日本語動詞文型用例辞典        →意味別動詞分類へ      →五十音順indexへ


 
                 ◇自 然◇
 

天候

 [1] 降る・吹く・止む

    降る   
            降りかかる 降り込む 降り込める 降りしきる 降り注ぐ 降り出す 降り続く
      降り積もる 降り止む
    吹く
            吹き上げる 吹き荒れる 吹き落とす 吹き降りる 吹き下ろす 吹き返す
      吹きかける・ふっかける 吹き消す 吹きこぼれる 吹き込む 吹き冷ます
      吹きすぎる 吹きすさぶ 吹き倒す 吹き出す 吹き付ける 吹き出る 吹き飛ばす
      吹き飛ぶ 吹き鳴らす 吹き抜ける 吹き払う 吹きまくる 吹き寄せる 吹き渡る
    止む

 [2] 晴れる・曇る

    晴れる 晴れ上がる 晴れ渡る    
    晴らす 
    曇る

 光 光る・照る

    光る  光り輝く  輝く
    照る    照り返す 照り輝く 照り込む 照りつける 照り映える
    照らす  照らし合わせる 照らし出す  照明する
    またたく きらめく

 音 鳴る・鳴く

    鳴る  鳴り響く 鳴りやむ 鳴り渡る
    鳴らす  打ち鳴らす 踏み鳴らす
    響く 響き渡る    反響する
    鳴く さえずる
    吠える  吠え立てる

植物

 [1] 生える・生やす

    生える  生え替わる 生えそろう      
      生やす
    芽生える  発芽する 野生する
    植える  植え替える 植え込む 植え付ける

 [2] 育つ・茂る

      育つ   生長する    
    育てる  栽培する
    伸びる 伸ばす  
    茂る

 [3] 咲く・咲かせる 

      咲く  咲きそろう 咲き誇る 咲き乱れる    

 [4] 実る・なる

      実る  生る  熟す     

 [5] 枯れる・散る

      枯れる   かれはてる      枯らす   
    萎れる   萎びる  しぼむ
    散る  散り敷く 散り残る

     

天候
 
◇雨・雪など
 天気に関わる動詞表現について考える。雨に関しては、「降る」「止む」がある。「雨になる」「雨
が落ちてくる」「雨が上がる」という言い方もある。
   雨が降る  午後から雨になった/雨が落ちてきた  雨が止む  雨が上がった
 雨の降り方を表すオノマトペがある。
   雨が ざあざあ・しとしと・ぽつぽつ(と) 降っている
 雪やみぞれも雨と同じで「降る」「止む」が使われる。「雪になる・雪が落ちてくる」も同じ。
 雪の降り方を表すオノマトペがある。
   雪がちらちら降ってきた  しんしんと雪が降る
  「降る」場所は「所デ」または「所ニ」が使われる。
   関東地方南部で雨が降るでしょう   町に雪が降る
 時間の表現は、その長さを表す場合と、降り始めを表す場合がある。
   朝から夕方まで雨が降った  午後4時頃雨が降るだろう
 「止む」はその時を「時ニ」で示す。
   夕方6時に雨が止んだ
 霧・もや・霞などは、出現には「かかる・出る」などが使われ、消失には「晴れる・消える」など
が使われる。
   山あいに霧がかかった/出た   もやが晴れた/消えた
◇風
 風は「吹く」と「止む」。「風が出てきた・収まった」という表現もある。
      風が吹いている  風が止む
 風に関しても、オノマトペが使われる。
   風がひゅうひゅう・びゅうびゅう・ごうごう(と) 吹く
 「吹く」場所の表現は「所デ」「所ヲ」「所ニ」で示される。
   山の方で強い風が吹く  草原・水面を 風が吹く    師走の町に冷たい風が吹く
  時間表現は、「吹く」は時間の長さを、「止む」はその時刻を示す。
   強風が三日間吹いた   風は3時ごろ止んだ
 嵐も「吹く」「止む」が使われる。「嵐になる」「嵐が収まる・静まる」とも言う。
◇晴れ・曇り
 「晴れる」は「空が晴れる」ことを表すが、場所を表す語をガ格としてとる。
   空が晴れる  東京地方は晴れるでしょう
 また、「霧・雨・雲」などもガ格としてとることができる。
   霧が晴れてきた
 「曇る」も「空が曇る」ことだが、場所を表す語をガ格としてとる。
   空が曇ってきた  山頂は曇っているようだ      九州地方は曇っています
◇雷 
 雷に関する表現は、音は「鳴る」、光は「光る」、雷による被害は「落ちる」を使う。
   雷が鳴っている  稲妻が光った  雷が落ちて家が焼けた
  光と音に関しては「天候」の次で取り扱う。「落ちる」は「移動」の表現で扱う。

  

 

〔1〕降る・吹く・止む

◇ふる
 「降る」は、雨や雪が上から落ちてくる様子を表す。火山灰なども「降る」。
  場所を示す助詞は「デ」または「ニ」。「所デ」は降雨という現象が起こる広い範囲を示す。「所ニ」
は、ある場所に注目し、そこに雨が落ちてくることを表す。
     ものガ (所ニ/デ) ふる
    九州で雨が降る  この辺でも雪が降るそうだ
    東京に雪が降る  運動場に雨が降る (×運動場で)
 「降ってくる」の形がよく使われ、出発点を「所カラ」で示すことがある。
    灰色の空からみぞれが降ってくる
 対応する他動詞は「降らす」で、使役形「降らせる」と同じように使われる。
    雨を降らす/降らせる
 受身の表現「降られる」は、よく使われる。
    帰る時、雨に降られて濡れてしまった
・複合動詞:「降る」こと自体に関するものと、「ものニ」など対象に関わるものがある。
 「降り出す」「降り続く」「降り止む」は開始・連続・終了を表し、「降りしきる」は強さを表す。
       雨が降り出した  雨が降り続いている  雨が降り止むのはいつか
    降りしきる雨を気にせず出かけた
 連続を表す複合動詞は「~続ける」が一般的だが、「降る」の場合は「~続く」の形も使われる。
 「降りかかる」「降り注ぐ」「降り積もる」は、「ものニ」をとり、「それに対して~する」という
  意味をつけ加える。
    植え替えた木の苗に優しい雨が降りかかる/降り注ぐ
    屋根に降り積もった雪の雪下ろしをする
 「降り込む」は、「中に」の意味を加える。「降り込める」は、「雨が人を外に出させない」という
  意味を表す。
       窓を閉め忘れたので、雨が部屋の中に降り込んでしまった
    傘が壊れたまま買い忘れていて、一日家に降り込められた
◇ふく
 「吹く」は、空気の動き、つまり風があることを表す。場所は「所デ」「所ヲ」「所ニ」で示す。
   ものガ (所ヲ/ニ/デ) ふく 
    東京で強い風が吹く  住宅街をさわやかな風が吹く  師走の町に冷たい風が吹く
 「所デ」は広い地域を表し、「所ヲ」は風が通る場所を表す。「所ニ」は、「そこに向かって・それ
に対して」の意味合いが重なる。次は「ものニ」の例。
    洗濯物に風が吹いている
 「吹いてくる・吹いていく」の形がよく使われ、「所カラ」「所へ」で出発点と方向を示す。
    海から風が吹いてくる  山のほうへ風が吹いていく 
 「吹く」はまた、人が息を強く出し、ものに当てることを表す。
   人ガ ものヲ ふく
    ろうそくを吹いて消す  手に息を吹きかける
 息を吹いて、楽器を鳴らすことを表す。「ほらを吹く」は慣用的表現で、大げさなことを言うこと。
    フルート・トランペットを 吹く  あいつはいつもほらを吹く
 また、何かがものの内部から勢いよく出てくること。
   ものガ ふく
       火山が火を噴く  木の芽が吹く/木が芽を吹く  粉を吹いたイモ
・複合動詞:「ふき-」の形のものが非常に多い。「降る」の場合と同じように、「吹く」こと自体に
 関するものと、他の対象に対する意味を加えるものとに分けられる。
 吹く方向・様子など
 「吹き荒れる」「吹きすさぶ」「吹きまくる」は、風の強さ、激しさを表す。吹雪にも使われる。
    嵐が吹き荒れる  吹きすさぶ吹雪の中を進む  木枯らしが吹きまくる
 「吹き上げる」「吹き降りる」「吹き下ろす」は、風自体の上下の移動の方向性を表す。
       地下鉄の階段を風が吹き上げてくる  冷たい風が山から吹き降りる/吹き下ろす
  「吹き込む」は風の方向が「中へ」であることを、「吹き返す」は風の方向がその前と反対である
  ことを表す。「吹き込む」は人の息にも使う。
       窓から風が吹き込んでくる  風船に息を吹き込む  逆の方向から風が吹き返す
 「吹きこぼれる」は、なべの湯・汁などが噴き上がってこぼれること。
 「吹き過ぎる」「吹き抜ける」は、風がある地点を通っていくことを表す。
  (この「-過ぎる」は「過度」を表す用法とは別である。)
    商店街をさわやかな秋の風が吹き過ぎる/吹き抜ける
 「吹き出す/噴き出す」は、中から外への動きを表す。急に笑い出すこと。また、開始を表す。
    汗が噴き出す  不満が噴き出す  それを見て子どもたちが吹き出す  風が吹き出す
 「吹き出る」も、中から外への動き。
  「吹き渡る」は、風が広がりを持ったところを通ることを表す。
    草原を風が吹き渡る
 何らかの対象に影響すること
 「吹きかける・ふっかける」は、人が息をものに対して強く吹くこと。ひゆ的に争いを仕掛けたり、
  ものの値段を高く言うことなどを表す。
       冷たい手に息を吹きかけた  けんか・値段をふっかける
 「吹き付ける」は「ものニ」をとり、対象に風が強く当たることを表す。
    窓に風が強く吹き付ける
 「吹き上げる」「吹き落とす」は、「ものヲ」をとり、上下の方向へ移動させることを表す。 
       春の風が道の紙くずを吹き上げる  木枯らしが枯れ葉を吹き落とす 
  「吹き払う」「吹き寄せる」は、風による対象物の移動が、ある所からどかせること、ある所に近
  づけることを表す。
       風が雲・霧を 吹き払った  風がゴミくずを路地に吹き寄せる
 「吹き消す」「吹き倒す」「吹き飛ばす」は、対象に与える変化を示す。なお、これらは自然の風
  によるだけでなく、人の息によっても起こされる。
       風がランプの灯を吹き消してしまった  台風が小屋を吹き倒した/吹き飛ばした
    子どもがローソクの火を吹き消した  ドミノを吹き倒した/吹き飛ばした
 「吹き飛ぶ」は、ものが強い風・息によって飛ぶこと。
    木の葉は強い北風で吹き飛んでしまった
 「吹き冷ます」は、人が息を吹いてものをさますこと。
       熱いお茶を吹き冷まして飲む
 「吹き鳴らす」は、楽器を吹いて鳴らすこと。
◇止む
 「止む」は、雨や風がなくなることを表す。
    雨が降ったり止んだりしている
       嵐が止んで静かになった
  場所は「所デ」で示す。
    関東地方では、午後には雨が止むでしょう  この辺で雨が止んだのは5時頃だった
  「止む」は、音などが止まることも表す。          (→「とまる」)
       風の音が止んだ   音楽が止んで静かになった
・複合動詞
 「-やむ」の形で、動きが終わることを表す。「降り止む」「吹き止む」「鳴りやむ」「泣きやむ」
がある。


ふる(降る)五(ふらない・ふります・ふって・ふれば) 
[1]〔ものガ (所ニ)〕
 △ふりだす  ふりそうだ  ふってくる  ふってほしくない  ふるかもしれない
  ふらないでほしい  ふらないようにいのる  ふられる  雨をふらせる
 △雨が[ぽつぽつ/ぱらぱら/しとしと/ざあざあ]~。
  雪が[ちらちら/しんしんと]~。
 △[雨/雪/小雨(こさめ)/霧雨(きりさめ)/粉雪(こなゆき)/あられ/みぞれ]が~。
 ・天気予報(てんきよほう)によると、きょうは午後から雨が降るそうだ。
 ・今にも降り出しそうな空だね。
 ・降りそうで降らない、変な天気が毎日つづいている。
 ・朝起きてみると雨がザァザァ降っている。これではハイキングはだめだ。
 ・朝から曇(くも)っていたが、10時ごろにとうとうポツポツ降り出した。
 ・帰りの山道で急に雨に降られて、ひどい目にあった。
 ・ゆうべから降り出した雪(ゆき)は今夜になっても降りつづけ、やみそうな気配(けはい)さえない。
 ・一週間も降り続く雨は珍(めずら)しい。異常(いじょう)気象(きしょう)の始まりだろうか。
 ・雪が音もなくシンシンと降っている。
 ・ザァザァと雨のたくさん降る梅雨(つゆ)を「男づゆ」と言い、シトシトと少しずつ降る梅雨を「女
  づゆ」と言うそうだ。
 ・雨、雨、降れ降れ、もっと降れ。
 ・雨が降ります 雨が降る 遊びに行きたし 傘はなし (童謡「雨」)
 ・ビルのそばにいると雨や雪ばかりでなく人間が降って来ることがあるから気をつけよう。
 ・アメリカでは大きな竜巻(たつまき)のあと、うしや家が空から降って来るそうだ。
 ・この商品はとてもよく売れるので、注文が降るように次々と来る。
 ・ゆみ子は美人なので、縁談(えんだん)が降るようにある。
 ・1月から3月までの間に東京に降った雨はたった100ミリでした。
 ・山に降った雪は、とけて川の水になって、海へ流れていくのです。
 ・私の上に降る雪は 真綿のようでありました  (中原中也の詩から)
 ・巷(ちまた)に雨の降るごとく わが心にも涙(なみだ)降る  (ヴェルレーヌの訳詩から)

<複合動詞:ふり->
[ふりかかる] ものガ 人・ものニ
 ・駅を出ると、ザアッと雨が降りかかってきた。
 ・空を見上げた顔に、細かい雨が降りかかった。
 ・危機を脱したあとも、主人公には様々な災難が降りかかる。冒険映画の定番だ。
   雨・石・火の粉・災い・災難・罵声が 頭上に 我が身に ぱらぱらと
[ふりこむ] ものガ ものカラ
 ・あいていた窓から雨が降りこんだ。
 ・玄関のドアを開けると、冷たい風と共に雪が降り込んでくる。
  cf.振り込む
   窓から雨が 雨がざあざあ 風と共に雪片が にわか雨が
[ふりこめる] ものガ 人ヲ
 ・もう一週間もずっと長雨に降りこめられて、どこにも出かけていません。
 ・せっかく旅に出たのに、朝から宿に降り込められています。そちらはいかがですか。
   ~られる 雨・長雨に 半年を雪に 
[ふりしきる] ものガ
 ・降りしきる雨の中を男が一人、かさもささずに歩いている。
 ・しんしんと雪が降りしきる。景色の中で動くものは何もない。
   雨・雪が 横降りに 絶え間なく
[ふりそそぐ] ものガ ものニ
 ・大きな窓から部屋中にさんさんと日の光が降りそそぐ。
 ・降り注ぐ雨の中、山道を急ぐ二人連れの旅人があった。
   雨・日光・日差し・火の粉・矢・声が 愛情・花を 頭上に 音もなく
[ふりだす] ものガ
 ・さっきまでいい天気だったのに、急に空が暗くなり、雨が降り出した。
 ・降りだした雪を気にもせず、二人は黙って海を見つめていた。
   雨が 急に 静かに にわかに 音もなく ぱらぱらと ぼつぼつ 夜更けて
[ふりつづく] ものガ
 ・秋の雨が単調に降り続いている。(降り続けている)
 ・毎日毎日雪が降り続く地方の苦労は、南国の人には想像できない。
   秋雨・長雨が 単調に 断続的に 一日中 来る日も来る日も 絶え間なく 連日
[ふりつもる] ものガ ものニ
 ・新雪が降り積もり、スキーヤーたちはその柔らかさを楽しんだ。
 ・この土地は火山灰が降り積もってできた土地なので、いろいろ問題があります。
 ・太郎を眠らせ、太郎の家に雪が降り積もる。
    火山灰・新雪・灰・雪が 静かに 街角に 音もなく 休みなく
[ふりやむ] ものガ
 ・試合は雨で中断し、降り止むのを待っているところだ。
 ・この雨、いいかげんに降り止まないかなあ。
   雨・雪が いつまでも~ない


ふく(吹く)五(ふかない・ふきます・ふいて・ふけば・ふこう) 
[1]〔ものガ (所ヲ/ニ)〕
 △ふきそうだ  ふきはじめる  ふきだす  ふきつづける  ふいてほしい  ふいてくる
  ふかないでほしい  ふかれる  ふけ!  ふくな! 
 △[つよく/はげしく/少し/かすかに/ぴゅうぴゅう/びゅうびゅう/ごうごうと]~。
 △[北風/木枯(こが)らし/春いちばん/さわやかな秋風/海からの風]が~。
 ・海岸(かいがん)では、昼過ぎから風が強く吹くでしょう。
 ・ゆうべから風がはげしく吹いている。
 ・日がおちたら、風が吹きはじめた。
 ・さびしい街(まち)を冷たい風が吹いている。
 ・どこまでも続く草原(そうげん)にさわやかな風が吹いて過ぎていく。
 ・明日はたこあげ大会なので、強い風が吹いてほしい。
 ・むしあついね。少し風が吹くといいんだけど。
 ・赤い風船(ふうせん)が風に吹かれて、青い空に飛んでいった。
 ・おふろに入ったあと、ベランダに出て風に吹かれていた。
 ・おなべがふいていますよ、火をとめて! 
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 ・お茶が熱いので、ふうふう吹いてさました。
 ・ケーキの上のローソクを、息(いき)を吹いて消した時、みんなが拍手(はくしゅ)してくれた。
 ・A:木がうまく燃(も)えないなあ。
  B:火をよく吹いてごらん。
 △[トランペット/クラリネット/尺八(しゃくはち)/笛(ふえ)/口笛(くちぶえ)]を~。
 ・兄にトランペットを吹いてくれるようたのんだら、何か美しいメロディーを吹いてくれた。
 △[エンジン/モーター/マシンガン/銃(じゅう)]が火を~。
 ・長い間しずかだった火山(かざん)が火を噴いた。
 ・アメリカのギャング映画では、いつもマシンガンが火を噴き、人々がころされる。
 ・砂浜(すなはま)を歩いていたら、小さなカニがあわをふいていた。
 ・鯨(くじら)がとおくで潮(しお)を吹いている。
 ・A:きのう「みつこし」の社長とゴルフをやってね、わたしが勝(か)って、デパートを二つもらう
  ことになった。
  B:また、そんなホラを吹いて...。 
 ・支店長の私がいくらいろいろさしずしても、店の若い者はちっとも動かないんです。「笛(ふえ)
  吹けど、踊(おど)らず」というわけです。
 ・春になると、木や草(くさ)が一度に芽(め)をふく。(=出す)

<複合動詞:ふき->
[ふきあげる] ものガ (ものヲ)
 ・冷たい風が地下室から吹き上げてくる。どこかから空気が入っているようだ。
 ・落ち葉を木枯らしが吹き上げ、ビルの高さまで舞い上げている。
   ~てくる:風・突風が  丘陵・階段を 足元から
 ・火山が白いけむりを吹き上げている。
   ガス・煙・蒸気・火柱・溶岩・しぶき・潮・湯煙を どっと もうもうと
   怒りが 屈辱の思いが胸底から
[ふきあれる] ものガ
 ・夕べは一晩中、強い風が吹き荒れていた。
 ・吹雪が吹き荒れる中を遭難者の捜索に向かった。
   風・木枯らし・突風・砂嵐・吹雪が 全国を 絶えず 家庭に嵐が 一晩中
[ふきおとす] ものガ ものヲ
 ・机の上のゴミをフッと吹き落とした。
 ・風が木の枝に積もっていた雪を吹き落とした。
   風がしずくを ほこりを 
[ふきおりる] ものガ ものヲ
 ・山肌を吹き下りてくる風が心地よい。
 ・地下鉄から地上に上がる階段で、吹き降りてくる風が冷たく、凍えそうだった。
[ふきおろす] ものガ (所カラ)
 ・うらの山から吹きおろす風は身を切るように冷たい。
   風ががけの上から 山から~風 
[ふきかえす] 人ガ ものヲ
 ・さっきは北から風が吹いていたが、今は南から吹き返しているようだ。ずっと嵐が続くらしい。
 ・倒れたラグビーの選手にコーチがやかんの水をかけたら、息を吹き返した。
   北風が 芽を 息を
[ふきかける・ふっかける] 人・ものガ 人・ものニ ものヲ
 ・風が窓に雨を吹きかけている。
 ・さむさで指が動かなくなった。いきを吹きかけてあたためよう。
 ・兄は酔うと、まわりの人にすぐケンカをふっかける。
 ・あの店は、男が買いに行くと、こういう物のねだんを知らないと思って、高くふっかける。
   息・唾・水・香水・煙草の煙を 熱いご飯・かじかむ手に息を ふうふう 
[ふきけす] 人ガ ものヲ 
 ・たんじょう日のケーキのろうそくは一息で吹き消さなけれならない。
 ・宿の主人がランプをフッと吹き消した。あたりに深い闇が広がった。
   明かり・ランプ・炎・ろうそくの火・提灯・面影・存在を ふっと
[ふきこぼれる] ものガ
 ・おかゆが吹きこぼれてしまって、コンロがべたべただ。
 ・おそばをゆでるときは、吹きこぼれないようによく見ていてください。
   怒り・思い・悔し涙・鍋・涙・やかん・湯が 
[ふきこむ] ものガ(ものカラ ものニ) / 人ガ ものヲ(人ニ)
 ・いつのまにか雨がふりだして、開けておいたまどから吹きこんでいる。
 ・山下さんは来月ロンドンで新曲を(レコードに)吹きこむそうだ。
 ・子供たちにあなたの偏った考えを吹き込まないで下さい。     (→教える)
[ふきさます] 人ガ ものヲ
 ・熱くて飲めないと言うので、子どものみそ汁を吹き冷ましてやった。
[ふきすぎる] ものガ ものヲ
 ・朝晩がしのぎやすくなり、通りを吹きすぎる風に秋を感じた。
 ・二度とあの幸せな日々は戻らないのだと、心の中を寂しい思いが吹きすぎた。
   秋風・木枯らし・嵐が 平原を 思いが 心を 体の中を 一陣の風が街路を 
[ふきすさぶ] ものガ 
 ・探検隊は遺跡を求めて西に進んだ。砂嵐が吹きすさぶ辺境の地に、その遺跡はあった。
 ・吹雪が吹きすさぶ中を山小屋に向かって突き進んだ。
   風・寒風・木枯らし・砂嵐・吹雪・山おろしが 胸の内に すさまじい迫害の嵐が 
[ふきたおす] ものガ ものヲ 
 ・家が台風で吹きたおされてしまった。
 ・にわの木が風に吹きたおされた。
   嵐・風・強風が 木・草・樹木を 猛烈に 遠慮なく 家・工場・塀・塔を 
[ふきだす]  ものガ
 ・ひたいからあせが吹き出している。
 ・子供たちの不満がいっきに噴き出した。  
 ・弟のかっこうがあまりおかしいので、わたしは思わず噴き出してしまった。(=急に笑い出した)
 ・パイプがおれて、そこから水蒸気が噴き出している。
   汗の粒・温泉・蒸気・鮮血・鼻血・日・マグマ・水・泉・芽・痛み・批判・
   異論・不平不満・弊害・矛盾・問題が 汗・地下水・溶岩を 全身から どっと 
 ・午後になって、強い風が吹き出した。
[ふきつける] ものガ ものニ / 人ガ ものニ ものヲ
 ・海の方から吹きつける潮風のために自転車がさびてしまった。
 ・バイクを走らせるわたしのかおにつめたい雨が吹きつけた。
 ・兄は髪にスプレーを吹きつけている。
   雨・風・木枯らし・潮風・砂が 風・息・しぶき・煙・雪・スプレーを
   頬に まともに 横殴りに 荒々しく 絶え間なく びゅうびゅうと 強く
[ふきでる] ものガ ものカラ
 ・コンロの上のやかんから蒸気が噴き出てきた。
 ・山頂から吹き出る白煙がゆったりと風に乗って流れていく。
   汗・汗の玉・脂汗・蒸気・血・鼻血・水・ニキビ・芽・要求・矛盾が 全身に
[ふきとばす] ものガ ものヲ
 ・木枯しが吹きまくって、木の葉をすっかり吹きとばした。
 ・台風の強い風で体が吹き飛ばされそうになった。
 ・突風で物置のトタン屋根が吹き飛ばされたが、幸いけが人はなかった。
 ・カラオケで歌いまくって、日ごろのイライラを吹き飛ばした。
   紙・土砂・花の種・帽子・屋根・猛暑・空気・灰・すべて・憂さ・感傷を
[ふきとぶ] 人・ものガ 
 ・強い風でテントが吹き飛んだ。
 ・このビールの一杯で、昼間の仕事のイライラが全部吹き飛ぶ心地がするね。
 ・夜中の電話で起こされ、眠い目をこすって電話に出たが、聞こえてきた一言で眠気が吹き飛んだ。
   感傷・砂・疲れ・眠気・腹立ち・不安・帆・酔いが  一度に 跡形もなく
[ふきならす] 人ガ ものヲ
 ・丘の上でトランペットを吹き鳴らしていると、いやな事はみな忘れてしまう。
   管楽器・笛・ハーモニカ・ラッパ・尺八を 風が空を
[ふきぬける] ものガ
 ・家の両側のまどをあけると、すずしい風が吹きぬけて行く。
 ・私はすべてを失い、心の中を冷たい風が吹き抜けていくようなむなしさを感じた。
 ・冷たい風が吹き抜けて、黒い落ち葉がただ一枚、風の吹くまま舞っていた。
   風・木枯らし・涼風・嵐・殺意・痛みが 車内・平原・胸の中を ひゅうと
[ふきはらう] ものガ ものヲ
 ・ゆうべから吹いた風が、くもを吹きはらって、けさはぬけるような青空が広がっている。
 ・弁護士が探し出してくれた証拠書類が、私に対する疑惑をきれいに吹き払ってくれた。
   もや・濁った空気・すべて・心の曇り・影・鬱屈・闇・憂鬱を きれいに
[ふきまくる] ものガ
 ・木枯しが吹きまくって、木の葉をすっかり吹きとばした。
 ・あのいい加減な男がほらを吹きまくり、みんな信じこまされて資金を出してやったんだ。
   激しい風・空っ風・夜風・嵐が 怒りが ほらを 猛烈に 荒々しく
[ふきよせる] ものガ ものヲ
 ・落ち葉が風に吹き寄せられて、階段の下にたまっている。
   風・北風が  落ち葉・匂いが風に吹き寄せられる
[ふきわたる] ものガ ものヲ
 ・はるか上空を吹き渡る風に乗って、遠い国へ飛んでいきたい。
     薫風・涼風が 戦場を 風が空を


やむ(止む)五(やまない・やみます・やんで・やめば)   
[1]〔ものガ〕
 △やみそうだ  やみかける  やんでほしい  やむかもしれない  やむといい
  やんだようだ  やんだらいいのだが  やもうがやむまいが  やめ!  やむな!
 △[きゅうに/とつぜん/ピタリと/ピタッと/ようやく/知らないうちに]やんだ
 △[かぜ/雨/雪(ゆき)/嵐(あらし)/みぞれ]が~。
 ・おとといから降りつづいている雪がやっとやみそうです。
 ・雨は一度止みかけたが、また強くなった。
 ・この雨は、明日の昼までには止むでしょう。
 ・A:もう雨はやみましたか。
   B:ええ、とっくにやんでいます。
 ・この雨、夜のうちに止んでほしいんだけどなあ。止まないと困るんだよなあ。
 ・雨を止ませる方法がないものかと科学者は研究しているけれど、なかなか難しいようだ。
 ・こら、雨! いい加減(かげん)に止め!
 ・嵐(あらし)が止もうが止むまいが、所長はロケット打ち上げ(うちあげ)を強行(きょうこう)する
  つもりだ。
 △[音楽(おんがく)/さわぎ/音(おと)/話し声(ごえ)/ひそひそ話(ばなし)]が~。
 ・となりのへやの話し声がやんで、しずかになった。    
 ・トラックの音が一晩中(ひとばんじゅう)やまずに聞こえる。
 ・音楽が止んで、一時(いっとき)静寂(せいじゃく)があたりをつつんだ。

〔2〕晴れる・曇る
  
◇はれる
 「晴れる」は、空に雲がない状態になることを言う。そうなった結果の状態は「晴れている」。
 名詞修飾の場合は、「晴れている空」よりも「晴れた空」の形が使われる。ひゆ的に、精神的・社
会的に好ましくない状態が終わることを言う。
   ものガ はれる
    空が晴れている  よく晴れた空  気が晴れる  疑いが晴れる
・複合動詞
 「晴れあがる」は、(雨や曇りの後で)すっかり晴れること。
 「晴れ渡る」は、空の隅々まですっかり晴れること。
◇はらす
  「晴らす」は、精神的・社会的に好ましくない状態を終わらせてすっきりさせること。
   人ガ ものヲ はらす
    気・恨み・疑いを 晴らす
◇くもる
 「曇る」は、空に雲が現れ、雲が空を覆う状態になること。その結果は「曇っている」。名詞修飾
の形は「曇った空」の形になる。
  ガラス・鏡などの表面が汚れてはっきり見えない状態も「曇る」という。
   ものガ くもる
    空が曇ってきた  どんより曇った空  お風呂の鏡がゆげで曇っている


はれる(晴れる)一(はれない・はれます・はれて・はれれば) 
[1]〔ものガ〕
 △はれそうだ  はれそうもない  はれてきた  はれるだろう  はれるといい
  はれたら出かける  はれないと困る  はれてくれた  
 △[きれいに/すっきり/まっさおに/雲一つなく/みごとに/気持ちよく]~。
 △[空(そら)/西の空/霧(きり)/気持ち/もやもや/疑(うたが)い/疑惑(ぎわく)]が~。
 ・きのうまで降(ふ)り続いた雨がやんで、きょうは空がすっかり晴れている。
 ・あすは晴れたり、曇(くも)ったりの一日でしょう。
 ・雨の日が続いてうんざりだ。からっと晴れてくれないものか。
 ・西の空が真っ赤(まっか)な夕焼(ゆうや)けだ。明日(あした)はきっと晴れるだろう。
 ・晴れた日にはふとんを干(ほ)そう。
 ・晴れた空、そよぐ風。気持ちのいい秋晴(あきば)れだ。
 ・霧の中をあるくのはあぶないから、晴れるまで待(ま)ちましょう。
 ・家族(かぞく)の中でいろいろごたごたして、どうも心のもやもやが晴れない。
 ・なまいきな弟をひとつなぐってやったらむしゃくしゃしていた気が晴れた。
 ・あの人はスパイの疑い(うたがい)がはれて、自由の身(み)となった。
  ・てるてる坊主(ぼうず) てる坊主 あした天気にしておくれ
  いつかの夢の空のように 晴れたら 銀の鈴(ぎんのすず)あげよう (童謡「てるてる坊主」)

<複合動詞:はれ->
[はれあがる] ものガ
 ・昨夜からの雪がやんで空が真っ青に晴れ上がった。
 ・雨の日が続いたね。明日はきれいに晴れ上がってほしいね。
   天気・空・霧・心が 隅から隅まで さわやかに からりと 青く~た朝
[はれわたる] ものガ
 ・空はどこまでも青く晴れわたっている。
 ・晴れ渡った空を大きな気球がゆっくりと流れていく。
   空が 遠くまで 真っ青に 明るく くまなく 雲一つなく 気持ちよく


はらす(晴らす)  五(はらさない・はらします・はらして・はらせば・はらそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はらしたい  はらしておく  はらさなくてはならない  はらせない  はらそうとする
 △[何とか/やっと/とうとう/ついに/がんばって/必死(ひっし)の思いで/かならず]~。
  △[気/憂(う)さ/憂(うれ)い/恨(うら)み/うっぷん/怨念(おんねん)/疑(うたが)い]を~。
  ・なんとなく朝から気が重い。気を晴らすために外に出て軽く走ってみた。
 ・仕事(しごと)の憂さを晴らすために毎晩酒を飲み、とうとう胃(い)をこわした。
 ・この恨みを晴らさずには、死ぬにも死ねない。
 ・長年(ながねん)の怨念をついに晴らす時がやってきた。
  ・無実(むじつ)の疑いを晴らすために、二十年がかかった。
 ・濡れ衣(ぬれぎぬ)を晴らせないまま亡くなった彼のために、友人たちが立ち上がった。


くもる(曇る)五(くもらない・くもります・くもって・くもれば)
[1]〔ものガ〕
 △くもりそうだ  くもりがちだ  くもってくる  くもってしまう  くもらせる
 △[急に/知らないうちに/いつの間にか/真っ暗(まっくら)に/うっすらと]~。
 △[そら/レンズ/めがね/ガラス/かがみ/顔(かお)/表情(ひょうじょう)]が~。
 ・曇ってこないうちにふとんを干(ほ)そう。
 ・さっきまで晴(は)れていた空が見る見るうちに曇ってしまった。
 ・運動会(うんどうかい)の日は、少し曇ってくれたほうが暑(あつ)くなくていいんだけど。
 ・どんより曇った空から、ぽつぽつと雨が落ちてきた。
 ・毎日曇りがちの日が続く。すかっと晴れてくれないかなあ。
 ・カメラのレンズには、曇らないようにとくべつな油(あぶら)がぬってある。
 ・ふろばの湯気(ゆげ)で曇ったかがみを手でふいて、かおを見た。
 ・コーヒーを飲もうとしたら、めがねが曇ってしまった。(ゆげで)
 ・私のことばを聞いて、妻(つま)の顔がきゅうに曇った。

[光] 光る・照る
  自然の中の光に関する動詞表現を見る。
 最も基本的な動詞は「光る」である。「輝く」はより強く、明るい光について言う。「光る」「輝く」
は、あるものが光を発すること。光を反射する場合にも言う。
    星が光る  月が輝く    窓ガラスが光っている
 「照る」は、光が届く対象に重点を置いた表現で、「ものニ」をとる。「照らす」は「照る」に対
応する他動詞。人がガ格に来ることができる。
       砂浜に照る夏の太陽   赤い夕日が山を照らす  ライトで壁を照らす
  星は「きらめく」、あるいは「瞬く」。共に光が揺れて強弱があることを示す。
 
◇ひかる
 光を発することを表す、基本的な動詞。弱い光でも言う。「-ている」の形で継続を表す。
   ものガ ひかる
    太陽が光る   海が日を受けて光っている  ホタルがかすかに光る
 そのものが存在する場所を「所ニ/デ」で示す。
   ものガ 所ニ/デ ひかる
    夜空に光る星   彼女の指に光るダイヤの指輪   目に光る涙
    大空のまん中で大きな星が光っている   波打ち際で、波がきらきら光る
 「デ」は、その現象が起こっていること、つまり動詞に重点があり、「ニ」はその光を発するもの
がどこにあるか、その位置の指定に重点がある。  
 光り方を表すためのオノマトペがある。「きらきら・ぴかぴか」は繰り返しを表す。
    きらきら・きらりと・ぎらぎら・ぴかぴか・ぴかっと 光る
 ひゆ的に、人やものが優れている、目立っていることを表す。
    彼女、最近光っているね
・複合動詞:「光り輝く」は、明るく光ること。
◇かがやく
 「輝く」は、まぶしいほどの明るい光を発すること。「星が輝く」も明るいことの強調。
      ものガ かがやく
    頭上に真夏の太陽がぎらぎらと輝く  きらっと輝く  ×かすかに輝く
 ものをガ格において、「光に輝く」という表現がある。
    雪山が朝日(の光)に輝く(朝日を受けて)
 ひゆ的に、ある感情によって人が生き生きとしていることを表す。原因をニ格で表す。
   ものガ ものニ かがやく
    彼女の表情は喜びに輝いていた
 また、栄誉などを受けたことを表す。  
    出品作が金賞に輝く
 さらに、人やものが優れている、目立っていることを表す。
    トップになる人は、さすがに輝いているね
◇てる
 「照る」は、太陽・月が輝くこと、また、その光がものや所を明るくすること。「ものニ」で明る
くなる対象を示す。「所ニ」が太陽・月のある場所を示す場合もある。
      ものガ ものニ/所ニ てる
    太陽がトマト畑に照る  月が夜の海に照っている     柿の実に照る夕日
    冬の空に照る月 
・複合動詞
 「照り輝く」は、二つの動詞を重ねて、非常に明るく光ることを表す。
  「照り返す」は、強い光が何かに反射して、別の所に当たること。
 「照り込む」は、強い光が何かの中に入ること。
 「照りつける」は、強い光が何かに対して当たること。
 「照り映える」は、何かが光を受けて美しく輝くこと。
◇てらす
  「照らす」は、太陽やライトなどがガ格に来る文型と、人がガ格に来る文型がある。
   ものガ ものヲ 照らす
       太陽が世界を照らす  月光が林の道を明るく照らしている
    懐中電灯が足元を照らす  ライトに照らされた机
   人ガ (ものデ) ものヲ 照らす
      照明係がライトで歌い手を照らす    懐中電灯で足元を照らした
  光(源)をヲ格、照らされる場所をニ格で示す文型もある。
     人ガ ものヲ ものニ 照らす
    懐中電灯を足元に照らす  闇に光を照らす
 「照らす」の受身形は「照らされる」、使役形は「(人ニ)照らさせる」。
    朝日に照らされた木々  照明係に客席を照らさせる
・複合動詞
 「照らし合わせる」は、違いがあるかどうか二つのものを比べてみること。
 「照らし出す」は、何かを照らしてはっきり見えるようにすること。 
 「照明する」は、人工的な光で照らしてあたりを明るくすること。特に舞台や撮影で言う。
◇またたく
  「またたく」は、元は短い時間で目を閉じたり開いたりすることで、星の光の明るさが揺れること
を表す。
   ものガ またたく
    大きな瞳がまたたく  光・星が またたく
◇きらめく
  「きらめく」は、きらきら光ることで、明るく、目立つ光を出すこと。星の光を言うほか、ネオン
などに言う。ひゆ的に、人の才能・才気などが目立つことを言う。
   ものガ きらめく
        ネオン・宝石・雪が きらめく  才能がきらめく


ひかる(光る)五(ひからない・ひかります・ひかって・ひかれば) 
[1]〔ものガ (所ニ/デ)〕
 △ひかりすぎる  ひかりそうだ  ひからないようにする  ひからせる  ひかれ!
 △[ぴかぴか/きらきら/ぎらぎら/ぴかりと/ぴかっと/てかてか]~。
  [美しく/あざやかに/おごそかに/かすかに/弱(よわ)く/よわよわしく]~。
 △[太陽(たいよう)/月/星/街(まち)のあかり/車のヘッドライト/ホタル]が~。
  [ガラス/鏡(かがみ)/くつ/テーブルの表面(ひょうめん)/おでこ/汗(あせ)]が~。
 ・川を歩いてわたっていると、何かが水の底(そこ)できらりと光った。
 ・あの山の上で何かぴかっと光ったぞ。何だろう。
 ・ダイヤモンドの指輪(ゆびわ)がゆみ子のゆびできらきら光っている。
 ・夜の空に光る無数(むすう)の星の中には、我々(われわれ)のような生物がいるのだろうか。
 ・こんなにぴかぴか光る靴(くつ)は好きではない。
 ・ピカッ、と稲妻(いなずま)が光った。続いて、ドドーンと雷(かみなり)が落ちた音がした。
 ・先生の上着(うわぎ)は着古(きふる)して、ひじのあたりがてらてらに光っている。
 ・闇(やみ)に光るホタルを目で追いかけていたら、酔(よ)ったような気持ちになった。
 ・農作業(のうさぎょう)をする兄の額(ひたい)で汗が光った。いいな、と思った。
 ・我が子(わがこ)を抱(だ)く妻(つま)の目に光るものは何だろう。
 ・G先生はすっかり髪(かみ)の毛がなくなって、頭がつやつやと光っている。
  ・ぼくの行くところへ ついておいでよ 夜空(よぞら)にはあんなに 星が光る(加山雄三)
[2]〔人 (のもの) ガ〕
 △[才能(さいのう)/能力(のうりょく)/腕前(うでまえ)/センス/活躍(かつやく)]が~。
 ・ことしの新入社員の中ではあの人が一ばん光っているわね。
 ・こういうことをさせると、かれは才能が光るねえ。
 ・今日(きょう)の試合(しあい)では山下さんの守備(しゅび)が光っていました。
 ・私が新しい条件(じょうけん)を示(しめ)すと、あいての目がきらりと光った。
 ・警備員(けいびいん)の目が光る中で、ケースの中のものを盗(ぬす)み出すのはむずかしい。

<複合動詞:ひかり->
[ひかりかがやく]  ものガ
 ・真夏の太陽が青い空に光り輝いていた。
 ・一面の雪原が朝の光を浴びてきらきらと眩しいほどに光り輝いていた。
    電灯・雪・肌・目・氷・青春が きらきら まばゆいほどに 異様に


かがやく(輝く)五(かがやかない・かがやきます・かがやいて・かがやけば)
[1]〔ものガ 所ニ〕
 △かがやきそうだ  かがやいてほしい  かがやかせる  かがやけ! 
 △[きらきら/ぎらぎら/ぴかぴか/美しく/あでやかに/はでに]~。
 △[太陽(たいよう)/月/ほし/明かり/ネオンサイン/ライト/ダイヤモンド]が~。
 ・東の空には明るい月がつめたく輝いていた。
 ・輝く太陽(たいよう)のもとでスポーツをするのはとても気持ちがいい。
 ・夜空にはたくさんの星(ほし)がキラキラと輝いて、まるでダイヤモンドのようだった。
 ・もう夜の12時だというのに、事務所にはこうこうと電灯(でんとう)が輝いて、おおぜいの社員
  がまだ忙(いそがし)しそうに働いていた。
 ・日が昇(のぼ)り、ゲレンデが真っ白(まっしろ)に輝いている。さあ、すべるぞ! 
 ・空にはギラギラと真夏(まなつ)の太陽(たいよう)が輝いている。
 ・この子は夜空(よぞら)に輝く星のようにきれいない目をしている。
[2]〔人ガ ものニ〕
 △[ノーベル賞(しょう)/新人賞(しんじんしょう)/優秀賞(ゆうしゅうしょう)]に~。
 ・こちらは、ことしのミス・ユニバースの日本代表の栄誉(えいよ)に輝いた田中しげこさんです。
 ・山本さんはことしのノーベル物理学賞(ぶつりがくしょう)に輝いた。
[3]〔(人の)ものガ ものニ〕
 △[肌(はだ)/顔(かお)/表情(ひょうじょう)/目/笑顔(えがお)]が~。
  [喜(よろこ)び/希望(きぼう)/幸(しあわ)せ/感激(かんげき)]に~。
 ・彼女の肌(はだ)は若さに輝いている。
 ・男の赤ちゃんが生まれたという知らせに父親(ちちおや)の目は喜(よろこ)びに輝いた。
 ・結婚式(けっこんしき)の朝、姉の目はよろこびにキラキラ輝いていた。
 ・子どもたちの輝く笑顔が、教師の私には最高の喜びだ。


てる(照る)一(てらない・てります・てって・てれば) 
[1]〔ものガ (所ニ)〕
 △てりそうだ  てってほしい  てらないでほしい  てらないとこまる  てったほうがいい
 △[明るく/強く/ぎらぎらと/さんさんと/こうこうと/焼け付くように]~。
 △[月/日/太陽(たいよう)/ライト/朝日/夕日(ゆうひ)]が~。
 ・きれいな月がこうこうと照っている。
 ・さんさんと照る日の下で、運動をするのは気持ちがいい。
 ・毎日雨ばかりだ。少しはお日様(ひさま)が出て、照ってほしい。
 ・この教室は西日(にしび)が照って暑(あつ)い。
 ・朝になって日が照れば、少しはあたたかくなるだろう。
 ・照ってもふっても、あしたはどうしても出かけなくてはならない。
 ・月が美しく照る晩は、何となくもったいなくて眠れない。
 ・夏にしっかり日が照らないと、いい米ができないそうだ。

<複合動詞:てり->
[てりかえす] ものガ ものヲ
 ・となりの家の窓が西日を照りかえすので、まぶしい。
 ・時間は6時をすぎていたが、夏の日がまだ庭から部屋の中に照りかえしていた。
   陽・熱・雪が 明かり・日・太陽・日光・日射しを 畑を 赤々と
[てりかがやく] ものガ (ものニ)  
 ・青空の中央に夏の日がぎらぎらと照り輝き、人々は白い波にたわむれていた。
 ・ゲレンデの上に立つと、雪が日の光に照り輝いて、実にみごとだ。
 ・崖の上に立つ城が夕日に照り輝いて荘厳な美しさを見せている。
      太陽・月・夕陽・雪が日の光に 日光がまぶしく
[てりこむ] ものガ ものニ
 ・夏の強い日が部屋の中に照りこんでいた。
 ・西向きのこの部屋は、夕日が照り込むので暑くてたまらない。
[てりつける] ものガ ものニ 
 ・ぎらぎらと照りつける日の下でしごとをしていたので、とてもつかれた。
 ・夏休み中、直射日光の照りつけるグラウンドで野球に汗を流した。
   直射日光・日射し・やけつくような陽が ぎらぎら さんさんと 容赦なく
[てりはえる] ものガ ものニ
 ・紅葉が秋の日に照り映えて実に美しい。
 ・秋の夕日が雲に照り映えて、赤々と燃えているようだ。
      朝日・紅葉・夕焼けが 雲に 夕日に 赤々と 赤く 美しく

てらす(照らす)五(てらさない・てらします・てらして・てらせば・てらそう) 
[1]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
 △てらしたい  てらしてほしい  てらしてもらう  てらさせる  てらされる
 △[明るく/強く/ぎらぎらと/こうこうと/さっと/ぼんやりと]~。
 △[手元(てもと)/道/右/前のほう/へやの中/舞台(ぶたい)/天井(てんじょう)]を~。
 ・足元(あしもと)を懐中電灯(かいちゅうでんとう)で照らしてください。
 ・ランプで周(まわ)りを照らしながら、ほらあなの中を探検(たんけん)した。
 ・天井の四隅(よすみ)に取り付けたスポットライトで、テーブルの上を明るく照らしてある。
 ・一番ライトは舞台の右、二番ライトは舞台の左側(ひだりがわ)を照らせ。
[2]〔ものガ ものヲ〕
 △[太陽(たいよう)/街灯(がいとう)/ライト/シャンデリア]が~。
 ・朝になり、太陽(たいよう)が町を照らしはじめた。
 ・街灯(がいとう)が一つ、さびしい街角(まちかど)をぼんやりと照らしている。
 ・机の上の教科書とノートをスタンドが明るく照らしている。
 ・手に持った大きなローソクが彼女の顔を明るく照らしていた。
 ・真夏(まなつ)の太陽(たいよう)に照らされて川の水がきらきらと輝いている。
 ・スポットライトに照らされて、女優(じょゆう)はステージの中央(ちゅうおう)へ進んだ。
[3]〔人ガ ものヲ (ものニ)〕
 ・そこのライトを照らしてください。
 ・闇(やみ)に光を照らす神のことばを信じなさい。

<複合動詞:てらし->
[てらしあわせる] 人ガ ものヲ ものト
 ・彼の伝記とこの資料と照らし合わせてみると、その時代の状況が浮かび上がってくる。
 ・我々は数字を一つ一つ照らし合わせて、間違いがないか調べた。
   行動を 生活体験に 過去の発言と 事実と 原文と訳文を
[てらしだす] ものガ ものヲ
 ・サーチライトが海のそこを照らし出した。
 ・七色のライトがグラウンドを照らし出している。
 ・この調査によって歴史上の新しい事実が照らし出された。
     辺り・会場・玄関・道路・内部を 世の中・意識・横顔・心の底・真理を
<スル動詞>
[照明(しょうめい)する] 人ガ ものヲ
 ・舞台の上は柔らかく照明してください。やさしい光で浮き上がるように。
 ・建物全体を明るく照明して、背景の夜空にくっきり浮かぶようにしている。


またたく(瞬く) 五(またたかない・またたきます・またたいて・またたけば)
[1]〔ものガ〕
 △[きらきらと/ちらちら/ちかちか/かすかに/ぴかぴかと/しずかに]~。
  △[明かり/ネオン/光/ひとみ/星(ほし)]が~。
 ・空気(くうき)が揺(ゆ)れるために星が瞬くのだそうだ。だから、宇宙(うちゅう)に出ると、星が
  ぜんぜん瞬かないという。
 ・星が瞬く静かな夜に、空を見上げて詩(し)の一節(いっせつ)でも言ってみたいが、覚えてない。
  ・丘(おか)の上から眺(なが)めると、遠くのネオンが瞬いて実に美しい夜景(やけい)だ。
[2]〔人ガ ものヲ〕
  ・彼女はその美しい、大きな目を瞬いて言った。「あなたには興味(きょうみ)ないわ」と。

きらめく(煌めく)  五(きらめかない・きらめきます・きらめいて・きらめけば)
[1]〔所ニ ものガ〕
 △[きらきらと/ぴかぴかと/きらっと/明るく/ぎらぎらと/まばゆく/あやしく]~。
 △[明かり/朝日/ネオン/光/宝石(ほうせき)/ダイヤ/雪/汗(あせ)]が~。
  ・夜空(よぞら)に無数(むすう)の星がきらめく。  
 ・夜の街(まち)にネオンがきらめいている。  
  ・闇(やみ)に狼(おおかみ)の眼がきらめいた。 
  ・彼女のきらめく才気(さいき)にみんな圧倒(あっとう)されていた。  

[音] 鳴る・鳴く
 自然の中の音の表現を見る。
 あるものが音を出す場合、そのものが「鳴る」と言う。
    鐘が鳴る  雷が鳴る 
 ただし、「音が鳴る」という言い方もある。
    耳の奥で音が鳴っているようだ
 「鳴る」に対応する他動詞は「鳴らす」。
    木の板を鳴らす  ベルを鳴らす
 その音が空気あるいはものを伝わって広がることを「響く」で表す。他動詞は「響かす」。
    建物中に音楽が響いている
 動物が音を出すことを「鳴く」で表す。必ずしも口からではない。
       ニワトリが鳴く  秋の虫が鳴く
 猛獣・犬などが相手を脅かすようになくことを「吠える」で表す。
    犬が吠える  ライオンが吠えている
 鳥の声には「鳴く」ほかに、「さえずる」「歌う」などを使う。
       小鳥がさえずる 

◇なる
 「鳴る」は、何かが音を出すこと。
  場所は「所デ」で示す。「所ニ」は歌詞など文学的な表現では使われる。
      ものガ なる
    枕元で目覚ましが鳴る   遙かな空に鐘が鳴る
  鳴り方を表すオノマトペが数多くある。
    カーン・カンカン・ガンガン・リンリン・ゴロゴロ・グーグー・キーン となる
 ひゆ的に、「腕が鳴る」は、自分の力を発揮したいという意味を表す。
・複合動詞
 「鳴り響く」は、回りによく聞こえるように、よく鳴ること。
 「鳴りやむ」は、鳴っている音が止むこと。
 「鳴り渡る」は、鳴っている音があたり一面に伝わること。
◇ならす
 「鳴らす」は、何かに音を出させること。
      人・ものガ ものヲ ならす
    チャイムを鳴らす  ネコがのどを鳴らす
 オノマトペが数多い。
       船がボーっと汽笛を鳴らす  風が窓をがたがた鳴らす
 「警鐘を鳴らす」は、ひゆ的に、危険を予告し、注意を促すという意味で使われる。
・複合動詞
 「打ち鳴らす」は、楽器などを叩いて鳴らすこと。
 「踏み鳴らす」は、床などを足で勢いよく踏んで音を立てること。
◇ひびく
 「響く」は、音があたりに広がって伝わっていく様子を表す。場所を「所ニ」で示す。
      ものガ 所ニ ひびく
    歌声がホールに響く    青空に鐘の音が響く
 使役形「響かせる」は「響くようにする」こと。
    歌声をホールに響かせる
 「響く」は、ひゆ的に、悪い影響を与えるという意味で使われる。対象を「ものニ」で示す。
   ものガ ものニ ひびく
    今回の出費が家計に響く  出世に響く失敗
 「心に響く」は深く伝わること。
・複合動詞
 「鳴り響く」(「鳴る」の項参照)
 「響き渡る」は、あたり一面、遠くのほうまで響くこと。
・スル動詞
 「反響する」は、音が何かにぶつかり、はね返ってきて聞こえること。 
◇ひびかす
 「響かす」は、「響く」の使役形「響かせる」と同じ。

◇なく
 動物の声、虫の音に関する表現。
 「鳴く」は、けものや鳥が声を出し、虫が音を出すこと。場所は「所デ」で示す。
   ものガ なく
    牛がモーモーと鳴く  草むらで虫が鳴いている
 「所ニ」は文学的な表現。
    庭に鳴く虫の音を聞いていると、秋を感じる
  使役形「鳴かせる」は、声を出させること。
    ウグイスを飼い、鳴かせて楽しむ
 動物の声を表すオノマトペが多い。動物の種類によって決まっている。
    ネコ:ニャーニャー     ネズミ:チューチュー
    小さい犬:キャンキャン   大きい犬:ワンワン
    ニワトリ:コッコッコケーッコッコッ  コケコッコー  (ひよこ:ピヨピヨ)
    ウシ:モーモー   ウマ:ヒヒーン   ヤギ:メーメー  ブタ:ブーブー
    セミ:ミーンミーン(ミンミンゼミ)   スズムシ:リーンリーン  
    カラス:カーカー    スズメ:チュンチュン   ウグイス:ホーホケキョ
◇さえずる
 「さえずる」は、小さな鳥が続けて鳴くことを言う。ひゆ的に人がおしゃべりすることも言う。
   ものガ さえずる
    庭の木の枝で小鳥がさえずっている
◇「吠える」は、犬や肉食の大型動物が大きな声を出すことを表す。
   ものガ ほえる
     この犬はよく吠える  虎が吠えた
 使役形「吠えさせる」、受身形「吠えられる」。
       人の家の門に近づいたら、大きな犬に吠えられた
  ひゆ的に、人が大声でどなることを表す。
・複合動詞
 「吠え立てる」は、(人に対して)激しく吠えること。

なる(鳴る)五(ならない・なります・なって・なれば) 
[1]〔ものガ〕
 △なりそうだ  なりかける  なりはじめる  なりつづける  なってほしい
  なってしまう  ならないようにする  ならないといけない
 △[しずかに/小さな音で/大きな音で/うるさく/はげしく/やかましく]~。
  [美しく/気持ちよく/すずしげに/かろやかに/さわやかに]~。
  [カーン/キーン/カンカン/ガンガン/キンコンカンコン/ピンポーン]と~。
  [ゴーン/チーン/リンリン/ウーウー/プーップーッ/ツーツー/ギイギイ]と~。
 △[ベル/サイレン/おなか/雷(かみなり)/寺(てら)の鐘(かね)/ラジオの時報(じほう)]が~。
 ・スイッチを入れても音が鳴りませんね。このラジオ、こわれているのかな? 
 ・雷が鳴り、強い風が家を揺(ゆ)らした。
 ・風が吹くと、窓ガラスがガタガタ鳴る。古い家はこれだからいやだ。
 ・警報(けいほう)のサイレンが鳴り始めた。工場で何か事故(じこ)があったのだろうか。
 ・となりの家で電話(のベル)がリーン、リーンと鳴っているが、だれも出ない。
 ・遠くでピーポーピーポーと鳴っているのは救急車(きゅうきゅうしゃ)だろうか。
 ・発車(はっしゃ)のベルが鳴っている。いそいで電車にのろう。
 ・おなかがすいて、ぐうぐう鳴っている。早くご飯にして、お母さん。
 ・風がふいて、まどにさげた風鈴(ふうりん)が涼(すず)しげな音で鳴った。
 ・首(くび)を回すと、ゴキッと鳴った。肩(かた)がこっている。ゲームのやりすぎだ。
 ・玄関(げんかん)のチャイムが鳴らなくなった。故障(こしょう)したらしい。
 ・煙が出ても非常ベルが鳴らないようにスイッチが切ってある。タバコをここで吸いたいからだ。
 ・はじめて自分で作ったラジオが鳴った時は、ほんとうにうれしかった。
 ・電話が鳴るたびに、合格の知らせかと思って出るが、友だちだったり、間違い電話だったり、、、。
 ・会社は、なかなか私の専門(せんもん)のしごとをやらせてくれない。腕(うで)が鳴ってしかたが
  ない。(=自分の能力を見せたいと思う)

<複合動詞>
[なりひびく] ものガ 所ニ
 ・お寺の鐘の音が、遠くの山まで鳴りひびいた。
 ・16才で文学賞をとった少女の名は日本中に鳴りひびいた。
   音楽・楽器・鐘・汽笛・警報機・銃声・拍手・名声が 空に 世界に 激しく
[なりやむ] ものガ 
 ・授業の終わりのチャイムで話を中断させられた先生は、チャイムが鳴り止むとまた話し出した。
  おいおい、まだやるのかよ。
 ・ピアノの演奏がおわると客席から拍手がわきおこった。その拍手はいつまでも鳴りやまなかった。
   雷・汽笛・サイレンが 
[なりわたる] ものガ 所ニ
 ・12時になると、教会の鐘が村じゅうに鳴りわたった。
 ・地震が起きた時刻にサイレンが鳴り渡り、みな黙祷(もくとう)を捧げた。
   音・鐘・号砲・サイレン・ベル・半鐘が あたりに 高らかに 厳かに


ならす(鳴らす)五(ならさない・ならします・ならして・ならせば・ならそう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △ならしたい  ならしてみる  ならしてしまう  ならしてはいけない
  ならさなければならない  ならそうとする  ならさせる  ならされる
 △[小さく/大きく/強く/鋭(するど)く/ふたたび/なんども/くり返し]~。
  [うっかり/わざと/しつこく/ためしに/一度だけ/だめ押しで]~。
  [ピーッと/ポーンと/ピッピッと/ビービーと/リーンと/カンカンと]~。
  [ガンガン/ゴンゴン/ドンドン/ギイギイ/ジリジリ/ジャラジャラ]~。
 △玄関(げんかん)の[チャイム/ベル/鈴(すず)/呼び鈴(よびりん)/ブザー]を~。
  [電車が警笛(けいてき)を/審判(しんぱん)がホイッスルを/パトカーがサイレンを]~。
  人が[警鐘(けいしょう)/不平(ふへい)/鼻(はな)]を~。
 ・そろそろ時間ですね。では、開始(かいし)のベルを鳴らしましょうか。
 ・大きなトラックがクラクションを鳴らしながら、走って来る。
 ・玄関(げんかん)のブザーを鳴らしたが、だれも出て来ない。るすかな。
 ・腕(うで)にだいたネコが気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らしている。
 ・このタイマーをセットしておけば、時間になると、ベルを鳴らして知らせてくれます。
 ・この楽器(がっき)、よさそうですね。ちょっと音を鳴らしてもいいですか。
 ・大きな音で目覚(めざ)ましを鳴らしても、ぜんぜん目がさめない。
 ・朝、ラジオを大きな音で鳴らせば、起きられるんじゃないかと思う。
 ・いい音を鳴らさないと、音楽の先生に怒られる。
 ・この交通標識(こうつうひょうしき)があったら、警笛を鳴らさなければいけません。
 ・警告音(けいこくおん)を鳴らされても、それに気づかなければ意味がない。
 ・小さな男の子が指(ゆび)を鳴らそうとしているが、なかなか鳴らない。
 ・一部の学者が危険性(きけんせい)を訴(うった)える文章を書いて、警鐘を鳴らしていたのだが、
  マスコミも人々もそれを無視(むし)しているうちに、今回の事故(じこ)が起こった。
 ・今の学生は、世の中のことに不平をならすばかりで、自分たちで何かしようとはしない。

<複合動詞>
[うちならす] 人ガ ものヲ
 ・火事を村の人々に知らせるため、彼は寺の鐘を打ち鳴らした。
 ・打楽器が激しく打ちならされ、いよいよ曲のクライマックスを迎えた。
   鐘・警鐘・シンバル・太鼓・打楽器・手を 大勢で 激しく やかましく
[ふみならす] 人ガ ものヲ 
 ・聴衆は、大喜びで手を打ち、足を踏み鳴らした。
 ・我々は床を踏み鳴らすことで、反対の意志を表した。
      足・落ち葉・階段・下駄・地面・ハイヒール・床・廊下を どんどんと


ひびく(響く)五(ひびかない・ひびきます・ひびいて・ひびけば)
[1]〔ものガ 所ニ〕
 △ひびいてくる  ひびいてはいけない  ひびかないようにする  ひびかせる  ひびけ!
  △[大きく/強く/重々(おもおも)しく/ずしんと/ドーンと/予想(よそう)以上に]~。
 △[大きな音/爆音(ばくおん)/声/歌声(うたごえ)/歓声(かんせい)/エンジン音(おん)]が~。
  [足音(あしおと)/鐘(かね)の音(ね/おと)/汽笛(きてき)/爆発音(ばくはつおん)]が~。
 ・パイプオルガンの音が静かに響き、式が始まった。
 ・子どもたちの歌声が小学校の廊下(ろうか)に響く。今日は始業式(しぎょうしき)。
 ・「何やってんだ、バカ野郎(やろう)!」部長(ぶちょう)の声が部屋中(へやじゅう)に響いた。
 ・突然(とつぜん)、一発(いっぱつ)の銃声(じゅうせい)が夜の街(まち)に響いた。
 ・教会の鐘の音が夕方の空に響いて、あたりを清(きよ)らかにした。
 ・靴(くつ)の音を高く響かせ、階段(かいだん)を下りてくる彼女の足音が聞こえる。
[2]〔ものガ ものニ〕
 ・輸入原料(ゆにゅうげんりょう)の値上げが価格(かかく)に響き、それがまた売り上げに響いた。
 ・チームのエースの不調(ふちょう)が大きく響いて、試合(しあい)に負けてしまった。
 ・けがの治療費(ちりょうひ)が家計(かけい)に大きく響きそうだ。よっぱらってケンカするとは。
 ・今晩がんばっても、むりをすると結局(けっきょく)あしたの仕事に響く。早く寝よう。

<複合動詞:ひびき->
[ひびきわたる] ものガ 所ニ
 ・教会の鐘の音が町中に響き渡り、人々の耳に届いた。
 ・軍隊の隊列が目の前をゆく。戦争への道を進む足音が広場に響きわたっている。
      歌声・歓声・エンジン音・汽笛・サイレン・叫び声・銃声・太鼓・足音が
<スル動詞>
[反響(はんきょう)する] ものガ ものニ
 ・トンネルの中は音が反響するので、子供が大きな声を出して面白がった。
 ・靴音が壁に反響し、一人で歩くのが怖くなってきた。


なく(鳴く)五(なかない・なきます・ないて・なけば)
[1]〔ものガ〕
 △なきだす  なきやむ  なかせる  なけ!  なくな!
 △[大きな声で/うるさく/やかましく/かわいく/甘えて/朝から晩まで]~。
  [わんわん/にゃあにゃあ/ひひーん/もーもー/こけこっこー/ちゅんちゅん]と~。
  △[犬/猫(ねこ)/馬(うま)/牛(うし)/ニワトリ/スズメ/カラス/鳥/虫(むし)]が~。
 ・「けさ、ウグイスが鳴くのを聞きました」「え、もう鳴きましたか?」
 ・「ウサギはなんて鳴くの?」「さあ、どんな声で鳴くんだろうね」
 ・庭でいろんな虫が鳴きはじめた。秋だ。
 ・「寒いね。」「ああ、寒いね。」「虫が鳴いているね。」「ああ、虫が鳴いているね。」
 ・ネコがニャアニャアと鳴きながらすり寄ってきた。おなかがすいたのかな。
 ・鳴かぬなら、鳴かせてみましょう、ホトトギス。


さえずる 五(さえずらない・さえずります・さえずって・さえずれば)
[1]〔ものガ〕
 △[かわいい声で/ピピピと/ピイピイピイと/歌うように/さわやかに/かろやかに]~。
 ・小鳥がピピピとさえずりながら、枝(えだ)の間を飛び回っている。
  ・空は青く晴れ、庭で小鳥がさえずっていて、気持ちのいい朝だ。
  ・かごの中のカナリアが美しい声でさえずっているのを聞いていると、気持ちが落ちつく。

ほえる(吠える)五(ほえない・ほえます・ほえて・ほえれば・ほえよう)
[1]〔ものガ 人・ものニ〕
 △ほえそうだ  すぐほえる  ほえてはいけない  ほえさせない  ほえろ! ほえるな!
  △[うるさく/大きな声で/キャンキャン/ワンワンと/しつこく/いつまでも]~。
 △[犬が郵便屋(ゆうびんや)さんに/ライオンが見物客(けんぶつきゃくに)/トラが月に]~。
 ・この犬は人に吠えません。おとなしい犬なので、番犬(ばんけん)には使えません。
 ・ライオンがおりに近づいた見物客に吠えると、その客は後ろに倒れそうになった。 
 ・その家の前を通ると、いつも犬に吠えられる。しつけの悪い犬だ。
 ・「ぼくとしては、あまり吠えないようにしているんだけど、人相(にんそう)が悪い人が近づくと、
  吠えておいたほうがいいだろうと思って吠えることにしてるんだよね」と、犬は思っている。
 ・むだに吠えさせないようにするには、ふだんからきちんと訓練(くんれん)しないといけない。
 ・あの男はいつも勝手(かって)なことを吠えている。黙(だま)らせられるやつはいないのか。

<複合動詞:ほえ->
[ほえたてる] ものガ
 ・この家の犬は、前の道を人が通るたびにうるさく吠え立てる。まったくしつけの悪い犬だ。
 ・耳のそばでそんなに吠えたてる(=わめく)なよ。うるさくてしかたがない。もう、きみの言い
  たい事はよく分かったよ。

[植物]
 植物に関する動詞表現をとりあげる。

[1] 生える・生やす・植える
 多くの日常見られる植物は種から発生する。動物は「生まれる」が、植物は「生える」。または、
「芽が出る・芽を出す」。人が「(草が)生える」ようにすること、つまり「生える」に対応する他動
詞は、「(草を)生やす」。「所ニ」で場所を示す。
   種から芽が出る  庭に草が生える  庭に芝生を生やしたい 
 人が「植える」は、「種を植える」ほか、ある程度大きくなった「苗・木を植える」。場所を「所
ニ」で示す。「植える」に対応する自動詞として「植わる」がある。受身形の「植えられる」と結果
的に同じ状態を示す。
   庭の隅に菊を植える     川の土手に柳が植わっている(植えられている)
[2] 育つ・茂る
 生えたり、植えたりした後は、「育つ」が、ごくふつうの話しことばで「大きくなる」がよく使わ
れる。草や木、枝が長くなることは「伸びる」で表す。それぞれの対応する他動詞表現は「育てる」
「大きくする」「伸ばす」である。「伸ばす」は、「人ガ」ではなく、「木が枝を伸ばす」のように使
われる。
   木が大きく育つ  木を育てる  雑草がどんどん伸びる  桃の木が大きくなった
 木の葉や草がたくさんある状態を「茂る」で表す。使役形は「茂らせる」。
   木の茂った森  枝葉・秋の草が茂る  枝を茂らせる 
[3] 咲く・咲かせる
 花は「咲く」あるいは「ひらく」。他動詞「咲かす」よりも使役形「咲かせる」がよく使われる。
   桜が咲いた  桜の花が開いた  苦労して見事な菊の花を咲かせた
 葉は「出る」。植物を主体にして「出す」も使う。
   茎から交互に葉が出ている   茎から葉を出す 
[4] 実る・なる
 実は「実る」または「なる」。「熟す」も使われる。種は「できる」。
   柿が実った  大きな桃の実がなる  実が真っ赤に熟している
   中に種ができている
[5] 枯れる・枯らす
  植物の「死」は、「枯れる」で表す。対応する他動詞は「枯らす」。
   草も木も枯れてしまう  大事な木を枯らしてしまった
 花については「しぼむ」、葉・花びらについては「しおれる」「しなびる」なども使われる。
      朝ひらいた花が夕方にはしぼむ  葉がしおれている  しなびてしまった花びら
 桜の花などは「散る」が使われる。他動詞は「散らす」。
   桜が風に吹かれて散る    無情の風が花を散らす
 また、落葉樹では葉は「落ちる」「散る」。他動詞は「落とす」。また、実も「落ちる」。
   秋になると葉が落ちる  道に柿の実が落ちている

〔1〕生える・生やす・植える

◇はえる
 「生える」は、植物の種から芽や根が出ることで、特に芽が土の中から現れること。人や動物の「生
まれる」に当たる。人や動物の毛や爪などの植物に似た成長をする部分についても言う。
  「生えている」は「生えた」結果、そこにある状態を表す。進行中を表す「生えつつある」はあま
り使われない。「生えてくる」「生えていく」は空間的・時間的方向の意味合いを加えた表現。
 場所を「所ニ」で示す。人や動物を「ニ」で示すこともある。
     ものガ (ものカラ) 所・ものニ はえる
    庭に草が生えている  あごにひげが生えてきた  靴にカビが生えてしまう
    オタマジャクシに足が生えてきた
 「ものカラ」はそのものを出発点として示す。「ニ」が使える場合は、結果的に存在する場所。
    土の中から芽が生えてくる   じゃがいもから/に 芽が生える
       球根から/に 根が生える      ×庭から草が生える 
    赤ん坊の口に歯が生える    ×赤ん坊の口から歯が生える
    赤ん坊の歯茎から/に 歯が生える
 ひゆ的に、古くなったものを「カビが生えた」と表現する。
    カビの生えた思想
・複合動詞
 「生え替わる」は、古いものの代わりに新しいものが生えること。
 「生え揃う」は、生えるべきものが生えてそろうこと。
◇めばえる
 「芽生える」は、「芽が生える」ことを表す動詞。ひゆ的な意味で多く使われる。
・スル動詞「発芽する」は、「芽が生える」ことの科学的な漢語表現。
 「野生する」は、人が植えたものでなく、植物が自然に生えることを言う。

◇はやす
 「生やす」は、「生える」に対応する他動詞で、植物が生えるようにすること。人のひげなどにつ
いても言う。意図的な場合と、そうすべきでないものを「生える」ままにしてしまった、という場合
がある。場所を「所ニ」で示す。
     人・ものガ ものヲ 所・ものニ はやす
    畑に雑草を生やしてしまった  あごにひげを生やす    毛を生やす薬
 動物などで「生えている」状態を「生やしている」で表す。意図の問題でなく、属性の表現のしか
たに過ぎない。
    角を生やした動物(角が生えている動物)  種が産毛を生やしている
 「生やす」の使役形・受身形も使われる。
    夫にひげを生やさせる  夫にひげを生やされる(迷惑の受身)

◇うえる
 「植える」は、植物が生えるように種をまく、または苗の根を土の中に埋めること。場所を「所ニ」
で示す。
   人ガ 所ニ ものを うえる
     公園に木を植える    庭に花が植えてある
  「所デ」は、その動作をする場所を表す。(「所ニ」は結果として花のある場所)
    庭で鉢に花を植える 
 「植えている」は、動作が進行中であることを表すことが多いが、結果の状態を表すこともある。
       母は庭で木を植えている  数十キロに渡って街路樹を道の両側に植えている 
 使役形・受身形も使われる。
    庭に木を植えさせる  花が植えられた花壇  家の前に大きな街路樹を植えられた
  「植わる」は、「植える」という人の行為をはっきり表さないようにした言い方。「-ている」の
形で「植えられている」と同じ結果を表す。
   ものガ うわる
    たくさん木が植わっている
・複合動詞
 「植え替える」は、ある植物を別の場所に移すこと。
 「植え込む」は、何かの中にしっかりと植える、という意味合い。
 「植え付ける」も何かにしっかりと植える、という意味合いで、ひゆ的に「教え込む」に近い用法
  がある。


はえる(生える) 一(はえない・はえます・はえて・はえれば) 
[1]〔所ニ ものガ〕
 △はえはじめる  はえだす  はえやすい  はえてくる  はえてしまう  はえろ!
 △[あちこちに/まばらに/びっしりと/ぼうぼうに/パラパラと/ほんの少し]~。
 △[草(くさ)/雑草(ざっそう)/根(ね)/葉(は)/歯(は)/毛/ひげ/羽根(はね)]が~。
  [庭(にわ)/花壇(かだん)/草むら/空き地(あきち)/頭/あご/ほお]に~。
 ・六月は雨がよくふるので、食べ物にカビが生えやすい。
 ・先月刈(か)ったのに、もう庭(にわ)に草(くさ)が生えてしまった。
 ・むすこは中学生になったら、あごにうすくヒゲが生えてきた。
 ・「ハゲに毛が生えたぞ。」父はねむりながら、さけんだ。
 ・この毛生え(けはえ)ぐすりをつかったら、ほんとうに毛が生え出した。
 ・山の上の方には、ほんの少しの草しか生えていなかった。
 ・この土地はかわいているので、草木(くさき)が一本も生えない。
 ・門はこわれ、庭には草がぼうぼうに生えている、というすごい家に山下さんは住んでいる。
 ・あの人はすわっておしゃべりをはじめると、根(ね)が生えたように動かない。
 ・お金に羽根(はね)が生えたようにどんどん出て行く。

<複合動詞:はえ->
[はえかわる] ものガ (ものニ)
 ・イヌやウサギなどの動物の毛は春と秋に新しく生え替わります。
 ・子供の乳歯が少しずつ永久歯に生え替わってきた。
   歯・毛・角・羽毛が 新しく
[はえそろう] ものガ 
 ・この赤ちゃんはもう歯が生え揃っている。すごい。
 ・小鳥のひなの羽が生え揃ってきた。もうすぐ巣立ちだ。
      歯・羽毛・芝・竹が


めばえる(芽生える) 一(めばえない・めばえます・めばえて・めばえれば)
[1]〔ものガ 所ニ〕 
  ・春になると、いろいろな草が芽生える。庭の雑草との戦いの始まりだ。
  ・ご本人達に伺ったところでは、二人の間に愛が芽生えたのは3年前のことだそうです
 ・1歳上の姉との競争心が芽生えたのは小学校4年の時だった。同じ男の子が好きになったのだ。
     あこがれ・意志・意識・浮気願望・思い・期待・希望・競争心・恐怖・疑惑・
     警戒心・恋心・自信・信心・憎悪・動揺・批判・不安・優越感・友情・連帯感が

<スル動詞>
[発芽(はつが)する] ものガ 
 ・春になって暖かくなると、土の中の種が発芽(を)します。
 ・この植物は、地下茎を切って埋めておくと、そこから発芽(を)する。
[野生(やせい)する] ものガ 
 ・色とりどりの草花が野生している草原を歩き回った。
 ・ジャングルに野生している植物から、未知の薬品を抽出するという仕事をしている。
   珍しい品種の草・植物が 荒れ地・野山に


はやす(生やす) 五(はやさない・はやします・はやして・はやせば・はやそう)
[1]〔人・ものガ 所ニ ものヲ〕
 △はやしかける  はやしてみる  はやしてしまう  はやしてはいけない
  はやしたほうがいい  はやさないようにする  はやせ!  はやすな!
 △[すこし/たくさん/まばらに/びっしりと/ぼうぼうに]~。
 △[つめ/ひげ/毛/角(つの)/草(くさ)/カビ/苔(こけ)]を~。
 ・さいきんはヒゲを生やしている人が多くなった。
 ・「ひげを生やしてみようと思うんだけど」「にあわないから、やめたほうがいいよ」
 ・ちょっと草取(くさと)りをさぼっていて、庭(にわ)に雑草(ざっそう)を生やしてしまった。
 ・しっとりと苔を生やした庭が実(じつ)に美しい。
 ・頭に二本の角(つの)を生やした鬼(おに)においかけられる夢(ゆめ)を見た。
 ・はげた頭に毛を生やす薬(くすり)を「毛生え(けはえ)ぐすり」という。
 ・植(う)えかえた木がしっかり根(ね)を生やしたようだ。


うえる(植える)一(うえない・うえます・うえて・うえれば・うえよう) 
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △うえたい  うえてほしい  うえてみる  うえておく  うえてしまう  うえてもらう
  うえてはいけない  うえなければならない  うえようとする  うえさせる
  うえられる  うえろ!  うえるな!  うえられない
 △[少し/たくさん/あちこちに/庭中(にわじゅう)に/あたり一面に]~。
  [見て楽しむために/庭(にわ)が明るくなるように]花を植える
 △[花/木/草/草花(くさばな)/野菜(やさい)/植物(しょくぶつ)/苗(なえ)/球根(きゅうこ
  ん)/芝(しば)/街路樹(がいろじゅ)]を~。
 ・庭にあの人が好きだったシクラメンを植えました。
 ・公園のフェンスにそって1mごとに木を植えていきます。
 ・このあたりに花(はな)をたくさん植えて、毎朝眺(なが)めようと思います。
 ・植木屋(うえきや)さんに、この庭に合う木を植えてもらえば、眺めがよくなる。
 ・ここはちょっと空間をあけて、何も植えないほうがいい。
 ・今年は、小さな畑(はたけ)を借りて、大根(だいこん)を植えようと思います。
 ・植物園(しょくぶつえん)の花壇(かだん)には、色とりどりの花が植えられていた。
 ・ここには何も植えないほうがいい。
 ・この土地(とち)は汚染(おせん)されているので、何も植えられない。

<複合動詞:うえ->
[うえかえる]人ガ ものヲ 所ニ
 ・裏庭の桜の木を門のそばのほうへ植え替えよう。
 ・苗を植え替える時は、気温と水やりに注意が必要です。
   株・木・植物を 
[うえこむ]人ガ 所ニ ものヲ
 ・花壇の前のほうに水仙の球根を植え込んだ。うまく咲いてくれるといいな。
 ・人形の頭には動物の毛が植え込んであります。
   球根・桜・芝・松・勇猛心を  びっしりと
[うえつける]人ガ 人ニ ものヲ
 ・苗を植え付ける前に、畑をよく耕しておく。
 ・子どもたちに親を大切にする気持ちをよく植え付けるべきだ。
 ・へんな考えを子どもに植え付けないでください。
      種・苗・庭木・羽根を  イメージ・印象・期待・恐怖・疑惑・固定観念・罪悪感・自信
   ・習慣・忠誠心・同情・被害者意識・不信・病・劣等感を 心・証人に

〔2〕育つ・茂る
   植物の生長に関する動詞。「育つ」は、人や動物にも使われる。

◇そだつ
 「育つ」は、動植物が大きくなっていくことで、一定の大きさになると止まり、それからは次第に
機能が衰えていく。
 「育っている」は、少しずつ大きくなる途中の状態と、大きくなった結果の状態のどちらも表せる。
    ものガ そだつ
    木が少しずつ育っている  10年たって、みな大きく育っている
・スル動詞
 「生長する」は、植物が育つこと。
      草木が生長する
◇そだてる
 「育てる」は、「育つ」に対応する他動詞。「育つ」の使役形「育たせる」は、それ自体の力で「育
つ」ようにするという意味で使われる。「育てる」の使役形は「人ガ 人ニ ものヲ 育てさせる」の
形になる。
      人ガ ものヲ そだてる
    庭で花を育てている  草花を育てるのが趣味だ  子どもに朝顔を育てさせる
 場所は「所デ/ニ」で示す。「所ニ」は、植物が存在する場所になる。
       庭に花を育てる  山で杉の木を育てる
・スル動詞
 「栽培する」は、野菜・果樹などの植物を植え、(収穫のために)育てること。場所は「所デ/ニ」
で示す。
       畑に/で 野菜を栽培し、収穫する
◇のびる
  「育つ」は全体的な大きさについて肯定的に言う表現だが、草や枝などが長くなることについては
「伸びる」を使う。「伸びる」は、それが好ましくない場合にも使う。
      ものガ のびる
    雑草がずいぶん伸びた  枝が伸びてじゃまだ
 「伸びている」は、結果の状態を表すことが多い。また「伸びていく・伸びてきた」の形もよく使
われる。「伸びる」は、動物の毛や爪などについても言う。
    左の枝が長く伸びている  爪がずいぶん伸びている  ひげが伸びてきた
◇のばす
 「伸ばす」は「伸びる」に対応する他動詞。植物は自分の力で伸びるが、それを止めようとしない
こと。人のひげや毛についても言う。
      人ガ ものヲ のばす
    横の枝は切って、上の枝だけ伸ばすことにする  ひげを伸ばす
◇しげる
  「茂る」は、草木が育ち、葉や枝が多く出て密集した状態になること。
   ものガ しげる
    枝の先に葉が茂っている  低木が茂っていて通れない
 「茂らせる」は、「人が植物を」だけでなく、「植物が 枝・葉を」の形でも使われる。
    このあたりにもっと枝を茂らせたいのだが、思うようにはならない
    木が葉を茂らせている


そだつ(育つ) 五(そだたない・そだちます・そだって・そだてば) 
[1]〔ものガ (ものニ)〕
 △そだちにくい  そだちすぎる  そだっていく  そだってほしい  そだつようにする
 △[よく/おおきく/立派(りっぱ)に/しっかり/じょうぶに/なんとか]~。
 △[植物(しょくぶつ)/木/草花(くさばな)/野菜(やさい)/木の芽(め)/根(ね)]が~。
 ・私が花を植えても、どうもうまく育ちません。
 ・雨がたくさん降ったので、草や木がよく育った。
 ・ここはあたたたかいから庭の木がぐんぐん育つ。
 ・早く育つようにと水をどんどんやったら、水のやりすぎで根が腐(くさ)ってしまった。
 ・子どもの誕生(たんじょう)を記念(きねん)して、桜の木を植えた。どちらも大きく育ってほしい。
 ・鉢植(はちう)えの花が育たないのは、このへやの日当(ひあた)りが悪いせいだ。
 ・鉢植えの木が育ち過ぎてしまったので、もう部屋(へや)の中には置いておけない。
 ・この狭(せま)い庭で、どうやったら見事(みごと)な菊(きく)の花を育てられるか。

<スル動詞>
[生長(せいちょう)する] ものガ
 ・山に植えた木が大きく生長し、伐採に適した大きさになってきた。
 ・庭の木が年々生長していくのを見るのは楽しい。
    (「生長」は植物に、「成長」は動物その他に使うとされている)


そだてる(育てる) 一(そだてない・そだてます・そだてて・そだてれば・そだてよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △そだてたい  そだててみる  そだてたほうがいい  そだてさせる  そだてようとする
  そだてられない  そだてろ! そだてるな!
 △[おおきく/立派(りっぱ)に/しっかり/じょうぶに/なんとか/工夫(くふう)して]~。
 △[植物(しょくぶつ)/草花(くさばな)/苗(なえ)/木/緑(みどり)/薬草(やくそう)]を~。
 ・街(まち)の緑を育てましょう。そして、緑の多い環境(かんきょう)で子どもを育てましょう。
 ・植物を育てるのは難しい。子どもを育てるより難しいかもしれない。
 ・果樹(かじゅ)の苗を育てて販売(はんばい)しています。
 ・先生は庭で薬草を育てて、家族に飲ませ、市販(しはん)の薬は買わなかった。
 ・草木は放っておけば育ちます。こういう風に育てよう、などと思って手をかけすぎると、かえっ
  てうまく育たないものです。これは子どもでも同じです。
 ・小学校では、子どもたちに朝顔(あさがお)を育てさせている。

<スル動詞>
[栽培(さいばい)する] 人ガ 所ニ ものヲ
 ・庭に色とりどりの花を栽培する。 
 ・家を買ったら庭にはこんな花を栽培しよう、と夢見ているが、ローンの頭金もない。
 [~の栽培をする]
  ・自家用のトマトの栽培を始めた。


のびる(伸びる)  一(のびない・のびます・のびて・のびれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △のびそうだ  のびていく  のびてしまう  のびないようにする  のびられない
  のびさせる  のびろ!  のびるな!
 △[少し/少しずつ/大きく/どんどん/急に/一段(いちだん)と/ずんずん]~。
  △[木/草(くさ)/雑草(ざっそう)/枝(えだ)/幹(みき)/細(ほそ)い葉(は)]が~。
  ・山の木がずんずんと伸びていく。
 ・雑草がこんなに伸びてしまうと、またきれいにしようという気力がなくなってしまう。
 ・毎日枝の先が少しずつ伸びているのがわかるような気がするほど、生長が速い。
  ・木の形を整(ととの)えたいのだが、伸びてほしいという枝がなかなか伸びてくれないものだ。
 ・髪がずいぶん伸びてきたので、少し切ろうかと思う。


のばす(伸ばす)  五(のばさない・のばします・のばして・のばせば・のばそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △のばしたい  のばしてしまう  のばしてはいけない  のばそうとする  のばせ!
 △[少し/少しずつ/大きく/どんどん/急に/一段(いちだん)と/ずんずん]~。
  △[木/草(くさ)/雑草(ざっそう)/枝(えだ)/幹(みき)/細(ほそ)い葉(は)]を~。
  ・庭仕事(にわしごと)をさぼっていて、雑草を伸ばしてしまった。
 ・若い木が枝を大きく伸ばそうとしている。
 ・この辺の枝をもう少し伸ばすと、外の道からの目隠(めかく)しになっていいんだが。


しげる(茂る)五(しげらない・しげります・しげって・しげれば)
[1]〔ものガ 所ニ〕
 △しげってほしい  しげってしまう  しげらないようにする  しげらせる
 △[こんもりと/青々(あおあお)と/鬱蒼(うっそう)と/黒々(くろぐろ)と]~。
 △[木/枝(えだ)/葉(は)/青葉(あおば)/若葉(わかば)/雑草(ざっそう)]が~。 
 ・川辺(かわべ)にアシが茂っている。
 ・若葉が茂るこの季節(きせつ)に林の中を歩くと、本当にすがすがしい。
 ・手入(てい)れをする人を失(うしな)い、荒れ果てた庭に雑草が茂っている。
 ・庭の木がもっと茂ってくれると、道から見えなくなっていいんだが。
 ・茂った葉の間から日光(にっこう)が漏(も)れてくる。
  ・枝先(えださき)の葉が茂っているあたりに、毛虫(けむし)がたくさんいる。
 ・この辺(あた)りは、低木(ていぼく)が茂っていて通れない。
 ・このあたりにもっと枝を茂らせたいのだが、なかなか思うようにはならない。
 ・隣(となり)の庭の木は見事に葉を茂らせているが、うちの木はどうも葉が少ない。

〔3〕咲く    
  花に関する動詞表現。

◇さく・さかせる
 「咲く」は、花がつぼみの状態、すなわち、つぼんでいる状態から、花びらをひらくことを言う。
 「花が開く」とも言う。「咲いている」は、咲いた後の状態を指す。「咲きつつある」でひらく途
中の状態を表せるが、話しことばとしてはあまり使われない。
      ものガ さく
    バラの花が咲いている  月見草が今、咲きつつあるのを見ています
  場所は「所ニ/デ」で示す。「所ニ」は、その花のある場所を表す。「所デ」は、「花が咲く」とい
う現象が起こる場所を広く示す。
    枝の先に花が咲く  公園で桜(の花)が咲く
 「咲く」の可能形「咲ける」は、「咲く」ことが実現する条件があるかどうかを表す。
    この日当たりでは、花が咲けなくてかわいそうだ
 「咲く」に対応する他動詞「咲かす」は、人が「花が咲く」ようにすることだが、使役形「咲かせ
る」がよく使われる。植物自体を主体とする表現も使われる。
    母は見事な菊の花を咲かせた  梅の木が白い花を咲かせている
 「咲かせる」の可能形「咲かせられる」も使われる。
    いい肥料を使えば、もっと大きい花を咲かせられますよ
・複合動詞
 「咲き揃う」は、多くの花が揃って咲いていること。
 「咲き誇る」は、見事な(大きな)花が咲いて、周りを圧倒しているような様子であること。
 「咲き乱れる」は、たくさんの花が広い範囲に咲いていて、驚くほど美しいこと。


さく(咲く)五(さかない・さきます・さいて・さけば) 
[1]〔所ニ ものガ〕
 △さきそうだ  さきかける  さきはじめる  さいてくる  さいてほしい  さける
  さかせる  さかせようとする  さいてくれる  はやくさけ!
 △[きれいに/みごとに/美しく/いっせいに/ちらほらと/ひっそりと/あでやかに]~。
  [少し/少しずつ/半分くらい/ほとんど/満開(まんかい)に]~。
 △[桜(さくら)/バラ/コスモス/菊(きく)]の花が~。
 ・庭(にわ)に桜の花が咲いている。
 ・あそこに咲いている花は何という花ですか。
 ・きのうまで、あんなにきれいに咲いていた花が、もう散(ち)り始めた。
 ・春に咲く花より、秋に咲く花のほうが何となく好きだ。
 ・美しく咲いた花がしおれ、枯(か)れて行くのをみるのは辛(つら)いものだ。
 ・北海道では、春がくると色々の花がいっせいに咲き出すそうです。
 ・暖(あたた)かくなってきたので、庭の花が咲きかけている。
 ・祖父(そふ)が丹精(たんせい)込めた大輪(だいりん)の菊がみごとに花を咲かせた。
  ・庭の桜が、今年(ことし)もあざやかに花を咲かせてくれた。
  ・もっと工夫(くふう)すれば、大きな花を咲かせられると思うんだけど、なかなか難しい。
 ・同窓会(どうそうかい)で十年ぶりの顔が集まり、学生のころの話に花が咲いた。
  ・花は 花は 花は咲く 

<複合動詞:さき->
[さきそろう] ものガ 所ニ
 ・庭には母の植えたたくさんの花が咲きそろっていた。
 ・○○家の四姉妹が歩いていると、春の花が咲きそろっているようだ。
   桜・春の花・花壇の花が
[さきほこる] ものガ
 ・大きな赤いバラが一輪、他の花を見下すかのように咲き誇っていた。
 ・戦乱のこの時期に、かえってそれぞれの地方で個性的な文化が咲き誇った。
   桜・花々・バラ・文化が 一面に 華やかに 今を盛りと ~花のように
[さきみだれる] ものガ 所ニ
 ・色とりどりの花が野原に咲き乱れている。
 ・コスモスが庭一杯に咲き乱れているが、それを植えた人はもういない。
      草花・コスモス・桜・花々・バラが 一面に 今を盛りと 野山の花が

〔4〕実る・なる
  植物の実に関する動詞表現。「実ができる」とも言う。

◇みのる
 「実る」は、実ができること。「実っている」は結果の状態を表す。場所は「所ニ」で示す。
      所ニ ものガ みのる
    枝に大きなミカンが実っている  
 使役形「実らせる」は、人の意図を表す場合と、植物自体を主体と見なす場合がある。
   人・ものガ ものヲ みのらせる
    何とか大きな実を実らせようとする  庭の桜が小さな実を実らせた
 ひゆ的な用法として、「努力・恋」などがよい結果を得ることを「実る」で表す。
    長年の努力が実る  私の恋は実るだろうか
◇なる
  「生る」は、実ができること。「生っている」は結果を表す。場所は「所ニ」で示す。
      所ニ ものガ なる
    枝の先に小さな実が生っている
  使役形「生らせる」は、人の意図を表す。
    おいしいミカンの実を生らせるにはいろいろ工夫が必要だ
◇じゅくす 
 「熟す」は、実が十分よく実ること。ひゆ的に、あることをするのにちょうどよい時期が来たこと
を表す。
      ものガ じゅくす
    実が熟す  機が熟した


のる(実る)  五(みのらない・みのります・みのって・みのれば)
[1]〔ものガ (所ニ)〕
 △みのりかけている  みのってほしい  みのらないとこまる  みのらせる  みのれ!
 △[大きく/赤く/枝(えだ)もたわわに/食べきれないほど/一面(いちめん)に]~。
 ・木の上のほうに小さな実(み)が実っている。 
 ・リンゴ畑(ばたけ)一面にリンゴの実が実り、収穫(しゅうかく)の時を迎えた。
 ・今年も庭の桃(もも)の木が実ったが、また野鳥(やちょう)に食べられてしまった。
 ・稲(いね)が実る秋になり、土日(どにち)は農作業(のうさぎょう)の手伝いにいなかに帰る。
 ・毎年大きな実を実らせるには、肥料(ひりょう)のやり方に細心(さいしん)の注意が必要だ。
[2]〔ものガ〕
 △[苦労(くろう)/努力(どりょく)/猛練習(もうれんしゅう)/工夫(くふう)/愛/恋]が~。
 ・我々(われわれ)の長年(ながねん)の苦労が実る時がついに来た。
 ・努力をすれば必(かなら)ず実ると信じてやっている。
  ・今日はいよいよ決勝戦(けっしょうせん)だ。彼らの猛練習が実ってほしいと思う。
 ・二人の愛はついに実り、ここにめでたく結婚(けっこん)の日を迎(むか)えました。
 ・この恋(こい)が実るとは思わなかった。
 ・私の恋よ、実れ! 


なる(生る)  五(ならない・なります・なって・なれば)
[1]〔ものガ ものニ〕
 ・今年も柿(かき)の木に赤い実がたくさん生った。
 ・子どもが育てた鉢植(はちう)えのミニトマトにかわいい実がなり、子どもは大喜びだ。
 ・十年前、サクランボのあまい実が生るころに、私は淡(あわ)い恋をした。
  ・「金(かね)の生る木」というのは「金(きん)のたまごを産むニワトリ」と同じことだろうか。


じゅくす(熟す) 五(じゅくさない・じゅくします・じゅくして・じゅくせば)
[1]〔ものガ〕
 △じゅくしかけている  じゅくしていない  じゅくしてしまう  じゅくさないうちに
 △[赤く/真っ赤(まっか)に/十分に/そろそろ/ようやく/ちょうどよく]~。
 △[柿(かき)の実(み)/果物(くだもの)/バナナ/メロン]が~。
  ・あざやかな色の、みごとに熟した果物が店先(みせさき)に並んでいて、思わず見とれてしまった。
  ・ラフランスという果物は熟したかどうか見分(みわ)けるのが難しい。
  ・十分に熟さないうちに食べると、苦(にが)みがあっておいしくない。

 

〔5〕枯れる・枯らす・散る
   植物の「死」に関する表現を見る。

◇かれる・からす
 木や草は水分を失って「枯れる」ことによって生命活動を終える。「枯れている」は結果を表し、
名詞修飾は「枯れた」が使われる。対応する他動詞は「枯らす」。「枯れる」の使役形「枯れさせる」
も使われる。
      ものガ かれる
    古い木が枯れている  枯れた草花   鉢植えの花を枯らして/枯れさせて しまった
 ひゆ的な、「声がかれる」、「枯れた~」(味がある、深みがある)などの使い方がある。
 複合動詞「枯れ果てる」は、すっかり枯れてしまうこと。
◇しおれる・しなびる
 「しおれる」は、葉や花が水分を失って形を保てなくなってしまうこと。
 「しなびる」は、水分を失って小さくなったり、しわが寄ったりすること。
   ものガ しおれる/しなびる
    葉がしおれている  花びらがしなびてしまった
 それぞれの使役形「しおれさせる」「しなびさせる」は、意図的でなくそうしてしまうことを表す。
    水やりを忘れて、しおれさせてしまった
◇しぼむ
  「しぼむ」は、花が水気を失って張りがなくなること。「しぼんでいる」は結果を表し、名詞修飾
では「しぼんだ」の形が使われる。
      ものガ しぼむ
    花がしぼんでしまった  しぼんだ花
◇ちる
 「散る」は、花びらが一枚一枚(風に吹かれて)落ちてなくなってしまう種類の花について言う。
 特に桜の花について言われる。また、秋の枯れ葉についても言う。
      ものガ ちる
    桜の花が散っている(進行中・結果の状態)
・複合動詞
 「散り敷く」は散った花・葉があたりに敷き詰めたようになること。
 「散り残る」は、散らないで残っていること。


かれる(枯れる)一(かれない・かれます・かれて・かれれば)
[1]〔ものガ〕
 △かれそうだ  かれかけている  かれてしまう  かれてはいけない  かれさせる
 △[少し/半分/すっかり/からからに]~。
 △[木/草/花/植物(しょくぶつ)/井戸(いど)/池/なみだ/のど]が~。
 ・水をやるのをわすれていたら花が枯れてしまった。
 ・えいようが足りないのか、にわの木が枯れはじめた。
 ・学生たちは、声がかれても、なお大声でチームをおうえんしていた。
 ・あなたは、なかなか枯れた字を書きますね。
 ・枯れた芸(げい)ができるようになるためには、30年ぐらいはかかるでしょう。
     (=はででなく、ふかみのある芸)

<複合動詞:かれ->
[かれはてる] ものガ
 ・あまりの悲しさに涙もかれはてました。
 ・長い間一滴の雨も降らず、林の木々が枯れ果ててしまった。


からす(枯らす)五(からさない・からします・からして・からせば・からそう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △からしそうだ  からしかける  からしがちだ  からしてしまう  からしてはいけない
  からさないようにする  からすな! 
 △[いつも/とうとう/また/うっかりして/ぼんやりしていて/きをつけていたのに]~。
  ・世話(せわ)をするのをサボっていて、高いランを枯らしそうになった。
 ・水やりを忘れ、花壇(かだん)の花を枯らしてしまった。
  ・あずかっていた盆栽(ぼんさい)を枯らしてしまい、どう謝(あやま)ろうかと悩んでいる。
  ・日照(ひで)りが続き、農家(のうか)の人は作物(さくもつ)を枯らさないように必死(ひっし)だ。


しおれる(萎れる) 一(しおれない・しおれます・しおれて・しおれれば)
[1]〔ものガ〕
 △しおれかけている  しおれてしまう  しおれないようにする  しおれさせてはいけない
 △[花/花びら/葉(は)/草/生け花(いけばな)/切り花(きりばな)]が~。
 ・雨の降らない日が長く続き、庭(にわ)の草がしおれてきた。
 ・この薬を花瓶(かびん)に少し入れておくと、花がなかなかしおれないんだって。
 ・花瓶の花を何日も楽しませてもらったが、さすがに葉が少ししおれてきた。
  ・水やりを忘れていて、観葉植物(かんようしょくぶつ)をしおれさせてしまった。


しなびる(萎びる) 一(しなびない・しなびます・しなびて・しなびれば)
[1]〔ものガ〕
 △しなびかかっている  しなびてしまう  しなびないようにする  しなびさせる
 △[花びら/葉/野菜(やさい)/大根(だいこん)/レタス/手の皮(かわ)]が~。
 ・野菜がしなびないように冷蔵庫(れいぞうこ)に入れておいた。
 ・見かけはずいぶんしなびた漬け物(つけもの)だけど、これがおいしいんですよ。
 ・食べるのを忘れていたミカンが出てきて、ちょっとしなびていたが、食べたらおいしかった。
  ・きのうは、うちのしなびた婆(ばあ)さんと桜(さくら)を見に行った。


しぼむ(萎む)  五(しぼまない・しぼみます・しぼんで・しぼめば)
[1]〔ものガ〕
△[朝顔(あさがお)の花/葉]が~。
 ・朝開いた花が、昼過ぎにはしぼんでしまった。花の命は短いねえ。
  ・花がすぐしぼまないようにするには、この肥料(ひりょう)をやるといいんです。
  ・しぼんだ花を見ていると、私の夢もしぼみそうになってくる。
  ・試験に落ちてしまい、私の夢はしぼんでしまった。
  ・初めは意気込んでいた気持ちが、だんだんしぼんできて、ダメかなあと思い始めた。
     朝顔・怒り・意気込み・気持ち・空想・計画・心・魂・葉・花・勇気が 風船が小さく


ちる(散る)  五(ちらない・ちります・ちって・ちれば)
[1]〔ものガ (所ニ)〕
  △ちりそうだ  ちりにくい  ちってしまう  ちらないように  ちらないうちに
 △[ゆっくり/すこしずつ/一気(いっき)に/ぜんぶ/だいぶ/半分ぐらい]~。
 △[桜(さくら)の花/花びら/枯葉(かれは)/もみじ]が~。
  [庭(にわ)/道/地面(じめん)/アスファルト/歩道(ほどう)]に~。
 ・冷たい風が吹いて、庭の木の葉が散りそうだ。
 ・三日もしないうちに桜が散ってしまった。
  ・桜は、ほんとうに散るときがすばらしい。花びらが散っていくのを見ていると飽(あ)きない。
 ・イチョウの葉があたり一面(いちめん)に散っていて、映画の一シーンのようだ。

<複合動詞:ちり->
[ちりしく] ものガ 所ニ
 ・落ち葉が道に散り敷いて、観光ポスターのような風景だ。
 ・桜の花びらが庭一面に散り敷いていて、薄桃色のじゅうたんのようだ。 
[ちりのこる] ものガ
 ・塀を伝うツタの最後に散り残った一枚が風に震えている。私の命のようだ。
 ・秋風の中に、散り残った花の匂いがかすかに漂っているようだ。

日本語動詞文型用例辞典        →意味別動詞分類へ      →五十音順indexへ

inserted by FC2 system