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◇対物3◇

[11] 持つ・握る・つかむ 

    持つ     持ち上がる 持ち上げる 持ち歩く 持ち合わせる 持ち帰る 持ち替える 
          持ちかける 持ち崩す 持ち越す 持ちこたえる 持ち込む 持ち去る
          持ち出す 持ち直す 持ち運ぶ 持ち回る 持ち寄る
     握る      握り返す 握りしめる 握りつぶす 握り直す
     つかむ   つかみ合う つかみ上げる つかみかかる つかみ損なう・損ねる
          つかみ出す つかみ取る
    挟まる  挟む    挟み込む 挟みつける
     つまむ  つまみ上げる つまみ出す

[12] 抱く・抱える

   抱く  抱き合う 抱き上げる 抱き起こす 抱き下ろす 抱き抱える 抱き込む   
          抱きしめる 抱きすくめる 抱きつく 抱きとめる 抱き取る 抱き寄せる
     いだく
     抱える  抱え上げる 抱え起こす 抱え込む

[13] 保つ・支える

   保つ      維持する 保温する    
     支える  支え合う  固定する
     とっておく  確保する 保管する 保存する 冷蔵する

[14] 捨てる・拾う

    捨てる  捨てきる 捨て去る うち捨てる 切り捨てる 投げ捨てる 脱ぎ捨てる  
           乗り捨てる 振り捨てる 焼き捨てる 破り捨てる 読み捨てる
           放り出す  処分する 廃棄する 放棄する
       拾う      拾い上げる 拾い集める 拾い出す

[15] 得る

    得る 
      儲かる  儲ける  得する 損する  獲得する 得点する 入手する

[16] 歌う・踊る

    歌う      歌い上げる  合唱する 
      踊る      踊り明かす 踊り狂う 踊り出す 踊り通す 踊りまくる
      舞う      舞い上がる 舞い上げる 舞い落ちる 舞い降りる 舞い込む 舞い散る
      演じる  演技する 演出する 脚色する 主演する
      弾く      かき鳴らす  演奏する  

[17] 吸う・吐く

    吸う      吸い上げる 吸い込む 吸い出す 吸い付く 吸い付ける 吸い取る  
           吸い寄せる  吸収する 呼吸する
      吐く    吐きかける 吐き捨てる 吐き出す 吐き散らす

      
       

[11]持つ・握る・つかむ
 「持つ・握る・つかむ・つまむ」は、どれも手による動作である。「人ガ(手デ)ものヲ 動詞」
の文型。抽象的な意味に広がりやすい。「-ている」の形で状態を表す。「挟まる・挟む」は、自他
の対で、二つのものの間にある状態。

◇もつ
「持つ」は、基本的に手の中にものがあるようにすること。そこから、身につけていること(財布)、
財産を所有していること(車・家)、精神的なもの(勇気)、その他に用法が広がる。「もつ」は、もの
が手の中に移る動きを表す。その結果としての状態を「持っている」で表し、この形で多く使われる。
   人ガ ものヲ  もつ
    カバンを持つ  荷物を持っている  車を2台持っている  子を持つ身
        人間は理性を持つ  所帯・家庭を 持つ  このクラスを持つ(受け持つ)
    勇気を持て  いろいろな資格を持っている  長い歴史をもつ国
 そのものが存在する場所をニ格で示す。
   人ガ 所ニ ものヲ もつ
    手に財布を持つ  この宇宙人は背中にも目を持っている
    駅前に店を持っている  長野に別荘を持つ
 その人と関わりがあり、共に何かをすること。ト格に相手を必要とするような名詞をとる。
   人ガ 人ト ものヲ もつ
    彼女と所帯を持つ  その国と国交を持つ  相手方と会議を持つ 
 ある対象に対して精神的なものを感じること。対象をニ格で示す。
   人ガ 人・ものニ ものヲ もつ
    人に 行為・敵意・反感・恨み・影響力を 持つ  製品に 責任・自信を 持つ
      そのことに 疑問・疑い・誇り・あこがれ・関心・興味を 持つ
 ものの品質や働きが長く変わらないこと。
   ものガ もつ
    この靴は長くもつ   体がもたない  この食料で1か月もつ
  「持っていく」「持ってくる」「持って帰る」の形でよく使われる。「持ってくる」は、「どこかに
いて、そこからものを持ってくる」場合と、「今いる場所からどこかへ行って、ものを持ってくる」
場合がある。
    学校へテニスのラケットを持っていく  学校からラケットを持って帰る
    台所から食器を持ってくる(台所にいる人が/居間にいる人が台所へ行って)
 慣用表現で「(人の)肩を持つ」は、その味方をすること。
・複合動詞:具体的に「持つ」意味と、「保つ」意味、それ以外のひゆ的な用法になるものがある。
  「持ち上がる」は、他からの力によってものが上の方に上がること。地面が隆起すること。ひゆ的
  に、急に面倒なこと、騒ぎになるようなことが起こること。学校で、担任教師が次の年度も同じ
  学級を受け持つこと。   
 「持ち上げる」は、手で持って、または機械でものを上に上げること。頭を上げること。ひゆ的に、
  人をおだてること。
 「持ち歩く」は、(日常的に)それを持って移動すること。
 「持ち合わせる」は、ちょうどその時に持っていること。ひゆ的に、精神的なものにも言う。
 「持ち帰る」は、そのものを持って帰ること。議案などを検討するために、自分の所属する
 「持ち替える」は、ものの持ち方を変えること。ものを持つ手を替えること。
 「持ち込む」は、ものを持って中に入ること。特に、好ましくないものを持って入ること。ひゆ的
  に、(多く)好まれない事柄をその場に持ってくること。物事を次の段階・状況に進めること。
 「持ち去る」は、持って行ってしまうこと。
 「持ち出す」は、持って外へ(目につく所へ)出すこと。ある事柄を話題として言い出すこと。不足
  した(公の)費用などを自分の金で補うこと。持ち始めること。
 「持ち直す」は、ものの持ち方や持つ手を変えて(持ちやすいように)持つこと。ひゆ的に、一度悪
  くなった状態が、よい状態に向かうこと。
 「持ちかける」は、人に対して話をし、何かをしてもらおうとすること。
 「持ち崩す」は、人としての生活態度が悪くなり、財産を使い果たすなどすること。
 「持ち越す」は、ものごとの決着がつかない状態で次の状況に移ること。
 「持ちこたえる」は、あまりよくない現状をそれ以上悪くならないように保つこと。
 「持ち運ぶ」は、持って、他の場所へ運ぶこと。
 「持ち回る」は、持って、あちこちを回ること。ヲ格は対象物または場所を表す。
 「持ち寄る」は、それぞれが自分のものを持って集まること。  
◇にぎる
 「握る」は手の中にものを入れて力を入れ、包み込むようにする。ひゆ的に、所有権があること、
  支配していることを表す。
   人ガ ものヲ (手ニ) にぎる
    恋人の手を握る   手にボールを握る   車のハンドルを握る  
    大金を握る    証拠・権力を握る     すしを握る(作る)
  「ハンドルを握る」は、運転すること。「財布を握る」は、その家計の管理をすること。
・複合動詞
  「握り返す」は、握られた手で相手の手を(強く)握ること。
 「握りしめる」は、力を入れて強く握ること。
 「握りつぶす」は、堅く握ってつぶすこと。ひゆ的に、人から出された書類や提案などを手元に置
  いたまま、何の処理もせず、そのままにすることを言う。
 「握り直す」は、もう一度よく握ること。
◇つかむ
 「つかむ」は、ものを握って、何かに使う、あるいは放さないようにすることに重点がある。ひゆ
的に、抽象的なものにも言う。
   人ガ ものヲ (手に/で) つかむ
    両手でつり革をつかむ   刑事がスリの腕をつかむ   運をつかむ
        証拠・実態・ポイント・情報・チャンス・人の心を つかむ
・複合動詞
 「つかみ合う」は、互いに相手の体をつかむこと。取っ組み合ってけんかをすること。
 「つかみかかる」は、相手に激しく組み付いていくこと。
 「つかみそこなう・そこねる」は、つかもうとして、うまくつかめないこと。
 「つかみ出す」は、つかんで外に出すこと。
 「つかみ取る」は、つかんで取ること。
◇はさまる
  「挟まる」は、ものの間に入って、かんたんには動かない状態になること。ひゆ的に、対立する両
者の間に入ること。「-ている」の形で状態を表す。
   ものガ ものニ はさまる
    本にしおりが挟まっている  歯に食べ物が挟まる  手が電車のドアに挟まる
    労使の間に挟まって苦労する
◇はさむ
  「挟む」は、二つのものの間に入れて、動かないように、特に、落ちないようにすること。位置的
に、二つのものの間にあること。ひゆ的に、精神的なことにも言う。
   人ガ ものニ/デ ものヲ はさむ
        はしで野菜を挟む  脇にカバンを挟む  本にしおりを挟む
    説明に疑いを挟む  議論に質問を挟んだ
   ものガ ものヲ はさむ
        大きなビルに挟まれた家  川を挟んだ二つの町  昼食を挟んで続く研究会
・複合動詞
 「挟み込む」は、何かの中に挟んで、しまうこと。
 「挟みつける」は、力を入れて強く挟むこと。
◇つまむ
 「抓む/摘まむ」は、指先や二本の棒などで挟んで軽く押さえること。
      人ガ ものヲ つまむ
    鼻をつまむ  ピンセットでつまむ
 指先でとって食べることを言う。
    すしをつまむ  一口つまんでみる
 話などを要約することを言う。
    要点をつまんで言うと
・複合動詞
 「つまみ上げる」は、つまんで上に上げること。
 「つまみ出す」は、つまんで外に出すこと。


もつ(持つ)五(もたない・もちます・もって・もてば・もとう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
  △もちたい  もってみる  もってほしい  もってあげる  もってみせる  もっていく
   もたなければいけない  もとうとする  もたせる  もたれる  もたせられる
 △[しっかり/片手(かたて)で/両手(りょうて)で/ていねいに/慎重(しんちょう)に]~。
 △[かばん/荷物(にもつ)/バッグ/辞書/財布(さいふ)/切符(きっぷ)]を~。
  [部屋/子ども/じぶんのみせ/車/部下(ぶか)]を~。
 ・私がこの箱(はこ)を持ちますから、あなたはそれを持ってください。
 ・ちょっとタバコを買うから、この荷物を持ってくれないか。
 ・A:忘れ物(わすれもの)をしないようにね。
  B:うん、弁当(べんとう)もハンカチもサイフもペンもみんな持ったよ。
  A:かばんは持った?
  B:あ、わすれていた。
 ・今日は雨がふりそうだから、かさを持っていこう。
 ・A:スペイン語の辞書を持っていますか。
  B:家に行けば、あるけれど、ここには持ってきていません。(家からここに)
  ・すまないけど、となりの部屋のイスを持ってきてくれる?(となりの部屋へ行って、それから)
 ・大木さんは車を二台持っている。(=所有している)
 ・人はそれぞれ、いろいろな考え方を持っています。
 ・子どもを持ってはじめて、親の気持ちが分かった。
 ・この虫(むし)は羽根(はね)を四枚(まい)持っています。
 ・今年は大山先生が私たちのクラスを持つことになった。
 ・人はだれでも、外の人よりすぐれた面(めん)を持っている。
 ・勇気(ゆうき)を持て、そして困難(こんなん)にぶつかれ。
 ・この子は、優(やさ)しさと忍耐力(にんたいりょく)を持った子に育てたい。
 ・あなたは自分のしたことがどんな意味を持っているか分っていない。
 ・この国は長い歴史(れきし)とゆたかな文化を持っている。
 ・A:こんど仕事のつごうで大阪へひっこすことになりました。
  B:大変ですね。お金もかかるでしょう。
   A:でも、費用(ひよう)は会社が持ってくれます。(=会社がはらう)
 ・ここの勘定(かんじょう)は私が持ちましょう。(=私がはらう)
 ・この世の中は持ちつ持たれつ(=たすけたり、たすけられたり)だから、たすけ合ってうまくやっ
  ていきましょう。
 △[所帯(しょたい)/家庭(かてい)]を~。
 ・私は29歳(さい)のときに大阪で所帯を持ちました。
 ・父母にむりやり、所帯を持たされた。
[2]〔人ガ 人・ものニ ものヲ〕
 △[希望(きぼう)/好意(こうい)/責任(せきにん)/敵意(てきい)/反感(はんかん)]を~。
 ・もう大人(おとな)なんだから、自分のしたことに責任を持て。
 ・なぜかわからないが、かれは私になにか反感を持っているらしい。
 ・兄は金持ちに敵意を持っているらしい。
 ・私はゆみ子さんに好意を持っているのだが、彼女はちっともそれに気づいてくれない。
 ・将来(しょうらい)に希望を持てと言われても、今の私はとてもそんな気分になれない。
 ・私共(わたくしども)は、この製品(せいひん)の安全性(あんぜんせい)には、絶対(ぜったい)の自
  信(じしん)を持っております。
 ・あなたは公害問題(こうがいもんだい)についてどんな意見を持っていますか。
 ・田中さんは経済界(けいざいかい)に対して大きな発言力(はつげんりょく)を持っています。
 ・きみの持っている指導力(しどうりょく)を生かして、この問題をなんとか解決(かいけつ)してく
  れないか。
 ・うちの妹はスチュワーデス(という)仕事)にあこがれを持っている。
 ・私は医者(いしゃ)の説明(せつめい)に疑問(ぎもん)を持った。
 ・私は自分の仕事に誇(ほこ)りを持っています。
 ・日本の母親(ははおや)は、教育問題にとても関心(かんしん)を持っています。
 ☆「ものニ対(たい)シテ/ニ関(かん)シテ/ニツイテ~」とも言う。
[3]〔人・ものガ 所ニ ものヲ〕
 ・この虫は足の後ろにも羽根(はね)を持っています。
 ・あなたが手に持っている物は何ですか。
 ・私は長野県(ながのけん)に別荘(べっそう)を持っていて、夏はたいていそこに行っています。
 ・彼女は裁判所(さいばんしょ)のそばに事務所(じむしょ)を持っています。
[4]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 △[関係(かんけい)/関(かか)わり/つながり/話し合い/話し合う機会(きかい)]を~。
  ・新しい国が独立(どくりつ)しました。多くの国と国交(こっこう)を持つことが望(のぞ)まれます。
 ・できれば相手方(あいてかた)と会議(かいぎ)を持ちたいのですが。
  ・彼女と所帯(しょたい)を持ったのは、もう15年前のことです。
 ・この問題に私が関係を持ったのは、大学生の時です。
 ・あんなやつらとは関わりを持たないほうがいい。
[5]〔ものガ〕
 △[電池(でんち)/燃料(ねんりょう)/お金/体/食品(しょくひん)]が~。
 ・この食べ物は、冷蔵庫(れいぞうこ)に入れなくても2年はもつように作ってあります。
 ・この時計(とけい)は、一度電池を代えると、一年以上もちます。
 ・こんなにいそがしくては体がもたない。

<複合動詞:もち->
[もちあがる] ものガ
 ・こまった問題が持ち上がった。
 ・この前の地震で床が持ち上がってしまい、テーブルが斜めになって卵が置けない。
   騒ぎ・騒動・悲劇・問題・面倒・別れ話・訴訟・計画・縁談・地面・床が 
[もちあげる] 人ガ ものヲ 
 ・重たいので、一人では持ち上げられません。
 ・バーベルを持ち上げる運動を毎日しています。
   石・腕・片足・鞄・状態・両端を 人・先輩・景気を 頭上に 用心深く
[もちあるく] 人ガ ものヲ 
 ・彼女はいつもパソコンを持ち歩いていて、原稿を書きついでいる。
 ・私は名刺を持ち歩かないので、初対面の人から名刺をもらうとちょっと困る。
   現金・写真・手帳・時計・ハンドバッグ・名刺・ラケット・本を
[もちあわせる] 人ガ ものヲ 
 ・478円だった。ちょうど小銭を持ち合わせていたので、ピッタリ払った。
 ・その件に関しては、細かいデータを持ち合わせていないので、何とも言えません。
   金・技術・情熱・情報・体力・度胸・理性を 意見・知識・資料を~ない     
[もちかえる] 人ガ ものヲ 所ニ
 ・男たちは狩りに出て、獲物を持ち帰った。
 ・この料理を持ち帰りたいので、包んでいただけませんか。
   獲物・酒・仕事・商品・書類・戦利品・大金・食べ残したもの・包み・土産を
[もちかえる] 人ガ ものヲ (ものカラ ものニ) 
 ・カバンを持ちかえた時にカサを落とした。
 ・カサを右手から左手に持ち替えた。
   鞄・買い物袋・受話器・包み・箸を 銃をペンに 
[もちかける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・この企画を知り合いの業者に持ちかけてみよう。 
 ・うまいもうけ話を友だちから持ちかけられたが、わたしはのらなかった。
   協議・相談・取引・仲直り・売買・話・無理難題・縁談・改竄を 巧みに
[もちくずす] 人ガ ものヲ 
 ・農村から大都会に出てきた女性が身を持ち崩してしまう話は多い。
 ・やつの話はよくある話で、酒とばくちで身を持ち崩し、女房には逃げられて、ということだ。
[もちこす] 人ガ ものヲ (ものニ/マデ) 
 ・今日の話合いは、議長が事態を説明しだけだ。結論は次の話合いまで持ち越された。
 ・今回も問題の解決は次回に持ち越された。いつもそうだ。
   結論・問題・一部を 今後・次期・翌週・次回に 勝負を
[もちこたえる] 人・ものガ
 ・わたし一人でがんばってきましたが、これいじょう持ちこたえることはできません。
 ・これ以上川の水が増えると、堤防が持ちこたえられないかもしれない。
   城を 重圧に 一冬・夏を 心・心の崩れを そのまま どうにか
[もちこむ] 人ガ ものヲ ものニ 
 ・コンピュータ室内に飲み物を持ち込んではいけない。
 ・機内に持ち込まれた荷物の中に、ネズミが隠れていたらしい。
 ・最後に何とか1点入れて延長戦に持ち込んだが、結局負けてしまった。
   家具・絵・カメラ・傘・危険物・酒・煙草・武器・苦情・縁談・争いごと・
   騒ぎ・事件・仕事・相談・難題・面倒を 病院に 延長戦・解散・裁判・接戦に
[もちさる] 人ガ ものヲ 
 ・警察が来たのは、運送業者が事務所にあったものをすべて持ち去ってしまった後だった。
 ・残金をここにおいておいたのだが、誰かに持ち去られていた。
   金目のもの・写真・全財産・手紙・預金通帳を まざとく 家捜しして金を
[もちだす] 人ガ ものヲ (ものカラ) 
 ・この部屋から何も持ち出さないように。
 ・今、その話は持ち出さないでください。話がいっそう混乱しますから。
 ・会の費用が不足したので、会長が少し持ち出して穴埋めしてくれた。
   椅子・絵・宝物・荷物を 法律・権利書・理論・例・案・話・用件・条件を
[もちなおす] ものガ
 ・落としそうになっていた荷物のひもをもう一度持ち直した。
 ・不調だった経済がやっと持ち直してきた。
 ・ゆうべはあぶなかったのですが、今朝になって、病状が持ちなおしました。このままで3日もて
  ば、もうだいじょうぶですよ。
   皿・刀・棒・銃・鞄・包み・ナイフを 景気・病・生活・気持ち・自信を
[もちはこぶ] 人ガ ものヲ 
 ・小さいパソコンは持ち運ぶのに便利でいい。
 ・身の回りのものを持ち運ぶには、このくらいのスーツケースがちょうどいい。
   荷物・石・本箱・着替え・種・苦しみ・図体・身を   
[もちまわる] 人ガ もの・所ヲ 
 ・書類を持ち回ってハンコをもらってきた。
 ・新製品の宣伝のため、小売店を持ちまわってみたが、評判はなかなかいいようだ。
   荷物・箱を 酒・肉を 意見・書類を 
[もちよる] 人ガ ものヲ 
 ・土よう日にみんなで材料を持ちよってバーベキューをやろうと思うんだけど、どう?
 ・それぞれが抱えている問題を持ち寄って、みんなで考えてみようということになった。
      参加者・各自が 食料・資料・酒・衣類・獲物・問題・話・意見・結果を


にぎる(握る)五(にぎらない・にぎります・にぎって・にぎれば・にぎろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △にぎりたい  にぎってみる  にぎってしまう  にぎらないようにする
  にぎろうとする  にぎられる  にぎらせる
 △[強く/かるく/しっかり/ぎゅっと/きゅっと/片手(かたて)で/両手(りょうて)で]~。
 △[ハンドル/鉄棒(てつぼう)/手/さいふ/証拠(しょうこ)/弱味(よわみ)]を~。
  [実権(じっけん)/権力(けんりょく)/政権(せいけん)/主導権(しゅどうけん)]を~。
 ・ハンドルを握る時にはお酒をのまないようにしましょう。
 ・転(ころ)びそうになって、思わず、彼女(かのじょ)の手を握ってしまった。
 ・彼女の手ぐらい握ったからってどうということはないよ。
 ・赤ん坊に私の指(ゆび)を握らせてみた。小さな指が、柔らかく私の指を握った。
 ・山下さんには弱味を握られているので、強いことは言えないのです。
 ・このうちの財布(さいふ)を握っているのはおばあさんだ。
 ・母は、小さな私の手にお金を握らせて、「何かお菓子(かし)を買っておいで」と言った。
 ・二十世紀前半、軍部(ぐんぶ)が日本の政権を握り、戦争に突入(とつにゅう)していった。
 ・すしを握って四十年というおやじの店で町内サッカーの祝勝会(しゅくしょうかい)をやった。

<複合動詞:にぎり->
[にぎりかえす] 人ガ ものヲ
 ・「こちらこそ、どうぞよろしく」彼は差し出された手を握り返してそう言った。
 ・やつが手に力を込めて握って来たので、こっちも精一杯力を入れて握り返した。十年ぶりの再会
  だった。
   差し出された手・右手・指を 精一杯 力強く 弱々しく
[にぎりしめる] 人ガ ものヲ 
 ・落ちないように、両手で鉄棒をしっかり握りしめた。
 ・3歳の娘が、テレビに映ったライオンを怖がって、私の手をぎゅっと握りしめた。
   お金・鍵・受話器・手・馬券・ハンドル・マイク・拳銃を 手に 強く
[にぎりつぶす] 人ガ ものヲ
 ・彼女は、缶ジュースの空き缶を手で握りつぶした。 
 ・折り紙のふねを母に見せようと思って、手で持って走ったら、うっかり握りつぶしてしまった。
 ・われわれの要求は課長に握りつぶされた。
   トマト・棺・手紙・遺書・袋・命令・メッセージを ことごとく 一切
[にぎりなおす] 人ガ ものヲ
 ・会場からの質問に、講演者は一度置いたマイクを握り直して答えた。
 ・これはちょっと難しい問題だぞ。僕は、鉛筆を握り直して考えた。
   鉛筆・受話器・ハンドル・マイク・鎌・拳銃・ボールペンを しっかり ぎゅっと


つかむ(掴む) 五(つかまない・つかみます・つかんで・つかめば・つかもう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △つかみたい  つかみにくい  つかみやすい  つかんでおく  つかんでしまう
  つかまなければならない  つかもうとする  つかませる  つかまれる  つかまされる
 △[強く/軽く/しっかりと/がっちり/ぎゅっと/力いっぱい/やんわりと]~。
  [うまく/じょうずに/いつまでも/長い間/たしかに/確実(かくじつ)に]~。
 △[人の手/腕(うで)/足/首/木の枝(えだ)/柱(はしら)/手すり/本/コップ]を~。
  [てがかり/証拠(しょうこ)/解決(かいけつ)の糸口(いとぐち)/絶好(ぜっこう)の機会/好運
   (こううん)/きっかけ/実態(じったい)/全容(ぜんよう)/輪郭(りんかく)/本質(ほんしつ)
   /真実(しんじつ)/情報(じょうほう)/チャンス/人心(じんしん)/金づる]を~。
 ・逃(に)げようとした泥棒(どろぼう)の腕をつかんで、とりおさえた。
 ・その男は机(つくえ)の上のお金を片手(かたて)でつかむと、窓(まど)からとび出した。
 ・逃げようとしたが、父に腕をつかまれて逃げそこねた。
 ・あの人は会うたびに意見がちがう。ほんとうの気持ちはつかみかねる。
 ・りっぱな指導者(しどうしゃ)は人の心をつかむのがうまい。
 ・問題を解決(かいけつ)するきっかけがなかなかつかめない。
 ・警察(けいさつ)は重大な情報(じょうほう)をつかんだらしい。
 ・敵(てき)にニセの情報をつかませてやろう。
 ・文章(ぶんしょう)の意味をよくつかむためにはまずよく読むことが大切です。
 ・この仕事(しごと)は、はじめは難しそうだが、コツをつかんでしまえば、かんたんです。
 ・私はまだこの仕事(しごと)をはじめたばかりだからコツをつかみきっていません。
 ・田中は宝(たから)くじで大金(たいきん)をつかんだ(=手にいれた)そうだ。
 ・あなたを助けた日本人の学生をさがしてくれというのは雲(くも)をつかむような話だ。名前も住
  んでいる所も分からないのだから。
 ・病気の父をたすけたかったので、わらをもつかむ気持ちでその医者に電話した。
 ・市長はしっぽをつかまれないように質問に答えた。

<複合動詞:つかみ->
[つかみあう] 人ガ 人ト (ものヲ)
 ・初めは口げんかだったが、とうとう互いに髪をつかみ合うけんかになった。
  ・互いのえりをつかみ合うだけで、投げるところまで行かない柔道なんて面白くない。
[つかみあげる] 人ガ ものヲ
 ・段ボール箱の中からつかみ上げられた子猫は、ニャーニャーとか細い鳴き声を上げた。
 ・酔っぱらった父はコップをつかみ上げていった。「俺を誰だと思っているんだ!」知ってるよ。
  俺のおやじだよ。だから何なんだよ。
   石・犬・刀・グラス・コップ・子猫・胸ぐら・モデルガンを 軽々と
[つかみかかる] 人ガ 人ニ 
 ・私のかおを見ると、山田はきゅうに「このウソツキ!」と言ってつかみかかって来た。
 ・トラは、まさに彼につかみかかろうとしたとき、急に身をひるがえして、草むらに隠れた。
 ・その生徒は突然立ち上がって教師につかみかかり、押し倒そうとした。
 ・刑事は男の胸ぐらにつかみかかって体を壁に強く押し付けた。
   相手に 髪・胸ぐらに 突然  ~らんばかりに
[つかみそこなう・そこねる] 人ガ ものヲ
 ・今日もまた言い出すきっかけをつかみ損ない、プロポーズし損なった。
 ・人生、チャンスは必ず来る。それをつかみ損ねないことだ。
   きっかけ・言葉・チャンスを  つい うっかり
[つかみだす] 人ガ ものヲ (ものカラ)
 ・彼はつぼの中に手を入れると、一握りの金貨をつかみ出した。
 ・ボスは金庫から札束をつかみ出すと子分たちに与え、しばらく姿を消すように言った。
 ・彼は急いでカバンを開けてみたが、中の紙屑をつかみだして「だまされた!」と叫んだ。
 ・先生は本棚(ほんだな)から何冊かの本を片手でむぞうさにつかみ出すと、「まずはこの辺を読ん
  で見なさい」とおっしゃった。
   金・銀貨・財布・札束・内蔵・中身・袋・マッチを 乱暴に そのまま
[つかみとる] 人ガ ものヲ 
 ・ヤツはテーブルの上の札束をつかみとって叫んだ。「これはおれのものだ!」
 ・町のお祭りで、子供たちが水の中の魚をつかみ取ろうとして大騒ぎしている。
 ・本を読む時は、著者の言いたいことをしっかりつかみとるようにしなくてはいけない。
 ・英語の意味を正確につかみ取るためには、英和だけでなく英英辞典を使うことが必須だ。
   鯉・球・ネックレス・封筒・槍・受話器を 意味・正体・快感・方法・生を 正確に


はさまる(挟まる)五(はさまらない・はさまります・はさまって・はさまれば) 
[1]〔所・ものニ 人・ものガ〕
 △はさまりそうだ  はさまってしまう  はさまらないようにきをつける  はさまったら
 △[ぴったり/すきまなく/がっちり/きっちり]~。
 △[もの/指(ゆび)]が[間/すきま/つぎ目]に~。歯車(はぐるま)の間にゴミが~。
 ・食べた物が歯(は)と歯の間に挟まってしまったが、歯を磨(みが)いたら、やっととれた。
 ・ドアが閉まりそうな電車に飛び乗ったら、カバンがドアに挟まってしまった。
 ・ねじが部品(ぶひん)の間に挟まってしまって、とろうとしてもとれない。
 ・こんだ電車で大きな男たちの間に挟まって、動くことも本を読むこともできなかった。
 ・大国の間に挟まって小さい国は苦労(くろう)する。
 ・上の人と下の人の間に挟まって苦労するのは、中間管理職(ちゅうかんかんりしょく)だ。
 ・男ばかりの兄弟(きょうだい)の間に挟まって、妹は大事にされてきた。
 ・休みの日と休みの日の間に一日だけ休みでない日が挟まっている。
 ・紙(かみ)が機械(きかい)に挟まってしまって動かない。


はさむ(挟む)五(はさまない・はさみます・はさんで・はさめば・はさもう) 
[1]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △はさんでおく  はさんである  はさんでもらう  はさんではいけない
  手をはさまないように  はさませる  はさまれる  はさめ!  はさむな!   
 △[ぎゅっと/きゅっと/つよく/しっかり/ぴったり/がっちり/きっちり]~。
 △ノートに[紙/メモ]を~。
 ・サンドイッチとは、ハムやサラダをパンに挟んだものです。
 ・これは来週つかうプリントですから、ノートか教科書(きょうかしょ)に挟んでおいてください。
 ・このノートに大事なメモを挟んでおいたのだが、なくなってしまった。
 ・本の大切なページには紙を挟んでおきます。
 ・書類(しょるい)がなくならないように紙ばさみに挟んでおいた。
 ・小山さんが本を小脇(こわき)に挟んで(=ちょっとわきに挟んで)歩いてくる。
 ・中川さんの話にはうたがいを挟む余地(よち)はない。(=まちがいがない。信用できる。)
 ・人の話に口を挟むな。(=話にわり込む)
 ・あなたが結婚(けっこん)すると、小耳(こみみ)に挟んだ(=聞いた)のですが、本当ですか。
 ・間に休憩(きゅうけい)を挟んだが、全部で4時間も話し続けた。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[きれいな女の人/こわい男/かわいい男の子たち]にはさまれる
 ・この二つの川に挟まれた所にPという小さな町がある。
 ・ここはビルとビルに挟まれているので、一日中ほとんど日が当たらない。
 ・ライバルのP社とQ社は道を挟んで事務所(じむしょ)をもっている。
 ・こわい男たちに両脇(りょうわき)をはさまれて、ビルの裏(うら)へつれて行かれた。
 ・4日を挟んで、3日、5日、6日と、五月は休みがつづきますね。
 ・議員(ぎいん)たちは大きなテーブルを挟んですわった。(=テーブルのりょうがわにすわった)
[3]〔人ガ ものデ ものヲ〕
 △[はし/ピンセット/指(ゆび)/機械(きかい)]で~。
 ・この子は、まだ小さいものを箸(はし)で挟むことができない。
 ・私は、ガーゼをピンセットではさんで血(ち)の出ている所に当てた。

<複合動詞:はさみ->
[はさみこむ] 人ガ ものヲ 所ニ
 ・男はズボンとベルトの間にピストルを挟みこんだ。
 ・書類(しょるい)の間にその手紙を挟み込んで、人に見つからないようにした。
      足・体・餡・クッション・写真・地の文・情景・タオルを 脇腹に きつく
[はさみつける] 人ガ ものヲ
 ・足で相手の体を挟み付けて動けないようにした。
 ・機械に挟み付けられた砥石の上を、ナイフの刃が高速で回転していく。
   頭・体・手首・胸・両肩・砥石・ネズミを


つまむ(抓む)  五(つままない・つまみます・つまんで・つまめば・つまもう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △つまみなさい  つまんでみる  つまんではいけない  つままなければならない
  つまめない  つまもうとする  つまませる  つままれる  つまめ!  つまむな!
 △[強く/軽く/そっと/ひょいと/ぎゅっと/力を入れて/慎重(しんちょう)に]~。
  △[糸/襟(えり)/髪(かみ)の毛/スカートの端(はし)/ネコの尻尾(しっぽ)/花びら]を~。
  [すし/サンドイッチ/おにぎり/クッキー/せんべい/残り物(のこりもの)]を~。
 ・彼女は、私のネクタイの端を軽くつまんで、こう言った。「どこかへ行かない?」 
  ・子どもは、ゆらゆら揺(ゆ)れるネコの尻尾を指(ゆび)でつまもうとしていた。
  ・小さな豆(まめ)をはしでつまもうとしたが、なかなかつまめない。
 ・女の子たちが、花びらを一枚一枚つまんでとりながらする恋占(こいうらな)いをしていた。
 ・居間(いま)をのぞくと、母がとなりのおばさんとクッキーをつまみながらおしゃべりしていた。
 ・ちょっと腹(はら)が空(す)いてきたなあ。すしでもつままないか?

<複合動詞:つまみ->
[つまみあげる] 人ガ ものヲ 
 ・「これ、かわいい!」幼稚園の子が、お弁当に入っていたニンジンをつまみあげて言った。
 ・床に落ちていた白いものをつまみ上げてみたら、何かの花びらだった。
   虫・いちご・硬貨・ゴミ・紙・糸くずを 床から 指で
[つまみだす] 人ガ ものヲ ものカラ
 ・「ここに入っちゃダメよ」妻は台所に入ってきた子猫をつまみ出した。
 ・虫取りに行っていた子どもが帰ってきて、ビンから虫を一匹つまみ出して私に見せた。
      虫・酔っぱらい・男・切符・札・紙片・粒・実を ビンから 外へ

[12]抱く・抱える
  両腕で人・ものを持ち上げて強く保つ状態を表す動詞。
 「かかえる・だく・いだく」は、基本的に両腕を使う。「脇に抱える」は別として。これらは、漢
字表記が同じである。「いだく」は具体的な動作としては文学的な表現で、多くは精神的なものを心
に持つことを言う。「かかえる」は重いもの、大変なものを、という意味合いで、ひゆ的に抽象的な
ことでは、好ましくないものに関わることを言う。

◇だく
  「抱く」は、人やものに腕を回して、しっかりと胸に押しつけるようにすること。(婉曲的に)セッ
クスをすること。親鳥が卵を暖めるために覆いかぶさること。具体的な動作が中心。ニ格をとる。
  人ガ 人・ものヲ (ものニ) だく
      赤子を両手に抱く  肩を抱く  カバンを胸に抱く  親鳥が卵を抱いている
・複合動詞
 「抱き合う」は、互いに相手を抱くこと。「抱き上げる」は、抱いて持ち上げること。
 「抱き起こす」は、相手の体を抱くようにして起こすこと。
 「抱き下ろす」は、抱いて下ろすこと。抱いている相手を下ろすこと。
 「抱きかかえる」は、腕を回して、かかえるように支えること。
 「抱き込む」は、抱いて腕の中に入れるようにすること。(悪い計画の)仲間に引き入れること。
 「抱きしめる」は、腕に力を入れて強く抱くこと。
 「抱きすくめる」は、しっかりと抱いて、相手が身動きできないようにすること。
 「抱きつく」は、相手の体を抱いて、離れないようにすること。
 「抱きとめる」は、両腕で抱くようにして受け止めること。抱くようにして抑え、とめること。
 「抱き取る」は、抱くようにして受け取る、受け止めること。
 「抱き寄せる」は、抱いて自分の体に近づけること。  
◇いだく
 「抱(いだ)く」は、「(腕で)だく」の文学的な表現。ひゆ的に、地形的な関係を表す。多く受身の
形で使われる。また、心の中にある感情・気持ちを持つこと。対象としてニ格をとる。「いだく」は
この用法で使われることが多い。漢字表記は「だく」と同じなので、文脈からどちらで読むか考える。
  人・ものガ 人・ものヲ いだく
      我が子を胸に抱く母親(○だく/いだく)   深い山に抱かれた山里(○いだく/×だく))
      恨み・大きな夢・恐れ・希望・殺意・大志・不安を 抱く(○いだく/×だく))
   鳥が卵を(○だく/×いだく)
◇かかえる
 「抱える」は、荷物など重いものを苦労して、両手で持つこと。片腕で脇に(腕で巻くようにして)
持つ場合も言う。ひゆ的に、悪いものや、心理的な問題があること。
  人ガ (ものニ) ものヲ かかえる
   両手に荷物を抱える   脇にカバンを抱えている
   莫大な借金を抱える   (心に) 大きな問題・不安・悩みを 抱える
 また、家族や学生・弟子、雇っている人などがいること。
   大家族を抱える  多くの弟子を抱える  運転手・従業員を 抱える
・複合動詞
 「抱え上げる」は、抱えて上に上げること。「抱え起こす」は、相手を抱えるように起こすこと。
 「抱え込む」は、大きなものをしっかり抱えること。ひゆ的に、面倒な問題を解決しなければなら
  ないこと。


だく(抱く)  五(だかない・だきます・だいて・だけば・だこう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ (ものニ)〕
 △だきたい  だいてほしい  だいてもいい  だけない  だこうとする  だかれる
 △[つよく/しっかり/ぎゅっと/やさしく/そっと/激(はげ)しく]~。
 △[子ども/赤ちゃん/幼子(おさなご)/恋人(こいびと)/妻(つま)/母]を~。
  ・小さな女の子が、赤ちゃんを抱いている。かわいいけれど、大丈夫(だいじょうぶ)かなあ。
 ・生まれて間(ま)もない子どもを両手(りょうて)でしっかりと抱いた。
 ・いつか孫(まご)をこの手に抱きたいと思うのだが、うちの子はいつ結婚するんだか、、、。
 ・うれしそうに走ってきた愛犬を抱いてやると、ぺろぺろを顔をなめられた。
 ・一年ぶりに会う恋人を胸(むね)に抱いて、最高の気持ちだった。
 ・あの時、あの人に抱かれて、私はもう死んでもいいと思った。それが今は、、、。
 ・小鳥(ことり)が卵(たまご)を抱いて温(あたた)めている。

<複合動詞:だき->
[だきあう] 人ガ 人ト
 ・公園のベンチには、しっかり抱き合う恋人たちがいた。私はどこに座ればいいのか。
 ・電車の中で抱き合っている人たちって、まわりが気にならないんですかね。
   男女が 肩を きつく しっかと 激しく ひしと ぴったり
[だきあげる] 人ガ 人・ものヲ ものカラ 
 ・母親はベビーカーから赤ん坊を抱き上げた。
 ・子供は、子犬を胸に抱き上げてそっとなでてやった。
   赤ん坊・女の子・体・子犬・猫・孫・幼児を 胸に 軽々と そっと
[だきおこす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・寝たきりの母親を抱き起こして、食事を食べさせた。
 ・保育士は転んで泣いている子を急いで抱き起こして、「どこが痛いの?」と聞いた。
   男・肩・体・子供・死骸・上半身を あわてて すぐに
[だきおろす] 人ガ 人・ものヲ 
 ・顔をなめようとしていた子犬を抱き下ろし、ボールで遊ばせた。
 ・祖母は赤ん坊を抱き下ろすと、笑いながら「重くなったねえ」と腰を叩いた。
   重傷者・父親・子どもを そっと ゆっくり
[だきかかえる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・足をけがした子供を、先生が抱きかかえて保健室に連れていった。
 ・父は大きな包みを抱きかかえて、玄関を入ってきた。何を買ってきたんだろう。
   夫・体・子犬・新婦・祖母・腕・鞄・肩・包み・本・両膝を 腕・胸に しっかり
[だきこむ] 人ガ 人ヲ 
 ・運営委員会の委員を何とか抱き込んで、この案を通してもらおう。
 ・組合の委員が会社側に抱き込まれているという噂が流れている。私のことらしい。栄転を約束さ
  れてしまったからなあ。
   女・腕・組合・役人・総会屋・在庫・流れ・妄想を うまく  
[だきしめる] 人ガ ものヲ 
 ・若い母親が赤ん坊を抱きしめている。
 ・あの人に抱きしめられて、もう死んでもいい、と思ったが、2年で別れた。
   赤ん坊・妹・肩・体・我が子・バッグ・子犬・墓標・思い出・孤独を
   情熱的に・夢中で・いきなり・かたく・しっかりと・しみじみと・そっと・力一杯
[だきすくめる] 人ガ 人ヲ
 ・夫は、「パパー」とよちよち歩いてきた赤ん坊を抱きすくめ、ほほにキスをした。
 ・彼のたくましい腕でギュッと抱きすくめられ、彼女は夢を見ているようだった。
   女・女の子・肩・体・腰・背中・胸を 腕に 腕の中に ぎゅっと ふわりと
[だきつく] 人ガ 人・ものニ 
 ・小さな子供が駆け寄ってきて、にこにこしている老人に抱きついた。
 ・木の幹に抱きついて、セミの声のまねをした。
   背後から 首に 胸に 知らない人に しっかりと 力一杯 そっと
[だきとめる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・階段でよろけて転びそうになった老人を若者が抱きとめ、しっかりと支えた。
 ・「あなたー、これ捨ててー」私は妻が2階のベランダから投げてよこしたゴミ袋を両手で抱きと
  めた。
   体・母・胸・姉を 悲しさ・つらさ・真理を 
[だきとる] 人ガ ものヲ
 ・「この子ちょっとお願い」と言われて、妻の背中から赤ん坊を抱き取った。
 ・「それ、いくぞ」と放り投げられた荷物をしっかり両手で抱き取った。
   赤子・赤ん坊・子犬・少女・ハンドバッグ・壊れやすいものを
[だきよせる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・「二人で幸せになろう」そう言って、そっと彼女を抱き寄せた。
 ・恋人の美しい裸身をそっと抱き寄せ、、、たところで目が覚めた。残念!
      愛妻・頭・うなじ・肩・体・首・胸・子供・裸身を 胸に 強く


いだく(抱く)  五(いだかない・いだきます・いだいて・いだけば・いだこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △いだきたい  いだいてはいけない  いだくべきだ  いだかれる  いだけ!
  △[そっと/やさしく/はげしく/じっと/大きく/強く/深(ふか)く]~。
  △腕(うで)に[子ども/恋人(こいびと)/幼子(おさなご)]を~。
  心に[理想(りそう)/夢(ゆめ)/希望(きぼう)/大志(たいし)/悩(なや)み/恐(おそ)れ]を~。
  人に「憧(あこが)れ/悪意(あくい)/殺意(さつい)]を~。
  ことばに[疑(うたが)い/疑問(ぎもん)/疑念(ぎねん)]を~。
  ・幼(おさな)いころ、母に抱かれて美しい夕焼(ゆうや)けを見た記憶(きおく)がある。
 ・初めてこの腕に恋人をそっと抱いたとき、もう死んでもいいと思った。
 ・未知(みち)のものに恐れを抱くのは、動物としての本能(ほんのう)である。
 ・私たちは、深い悲しみを心の奥底(おくそこ)に抱いたまま、静かに暮(く)らしていた。
 ・彼女が夫に対して殺意を抱いたのは、その時ばかりではない。
  ・政府(せいふ)の説明には疑いを抱かざるを得(え)ない。
  ・少年よ、大志を抱け! (クラークのことば)


かかえる(抱える)一(かかえない・かかえます・かかえて・かかえれば・かかえよう)
[1]〔人ガ (所ニ) ものヲ〕
 △かかえてみる  かかえさせられる  かかえようとする  かかえられない
 △[しっかり/がっちり/落とさないように/しんちょうに/気をつけて]~。
 △[にもつ/はこ/本/おもちゃ/]を~。[うで/わき]に~。
 ・山田さんが小わきに何かつつみを抱えて歩いてくる。
 ・そんな大きなにもつを抱えていては階段(かいだん)を上がるのが大変だろう。
 ・母は両手(りょうて)に抱えきれないほどの包(つつ)みをもってデパートから帰ってきた。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[矛盾(むじゅん)/ふくざつな事情(じじょう)/悩(なや)み/問題(もんだい)/借金(しゃっき
   ん)/大きな赤字(あかじ)/病人/乳飲み子(ちのみご)]を~。
 ・政府は今むずかしい問題を抱えている。
 ・このような悩みを抱えている学生が多い。
 ・同じ悩みを抱えている家庭(かてい)を連絡(れんらく)をとって話し合うといい。
 ・この計画(けいかく)は未解決(みかいけつ)の問題を抱えたまま動きだすことになった。はたして
  どうなることか。
 ・今いそぎの仕事を三つほど抱えているので、休みをとることはできません。
 △[弟子(でし)/運転手(うんてんしゅ)/弁護士(べんごし)]を~。
 ・今は病人を抱えているので、生活がくるしい。
 ・隣(となり)の奥(おく)さんは子どもを四人も抱えて、未亡人(みぼうじん)になってしまった。か
  わいそうなことだ。
 ・あのお花の先生は弟子をおおぜい抱えているそうだ。
 ・社長の家では運転手を三人も抱えている。ムダなことだ。
 ・私は友だちの紹介(しょうかい)で、ある会社の社長の家に運転手として抱えられることになった。
 ・法律(ほうりつ)問題を相談するために、たいていの大きな会社は弁護士を抱えている。
 △[腹(はら)/頭]を~。
 ・仕事のために母の帰るのがおそくなった時など、私たち兄弟(きょうだい)はすきっぱらを抱えて、
  母の帰りをまったものです。
 ・さっきから頭を抱えて何を考えているのですか。

<複合動詞:かかえ->
[かかえあげる] 人ガ 人・ものヲ
 ・ホテルの大きなボーイが私の重い荷物をひょいと抱え上げ、軽々と運んでいった。
 ・母親は泣いている赤ん坊を抱え上げ、軽く揺すってあやした。
   体・子ども・荷物・母親・人・毛布を ひょいと 
[かかえおこす] 人ガ 人ヲ
 ・警官は、倒れている女性の上半身を抱え起こすと、意識があるかどうかを確かめた。
 ・父は倒れた母を抱え起こして抱き上げ、ベッドに運んだ。
   体・死体・上体・上半身・女性・青年を
[かかえこむ] 人ガ ものヲ
 ・「さあ、こまった。」と言って、父は頭を抱えこんだ。
 ・あの会社は物が売れないので、だいぶ赤字を抱えこんでいるらしい。
   箱・頭・石・銃を 在庫・植民地を トラブル・病気・悩み・不安・リスクを

[13]保つ・支える
 人・ものの状態をそのままにしておくためにする動作。「保つ」は状態に関して。「支える」は物
理的・精神的に崩れないようにする。「とっておく」は、後での利用のため。
 話しことばでは、ものに関して「とっておく」がよく使われる。

◇たもつ
 「保つ」は、その状態をそのまま変えないようにすること。その状態は望ましい状態であることが
暗示される。その状態は物理的なものから精神的なものまで。
   人・ものガ ものヲ たもつ
    器械が部屋の温度を保つ  いつまでも健康を保ちたい  面目を保つ
・スル動詞
  「維持する」は、物事の水準をそのままの状態で保ち続けること。
 「保温する」は、ものが冷めないように、一定の温度を保つこと。 
◇ささえる
 「支える」は、物理的に「人・もの」が、「人(のからだ)・もの」を「そのままの状態(たとえ
ば、倒れないように)」することと、抽象的(精神的)な面で、崩れないようにすること。
   人・ものガ 人・ものヲ (ものデ) 支える
    棒で木を支える  国民が政府を支えている
・スル動詞
 「固定する」は、動いたり変わったりしないで、一定の位置や状態を保つ(ようにする)こと。
◇とっておく
 「取っておく」は、後で必要な時のために(取り)、残しておくこと。
     人ガ ものヲ とっておく
    手紙・古い新聞を とっておく  写真・記録・席・予備費を とっておく
・スル動詞
 「保管する」は、物品を預かって保存・管理すること。 
 「保存する」は、そのままの状態を保ちながらとっておくこと。 
 「冷蔵する」は、食品などを低温で貯蔵すること。 
 「確保する」は、必要なものを手に入れて、失わないようにしっかり保つこと。  


たもつ(保つ)五(たもたない・たもちます・たもって・たもてば・たもとう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
  △たもちたい  たもってほしい  たもっておく  たもたなければいけない  
  たもつべきだ  たもてない  たもとうとする  たもたせる  たもたれる  たもて!
 △[いつも/つねに/よく/しっかりと/がっちり/全身(ぜんしん)で/注意ぶかく]~。
 △[若さ/健康(けんこう)/美しさ/面目(めんもく)/地位(ちい)/体面(たいめん)]を~。
  [秩序(ちつじょ)/繁栄(はんえい)/調和(ちょうわ)/中立(ちゅうりつ)]を~。
   [速度(そくど)/温度(おんど)/距離(きょり)/湿度(しつど)/鮮度(せんど)]を~。
  ・いつまでも健康を保ちたいと思うが、年をとると難しい。
 ・うちのチームは最近(さいきん)好調(こうちょう)を保っているので、それを維持(いじ)したい。
 ・審判(しんぱん)は常(つね)に中立を保たなければならない。
 ・自動制御(じどうせいぎょ)システムが速度を一定に保っている。
 ・旅客機(りょかっき)が機械(きかい)の故障(こしょう)で高度(こうど)を保てなくなった。
 ・ホテル内は空調設備(くうちょうせつび)で温度がちょうどよく保たれている。
 ・毎日おふろに入り、お肌(はだ)を清潔(せいけつ)に保つことが必要(ひつよう)です。
 ・近づきもせず、遠ざかりもせず、お互(たが)いの関係をこのまま保っていきたい。
 ・国の役割(やくわり)は、平和(へいわ)と秩序と繁栄を保つこと、それに尽(つ)きる。
  ・車を運転するときは、車間(しゃかん)距離を十分にとり、それを保たなければいけない。
  ・野菜(やさい)の鮮度を長く保つ冷蔵庫(れいぞうこ)がよく売れている。

<スル動詞>
[維持(いじ)する]  人ガ ものヲ
 ・この地域の平和を維持することが我部隊の使命である。
 ・学校の先生たちの努力によって、落ち着いた学習環境が維持されている。
[保温(ほおん)する]  人ガ ものヲ
 ・ごはんを炊いたあとそのまま長く保温しておくと、味が落ちないだろうか。
 ・温室の中は冬でも室温30度になるように保温されている。


ささえる(支える)一(ささえない・ささえます・ささえて・ささえれば・ささえよう)
[1]〔もの・人ガ もの・人ヲ〕
 △ささえたい  ささえてほしい  ささえてもらう  ささえなければいけない  
  ささえられない  ささえようとおもう  ささえさせる  ささえられる  ささえろ!
 △[いつも/つねに/よく/しっかりと/がっちり/全身(ぜんしん)で/注意ぶかく]~。
 △[みんなの熱意(ねつい)/声援(せいえん)/協力(きょうりょく)/友人たちの力]が~。
  [あの人の言葉/この本/信仰(しんこう)/家族(かぞく)の愛(あい)]が私をささえてくれる
 ・悪いけれど、危(あぶ)ないからちょっとはしごを支えていてくれないか。
 ・何本もの太い柱(はしら)が重い天井(てんじょう)を支えている。
 ・おじいさんは二人の孫(まご)に支えられながら歩いていた。
 ・みんなの温(あたた)かい気持ちに支えられて、ここまで生きてこられました。
 ・この理論(りろん)を支える客観(きゃっかん)的データはまだ見つかっていない。
 ・夫を早くなくしたので、わたしが働(はたら)いて家族(かぞく)の生活を支えてきました。
 ・観客(かんきゃく)の応援(おうえん)に支えられて、最後まで走りとおしました。
 ・くじけそうになった私は、信仰の力に支えられて何とか立ち直った。
[2]〔人ガ もの・人デ ものヲ〕
 ・看板(かんばん)が風で倒(たお)されないように棒(ぼう)で支えてある。
 ・これ以上川の水が増(ふ)えると、この堤防(ていぼう)では支えられません。(水を)
 ・こんなわずかな兵隊(へいたい)で何倍もの敵(てき)を支えられるはずがない。

<複合動詞:ささえ->
[ささえあう] 人ガ 人ト
 ・年をとった夫婦が支え合って生きている。
 ・左右の構造物が互いに支え合う構造になっている。
   世代間・地域で 住民が 日常を
<スル動詞>
[固定(こてい)する]  人ガ ものヲ  ものニ
 ・棚を金具で柱に固定する。 
 ・当面の間、金利は固定する方針である。
 〔ものガ〕
 ・今のような固定した考え方による経営方針では、会社の将来は危うい。

とっておく(取っておく)  五(とっておかない・とっておきます・とっておいて・とっておけ
  ば・とっておこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △とっておきたい  とっておきましょう  とっておいてもらう  とっておいたほうがいい
  とっておかなければならない  とっておけない  とっておこうとおもう  とっておけ! 
 △[しばらく/いつまでも/一週間だけ/いちおう/念(ねん)のため/かならず/きちんと]~。
  △[新聞/手紙/写真(しゃしん)/メール/記録(きろく)/席(せき)/予備費(よびひ)]を~。
  ・昔の写真や手紙を捨てないで取っておいてあるが、特に必要なわけでもない。
 ・古い雑誌(ざっし)をいちおうとっておいたら、場所をとってしまって困る。
 ・記録はいつまでも取っておいてください。
 ・急いで行って、いちばん前の席をとっておいた。
 ・予備費をいくらかとっておかないと、何かあった時に困るよ。
  ・混むといけないので、念のため新幹線(しんかんせん)の指定席(していせき)をとっておいた。
 ・今は半分だけ食べて、残りはあとで食べるためにとっておこう。

<スル動詞>
[確保(かくほ)する]  人ガ ものヲ
 ・今の工場の近くに新工場の用地を確保することができた。
 ・食料と水を確保することが何よりも先決問題です。
[保管(ほかん)する]  人ガ ものヲ
 ・ここは歴史の貴重な記録を厳重に保管しておくための施設です。
 ・領収書は最低1年保管しておいてください。
 [~の保管をする]
  ・極秘文書の保管をする部屋です。
[保存(ほぞん)する]  人ガ ものヲ
  ・ケーキを冷蔵庫に保存する。
 ・この書類は二十年間保存しなくてはならない。
 [~の保存をする]
  ・村では、古い民家の保存をしようとしている。
[冷蔵(れいぞう)する]  人ガ ものヲ
 ・あまり長い間冷蔵しておくと、腐りはしないが味が落ちてしまう。
 ・冷蔵していない、とれたての魚を食べたい。
  魚・食品・肉を

[14]捨てる・拾う
   
◇すてる
 「捨てる」は、ものを不要になったとして、どこかに置き去ったり、ほうったりすること。
   人ガ ものヲ 所ニ 捨てる
    ゴミをゴミ箱に捨てる  子猫を空き地に捨ててくる
 「捨てる」は方向性を持つので、カラ格をとることがある。
    車の窓からタバコの吸い殻を捨てる
 ひゆ的な用法として、人や抽象物をヲ格にとる用法がある。顧みなくなったり、やめたり、あきら
めたりすること。
   人ガ 人・ものヲ 捨てる 
    恋人・子供を捨てる  職・勝負を捨てる
    望みを捨てる  権利を捨てる  世・命を捨てる
 「捨てたものではない」は、不要に見えてもまだ使い道があり、価値があること。
・複合動詞:「すて-」の形は少なく、「-すてる」の形のものが多い。
 「捨て去る」は、捨ててしまって、もうそれについて考えないこと。
 「捨てきる」は、完全に捨ててしまうこと。   
  「うち捨てる」は、大事なものをかえりみず、ほうってしまうこと。
 「切り捨てる」は、不要な部分を切って捨てること。計算で、必要な桁より小さい部分を零と見な
  して捨てること。
 「投げ捨てる」は、投げるようにして捨てること。ひゆ的に、社会的地位などにも言う。仕事など
  をほうりだしてそのままにすること。
 「脱ぎ捨てる」は、脱いで(かたづけず)そのままにしておくこと。着ている必要がないと考えて脱
  いでしまうこと。ひゆ的に、古い習慣・考え方などをやめてしまうこと。
 「乗り捨てる」は、乗り物から降りて、そのまま去ってしまうこと。
 「振り捨てる」は、振り放すようにして、思い切って捨てる。ひゆ的に使われることが多い。
  「焼き捨てる」は、焼いてしまって捨てること。
 「破り捨てる」は、破って(細かくして)捨てること。
 「読み捨てる」は、読んだあと、(とっておかずに)捨てること。
 「放り出す」は、(乱暴に)ほうって出すこと。ひゆ的に、不要なものとして捨ててしまうこと。仕
  事などを(途中で)やめてしまうこと。   
・スル動詞
 「廃棄する」は、不要になった具体的なものを捨てること。
    ゴミを廃棄する   核兵器を廃棄する
 「放棄する」は、権利や責任などを自分のものと考えないこと。
    責任を放棄してはいけない
◇ひろう
 「拾う」は、下に落ちているものを手で取ること。自分のものになることが多い。
   人ガ ものヲ 拾う
    お金・ゴミを拾う  捨て猫を拾う
 「人ヲ拾う」例として、「タクシーが客を拾う」「失業中の時、社長に拾ってもらった」(雇う)の
ような例がある。
 発展的な意味として、多くのものの中から何かを選んでとる用法がある。カラ格が使われることが
ある。
    町で珍しい音を拾う   言語研究者が新聞から例を拾う
    雑誌の面白そうな所を拾って読む
・複合動詞
 「拾い上げる」は、下にあったものを(よく見るために)手にとること。ひゆ的に、人を不遇な状態
  から助けることなどを言う。
 「拾い集める」は、拾って集めること。
 「拾い出す」は、多くのものから必要なものを選び出すこと。


すてる(捨てる)一(すてない・すてます・すてて・すてれば・すてよう) 
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △すてたい  すてにくい  すててほしい  すてておく  すててある  すててしまう
  すててはいけない  すてなければならない  すてればいい  すてようとする 
  すてさせる  すてられる  すてさせられる  
 △[少し/少しずつ/たくさん/一度に/全部/半分/ほとんど/だいたい/かなり]~。
  [つい/うっかり/わざと/慎重(しんちょう)に/乱暴(らんぼう)に/いいかげんに]~。
  [気をつけて/無責任(むせきにん)に/隠(かく)れて/ひそかに/わからないように]~。
 △[ごみ/たばこ/空(あ)きカン/空き箱(あきばこ)/本/粗大(そだい)ごみ]を~。
 ・ごみはごみ箱(ばこ)に捨てましょう。
 ・無責任(むせきにん)な人に捨てられた小猫(こねこ)が草の中でミャアミャア鳴いている。
 ・いらないものをごみ捨て場に捨ててきた。
 ・タバコはすいがら入れに捨てて下さい。
 ・有害(ゆうがい)なゴミを山の中に不法(ふほう)に捨てる業者(ぎょうしゃ)がいる。
[2]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[国/ふるさと/友だち/家/女/男/恋人(こいびと)/世(よ)/命(いのち)]を~。
 ・まだ望(のぞ)みを捨ててはいけない。助かるかもしれない。
 ・どうかわたしを捨てないで。
 ・こんなよい権利(けんり)はそう簡単(かんたん)に捨てるわけには行かない。
 ・銀行員の職(しょく)を捨てて(=やめて)ボランティアの仕事を始めた。
 ・わたしはこの三つの科目(かもく)はもう捨てた。(=あきらめた)
 ・最後まで勝負(しょうぶ)を捨ててはいけない。
 ・相手(あいて)は命を捨てて(死ぬことをおそれないで)向かってきているから恐(こわ)いぞ。

<複合動詞:すて->
[すてきる] 人ガ ものヲ 
 ・どうしても彼女への未練(みれん)を捨てきれない。
 ・要らないものだと思っても、子供の頃のおもちゃというのは捨てきれないものだ。
   思い・迷いを  ~きれない 可能性が 不安を
[すてさる] 人ガ ものヲ 
 ・過去のみじめな思い出は捨て去った。未来に生きるのだ。
 ・落ちるところまで落ちたんだ。もう変なプライドなどは捨て去ってしまえ。
      思い・過去・金・考え・雑念・職業・友・日本を あっさり 潔く 冷酷に


<複合動詞:-すてる>
[うちすてる] 人ガ ものヲ
 ・昔は、ゴールド・ラッシュでにぎわったこの町も、今では打ちすてられて、おとずれる人もほと
    んどいない。
 ・人間の醜さに絶望した彼はすべてを打ち捨てて仏門に入った。
      金・考え・患者・虚栄心・事業・すべてを
[きりすてる] 人ガ ものヲ
 ・庭木の手入れをした。枝の先のほうは切り捨て、木の形を整えた。
 ・不況の中で企業が労働者を切り捨てようとしていることを許してはいけない。
 ・集計するときは、千円未満は切り捨てて概算を出してください。 
   サービス・弱者・先端・根本・端数・非正規労働者・ムダな部分を 
[なげすてる] 人ガ ものヲ ものニ (ものカラ)
 ・前を歩いていた男がガムの包み紙を道に投げ捨てた。クズがくずを捨てている。
 ・海岸には、船から投げ捨てられたごみが打ち寄せられていた。
 ・車の窓からたばこの吸いがらを投げ捨てるバカがいる。
   空き缶・がらくた・ゴミ・命・重荷・地位・未練・身・生活・責任・偏見を
[ぬぎすてる] 人ガ ものヲ 
 ・砂浜にくつを脱ぎ捨てて、海に足をひたした。
 ・ベッドの上に、上着とズボンが脱ぎ捨ててあった。
 ・古い思想を脱ぎ捨てて、自由に生きよう!
 ・へやにはコートやシャツがらんざつに脱ぎすてられていた。
   衣服・上着・オーバー・靴・下着・殻を 玄関に 無造作に 乱暴に 全部
[のりすてる] 人ガ ものヲ
 ・駅前でタクシーを乗り捨てて、急いで改札に向かった。
 ・犯人は車を駐車場に乗り捨てて逃走したらしい。
 ・駅前には、おそらく盗まれて、乗り捨てられた自転車が何日もそのままになっている。
   車・自転車・タクシーを 駅まで 駐車場に  ~て逃げる
[ふりすてる] 人ガ ものヲ 
 ・恋人も、過去も振りすてて、新しく生きようと思った。
 ・これまでのすべてを振り捨てて、自分の持てる能力だけで道を切り開いてみたい。
      荷物・家族・男・望み・行きがかりを 何もかも
[やきすてる] 人ガ ものヲ 
 ・今の夫と結婚する時に、前の恋人からの手紙はぜんぶ焼きすてました。ウフフ...。
 ・この米はコレラのはやっている国から来たものなので、ぜんぶ焼きすててしまわなくてはなりま
  せん。
      カード・書物・手紙・古い書類・本・小屋を
[やぶりすてる] 人ガ ものヲ
 ・「チクショウ!」彼女ははずれた宝くじをずたずたに破り捨てた。
 ・彼は我々仲間の非婚の誓いを破り捨て、かわいい女性と結婚した。僕もしたいなあ。
      新聞・誓い・手紙・はずれ馬券・包装・メモ帳を ひと思いに
[よみすてる] 人ガ ものヲ
 ・週刊誌は読み捨てるためのもので、じっくり読む価値はない。 
 ・電車の網棚には読み捨てられた新聞がのっている。これを読むのが暇つぶしにいい。

<複合動詞:その他>
[ほうりだす] 人ガ 人・ものヲ ものカラ 
 ・部屋に飛び込んできたセミを捕まえ、窓から放り出した。
 ・市役所の担当者と業者の車がやってきて、ホームレスたちが公園から放り出された。
 ・途中までやった仕事を放り出してはいけない。最後まで責任を持ちなさい。

<スル動詞>
[廃棄(はいき)する]  人ガ ものヲ
 ・ゴミはすべて廃棄するのではなく、リサイクルできるものをまず分別することが必要だ。
 ・不要のものは廃棄すればよい、という考え方を改めなければならない。
 ・核兵器は絶対に廃棄すべきだ。
 [~の廃棄をする]
  ・内戦が終結し、民間人が所有していた武器の廃棄をした。
[破棄(はき)する]  人ガ ものヲ
 ・両国は貿易協定を破棄し、なりふり構わない競争を始めた。
 ・彼は結婚寸前になって婚約を破棄したため、親戚から非難の目で見られた。
  縁談・記録・計画・原判決・条約・密約・約束・遺言状を
 [~の破棄をする]
  ・敗戦の際、軍が多くの記録の破棄をしたため、真実が隠されてしまった。
[処分(しょぶん)する]  人ガ ものヲ             
 ・伝染病に感染した家畜はすぐ処分しなければならない。
 ・図書館で不要となった雑誌を大量に処分した。
 [~の処分をする]
  ・要らないものの処分をするために、大きなゴミ箱を用意した。


ひろう(拾う)五(ひろわない・ひろいます・ひろって・ひろえば・ひろおう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ひろいたい  ひろいそうだ  ひろってみる  ひろってほしい  ひろってはいけない  
  ひろってもらう  ひろわなければならない  ひろわせる  ひろわれる
  ひろえ!  ひろうな!  ひろえない
 △[ときどき/よく/たまに/まじめに/なんとなく/ふと]~。
 △[お金/財布(さいふ)/大金(たいきん)/ゴミ/石/かいがら]を~。
 ・お金だと思って拾ったら、ゴミだった。そのゴミを捨(す)てられなくて、こまった。
 ・一人が一つのゴミを拾えば、それだけで町はかなりきれいになるだろう。
 ・道で財布を拾った。さて、警察(けいさつ)に届(とど)けようか、どうしようか、、、。
 ・大金を落としても、正直(しょうじき)な人に拾われれば、無事(ぶじ)に戻(もど)ってくる。しか
  し、もし私のような人間が拾ったら、、、。
 ・「柿(かき)ピー」のピーナッツを拾って食べていたら、姉に怒(おこ)られた。
 ・子どもが捨て猫(ねこ)を拾ってきてしまい、しかたなく飼(か)うことになった。
 ・車で友だちの家に寄り、友だちとその弟を拾って野球(やきゅう)のグラウンドに行った。
 ・前の会社を首になり、ぶらぶらしていたとき、今の会社の社長に拾われたのです。
 ・タクシーを拾って帰ろう。
 ・作曲家(さっきょくか)が街角(まちかど)で様々(さまざま)な音を拾って作曲に生かしたそうだ。
 ・ひまつぶしに、雑誌(ざっし)の面白(おもしろ)そうな所を拾って読んだ。
 ・小説から動詞の用例を拾うだなんて、まあ、なんというのんびりした仕事だろうか。
 ・戦場で足をけがして、進めなかったおかげで助かった。命(いのち)を拾ったようなものだった。
[2]〔ものガ ものヲ〕
  ・町でマイクを使うと、マイクは私たちの気づかない音を拾ってくる。
 ・タクシーが盛り場(さかりば)で客を拾っている。

<複合動詞:ひろい->
[ひろいあげる] 人ガ ものヲ 
 ・「これは何だ?」彼は床に落ちていたものを拾い上げた。
 ・ごみためのようなあの町からお前を拾い上げてやったのは、このおれだぞ。それを忘れたのか。
   石・カバン・ごみ・ハンカチ・骨・情報を かがんで そっと
[ひろいあつめる] 人ガ ものヲ 
 ・校庭に落ちているごみを拾い集めた。
 ・わけのわからないことで 悩んでいるうち 老いぼれてしまうから 黙りとおした 歳月(としつ 
  き)を 拾い集めて 暖めあおう (歌詞「襟裳岬」吉田拓郎)
   貝殻・ごみ・吸い殻・豆を 記事・言葉を 丹念に 手当たり次第に
[ひろいだす] 人ガ ものヲ ものカラ
 ・たくさん集めた硬貨の中から、自分が生まれた年のものを拾い出して別の箱に入れた。
 ・この文章のポイントを拾い出してみよう。
      石・銅貨・ポイント・要点・事件・言葉・面影・美人を 

[15]得る
 ものを自分のものとすることを表す動詞。「える」が基本的な意味を表す動詞だが、日常的には使
われにくい。「もうかる・もうける」は、金銭を得ることを表す。「得する・損する」は、金銭的・
物質的な得失を表す。

◇える
 「得る」は、あるものを自分のものにすること。古い形は「うる」。漢字表記は同じ。
   人ガ ものヲ える/うる
    仕事をして金を得る  賞品を得る  恋人を得る
 ただし、「ほしかったものを得た」は日常的な言い方ではない。
   ほしかったものを(とうとう) 買った/もらった/とった
のような、具体的な状況・方法を表す動詞を使うほうが日常的な表現になる。単に、「自分のものに
なる」ことを表すには、「手に入れる」がある。
 「受ける」は、具体的なものより抽象的なものがヲ格に来ることが多い。やや書きことば。
    勝利・名声・地位・許可・支持・自信・愛を得る
 スル動詞の受身の形の言い換えになる。「受ける」と同じ用法。
    承認・支持を得る ←承認される・支持される  (承認・支持を受ける)
 最近では、「ゲットする」という言い方が、「得る」の使いにくさの代わりに使われるが、まだ俗
語的である。
 他の動詞について「-える/うる」の形で、「~することができる」という意味を表す。「ある」
などについて、可能性があることを表す。やや書き言葉。「-うる」は、他の変化形はない。
読み得る  なし得る  あり得る  ありえない  そう言いえます
◇もうかる
 「儲かる」は、利益を得ること。事柄自体もガ格の位置に来る。
   人・ものガ もうかる
    あの人はずいぶん儲かったらしい  この仕事は儲かるそうだ
◇もうける
 「儲ける」は、人が利益を得ること。
   人ガ (金を) もうける
    株でかなり儲けた  大金を儲ける
◇とくする
 「得する」は、利益を得ること。「得をする」の話しことば。
   人ガ とくする
    株の値上がりでずいぶん得した
◇そんする
 「損する」は、利益を失うことのほか、時間や労力についても言う。「損をする」の話しことば。
   人ガ そんする
    円が下がって損した   事故で回り道になり、時間を損した


える(得る) 一(えない・えます・えて・えれば・えよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △えたい  えてほしい  えておく  えてある  えてしまう  えたほうがいい
  えなければならない  えさせる  えろ! えるな!  えられそうだ えられない
 △[少しずつ/かんたんに/努力して/ようやく/幸(さいわ)いに]~。
 △[お金/代金(だいきん)/収入(しゅうにゅう)/奨学金(しょうがくきん)]を~。
  [賞(しょう)/金賞/勝利(しょうり)/名声(めいせい)/栄誉(えいよ)]を~。 
  ・毎日朝から晩まで働いて、わずかな収入を得、家族を養(やしな)ってきた。
 ・先生はドーナツの形からヒントを得て、この理論(りろん)を考え出したそうです。
 ・きょうの実習(じっしゅう)経験(けいけん)で、いろいろ教訓(きょうくん)を得ました。
 ・いい仕事をして、名声を得るまではいいが、そこからあとが難しい。
 ・皆さんの温かい励(はげ)ましの言葉(ことば)に力を得ました。
 ・病(やまい)を得て、二か月ほど入院(にゅういん)していました。
 ・きょうの会は中山先生もいらっしゃるから、お話をうかがえば得る所が大きいでしょう。
 △[よい仲間(なかま)/信頼(しんらい)できる友人/温(あたた)かい家族(かぞく)]を~。
  ・この会に参加して、よい仲間を得ることができ、とても感謝(かんしゃ)しています。
 ・こんな私でも、世話(せわ)をしてくれる方があって、今では温かい家族を得ています。
 △[許可(きょか)/承認(しょうにん)/共感(きょうかん)/支持(しじ)/協力(きょうりょく)/
   理解(りかい)/自信(じしん)/了解(りょうかい)]を~。  
 ・クラスのみんなの承認を得なければ、この案は実行できない。
 ・大川さんの意見は多くの人の共感を得た。
 ・子どもの言うことだから、何度聞いても、どうも要領(ようりょう)を得ない。
 ・ここに掲示(けいじ)を出すには、役所(やくしょ)の許可を得なければならない。
  ・国民から支持を得ていると言うが、多くの独裁政権(どくさいせいけん)はそういうものだ。
〔-える/うる〕
 ・そんなことは絶対(ぜったい)にあり得(え)ません。
 ・そういうことを言いうるとすれば、それはあの人だけだ。


もうかる(儲かる)  五(もうからない・もうかります・もうかって・もうかれば)
[1]〔人・ものガ〕
 △もうかりそうだ  もうかってほしい  もうからないとこまる  もうからせる 
 △[少し/少しずつ/急に/ずいぶん/びっくりするほど/かならず/まちがいなく]~。
  ・あの店はいつも混(こ)んでいるので、かなりもうかっているだろう。
 ・今回の仕事でずいぶんもうかった。
 ・競馬(けいば)でもうかったなんていうが、それまでにずいぶんとられているはずだ。
 ・あいつは株(かぶ)で百万円儲かったそうだ。こんどおごらせよう。
 ・最近うまい話がなくて、儲からない。いい儲け話(ばなし)はないか。
 ・何をやれば儲かるかなんて考えていてはいけない。まじめに仕事をすれば、自然に儲かるものだ。
 ・現場監督(げんばかんとく)が時間をまちがえて早く解散(かいさん)したので、1時間もうかった。


もうける(儲ける)  一(もうけない・もうけます・もうけて・もうければ・もうけよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △もうけたい  もうけてはいけない  もうけられない  もうけようとする  もうけさせる
  もうけられる  もうけろ!  もうけるな!
 △[少し/少しずつ/急に/ずいぶん/びっくりするほど/かならず/まちがいなく]~。
  △[仕事/競馬(けいば)/パチンコ/宝(たから)くじ/マージャン]で~。
 ・今回の仕事でずいぶんもうけた。
 ・最近は景気(けいき)が回復(かいふく)してきて、デパートもかなり儲けているらしい。
 ・誰(だれ)かが儲ければ、誰かが損をしている。そのことを忘れないように。
  ・一人だけ儲けようと思うとうまくいかない。みんなが儲けられるような方法を考えるべきだ。
 ・金を儲けるには、努力と運が必要だ。
 

そんする(損する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ〕
 △そんしたくない  そんしてはいけない  そんしないようにする  そんさせられる
 △[大きく/少し/うっかり/まるっきり/ひどく/かなり]~。
 ・バブルの時、株で大きく損(を)したが、その後はなんとか地道に商売を続けてきた。
  ・外国語は勉強して損(を)するということはない。いや、何ごとも勉強は損ではない。
  ・言わなくていいことを言って、損(を)したなあ。
  ・大きく損しないようにやっていると、けっきょく大きく得することもない。
  ・「損して得とれ」というのは、小さな損をあえてすることで、その後で大きな得をとれというこ
  とだ。


とくする(得する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △とくしたい  とくするようにする  とくしたほうがいい
 △[大きく/少し/運良(うんよ)く/たまたま/かなり]~。
 ・小さなことで得してみても、みんなに嫌(きら)われたら大きな損だ。
  ・あいつは、公平(こうへい)に、と言いながら、うまく自分だけ得(を)するようにやっている。
  ・なんだかんだ言っても、結局(けっきょく)最後に得(を)した者が頭がいいということだ。
 ・小さく損して、大きく得しろ。

<スル動詞>
[獲得(かくとく)する]  人ガ ものヲ
 ・政権を獲得した暁には、皆様のご支援に感謝して、大減税を行う所存です。
 ・総選挙で野党が過半数の議席を獲得し、政権交代が実現した。
 ・サービスを拡張して、新規ユーザーを10万人獲得した。
[得点(とくてん)する]  人ガ
 ・応援しているチームが得点(を)したのでとてもうれしかった。
 ・無死満塁、これから得点(を)しようというところで野球中継が終わりになった。
[入手(にゅうしゅ)する]  人ガ ものヲ
 ・珍しい酒を入手した。一杯飲みに来ないか。
 ・極秘の書類を入手しようと、産業スパイが暗躍している。
   怪文書・金・切符・原稿・情報・データ・土地・パスポート・リスト

[16] 歌う・踊る
  音楽・舞踊・演劇などの芸術活動に関する動詞表現。

◇うたう
 「歌う」は、高低や長短をつけて声を出すこと。「歌を歌う」という言い方もする。ひゆ的に、鳥
の声についても言う。
   人ガ ものヲ うたう
       名曲を歌う  人の前で歌を歌う  花は咲き、鳥は歌う
 自分の気持ちや考えを詩や歌に作ること。文章や言葉の中である考えをはっきりととりあげること。
   人・ものガ ものヲ (ものニ) うたう
       自然の美しさを歌った詩  反戦思想を短歌に歌う  平和をうたう憲法
・複合動詞「歌い上げる」は、声を張り上げて歌うこと。気持ちなどを詩や歌などに心を込めて表す
こと。(重要なこととして)はっきりと書き、主張すること。
・スル動詞「合唱する」は、大勢の人が声を合わせて歌うこと。特に、いくつかの声部に分かれて歌
うこと。
◇おどる
 「踊る」は、(音楽に合わせて)手足・体を動かして、何かを表現すること。「踊りを踊る」という
言い方もする。
   人ガ ものヲ おどる
    盆踊り・フォークダンスを 踊る
・複合動詞
 「踊り明かす」は、踊り続けて夜を明かすこと。
 「踊り狂う」は、狂ったように踊ること。
 「踊り出す」は、踊り始めること。(「躍り出す」との違いに注意。→「躍る」)
 「踊り通す」は、(ある時間の)最後まで踊り続けること。
 「踊りまくる」は、勢いよく踊り続けること。
◇まう
 「舞う」は、歌や音楽に合わせて手足や体を動かし、何かを表現すること。「舞(まい)を舞う」と
いう言い方もする。小さなものが(空中で)回るように動くこと。
     人ガ ものヲ まう
       神楽を舞う  一曲舞う
   ものガ まう
       雪・ほこりが 舞う
・複合動詞:「まい-」の形のものがある。「舞うように~する」という意味を表す。
 「舞い上がる」「舞い上げる」「舞い落ちる」「舞い降りる」「舞い散る」は、「舞うように~する」
こと。「舞い込む」は、舞うように入ってくること。ひゆ的に、思いがけないものが来ること。
 「舞い戻る」は、他の所へしばらく離れていたものがまた戻ってくること。
◇えんじる
 「演じる」は、舞台・映画などである役をすること。ひゆ的に、組織や事件の中である役割・立場
を果たすこと。人目につくような行動をすること。
   人ガ ものヲ えんじる
    主役を演じる  指導的な役割を演じた  酔って醜態を演じる
・スル動詞
 「演技する」は、見る人の前で、劇の役や競技の技などを演じること。ひゆ的に、本心を隠して別
  の態度をとってみせることを言う。
 「主演する」は、映画・演劇で主役となって演じること。
 「演出する」は、劇や映画・放送などで、脚本に基づき、俳優の演技や装置などを指示し、上演・
  撮影などを効果的におこなうこと。
 「脚色する」は、小説や事件を劇や映画にできるように脚本を作ること。ひゆ的に、事実を誇張し
  て面白く語ること。
◇ひく
 「弾く」は、弦楽器・鍵盤楽器などで音楽を演奏すること。ヲ格には、曲または楽器をとる。
   人ガ ものヲ ひく
    ピアノで「赤とんぼ」を弾く   ギターを弾く
・複合動詞
 「かき鳴らす」は、ギター・琴などの弦楽器を(つめで掻くようにして)鳴らすこと。
・スル動詞
 「演奏する」は、音楽を楽器などを使って表現すること。歌うことも「演奏」に入れる場合もある。
ヲ格には、曲または楽器をとる。
   人ガ ものヲ 演奏する
    交響曲・小曲を 演奏する   ピアノ・三味線を 演奏する


うたう(歌う) 五(うたわない・うたいます・うたって・うたえば・うたおう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △うたいたい  うたってほしい  うたってはいけない  うたわないほうがいい
  うたわなければならない  うたわせる  うたわれる  うたおうとする
  うたえ!  うたうな!  うたえない
 △[大きな声で/みんなで/一人で/ささやくように/泣きながら/しんみり]~。
 △[国歌(こっか)/歌(うた)/民謡(みんよう)/歌曲(かきょく)]を~。
 ・山本さん、あの歌を歌ってください。
 ・人前で歌うのはあまりすきじゃないんです。
 ・「花」は人見さんのとくいな歌だ。ぜひ人見さんに歌ってもらおう。
 ・小鳥(ことり)があちこちで歌っている。
[2]〔人ガ ものデ/ニ ものヲ〕
 △[共同声明(きょうどうせいめい)/条約(じょうやく)]にこの事を~。
  [世界(せかい)の平和(へいわ)/経済協力(けいざいきょうりょく)]を~。
 ・日本の憲法(けんぽう)には戦争放棄(せんそうほうき)がうたってある。
 ・その条約(じょうやく)には次の三つの事がうたわれている。
 ・この事は決議(けつぎ)の中でうたってある。
[3]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 ・短歌(たんか)は、喜(よろこ)びや悲(かな)しみを31字のことばに歌ったものです。
[4]〔人ガ 文ト〕
 ・若いころは天才とうたわれた兄も今ではただのおとうさんだ。
 ・この島(しま)は地上の楽園(らくえん)とうたわれている。
 ・日本の憲法は戦争(せんそう)をしないことをうたっている。


<複合動詞:うたい->
[うたいあげる] 人・ものガ ものヲ
 ・この詩は、ふるさとに対する詩人の想いを叙情豊かに歌い上げたものだ。
 ・採択された宣言は、人権の尊さを高らかに謳いあげている。
      歌い上げる:愛・哀感・愛の喜び・悲しさ・風物を 情感豊かに 朗々と
   謳い上げる:基本的自由・宣伝文句・人間の権利・友好を
<スル動詞>
[合唱(がっしょう)する]  人ガ ものヲ
 ・卒業式で校歌を合唱した。 
 ・音楽の時間に、かなり難しい歌を合唱させられた。


おどる(踊る)五(おどらない・おどります・おどって・おどれば・おどろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おどりたい  おどりつづける  おどってみる  おどってみせる 
  おどってほしい  おどってはいけない  おどらないほうがいい
  おどらせる  おどられる  おどらせられる  おどろうと思う  おどれ!  おどるな!
 △[たのしそうに/うつくしく/優雅(ゆうが)に/軽(かろ)やかに]~。
  [いっしょに/みんなで/いやいや]~。
 △[踊り/盆(ぼん)踊り/ダンス/タンゴ/ワルツ]を~。
 ・大勢(おおぜい)の人がホールで踊っている。
 ・もう10曲(きょく)も踊ったから、つかれました。
 ・ゆかたを着た人が大勢音楽(おんがく)に合わせて踊っている。
 ・はじめは踊っている人が少なかったが、やがて、大勢(おおぜい)が踊りだした。
 ・私とこのワルツを踊ってくれませんか。
  ・最後(さいご)の踊りだけはあなたと踊りたい。
[2]〔ものガ〕
 △[心/胸(むね)/言葉(ことば)/字]が~。
 ・いよいよあしたは留学(りゅうがく)に出発(しゅっぱつ)する。それを思うと、うれしくて心が踊
  るようだ。
 ・はじめのころは、デートの前の晩(ばん)はうれしくて胸が踊ったものだ。思えばあのころは良か
  ったなあ。
 ・旅行(りょこう)がよほど楽しいのだろう。えはがきの言葉が踊っているようだ。
 ・酒(さけ)でものみながら、この手紙(てがみ)を書いたんだろう。字が踊っている(=字がそろっ
  ていない)。

<複合動詞:おどり->
[おどりあかす] 人ガ
 ・私たちは朝まで踊り明かすつもりだ。
 ・昨夜は一晩中踊り明かし、みんな朝になってから部屋に戻って寝た。
   徹夜で 朝まで 今宵 一晩中
[おどりくるう] 人ガ
 ・大勢のわかい男女がロックの音楽に合わせて踊りくるっている。
 ・古典芸能の会で、髪を振り立てて踊り狂うようなすばらしい舞いを見た。
[おどりだす] 人ガ 
 ・大学合格の知らせを聞いたときは、うれしくて踊り出したいほどだった。
[おどりとおす] 人ガ 
 ・学生たちは、一晩中踊りとおした。
 ・この難しい曲を最後まで踊り通すのは大変なことだ。
[おどりまくる] 人ガ 
 ・さあ、試験が終った。今夜は思いっきり踊りまくろう。
 ・二人はレコードを替えながら、楽しそうに何十曲も踊りまくった。
      朝まで ふらふらになるまで  次から次へと相手を変えて


まう(舞う)  五(まわない・まいます・まって・まえば・まおう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △まいたい  まってほしい  まわなければならない  まえない  まわせる  まえ!
 △[美しく/優雅(ゆうが)に/やわらかく/静かに/鶴(つる)のように/あでやかに]~。
  △[舞(まい)/日本舞踊(ぶよう)/神楽(かぐら)]を~。
  ・名人(めいじん)が優雅に舞うのを見ていると、まるで雲の上で舞っているようだ。
 ・鶴(つる)が舞うように翼(つばさ)を動かしている。
[2]〔ものガ (ものニ/デ)〕
  ・木の葉が風に舞っている。
  ・風に舞う雪を見ていると、昔(むかし)のことを思い出す。
 ・強い風に吹き上げられて、木の葉が舞っている。
[3]〔ものガ (所ニ/ヲ)〕
 ・一羽(いちわ)の鷹(たか)がゆうゆうと空を舞っている。
  ・この絵は、雪が空に舞うありさまを幻想的(げんそうてき)に描(えが)いたものだ。
▽「舞う」は、文学的な表現。

<複合動詞:まい->
[まいあがる] もの・人ガ 所ニ
 ・コンドルは強く羽ばたいて、大空に舞い上がっていった。
 ・強い風が吹き、校庭の土ぼこりが舞い上がった。
 ・かわいい子からラブレターをもらって、彼は舞い上がっていた。
[まいあげる] 人ガ ものヲ 所ニ
 ・春の風が校庭のほこりを舞い上げている。
 ・突風に舞い上げられた落ち葉が空を舞っている。
[まいおちる] ものガ 所ニ
 ・枯れ葉がひらひらと舞い落ちる秋の夕暮れ、公園で空を見上げていた。
 ・桜の花びらが風に吹かれ、流れるように舞い落ちる中を二人で歩いてみたい。
[まいおりる] ものガ 所ニ
 ・一羽の鶴が雪の上に軽やかに舞い降りた。何と優雅な鳥なんだろう。
 ・その日、私は幸せな一夜を恋人と過ごした。コウノトリが舞い降りてきたのは、たぶんあの夜な
  のだろう。
[まいこむ] ものガ 所ニ
 ・窓を開けるとあたりは一面の雪景色で、かすかに降る雪がちらちらと舞い込んできた。
 ・調子のいい時にはいいことが続くもので、うちの店にうまい話が舞い込んだ。
[まいちる] ものガ 所ニ
 ・落ち葉の舞い散る停車場で、亡くなった妻によく似た人を見かけた。
 ・小雪の舞い散るゲレンデで、僕らは思う存分スキーを楽しんだ。


えんじる(演じる)  一(えんじない・えんじます・えんじて・えんじれば・えんじよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △えんじたい  えんじてみる  えんじてはいけない  えんじられない  えんじさせる
 △[上手(じょうず)に/うまく/見事(みごと)に/派手(はで)に]~。
  △[役(やく)/主役(しゅやく)/役割(やくわり)/醜態(しゅうたい)]を~。
 ・彼女は新作(しんさく)の映画で主役を演じた。
 ・新人が難しい役をうまく演じきった。  
 ・彼はパーティーで醜態を演じてしまった。
 ・二つの会社は派手な販売合戦を演じ、マスコミで話題になった。
 ・この物質(ぶっしつ)の合成(ごうせい)には、ある酵素(こうそ)が重要な役割を演じている。
  ・毎日、うその自分を演じているような気がする。
                        
<スル動詞>
[演技(えんぎ)する]  人ガ ものヲ
 ・俳優はうれしさや悲しさを演技してはいけない。悲しく感じている人になりきるのだ。
 ・彼女、うれしそうな顔をしていたけど、あれは演技していたね。本当は不満なんじゃないか?
[演出(えんしゅつ)する]  人ガ ものヲ
 ・彼女は新年から始まるテレビドラマを演出することになった。
 ・今回の円安を陰で演出しているのは彼らに違いない。
[脚色(きゃくしょく)する]  人ガ ものヲ
 ・小説をテレビドラマのために脚色した。
 ・ずいぶん話が脚色されているね。実際の事件とはずいぶん違う。
[主演(しゅえん)する]  人ガ (ものニ)
 ・初めてテレビドラマで主演することになった。
 ・あの映画で主演した俳優と会えるなんて、夢みたいだ。


ひく(弾く) 五(ひかない・ひきます・ひいて・ひけば・ひこう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ひきやすい  ひきたがる  ひいてみたい  ひいてみせる  ひいてほしい 
  ひいてくれる・あげる  ひかなければならない  ひこうとおもう  ひかせる
  うまくひけない  ひけるようになる  ひかせてもらう  ひくのがうまい
 △[うまく/じょうずに/みごとに/ゆっくり/はやく/楽しそうに/いやいや]~。
 △[ピアノ/オルガン/バイオリン/エレクトーン/琴(こと)/三味線(しゃみせん)]を~。
 ・あなたがピアノを弾くとはおどろいた。
 ・もう長いこと弾いていないから、うまく弾けるかなあ。
 ・中西くんはフルートがふけるし、ギターも弾けるし、ドラムもたたけるそうだ。たいしたものだ。
 ・ショパンを2、3曲(きょく)弾いてくれませんか。
 ・あんな風にじょうずにピアノが弾ければいいなあ。
 ・何かしずかな曲を弾こうか。
 ・ピアノを弾きながらうたうことを「弾きがたり」と言う。

<複合動詞>
[かきならす] 人ガ ものヲ    
 ・彼は激しくギターを掻き鳴らし、その音楽に合わせて彼女が踊った。
 ・大勢の奏者が三味線をかき鳴らす様は壮観だった。
<スル動詞>
[演奏(えんそう)する]  人ガ ものヲ
 ・人前でピアノを演奏するのは初めてで、とても緊張した。
 ・友達に結婚式でフルートの美しい曲を演奏してもらった。 

[17]吸う・吐く
 人間が生きていくために空気(酸素)や水などを体に入れる、基本動作を表す動詞。それ以外に、液
体や言葉などにも言う。機械やその他のものが気体や液体を中に取り入れること。
                         
◇すう
 「吸う」は、人・動物が口を通して気体・液体などを体内に入れること。
   人・ものガ ものヲ 吸う
    新鮮な空気を吸う  赤ちゃんがほ乳瓶(のミルク)を吸う  ホコリを吸ってしまった
    タバコを吸う  蚊が血を吸う
 ポンプ・掃除機など「吸う」ための機械もある。ひゆ的にものが水分を取り入れることも言う。
    その掃除機はゴミをよく吸う   ふとんが湿気を吸う
 吸ったものの到着点をニ格で示すことがある。 
    肺いっぱいに冷たい空気を吸う  
 複合動詞:「すい-」の形のものが多い。方向を示す「-上げる・込む・出す」の類と、「吸う」
ことによって達成される動きの「-つく・つける・とる・よせる」がある。
  「吸い上げる」は、吸って上に上げること。ひゆ的に、利益や一般の人の意見などにも言う。
 「吸い出す」は、吸って外へ出すこと。吸い始めること。 
 「吸い込む」は、吸って中に入れること。液体がものに染みて入っていくことも言う。ひゆ的に、
  人が何かの中に入っていく動きなどにも言う。
    ポンプが 地下水を吸い上げる/泥水を吸い出す
    国民の意見を吸い上げる   新生児が乳を吸い出す
    煙を肺に深く吸い込む  布がインクを吸い込む  ビルに人々が吸い込まれていく
 「吸い付く」は、吸ってぴたりと付くこと。磁力などにも言う。
 「吸いつける」は、吸って引きつけること。磁力などにも言う。いつも吸って慣れていること。
    ひるが足に吸い付く  磁石が砂鉄を吸い付ける  吸い付けているタバコの銘柄
 「吸い取る」は、ゴミや液体などを吸って外に出す、または液体が染みて出ていくようにすること。
  ひゆ的に、他人の金銭・利益などを取ってしまうことを言う。
 「吸い寄せる」は、吸って近くへ引き寄せること。ひゆ的に、人などを(魅力で)引き寄せること。
    掃除機がゴミを吸い取る  吸い取り紙でインクを吸い取る  
        彼女の魅力に吸い寄せられる  街灯が虫を吸い寄せる
・スル動詞  
 「呼吸する」は、「息を吐く・吸う」動作を合わせて表す。
    都会の空気を呼吸する
 「吸収する」は、ものが液体などを吸い取ること、ひゆ的に人が知識などを得ることを表す。
    ぞうきんがこぼれた水を吸収する  多くの人と話してその考え方を吸収する
◇はく     
 「吐く」は、人・動物が口を通して気体・液体などを体外に出すこと。
   人ガ ものヲ はく 
    息を大きく吸い、ゆっくり吐く   赤ちゃんがミルクを吐いた  道につばを吐く
 ひゆ的に、ことば・気持ちなどをヲ格にとる用法がある。
    汚いことばを吐く   弱音を吐く
・複合動詞:「はき-」の形のもの。方向を示す「-出す・かける」と、吐いたことによって達成さ
れる「-捨てる・散らす」がある。どれもひゆ的に、「言う」動作を表す用法がある。
 「吐き出す」は、口から体に入れたものを、吐いて出すこと。ひゆ的に、思いを強く言ったり、貯
  めた金やものを(全部)出すこと。(「掃き出す」は別の語)
    息・つば・種・骨を 吐き出す  思いを吐き出す  もうけを吐き出させる
 「吐きかける」は、人やものに対して、吐いたものがかかるようにすること。ひゆ的に、強い言い
    方で言うこと。吐きそうになること。
    窓に息・つばを 吐きかける  相手に汚い言葉を吐きかけた  吐きかけたが我慢した
 「吐き捨てる」は、口の中のものを吐き出して捨てること。短い言葉を冷たく言うこと。
    スイカの種を吐き捨てた  呪いの言葉を吐き捨てるように言う
 「吐き散らす」は、回りに散るように吐くこと。ひゆ的に、言葉についても言う。
      口に含んだ水を吐き散らす  ののしり言葉を吐き散らした
    

すう(吸う)五(すわない・すいます・すって・すえば・すおう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △すいそうだ  すいかける  すってしまう  すってはいけない  すってみる  
  すったことがある  すわなければならない  すおうとおもう  すわせる  すわれる
 △[大きく/深く/小さく/少し/胸(むね)いっぱい/急いで/あわてて/しずかに]~。
  [ちょっと/ゆっくり/のんびり/きもちよさそうに/おもわず/ためしに]~。
 △[息(いき)/空気(くうき)/タバコ/母乳(ぼにゅう)/ガス]を~。
 ・赤ん坊がおいしそうにおっぱいを吸っている。
 ・ストローでビールを吸ってみると、まったく別のものに感じるのはなぜだろう。
 ・「息(いき)を吸って。止(と)めて。はい。」これでエックス線写真はとりおわった。
 ・ここでタバコを吸ってはいけません。
 ・イライラしてくると、どうしてもタバコを吸わずにはいられなくなる。
 ・町を歩いていると、いやでも自動車の排気(はいき)ガスを吸わされてしまう。
 ・この下着(したぎ)はよく汗(あせ)を吸いますから、健康(けんこう)に良いですよ。
 ・ふとんが湿気(しっけ)を吸ってしまっているので重い。
 ・吸いかけの火のついたタバコを道に捨(す)てる人がいる。何というアホだ。
 ・蚊(か)は人や動物の血(ち)を吸って生きている。

<複合動詞:すい->
[すいあげる] 人ガ ものヲ 
 ・地下室に入った水をポンプで吸い上げた。
 ・この掃除機はごみを吸い上げる力がこれまでの製品の3倍あります。お買い得ですよ。
   インク・ガス・水分・毒・水・養分・金・利益・意見・声を ポンプで 
[すいこむ] 人ガ ものヲ (ものニ) 
 ・朝の冷たい空気を胸にいっぱい吸い込んだ。
 ・吸い込んだ水をはやく吐き出しなさい。
 ・泥水が穴の中に吸い込まれていった。
 ・ベッドに倒れ込むと、すぐに眠りに吸い込まれていった。
   湿気・臭い・タバコ・体臭・大気・煙・ガス・空気・息・音・綿ぼこりを
   胸いっぱいに 肺の中に 深く 深々と 充分に 大きく 勢いよく
   ~まれる 足音・言葉・水が 穴の中・空・土に 眠り・闇・夢の中に 
[すいだす] 人ガ ものヲ (ものカラ) 
 ・探検家は、毒虫に刺されたところを自分で噛み切って、血を吸い出した。
 ・本棚の間の狭いところにペンを落としてしまった。掃除機で吸い出そうとしたが、なかなかうま
  くいかない。
 ・私は18の時にタバコを吸い出したが、20になった時、ばかばかしさに気づいてやめた。
   膿・痰・毒を 中身を  
[すいつく] ものガ ものニ
 ・ヒルが足に吸いついて離れない。気持ち悪い。
 ・磁石(じしゃく)に釘が吸いついた。
   ほこり・唇が ヒルが 足・地面・肌に 磁石に ぴったりと 隙間なく
[すいつける] 人・ものガ ものヲ
 ・スイッチを入れると、電磁石が鉄片を吸い付けるので、穴から空気が流れます。
 ・電車に乗ったとたん、目が車内広告に吸い付けられた。タレントの○○が結婚!? 
 ・タバコを吸い付けていないと、人のタバコの煙が気になる。
   目を タバコを 磁石で  ~られる 目が新聞に
[すいとる] ものガ ものヲ
 ・掃除機はごみを吸い取る機械ですが、お金も吸い取ってしまいます。
 ・彼はどうしたんだ? 魔女に精気を吸い取られたみたいに元気がないな。
   汗・生き血・栄養分・水分・力・精気・熱・光・蜜・物音・知識を たっぷり
[すいよせる] 人ガ ものヲ
 ・磁石が鉄を吸い寄せるように、彼女は男の視線を吸い寄せる。
 ・窓から流れるうまそうな甘い匂いが客を吸い寄せ、店が繁盛するというわけだ。
   意識・観光客・視線・目を ~られる 明かり・磁石・匂い・魅力に ふらふら
<スル動詞>
[吸収(きゅうしゅう)する]  人・ものガ ものヲ
  ・この布(ぬの)はよく水を吸収します。
  ・わたしたちはどんどん新しい知識を吸収していかないと、時代の進歩に遅れてしまう。
[呼吸(こきゅう)する]  人・ものガ ものヲ
  ・山へ行って新鮮な空気を呼吸する。
  ・人間や動物だけでなく、植物も呼吸する。
  ・都会の空気を呼吸した人間が田舎へ帰ってくると、せわしなくなっていけない。


はく(吐く)五(はかない・はきます・はいて・はけば・はこう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はきたくなる  はいてしまう  はいたほうがいい  むりにはかせる
 △[とつぜん/急に/何度も/くりかえし/ひどく]~。
 △[息(いき)/ミルク/牛乳(ぎゅうにゅう)/食べた物/ことば]を~。
 ・「息を吸って。止(と)めて。はい、吐いて。」バリウムを飲んで、胃(い)の検査(けんさ)だ。
 ・ふかーく息を吸って、ゆっくり静かに息を吐いて出す。これを10回くり返しましょう。
 ・赤ちゃんにミルクを飲ませたあとは、吐いてしまわないように、せなかをかるくたたいてげっぷ
  をさせておくといいですよ。
 ・赤んぼうが硬貨(こうか)をのみこんだ。いそいで吐かせよう。
 ・バスに長い時間のっていたら、気持ちが悪くなって吐いてしまった。
 ・つまは時々、きついことばを吐く(=言う)ようになった。

<複合動詞:はき->
[はきかける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・汽車の窓ガラスに息を吐きかけ、指で字を書いた。「.uoY evol I」と。
 ・将軍は、テレビに映った敵国の大統領に向かって呪いの言葉を吐きかけた。
 ・せきが出て、たんを吐きかけたが、何とかがまんした。(=吐きそうになった)
  息・唾・痰・呼気・呪いの言葉・罵詈雑言を ぺっと
[はきすてる] 人ガ ものヲ 
 ・口に入れたら、へんな味がしたので急いで吐き捨てた。
 ・憎しみの言葉を、吐き捨てるように言った。
   痰・唾・スイカの種・荒い言葉・無念さを  怒りを
[はきだす] 人ガ ものヲ (ものカラ) 
 ・ごはんをかもうとすると、何かガリッと歯にあたる物があるので、吐き出した。
 ・一口食べると苦いので、これはおかしいと、吐き出した。
 ・機関車は煙突から煙を吐き出しながら、海岸を走っていく。
 ・通行人を襲った高校生は、取調べの警察官に心の中にたまっているものを吐き出すように話し始
  めた。
 ・当局は、暴力団関係の会社に隠していたもうけを吐き出させた。
   泡・息・汚物・牛乳・空気・ため息・痰・ガム・唾・水を 怒り・恨み・思いのたけ・声・
   言葉・悩み・本音・胸の中のわだかまりを 税金・内部留保・もうけを
   一気に 大量に 大きく ゆっくりと 胸にたまっていたものを  駅から~れる
[はきちらす] 人ガ ものヲ (所ニ)
 ・がつがつとスイカを食べ、種をあたりに吐き散らした。
 ・オーディションで不合格となった俳優は、捨てぜりふを吐き散らして部屋を出ていった。
      皮・唾・毒舌・捨てぜりふを 口汚いののしりの言葉を ぺっぺっと

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