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◇精神4◇

[15] がんばる・耐える

     がんばる   がんばり通す 張り切る 奮い起こす 奮い立つ  奮闘する   
     努力する    苦心する 集中する
     努める     励む
     粘る
     貫く       貫き通す
     耐える      耐えかねる 耐え忍ぶ 耐え抜く    辛抱する 忍耐する
     こらえる    踏みこたえる 踏ん張る 持ちこたえる
     我慢する   忍ぶ
     打ち勝つ   克服する

[16] 怠ける・諦める

     怠ける  
     さぼる    
   怠る    横着する
     諦める  諦めきる  思い切る 投げ出す 見限る 見捨てる 見放す
            観念する 絶望する  断念する

[17] 誇る・威張る

     誇る    勝ち誇る  自慢する    
     威張る  威張り散らす  つけ上がる
     おごる    思い上がる
     でしゃばる
     気取る 
     しゃれる

[18] その他:態度  

      重んじる 軽んじる 重視する 軽視する
    こだわる  懲りる  渋る  照れる  控える  僻む  ひねくれる  ふける
    あまんじる  ありがたがる  入れ込む  うなだれる  うろたえる  浮つく
    惜しがる  おっくうがる  おどける  大人びる  活気づく  駆られる
    食い入る  煙たがる  ごねる  寂しがる  白ける  じらす  拗ねる
    たじろぐ  だらける  強がる  取り澄ます  のめり込む  はばかる  開き直る
    ふてくされる  ほうっておく 
    執着する  着目する  注目する  熱中する

     
 

[15]頑張る・耐える 
     
 あることをするために力を使う様子を表す動詞と、苦しい状態を乗り越えることを表す動詞を見る。
 対象としてヲ格をとるものと、ニ格をとるものがある。文相当の内容を受ける動詞もある。意志形
を受けて引用の「と」をとるものもある。

◇がんばる 
 「頑張る」は、困難に負けず、できるかぎりの力を出して、やろうと思ったことをやること。対象
としてヲ格またはニ格をとるか、状況としてデ格で示すことがあるが、特に示さない場合が多い。ま
た、自分の考えや意見を押し通そうとすること。ある場所を占めてそこから動かないこと。
   人ガ (ものヲ/ニ)がんばる
    疲れてもがんばる  試験ヲ/ニ/デ がんばる  玄関先でがんばる
・複合動詞
 「がんばり通す」は、最後までがんばること。
 「張り切る」は、元気があふれていて、それをやろうという気持ちが強くあること。 
 「奮い立つ」は、決意と気力があふれて、じっとしていられないほどであること。
 「奮い起こす」は、それをしようと決意し、その気力を強く出すこと。
・スル動詞
 「奮闘する」は、力の限り戦うこと、努力すること。   
◇どりょくする
 「努力する」は、ある目的のために自分の能力・力をできるだけ使うこと。「努める」よりも日常
  的な言い方。対象のニ格をとる。名詞節を受ける。意志形を「ト」で受ける文型がある。
   人ガ ものニ どりょくする / 人ガ 文ニ/ト どりょくする
    問題解決・制度改革に 努力する  環境をよくすることに/よくしようと 努力する
・スル動詞
 「苦心する」は、物事をうまくやるためにあれこれと心を使って努力すること。 
 「集中する」は、注意力を分散させず、一つのことに向けること。
◇つとめる 
  「努める」は、自分の仕事、すべきこととしてけんめいにそれをすること。やや硬い言い方。ニ格
をとる。文相当の内容を「ヨウニ」で受ける。意志形を「ト」で受ける。
   人ガ ものニ つとめる / 人ガ 文ヨウニ/ト つとめる
    説明・弁解に 努める      毎日歩くように努める  人の気に入られようと努める
◇はげむ  
  「励む」は、目標達成のため、怠けず、努力すること。対象のニ格をとる。
   人ガ ものニ はげむ
       勉強・仕事に 励む
◇ねばる 
 「粘る」は、あきらめずに根気よくがんばり続けること。
   人ガ ねばる
     粘って不利な試合を逆転した
・複合動詞「粘り抜く」は、最後まで粘ること。     
◇つらぬく
  「貫く」は、(他からの圧力に負けず)最後まで自分のやり方を通すこと。
   人ガ ものヲ つらぬく
    方針・主張を 貫く
・複合動詞「貫き通す」は、「貫く」の「最後まで」を強めた言い方。
◇たえる  
  「耐える」は、精神的・肉体的につらいこと、苦しいことをがまんすること。対象のニ格をとる。
   人ガ ものニ たえる
       寒さ・痛みに 耐える
・複合動詞
 「耐え忍ぶ」は、つらさ・苦しさをじっとがまんすること。
 「耐え抜く」は、つらさ・苦しさがなくなるまで、ずっと耐えること。
 「耐えかねる」は、耐えられないこと。  
・スル動詞
 「辛抱する」は、精神的・肉体的に苦しい時、それをこらえること。 
 「忍耐する」は、精神的に苦しい時、怒りたい時にそれをこらえること。  
◇こらえる
 「こらえる」は、苦痛や欲求をがまんし、感情を抑えて出さないこと。対象のヲ格をとる。名詞節
を受ける。
   人ガ ものヲ こらえる
       痛み・のどの渇きを こらえる   涙・笑いを こらえる  泣きたいのをこらえる
・複合動詞
 「こらえる」に近い意味の複合動詞は「-こたえる」という形のものがある。
 「持ちこたえる」は、苦しい状態で、それ以上悪くならないように(努力し)保つこと。
 「踏みこたえる」は、苦しい状態で、力を出してそれ以上悪くならないようにとどめること。
 「踏ん張る」は、足を開いて力を入れること。ひゆ的に、苦しい時に気力を出してがんばること。
◇がまんする
 「我慢する」は、精神的・肉体的に苦しい時、それをこらえて苦しいと言わないこと。また、怒り
や笑い、涙、せきなどを表に出さないようにこらえること。対象のヲ格をとる。名詞節を受ける。
     人ガ ものヲ/文ヲ がまんする
    痛み・咳を 我慢する  泣きたいのを我慢する
◇しのぶ 
  「忍ぶ」は、主に精神的な苦痛をがまんすること。対象のヲ格をとる。
   人ガ ものヲ しのぶ
    恥・不便を 忍ぶ   
◇うちかつ
 「打ち勝つ」は、困難や苦しみ、誘惑などに負けず、それを乗り越えること。
   人ガ ものニ うちかつ
    困難・誘惑に 打ち勝つ
・スル動詞
 「克服する」は、努力して困難を乗り越えること。  


がんばる(頑張る) 五(がんばらない・がんばります・がんばって・がんばれば・がんばろう)
[1]〔人ガ〕
 △がんばりたい  がんばってほしい  がんばらなくてはいけない  がんばろうと思う
  がんばらせる  がんばらされる  がんばれ!
 △[少しは/できるだけ/必死(ひっし)に/何が何でも/死ぬほど/しっかり]~。
 ・その選手(せんしゅ)はさいごまで頑張って走りとおした。
 ・入学試験(しけん)の前の日、先生は学生に「がんばれよ。」と言った。
 ・さあ、かんばらなくっちゃ。(=がんばらなくてはならない)
[2]〔人ガ ものニ/ヲ〕
 △[勉強/試験/仕事]に/を~。
 ・苦しい中で、社員たちは会社の再建(さいけん)にがんばっている。
 ・川口くんはスポーツの方はよくできるのだが、勉強がちょっと足りません。もう少し勉強の方を
  頑張ってもらわないといけません。
[3]〔人ガ 文ト〕
 ・あなたがいくら「私はやっていない」と頑張っても、見たという人がいるんですよ。
 ・おかしやの前で子どもにおかしを買ってくれと頑張られて、とうとう買ってやった。
[4]〔所ニ 人ガ〕
 ・れいぞうこからジュースをもって来ようと思うのだが、だいどころには母がずっと頑張っている
  (=いる)ので、とりに行けない。
 ・あの女子寮(じょしりょう)は、入口にこわいおじさんがいつも頑張っているので、なかなか近づ
  けない。

<複合動詞:がんばり->
[がんばりとおす] 人ガ 
 ・マラソンの途中で足が痛くなったが、最後まで頑張り通した。
 ・眠いのをがまんしてがんばり通し、とうとう朝まで歩き続けた。
<複合動詞:その他>
[はりきる] 人ガ (ものニ)
 ・かならず優勝するといって、選手はみんな張り切っています。
 ・最初からあんまり張り切らないほうがいいぞ。
 ・新しいプロジェクトにみな気持ちが張り切っている。
      気持・全員が 神経・乳房が 極度に 必要以上に やたら 新しい仕事に
[ふるいおこす] 人ガ ものヲ 
 ・少年は勇気を奮い起こして魔物と戦った。
 ・勇気を奮い起こしてふたたび相手に立ち向かった。
 ・ここで気力を奮い起こして、がんばらないといけない。
      元気・志・意志・精気・勇気・精神・勇猛心・不動心を 
[ふるいたつ] 人ガ  
 ・「我々の国を作ろう!」将軍の言葉に兵士たちは奮い立ち、独立戦争を戦い抜いた。
 ・勇気を奮い立たせて、おばけ屋敷に入った。
      気力・兵・獅子が 心の底から 自分・人々・気分・気持・声・心を~せる 
<スル動詞>
[奮闘(ふんとう)する]  人ガ ものニ
 ・今、子育てに奮闘しています。大変だけど、かわいいです。
 ・委員長の彼女が一人で奮闘しているだけで、他の委員はぜんぜん手伝わない。

どりょくする(努力する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △努力したい  努力してみる  努力するつもりだ  努力しなければならない
  努力すべきだ  努力しようと思う  努力させる  努力しろ!
 △[精一杯(せいいっぱい)/できるかぎり/相当(そうとう)/非常に/少し/けんめいに]~。
  △[解決(かいけつ)/制度改革(せいどかいかく)/職場環境(しょくばかんきょう)の改善(かいぜ
   ん)/事態(じたい)の収拾(しゅうしゅう)/運転再開(うんてんさいかい)]に~。
 ・担当者(たんとうしゃ)は問題の解決に努力しているんだが、それをじゃまする人がいるらしい。
 ・努力してはいるんですが、才能(さいのう)がないらしくて、どうもうまくいきません。
  ・政府(せいふ)は年金(ねんきん)制度の改善に努力(を)している。
 ・組合(くみあい)はいっそうの賃上(ちんあ)げに努力(を)しています。
〔人ガ 文ニ〕
 ・今年は、タバコの本数(ほんすう)を減(へ)らすことに努力(を)したい。
[2]〔人ガ 文ト〕 
 ・私たちは、日本の政治をよくしようと、長い間努力してまいりました。
 ・国連は、世界の紛争(ふんそう)をなくそうと努力している。
 ・県(けん)は交通事故(こうつうじこ)を減らそうと努力(を)している。  
  ・何とか成績(せいせき)を上げようと努力しているんだけど、みんなも努力するからおんなじだ。

<スル動詞>
[苦心(くしん)する]  人ガ ものニ
 ・エンジンの改良に苦心(を)する。
 ・この絵は、背景の微妙な色合いに苦心(を)した。
 〔文ニ〕
  ・彼女はやせることに苦心(を)している。
[集中(しゅうちゅう)する]  人ガ ものニ  ものヲ
 ・もっと努力を集中してやらなければいけない。
 ・一ヶ所に全勢力を集中していていいのか。
  意識・エネルギー・思い・考え・関心・気持ち・精力・全神経・全精力・全力・注意力・努力を
 〔人ガ ものニ〕
 ・どうも勉強に集中することができない。
 ・一点に集中して攻撃すれば、必ず防御をやぶれる。


つとめる(努める)  一(つとめない・つとめます・つとめて・つとめれば・つとめよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △つとめたい  つとめていく  つとめなければならない  つとめるべきだ
  つとめようとおもう  つとめさせる  つとめろ!
 △[常(つね)に/これからも/できるだけ/最大限(さいだいげん)/けんめいに]~。
 △[サービスの向上(こうじょう)/問題の解決(かいけつ)/計画(けいかく)の実現(じつげん)/
   堅実(けんじつ)な経営/安全運転(あんぜんうんてん)]に~。
 ・材料(ざいりょう)の確保(かくほ)に努めていますが、なかなか難しい状況(じょうきょう)です。
 ・会社としては最大限(さいだいげん)のサービスに努めております。
 ・旅客(りょきゃく)へのサービスに努めていきたいと思います。
 ・国会は事態(じたい)の正常化(せいじょうか)に努めています。
 ・事故(じこ)でダイヤがみだれておりますが、JRは電車の運行(うんこう)の回復(かいふく)に努
  めております。
〔人ガ 文ヨウ(ニ)〕
 ・健康(けんこう)のために、なるべく歩くように努めています。
 ・私は、母親(ははおや)として、子どもに安全なものを食べさせるように毎日努めている。
 ・会社では、上司(じょうし)によく思ってもらえるように努めなさいよ。
 ・当(とう)ホテルでは、お客さまにつねに気持ちよくすごしていただくように努めています。
 ・二度とこのような事故(じこ)を起こさないよう、職員一同(しょくいんいちどう)とともに努めて
  まいります。
[2]〔人ガ 文ト〕
  ・私は、毎日規則(きそく)正しい生活をしようと努めています。
 ・係長は何とかして部長に気に入られようと努めているが、あまり効果(こうか)はないようだ。
 ・家族の秘密(ひみつ)を人に知られまいと努めてきたが、とうとう秘密が漏(も)れてしまった。


はげむ(励む)  五(はげまない・はげみます・はげんで・はげめば・はげもう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △はげんでみる  はげむつもりだ  はげまなければいけない  はげまされる
  はげもうと思う  はげめ!
 △[大いに/けんめいに/できるかぎり/ほどほどに/多少は/ずっと/一生(いっしょう)]~。
  △[勉強/研究/仕事/学業/学問/会社再建(さいけん)/ノルマの達成(たっせい)]に~。
 ・研究に励む先生の姿(すがた)を間近(まぢか)に見て、私もがんばらねばと思った。
  ・学生の間は、学業とスポーツに励んでほしい。
 ・あのころは苦しい時期(じき)だったが、希望(きぼう)を捨(す)てず、仲間(なかま)と共に会社の
  再建に励んでいた。
 ・入院中(にゅういんちゅう)、みんなに励まされてとてもうれしかった。


ねばる(粘る)  五(ねばらない・ねばります・ねばって・ねばれば・ねばろう)
[1]〔人ガ〕
 △ねばりたい  ねばってほしい  ねばってみる  ねばらなければいけない
  ねばろうとする  ねばらせる  ねばられる  ねばれ!
 △[どこまでも/最後(さいご)まで/がんばって/けんめいに/力の限り/なんとしてでも]~。
 ・そうかんたんにあきらめるな。実力(じつりょく)の差(さ)はたいしてない。粘っていけ。
 ・たいした実力があるわけではないが、どこまでも粘る根性(こんじょう)だけはあるつもりだ。
  ・トップ集団に食(く)らいつき、離(はな)されそうになっても粘ってついて行った。
 ・負けそうだったが、粘りに粘って最後に逆転(ぎゃくてん)し、とうとう勝った。
 ・何とか突き放(つきはな)そうとしたんだが、あそこまで粘られると、根負(こんま)けしたよ。


つらぬく(貫く)  五(つらぬかない・つらぬきます・つらぬいて・つらぬけば・つらぬこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △つらぬきたい  つらぬいてほしい  つらぬくべきだ  つらぬけない  つらぬこうとする
  つらぬかせる  つらぬけ!
 △[がんばって/必死(ひっし)に/いっしょうけんめい/何とか/むりやり]~。
  △[主張(しゅちょう)/方針(ほうしん)/原則(げんそく)/信念(しんねん)/自説(じせつ)]を~。
 ・状況(じょうきょう)が不利(ふり)であっても、あくまでも自(みずか)らの主張を貫くべきだ。
 ・初めの基本(きほん)方針を貫いていかなければ、場当(ばあ)たり的な対応(たいおう)をくり返す
  ことになり、根本的(こんぽんてき)な問題の解決(かいけつ)にはならない。
  ・彼女は次の論文でも自説を貫き、数々(かずかず)の批判(ひはん)に一つ一つ答え、きちんと反論
  (はんろん)した。
 ・国を出た時の志(こころざし)を貫いて、この国の首相(しゅしょう)になってみせる。

<複合動詞:つらぬき->
[つらぬきとおす] 人ガ ものヲ
 ・自分の信念を貫き通すというのは、言うのはやさしいが、実際には難しいことだ。
 ・どんなに引き留められても辞意を貫き通した。
      信念・初志・立場・見識・辞意・自己・一つの事を  あくまで 最後まで


たえる(耐える)  一(たえない・たえます・たえて・たえれば・たえよう)
[1]〔人・ものガ ものニ〕
 △たえかねる  たえるべきだ  たえなくてはならない  たえられるはずがない
  たえようとする  たえさせる  たえろ!  
 △[必死(ひっし)に/けんめいに/なんとか/かろうじて/長い間/限界(げんかい)まで]~。
  △[寒さ/痛(いた)み/高熱(こうねつ)/プレッシャー/渇(かわ)き/空腹(くうふく)]に~。
  [批判(ひはん)/中傷(ちゅうしょう)/重圧(じゅうあつ)/激務(げきむ)/任(にん)]に~。
  ・雪の中で必死に寒さに耐え、ひたすら救助(きゅうじょ)が来るのを待っていた。
 ・あまりの痛みに耐えかねて、思わずうめき声(ごえ)を上げてしまった。
 ・いろいろひどいことを言われたが、じっと耐え、事実を明らかにすることに全力を上げた。
 ・心理的な重圧に耐えられず、委員長の職(しょく)を辞(じ)した。
 ・あのコーチの猛練習(もうれんしゅう)に耐えてきたんだ。あとは試合で実力を出すだけだ。
 ・あなたはよく支店長(してんちょう)としての激務に耐え、売り上げを伸ばしました。ここに表彰
  (ひょうしょう)します。

<複合動詞:たえ->
[たえかねる] 人ガ ものニ
 ・空腹に耐えかねて、夜中に冷蔵庫を開ける。そんな毎日が続いて、太ってしまった。
 ・民衆は過酷な税に耐えかね、ついに革命を起こした。
      圧迫・痛み・緊張・空腹・苦しさ・拷問・自己嫌悪・恥ずかしさ・良心の呵責・
   絶え間のない労働・過酷な年貢に  痛さ・悲しみに~て涙を流す 逃げ出す
[たえしのぶ] 人ガ ものヲ 
 ・つらい日々を耐え忍んで、明るい未来を待ち続けた。
 ・これ以上、屈辱を耐え忍ぶことはできない。同胞よ、立ち上がれ、敵を倒すのだ。
      寒気・悔しさ・苦痛・屈辱・苦しみ・絶望・貧困・冬の厳しさ・理不尽を
[たえぬく] 人ガ ものヲ/ニ 
 ・困難な事態を何とか耐え抜いて、現在の繁栄を勝ち取った。
 ・敵のこの攻めを耐え抜けば、反撃のチャンスがあると思ってゴールを守り抜いた。
      痛み・苦痛を 悲しみ・拷問・つらさに 勢い・攻撃に どうにか

<スル動詞>
[辛抱(しんぼう)する]  人ガ ものヲ
 ・楽しい職場ではなかったが、辛さを辛抱していると、実力が付いてきた。
 ・エアコンのない部屋で暑さ寒さを辛抱して、何とか博士論文を書き上げた。
[忍耐(にんたい)する]  人ガ ものヲ
 ・会社勤めとは忍耐することだ。ずっと我慢し続けることだ。
 ・不合理な命令も忍耐して従っていたが、とうとう怒りが爆発した。


こらえる(堪える)  一(こらえない・こらえます・こらえて・こらえれば・こらえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △こらえてほしい  こらえなければならない  こらえられない  こらえようとする
  こらえさせる  こらえろ!
  △[何とか/どうにか/しばらく/必死(ひっし)に/やっと/かろうじて/けんめいに]~。
 △[痛(いた)み/苦痛(くつう)/苦しさ/寒さ/暑さ/のどの渇(かわ)き/飢(う)え]を~。
  [涙(なみだ)/吐き気(はきけ)/腹痛(ふくつう)/小便(しょうべん)/咳(せき)]を~。
  [怒(いか)り/おかしさ/屈辱(くつじょく)/悔(くや)しさ/不安/発作(ほっさ)/笑い]を~。
  ・のどの渇きをこらえて、砂漠を歩き続けた。
 ・この部屋、寒いですけど、ちょっとこらえて下さい。じき、暖かくなります。
  ・人々は、怒りをこらえながら被告(ひこく)の顔を見つめた。     
〔文ヲ〕
  ・注射をされたとき、子供は泣くのを懸命にこらえていた。
 ・上司(じょうし)がとんでもないことを言い出すので、笑うのをこらえるのに必死だった。
  ・怒りをこらえ、怒鳴りたいのをこらえて、彼らの弁解(べんかい)を聞いた。

<複合動詞:その他>
[ふみこたえる] 人ガ 
 ・大柄な力士に激しく押されたが、横綱は土俵際で踏みこたえた。
 ・くるしくても、そこで、ぐっと踏みこたえれば、人は強くなれる。
      ぎりぎりで 何とか あぶなく
[ふんばる] 人ガ ものヲ   (ふみ+はる)
 ・押されて倒れそうになったが、足を踏ん張ってこらえた。
 ・テスト期間もあと二日。もう少し踏ん張れば終わりだ。がんばろう。
 ・犬がまじめな顔をして足を踏ん張っている。どうしたんだろう。ああ、そうか。
      脚・四肢・両足を 後ろ足を 必死に 一生懸命 力一杯 腰を落として 最後まで
[もちこたえる] 人・ものガ
 ・わたし一人でがんばってきましたが、これいじょう持ちこたえることはできません。
 ・これ以上川の水が増えると、堤防が持ちこたえられないかもしれない。
      城を 重圧に 一冬・夏を 心・心の崩れを そのまま どうにか


がまんする(我慢する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △がまんしてほしい  がまんしてはいけない  がまんしなければならない  がまんさせる
  がまんさせられる  がまんしようと思う  がまんしろ!
 △[ちょっと/じっと/ずっと/しかたなく/いやいや/あきらめて]~。
  △[痛(いた)み/苦(くる)しさ/暑さ/寒さ/疲(つか)れ/頭痛(ずつう)]を~。
  ・私は足の痛みをがまんして、走り続けた。
 ・私は甘いものを我慢しているが、なかなかやせない。(=食べるのをひかえる)
〔人ガ 文ヲ〕
 ・足が痛いのを我慢しようとしたが、我慢できなかった。
 ・もっと食べたいのを我慢して、2杯でやめておいた。


しのぶ(忍ぶ)  五(しのばない・しのびます・しのんで・しのべば・しのぼう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △しのぶべきだ  しのばざるをえない  しのべない  しのぼうと思う  しのべ!
 △[じっと/ぐっと/何とか/長い間/ずっと]~。
  △[恥(はじ)/苦痛(くつう)/痛(いた)み/飢(う)え/不便(ふべん)/不自由(ふじゆう)]を~。
  ・恥を忍んで罪(つみ)を告白(こくはく)した。
 ・長い時間苦痛を忍んでいた彼女は、救助(きゅうじょ)された時、うれしさのあまり泣き出した。
 ・その老人(ろうじん)は、人の世話(せわ)になることを嫌(きら)い、身の回りのことの不自由を忍
  んで、一人で暮らしていた。
 ・多少の不便は忍ぼうと思えば忍べないこともない。


うちかつ(打ち勝つ)  五(うちかたない・うちかちます・うちかって・うちかてば・うちかとう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △うちかちたい  うちかってほしい  うちかたなくてはいけない  うちかて!
 △[何とか/どうにかして/がんばって/いっしょうけんめいに/努力(どりょく)して]~。
  △[相手(あいて)/敵(てき)/自分/運命(うんめい)/悲しみ/恐怖(きょうふ)/困難(こんなん)
   /プレッシャー/誘惑(ゆうわく)/生存競争(せいぞんきょうそう)]に~。
  ・過酷(かこく)な運命に打ち勝って、自分の道を切り開いてきた。
 ・残(のこ)された人々は、この悲しみに打ち勝って、また立ち上がってくれるだろう。
 ・いちばん難しいのは、相手に勝つことではなく、自分の恐怖心に打ち勝つことです。
 ・自然界は厳(きび)しい。生存競争に打ち勝った者だけが生き残ることができるのである。

<スル動詞>
[克服(こくふく)する]  人ガ ものヲ
 ・障害に立ち向かい、それを克服していきたいと思います。
 ・彼らは多くの困難を克服して、大事業をやり遂げた。

[16]怠ける・諦める

◇なまける
 「怠ける」は、すべきことをするのがいやで、それをせず、時間をむだに過ごすこと。
   人ガ ものヲ なまける
       家事・仕事を 怠ける
◇サボる
 「サボる」は、すべきことをせず、休むこと。特に、毎日の共同の作業から逃げて、しないこと。
   人ガ ものヲ サボる
     宿題・学校・会社を サボる    家事・掃除当番を サボる
◇おこたる
  「怠る」は、すべきことをしないこと。特にそのための精神的な集中が足りないこと。名詞節をと
る。書きことば。
   人ガ ものヲ おこたる
       警戒・配慮を おこたる  準備・対策を おこたる
   人ガ 文ヲ おこたる
    注意を働かせることを怠った
・スル動詞
 「横着する」は、仕事や義務を怠け、楽をしながらそれですませようとすること。
◇あきらめる
 「諦める」は、望んだことができないと認めて、それ以上努力するのをやめること。 
   人ガ ものヲ あきらめる  2時の電車をあきらめる(乗るのを)
       進学・結婚を あきらめる
  名詞節・引用節を受ける。
   人ガ 文ヲ/ト あきらめる
    医者になるのをあきらめる     勝ち目はないとあきらめる
・複合動詞
  「あきらめきる」は、完全にあきらめること。可能形の否定「あきらめきれない」がよく使われる。
 「思い切る」は、それまで(やりたいと)考えたことをやめてしまうこと。
 「投げ出す」は、途中までやったことを、あきらめてやめてしまうこと。
 「見かぎる」は、見込みがないと思ってあきらめること。
 「見捨てる」は、人の面倒を見たりして、関係を保つことをやめること。
 「見放す」は、もうだめだと判断して、世話をすることをやめること。
・スル動詞
 「断念する」は、自分の希望などをすっぱりあきらめること。文相当の内容をとる。 
 「観念する」は、もう絶対だめだとあきらめること。文相当の内容を「と」で受ける。
 「絶望する」は、希望をまったく失うこと。ニ格の対象をとる。


なまける(怠ける)  一(なまけない・なまけます・なまけて・なまければ・なまけよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △なまけたい  なまけがちだ  なまけてしまう  なまけてはいけない  なまけさせる
  なまけようとする  なまけるな!
 △[つい/ぶらぶら/いつも/毎日/少し/ひどく/こっそり/かくれて]~。
 △[練習(れんしゅう)/宿題(しゅくだい)/家事(かじ)/掃除(そうじ)/作業(さぎょう)]を~。
 ・弟は家の仕事(しごと)を怠けて、あそんでばかりいる。
 ・畑(はたけ)の草取(くさと)りをちょっと怠けて、ぼんやり空を見ていた。
 ・こんな問題(もんだい)ができないとは、きみはだいぶ勉強を怠けているね。
 ・みんなちゃんとやっているんだから、あなたも怠けないでまじめにやってください。
 ・やるべき時に怠けてばかりいると、あとでとり返しのつかないことになりますよ。
 ・上の者が怠ければ、下の者がやる気をなくすのはあたりまえだ。
 ・疲れてくると、つい、掃除や洗濯(せんたく)を怠けようとしてしまいがちだ。
 ・こら、怠けるな! 怠けないでちゃんとやれ! 給料(きゅうりょう)払ってるんだぞ!


サボる  五(さぼらない・さぼります・さぼって・さぼれば・さぼろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △サボりがちだ  サボってしまう  サボってはいけない  サボらせる  サボるな!
 △[つい/こっそり/堂々(どうどう)と/ゆうゆうと/いつも/時々/かくれて]~。
  △[学校/授業/仕事/会社/研究/集まり/掃除当番(そうじとうばん)/けいこ]を~。
  ・大学生の時、授業をサボって芝生(しばふ)でおしゃべりするのが楽しかった。
 ・あの先生はこわい先生で、サボった次の週に叱(しか)られるのでサボりにくい。
 ・あいつらは授業をサボってばかりいる。
 ・こら! 掃除当番をサボるな!
  ・中学の時、掃除当番をどうやってサボるかを毎日考え、考える力が付いた。
 ・先輩(せんぱい)にマージャンに誘(さそ)われ、授業をサボらせられた。
 ・朝、会社をサボろうと思い、言い訳(いいわけ)をいろいろ考えているうちにまた眠ってしまった。


おこたる(怠る)  五(おこたらない・おこたります・おこたって・おこたれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おこたりがちだ  おこたってしまう   おこたってはいけない  おこたるな!
 △[つい/うっかり/ぼんやりして/時々/ずるずると]~。
  △[義務(ぎむ)/警戒(けいかい)/準備(じゅんび)/対策(たいさく)/調査(ちょうさ)/注意/
   提出(ていしゅつ)/手配(てはい)/配慮(はいりょ)/報告(ほうこく)/用意(ようい)]を~。
  ・納税(のうぜい)の義務を怠ることは、法律(ほうりつ)に違反(いはん)することになる。
 ・準備と事故(じこ)への対策を怠らず、ぶじに調査旅行を終えていただきたい。
 ・A社は手形(てがた)の支払いを怠ったために倒産(とうさん)した。
 ・政府は議員定数(ぎいんていすう)の是正(ぜせい)を長い間怠っている。
〔文ヲ〕
 ・運転者が歩行者(ほこうしゃ)に注意することを怠ったため、事故(じこ)を起こした。
 ・運営側(うんえいがわ)が参加者(さんかしゃ)にその件を伝えておくことを怠った。

<スル動詞>
[横着(おうちゃく)する]  人ガ ものヲ
 ・何事も、上手になろうと思ったら横着してはいけない。基本をきちんと練習することだ。
 ・また横着して、Tシャツのまま寝ちゃったの? パジャマに着替えたほうがいいよ!


あきらめる(諦める) 一(あきらめない・あきらめます・あきらめて・あきらめれば・あきらめよう)
[1]〔人ガ もの・人ヲ〕
 △あきらめてほしい  あきらめてしまう  あきらめてはいけない  あきらめたほうがいい
  あきらめなければならない  あきらめられない  あきらめようとする
  あきらめさせる  あきらめさせられる  あきらめろ!  あきらめるな!
 △[なんとか/やっと/ついに/しぶしぶ/しかたなく/すっぱりと/すっきり]~。
 △[進学(しんがく)/結婚(けっこん)/留学(りゅうがく)/出世(しゅっせ)]を~。
 ・この成績(せいせき)では、大学進学をあきらめた方がいいよ。
 ・あきらめてしまうのはまだ早いよ。がんばれば何とかなるよ。
 ・あと2分しかない。11時15分の電車はあきらめよう。
 ・A:女はあき子ばかりじゃない。彼女がお前をきらいだと言うのだから、あきらめろ。
   B:あきらめろと言われても、あきらめきれないよ。
 ・彼のことはあきらめようと思ったんだけれど、でも、もう一度だけ会いたい。
 ・こんな大きなミスをしたら、もう昇進(しょうしん)はあきらめざるをえないな。
〔文ヲ〕
 ・もう、あの子に勉強をさせるのはあきらめました。親が私ですから。
 ・医学部(いがくぶ)に入るのは、もうあきらめました。ことしも試験(しけん)に落ちたんです。
 ・子どもがほしい、子どもを産むことをあきらめられないという夫婦(ふうふ)が多くなり、不妊治
  療(ふにんちりょう)という新しい社会問題が起きている。
 ・記者(きしゃ)は記事を書こうとしたが、社の上のほうから圧力(あつりょく)がかかり、書くこと
  をあきらめさせられた。
[2]〔人ガ 文ト〕 
 ・5回目も失敗(しっぱい)した時、いくらやってもむりだとあきらめた。
 ・相手の姿(すがた)を見ただけで、これは勝ち目(かちめ)がないとあきらめた。

<複合動詞:あきらめ->
[あきらめきる] 人ガ ものヲ
 ・もう絶対受かるはずがないと諦めきっていた。
 ・みんな、諦めきったような顔をしているけれど、まだ勝つ望みはあるぞ。
 ・諦めろと言われても、彼女との結婚を諦めきれない。 (あきらめきれる)
<複合動詞:その他>
[おもいきる] 人ガ ものヲ
 ・子供のころからの夢を思い切って、父の仕事を継ぐことに決めた。
 ・「私はこの家を出ます」姉は思いきったように、父に向かって言った。
 ・お前、彼女のことを思い切れるのか? もう会えなくてもいいのか?
[なげだす] 人ガ ものヲ (所カラ 所ニ) 
 ・いくら分からないからと言って、試験をとちゅうで投げ出してはいけない。
 ・横綱が相手を土俵の外に投げ出した。
   鞄・命・会社・職・政権・全財産・筆・本業・役目を 何もかも 思いきって
[みかぎる] 人ガ 人ヲ 
 ・あの男はいくら注意しても悪い所を直そうとしないので、私はあの男を見かぎることにした。
 ・父はもらった薬をちゃんと飲まないので、医者に見限られてしまった。
 ・細々と店を続けていたが、この業界の将来を見限って、転業することにした。
      前途を 東京を 妻が夫を きっぱり
[みすてる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・アキラはダメな人間だが、自分の子どもだから見すてるわけにはいかない。
 ・どうか私を見捨てないでください。
 ・その土地の神に見捨てられた人間たちは、海を渡って別の土地に移った。
      親・夫・神・国・子供・仲間・家業・幸福・信徒を あっさりと 簡単に
[みはなす] 人ガ 人ものヲ
 ・あいつは医者も見放すような状態になるまで我慢していたらしい。ほとんど自殺だね。
 ・どうも今回ばかりは運に見放されたようだ。試験のヤマがまったくはずれた。
      医者が病人を・我が子を   見放される:運・運命の神様・親・幸運・つき・天に
<スル動詞>
[観念(かんねん)する]  人ガ (文ト)
 ・立てこもり強盗もようやく観念したようで、人質を連れておとなしく出てきた。
 ・指名手配されていた犯人が逃げおおせることは無理だと観念して警察に自首してきた。
[絶望(ぜつぼう)する]  人ガ ものニ
 ・どんなことがあっても、人生に絶望(を)しないで、生きていってほしい。
 ・自分の将来に絶望(を)しかかっていたところを、彼女に救われた。
[断念(だんねん)する]  人ガ ものヲ
 ・失政が続く首相は、次期の出馬を断念せざるを得なかった。
 ・その冒険家は、人力のみでの北極点到達を断念した。
   新幹線の延長・銀行の合併・作品の完成・計画の実行・結婚・捜索・立候補を
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・予算の縮小のため、研究を続けることを断念した。

[17] 誇る・威張る

◇ほこる                     
 「誇る」は、自分に関わるものを優れたものだと思って、他の人にそう言ったり、そういう態度を
見せたりすること。名詞節・引用節をとる。名詞修飾の形で使われることも多い。
   人ガ ものヲ (人ニ) ほこる
       権勢を誇る  世界に誇る技術
   人ガ (人ニ) 文ヲ/ト ほこる
    大きいことを誇る  世界一だと誇る
・複合動詞「勝ち誇る」は、勝って誇らしそうな態度になること。   
・スル動詞「自慢する」は、自分のこと、自分に関わりのあることを自分でほめ、人に誇ること。
       子どもの成績を自慢する
◇いばる
 「威張る」は、自分は偉い、強いという態度をしてみせること。相手のニ格をとる。文を「ト」で
受ける。ヲ格の名詞はとらないが、名詞節を「ヲ」で受けることがある。
   人ガ 人ニ (文ト) いばる 
    上司が部下に威張る  「すごいだろう」と威張る  大臣と付き合いがあることを威張る
・複合動詞
 「威張り散らす」は、いろいろなことについてやたらに威張ること。
  「つけ上がる」は、相手が自分に対して厳しくない時に、偉そうな態度をすること。
◇おごる
 「おごる」は、権勢・地位・財産・才能などを誇って、えらそうな態度をとること。ニ格をとるこ
とがある。
   人ガ (ものニ) おごる
    権力者が驕る  才能に驕る  驕った態度
・複合動詞
 「思い上がる」は、実際より自分を偉いものと思うこと。
◇でしゃばる
 「出しゃばる」は、自分に関係のないことに口や手を出したり、人を押しのけて自分が主になって
物事をしようとすること。
   人ガ でしゃばる
        出しゃばった真似をする
◇きどる
  「気取る」は、自分をよく見せようとして、動作や言葉を格好良く、内容があるものと感じさせる
ようにすること。自分をある(よい)者に見せようとして、それらしい様子をする。「-ている」の形
で状態を表し、名詞修飾で「-た」の形がよく使われる。
   人ガ きどる
    気取った態度をとる  気取ったことを言う  正義の味方を気取る
◇しゃれる
  「しゃれる」は、趣味がいい、好みが気が利いている、など、外見・雰囲気・内容について高い評
価を得るような様子であること。「-ている」の形で状態を表し、名詞修飾で「-た」の形がよく使
われる。
   人・ものガ しゃれている
    しゃれた服を着ている  しゃれた構えのレストラン  言うことがしゃれている


ほこる(誇る)  五(ほこらない・ほこります・ほこって・ほこれば・ほころう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △ほこりたい  ほこってしまう  ほこってはいけない  ほこってもいい  ほこれない
  ほこるべきだ  ほこれ!  ほこるな!
 △[心から/単純(たんじゅん)に/偉(えら)そうに/自慢(じまん)そうに]~。
   △[家柄(いえがら)/学歴(がくれき)/財産(ざいさん)/才能(さいのう)/能力(のうりょく)/ 

   美貌(びぼう)/連続優勝(れんぞくゆうしょう)/若さ/先見(せんけん)の明(めい)]を~。
 ・自分で何かを成し遂(なしと)げた時、心の中で自分に誇ってもいいと思う。次の仕事につながる
  自信(じしん)がわいてくる。しかし、人に誇ってはいけない。それはみにくい。
 ・今どき家柄を誇るなんてやつがいるのかね。自分は外に誇るものがない、無能(むのう)な人間だ
  と言っているようなものじゃないか。
 ・才能は人に誇るものじゃない。使ってみせるものだ。
 ・あなたのした仕事は、人に誇っていいものだと思います。それだけの価値(かち)があります。
  ・彼は何かと同僚(どうりょう)に自分の技量(ぎりょう)を誇りたがるので、避(さ)けられている。
 ・日本人は歴史の長さや文化を誇りたがるが、中国に比べたら大したものではない。
 ・A社は世界に誇る生産管理(せいさんかんり)システムを開発した。
 ・この町には三百年の歴史を誇るという大学がある。すごいものだ。
 ・人は、自分で何か誇れるものを持つといいと思う。
 ・日本の近代の歴史は、誇れる部分(ぶぶん)と、誇れない部分がある。
 ・日本の憲法(けんぽう)は、世界に誇るべきものであると思います。
〔文ヲ〕
 ・あの大学はノーベル賞学者を出したことを誇っているが、「この大学で学んだから」ではなくて、
  「この大学で学んだにもかかわらず」能力を伸ばしたんじゃないか?
[2]〔人ガ (人ニ) 文ト〕
 ・うちの社長は、「わが社の技術は世界一だ」と誇っている。
  ・「うちの子はすごいんですよ」と自分の子を誇りたがる奥さんが多くて困る。

<複合動詞:-ほこる> 
[かちほこる] 人ガ
 ・たとえ優勝しても、勝ち誇ったような顔をしてはいけない。
 ・チャンピオンは勝ち誇った表情で言った。「やはりおれがナンバーワンだ」
      ~た表情・声・顔 ~たようにほほえむ  ~て言う・笑う
<スル動詞>
[自慢(じまん)する]  人ガ 人・ものヲ (文ト)
  ・あの人はいい人だが、何かにつけて子供を自慢するのが欠点だ。
 ・私には自慢するようなことが何もない。
 ・「この車はすごいんだぞ」とすぐに自慢する。
 [~の自慢をする]
  ・子どもの自慢をするのが彼女の生きがいだ。
   

いばる(威張る)  五(いばらない・いばります・いばって・いばれば・いばろう)
[1]〔人ガ 人ニ〕
 △いばりたい  いばってしまう  いばってはいけない  いばらせる  いばるな!
 △[とても/ちょっと/へんに/偉(えら)そうに/得意(とくい)げに/むやみに/やたらに]~。
  △[父/兄/社長/上司(じょうし)/隣(となり)の奥(おく)さん/大臣(だいじん)]が~。
 ・うちの父は、いつも家族の中で威張っている。母は、威張らせておけばいい気持ちなんだから、
  気にしないでほうっておきなさい、って言うけど、なんだか面白くないなあ。
  ・そんなに偉そうに威張っても、みんなふだんのあなたを知っているんですからね、むだですよ。
 ・うちの社長はいつも部下に(対して)威張った話し方をする。
 ・中身(なかみ)のない人間ほど威張りたがるというのは、昔も今も同じだろう。
 ・あんなヤツにいつまでも威張らせちゃいけない。だれかやっつけてぎゃふんと言わせてほしい。
〔文ヲ〕
 ・父は中学校で成績(せいせき)が一番だったことを今でも威張っている。
 ・あの人は、有名人と付き合いがあることを威張るので、みなに嫌(きら)われている。
[2]〔人ガ 文ト〕
 ・兄は「会社では俺(おれ)が一番テニスがうまい」と威張っている。
 ・あの奥さんは「うちの先祖(せんぞ)は平安時代の貴族(きぞく)ですのよ」と威張っているそうだ。
<複合動詞:いばり-> 
[いばりちらす] 人ガ (人ニ)
 ・お父さんは家族に威張り散らしているが、おばあさんには頭が上がらない。
 ・自分の社員に対してはいつも威張りちらしている社長が、親会社の社員にはペコペコ頭を下げて
  いる。なさけない話だ。
      偉そうに やたらに むやみに 得意げに へんに         
<複合動詞:その他>
[つけあがる] 人ガ
 ・やさしくするとつけあがる。厳しくするとすぐ泣く。とかく・・というものは、、。
 ・ああいう男は、厳しく言わないとすぐ付け上がるから気をつけたほうがいい。
      甘やかすと 優しくすれば ~のもいい加減にしろ


おごる(驕る)  五(おごらない・おごります・おごって・おごれば)
[1]〔人ガ (ものニ)〕
 △おごりがちだ  おごってしまう  おごってはいけない  おごらないようにする
 △[つい/しらずしらず/とても/かなり/次第(しだい)に]~。
  △[権力者(けんりょくしゃ)/大金持(おおがねも)ち/大資本家(だいしほんか)]が~。
  ・トップになったからといって、おごってはいけない。
 ・金持ちになると、どうしても次第に気持ちが驕ってしまうようだ。と言っても、私は金持ちにな
  る可能性はないから、驕った自分のことを心配しなくてもいいのだが。
 ・自分の才能に驕って、研鑽(けんさん)を積まないと、すぐに才能を使い果たしてしまうぞ。
  ・「おごる平家(へいけ)は久しからず」という有名なことばがある。権力(けんりょく)を握(にぎ)
  って、驕ってしまった平家の一族(いちぞく)がまもなく滅(ほろ)んでしまったことを表している。

<複合動詞>
[おもいあがる] 人ガ
 ・どうやら私は思い上がっていたようだ。彼女にそれを指摘されて、やっとわかった。
  ・たしかに彼は能力があるかもしれないが、あの思い上がった態度が気にくわない。
     育ちを鼻にかけて~ている  ~た男・気持ち・態度・物腰・不遜な言葉


でしゃばる(出しゃばる)  五(でしゃばらない・でしゃばります・でしゃばって・でしゃばれ
  ば・でしゃばろう)
[1]〔人ガ〕
 △でしゃばってしまう  でしゃばってはいけない  でしゃばらないようにする
  でしゃばられる  でしゃばるな!
 △[つい/ずうずうしく/むりやり/横(よこ)から/割り込んで]~。
  △[親/隣(となり)の奥さん/部外者(ぶがいしゃ)/第三者(だいさんしゃ)/よそ者]が~。
  ・あの人はいつも目立(めだ)ちたがって、出しゃばるので困る。
 ・出しゃばるつもりはないのだが、どうしても言っておきたいことがある。
  ・何もわからないくせに、出しゃばった真似をするな。言われたことだけをやれ。
 ・関係(かんけい)のない人間が出しゃばるな。引っ込んでろ。


きどる(気取る)  五(きどらない・きどります・きどって・きどれば・きどろう)
[1]〔人ガ〕
 △きどってみる  きどってしまう  きどってはいけない  きどらないほうがいい
  きどらせておく  きどるな!
 △[ちょっと/とても/精一杯(せいいっぱい)/やけに]~。
  △[身なり/格好(かっこう)/服/文章/表現(ひょうげん)/話し方]がきどっている
  きどった[人/男/女/格好/しゃべり方/ことば/あいさつ]
  ・そんな服を着て、帽子(ぼうし)までかぶって、今日はずいぶん気取っているね。どうしたの?
 ・この女優はどうも好きになれないね。気取っているんだもの。
  ・その男は気取って言った。「わたくしにやらせていただけないでしょうか」
 ・彼女は、その気取らない性格(せいかく)が皆に好かれている。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 ・あいつは革命家(かくめいか)を気取っているが、たんに今の政治に不満(ふまん)なだけだ。
 ・私も若いころは文学青年(せいねん)を気取っていたんだが、今思い出すと恥ずかしい。


しゃれる(洒落る)  一(しゃれない・しゃれます・しゃれて・しゃれれば・しゃれよう)
[1]〔人・ものガ〕
 △しゃれてみる  しゃれたほうがいい  しゃれていないほうがいい
 △[とても/ちょっと/なかなか/かなり/見るからに]しゃれている
  △[服/アクセサリー/バッグ/身なり/格好(かっこう)/デザイン]がしゃれている
  しゃれた[帽子(ぼうし)/味(あじ)/形/タッチ/オフィス/文章/ことば/人/話し方]
  ・今日の服、しゃれて(い)るよ。どこで買ったの。
 ・このバッグ、なかなかしゃれたデザインだね。
  ・このレストラン、ちょっとしゃれているね。入ってみようか。
 ・しゃれた身なりの若い男がホテルのフロントに立っている。映画のワンシーンみたいだ。
 ・しゃれた構(かま)えの家だね。昔の家はけっこうかっこいいね。
 ・あの人は見かけはごついおじさんだけど、なかなかしゃれた文章を書くんだよ。
  ・お、まだ若いわりに、しゃれたこと言うね。
 ・しゃれたまねをしやがる。
     

[18] その他:態度
  いろいろな態度を表す動詞をまとめて。

◇おもんじる
  「重んじる」は、価値のあるものとして大切に扱うこと。重要なものと考えること。
   人ガ 人・ものヲ おもんじる
      約束を重んじる
◇かろんじる
  「軽んじる」は、価値がないもの、無視していいものとして軽く考えること。
  人ガ 人・ものヲ 軽んじる
      形式を軽んじる
・スル動詞
  「重視する」は、大事なものとして扱うこと。「重要視する」とも言う。
 「軽視する」は、大したものではないと考えて、注意して扱わないこと。
◇こだわる
 「こだわる」は、他人から見ればつまらないことを必要以上に気にすること。また、逆に、他人が
どう思おうともそのことが価値あることだと考えて、深く追求すること。
    体面にこだわる  味・形にこだわる
◇こりる
  「懲りる」は、何かをしてひどい目にあったので、もう二度としないという気持ちになること。
       結婚に懲りる  叱られても懲りない
◇しぶる
 「渋る」は、そうすることに気が進まない様子を見せること。他の動詞を受け、複合動詞の後項に
なる。名詞節を受ける。
       返事を渋る      金を出し渋る   保証人になることを渋る
◇てれる
  「照れる」は、自分のことが話題になったりして、うれしいが恥ずかしいという気持ちを表す。
      ほめられて照れる
◇ひかえる
 「控える」は、悪い結果が起きないように、ものの分量や自分の行動をおさえたりすること。
      酒・たばこ・発言・外出・激しい運動を 控える
・複合動詞
 「差し控える」は、しようと思ったことを(遠慮して)やめること。
◇ひがむ
  「ひがむ」は、物事を素直に考えずに、自分だけがひどい扱いを受けていると思い込むこと。
 「-ている」の形でそうなった結果の状態を表す。名詞修飾は「-た」の形になる。
      根性がひがんでいる   ひがんだ考え方
◇ひねくれる
  「ひねくれる」は、性質・考えなどが素直でなくなること。「-ている」の形でそうなった結果の
状態を表す。名詞修飾は「-た」の形になる。
   彼は性格がひねくれている  ひねくれた考え方
◇ふける
 「耽る」は、(他のことを忘れてしまうほど)あることに熱中すること。
   読書・道楽・快楽に ふける

◇あまんじる
 「甘んじる」は、与えられたもの以上に多くを望まず、受け入れること。自分にとって望ましくな
いものでも、抵抗せず受け入れること。
◇ありがたがる
 「有り難がる」は、ありがたいと思う態度を表すこと。
◇いれこむ
 「入れ込む」は、何か一つのことに夢中になること。
◇うなだれる
 「うな垂れる」は、失望・悲しみ・恥ずかしさなどのために、頭を前に低く垂れること。
◇うろたえる
 「うろたえる」は、予想しなかった事態を前に、どうしてよいかわからずあわてること。
◇うわつく
 「浮つく」は、気分や態度が落ち着きを失った状態になること。
◇おしがる
 「惜しがる」は、惜しいと思うこと。そういう態度を示すこと。
◇おっくうがる
 「億劫がる」は、おっくうだと思うこと。そういう態度を表すこと。 
◇おどける
 「おどける」は、人を笑わせようとして、こっけいなことを言ったりしたりすること。
◇おとなびる
 「大人びる」は、体形や言動が大人らしくなること。
◇かっきづく
 「活気づく」は、勢いがついて生き生きとしてくること。
◇かられる
 「駆られる」は、「駆る」の受身形で、自分の精神的な強い思いに動かされること。
◇くいいる
 「食い入る」は、突き刺すように深く中に入り込むこと。「~ように/ような」の形で使われる。
◇けむたがる
 「煙たがる」は、「煙たい」に「-がる」がついた形で、けむいと感じていやがること。ひゆ的に、
ある人に対して気づまりで避けたい気持ちを持つこと。
◇ごねる
 「ごねる」は、(人・決まりなどに)素直に従おうとはせず、不平や文句をいろいろ言うこと。
◇さびしがる
 「寂しがる」は、さびしいと思うこと。そういう態度を表すこと。
◇しらける
 「白ける」は、盛り上がっていた場が冷めてしまうこと。気持ちが盛り上がらないこと。
◇じらす
 「じらす」は、相手が期待することをわざとなかなかしないでいらだたせること。
◇すねる
 「拗ねる」は、本当の気持ちをおさえてわざと逆らった態度をとること。
◇たじろぐ
 「たじろぐ」は、対するものの強さ・勢いに圧倒されて対抗する気持ちを失うこと。
◇だらける
 「だらける」は、緊張した気持ちがなく、行動・態度がだらしなくなること。
◇つよがる
 「強がる」は、(本当は弱いのに)強いように見せかけること。
◇とりすます
 「取り澄ます」は、気取って、そんなつまらないことは自分とは関係ない、という態度をとること。
◇のめりこむ
 「のめり込む」は、前のほうへ倒れかかって、元に戻れない状態になること。ひゆ的に、そのこと
に心を奪われ、それから離れられなくなること。

◇はばかる
 「憚る」は、状況・立場を考えて、あることをしないように気を使うこと。人や状況をヲ格にとる。
 ことわざの「憎まれっ子世にはばかる」は、別の用法で、無遠慮にふるまうこと。
◇ひらきなおる
 「開き直る」は、それまでの(受け身の)態度を急に変えて、覚悟を決めた強い態度をとること。
◇ふてくされる
 「ふて腐れる」は、(目上の人に対する)不平・不満の気持ちから反抗的な態度になること。
◇ほうっておく
 「ほうっておく」は、「ほうる」に「-ておく」のついた形で、何の処置もせず、そのままにして
おくこと。
<スル動詞>
◇しゅうちゃくする
  「執着する」は、そのことばかり心に思い、忘れられないこと。
◇ちゃくもくする
 「着目する」は、あることを重要なことだと考えて気をつけて見ること。
◇ちゅうもくする
 「注目する」は、注意して目をその方に向けること。精神的なことにも言う。
◇ねっちゅうする
 「熱中する」は、(興奮して)一つのことに心を集中すること。


おもんじる(重んじる)  一(おもんじない・おもんじます・おもんじて・おもんじれば・おも
  んじよう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △おもんじてほしい  おもんじるべきだ  おもんじられる  おもんじろ!
 △[特に/特別に/非常に/いくらか/他と比べて/以前(いぜん)より]~。
  △[意見/規則/経験(けいけん)/形式/個性(こせい)/事実/自由/人命(じんめい)]を~。
[責任(せきにん)/世間体(せけんてい)/秩序(ちつじょ)/法(ほう)/名誉(めいよ)]を~。
 ・マスコミは、事実を重んじ、人命を重んじてほしい。
  ・今は外聞(がいぶん)を重んじている場合ではありません。
 ・まだ年功序列(ねんこうじょれつ)を重んじている会社があるというのが現状(げんじょう)だ。
 ・練習は、ただたくさんやってもダメで、量(りょう)より質(しつ)を重んじなくてはいけない。
 ・今の社会で、もっとも重んじるべきものは、個人(こじん)の生命と人権(じんけん)である。
  ・最近は、年長者(ねんちょうしゃ)の知恵(ちえ)が重んじられなくなっている。
 ・我々は法と名誉を第一に重んじようと考える。

かろんじる(軽んじる)  一(かろんじない・かろんじます・かろんじて・かろんじれば・かろ
  んじよう)            
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △かろんじがちだ  かろんじてしまいがちだ  かろんじてはいけない  かろんじるな!
 △[つい/なんとなく/あまり気にせずに/しだいに/いつの間にか]~。
  △[命(いのち)/人命(じんめい)/意味/教え/神/死/法律(ほうりつ)/論理(ろんり)]を~。
  ・人の命を軽んじるような政治が、まともな政治であるはずがない。
 ・小さな誤(あやま)りを軽んじていると、それが大きな誤りを引き起こすのだ。
  ・この国では、ルールというものが軽んじられている。
  ・いつもバカな冗談を言っているので、まわりの人に軽んじられている。
 ・人間は神を軽んじるようになり、大きな災(わざわ)いがやってきた。

じゅうしする(重視する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △重視したい  重視してほしい  重視すべきだ  重視しなくてもいい  重視しろ!
 △[一層(いっそう)/さらに/非常に/特に/何にもまして/より]~。
  △[安定(あんてい)/外交(がいこう)/関係/対話(たいわ)/バランス/貿易(ぼうえき)]を~。
  ・人々は規律(きりつ)というものを重視しなくなっている。
 ・我が党(とう)は経済発展(はってん)よりも福祉(ふくし)の充実(じゅうじつ)を重視しています。
 ・機会(きかい)の平等(びょうどう)よりも結果(けっか)の平等を重視しなければならないと思う。
 ・そんなことよりも、もっと重視すべき問題があるのではないか。
 ・都市の水道(すいどう)の水質(すいしつ)問題は重視されなければならない問題です。

けいしする(軽視する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △軽視しがちだ  軽視してはいけない  軽視させないようにする  軽視するな!
 △[つい/何となく/不当(ふとう)に/うっかり/ぼんやりしていて]~。
  △[安全/議会/危険(きけん)/基本(きほん)/事実/成績(せいせき)/生命/リスク]を~。
  ・安全を軽視しがちな現場(げんば)の意識(いしき)が、大きな災害(さいがい)をもたらすのだ。
 ・小さなことの積み重なりが物を作る。小さなことを軽視しては大きなことはできない。
 ・ちいさな事故(じこ)の危険性(きけんせい)を軽視してはいけない。
 ・経済倫理(けいざいりんり)を軽視する風潮(ふうちょう)があるのは嘆(なげ)かわしいことだ。
 ・この問題は今まで軽視されてきたが、もっと重要視(じゅうようし)すべきだ。

こだわる(拘る)  五(こだわらない・こだわります・こだわって・こだわれば・こだわろう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △こだわってしまう  こだわってはいけない  こだわらないようにする  こだわるな!
 △[つい/どうしても/なんとなく/かなり/とても/しきりに]~。
  △[形/形式(けいしき)/体面(たいめん)/面子(めんつ)/身分(みぶん)/金額(きんがく)/表 
   面的(ひょうめんてき)なこと/順序(じゅんじょ)/どうでもいいようなこと]に~。
  [味(あじ)/色/やり方/素材(そざい)/無農薬(むのうやく)/メダルの色]に~。
  ・あの人は体面にばかりこだわっていて、実際に体を動かそうとしない。
 ・味と色にこだわって、新しい料理(りょうり)を考えてみました。 
 ・どうでもいいことにこだわるな。大事なことは何かを考えろ。
 ・メダルの色にはこだわりません。何色(なにいろ)でもいいから、とれればうれしいです。
〔文か(どうか)ニ〕
 ・野菜(やさい)が無農薬(むのうやく)野菜であるかどうかにこだわる人が多い。
 ・彼女は、だれが自分の作品を評価(ひょうか)したのかにこだわっていた。

こりる(懲りる)  一(こりない・こります・こりて・こりれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △こりてしまう  こりないでほしい  こりろ!  こりるな!
 △[何度も/いつも/ひどく/つくづく/ほとほと/徹底的(てっていてき)に]~。
  △[失敗(しっぱい)/大損(おおぞん)/仲間割(なかまわ)れ/部下(ぶか)の反乱(はんらん)]に~。
  ・日曜大工(にちようだいく)をやってみたら、腰(こし)は痛くなるし、あちこち小さなけがをする
  し、ほとほと懲りた。慣れないことはするもんじゃない。
 ・離婚(りこん)して、結婚に懲りたのかと思ったら、再婚(さいこん)した。懲りないんだなあ。
 ・姉はバブル崩壊(ほうかい)の時の大損(おおぞん)に懲りて、株(かぶ)に手を出さなくなった。
 ・これに懲りず、またおいでください。

しぶる(渋る)  五(しぶらない・しぶります・しぶって・しぶれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △しぶりがちだ  しぶってはいけない  しぶらせないようにする  しぶるな!
 △[いつまでも/さんざん/なんやかやと/ああだこうだと/ぐずぐずと]~。
  △[回答(かいとう)/答え/貸し出し/許可(きょか)/承認(しょうにん)/返事(へんじ)]を~。
  ・政府(せいふ)は資料(しりょう)の提出(ていしゅつ)をいつまでも渋っていた。
 ・彼は返事を渋ってなかなか「うん」と言わなかった。
  ・国は支払いを渋っていたが、マスコミにたたかれて渋々(しぶしぶ)支払いに応(おう)じた。
〔文ヲ〕
 ・教室の使用許可(しようきょか)をもらいに行ったが、学校は許可することを渋って、いろいろと
  条件(じょうけん)を出してきた。       
<複合動詞:-しぶる>
[いいしぶる] 人ガ ものヲ
 ・母に結婚当時のことを聞こうとしたが、なぜか言い渋った。どうやら照れくさいらしい。
 ・彼が会社をやめた理由は聞き出せたが、そのあとの仕事については言い渋った。あまりまともな
  仕事ではなかったようだ。
    あと・返事・本心・本音・理由を
[だししぶる] 人ガ ものヲ 
 ・どうせ悪いことでもうけたお金なのだから、そんなに出ししぶらないで、どんどん使いなさいよ。
 ・政府がこの問題に関する情報を出し渋っているのはなぜか。何かやましいことがあるのか。
      お金・募金・資料・文書・情報・肌を

てれる(照れる)  一(てれない・てれます・てれて・てれれば)
[1]〔人ガ〕
 △てれがちだ  てれてしまう  てれなくてもいい  てれないようにする  てれるな!
 △[少し/とても/非常に/盛(さか)んに/つい/いささか/柄(がら)にもなく]~。
 ・デートしている時に友だちにぐうぜん出会って、どうにも照れてしまって困った。
 ・美人のアナウンサーにインタビューされて、中学生の男の子が照れている。
  ・柄にもなく、何をそんなに照れているの? 
  ・授賞式(じゅしょうしき)の時、人前(ひとまえ)でほめられたことがないので、照れてしまった。
  ・結婚(けっこん)式では堂々(どうどう)としていなさい。変に照れたようすを見せるとおかしいよ。

ひかえる(控える)  一(ひかえない・ひかえます・ひかえて・ひかえれば・ひかえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ひかえたい  ひかえてほしい  ひかえておく  ひかえなければならない  
  ひかえようとおもう  ひかえさせる  ひかえさせられる  ひかえろ!
 △[少し/いくらか/ずっと/さすがに/やはり/いくらなんでも/ぜったい]~。
  △[塩分(えんぶん)/甘(あま)いもの/酒/アルコール/たばこ/外食(がいしょく)]を~。
  [報道(ほうどう)/発言(はつげん)/外出/使用(しよう)/むだづかい]を~。
  ・健康(けんこう)のため、塩分を控えた食事をするようにしている。
 ・あなたねえ、もうちょっとアルコールを控えたほうがいいと思うよ。
 ・偉い人の前では、言葉(ことば)を控えなさい。
  ・いたずらっ子も、恐いおじいさんの前では悪さを控えていた。
〔文ヲ〕    
 ・主賓(しゅひん)が来るまで食べ始めるのを控えていた。
 ・もう少しお酒を飲むのを控えないと、肝臓(かんぞう)を悪くする。
 ・言いたいことがあったが、言うのを控えた。
  ・この件(けん)について、各社は協定(きょうてい)して報道(ほうどう)することを控えていた。
<複合動詞:-ひかえる>
[さしひかえる] 人ガ ものヲ 
 ・これからはお酒は差しひかえたほうがいいでしょう。
 ・この件に関しては、意見や問い合わせは差しひかえてください。
      引用・援助・活動・発言・好評・選択・立ち上げ・断定を

ひがむ(僻む)  五(ひがまない・ひがみます・ひがんで・ひがめば)
[1]〔人ガ〕
 △ひがみがちだ  ひがんでしまう  ひがんではいけない  ひがまないようにする
 △[少し/ちょっと/かなり/そうとう/ひどく/妙(みょう)に/生まれつき]ひがんでいる
  △[性格(せいかく)/心/気持ち/考え方/ものの見方]が~。
  ・声をかけてもらえなかったくらいで、そうひがむなよ。
 ・お姉(ねえ)ちゃんにだけあげると、下の子がひがむかなあ。
  ・繰り返し差別(さべつ)を受けていると、だんだん心がひがんでくる。
  ・お前、考え方がひがんでないか? 
 ・職場(しょくば)で意地悪(いじわる)されても、ひがまないでしっかり仕事をしていこう。

ひねくれる(捻くれる)  一(ひねくれない・ひねくれます・ひねくれて・ひねくれれば)
[1]〔人ガ〕
 △ひねくれてしまう  ひねくれてはいけない  ひねくれないようにする  ひねくれさせる
 △[少し/ちょっと/かなり/そうとう/ひどく/妙(みょう)に/生まれつき]ひねくれている
  △[性格(せいかく)/考え方/ものの見方/しゃべり方/態度(たいど)]が~。
  ・私は小さい時から性格がひねくれていると言われてきた。そう言われ続けてきたから、性格がひ
  ねくれてしまったんだと、最近は考えている。
 ・私はあんまりまっすぐ、まじめな人は苦手で、ちょっとひねくれた人と話が合いますね。
  ・「どうしてお前はそんなひねくれた考え方をするのかねえ」と私が言うと、「親に似たんだよ」
  と息子(むすこ)が言う。まあ、しかたがないか。 

ふける(耽る)  五(ふけらない・ふけります・ふけって・ふければ)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △ふけりたい  ふけってはいけない  ふけらないようにする  ふけるな!
 △[ゆったりと/のんびりと/深く/ずぶずぶと/心おきなく/とめどもなく]~。
  △[読書/物思(ものおも)い/思い出/空想(くうそう)/感慨(かんがい)/感傷(かんしょう)/妄
   想(もうそう)/酒食(しゅしょく)/快楽(かいらく)/情事(じょうじ)]に~。
 ・軽く酒を飲みながらあれこれと空想に耽るのが、土曜の夜の私の楽しみだ。
  ・仕事が忙しくなり、ゆったりと読書に耽るなどという時間はとれなくなった。
 ・ふと、物思いにふけりたくなるような秋の夜、あなたに送る一曲です。
  ・顧(かえり)みれば、酒食と快楽にふけってきた人生だった。後悔(こうかい)はない。

[あまんじる]  人ガ ものニ
 ・与えられた役割に甘んじて、上を目指さない人が多い。
 ・決勝で敗れ、惜しくも二位に甘んじた。
 ・今の境遇に甘んじていてはいけない。夢を持て。
   ひどい待遇・脇役・薄給・現状・現在の立場・下請け・搾取・次点・三位・最下位に
[ありがたがる]  人ガ (ものヲ)
 ・大したことではないのに、彼らはずいぶんありがたがっていた。
  ・そんなにありがたがられると、かえってこちらが恐縮してしまいますよ。
[いれこむ] 人ガ ものニ
 ・山田さんはこの仕事にかなり入れこんでいますね。(=いっしょうけんめいやっている)
 ・実現の可能性が低い計画にあんまり入れ込むと、ダメだったときにがっくり来るよ。
[うなだれる]  人ガ (ものヲ)
  犬は首をうなだれてじっとしたままだった。
  ほら、うなだれていないで、元気出せ!
[うろたえる]  人ガ
 ・このぐらいのことでうろたえるな。
 ・みんなうろたえてしまって、何もできなかった。
[うわつく]  人・ものガ 
 ・浮ついた考え方では何もできない。
 ・最近、浮ついているぞ。しっかりしろ。
[おしがる]  人ガ ものヲ
  失敗を惜しがっていると、次の仕事に集中できない。
  監督は2点目の失点を惜しがった。
[おっくうがる]  人ガ ものヲ
 ・おっくうがっていないで、散歩でもしてきなよ。
 ・片付けをおっくうがっていたら、机の上はゴミの山になった。
[おどける]  人ガ
 ・おどけた顔をして、子供を笑わせようとした。
 ・おどけてばかりいると、そういうヤツだと思われてしまうよ。
[おとなびる]  人ガ
 ・大人びた子供はどうも好きになれない。
 ・大人びた話し方をする子だね。
[かっきづく]  ものガ
 ・株価の上昇で市場は活気づいていた。
 ・世論がもう少し活気づかないと成功しない。
[かられる]  人ガ ものニ
 ・ノーベル賞を取りたいという強い思いに駆られて物理学の勉強を始めた。
 ・衝動に駆られ、犯罪を犯してしまった。
[くいいる] 人ガ
 ・人々はニュースの映像を食い入るように見つめていた。
 ・食い入るような目で見つめられ、思わず目をそらした。
[けむたがる]  人ガ もの・人ヲ
 ・ウナギを焼く煙を煙たがる人と、いいにおいだと喜ぶ人がいる。
  ・田中主任は、主任のやり方に批判的な三木さんを煙たがっている。
[ごねる]  人ガ
 ・あれこれごねてみたが、我々の言い分は通らなかった。
 ・つまらないことでごねるな。
[さびしがる]  人ガ
  ・娘が結婚するからって、そんなに寂しがるなよ。
 ・留学中の娘が寂しがらないようにメールをたくさん出した。
[しらける]  人ガ
 ・酒の席でそんなまじめな話をされるとしらけるよ。
 ・みんなが楽しんでいるときに人をしらけさせるようなことを言いたがる人がいる。私だ。
 ・今の若い人は情熱を持たず、しらけた人が多いと言われる。
[じらす]  人ガ 人ヲ
 ・人をじらして楽しむなんて、悪趣味だよ。
 ・じらされていらいらしてきた。
[すねる]  人ガ 
  ・ちょっと叱ったら、小さな娘はすねて部屋に閉じこもってしまった。
 ・いい年をしたおばさんがすねても、かわいくないよ。
[たじろぐ]  人ガ ものニ
 ・相手の迫力にたじろいでしまった。
 ・ どんな相手が出てきてもたじろがないように気力を養わないと。
  ・直面する困難の大きさにたじろいでしまいそうだ。
[だらける]  人ガ 
 ・だらけた態度で練習をしていたので、厳しく注意した。
 ・暑いからと行って、だらけた服装をしてはいけない。
[つよがる]  人ガ 
 ・強がるのはよせよ、と笑われた。
 ・泣きそうになりながらも強がってみせる子どもがかわいい。
 ・強がってもしょせんは女、たいしたことはないさ。
[とりすます]  人ガ                   スマスはない?
 ・あの奥さんの取り澄ました態度はなんなんだろう。私をバカにしているのか?
 ・今の庶民的な女優もいいが、昔の取り澄ましたような美しさを持った女優はよかった。
      ~た美しさ・顔・口調・女優 つんと・ひどく・高慢ちきに~態度・表情
[のめりこむ] 人ガ ものニ 
 ・むかしの井戸だった穴をのぞき込んでいて、中にのめりこみそうになった。
 ・夫がもうけの少ない仕事にのめりこんでしまって、妻は困っている。
   趣味・道楽・快楽の 世界に ゲーム・ネット・サークル活動に 悪の道に 
 (「のめる」はあまり使われない動詞)
[はばかる]  人ガ ものヲ/文ヲ
 ・その先生は、辺りをはばかることなく、大きな声で話し続けた。
  ・関係者の前であることをはばかって、当たり障りのない話に終始した。
      人目・外聞・他聞を
[ひらきなおる] 人ガ 
 ・一勝三敗、あと一つ負ければ終わりだ。こうなったら、開き直っていこう。
 ・人間、開き直ると何か道が見つかるものだ。
      半ば すっかり にわかに せっぱ詰まって  ~た態度・顔つき・口調
[ふてくされる] 人ガ 
 ・コーチに嫌みを言われたぐらいでふてくされるな。結果を出して見返してやれ。
 ・家内に叱られた娘は、しばらくふてくされていたようだが、夕食のいい匂いにつられて部屋から
  出てきた。
   ~(ような)顔つき・気持ち・声・少年・そぶり・態度・ものの言いかた
[ほうっておく]  人ガ 人・ものヲ
 ・宿題を放っておいて遊びに行った。さすが我が子だ。
  ・私のことは放っておいてくれ。
 ・そんなやつ、放っておけよ。
[執着(しゅうちゃく)する]  人ガ ものニ
 ・政治家が地位に執着するのはいつものことだが、まったく見苦しい。
 ・どうしてそこまでこの家に執着するんですか。新しく建て直しましょうよ。
[着目(ちゃくもく)する]  人ガ ものニ
 ・私は以前からこの選手の将来性に着目していました。
 ・今後の日本経済はどのような点に着目すべきですか。
[注目(ちゅうもく)する]  人ガ 人・ものニ
  ・古い人はだめなので、最近は新人に注目している。
 ・みなが彼女の作品に注目している。
[熱中(ねっちゅう)する]  人ガ ものニ
 ・ゲームに熱中(を)する子供たちを見て、日本の将来を危ぶんでしまう私は古いのか。
 ・姉はいろんなことにすぐ熱中し、すぐ冷めてしまう。

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