は社会の中でもまれて、一人前になっていく。
 ・キュウリを塩で揉んで、冷蔵庫(れいぞうこ)で冷やすとうまいんだよね。
  ・大きな波にもまれる船の中で、私たちは生きた心地(ここち)がしなかった。
 ・毎朝毎朝、満員(まんいん)電車でもまれて、職場(しょくば)に着く前にもう疲(つか)れている。
 ・彼女は若い時から苦労(くろう)をし、世の荒波(あらなみ)の中でもまれてきた人だ。
 ・この企画案(きかくあん)はまだまだだな。会議で徹底的(てっていてき)にもんだほうがいい。
〔気をもむ〕
 ・親がいくら気をもんでもしかたがないね。試験を受けるのは子どもなんだから。
 ・子どもたちの見合いのあと、親たちはうまく行くかどうか気を揉んでいた。
[2]〔人ガ 人ヲ〕
 ・軽くもんでやろうか。
 ・一丁(いっちょう)もんでやるから、あとで道場(どうじょう)へ来い。

<複合動詞:もみ->  
[もみあう] 人・ものガ 人・ものト
 ・国会前でデモ隊と警官隊がもみ合っている写真がある。この日一人の女子学生が死んだ。
 ・大通りで御輿がもみ合っているのを眺めていた。威勢がいいなあ。
   御輿が 群れ・酔っぱらいが  かっとして ひとしきり 
[もみけす] 人ガ ものヲ 
 ・枯れ草に火が移ったので、あわててもみ消した。
 ・内部の紛争が外に漏れそうになったが、うまくもみ消した。
   葉巻・煙草を 事件・スキャンダル・悪事・訴え・言葉・不安を あわてて
[もみつぶす] 人ガ ものヲ
 ・満員電車でもみつぶされそうになった。
 ・会社の上層部が事件をもみつぶしたという噂だ。
[もみほぐす] 人ガ ものヲ 
 ・肩こりがひどかったので、マッサージを頼んでもみほぐしてもらった。
 ・脳の疲れをもみほぐしてくれるような、夢のある小説が読みたい。
   体・こり・しこり・全身・つま先・気分・こったところを 丹念に


ねる(練る)  五(ねらない・ねります・ねって・ねれば・ねろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ねっておく  ねったほうがいい  ねらなければならない  ねろうとする  ねろ!
 △[ゆっくり/じっくり/しっかり/力を込めて/十分に/慎重(しんちょう)に]~。
  △[甘(あま)いあん/水あめ/粘土(ねんど)/案(あん)/計画(けいかく)/作戦(さくせん)]を~。
 ・お母さんが煮(に)た小豆(あずき)をつぶしてあんを練り始めた。おはぎを作るのかな?
 ・職人(しょくにん)が砂糖(さとう)を溶(と)かしてあめを練っている。おいしそうだ。
 ・粘土を練りながら、どんな動物を作ろうか考えた。
 ・この案は練りが足りないね。もっとよく練ってから出すように。
  ・選挙参謀(せんきょさんぼう)が選挙対策(たいさく)を綿密(めんみつ)に練っている。
 ・監督(かんとく)とコーチが次の試合(しあい)の作戦をじっくり練ろうと言いながら、ビールを飲
  み始めた。こりゃだめだ。
[2]〔ものガ 所ヲ〕
 ・祭(まつ)りの行列(ぎょうれつ)が町を練って歩いている。

<複合動詞:ねり->
[ねりあげる] 人ガ ものヲ 
 ・練り上げた計画書を出したが、上司がバカで、そのよさをまったく理解しなかった。
 ・この小説の練り上げられた文体は、一度読んだら忘れられないものだ。
   企画・計画・公約・策・作戦・政策・プラン・マニフェストを 綿密に
[ねりあるく] 人・ものガ 所ヲ
 ・大きな祭りの山車(だし)が、大通りをゆっくりと練り歩いている。
 ・いくつもの提灯行列が市中を練り歩いていた。
[ねりあわせる] 人ガ ものヲ ものト
 ・小豆のあんと、ソラマメのあんを練り合わせてこれまでにない味を作り出しました。
 ・何色かの絵の具を練り合わせて、微妙な色合いを出してみた。
 ・役所の原案と、住民からの提案、この二つの案を練り合わせて、最高の案を作りたい。
[ねりかためる] 人ガ ものヲ
 ・練り固めた和菓子は、初めはちょっと取っつきにくいが、なかなかいい味だ。
 ・じっくり練り固めたプランだから、多少批判されてもびくともしない。
[ねりこむ] 人ガ ものヲ
 ・各種のスパイスを練り込んだ、ちょっと刺激的なパイ生地ができました。
 ・今回の計画には、いろいろと新しいアイデアが練り込んである。
[ねりなおす] 人ガ ものヲ
 ・粉がよくなじんでないようだ。もっとじっくり練り直さないといけない。
 ・この案はちょっと詰めが甘いところがある。もう一度練り直したほうがいい。
      案・計画・策・人生・戦略・プランを


ひねる(捻る)  五(ひねらない・ひねります・ひねって・ひねれば・ひねろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ひねりたい  ひねってみる  ひねってはいけない  ひねろうとする  ひねるな!
 △[軽く/ちょっと/強く/乱暴(らんぼう)に/うっかり/何度も/思いきり]~。
  △[スイッチ/つまみ/ドアノブ/コック/水道(すいどう)の栓(せん)/蛇口(じゃぐち)]を~。
  [腰(こし)/上体(じょうたい)/上半身(じょうはんしん)/足首(あしくび)]を~。
  ・水道の栓を左にゆっくりひねった。
 ・スイッチをひねると、あかりがついた。
  ・そのつまみをちょっと右にひねってみてください。
  ・太い針金をペンチでひねって、丸い輪(わ)を作った。
 ・腰をひねって後ろを見た。
 ・サッカーで足首をひねってしまった。(足首を痛める)
  ・あの大学は、入試(にゅうし)にひねった問題を出す。
〔頭をひねる/首をひねる〕
 ・どうやってあの上司(じょうし)を納得(なっとく)させるか、我々は頭をひねった。
 ・難しい問題に彼は首をひねっていた。
  ・その話を聞いて彼女は首をひねった。どうも怪(あや)しい話だ。何か裏(うら)がある、、、。
[2]〔人ガ 人ヲ〕
  ・あんなやつはかんたんにひねってやるよ。
 ・勢(いきお)い込んで向かっていったが、軽くひねられてしまった。

<複合動詞:ひねり->
[ひねりだす] 人ガ ものヲ 
 ・何か新しいアイデアをひねり出そうとしてあれこれ考えているが、何も出てこない。
 ・今の苦しい状況の中で、新事業の財源をどうやってひねり出せばいいのか。
   金・財源・時間・生活費・題名・知恵・適当な名前・奇策・筋書きを
[ひねりつぶす] 人ガ ものヲ 
 ・幼稚園の男の子が、粘土の小さな玉を指でひねりつぶして見せた。なぜ男は自分の力を誇示した
  がるのだろう?
 ・今日の試合は負けてしまったが、今度戦うときは相手をひねりつぶしてやる。
   虫けら・ニキビ・悪党・蛆・提案・敵を 指先で ひとつまみに

[10] 踏む・蹴る 
  足を使ってものに力を加える動作。「踏む」は下へ向けて力を加えること。「蹴る」は力を加える
こと、及びそれによってものを動かしたり、飛ばしたりすること。

◇ふむ
  「踏む」は、足で何かの上に乗り、下に強く押しつけること。
   人ガ ものヲ 踏む
    地面・たたみ・人の足を 踏む  背中を踏まれる  アクセルを踏む
  その地へ行くこと。文学的な表現。
    故郷の土を踏む
 一つ一つのことを実際に行うこと。
        手続き・段階・手順を 踏む   場数・経験・初舞台を 踏む
 慣用的な表現が多い。
    どじを踏む  二の足を踏む  前車の轍を踏む  薄氷を踏む思い
    地団駄を踏む  たたらを踏む      韻を踏む
 引用の「と」をとって、数量や状況を推測すること。
   人ガ ものヲ ものト ふむ
    およそ2百万円と踏む   開始は2時間遅れると踏んでいた
・複合動詞
 「ふみ-」の形のものが多い。音が変化して「ふん-」の形のものがある。話しことば。ひゆ的に、
  精神的な内容を表すためにも使われるものが多い。
 「踏み荒らす」は、ある場所に入り込み、足で踏みつけてめちゃめちゃにすること。
 「踏み入れる」は、足を踏み出して(初めて)ある場所に入ること。「足を~」の形が多い。
 「踏み固める」は、足で踏んで固めること。
 「踏み消す」は、足で踏んで消すこと。
 「踏みしめる」は、力を込めてしっかり踏むこと。踏んで固めること。
 「踏み倒す」は、踏みつけて倒すこと。ひゆ的に、代金・借金を払わずにすますこと。
 「踏み散らす」は、踏んで(整っていたものを)散らすこと。
 「踏み鳴らす」は、床などを勢いよく踏んで音を立てること。
 「踏み均す」は、土などを足で踏んで平らに固めること。
 「踏み抜く」は、強く踏んで床などを破ること。釘などを踏んで、足に突き刺すこと。
 「踏み破る」は、強く踏んで破ること。
 「踏み分ける」は、木の枝や草をかき分けたりしながら進むこと。
 「ふんぞり返る」は、威張って胸を反らすようにすること。(「踏み」+「反り返る」から)
・ひゆ的に精神的なことにも使われるもの
 「踏み切る」は、跳び上がるために地面を強く踏むこと。ヲ格をとる。ひゆ的に、思い切って何か
  をすること。対象のニ格をとる。
    強く踏み切ってジャンプする  解散・行動・捜査・逮捕に 踏み切る
 「踏み越える」は、何かの境を(踏んで)過ぎること。ひゆ的に、困難などを押し切って進むこと。
    垣根を踏み越える  困難・限界を 踏み越える
 「踏み込む」は、奥まで(強く)踏むこと。入るべきでない所、入りにくい所へ入っていくこと。あ
  る所に予告なく、強引に入ること。ひゆ的に、物事の深いところまで考えること。
    もう一歩踏み込んで打つ  ブレーキを踏み込む  警察が暴力団の事務所に踏み込む
    心の中・聖域・秘密・プライバシーに 踏み込む
 「踏み出す」は、片足を前に出して踏むこと。境界から足を外に出すこと。ひゆ的に、新しいこと
  に(思い切って)取りかかること。
    境界線から足を踏み出す  第二の人生・新しい世界に 踏み出す
 「踏みこたえる」は、足を踏ん張ってこらえること。ひゆ的に、がんばってこらえること。
    土俵際で踏みこたえる  苦しみの中で踏みこたえる
 「踏ん張る」は、開いた足に力を入れて倒れまいとすること。ひゆ的に、がんばってこらえること。
    押されても踏ん張る  9回裏のピンチを踏ん張る
 「踏みつける・踏んづける」は、強く踏んで押さえつけること。ひゆ的に、人の気持ちを軽視・無
  視して傷つけるような行動をとること。「踏んづける」は話しことば。
    草を踏みつける  人・人の心・気持ち・信頼を 踏みつける
 「踏みつぶす」は、踏んでつぶすこと。ひゆ的に、人の気持ちなどについても言う。
    箱を踏みつぶす  気持ち・希望を 踏みつぶす
 「踏みとどまる」は、踏ん張って、その場所にとどまること。ひゆ的に、そうしたくてもじっとこ
  らえてしないこと。
    へやに踏みとどまる  逃亡・自殺を 踏みとどまる
 「踏みにじる」は、踏みつけてつぶし、荒らすこと。ひゆ的に、人の気持ちなど精神的なものをひ
  どく傷つけること。
    タバコの吸い殻を踏みにじる  人の好意・親切・思い出を 踏みにじる
 「踏み外す」は、踏むべき所を間違えること。ひゆ的に、道徳的に外れた行いをすること。
    はしごを踏み外して落ちる   本道を踏み外す
 「踏み迷う」は、道に迷うこと。ひゆ的に、悪いことをしてしまうこと。後者はニ格をとる。
        道を踏み迷う   悪の道に踏み迷う
◇ける
 「蹴る」は、足を強くぶつけ、力を加えること。あるいは、それによって物を飛ばすこと。
   人ガ ものヲ 蹴る
    ドアを蹴る  ボールを蹴る  足を蹴る   
  ひゆ的に、相手の提案・要求などを聞き入れないことを表す。
    提示・要望・依頼を 蹴る
・複合動詞:「けり-」の形と、「ける」の古い活用である「下一段」の活用形「け-」によるもの
がある。どちらを使うかはそれぞれの動詞による。「けっ-」は「けり-」の音変化。 
 「蹴り上げる」は、足で蹴って上へ飛ばすこと。上の方へ蹴ること。
 「蹴り入れる」は、蹴ってある場所に入れること。
 「蹴り返す」は、(来たものを)蹴って元のほうへ返すこと。蹴った相手を蹴ること。
 「蹴り込む」は、蹴って中へ入れること。
 「蹴り殺す」は、蹴って殺すこと。
 「蹴り出す」は、蹴って外へ出すこと。
 「蹴りつける」は、強く蹴ること。
 「蹴落とす・蹴り落とす」は、蹴って下へ落とすこと。ひゆ的に、競争相手を失脚させること。
 「蹴倒す・蹴り倒す」は、蹴って倒すこと。ひゆ的に、借金を返さずにすますこと。
 「蹴散ら(か)す」は、蹴って散らすこと。追い散らすこと。
 「蹴つまずく」は、「つまずく」の強調表現。
 「蹴飛ばす・蹴り飛ばす・けっ飛ばす」は、蹴って飛ばすこと。ひゆ的に、はねつけてとりあわな
  いこと。「けっ飛ばす」は、俗語的表現。
 「蹴破る」は、蹴って破ること。敵を負かすこと。

ふむ(踏む)五(ふまない・ふみます・ふんで・ふめば・ふもう) 
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △ふみそうになる  ふんでしまう  ふんでみる  ふんでもかまわない  ふんではいけない
  ふまないように  ふもうとする  ふませる  ふまれつづける 
 △[かるく/つよく/力を入れて/かた足で/両足(りょうあし)で/ぎゅっと/ぎゅうぎゅう]~。
  [しんちょうに/こわごわ/おそるおそる/気をつけて]ふんでみる
 △[土/地面(じめん)落葉(おちば)//木の床(ゆか)/たたみ/海辺(うみべ)の砂]を~。
  [舞台(ぶたい)/故郷(こきょう)の土/場数(ばかず)]を~。
 ・電気のコードを踏まないように気をつけて。
 ・人の足を踏んだのに、あやまらないのか。
 ・さくさくと新しい雪を踏んで歩く。
 ・寝ていた妻(つま)の足を踏みそうになった。あぶない、あぶない。踏んだら私の命はない。
 ・足を踏まれた痛(いた)みは、踏んだ者にはわからない。
 ・踏まれても踏まれても、雑草(ざっそう)はまた起きあがって伸びてくる。
 ・落葉(おちば)を踏みながら、ゆみ子さんとさんぽしたことを思い出した。
 ・道に小さなクモがいたので、踏もうとしたが、かわいそうに思って踏まずに通り過ぎた。
 ・4才の時にはじめて舞台を踏んでから今年で36年になります。
 ・仕事というものは、場数を踏んで(=いろいろと経験(けいけん)して)慣(な)れていくものだ。
 △[手続(てつづ)き/手順(てじゅん)/順序(じゅんじょ)]を~。
 ・学校のテニスコートはちゃんとした手続きを踏んでから(=手続きをしてから)使ってください。
 ・新しい事業を始めるには、きちんと手順を踏まないと後で問題が起こりやすい。
[2]〔人ガ もの・文ト〕
 ・初めは1万円と言われたが、相場(そうば)は5千円と踏んで値段の交渉(こうしょう)を始めた。
 ・多くの人は実現(じつげん)不可能(ふかのう)と踏んでいたようだが、我々(われわれ)はあきらめ
  ず、とうとう夢(ゆめ)を実現した。
 ・昨日の態度から見て、あいつは今日は来ないだろうと踏んでいたのだが、あいにく来やがった。

<複合動詞:ふみ->
[ふみあらす] 人ガ ものヲ 
 ・公園の花壇(かだん)が心ない人々に踏みあらされてしまった。
 ・たいせつな畑(はたけ)を踏みあらす人がいる。こまったことだ。
   庭のあちこち・生活・証拠・手掛かりを 胸の中を 土足で 乱暴に
[ふみいれる] 人ガ ものヲ  
 ・店の中に足を踏み入れると、気持ちの良い香りが漂っています。
 ・子どもがこんな所へ足を踏みいれてはいけないよ。
   足を 室内・敵地・泥沼・湿原・悪路・村・学問の道に 第一歩を 一足 
[ふみかためる] 人ガ ものヲ 
 ・花壇の回りの土を踏み固めて、歩きやすくした。
 ・踏み固められた雪が夕べの間に凍(こお)って滑(すべ)りやすくなっている。
   草・土・道・雪を
[ふみきる] 人ガ ものニ
 ・踏切版を思いきり踏み切って、高くジャンプした。
 ・検察(けんさつ)は強制捜査(きょうせいそうさ)に踏みきった。
 ・P社はこの製品(せいひん)の開発(かいはつ)に踏みきった。
   地面を 一本化・攻撃・開催・解散・開戦・中止・強硬手段・強制捜査・緊急輸入・結婚・
   公的資金投入・原発廃止・行動・公表・告訴・採決・衆院解散・上訴・処分・スト・増税・
   総選挙・逮捕・懲戒処分・導入・別居・利下げ・量産に 
[ふみけす] 人ガ ものヲ 
 ・たき火の火がそばの枯(か)れ草に燃え移り、あわてて踏み消した。
 ・浜辺(はまべ)の砂の上に描(か)いた絵(え)が、走り回る子供たちの足で踏み消されていった。
   吸い殻・煙草・火を 火のついた書類を
[ふみこえる] 人ガ ものヲ 
 ・ベーさんは、さまざまな困難(こんなん)を踏みこえて勉強をつづけた。
 ・くるしみもかなしみも踏みこえて、きょうまで生きてきました。
   垣根・ドア・材木・人・限界・一線を 
[ふみこたえる] 人ガ 
 ・階段で人にぶつかられ、落ちそうになったが何とか踏みこたえた。
 ・くるしくても、そこで、ぐっと踏みこたえれば、人は強くなれる。
   ぎりぎりで 何とか あぶなく
[ふみこむ] 人ガ ものニ
 ・この研究は、もう一歩踏みこむと良いものになるのだがなあ。
 ・警察(けいさつ)がその家に踏みこんだ時には、犯人(はんにん)はもうにげていた。
   警官・警察が アクセル・足・ブレーキ・ペダルを 家・確信・内容・心に
   聖域・敵地・泥沼・迷路に 一歩 一足 ぐいと 土足のまま ~だ判断・質問
[ふみしめる] 人ガ ものヲ 
 ・早く足のけががなおって、この足で大地(だいち)を踏みしめて歩けるようになるといいのだが。
 ・やっと国に帰れた。自分の国の土(つち)を踏みしめる気持ちはなんともいえないものだ。
   草・地面・砂利・足場・石段・落ち葉・枯れ葉・草・大地・床・砂浜を
[ふみたおす] 人ガ ものヲ 
 ・借金(しゃっきん)を踏みたおされた。
 ・アパートの家賃(やちん)を踏みたおして引っ越してしまった。
 ・レストランでごはんを食べて、お金をはらわないことを「飲食代(いんしょくだい)を踏みたおす」
  と言う。
   花・秋草・勘定・借金・部屋代・料金・五百万円・前借りの金を
[ふみだす] 人ガ ものヲ
 ・この時、人類(じんるい)は宇宙(うちゅう)時代へ第一歩(だいいっぽ)を踏み出した。
 ・わたしも、ことし社会人としての第一歩を踏み出しました。よろしくおねがいいたします。
   足・片足・ステップ・第一歩・第二の人生・坂道・運命を おもむろに
[ふみちらす] 人ガ ものヲ
 ・花壇の花が踏み散らされていた。誰がこんなひどいことをしたんだろう。
 ・境内の砂利を踏み散らして馬が駆けていった。
[ふみつける・ふんづける] 人ガ ものヲ 
 ・ぼうしを落としたら、そこを通った人に踏みつけられてしまった。
 ・おや、今なにかへんな物を踏んづけたぞ。
 ・彼は、他の人を踏みつけるようにして、出世(しゅっせ)していった。
   足・頭・石・靴・背中・腹・影・草・コード・煙草・箱・メガネ・紙くずを 乱暴に 強く
 ◇「踏んづける」は「踏みつける」が音変化した形。
[ふみつぶす] 人ガ ものヲ 
 ・子どものおもちゃを踏みつぶしてしまった。どうしよう。
 ・小学生がチョウを捕まえて踏みつぶしている。相当ストレスがたまっているんだろう。
 ・彼女の純真な気持ちを踏みつぶすようなことはするな。
   靴の踵を 帽子・花壇・蝶・望み・気持ちを  牛・馬・象に踏みつぶされる 
[ふみとどまる] 人ガ (所ニ)
 ・こわくてにげ出したい気持ちをやっとおさえて、踏みとどまった。
 ・仕事がとてもつらいので、どの人も2年とこの職場(しょくば)に踏みとどまろうとしない。
 ・すべてに絶望し、自殺も考えたが何とか踏みとどまった。
   土地・元の場所・都に 必死に かろうじて 狂気の一歩手前で
[ふみならす] 人ガ ものヲ 
 ・聴衆(ちょうしゅう)は、手をうち、足を踏み鳴らした。
 ・我々は床を踏みならすことで、反対の意志を表した。
   足・落ち葉・階段・下駄・地面・ハイヒール・床・廊下を どんどんと
[ふみならす] 人ガ ものヲ 
 ・あなをうめたあとはよく踏み均しておいてくださいね。
 ・みんなが歩きやすいように道の雪を踏みならした。
   地面・グラウンド・新雪・雪を
[ふみにじる] 人ガ ものヲ 
 ・あの人は、人の厚意(こうい)を踏みにじっておいて平気なのだ。
 ・こどもの純粋(じゅんすい)な気持ちを踏みにじる大人が多い。
   草・花・煙草・マッチを 気持ち・イメージ・思い・憲法・志・女性・青春・世論・尊厳・
   願い・真心・約束・夢・ルールを 土足で ずたずたに ~られる
[ふみぬく] 人ガ ものヲ 
 ・板切(いたき)れから出て開いたくぎを踏みぬいてしまった。
 ・おおぜいでおどりをおどっていたら、とうとう、ゆかを踏みぬいてしまった。
   足・釘・底・床・床板を
[ふみはずす] 人ガ (ものカラ) ものヲ 
 ・階段(かいだん)から足を踏みはずして下までおちてしまった。
 ・あの男は、いつのまにか、人の道を踏みはずしてしまったのだ。
   足・階段・はしご・踏み板・本道・法則・民主主義の原理・枠・正しい道を
[ふみまよう] 人ガ 
 ・山の中で道を踏み迷って、ふもとに降りられなくなってしまった。
 ・ふとしたことから悪の道に踏み迷い、警察のご厄介になるような人生を歩んできた。
   道を 森に 雪に  悪の道に
[ふみやぶる] 人ガ ものヲ
 ・敵方の軍勢は竹垣を踏み破って切り込んできた。
 ・若者よ、古い世界を踏み破る気概を持って進んでゆけ。
   竹垣・世界を 
[ふみわける] 人ガ ものヲ 
 ・わたしたちは、山道(やまみち)を踏み分けてすすんだ。
 ・こんな山道を踏み分けて、はるばるわたしの家へ来てくださってありがとうございます。
   アクセルとブレーキを  草の根・やぶ・雪道を~て進む 屍の間を
[ふんばる] 人ガ ものヲ
 ・押されて倒れそうになったが、足を踏ん張ってこらえた。
 ・テスト期間もあと二日。もう少し踏ん張れば終わりだ。がんばろう。
 ・犬がまじめな顔をして足を踏ん張っている。どうしたんだろう。ああ、そうか。
   脚・四肢・両足を 後ろ足を 必死に 一生懸命 力一杯 腰を落として 最後まで
[ふんぞりかえる] 人ガ ものニ
 ・昔は近所の悪ガキだった男が、今では大臣の席にふんぞり返っている。笑っちゃうね。
 ・選挙の時はペコペコ頭を下げ、当選すると急に偉そうにふんぞり返る。いつも同じだ。
   椅子に 席に ソファーに 傲然と


ける(蹴る)五(けらない・けります・けって・ければ・けろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △けりたい  けってほしい  けってもらう  けってみる  けってはいけない
  けらなくてはいけない  けろうとする  けらせる  けられる  けれ! けるな!
 △[強く/ひどく/思いきり/力いっぱい/何度も/くりかえし/正確(せいかく)に]~。
 △[ボール/足/じめん/大地(だいち)]を~。
 ・子どもがサッカーボールを大きく蹴った。
 ・けさ、こんだ電車の中で足を蹴られた。わたしは足をふんでやった。
 ・じゃあ、あのとき私が蹴ったのはあなたの足だったのか。
 ・P国はQ国の提案(ていあん)を蹴った。(=ことわった)
 ・会社が組合(くみあい)の要求(ようきゅう)を蹴った(=うけいれなかった)ので、組合はストライ
  キに入った。
 ・おおぜいの学生が一人の学生になぐる蹴るの乱暴(らんぼう)をはたらいた。
 ・「人の恋路(こいじ)をじゃまするやつは、うまに蹴られて死ねばよい。」
 ・大事な場面でペナルティキックを蹴らせてもらった。

<複合動詞:けり->
[けりあげる] 人ガ 人・ものヲ
 ・子供が数人、厚く積もった落ち葉を蹴り上げて遊んでいる。
 ・やつの腹を蹴り上げ、倒れそうになったところをもう一度ひざで蹴り上げてやった。
   あご・足・下腹部・腹・人・向こうずね・胸を 落ち葉・土を
[けりいれる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・兄はボールを踏みそうになり、「この野郎!」と机の下に蹴り入れた。
 ・目の前にボールが転がってきたので、軽くゴールにけり入れた。
 ・空き缶をくずかごに蹴り入れようとしたら、そばにいた犬にあたって、、、大変だった。
[けりかえす] 人ガ ものヲ
 ・ゴール前に転がってきたボールをハーフラインまで蹴り返した。
 ・足を蹴られたので、腹が立って、思いきり蹴り返した。
[けりこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・ディフェンスをかわし、シュートを相手のゴールにけりこんだ。
 ・子どもたちがあたりに転がっている石を一つ一つ溝にけりこんでいる。
   石を ベッドの下に 溝に 
[けりころす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・闘牛士が牛に蹴り殺されてしまった。
 ・キリンはライオンを蹴り殺すほどのキック力があるという。
[けりだす] 人ガ ものヲ
 ・キーパーはくやしそうにゴールに入ったボールを蹴り出した。
 ・軽く左足を前に出し、右足を大きく蹴りだします。
[けりつける] 人ガ ものヲ
 ・殴られて倒れたところを蹴りつけられた。
 ・胸を踵でけりつけられ、一瞬息ができなかった。
[けおとす・けりおとす] 人ガ 人ヲ
 ・今の社会では、人を蹴落として行くぐらいの気持ちがないと、上へ上がれない。
   他人を 同僚・仲間を
[けたおす・けりたおす] 人ガ 人・ものヲ
 ・「こんな店には二度と来るもんか!」そう言って男はいすを蹴倒して出ていった。
   いす・桶・戸・踏み台・ポリバケツを
[けちら(か)す] 人ガ ものヲ
 ・重戦車のようなその選手は、相手チームの選手を蹴散らして進んでいった。
 ・勇者は敵軍を蹴散らして、敵の大将を討ち取った。
   石ころ・落ち葉・寂しさ・砂・土・敵・敵軍・雪・男・霧を 
[けつまずく] 人ガ 人ものヲ
 ・石にけつまずいて派手に転んだ。
   石・いす・岩・草の根に いやというほど 
[けとばす・けりとばす・けっとばす] 人ガ ものヲ
 ・酔っぱらいが吠えかかってきた犬を蹴飛ばした。
 ・くらくてよく見えなかったので、クズカゴを蹴り飛ばしてしまった。
 ・そんなむちゃな話は蹴っとばして(=ことわって)しまえ。
   空き缶・掛け布団・壁・尻・ドア・猫・本の山を マンネリズム・身分差を
[けやぶる] 人ガ 人ものヲ
 ・兵隊たちはドアを蹴破って中に入った。
   ガラス・戸・ドア・障子・窓を
▽「けおとす」「けとばす」などは、「ける」の古い活用である「下一段」の活用形「け-」による
 複合動詞。「けっとばす」は「けりとばす」の音変化。

[11] 投げる・ほうる
  手で力をかけて、ものを遠くへ飛ばすこと。「投げる」は、あるところへ向けて飛ばすこと。「ほ
うる」は、どこへ行くかはあまり重要でない。「投ずる」は、書きことばで、ひゆ的に使われる。
                 
◇なげる
 「投げる」は、手でものを飛ばすこと。対象の移動を表す。
 移動の始点と終点を表すカラ格と終点のニ/へ格をとる。範囲のマデ格も。
   人ガ ものヲ 所カラ 所ニ/へ/マデ 投げる
    二塁から一塁にボールを投げる  あの線まで石を投げる
 柔道などのスポーツでは、人が「人ヲ」投げる。
    横綱が大関を見事に投げた
 比喩的な用法で、「あきらめる」意や、抽象的なものを「投げる」用法がある。
    人生を投げてはいけない
    新説に対して疑問を投げた
 「タオルを投げる」は、(ボクシングなどで)自分の負けを認めること。
・複合動詞:「なげ-」の形のものが多くある。
 投げる方向を示すもの
  「投げ上げる」「投げ落とす:投げ下ろす」「投げ入れる:投げ込む」
 「-入れる/込む」は、ほぼ同じ意味。「-込む」のほうが少し強さがあり、乱暴な感じがある。
  また、「投げ込む」は、野球の投手が練習でたくさん投げることも表す。「-落とす/下ろす」
  では、「投げ下ろす」のほうが注意深さがある。
 「投げ合う」は、お互いに向かって、「投げ返す」は、そのものが来た方向へ逆に投げること。「投
  げつける」は、人・ものに向かって。
 「投げて~する」ことを表すもの
  「投げ与える」「投げ捨てる」「投げ倒す」「投げ飛ばす」「投げ勝つ」
  「投げ勝つ」は、野球の投手に関して言う。
 ひゆ的な「投げる」の使われ方
  「なげうつ」は、(大事なものを)捨てても惜しくないものとして差し出すこと。
 「投げ出す」は「外に向けて投げる」よりも、ひゆ的な意味で使われることが多い。投げるように
  (前に・乱暴に)出すこと、大切なものを惜しまないこと、途中でやめてしまうこと、などを表す。
    窓から投げ入れる  ?窓から投げ出す(ほうり出す)
    足を投げ出す  財産・身を投げ出して事に当たる  仕事・勉強を 投げ出す 
  また、「投げ始める」の意味でも使われる。
 「投げかける」は、投げてかけること。相手・離れたところに届かせること。問題などを提起する
  こと。投げようとすること。
    体に毛布を投げかける  街灯が光を街路樹に投げかける  視線・微笑を投げかける
    疑問を投げかける  ボールを投げかけて、やめる  
◇ほうる
 「ほうる」は、手でものを投げること。話しことば。ひゆ的に、ある物事を、(世話を)しなくてい
いものと見なしてそのままにしておくこと。「ほ(う)っておく」の形でよく使われる。
   人ガ ものヲ (所カラ) ほうる 
    ゴミを窓からほうる  子ども・仕事を ほうってテレビを見る
・複合動詞:「ほうり-」の形のものがある。
 ほうる方向を示すものに「ほうり上げる」「ほうり込む」「ほうり出す」がある。
 「ほうり出す」は、(乱暴に)ほうって出すこと。ひゆ的に、不要なものとして捨ててしまうこと。
  仕事などを(途中で)やめてしまうこと。
 「ほうり投げる」は、乱暴に投げること。
◇とうじる
 「投じる/投ずる」は、投げること、投げるように入れること。ひゆ的に、何かの途中でやめてし
まうこと。書きことば。名詞と組み合わさって、慣用的な表現が多い。
   人ガ ものヲ (ものニ) とうじる
    一票を投じる(投票する)  社会改革に私財を投じる(私的な金を使う)
        海に身を投じる(身投げする)  革命に身を投じる(革命運動に参加する)
    時流に投じる(時流に合うように行動する)  教育の議論に一石を投じる(持論を述べる)
        筆を投じる(書くのをやめる)
・スル動詞
  「投入する」は、投げ入れること。小さな口の開いている箱などの中に(落とすように)入れること。
  ひゆ的に、人力・私財などを(多く)そのことのために使うこと。
 「投票する」は、選挙・採決で、候補者の名前、あるいは賛成・反対を書いた紙を箱に入れるなど
  して、自分の考えを組織の運営に反映させること。


なげる(投げる)一(なげない・なげます・なげて・なげれば・なげよう) 
[1]〔人ガ 所・もの・人ニ ものヲ〕
  △なげたい  なげてみる  なげてはいけない  なげなければならない
   なげようとする  なげられる  なげさせる
  △[強く/軽く/思い切り/ちからいっぱい/さっと/ポイと/ビュッと]~。
 △[ボール/石(いし)/ビン/カン/テープ/槍(やり)/ゴミ/コイン]を~。
 ・中西くんはチームでいちばん速い球(たま)を投げる。
 ・もっと良い球(たま)を投げてくれよ。
 ・田中さん、そこにある私の上着(うわぎ)をちょっと投げてください。(私に)
 ・人に石など投げてはいけない。
 ・お客たちはステージの上の歌手(かしゅ)に(むかって)テープを投げた。
 ・市場(いちば)の店員(てんいん)はおつりを投げてよこした。(私に)
 ・恋人(こいびと)ふられたのをかなしんで、ひろ子は、川に身(み)を投げて(=とびこんで)死んで
  しまった。
 ・通りにはほかに人かげもなく、街灯(がいとう)があわい光を投げているばかりだった。(通りに)
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[相手(あいて)/横綱(よこづな)/去年の優勝者(ゆうしょうしゃ)]を~。
  [試合(しあい)/試験(しけん)]を~。タオルを~。
 ・弱い相手だったので、うまく腰(こし)に乗せて思い切り投げた。
 ・すもう大会に出てみたが、大きな相手(あいて)にかんたんに投げられた。
 ・Pチームはもう優勝(ゆうしょう)できないことがきまっているので、はじめから試合(しあい)を
  投げている。
 ・いくら分からないからと言ってとちゅうで試験(しけん)を投げてはいけない。
 ・医者(いしゃ)もサジを投げた(=あきらめた)重い病気だったが、毎日少しずつ運動(うんどう)
  をしていたら、なおった。
  
<複合動詞:なげ->
[なげあう] 人ガ 人ト ものヲ
 ・久しぶりに雪が積もった。外では子供たちが雪玉を投げ合って遊んでいる。
 ・テレビを見れば、国会では馬鹿な議員たちが汚い言葉を投げ合っている。
[なげあげる] 人ガ ものヲ 
 ・子供がボールを空に投げ上げ、自分で取り、また投げ上げて遊んでいた。
 ・花嫁は持っていた花束を後ろ向きに投げ上げた。それを取ろうとしたうちの娘は足をくじいた。
   石・ミカン・財布・ビラ・稲の束・言葉・声を
[なげあたえる] 人ガ 人・ものニ ものヲ
 ・住宅街を流れる小川の魚にえさを投げ与える人がいた。後で釣る気かな。
 ・ある国で観光客が乞食に小銭を投げ与えているのを見たことがある。いやな光景だった。
   えさ・お金・銭・暗示を
[なげいれる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・くずかごに紙くずを投げ入れた、つもりだったが、見事にはずれた。
 ・小柄な選手が、ゴールにあざやかなシュートを投げ入れた。
   池に餌・小石・ゴミを 洗濯物・花・石ころを 賽銭箱に小銭を 声を
[なげうつ] 人ガ ものヲ (ものニ) 
 ・かわいそうな孤児をたすけるために大川さんは職も財産も投げうってはたらいた。
 ・その母親は、自分の命を投げうってまで、子どもをたすけ出そうとした。
   学業・財産・私財・職・政権・ペン・誇り・全霊・万事を 一命を~て働く
[なげおとす] 人ガ ものヲ (所カラ 所ニ)
 ・がけから石を投げ落としてみた。海面に着くまでに3秒かかった。
 ・レスラーが相手をリングから投げ落とした。あれは痛いだろうな。
   書類・死体・体・ナイフを 地面・下に
[なげおろす] 人ガ ものヲ (所カラ 所ニ)
 ・ヘリコプターから救命器具を投げ下ろした。
 ・火事のときに、2階からふとんを投げ下ろし、その上に飛び降りた。
[なげかえす] 人ガ ものヲ 人・ものニ
 ・飛んできたファウルボールを取り、グラウンドに投げ返した。
 ・失礼なことを言われたので、より失礼な言葉を投げ返してやった。
   ボール・球・テープ・手紙・封筒・皮肉・悪口・嘲笑・悪意を
[なげかける] 人・ものガ ものニ ものヲ 
 ・小学生の親たちが市の教育政策に疑問を投げかけた。
 ・この事件は、家族の意味に改めて問いを投げかけるできごとだった。
 ・今回の発見は人類の起源の解明に光を投げかけた。
   綱・羽織・タオル・照明・問い・微笑・疑問・薄笑い・暗示・質問・話題を
[なげかつ] 人ガ 人ニ
 ・息づまる投手戦となり、ついにうちの投手が投げ勝った。
[なげこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・新聞配達が玄関に夕刊を投げこんで行った。
 ・書きそこなった原稿用紙を丸めてゴミ箱に投げ込んだ。
   石・えさ・紙くず・ゴミ・資本・荷物・郵便物・毒を 池・井戸に どさっと
[なげすてる] 人ガ ものヲ ものニ (ものカラ)
 ・前を歩いていた男がガムの包み紙を道に投げ捨てた。クズがくずを捨てている。
 ・海岸には、船から投げ捨てられたごみが打ち寄せられていた。
 ・車の窓からたばこの吸いがらを投げ捨てるバカがいる。
   空き缶・がらくた・ゴミ・命・重荷・地位・未練・身・生活・責任・偏見を
[なげたおす] 人ガ 人ヲ
 ・大きな力士が力で相手を投げ倒そうとしたが、逆に足をすくわれて倒れた。
 ・柔道で投げ倒されたとき、腰を打ってけがをした。受け身の練習が足りなかった。
[なげだす] 人ガ ものヲ (所カラ 所ニ) 
 ・横綱が相手を土俵の外に投げ出した。
 ・電車で、足を前に投げ出すようにして座っているバカ者がいる。
 ・いくら分からないからと言って、試験をとちゅうで投げ出してはいけない。
 ・この国では、お店の人が物をお客の前に投げ出します。それがていねいさのあらわし方なのです。
  おもしろいですね。
   事故の時車から投げ出される  財産を投げ出して  仕事・やりかけたこと・計画・事業を
   鞄・命・会社・職・政権・全財産・筆・本業・役目を 何もかも 思いきって
[なげつける] 人ガ ものヲ 人・ものニ
 ・父は何かおこっているらしく、ちゃわんを母に投げつけた。母は包丁を、、、。
 ・動物園でサルにバナナの皮を投げつけられた。
   石・白墨・怒り・質問・視線・問い・批判・悪口雑言を 怒りの言葉を
[なげとばす] 人ガ 人・ものヲ (所カラ 所ニ)
 ・「そんなやつはオレが投げとばしてやる。」山田くんは、おこってそう言った。
 ・痴漢が抱きついてきた時、柔道二段の彼女が思いきり投げ飛ばしてやったら、そいつは警察が 
  来るまで立ち上がれなかったそうだ。
   相手・男・子犬・棒・レンガを ひょいと

  
ほうる(放る)  五(ほうらない・ほうります・ほうって・ほうれば・ほうろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ほうりたい  ほうってしまう  ほうっておく  ほうってはいけない  ほうるな!
 △[思い切り/強く/高く/遠くへ/ぽいと/さっと/ひょいと]~。
  △[石/ボール/吸(す)いがら/箱(はこ)/ぼうし/本]を~。
  ・ボールを遠くへ放ると、犬が喜(よろこ)んでかけていき、くわえて戻ってくる。
 ・「健ちゃん、ほら」と言って、義男がおにぎりを放ってよこした。
 ・書類(しょるい)の締(し)め切りは今日だったが、かまわず放っておいた。

<複合動詞:ほうり->
[ほうりあげる] 人ガ ものヲ 
 ・「表が出たらおれのもの!」そう言いながら、彼はコインを放り上げた。
 ・勝利が決まった瞬間、彼はラケットを放り上げ、地面に伏して泣き出した。落ちてきたラケット
  が頭に当たらないといいのだけれど。
   帽子・荷物・包みを 空中に いきなり 高く 何遍も
[ほうりこむ] 人ガ ものヲ ものニ
  ・明日で定年退職だ。押し入れに放り込んである釣り竿でも取り出すことにしよう。
  ・夫はバッグに着替えなどを放り込んで、急の出張に出かけた。
  ・お前を何とかして刑務所に放り込んでやる、と刑事が言った。そうはさせない。
 ・マンションの宣伝のダイレクトメールをゴミ箱に放り込んだ。
 ・突然の来客で、あわててその辺に散らかっていたものを押入れに放り込んだ。
   石・金・小銭・塩・下着・洗濯物・荷物・野菜を 口の中に ゴミ箱に
     金・洗濯物・道具・荷物・ボールを 押し入れ・物置・口・ゴミ箱・洗濯機に
[ほうりだす] 人ガ ものヲ 
  ・部屋の中にあった荷物を片端から廊下に放り出して、畳が見えるようにした。
 ・部屋に飛び込んできたセミを捕まえ、窓から放り出した。
 ・市役所の担当者と業者の車がやってきて、ホームレスたちが公園から放り出された。
  ・セクハラで大学を放り出された元教授は、他にできる仕事もなく路頭に迷った。
  ・もうこんな面倒な仕事は放り出したいと、何度も思うのだが、そうも行かない。
  ・我慢ができなくなって、鉛筆も報告書も放りだし、パチンコに出かけた。
 ・途中までやった仕事を放り出してはいけない。最後まで責任を持ちなさい。
   鉛筆・荷物・包み・厄介物・勉強・仕事・家庭・政権を 途中で 無責任に
     宿題・子ども・政権・勉強・店を  勤め先を放り出される 寒空に
[ほうりなげる] 人ガ ものヲ 
 ・ボールを空高く放り投げると、自分でそれを取りに走った。
 ・生徒が窓から空き缶を外に放り投げた。教師がその生徒を窓から放り投げようとした。
   空き缶・石・おもちゃ・金・かばん・賽銭・座布団・皿・シャツ・銃・吸い殻・政権・タバコ
   ・茶わん・荷物・ハンドバッグ・ビン・ボール・ラケットを
   くずかご・窓の外に 空中高く 力一杯 荒々しく 思い切りよく 

とうじる(投じる)  一(とうじない・とうじます・とうじて・とうじれば・とうじよう)
[1]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △とうじたい  とうじてみる  とうじておく  とうじてはいけない  とうじるべきだ
  とうじようとする  とうじられる  とうじさせる  とうじろ!  とうじるな!
 △[思い切って/きっぱりと/決然(けつぜん)と/いさぎよく]~。
  △[一石(いっせき)/巨費(きょひ)/財産(ざいさん)/私財(しざい)/資本(しほん)/大金(たい
   きん)/一票(いっぴょう)/反対票(はんたいひょう)/我が身(わがみ)]を~。
  ・国民一人一人が一票を投じることによってのみ、国の政治の方向(ほうこう)が決まるのだ。
 ・彼の論文は、教育改革(きょういくかいかく)の問題について、一石を投じるものだった。
 ・この時期(じき)、革命運動(かくめいうんどう)に身を投じた若者(わかもの)が多かった。
 ・彼女は、私財を投じて患者(かんじゃ)の救済(きゅうさい)に当たった。
  ・私は、法案(ほうあん)に対してあえて反対票を投じた。納得(なっとく)できなかったのである。
▽「とうずる」の形もある。バ形は「とうずれば」となる。

<スル動詞>
[投入(とうにゅう)する]  人ガ ものニ ものヲ
 ・計画の推進に多くの労力を投入したが、結局それが実を結ぶことはなかった。
 ・税金を投入して私企業を救うことの是非が議論されたが、政府は押し切った。
[投票(とうひょう)する]  人ガ 人・ものニ
 ・今回の選挙では、私は新人に投票(を)した。
  ・多くの若い人たちが選挙で投票(を)すれば、世の中はすぐ変わるのだが。
 〔~の投票をする〕
 ・私は野党が出した修正案に賛成の投票をした。  

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