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◇対物2◇

[5] 焼く・煮る・炊く

   焼く      焼き上がる 焼き上げる 焼き直す  
     焼ける
     煮える  煮えたぎる 煮え立つ 煮え切らない
     煮る      煮くずれる 煮こぼれる 煮込む 煮立つ 煮立てる 煮詰まる 煮詰める

     炊く      炊きあがる 炊きあげる 炊き込む
     炊ける
     蒸す
     あぶる
     炒める
     ゆでる    ゆであがる
      料理する 調理する 炊事する 自炊する

[6] 食べる・飲む

   食べる    食べ飽きる 食べあさる 食べ歩く 食べかける 食べきる 食べ過ぎる   
          食べ損なう・食べ損ねる 食べ散らかす 食べつける 食べ尽くす 

          食事する 外食する 間食する
     食う   食い荒らす 食い殺す 食い過ぎる 食い散らかす 食い尽くす 食いつなぐ
          食いつぶす 食い詰める 食いはぐれる  
     飲む   飲み明かす 飲み歩く 飲みかける 飲み下す 飲み込む  飲み干す

[7] かむ・かじる・なめる

    かむ     かみ合う かみ合わせる かみ切る かみ砕く かみこなす かみ殺す  
          かみしめる かみつく かみつぶす
     かじる    かじりつく  聞きかじる
     なめる    なめ尽くす なめ回す
     くわえる
     しゃぶる
     すする

[8] 縫う・編む

   縫う      縫い上がる 縫い上げる 縫い合わせる 縫い込む 縫いつける 縫い直す 
     編む      編み上げる 編み出す
     織る      織り上げる 織り込む 織り出す 織りなす 織り交ぜる
     繕う

[9] 着る・着せる・脱ぐ

   着る   着飽きる 着替える 着飾る 着崩す 着崩れる 着こなす 着込む  
          着つける 着通す 着流す 着慣れる 着膨れる 着古す
     着せる  着せ替える 着せかける
     かぶる
    かぶせる
     はく   履き替える 履き違える 履きつぶす 履き慣れる 履き間違える
     脱ぐ   脱ぎ捨てる 脱ぎ揃える 脱ぎ散らかす
     脱げる
    脱がす

[10] 洗う・掃く・拭く

   洗う  洗い上げる 洗い落とす 洗い清める 洗い出す 洗い直す 洗い流す  
          洗濯する
     掃く   掃き集める 掃き清める 掃き捨てる 掃き出す 掃き寄せる
          清掃する 掃除する
     拭く   拭き消す 拭き取る
     磨く   磨き上げる 磨き込む
     ぬぐう  ぬぐい去る ぬぐい取る
     ゆすぐ すすぐ  脱水する

 

 

[5] 焼く・煮る・炊く
  料理に関する動詞。熱を加えて食品を食べられるようにする。

◇やく
 「焼く」は、食品に火の熱を加えて食べられるようにすること。
   人ガ ものヲ 焼く
    魚・もち・のりを 焼く
 火を直接当てることが基本だが、フライパンなどを使って熱を加えることも「焼く」と言う。
    卵を焼く   焼きめし(=チャーハン)
 「パンを焼く」は、工場で製品としてのパンを製造することと、家庭でそのままでも食べられるも
のにさらに加熱することも言う。
・時間の表現と「焼く」
   5分焼く  火を使った時間が5分。料理ができた(「焼けた」)かどうかはわからない。
   5分で焼く 5分過ぎると、料理ができている。「焼けている」
・複合動詞は、完了を表す「-あがる」、完了させることを表す「-あげる」、再度の動作を表す「-
直す」などがある。
    パンが焼き上がる   ギョウザを焼き上げる   肉を焼き直す   
◇やける
 「焼ける」は、「焼く」に対応する自動詞で、火の熱によって食べ物が食べられるようになること。
   ものガ 焼ける
    肉・魚が 焼けた
・時間の表現と「焼ける」
   5分で焼ける  「焼く」ことが完了し、食べられる。
  ×5分焼ける   こう言わない。     
 (調理以外の「焼く・焼ける」の用法は→「状態変化」)
◇にる
 「煮る」は、野菜・魚・肉などを水の中で加熱して、食べられるようにすること。
   人ガ ものヲ にる
    肉・魚・野菜・うどんを 煮る    
・複合動詞
 「煮くずれる」は、煮(すぎ)て、中のものの形がくずれてしまうこと。
 「煮こぼれる」は、汁などが煮えたって、なべの外へあふれ出ること。
 「煮込む」は、時間をかけて十分に煮ること。いろいろな材料を一緒に煮ること。
 「煮立つ」は、湯が十分に熱せられ、材料がよく煮えること。
 「煮立てる」は、煮立つようにすること。よく煮ること。 
 「煮詰まる」は、煮えて水分や汁がなくなること。ひゆ的に、議論が出つくして結論を出す段階に
  なること。
 「煮詰める」は、水分や汁がなくなるまで煮ること。ひゆ的に、十分に議論をして、論点をはっき
  りさせ、結論を出せる段階にすること。
◇にえる
 「煮える」は、「煮る」に対応する自動詞で、野菜・魚・肉などが水の中で加熱された結果、食べ
られるようになること。
   ものガ にえる
       肉・魚・野菜・うどんが 煮える 
・複合動詞
  「煮えたぎる」は、湯などが沸騰して盛んに泡立つこと。
 「煮え立つ」は、湯などが沸騰して盛んに湯気を出すこと。十分に煮えること。
 「煮え切る」は、十分に煮えること。「煮え切らない」は、ひゆ的に、人が態度をはっきりさせず、
ぐずぐずすること。
◇たく
 「炊く」は、米に水を加え、加熱して食べられるようにすること。結果としてできるものをヲ格に
とることもある。
   人ガ ものヲ たく
    米を炊く  ご飯を炊く
・複合動詞
 「炊きあがる」は、炊いていたご飯ができあがること。
 「炊きあげる」は、ご飯を炊いて、食べられるようにすること。
 「炊き込む」は、米と一緒に肉・魚・野菜などを入れて炊くこと。
◇たける
 「炊ける」は、「炊く」に対応する自動詞で、炊いたものが食べられるようになること。
      ものガ たける
    ご飯が炊けた  米が炊ける
◇ゆでる
 「ゆでる」は、熱湯の中へしばらく入れて煮ること。
   人ガ ものヲ ゆでる
    卵・そば・スパゲッティ・ほうれん草を ゆでる
 複合動詞「ゆであがる」は、ゆでているものが充分に食べられる状態になること。
◇いためる
 「炒める」は、食品に少量の油を加え、鍋などで加熱して食べられるようにすること。
   人ガ ものヲ いためる
    野菜・肉を 炒める
◇むす
 「蒸す」は、蒸気に当てて熱すること。そうして食品を温め、食べられるようにすること。また、
湿度が高く、暑く感じられること。
   人ガ ものヲ むす 
     ご飯・もち米・鶏肉・栗を 蒸す  タオルを蒸す / 今夜はひどく蒸す
◇あぶる
 「あぶる」は、火に当てて温める、または焼くこと。
   人ガ ものヲ あぶる
    火鉢で手をあぶる  スルメをあぶって食べる
・スル動詞
 「料理する」は、材料に手を加えて、食事を作ること。ひゆ的に、物事をうまく処理すること、相
  手をうまく制することをいう。 
 「調理する」は、(仕事として、おおぜいの人の)食物を料理すること。 
 「炊事する」は、家族や自分のために(毎日)食事を作ること。
 「自炊する」は、(毎日の)食事を自分で作ること。 


やく(焼く)五(やかない・やきます・やいて・やけば・やこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[魚(さかな)/肉(にく)/もち/のり/ソーセージ/パン]を~。
  [ケーキ/クッキー/餃子(ぎょうざ)/お好(この)み焼き/パン]を~。 
 △やきすぎる  やいてほしい  やいてもらう  やいてある  やいたほうがいい
  やかなければならない  やかせる  やけ!  やくな! 
 △[じっくり/こんがりと/きつね色に]~。
 ・そろそろお肉を焼きましょうか。
 ・母は日よう日によくケーキを焼いてくれる。
 ・こんがり焼いたトーストにたっぷりバターをぬった。
 ・この肉は強火(つよび)で焼いたほうがいい。
 ・「この肉はもう少し焼こうよ」「そうだね。もうちょっと弱火(よわび)でじっくり焼けばいいん
  じゃない?」
 ・父は庭(にわ)でごみを焼いています。
 ・おちばを焼く白いけむりがとおくに見える。

<複合動詞:やき->
[やきあがる] ものガ
 ・この店は、パンが焼きあがるのを待って、店の前に客が並ぶほど有名なパン屋だ。
 ・おまたせしました。ステーキがおいしく焼き上がりました。さあ、どうぞ。
[やきあげる] 人ガ ものヲ 
 ・お好み焼きをおいしく焼き上げるには、いろいろとコツがあるのですよ。
 ・二日かかっておさらを200まい焼き上げた。
[やきなおす] 人ガ ものヲ 
 ・肉がよく焼けていなかったので、もう一度焼きなおした。


やける(焼ける)一(やけない・やけます・やけて・やければ) 
[1]〔ものガ〕
 △[魚(さかな)/肉(にく)/もち/のり/ソーセージ/パン]が~。
  [パン/ケーキ/クッキー/餃子(ぎょうざ)/お好(この)み焼き]が~。  
 △パンが焼けすぎた/焼けすぎだ  まっ黒に焼けてしまった
 ・パンがおいしそうに焼けましたよ。
 ・トーストがこんがり、いい色に焼けた。
 ・肉の焼ける、いいにおいがする。
 ・この肉はあんまりよく焼けていない。もうちょっと焼いたほうがいい。
 ・さあ、おもちが焼けました。あついうちにどうぞ。


にえる(煮える)一(にえない・にえます・にえて・にえれば) 
[1]〔ものガ〕
 △にえやすい  にえにくい  にえそうだ  にえすぎる  にえてくる
 △[よく/すぐに/おいしく/おししそうに/やわらかく]~。
 △[肉(にく)/野菜(やさい)/魚(さかな)/うどん]が~。
 ・さあ、うどんが煮えましたよ。
 ・なべは、煮えにくいものを先に入れておくといいですね。
 ・そろそろ煮えてきたかなあ。煮えすぎないようにしてね。
 ・この季節(きせつ)は食中毒(しょくちゅうどく)が多いので、よく煮えていないものを食べないよ
  うに気をつけて下さい。
 ・この肉(にく)はもう煮えたから食べられますよ。
 ・今日のおでんはおいしく煮えた。

<複合動詞:にえ->
[にえたぎる] ものガ
 ・自らの無実を証明するため、煮えたぎる釜の中に手を入れようとした。
 ・あいつがうちの娘にしたことを考えると、腹が煮えたぎる思いがする。
   熱湯・やかん・湯・鍋・怒り・血・熱いもの・憤懣が 胸の奥で 
[にえたつ]  ものガ
 ・雑炊がぐつぐつと煮え立ってきて、いい香りが漂ってくる。
 ・あいつへの恨みが胸の中で煮え立つようだ。いつか殺してやる。
   油・雑炊・鍋・水・頭・憤り・恨みが ぐつぐつと いい具合に 
[にえきらない] 人ガ
 ・「はい」だか「いいえ」だか、はっきりしない、じつに煮え切らない男だ、あいつは。


にる(煮る)一(にない・にます・にて・にれば・によう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △にすぎる  にてはいけない  にたらだめだ  にないといけない
  にてもらう  にようとおもう  にられる
 △[よく/じっくりと/ゆっくり/おいしく/ぐつぐつと/中までよく]~。
 △[肉(にく)/野菜(やさい)/魚/シチュー/豆(まめ)/おでん]を~。
 ・母が台所(だいどころ)で大根をにています。
 ・お腹(なか)をこわしたので、母がおかゆをにてくれた。
 ・豚肉(ぶたにく)はじゃがいもといっしょに煮るとおいしい。
 ・はじめにコンブを煮て、だしをとります。
 ・ジャガイモはよーく煮ないといけない。中途半端(ちゅうとはんぱ)な煮かたではおいしくない。
 ・今晩は肉でも煮ようと思うんだけど、それでいい? 

<複合動詞:に->
[にくずれる] ものガ
 ・長く煮ていたら、ジャガイモがぐずぐずに煮崩れてしまっていた。
 ・煮崩れたタマネギが、形は悪いけれど、なかなかいい味になっている。
   じゃがいも・玉ねぎ・栗が  とろっと ~直前で火を止める
[にこぼれる] ものガ
 ・なべが煮こぼれそうになったら、弱火にして下さい。
 ・うどんを煮るときは、油断をすると大量に煮こぼれてしまうことがある。
   鍋・煮汁が  大量に 沸騰して 油断をすると
[にこむ] 人ガ ものヲ 
 ・シチューは長い時間をかけて煮こんだ方がおいしい。
   うどん・おでん・豆腐・肉・野菜を とろ火で 中火で 煮崩れるまで
[にたつ] ものガ
 ・コンロにかけたやかんが煮立ってきた。
 ・充分煮立ったお湯にかつお節を入れます。
   鍋・湯・鉄瓶が ぐらぐらと ぐつぐつ
[にたてる] 人ガ ものヲ
 ・汁を充分煮立ててから、別の容器に移します。
 ・スープは煮立てすぎないように注意して下さい。
   汁・液・スープ・湯を
[につまる] ものガ
 ・なべを火にかけておいたのを忘れ、スープが煮詰まってしまった。
 ・議論を繰り返すうちに、問題が煮詰まってきた。あと少しだ。
   汁・ジャム・話・計画・事態・考え・頭の中が
[につめる] 人ガ ものヲ 
 ・砂糖を溶かして煮詰めておきます。
 ・この点について、議論をもう少し煮詰めておいたほうがいい。
   汁・ソース・話・議論・言葉・不安を


たく(炊く・焚く)五(たかない・たきます・たいて・たけば・たこう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △たきはじめる  たいてほしい  たいておく  たいてある  たいてもらう
  たかなければならない  たこうとする  たかせる  たかれる    
 △[すぐ/急いで/あわてて/のんびり/ゆっくり/ひとりで/何とかして]~。
 △[御飯(ごはん)/おかゆ]を~。
 ・御飯だけは炊いておきますから、おかずを何か買ってきてください。
 ・今御飯を炊いていますから、食事はもう少しまってください。
  ・お客さんが来るので、多めにご飯を炊かないといけない。
 ・明日は7時にご飯を炊こうと思うんだけど、それで間に合う?

<複合動詞:たき->
[たきあがる] ものガ
 ・おいしい炊き込みご飯が炊きあがり、いい匂いがあたりに広がった。
 ・炊きあがるまでもうちょっと待ってね。
[たきあげる] 人ガ ものヲ 
 ・10人分の御飯をこの釜(かま)で炊き上げた。
 ・この炊飯器がご飯をふっくらと炊きあげてくれるので、毎日食べ過ぎてしまう。
   ご飯・飯を ふっくらと 煮物を柔らかく 
[たきこむ] 人ガ ものヲ ものニ 
 ・お米といっしょに豆やたけのこを炊き込んだ御飯を「炊き込み御飯」といいます。
 ・今度は魚介類を炊き込んだのを食べてみたいな。
   イモ・蛤を 充分に きのこを入れて

たける(炊ける)  一(たけない・たけます・たけて・たければ)
[1]〔ものガ〕
 △たけそうだ  たけている  たけないとこまる  
 △[やっと/そろそろ/すぐに/ふっくらと/おいしそうに/やわらかく]~。
  △[米(こめ)/ご飯(はん)]が~。
  ・「ごはん、炊けたかな?」「うん、もう炊けて(い)るよ」「よし、食べよう!」
 ・この炊飯器(すいはんき)で炊き込みご飯を炊くのは初めてだ。おいしく炊けるといいんだけど。


むす(蒸す)  五(むさない・むします・むして・むせば・むそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △むしてもらう  むさなくてはならない  むそうとおもう  むさせる  むすな!
 △[よく/じっくり/芯(しん)まで/ゆっくり/ふかふかに]~。
  △[ご飯(はん)/もち米(ごめ)/鶏肉(とりにく)/栗(くり)/タオル]を~。
  ・もち米を蒸して、よくついてから、適当な大きさに丸める。
 ・おやつに、蒸し器(き)でまんじゅうを蒸して食べた。
 ・床屋(とこや)で蒸したタオルを顔にのせてくれるが、ときどき熱(あつ)すぎることがある。
[2]〔ものガ〕  
 ・今夜はひどく蒸しますね。


あぶる(焙る)  五(あぶらない・あぶります・あぶって・あぶれば・あぶろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △あぶってみる  あぶってはいけない  あぶってくれる  あぶろうとする  あぶるな!
 △[かるく/じっくりと/ゆっくり/のんびりと]~。
  △[肉/昆布(こんぶ)/切り餅(きりもち)/するめ/手先(てさき)/足の裏(うら)]を~。
 ・弱火(よわび)でスルメをあぶって、少しずつ千切(ちぎ)りながらかじった。
 ・遠火(とおび)でじっくりとあぶった肉はうまいよぉ。
 ・軽くあぶった昆布をかみしめながら酒を飲んだ。
 ・建物(たてもの)の中に入ると、昔ながらのだるまストーブで手をあぶった。
  ・私の祖父(そふ)は、昔ながらの火鉢(ひばち)で手先をあぶりながら、子どものころの思い出を話
  すのが好きだった。


いためる(炒める)  一(いためない・いためます・いためて・いためれば・いためよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △いためたい  いためておく  いためてほしい  いためてもらう  いためようとする
  いためさせる  いためろ!  いためるな!
 △[よく/じっくり/急いで/のんびり/ざっと/軽(かる)く/手早(てばや)く]~。
  △[ご飯(はん)/肉/野菜(やさい)/ベーコン/ほうれん草/もやし]を~。
 ・残ったごはんを軽く炒めて食べた。
  ・肉と野菜を油で炒め、スープを作って夕食(ゆうしょく)の出来上(できあ)がり。
 ・タマネギを炒めた時の、あの香りがたまらなくいい。
 ・母さんが卵とベーコンを炒めてくれた。
  ・炒めたご飯と卵焼(たまごや)き、それにお味噌汁(みそしる)。安上がりだけどおいしい。
   

ゆでる(茹でる)  一(ゆでない・ゆでます・ゆでて・ゆでれば・ゆでよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ゆでておく  ゆでてもらう  ゆでないほうがいい  ゆでさせる  ゆでろ! 
 △[じっくり/充分(じゅうぶん)に/固(かた)く/やわらかく/急いで]~。
  △[卵(たまご)/うどん/スパゲッティ/野菜(やさい)/ほうれん草(そう)]を~。
 ・遠足(えんそく)のお弁当(べんとう)に、母が卵をゆでてくれた。
 ・卵はあまり固くゆでないほうが好きだ。半熟(はんじゅく)よりはちょっと固めに。
  ・うどんをゆでて、卵を割り入(わりい)れ、月見(つきみ)そばにして食べた。
 ・ビールのつまみに枝豆(えだまめ)をゆでてもらって一杯(いっぱい)やった。最高!
 ・絹(きぬ)を作るには、カイコのまゆを熱湯(ねっとう)でゆでるんだそうだ。かわいそうに。

<複合動詞:ゆで->
[ゆであがる] ものガ
 ・おそば、もうそろそろゆであがったんじゃない? ゆですぎるとやわらかくなっちゃうよ。
 ・卵がゆであがるのを待っていると、けっこう時間がかかる。

<スル動詞>
[料理(りょうり)する]  人ガ ものヲ
 ・母は魚を料理するのがじょうずだ。
 〔人ガ 人・ものヲ〕
 ・私ではこの相手はうまく料理できない。
 [~の料理をする]
  ・きょうは何かキノコの料理をしようと思うんだけど、何がいい?
[調理(ちょうり)する]  人ガ ものヲ
 ・昔は魚を調理すると煙が出て大変だったが、今のグリルはそういうことがない。
 ・生肉を調理するのは苦手だという主婦が増えてきた。
 [~の調理をする]
  ・野菜の調理をするときは、ビタミンを壊さないように注意する。
[炊事(すいじ)する]  人ガ
 ・キャンプ場で炊事したあとは、きちんと片づけて下さい。
 ・毎日炊事することの面倒くささは男には分からない。
[自炊(じすい)する]  人ガ 
 ・私は毎日3回の食事をすべて自炊しています。
 ・留学したとき、自炊はせず3食とも外食で済ませた。

[6]食べる・食う 飲む     
 人の生命維持に必須の飲食に関する動詞表現を見る。「食べる」「のむ」「食う」「召し上がる」「い
ただく」などである。「召し上がる」「いただく」は「食べる・飲む」の敬語動詞である。「食う」は
逆にぞんざいな表現。

◇たべる
 人・動物が食物を口から体内に取り入れること。多くの場合、かんでからのみこむ。
   人・動物ガ ものヲ たべる
    米・パン・そば・お菓子・肉・魚・野菜を 食べる
 「食べる」とは、人が他の動物と同じように食物を口から体に取り入れることだが、人は動物と違
って文化として習慣的に「食事(を)する」ようになった。そこで、「ご飯を食べる」の「ご飯」は、
「米を炊いたもの」以外に「食事」を意味するようになった。
    昼ご飯はもう食べた? (パンでもめん類でも言える)
 「食べる」ことは生命維持が目的であるから、「生活を成り立たせる・生きていく」意味になる。
    何とか食べていく    この給料なら食べられる・食べていける
 「食べる」の使役形「食べさせる」は、人、特に家族を養うという意味で使われることがある。
    何とか家族を食べさせていかなければならない
 「食べる」の可能形「食べられる」は、話しことばでは「食べれる」の形でよく使われる。 
    おなかいっぱいで、もう食べれない
 動物が動物を食べるとは、すなわち殺すことである。したがって、「(動物に)食べられる」は、
殺されることを意味する。複合動詞「食い殺す」は、動物が動物を食べることを表す。
◇くう
 「食う」は、「食べる」のぞんざいな言い方だが、ひゆ的な用法が発展している。
   人・動物ガ ものヲ くう
 まず、「食べる」と同じく「食っていく」という表現がある。
    バイトの収入では食っていけない
 「時間・予算を食う」というと「~がかかる」の意味になる。
   ものガ ものヲ くう
    ガソリンを食う車  時間を食う作業  
 その他に、「蚊に食われる」「人を食った話」「一杯食った」「泡を食う」「何食わぬ顔をする」など
の慣用的表現がある。
◇その他の動詞表現
 「食べる」に相当する動詞表現はこの他にもさまざまなものがある。
 「口にする」は、「口に入れる」を意味し、「料理を口にする」とすると「食べる」ことを表す。
    客は料理をほんの少し口にしただけだった
 「かじる」は、歯で食物の一部分を削り取ることだが、「せんべい・リンゴをかじる」は「(少し
ずつ)食べる」ことを表す。
       弟はマンガを読みながらせんべいをポリポリかじっていた
 「つまむ」は指で物を挟んで持つことだが、「お菓子をつまむ」とすると、食べることを表す。
    どうぞそこのクッキーでもつまんでいてください
  「ほおばる」は、食べ物をほおがふくらむほど口に入れることを表し、つまり食べることになる。
    子どもたちは喜んでお菓子をほおばっていた
 アメの類は、「なめる」「しゃぶる」が「食べる」の代わりに使われる。
    「このアメ、食べる?」「ううん。今、別のをなめてるから、いい(=要らない)」
       幼児が大きなキャンディーをおいしそうにしゃぶっている
 以上のような動詞は、食べ物がヲ格に来ることで「食べる」意味になる。
◇のむ
 「のむ」は、本来、液体を口から体に入れるというだけでなく、かまずに体に入れる意味で、液体
以外のものにも使える。(「呑む」という表記を使うことがある)
    人・動物ガ ものヲ のむ
    水を飲む  薬をのむ  生卵をのむ   スイカの種をのんでしまう
 「薬をのむ」場合は粉末でも錠剤でも言う。また、「蛇が蛙をのむ」とも言う。複合動詞「のみこ
む」は、その点を際立たせた表現である。
 「のむ」は、ひゆ的に「波が人を呑む」「相手を呑んでかかる」「要求を呑む」などの表現がある。
受身の形でも使われる。
    町が波にのまれる  相手にのまれてしまって何も言えない
 「飲む」は「酒を飲む」意味で使われることも多い。
    一杯飲まないか
◇敬語表現
 尊敬を表す「召し上がる」、謙譲を表す「いただく」は、「食べる・飲む」の両方に対応する。
 尊敬の「召し上がる」は、「上がる」の形でも使われる。
    何か召し上がりますか   どうぞお召し上がりください  どうぞお上がりください
 謙譲の「いただく」は、授受動詞(もの・恩恵を受ける意味を表す)として多く使われるが、「食
べる・飲む」」意味でも使われる。
    おいしい料理をいただきました    紅茶をいただきます
・複合動詞
 「食べ飽きる」は、そのものを何度も食べ、飽きてしまったこと。
 「食べあさる」は、いろいろなものを探し回って食べること。
 「食べ歩く」は、あちこちを回って食べること。
   毎日同じもので食べ飽きた  お菓子を食べあさる  地方の名物を食べ歩く
 「食べかける」は、食べようとする、あるいは少し食べ始めること。
 「食べ切る」は、そこにあるものをすべて食べてしまって、残さないこと。可能形の否定「食べき
    れない」の形でもよく使われる。
   食べかけてやめた  出された料理を食べきった  食べきれない量の料理
 「食べ過ぎる」は、ちょうどよい量以上に食べること。
 「食べ損なう・食べ損ねる」は、何らかの事情により食べられなかったこと。  
   毎日食べ過ぎて太った  会話に夢中でケーキを食べ損ねた
 「食べ散らかす」は、食べ方が悪く、食べた後の状態が散らかっていること。
 「食べつける」は、そのものを何度も食べて慣れていること。
 「食べ尽くす」は、全部食べてしまうこと。
   子供が食べ散らかした後を片づける  食べつけた味がいい  料理を食べ尽くした   
・「食う」の複合動詞には、「食い飽きる・食い歩く・食い散らかす・食い尽くす」など「食べる」
 の場合と同じ動詞が後ろについたものがあり、それらは単に丁寧さが低い表現である。
 「食い荒らす」は、いくつかの料理を、食べた後が汚くなるような食べ方をすること。
 「食い殺す」は、動物が他の動物の体を食べて殺すこと。なお、「×食べ殺す」とは言わない。人
  は、動物を食べる場合、殺してから食べるからか。
 「食いつく」は、しっかりとかみついて食べようとすること。ひゆ的に、何かに強くついて離れな
  いことや、相手に激しく議論を迫ることなどを表す。
 「食いつなぐ」は、少ない食べ物を食べて生き延びること。
 「食い詰める」は、収入がなくて暮らしていけなくなること。
 「食いはぐれる」は、食事を食べそこなうこと。収入がなくなり、暮らしていけなくなること。
・「飲む」の複合動詞は、「飲む」が「酒を飲む」の意味になっているものがある。
 「飲み明かす」は、酒を飲んで夜を明かすこと。
 「飲み歩く」は、あちこちの店で酒を飲み続けること。
 「飲みかける」は、飲もうとする、あるいは少し飲み始めること。
 「飲み下す」は、飲んで、胃のほうへ送り込むこと。
 「飲み込む」は、飲んで、胃のほうへ入れること。また、かまずにのむことを強めて言う。ひゆ的
  に、言おうとした言葉を言わないこと、何かを理解することなどを表す。
 「飲み干す」は、容器に入った液体をすべて飲んでしまうこと。 
・スル動詞
 「食事する」は、毎日決まった回数、ほぼ決まった時間に習慣的にものを食べること。
 「外食する」は、家や寮の食堂などで食べるのではなく、外の店で食事をすること。
 「間食する」は、決まった食事の間に何かを食べること。


たべる(食べる)一(たべない・たべます・たべて・たべれば・たべよう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △たべたい  たべやすい  たべにくい  たべてみる  たべておく  たべてほしい
  たべていく  たべてはいけない  たべなければならない  たべようとする 
  たべさせる  たべられる  たべさせられる  たべろ!  たべるな! 
 △[ぱくぱく/ムシャムシャ/もぐもぐ/がつがつ/ペロッと/おいしそうに/まずそうに]~。
  [はしで/ナイフとフォークで/手で/手を使って]~。
 △[ご飯(はん)/パン/お菓子(かし)/野菜(やさい)/果物(くだもの)/肉(にく)]を~。
 ・学生たちは食堂(しょくどう)でひるごはんを食べています。
 ・この動物は草(くさ)や木の葉(は)を食べて生きています。
 ・動物と動物がたたかって負(ま)けると、負けたほうは勝(か)ったほうに食べられてしまう。
 ・けさは卵(たまご)とノリでごはんを食べた。(=卵とノリといっしょにごはんを食べた。)
 ・ゆうべはごはんを4杯(はい)も食べてしまった。
 ・出されたものは、のこさないでみんな食べなさい。
 ・A:もしもし。
  B:はい、ああ、お父さん。
   A:お父さんはいま駅についたところだ。ごはんを先に食べはじめていいよ。
 ・ステーキもいいが、毎日食べていると、あきるね。
 ・食べれば食べるほど、ふとるものだ。
 ・A:このキノコは食べられますか。
  B:あ、それは毒(どく)があるから、食べるとおなかをこわしますよ。
 ・わたしは何でも食べますが、量(りょう)は食べない(=量は少ない)んですよ。
 ・ごはんを食べかけたところへ電話がかかって来て、しゃべっていたら、ごはんがさめてしまった。
 ・パーティに私の好きな料理が出ていたが、人と話していたので食べそこなった(食べそこねた)。
  ・もっと野菜を食べろとみんな言うけれど、あんまり野菜は好きじゃないんだよなー。
[2]〔人ガ〕
 ・こんな安い給料(きゅうりょう)では食べて行けません(=生活(せいかつ)できない)。
 ・「何をやって食べているんですか」「アルバイトで何とか食べています」
 ・会社が倒産(とうさん)してしまった。何とか食べていく道を考えないといけない。
  ・生きるために食べるのか、食べるためだけに生きているのか。

<複合動詞:たべ->
[たべあきる] 人ガ ものヲ
 ・正月のお節料理はおいしいけれど、何日も続くと食べ飽きるね。
 ・学生食堂の料理はいい加減食べ飽きた。実家に帰って母の料理を食べるとほっとする。
   お節料理を いい加減 ~ほど食べ続ける
[たべあさる] 人ガ ものヲ
 ・野良犬がゴミ捨て場に捨てられた残り物を食べあさっている。
 ・うちの幼児は自分のおやつを食べあさると、親の分にまで手を伸ばしてくる。
[たべあるく] 人ガ ものヲ
 ・日本中を食べ歩いてどこにおいしいものがあるかを知り尽くした人だ。
 ・一年かけて、この商店街の食べ物屋を片っ端から食べ歩いた。
  うまいもの・日本各地を 片っ端から あちこち
[たべかける] 人ガ ものヲ
 ・中華料理のフルコースを少し食べかけたところへ、緊急の用事が入った。
 ・出された料理を食べかけて、何か怪しいと気付き、料理人の顔をもう一度見た。
[たべきる] 人ガ ものヲ   (+全部)
 ・高い割においしくなかったが、もったいないので全部食べきった。
 ・食べきれない量のごちそうが出て、夢のようだった。(食べきる+できる→食べきれる)
[たべすぎる] 人ガ ものヲ 
 ・正月に食べ過ぎて2キロ太ってしまった。
 ・成人病を予防するため、食べ過ぎないように注意している。
   甘いもの・油の多いものを 間食を 夕食に 夜中に
[たべそこなう・そこねる] 人ガ ものヲ
 ・せっかく出張で名産地に行ったのに、時間がなくて郷土料理を食べ損なった。
 ・午前も午後も会議が続き、それぞれやたら長引いて、昼飯を食べ損なったよ。
   ウナギ・おいしいもの・昼飯・料理を
[たべちらかす] 人ガ ものヲ 
 ・パーティーのあとには、食べ散らかした料理の皿が片づけを待っていた。
 ・親戚がたくさん集まり、おおいに飲み、食べ散らかして帰っていった。
   お膳・弁当・料理を
[たべつける] 人ガ ものヲ 
 ・この猫は高級なキャットフードを食べ付けているので、残り物は見向きもしない。
 ・都会の料理もいいが、食べ付けたふるさとの味はいいね。
   魚・肉を  ~ない西洋料理 
[たべつくす] 人ガ ものヲ  
 ・子供たちは、たくさん作ったおかずをきれいに食べ尽くした。
 ・あの人は日本中を旅して、有名な郷土料理は食べ尽くしたらしい。
   あらゆるものを 料理という料理は
<スル動詞>
[食事(しょくじ)する] 人ガ 
  ・今日はどこか外で食事(を)しましょう。
 ・忙しくなる前に食事(を)しようと思っていたのだが、その暇はなかった。
[外食(がいしょく)する] 人ガ
 ・土曜の夕食は外食(を)することにしています。 
 ・自炊で食費を節約しているが、たまには外食(を)しておいしいものが食べたい。
[間食(かんしょく)する] 人ガ
 ・健康のため、ごはんをきちんと食べ、間食(を)しないようにしましょう。
 ・よくないとはわかっていても、ついつい間食(を)してしまう。

 
くう(食う)五(くわない・くいます・くって・くえば・くおう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △くいたい  くいかける  くってくる  くったほうがいい  くわないほうがいい
くえる  くおうとする  くわれる  くわせる  くわされる  くえ!  くうな!
 △[がつがつ/むしゃむしゃ/たらふく/はらいっぱい]~。
 △[飯(めし)/食い物/何か/うまいもの/ごちそう]を~。
 ・あー、食った、食った。ちょっと食い過ぎたなあ。
  ・「何か食うか?」「いや、いいよ。駅でそばを食ってきた」
 ・ひさしぶりに会ったんだから、いっしょにメシでも食おう。
 ・こんな物、人間の食う物じゃない。
 ・朝飯を食いかけたとき、電話ですぐ来いと呼び出され、そのまま夜まで何も食えなかった。
 ・あのやろう、俺の分まで食いやがった。俺にも何か食わせろ! 
 ・働け! 働かないやつは飯を食うな! 
[2]〔人ガ〕
 ・こんな安い給料では食って行けないよ。
 ・会社をやめさせられたら、何をやって食って行こうか。
 ・いいかげんな仕事をして、これまで何とか食ってきた。
[3]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[作業(さぎょう)が時間/機械(きかい)が電気/車がガソリン/荷物(にもつ)が場所]を~。
 ・こんなにガソリンを食う車は初めてみたよ。
  ・庭の草取りをしたら、ずいぶん蚊(か)に食われた。 (蚊にさされた)
 ・急に難しい質問をされて、あわを食ってしまった。 (非常にあわてる)
 ・それはまたずいぶん人を食った話だね。 (人をバカにした話)
 ・あいつの話を信じてしまい、一杯(いっぱい)食わされた。 (だまされた)
 ・前の晩、泥酔(でいすい)して騒いでいたのが、次の日会ったら、何食わぬ顔をして仕事をしてい
  たよ。 (何も知らない、自分とは関係ないというような顔)

<複合動詞:くい->
[くいあらす] 人・ものガ ものヲ
 ・山のサルが畑の芋を食い荒らすので農家が困っている。
 ・子供の友達がやってきて、我が家のお菓子を食い荒らしていった。
   イモ・木の芽・作物・内部・農作物・葉・実を  害虫が  市場を
[くいころす] ものガ 人・ものヲ
 ・羊がオオカミに食い殺されてしまった。
 ・食い殺したりはしないから、そんなにおれを怖がるな。
[くいすぎる] 人ガ ものヲ
 ・みんなで鍋をつついている時、おまえは食い過ぎるとよく言われる。
 ・正月にモチを食い過ぎて、3キロ太ってしまった。
[くいちらかす] 人・ものガ ものヲ
 ・宴会で酔っ払いが食い散らかした後を片付けていると、情けなくなってくる。
 ・男子部員が食い散らかしたあとを女子マネージャーが片づけている。これもジェンダー差別だ。
   菓子・魚・料理を 粗末に 汚く あれこれ
[くいつくす] 人・ものガ ものヲ
 ・十年も同じ工場の食堂で食べていると、どのメニューも食い尽くしたという気がする。
 ・男たちは出された料理をすべて食い尽くし、もっと出せと騒ぎ始めた。
[くいつなぐ] 人ガ 
 ・ひどいかぜで買い物にもいけなかったが、家にある食料で何とか食いつないだ。
 ・短期のアルバイトをいろいろやって、その日その日を食いつないでいた。
   その日その日を 今ある食料で なんとか 細々と
[くいつぶす] 人ガ ものヲ
 ・かれは親の財産を食いつぶして遊び暮らした。
 ・小説家になろうと会社を辞めて「背水の陣」でがんばったが、貯金を食いつぶして、アルバイト
  で働かなければならなくなった。
   家・財産・資金・資産・貯金・土地・農園を
[くいつめる] 人ガ
 ・彼は都会で食い詰めて夜逃げし、ふるさとに戻ってきた。
 ・あいつは東京で名をあげると言って町を出たが、結局食い詰めて戻ってきた。
[くいはぐれる] 人ガ ものヲ
 ・ゲームをやっていたら、食堂の営業時間が終わってしまい、夕食を食いはぐれた。
 ・公務員になれば、不況になっても食いはぐれることはないから安心だ。


のむ(飲む・呑む)五(のまない・のみます・のんで・のめば・のもう)(未完)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[水/おちゃ/コーヒー/スープ/みそしる/酒(さけ)]を~。[たばこ/薬(くすり)]を~。
  [要求(ようきゅう)/条件(じょうけん)/提案(ていあん)/しめされた額(がく)]を~。
 △のみたい  のみつづける  のんでしまう  のんではいけない  のまなければならない
  のんだほうがいい  のもうとする  のませる  のまれる  のませられる  
 △[少し/たくさん/十分/どんどん/続けて/たまに/よろこんで/いやいや/進んで]~。
 ・弟は牛乳(ぎゅうにゅう)を毎日1本ずつ飲んでいます。
 ・父は酒を飲むとあばれる。
 ・医者(いしゃ)から酒もたばこも飲まないように言われた。
 ・1日に何本たばこをおのみですか。
 ・うちの子はなかなかくすりを飲もうとしないのでこまっています。
 ・こんなひどい条件(じょうけん)はとてものめませんよ。(=うけられない)。
 ・会社は組合(くみあい)の要求をのんで、4000円のベースアップをおこなった。
 ・人がプラットホームからおちたので、そこにいた人は「あっ」と声をのんだ。
 ・熱戦(ねっせん)を息(いき)をのんで見守った。
 ・みんな固唾(かたず)をのんで見守った。
 ・涙(なみだ)をのんで国が提示(ていじ)する条件を受け入れた。
 ・赤ん坊がコインをのんでしまったのではないかと思い、大人たちはあわてた。
[2]〔人・ものガ 人ヲ〕
 ・どんな時でもあいてにのまれるのではなく、あいてをのんでかかるくらいの気持ちでやりなさい。
  (=圧倒(あっとう)する)
 ・その場のふんいきにのまれて、実力(じつりょく)を出せなかった。
 ・あの人の迫力(はくりょく)にはたいていの人がのまれてしまうんですよ。
[3]〔ものガ もの/人ヲ〕
 △[川の流れ/大波]が[ボート/たてもの]を~。
 ・濁流(だくりゅう)が次(つぎ)から次へと岸(きし)の家をのんでいった。(=家がながされた)
 ・友だちのうしろすがたは人波(ひとなみ)にのまれて、あっという間に見えなくなった。

<複合動詞:のみ->
[のみあかす] 人ガ ものヲ 
 ・学生時代の友人に偶然会って、夕べは久しぶりに飲み明かした。
 ・若い頃は、毎週土曜は飲み明かすという無茶なことをやっていた。
      酒を 朝まで とことん 友だち・仲間と 一晩
[のみあるく] 人ガ 
 ・昔は彼とよく飲み歩いたものだ。外に出ると夜が明けていた、ということもよくあった。
 ・あちこちの行きつけの店を飲み歩き、終電に乗れず、仲間と朝まで語り合った。
[のみかける] 人ガ ものヲ
 ・風呂から出てビールを少し飲みかけた時、課長から至急集まれと連絡があった。あーあ。
 ・朝、顔を洗って、野菜ジュースを飲みかけたが、今日は健康診断があることを思い出した。飲ま
  ず食わずで病院に行かないと。
[のみくだす] 人ガ ものヲ
 ・この薬の臭いがいやで、鼻をつまみ、たくさんの水で何とか飲み下した。
 ・言いたいことがあったが、また父を怒らせるとまずいので、出そうになった言葉をぐっと飲み下
  した。
   薬・酒・唾・水・飯を 固まり・口の中の物を 言葉・苦笑いを 無理に ごくりと
[のみこむ] 人・ものガ ものヲ  
 ・おいしそうなケーキを見て、思わずつばを飲み込んだ。 
 ・大波がきてボートをのみこんだ。
 ・はんらんした川は、家や車をのみこんで流れて行った。
 ・事情がよく飲み込めないでしょうから、詳しく説明しましょう。
      つば・苦い汁・毒・涙を 薬・餅・コインを かまずに 一息に 丸ごと
    手順・要領・事情・事態・趣旨・二人の関係・彼の癖・気質を いち早く 一目で
    濁流が家・橋・村・バスを あっと言う間に 怒りを のどまで出かかった言葉を
[のみほす] 人ガ ものヲ 
 ・「かんぱーい!」勝利を祝して、我々はコップのビールを飲み干した。
 ・中国では、乾杯して酒を飲み干したあと、グラスを逆さにして見せる習慣がある。
      酒・杯・牛乳・ビールを 一口に 一息で 一気に うまそうに ぐいと

[7]かむ・かじる・なめる
  ものに対して口でする動作を表す動詞。口に「くわえる」、歯で「かむ・かじる」、舌で「なめる」、
その他、「しゃぶる」「すする」などがある。

◇かむ
 「かむ」は、上下の歯を強く合わせて、間にはさんだものに力を加えること。
   人・動物ガ ものヲ かむ
    ガム・肉をかむ  指・ツメをかむ  犬に手をかまれた
 ひゆ的に、歯車の歯がうまく合うことを言う。言葉を言い間違えたり、読み間違えたりすることを
言う。やや俗語的な表現。
    歯車がうまくかんでいる  原稿を読む時に何度もかんだ
 慣用的な表現で「砂をかむ」は、味気ないこと。「飼い犬に手をかまれる」は、世話をした人間に
裏切られること。「(話に)一枚かむ」は、そのことに関わること。
・複合動詞
 「かみあう」は、互いに相手をかむこと。歯と歯がびったりあうこと。ひゆ的に、議論で意見がう
  まく対応していること。
 「かみあわせる」は、かみ合うようにすること。
 「かみこなす」は、食べ物をよくかんで、消化しやすくする。ひゆ的に、何とか理解すること。
 「かみしめる」は、強くかむこと。ひゆ的に、ものの内容をよく味わうこと。
  「かみ切る」「かみ砕く」「かみつぶす」「かみ殺す」は、かむことによって達成する動作を表す。
  「かみつく」は、歯でしっかりと相手をかんで離れないこと。ひゆ的に、議論などで相手を攻撃す
  ること。
    おいしいたくわんをかみしめる  肉がかたくてかみ切れない
    骨さえかみ砕くライオンの歯   箱をかみつぶす
    相手をかみ殺しそうな顔をしている  犬にかみつかれた  
 複合動詞にはひゆ的な用法があるものが多い。
    難しいところをかみ砕いて説明する (わかりやすくする)
    難解な理論を何とかかみこなしていく(理解する)
    喜びをかみしめる         (深く味わう)
    野党議員が首相にかみつく     (強く反対・批判する)
◇かじる
 「かじる」は、ものの一部を歯でかんで削り取ること。
   人・動物ガ ものヲ かじる
    リンゴ・せんべいをかじる
 ひゆ的な用法で、物事の一部分だけを知る、という意味で使う場合がある。
    現代数学をちょっとかじったことがある  
・複合動詞:「かじり-」の形のものは、「かじりつく」がある。
    おなかの空いた子供たちがピザにかじりついた    
 「かじりつく」にはひゆ的な用法がある。それから離れないこと。
    仕事にかじりつく (仕事ばかりする)
    机にかじりつく  (机から離れず、勉強などをする)
  「-かじる」の形のものは、物事の一部分だけ~する、ことを表す。
    話を聞きかじる  
  
◇くわえる
 「くわえる」は、口または歯でものをはさむこと。
   人・動物ガ (口に) ものヲ くわえる 
    スプーン・楊枝・パイプをくわえる 
 慣用表現で「指をくわえる」は、人が何かをするのをうらやましそうに見る様子を言う。 
◇なめる
 「なめる」は、舌でものに触れること。その結果、ものが湿って溶けたり、その味を感じたりする。
   人・動物ガ ものヲ なめる
    アメをなめる   ネコが手をなめる
 ひゆ的な用法で、「かるく見る」という意味で使われる。
    あの子は大人をなめている   入試をなめてかかる
 複合動詞には、「すべてを」という意味の「-つくす」、「あちこちを何度も」の意味の「-回す」がある。
    子供たちはビンの中の蜂蜜をなめつくした
    犬が私の顔をなめ回す
 「なめつくす」にはひゆ的な用法で「苦労をなめつくす」という言い方がある。
◇しゃぶる
 「しゃぶる」は、ものを口の中に入れて何度もなめたり吸ったりすること。
    人ガ ものヲ しゃぶる
     アメをしゃぶる  子供が指をしゃぶっている
◇すする
 「すする」は、液状のもの、あるいはめん類などを、強く吸うようにしてのむこと。
        人ガ ものヲ すする
          お茶・みそ汁・ラーメンを すする  鼻水をすする


かむ(咬む・噛む)五(かまない・かみます・かんで・かめば・かもう)
[1]〔人・ものガ もの・人ヲ〕
 △かんでみる  かんでしまう  かんではいけない  かめない  かまないようにする
  かませる  かまれる  かまれないようにする  かめ!  かむな!
 △[よく/しっかり/ぎゅっと/がちがちと/がぶっと/くりかえし/なんども]~。
 △[イヌ/ネコ]が[人/手/肉/魚/骨(ほね)]を~。
  [するめ/鉛筆(えんぴつ)/爪(つめ)/唇(くちびる)/舌(した)]を~。
 ・となりの家の犬に手をかまれた。
 ・ごはんはよくかんで食べなさい。
 ・弟はゆびのつめをかむくせがある。
 ・歯(は)がいたくて、食べ物がかめない。かまなくても食べられるおかゆを作ってもらった。
 ・いたっ! まちがって舌をかんでしまった。
 ・このえんぴつは歯(は)でかんだ跡(あと)があるから、さとうさんのだろう。
 ・仕事をしている時にチューインガムをかむのはよくない。

<複合動詞:かみ->
[かみあう] ものガ ものト
 ・歯医者は、私の歯を調べて、上下の歯がうまくかみ合っていないと言った。
 ・歯車がピッタリとかみ合っている。
 ・あの二人の議論は、お互いの論点がかみ合っていないようだ。
   議論・投打・歯車・心と心・現場の努力と調査の実践・話・会話・やりとりが
[かみあわせる] 人ガ ものヲ ものト
 ・小さい歯車を、大きい歯車とうまくかみ合わせた。
 ・お互いが議論をかみ合わせるように努力しないと、いいディベートにはならない。
   歯・刃を しっかり
[かみきる] 人ガ ものヲ
 ・この肉はかたくて、かんでもかんでもかみ切れない。
 ・舌を噛み切って自殺するという話があるが、実際にはなかなか死ねないそうだ。
   糸・舌・漬け物・爪・ひもを
[かみくだく] 人・ものガ ものヲ
 ・おくの歯は食べ物をかみくだくためのものです。
 ・子どもに説明する時は、やさしくかみくだいて、分かりやすく話さなければいけません。
   肉・骨・実・チョコレートを 歯で  ~て話をする
[かみこなす] 人ガ ものヲ
 ・あの学生は教わったことをよくかみこなして、自分のものにしている。
 ・この論文は、理論的に複雑な問題もよくかみこなして、自分の論を立てるために利用している。
[かみころす] 人・ものガ ものヲ
 ・うちの小イヌはとなりの大きなイヌにかみころされてしまった。
 ・おじいさんの思い出話を、あくびをかみ殺しながら聞いた。
   あくび・おかしさ・声・言葉・笑いを ネコ・飼い主を 必死に
[かみしめる] 人ガ ものヲ
 ・スルメのおいしさは、じっくりかみ締めないとわからない。
 ・おしくも負けた選手は、悔しさに唇をかみ締めていた。
 ・戦争の時代の苦しさを思い出すたびに、今の暮らしの幸せをかみしめています。
   米・キュウリを あくび・苦笑・苦虫を 一語一語・教訓・幸福・喜びを
   屈辱・失恋の苦い味・悔しさ・無力感を  歯・唇を 悔しそうに・苦々しく 強く
[かみつく] 人・ものガ 人・ものニ
 ・門をはいると、いきなりイヌにかみつかれた。
 ・そんなに私にかみつかないで(=私をおこらないで)ください。
   いぬ・ネコが 相手・腕・飼い主・手に がぶりと ~そうな顔・目
[かみつぶす] 人ガ ものヲ
 ・間違って丸薬をかみつぶしてしまったら、死ぬほど苦かった。
 ・校長のつまらない話を聞いていると、あくびをかみつぶすのに苦労する。
      あくび・丸薬を 奥歯で 苦虫を~たような顔


かじる(齧る)五(かじらない・かじります・かじって・かじれば・かじろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かじりたい  かじってみる  かじってはいけない  かじろうとする
  かじらせる  かじられる  かじれ!  かじるな! 
 △[ぱりぱり/ばりばり/ぼりぼり/がりがり]と~。
 △[りんご/トマト/こおり/せんべい]を~。ネズミが[かべ/チーズ]を~。
  [ドイツ語/バイオリン/哲学(てつがく)]を~。
 ・子どもがりんごをかじりながら歩いてくる。
 ・父は若いころお金がなかったので、かたいパンをかじりながら絵の勉強をしたそうだ。
 ・弟がポリポリとおせんべいをかじる音が聞こえる。
 ・ネズミに柱(はしら)をかじられて、きずをつけられてしまった。
 ・妹はえんぴつをかじるくせがある。
 ・兄は40才になっても、まだ親のすねをかじっている。(=経済的に世話になっている)
 ・大学でフランス語をちょっとかじったことがあるので、ワインのラベルぐらいは読める。
 ・私は小さいころピアノをちょっとかじったので、なんとか楽譜(がくふ)が読めます。

<複合動詞:かじり->
[かじりつく] 人ガ ものニ
 ・おなかがすいていた子供は、配達されたピザの大きな一切れにかじりついた。
 ・この子は寒いのがきらいで、冬は外へ出ないで、一日中ストーブにかじりついている。
 ・そんなに毎日机にかじりついていないで、たまには映画でも見に行ったらどう?
 ・いつまでもあんな会社にかじりついていないで、別の仕事をさがした方がいいよ。
   リンゴ・チキンに 足・腕・首・背中・石・ストーブに 仕事・生活に 
<複合動詞:-かじる>
[ききかじる] 人ガ ものヲ
 ・隣の家のきれいなむすめさんが結婚すると聞きかじったんだけれど、本当だろうか。残念!!
 ・ちょっと電気のことを聞きかじったぐらいで電器屋をひらくなんて、むちゃな話だ。


なめる(嘗める)一(なめない・なめます・なめて・なめれば・なめよう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △なめかける  なめてします  なめてはいけない  なめられる  なめさせる
 △[かるく/なんども/おもいきり/ぺろぺろ/ぺろっと/ぺろりと]~。
 △[あめ/アイスクリーム/キャラメル/指(ゆび)/顔(かお)]を~。
 ・妹はアイスクリームをなめている。
 ・あめばかりなめていると、歯(は)を悪くしてしまうよ。
 ・塩(しお)砂糖(さとう)か、分からないので、ちょっとなめてみた。
 ・そんなちょっとした切りきずなら、なめておけば、なおるよ。
 ・ポチがかけよって来て、私の顔をペロペロなめた。
 ・切手(きって)をなめるのはどうもいやだ。
 ・今まで何度もにがい経験(けいけん)をなめて来たから、このぐらいのミスは気になりません。

<複合動詞:なめ->
[なめつくす] 人・ものガ ものヲ 
 ・そばやから出た火は強風にあおられて、町ぜんたいをなめつくした。
 ・人生の苦労をなめつくした彼は、もう恐れるものはない。
   火の手が家を 屈辱・苦しみ・辛酸・貧苦を 酒を最後の一滴まで
[なめまわす] 人ガ 人・ものヲ
 ・猫がソフトクリームの付いた私の指をなめ回している。味が気に入ったかな。
 ・家に帰るとまず犬に顔をなめ回されるので、手や顔を洗うのはそれからにしている。
      犬・人が 足・顔・唇・手・指・鼻の頭・ソフトクリームを やたらに

くわえる  一(くわえない・くわえます・くわえて・くわえれば・くわえよう)
[1]〔人ガ ものヲ (ものニ)〕
 △くわえてはいけない  くわえさせる  くわえようとする  くわえろ! 
 △[しっかり/強く/軽く/ぎゅっと/ぱくっと]~。
  △[タバコ/パイプ/ストロー/スプーン/肉/指(ゆび)]を~。
  ・子どもはストローを口にくわえて、コップのジュースを飲み始めた。
 ・犬が「ワン!」とほえると、口にくわえていた骨(ほね)が水に落ちた。
  ・老人はパイプを口にくわえると、白い煙(けむり)を口から大きく吐き出した。
  ・親猫(おやねこ)が子猫を口にくわえて床下(ゆかした)に入っていった。
  ・うまいもうけ話が目の前にあるのに、指をくわえて見ているしかないなんて。


しゃぶる  五(しゃぶらない・しゃぶります・しゃぶって・しゃぶれば・しゃぶろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △しゃぶりたい  しゃぶってみる  しゃぶってはいけない  しゃぶらせる  しゃぶるな!
 △[ちょっと/ぺろぺろ/いつまでも]~。
  △[あめ玉(だま)/親指(おやゆび)/おっぱい/鳥(とり)の骨(ほね)/スプーン]を~。
  ・子どもがあめ玉をおいしそうにしゃぶっている。
 ・赤ん坊が哺乳瓶(ほにゅうびん)の乳首(ちくび)をなごりおしそうにしゃぶっている。もうないよ。
  ・幼児(ようじ)が指を口に入れてしゃぶっているけれど、味(あじ)がするのかなあ。
 ・いつまでも鳥の骨をしゃぶるのはよしなさい。行儀(ぎょうぎ)が悪い。


すする(啜る)  五(すすらない・すすります・すすって・すすれば・すすろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △すすってみる  すすってはいけない  すすらないほうがいい  すするな!
 △[少し/何度も/ずるずると/つるつると/ゆっくり/あわてて]~。
  △[みそ汁/スープ/ラーメン/そば/つゆ/茶/おかゆ/鼻(はな)]を~。
  ・寒い夜は温(あたた)かいおそばをすすると、体の中から温まる。
 ・スープを音を立ててすするのはよくないと言われるが、ラーメンは音を立てないとうまくない。
 ・祖父(そふ)と祖母(そぼ)がお茶をすすりながら話をしている。
 ・カゼがはやっているらしい。教室のあちこちから鼻をすする音が聞こえる。

[8] 縫う・編む
 布・服に関する動詞。共通する文型は、
   人ガ ものヲ 動詞
で、材料をヲ格とする用法と、その材料によってできあがるものをヲ格とする用法がある。

◇ぬう
 「縫う」は、完成するものをヲ格にとるのが基本だが、「布を縫う」という言い方もある。
   人ガ ものヲ (ものデ) ぬう
    着物・スカート・ぞうきんを縫う    厚い布を縫うのは疲れる
 けがをしたときなどに、人間の体を「縫う」ことがある。
    傷口を縫う  頭を3針縫った
・複合動詞
 「縫い上がる」は、縫うことが完成すること。
 「縫い上げる」は、縫うことを完成させること。
 「縫い合わせる」は、他のものと合わせて縫うこと。
 「縫い込む」は、何かを中に入れるように縫うこと。
 「縫いつける」は、縫うことで何かをつけること。
    2枚の布を縫い合わせる  ハンカチにイニシャルを縫い込む  服に名札を縫いつける
 「縫い直す」は、一度縫ったものをまた(よりよく)縫うこと。
◇あむ
 「編む」も材料と完成品の両方がヲ格に来る。
   人ガ ものヲ (ものデ) あむ
    毛糸を編む  わら・草・髪の毛を編む
    毛糸で手袋を編む  セーター・えり巻き・網・かご・ござを編む
・複合動詞
  「編み上げる」は、編んでものを完成させること。
 「編み出す」は、編んで模様などが現れるようにすること。ひゆ的に、新しい方法を工夫して考え
  出すこと。編み始めること。
◇おる
 「織る」は、材料と完成品の両方をヲ格にとる。
   人ガ ものヲ (ものデ) おる
    糸・いぐさを織る  布・模様・しま柄・じゅうたんを織る
  「織り上げる」は、織ってものを完成させること。
 「織り込む」は、模様を作るために地の糸とは別の糸を中に入れて織ること。ひゆ的に、ある一つ
  の物事に他の物事を組み入れること。
 「織り出す」は、織って模様が現れるようにすること。
 「織りなす」は、織って模様などを作り出すこと。ひゆ的に、複雑に絡み合う物事などに言う。
 「織り交ぜる」は、いろいろの糸を混ぜて織ること。ひゆ的に、一つの物に他の要素を混ぜること。
◇つくろう
 「つくろう」は、損傷した部分を直すことを言うが、ヲ格にはその全体を表すことばと損傷部分を
表すことばが来る。ひゆ的に、人に悪い印象を与えないようによく見せること。
   人ガ ものヲ (ものデ) つくろう
    靴下・袖口・ネット・屋根を繕う   靴下の穴・ほころび・かぎ裂き・屋根の穴を繕う
    外見・体裁・うわべ・世間体を 繕う


ぬう(縫う)五(ぬわない・ぬいます・ぬって・ぬえば・ぬおう) 
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △ぬっていく  ぬっておく  ぬってある  ぬわなければならない
  ぬおうとする  ぬわせる  ぬわれる  ぬえない
 △[じょうずに/ずばやく/てぎわよく/みごとに/さっさと/すいすい]~。
  [もたもたと/ぶかっこうに/ぎざぎざに]~。
 △[服(ふく)/着物/ゆかた/スカート/ぞうきん/ふくろ]を~。
 ・母がきれいな布(ぬの)でおべんとうのふくろをぬってくれた。
 ・むかしの人は着る物をみんな手で縫った。
 ・けがをして、頭を3針(さんはり)縫った。
 ・医者が傷口(きずぐち)を縫ってくれた。
 ・母は、いそがしい仕事(しごと)の合間をぬって、わたしたちの様子を見に来てくれた。

<複合動詞:ぬい->
[ぬいあがる] ものガ
 ・服が一週間で縫い上がった。
 ・縫い上がった着物に袖を通すときの喜びは、何とも言えないほどだ。
 ・新しい着物が縫い上がると、業者が着て値段を付け、買い取っていく。
[ぬいあげる] 人ガ ものヲ 
 ・小学校で、初めてぞうきんを縫い上げたときはうれしかった。
 ・職人が豪華な着物を縫い上げた。  
   着物・晴れ着・もんぺ・洋服を 大きめに ブラウスに
[ぬいあわせる] 人ガ ものヲ ものト
 ・4枚の布を縫い合わせて、小さなタオルを作った。
   川・傷口・隅・布・布きれ・皮膚・つじつまを
[ぬいこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・オーバーのすそに何かぬいこんである。
   思いを 袖口に 一針
[ぬいつける] 人ガ ものヲ ものニ
 ・母が名前を書いた布をシャツにぬいつけてくれた。
   名札・布・白線・ポケット・ボタン・イニシャル・ワッペン・傷口を
[ぬいなおす] 人ガ ものヲ     
 ・カーテンのはしがほつれていたので、ぬい直した。
      衣服・浴衣・襦袢・形見を


あむ(編む) 五(あまない・あみます・あんで・あめば・あもう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △あみたい あみかける あんでみる あんでおく あんでもらう あんではいけない
  あまなければならない あませる あめ! あむな! あめない
 △[ゆっくり/じっくり/ていねいに/時間をかけて]~。
 △[詩集(ししゅう)/論文集(ろんぶんしゅう)/全集(ぜんしゅう)/社史(しゃし)]を~。
 ・学生の論文を集めて、論文集を編む計画(けいかく)がすすんでいます。
 ・全集を編むというのは、あんがいむずかしいものですね。
[2]〔人ガ ものデ ものヲ〕
 △[セーター/マフラー/手袋(てぶくろ)]を~。
 ・いろいろな色(いろ)の毛糸(けいと)でセーターを編んだ。
 ・母が私に手袋を編んでくれた。
 ・うちのおじいちゃんは竹(たけ)でかごなど、いろいろな道具(どうぐ)を編むのがしごとです。
 ・スカートを編もうとしたが、まちがえてももひきができてしまった。
[3]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 ・お母さんが、女の子の髪の毛を三つ編みに編んでいる。

<複合動詞:あみ->
[あみあげる]
 ・母は一晩(ひとばん)でセーターを編み上げてしまった。
 ・この詩集は一人の人が編んだものではなくて、おおぜいの人の手によってだんだん編み上げられ
  たのではないかと、今では考えられています。
   マフラー・三つ編みを きれいに 上手に 
[あみだす] 人ガ ものヲ
 ・彼女は何日も考えつづけ、新しい方法を編み出した。
 ・新型の編み機が美しい花模様を次々と編み出していく。
      新しい型・勝つ方法・技術・形式・システム・ノウハウ・論理・物語を


おる(織る)  五(おらなない・おります・おって・おれば・おろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おってみる  おってもらう  おらなくてはいけない  おろうとする  おらせる
 △[ゆっくり/ていねいに/時間をかけて/少しずつ/美しく/鮮(あざ)やかに]~。
  △[布(ぬの)/帯(おび)/織物(おりもの)/じゅうたん/タペストリー/機(はた)]を~。
  ・昔は人が素朴(そぼく)な器械(きかい)で布を織っていた。
 ・ここはこの地方特産(ちほうとくさん)のじゅうたんを織る工場です。
  ・布を織る仕事をしていた娘(むすめ)たちがこの国の産業を支(ささ)えていたのです。
 ・職人(しょくにん)たちが鮮やかな色の糸で帯を織っています。
 
<複合動詞:おり->
[おりあげる] 人ガ ものヲ
 ・一枚の布を織り上げるのに3か月かかるそうだ。
 ・昔と変わらぬ織り機を使って、伝統の模様を丹念に織り上げていく。
[おりこむ] 人ガ ものヲ
 ・先生のお話は、随所に先生の人生観や思い出を織り込んだ、味わい深いものだった。
 ・今期の計画は、新しい提案や企画をふんだんに織り込んであります。
[おりだす] 人ガ ものヲ
 ・彼女の着物は、金地に鶴を織りだした豪華なものだった。
 ・歓迎の式典が行われたホールの絨毯には両国の国旗が織り出されていた。
[おりなす] 人ガ ものヲ
 ・これらの化石から浮かび上がってくるのは、生命の命が織りなすドラマである。
 ・激動の時代背景と、登場人物が織りなす人生模様が見る者を飽きさせない映画になった。
[おりまぜる] 人ガ ものニ/ト ものヲ
 ・これまでの経験をいろいろと織り交ぜて、新人に役に立つような話をしてほしい。
 ・この本は、戦後の党の活動を、事実と多少の潤色を織り交ぜて報告している。


つくろう(繕う)  五(つくろわない・つくろいます・つくろって・つくろえば・つくろおう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △つくろいなさい  つくろっておく  つくろってくれる  つくろってはいけない
  つくろえない  つくろおうとする  つくろわせり  つくろえ!  つくろうな!
 △[ていねいに/なんとか/適当(てきとう)に/いいかげんに]~。
  △[靴下(くつした)/ズボンの穴(あな)/上着(うわぎ)のほころび]を~。
  ・むかしは靴下の穴を自分で繕ったりしたものだ。
 ・母がミシンで私の上着のほころびを繕ってくれた。
  △[体面(たいめん)/体裁(ていさい)/世間体(せけんてい)/外見(がいけん)]を~。
  ・そんなきたない格好(かっこう)ではだれにも相手にされない。少しは身なりを繕いなさい。
  ・うわべを繕ってみても、中味が大したことないのではすぐ見すかされるよ。
 ・大事なところで間違えたりしたが、彼は何とか体面をつくろった。
 ・失言(しつげん)をあとからいくら繕ってもむだだ。
 ・彼は奥さんの手前(てまえ)を繕うためウソをついていたが、あのウソはばれているな。

[9]着る・脱ぐ           
 衣服など、身につけるものの着脱を表す動詞。身につける動きは、「きる」が基本で、下から上へ
の動きの「はく」、頭をおおう動きの「かぶる」、その他のものに関する「つける」「する」などがあ
る。体からとる動作は、服や帽子、はく物に関する「ぬぐ」、その他のものに関する「とる」「はず
す」などがある。自動詞・他動詞の対があるものが多い。

◇きる
  「着る」は、体をおおうために、服を身につけること。ひゆ的に、精神的なことを受けること。
      人ガ ものヲ きる
       洋服・着物・シャツ・浴衣を 着る
 慣用表現で「恩に着る」は、受けた恩をありがたく思うこと。「罪を着る」は、罪を身に引き受け
ること。「ぬれぎぬを着る」は、無実の罪を身に受けること。 
・複合動詞:「き-」の形のものが多くある。
 「着飽きる」は、それを着ることにあきてしまうこと。
 「着替える」は、着ている服を脱いで、他の服を着ること。
 「着飾る」は、美しい服を着て、人目につくようにすること。
 「着崩す」は、わざときちんとした着方をしないでいること。
 「着崩れる」は、着ている間に衣服の形が崩れてだらしなくなること。
 「着こなす」は、自分に合うように、服の良さをうまく生かして上手に着ること。
 「着込む」は、衣服を何枚も重ねて着ること。改まってきちんと着ること。
 「着付ける」は、いつも着て、その服になれていること。
 「着通す」は、同じ衣服を続けて着ること。
 「着流す」は、(男の和服で)羽織・袴をつけない、ふだんの服装をすること。
 「着慣れる」は、いつも着て、その服になれていること。
 「着膨れる」は、たくさん着て、太っているように見えること。
 「着古す」は、長い間着て古くなること。
◇きせる
  「着せる」は、「着る」に対応する他動詞で、体をおおうために、人に服を身につけさせること。
「着る」の使役形「着させる」は、相手が自分で着るようにさせることで、「着せる」は積極的に手
を貸すことだが、その使い分けはあまりはっきりしない。
 ひゆ的に、精神的なことを負わせることを表す。「ぬれぎぬを着せる」は無実の人に罪を負わせる
こと。「恩に着せる」は、ちょっとしたことを人にして、ことさらありがたく思わせようとすること。
      人ガ 人ニ ものヲ きせる
    子どもに 服・浴衣・寝巻・シャツを 着せる  部下に罪・ぬれぎぬ・恩を 着せる 
・複合動詞
  「着せ替える」は、着ている服を脱がせ、他の服を着せること。
 「着せかける」は、相手の後ろに回って服を掛けてやること。 
◇はく
  「履く・穿く」は、足(裏)を保護するものを足先につけること。足から腰までを覆うものを足先の
ほうから通して身につけること。その個所をニ格で示すことがある。
      人ガ ものヲ はく
    (足に)靴・草履・サンダル・靴下を はく  ズボン・スカート・パンツを はく
・複合動詞 
  「はき替える」は、はいているものを脱いで、他のものをはくこと。   
 「はき違える」は、間違えて、違うものをはいてしまうこと。ひゆ的に、物事の意味や趣旨をまち
  がって理解すること。
 「はきつぶす」は、長くはくか、あるいはひどい使い方をしてだめにしてしまうこと。
 「はき慣れる」は、いつもはいて、その履き物になれていること。
 「はき間違える」は、間違えて、違うものをはいてしまうこと。
◇かぶる
 「かぶる」は、頭・顔をおおうようにものをつけること。全体が隠れるように上からおおうこと。
      人ガ (ものニ) ものヲ かぶる 
    頭に帽子を・顔に面を かぶる  ふとんをかぶる  雪をかぶった山頂
 液体や粉状のものを上から浴びること。ひゆ的に、本来負う必要のない責任などを負うこと。
    人・本が 水・ほこりを かぶる       罪・損失を かぶる
◇かぶせる
  「かぶせる」は、「かぶる」に対応する他動詞で、他人の頭や顔を覆うようにものをつけること。
ものの全体を隠すように上からおおうこと。液体や粉状のものを上から浴びせること。ひゆ的に、本
来受ける理由のない人に責任や負担などを負わせること。
      人ガ (もの・人ニ) ものヲ かぶせる 
    帽子・面を かぶせる  機械にカバーをかぶせる  罪を部下にかぶせる
◇ぬぐ
 「脱ぐ」は、身につけているもの、衣服、帽子、履き物を体から取り去ること。
      人ガ ものヲ ぬぐ
    服・スカート・帽子・靴を 脱ぐ  仮面・覆面を 脱ぐ 
・複合動詞
  「脱ぎ捨てる」は、衣服を脱いで(かたづけず)そのままにしておくこと。脱いで捨ててしまうこと。
  ひゆ的に、古い習慣や考え方などを捨て去ること。
 「脱ぎ揃える」は、脱いだくつなどを揃えておくこと。
 「脱ぎ散らかす」は、脱いだものをあたりに散らかしたままにすること。
◇ぬげる
 「脱げる」は、「脱ぐ」に対応する自動詞で、帽子や靴など、身につけていたものが(自然に)体か
らとれて離れてしまうこと。なお、「脱ぐ」の可能形も同形の「脱げる」になる。
      ものガ ぬげる
    靴がすぐ脱げてしまう  脱げにくい帽子   脱ごうとしても脱げない(可能)
◇ぬがす
  「脱がす」は、「脱ぐ」の使役形「脱がせる」と同義の他動詞。人に衣服を脱ぐようにさせること。
      人ガ 人ニ ものを ぬがす
    子どもに服を 脱がす/脱がせる


きる(着る)一(きない・きます・きて・きれば・きよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △きたい  きたがる  きてほしい  きてみる  きてはいけない  きないほうがいい
  きられない  きさせる  きられる  きようとする  きろ!  きるな!
 △[いつも/よく/たまに/毎日/ためしに/すばやく]~。
 △[服(ふく)/和服(わふく)/着物(きもの)/上着(うわぎ)/シャツ/コート/セーター]を~。
 ・女の人のほうが男の人より和服(わふく)をよく着る。
 ・赤い服を来た女の人がにっこりほほえんだ。
 ・犯人(はんにん)は黒いジャンパーを着ていました。
 ・きょうはとくにさむいようだから、もう一まい着た方がいいよ。(服を)
 ・幼児(ようじ)が一人でシャツを着ようとして、一生(いっしょう)けんめいなのがとてもかわいい。
 ・何を着ようと人の自由だが、あまり趣味(しゅみ)の悪い物は着ないでほしい。
 ・娘(むすめ)が自分でゆかたを着られるようになった。
 ・きょねん買ったシャツがもう着られなくなった。ちょっとふとりすぎたなあ。
 ・きいろい靴下(くつした)と赤いズボンをはき、青いシャツを着て、ピンクの上着を着てみた。
 ・あの男は他人(たにん)の罪(つみ)を着て、3年間刑務所(けいむしょ)に入っていたそうだ。
 ・今回いろいろと助けていただいたこと、深く恩に着ます。

<複合動詞:き->
[きあきる] 人ガ ものヲ
 ・このドレスはもう着あきたわ。新しいのを買いたいわ。
 ・姉は買って何回も着ないうちに、もう着飽きたとか言ってまた新しい服を買ってくる。着飽きな
  いような服はないのか。
[きかえる] 人ガ ものヲ (ものカラ ものニ)
 ・少し前の人は、外では洋服を着ていても、家に帰ると和服に着替えたものだった。
 ・体育の授業の前に、生徒たちは体操服に着替える。
   衣装・衣服・上着・着物・仕事着・シャツ・背広・パジャマ を/に
[きかざる] 人ガ 
 ・成人式に行くために姉は着飾って出かけた。
 ・妹が着飾って友だちの結婚式に出かけた。新郎の友人を狙っているのだろうか。
   晴れ着・振り袖を 派手に 華やかに 晴れやかに 美しく 精一杯
[きくずす] 人ガ ものヲ
 ・この女優さんは、着物をちょっと着崩した感じがなかなかたまらない。
 ・少し着崩すと色っぽい、なんてことはうちの家内には関係ない話だ。
[きくずれる] ものガ
 ・着付けが素人だから、歩いているうちに着崩れてくる。
 ・着崩れないようにするには、いろいろとコツがあり、昔の人はそれを知っていた。
[きこなす] 人ガ ものヲ
 ・白というのは着こなすのがむずかしいそうだ。
 ・いくら日本人でも、ほんとうに着物を着こなすのは、むずかしいものだ。
   和服・外出着・衣装を さわやかに 上手に 上品に 無造作に 伊達に
[きこむ] 人ガ ものヲ
 ・外はさむいと言うので、持っているだけの服やセーターを着こんで外に出た。
 ・きょう、山本くんはめずらしくきっちりとスーツを着こんでやって来た。
   オーバー・コート・軍服・作業服・スーツ・セーター・三つ揃いを しっかり
[きつける] 人ガ ものヲ
 ・ふだん着物を着付けていないから、どうも着物を着ると肩が凝る。
[きとおす] 人ガ ものヲ
 ・一冬同じコートを着通したので、さすがに汚れてきた。
[きながす] 人ガ ものヲ
 ・浴衣を着流して、花火を見ながら河原を散歩するなんて、日本情緒だねえ。
   着物・浴衣・和服を ぞろりと
[きなれる] 人ガ ものヲ
 ・着なれない服を着てパーティーに出てもくるしいだけなので、着きなれた服にした。
 ・多少古くなっていても、着慣れた服を着ると気持ちが落ち着くので好きだ。
[きぶくれる] 人ガ 
 ・寒がりの子供が何枚も重ね着して、ころころに着膨れている。
[きふるす] 人ガ ものヲ
 ・父はよせばいいのに、着ふるした背広を来てさんぽに出かけた。
 ・着古したレインコートを着て、ちょっと「刑事コロンボ」のまねをしてみた。
      ぼろぼろに ~た衣服・レインコート


きせる(着せる)一(きせない・きせます・きせて・きせれば・きせよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △着せたい 着せてみる 着せてほしい 着せたほうがいい 着せないでほしい 
  着せなければならない 着せてはいけない  着せるな! 早く着せろ! 
 △[ためしに/わざわざ/むりやり/むりに]~。
 △[服(ふく)/パジャマ/浴衣(ゆかた)/振り袖(ふりそで)/ドレス]を~。
 ・お母さんが子どもに新しい服を着せている。どこかへ出かけるらしい。
 ・イヌに服を着せてつれて歩いている人を見かけるが、イヌはどんな気持ちなんだろう。
 ・六才にもなって、お母さんに服を着せてもらっているなんて、おかしい。
 ・お母さんは私にセンスのない服を着せようとするので困る。
 ・お菓子(かし)を食べたのはぼくじゃないのに、ぬれぎぬを着せられた。

<複合動詞:きせ->
[きせかえる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・子どもがにんぎょうの服を着せかえてあそんでいる。
 ・逃げ回ってはしゃぐ子供を捕まえて、何とか下着を新しいものにを着せ替えた。
   下着・寝巻き・服を
[きせかける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・玄関に降り立った祖父の背中にコートを着せ掛けた。
      上着・オーバー・コート・浴衣・洋服を ふわりと 


かぶる(被る・冠る)五(かぶらない・かぶります・かぶって・かぶれば・かぶろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かぶりたい  かぶってみる  かぶってしまう  かぶらなければならない
  かぶらせる  かぶろうとする  かぶれ!  かぶるな!  かぶれない
 △[頭から/すっぽり/しっかり/深く/深々(ふかぶか)と/ちょっと]~。
 △[帽子(ぼうし)/ふとん/てぬぐい/タオル/鬘(かつら)/マスク/お面(めん)]を~。
  [水/ほこり/どろ]を~。
 ・むかしの中学生はみんな学校の帽子をかぶっていたものだ。
 ・きのうは熱があったので、頭からふとんをかぶって一日ねていた。
 ・にわのそうじをやったら、風があったので、すっかりほこりをかぶってしまった。
 ・頭から水をかぶって、ねむけをさました。
 ・バイクに乗るときには、ヘルメットをかぶらなければならない。
 ・さむいから毛糸の帽子をかぶろう。
 ・帽子をかぶっている人はぬいでください。
[2]〔ものガ ものヲ〕
 △[船(ふね)が波(なみ)を/品物(しなもの)がほこりを]~。
 ・レコードを出しっぱなしにしておいたので、すっかりほこりをかぶってしまった。
 ・台風のせいで大水が出て、はたけの野菜が(やさい)が海水をかぶってしまった。
 ・海があれていて、船はだいぶ波をかぶった。
 ・そのボートは高波(たかなみ)をかぶったために転覆(てんぷく)したらしい。
 ・山々はほとんど雲(くも)をかぶっていた。


かぶせる(被せる)一(かぶせない・かぶせます・かぶせて・かぶせれば・かぶせよう)
[1]〔人ガ もの・人ニ ものヲ〕
 △かぶせてみる  かぶせておく  かぶせてはいけない  かぶせないといけない
  かぶせさせる  かぶせられる  かぶせようとする  かぶせろ!  かぶせるな! 
 △[しっかり/大きく/一部だけ/半分/ていねいに/慎重(しんちょう)に]~。
 △[カバー/ふた/おおい/ハンケチ/ベール]を~。
 ・母はわたしにぼうしをかぶせてくれた。
 ・食べ物にほこりがかぶらないように、ラップをかぶせておいた。
 ・農家の人が一つ一つりんごにふくろをかぶせている。
 ・雨でぬれないように自転車にカバーをかぶせよう。(かけよう)
 ・機械(きかい)の中をしらべたら、あとで、覆(おお)いをかぶせるのをわすれないでください。
 ・はたけにあなをほって、種(たね)を入れ、上にしずかに土をかぶせます。
 ・秘書(ひしょ)に罪(つみ)をかぶせて知らぬ顔をしている政治家(せいじか)がいる。


はく(履く・穿く)五(はかない・はきます・はいて・はけば・はこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はきやすい/はきにくいスリッパ  はいてみる  はけなくなる  はこうとする
  こどもにはかせる  人にじぶんのくつをはかれる  はかずにいる  はやくはけ!  
 △[急いで/あわてて/ゆっくり/落ち着いて/2枚(まい)かさねて]~。
 △[スボン/パンツ/スラックス/ソックス/ストッキング/足袋(たび)]を~。
  [靴(くつ)/スリッパ/サンダル/草履(ぞうり)/下駄(げた)/ハイヒール]を~。
 ・きょうはとても寒いので、靴下(くつした)を2枚(まい)はいています。
 ・靴を買うときは、夕方(ゆうがた)に履いてみて、ちょうど合うものがいい。
 ・うちの娘はスカートをはくのは好きじゃないという。女性がスカートをだんだんはかなくなって
  いくとしたら、これは大きな変化(へんか)だ。
 ・とつぜん家がグラリとしたので、サンダルも履かずに外に飛び出した。
 ・ゆみ子さんはまたふとったそうで、去年のスカートが履けなくなったとなげいている。
 ・あの赤い長靴(ながぐつ)を履いた(=履いている)女の子はとなりのうちのミヨちゃんらしい。
 ・赤い靴 はいてた 女の子 異人さんに 連れられて 行っちゃった(童謡:「赤い靴」)

<複合動詞:はき->
[はきかえる] 人ガ ものヲ ものニ
 ・つぎは体育の時間です。運動靴に履きかえて、校庭に出てください。
 ・家に帰ると、ゆったりしたズボンに履き替えた。
   靴・サンダル・草鞋を 上履き・スリッパに 穿き替える:足袋・パンツを
[はきちがえる] 人ガ ものヲ ものト
 ・あの子、左右の靴を履き違えているみたいだね。
 ・わかい人は「自由」の意味を履きちがえている(=考え方がまちがっている)。
   靴の右と左を 自由と放縦を 自由の意味を 話の深みを 他人の靴と
[はきつぶす] 人ガ ものヲ
 ・毎日たくさん歩くので、すぐ靴を履きつぶしてしまう。
 ・我が家の物置には、履きつぶされた靴が捨てられないまま残っている。
   靴・スニーカー・タイヤを 一年で
[はきなれる] 人ガ ものヲ 
 ・ハイキングに行くときは、はきなれた靴をはきましょう。
 ・たとえ外見は悪くても、履き慣れた靴を履くのが足にはいちばんいい。
[はきまちがえる]  人ガ ものヲ ものト
 ・人の靴を(自分のと)履きまちがえてかえった人がいる。
 ・料理屋で靴を履き間違えたらしい。これはずいぶんいい靴だ。


ぬぐ(脱ぐ)五(ぬがない・ぬぎます・ぬいで・ぬげば・ぬごう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ぬぎたい  ぬぎかける  ぬいでしまう  ぬいでおく  ぬいである  ぬいでみる
  ぬいではいけない  ぬがなければならない  ぬごうとする  ぬがせる  ぬがされる
  ぬげ!  ぬげない 
 △[ゆっくり/いそいで/さっさと/すばやく/のんびり/もたもたと/あわてて]~。
  [めんどうくさそうに/いやいや/はずかしそうに/おもいきって]~。
 △[服(ふく)/シャツ/コート/上着(うわぎ)/ぼうし/面(めん)]を~。
 ・暑くなってきたので上着を脱ぎました。
 ・へやの中ではぼうしを脱ぐのが礼儀(れいぎ)だ。
 ・脱いだコートはそこにかけてください。
 ・ファッションショーの時、モデルは、着たり脱いだりするのがとてもいそがしいそうだ。
 ・めざましが鳴(な)り、飛び起きてパジャマを脱ぎかけた時、今日は日曜なのを思い出した。
 ・シャツを脱ごうとしたら、そでがボタンがとれてしまった。
 ・歌手のおかのゆみ子がついに脱いだ。
 ・わたしたちの結婚(けっこん)については、わけ知りのおじが一肌(ひとはだ)ぬいでくれた。(=
  おうえんをしてくれた)
 ・きょうは裃(かみしも)を脱いで(=タテマエの話をしないで)、普段着(ふだんぎ)のことばで話合
  いましょう。

<複合動詞:ぬぎ->
[ぬぎすてる] 人ガ ものヲ 
 ・砂浜にくつを脱ぎ捨てて、海に足をひたした。
 ・ベッドの上に、上着とズボンが脱ぎ捨ててあった。
 ・古い思想を脱ぎ捨てて、自由に生きよう!
 ・へやにはコートやシャツがらんざつに脱ぎすてられていた。
   衣服・上着・オーバー・靴・下着・殻を 玄関に 無造作に 乱暴に 全部
[ぬぎそろえる]
 ・人の家に入るときは、玄関にきちんと靴を脱ぎ揃えること。わかった? 
 ・人の家を訪問して、玄関に家族の靴が順に脱ぎ揃えてあるのを見ると、いい家だなあ、と思う。
   靴・スリッパ・草履・上履きを
[ぬぎちらかす]
 ・砂浜に彼の服が脱ぎ散らかしてあった。ここから海に入って、おぼれてしまったらしい。
 ・夕食に出かける前、彼女はあれこれ着替えてみて気に入らず、何枚も脱ぎ散らかしたまま出てい
  ってしまう。
      服・ズボン・シャツ・着物を 靴を
  ・素肌に 片袖通しただけで 色とりどりに 脱ぎ散らかした 床に広がる 絹の海
  (「夢一夜」歌:南こうせつ)


ぬげる(脱げる)  一(ぬげない・ぬげます・ぬげて・ぬげれば)
[1]〔ものガ〕
 △ぬげそうだ  ぬげかける  ぬげてしまう  ぬげないようにする  
 △[すぐに/かんたんに/何度も]~。
  △[靴(くつ)/靴下(くつした)/ハイヒール/帽子(ぼうし)/上着(うわぎ)/かつら]が~。
  ・脱げやすい靴はやめなさい。
 ・靴がゆるいので、走ると脱げてしまう。
 ・泥(どろ)にはまって靴が脱げてしまった。
  ・海の上は風が強く、風で帽子が脱げないように手で押さえていた。
  ・ブーツがきつくてなかなか脱げない。(可能の否定)


ぬがす(脱がす)  五(ぬがさない・ぬがします・ぬがして・ぬがせば・ぬがそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ぬがしてもらう  ぬがしてはいけない  ぬがそうとする  ぬがされる  ぬがすな!
  △[服(ふく)/上着(うわぎ)/コート/ズボン/靴(くつ)/帽子(ぼうし)/パンツ]を~。
  ・子どもがまだ自分でズボンが脱げないので、脱がしてやらないといけない。
 ・北風(きたかぜ)は力いっぱい風を吹かせて、旅人(たびびと)の服を脱がそうとしました。
  ・太陽(たいよう)は旅人の体をぽかぽかと温(あたた)めて、服を脱がすことができました。
 ・教室の中で帽子をかぶっていた学生に一言注意して帽子を脱がせた。(「脱ぐ」の使役形)

[10]洗う・掃く・拭く
 ものをきれいにするための動作を表す動詞。「よごす/きたなくする」に対応して「きれいにする」
ことを広く言う動詞はなく、この「きれいにする」が使われる。
 「洗う」は水および石けんを使う。「はく」はほうきを使う。「掃除(を)する」は、「はく」と共に
他の動作、「窓を拭く」なども含んで言う。「ぬぐう」「ふく」は、ものの表面の汚れを取ること。
  「みがく」は、表面をきれいにすること。「ゆすぐ・すすぐ」は、水で汚れを落とすこと。
 ヲ格は、きれいにする場所・もの、または汚れそのものを示す。両方を同時に表す場合は「ものの
汚れ」の形になる。
  多くの動詞がひゆ的に、特に精神的なことに使われる。

◇あらう
 「洗う」は、水を使ってものの汚れを落とし、きれいにすること。
   人ガ ものヲ (ものデ) 洗う
    食器を水で洗う   体をせっけんで洗う
 汚れをヲ格で表す用法もある。複合動詞の「洗い落とす」と同じ。
    服の汚れを洗う   靴の泥を洗う
 ひゆ的な用法で「調べる」意味にも使われる
    犯罪組織を徹底的に洗う
 「心が洗われる」は、ひゆ的に、何かに感動して心がすっきりすることを言う。
・複合動詞:「あらい-」の形のものがある。ひゆ的な用法を持つものがある。
 「洗い上げる」は、充分に洗うこと。ひゆ的に、すっかり調べ上げること。
 「洗い落とす」は、汚れなどを洗って落とすこと。
 「洗い清める」は、洗って清めること。
 「洗い出す」は、隠れているものを見えるようにすること。調べて明らかにすること。
 「洗い直す」は、もう一度よく洗うこと。詳しく調べ直すこと。
 「洗い流す」は、汚れなどを洗って流すこと。
・スル動詞
 「洗濯する」は、衣類をまとめて洗うことをあらわし、日常の家事の一つとしてとらえた言い方。
◇はく
 「掃く」は、地面や床を道具でなでるようにしてゴミを集めること。
   人ガ もの・所ヲ (ものデ) 掃く
    庭を掃く  廊下をほうきで掃く
 また、ゴミ自体をヲ格にとる。
    ゴミを掃く  公園の落ち葉を掃いて集め、焼き芋を焼いた
・複合動詞:「はき-」の形のものがある。意味はわかりやすい。
 掃くことによって達成される「-集める」「-清める」「-寄せる」「-捨てる」と、方向を表す「-
出す」がある。ゴミが移動する場所をニ格で表す場合がある。
    ゴミを一か所に掃き集める/掃き寄せる/掃き捨てる
    ゴミを外に掃き出す
 掃除機を使う場合は、「掃く」とは言わない。「掃除機をかける」という。
     じゅうたんに掃除機をかける
・スル動詞
 「掃除する」は、「掃く」こと(掃除機をかけること)を中心として、拭いたり、ゴミを捨てたりし
てその場所をきれいにすること。
     毎日部屋を掃除する  公園を掃除する
 「清掃する」は、「掃除する」と比べて書きことば的で、より社会的な地域に対して使われる。
     道路を清掃する  公衆トイレを清掃する
◇ふく
 「拭く」は、
 ものの表面を布などでこするようにして汚れを取ること。ものをヲ格にとる。
   人ガ ものヲ (ものデ) ふく
    窓を拭く  顔をタオルで拭く  床をぞうきんで拭く
 汚れそのものをヲ格にとる用法もある。
    ガラスの汚れを拭く  体の汗を拭く  涙を拭きなさい
・複合動詞は、拭くことによって達成される「-消す」「-取る」があり、汚れをヲ格にとる。
    黒板の字を拭き消す   テーブルの上のほこりを拭き取る
◇ぬぐう
 「ぬぐう」は、「拭く」に近いが、汚れそのものをヲ格にとることが多い。やや書きことば。
   人ガ ものヲ (ものデ) ぬぐう
    額の汗をぬぐう  涙をぬぐう  ハンカチで顔をぬぐった
 ひゆ的な用法もある。
    汚名をぬぐう
・複合動詞は、「-去る」「-取る」がある。どちらも、ぬぐって取り去ること。「ぬぐい去る」はひ
ゆ的な用法でよく使われる。
    汚れをきれいにぬぐい取った   疑念をぬぐい去る
◇みがく
 「磨く」は、ものの表面を何度もこすってきれいにすること。
   人ガ ものヲ (ものデ) 磨く
    鏡・ガラスをきれいな布で磨く   歯ブラシで歯を磨く
 ひゆ的に能力などを高める意味に使う。
    腕・能力・人格を磨く  人間を磨く
・複合動詞
 「磨き上げる」は結果のよさ・美しさを、「磨き込む」は何度も磨くことを、強めて言う。   
    センスを磨き上げる  床を磨き込む
◇ゆすぐ・すすぐ
 「ゆすぐ」「すすぐ」は、水で汚を落とすこと。また、もの洗うために使った洗剤を落とすこと。
   人ガ ものヲ ゆすぐ/すすぐ
    口をゆすぐ/すすぐ   洗濯物をすすぐ
 「すすぐ」はひゆ的な用法がある。書きことば。
    汚名・恥をすすぐ


あらう(洗う) 五(あらわない・あらいます・あらって・あらえば・あらおう) 
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △あらいたい あらってほしい あらいなおす あらってみる あらっておく
  あらってしまう あらってはいけない あらわなければならない あらわせる
  あらわれる あらおうとする あらえ! あらうな! あらえない
 △[よく/ざっと/かんたんに/ていねいに/じっくり/十分に]~。
 △[シャツ/ふく/くつした/なべ/ちゃわん]を~。[あたま/体]を~。
 ・わたしはいつも風呂(ふろ)でくつしたを洗って(=洗濯(せんたく)して)います。
 ・このりんごは洗ってありますから、そのまま食べてもいいですよ。
 ・ごはんの前にはせっけんで手を洗いましょう。
 ・この男の身辺(しんぺん)を洗って(=しらべて)みてくれ。
 ・子どもたちのきれいな歌声(うたごえ)をきくと、心を洗われるような気がする。
[2]〔ものガ ものヲ〕
 ・岸(きし)を洗う波(なみ)の音がきこえる。
 ・台風(たいふう)のために海はとても荒れて、ふねの甲板(かんぱん)は大波(おおなみ)に洗われた。

<複合動詞:あらい->
[あらいあげる] 人ガ ものヲ
 ・シャツとシーツを真っ白に洗い上げ、真っ青な空の下に干した。
 ・事件の背景を洗い上げ、関係者の行動を調べつくした。
   事件を 素性を 食器を シャツを 真っ白に
[あらいおとす] 人ガ ものヲ
 ・車に付いた泥をきれいに洗い落とした。
 ・ズボンに付いた血は、跡も残さず洗い落とされていた。
   匂いを 染みを 油・血・砂・泥・ぬめりを
[あらいきよめる] 人ガ ものヲ
 ・神さまにおねがいをする時は、体を洗い清める。
 ・けさの空は、洗い清めたようにきれいに晴れている。
   けがれを 手を  魂が洗い清められる 感情が
[あらいだす] 人ガ ものヲ
 ・隠されていた事実をすっかり洗い出すことがまず必要だ。
 ・調査によって洗い出された問題点を一つ一つ解決していこう。
      事実・データを 関係者・腐敗を むだ・問題点を 要素 根こそぎ すっかり
[あらいなおす] 人ガ ものヲ
 ・タオルの汚れがよく取れていなかったので、もう一度洗い直した。
 ・今までの会社のしごとのやりかたにはいろいろ問題がある。ぜんぶ洗い直してみましょう。
      計画・事件・支出を  全面的・徹底的に 再度
[あらいながす] 人ガ ものヲ
 ・早くお風呂に入ってあせを洗い流したい。
 ・目にほこりなどが入ると、なみだが出て、それを洗いながしてくれる。
   体を 地・砂粒・土・土砂・泥・涙を 排水溝を 床を 汚れ 勢いよく

<スル動詞>
[洗濯(せんたく)する]  人ガ ものヲ
  ・シャツと靴下を洗濯した。  
 ・雨が続いて、下着が洗濯できない。
 [~の洗濯をする]
  ・午後は、汚れ物の洗濯をした。


はく(掃く)五(はかない・はきます・はいて・はけば・はこう) 
[1]〔人ガ (ものデ) 所ヲ〕
 △はきはじめる  はいてある  はいておく  にわをはかせる  はくように言う  
 △[ていねいに/何度も/きれいに/チリ一つないように]~。
 △[にわ/へや]を~。
 ・ほうきでろうかを掃いてください。
 ・何日も掃かなかったので、ホコリが積(つ)もっている。
 ・掃いてもはいても、また枯葉(かれは)がおちてくる。
[2]〔人ガ ものデ ものヲ〕
 ・この辺のごみを掃いて集めておいてください。
 ・このほうきで庭(にわ)の落葉(おちば)を掃いてください。

<複合動詞:はき->
[はきあつめる] 人ガ ものヲ 
 ・お寺の庭の落ち葉を掃き集めたら、相当な量になった。
 ・教室のごみはこのへんに掃き集めておいて。
   落ち葉・枯れ葉・金貨・砂糖・塵を 
[はききよめる] 人ガ ものヲ 
 ・学校のボランティア活動で、神社(じんじゃ)の石段(いしだん)をみんなで掃き清めた。
 ・お墓参(はかまい)りにいって、お墓のまわりを掃き清め、線香(せんこう)を上げた。
   庭・部屋・店先・寝殿を きれいに 
[はきすてる] 人ガ ものヲ
 ・座敷のごみを縁側から外に掃き捨てた。
 ・ポーチの泥を芝生に掃き捨てないで。芝生が汚れちゃう。
[はきだす] 人ガ ものヲ 所へ 
 ・部屋のごみを廊下(ろうか)へ掃き出した。
 ・ごみはここから外へ掃き出してください。
    ごみ・ほこり・人を 座敷を
[はきよせる] 人ガ ものヲ 
 ・廊下のごみはこのすみへ掃き寄せておいてください。他のごみといっしょに後で捨てますから。
 ・落ち葉を掃き寄せて山にして、中にサツマイモを入れ、焼き芋を焼こう。
   落ち葉・紙屑・木くず・ごみを 
<スル動詞>
[清掃(せいそう)する]  人ガ ものヲ
 ・朝早く、道路を清掃する車が走っているのを見かける。
 ・翌朝広場に行ってみると、昨夜の騒ぎのあとはきれいに清掃されていた。
 [~の清掃をする]
  ・公園の清掃をするボランティア活動に参加した。
[掃除(そうじ)する]  人ガ 所ヲ
  ・毎日部屋を掃除していますか。 
 ・庭を掃除するのが私の息抜きです。
 [~の掃除をする]
  ・初めて屋根の掃除をした。

ふく(拭く)五(ふかない・ふきます・ふいて・ふけば・ふこう) 
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △ふいておく  ふいてもらう  ふいてほしい  ふきわすれる  ふくべきだ
  ふいたほうがいい  ふかないほうがいい  ふかせる  ふかされる  
 △[よく/ていねいに/きれいに/なんども/かんたんに/さっと/ごしごし]~。
 △[体/足/かお/手/つくえ]を~。[なみだ/あせ/よごれ]を~。
 ・会社に着いたら、まずみんなのつくえを拭くことにしています。
 ・こんなによごれた雑巾(ぞうきん)で拭くのなら、拭いても拭かなくても同じだ。
 ・熱いお湯で病人のからだを拭いてあげた。
 ・このハンカチでなみだを拭きなさい。
 ・あせをふくタオルをかしてください。
 ・テーブルの拭き方が足りない。まだよごれがついている。 

<複合動詞:ふき->
[ふきけす] 人ガ ものヲ 
 ・黒板に書かれていたことばを黒板消しで拭き消した。
 ・ショーウインドウに書いた字を拭き消して、もっときれいに書き直した。
[ふきとる] 人ガ ものヲ 
 ・看護士さんが傷口(きずぐち)のよごれををきれいに拭きとってくれた。
 ・タオルで足についたどろをよく拭きとりなさい。
 ・はり合わせた所からはみ出したボンドはきれいにふきとっておいてください。
      汗・口紅・クリーム・化粧・砂・ソース・血・涙・マニキュア・汚れを 口を


みがく(磨く・研く)五(みがかない・みがきます・みがいて・みがけば・みがこう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △みがきやすい  みがいてある  みがいておく  みがいてほしい  みがいてもらう
  みがかなければならない  みがかないと、さびやすい  みがこうとした  
 △[ていねいに/ゆっくり/何度も/くりかえし/ピカピカに/ツルツルに]~。
 △[車/タンス/かがみ/ナイフ]を~。
  [窓(まど)/ガラス/床(ゆか)/銀(ぎん)の食器(しょっき)/レンズ]を~。
  [技術(ぎじゅつ)/技能(ぎのう)/わざ/うで/歯(は)/はだ]を~。
 ・わたしは毎日、父のくつを磨きます。
 ・毎食後(まいしょくご)に歯(は)を磨きましょう。
 ・車好(くるまず)きの兄は、日ようびにはかならず愛車(あいしゃ)を楽しそうに磨いている。
 ・台所(だいどころ)の窓ガラスは、何度磨いてもすぐ汚(よご)れてしまう。
 ・彼はイタリアへ留学して腕(うで)を磨いて来たら、バイオリンの音がぐっとよくなった。
 ・大学に入ってから、よし子はフェンシングのわざをさらに磨いて、とうとうオリンピックの選手
  (せんしゅ)になった。
 ・わかい時に自分の能力(のうりょく)をできるだけ磨いておくべきだ。

<複合動詞:みがき->
[みがきあげる] 人ガ ものヲ 
 ・母は、毎年12月になると、正月をむかえるために家中をきれいにそうじして、すっかり磨き上
  げるのだった。
  ・兄はまだ運転免許が取れていないのに、車をぴかぴかに磨き上げて喜んでいる。
   車・芸・作品・表面・窓・床・短剣・床柱を 清潔・丁寧に ぴかぴかに
[みがきこむ] 人ガ ものヲ 
 ・この家の廊下は磨きこんであるから、鏡のようにピカピカだ。
  ・彼女の肌は磨き込んであるかのようにつやつやしている。


ぬぐう(拭う)  五(ぬぐわない・ぬぐいます・ぬぐって・ぬぐえば・ぬぐおう)
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △ぬぐいたい  ぬぐってみる  ぬぐってしまう  ぬぐってはいけない  ぬぐえない
  ぬぐおうとする  ぬぐわせる  ぬぐわれる  ぬぐえ!  ぬぐうな!
 △[ゆっくり/ていねいに/さっと/そっと/丹念(たんねん)に/乱暴(らんぼう)に]~。
  △[足/手/体/顔(かお)/額(ひたい)/首(くび)/テーブル/表面(ひょうめん)]を~。
    [汗(あせ)/涙(なみだ)/水滴(すいてき)/汚(よご)れ/レンズの曇(くも)り/泥(どろ)]を~。
    [手/ハンカチ/タオル/布(ぬの)/玄関(げんかん)マット/雑巾(ぞうきん)]で~。
 ・バスタオルをとって体の汗をぬぐい、服(ふく)を着始めた。
  ・私は、母がハンカチでそっと涙をぬぐったのを見た。
 ・めがねのレンズの曇りをぬぐわないと、よく見えない。
 ・窓(まど)ガラスについた油汚(あぶらよご)れは、かるくぬぐったくらいでは落ちない。
 ・自分の恥(はじ)をぬぐうために、必死(ひっし)に働いた。
  ・この汚名(おめい)をぬぐうには、立派(りっぱ)な業績(ぎょうせき)を上げることが第一だった。

<複合動詞:ぬぐい->
[ぬぐいさる] 人ガ ものヲ
 ・彼の弁明に対して、どうしても不信感をぬぐい去ることができない。
 ・以上の説明で、疑念は完全にぬぐい去られたことと思いますが、いかがでしょうか。
   疑問・疑念・不安・不信感・悪感情・憎しみ・負のイメージを 心から 完全に
[ぬぐいとる] 人ガ ものヲ
 ・運転をするときはフロントガラスのくもりをよくぬぐい取っておきましょう。
 ・まゆを落とし、口紅をぬぐい取って、丁寧に顔を洗った。
      口紅・塩気・砂糖・墨・くもり・記憶を きれいに 心から


ゆすぐ  五(ゆすがない・ゆすぎます・ゆすいで・ゆすげば・ゆすごう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ゆすいでおく  ゆすいでもらう  ゆすがなければいけない  ゆすげ!
 △[ゆっくり/ていねいに/ざっと/ぶくぶくと/のんびり]~。
  △[口/口の中/ふきん/雑巾(ぞうきん)/ハンカチ/洗濯物(せんたくもの)/コップ]を~。
 ・うちに帰ると、まず手を洗い、口をゆすいでガラガラとうがいをする。
 ・あまいものを食べた後は、口をよくゆすがないと虫歯(むしば)になりやすい。
  ・洗剤(せんざい)が少しでも残(のこ)っていると体によくないというので、洗った食器(しょっき)
  を何度も水でゆすいだ。
 ・夫(おっと)は使ったコップをちゃんとゆすがないで洗いかごに入れるので、どうもいやだ。
 ・昔(むかし)は洗った洗濯物(せんたくもの)をゆすぐのが面倒(めんどう)だったが、今は全自動洗
  濯機(ぜんじどうせんたくき)があるから、本当にたすかる。 


すすぐ  五(すすがない・すぐぎます・すすいで・すすげば・すすごう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △すすぎたい  すすいでおく  すすがなければいけない  すすげない  すすげ!
 △[よく/しっかり/ざっと/ていねいに/念入(ねんい)りに/ざぶざぶと]~。
  △[皿/コップ/グラス/口/髪(かみ)/洗濯物(せんたくもの)/タオル/絵筆(えふで)]を~。
 ・皿を洗ったあとは、よくすすいで洗剤(せんざい)を落として下さい。 
  ・すすがなくていい洗剤はないのかなあ。
  ・絵筆をすすがずに置(お)いておいたら、絵の具(えのぐ)が固まってしまった。
  ・何度口をすすいでも、口の中がぬるぬるするような感じだ。
  ・この汚名(おめい)をすすぐためには、どんなことでもする決意(けつい)だ。
 ・身(み)に受けた屈辱(くつじょく)をすすがずには、一日たりとも生きていけない。

<スル動詞>
[脱水(だっすい)する]  人ガ ものヲ
 ・すすぎが終わって、脱水しようというところで、洗濯機が壊れてしまった。
 ・よく脱水しないまま干すと、乾きが遅い。
 [~の脱水をする] 
  ・洗濯物の脱水をして、さあ干そうというときに雨が降ってきた。

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