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              ◇精 神◇
 
       [1] 思う・考える   
       [2] わかる・知る   
       [3] 覚える・忘れる・思い出す    
      [4] 調べる・測る・試す   
       [5] 探す・見つける   
      [6]  比べる   
       [7]  選ぶ・迷う・決める・定める・限る  
       [8]  解く・間違う   
       [9]  認める   
       [10] 信じる・疑う    
      [11] 願う・望む・祈る  
       [12] 志す・求める    
     [13] 図る・企てる    
     [14] 勉強する・学ぶ   
     [15] がんばる・耐える   
     [16] 怠ける・諦める    
     [17] 誇る・威張る    
     [18] その他:態度      
 
    精神の働きを表す動詞で、もっとも基本的なものは「思う」である。
    「思う」は精神の働きそのものである。「我思うゆえに、我有り」cogito ergo sum.
    精神の働きには、「思考」「記憶」「決定」「信・疑」などがある。
    精神の働きの一つは、何か問題があるときに、その問題を解決しようとすることである。
   これは、生物としての人間の生き方の基本である。
    そのための知的な働きが「考える」である。考えた結果、問題の答え、あるいは解決の
   方法が「わかる」場合もあり、知識として「知る」場合もある。
    得られた知識は、頭の中に保存する、すなわち「覚える」のだが、「忘れる」こともあり、
   また「思い出す」こともある。
    考えるために、また知識を得るために「調べる」「比べる」「探す」などの精神を使った
   行動があり、その結果、問題の答えあるいは解決への方法を「見つける」こともある。
    精神のもう一つの重要な働きは、判断し、決定することである。
    いくつかの可能性から「選ぶ」必要があり、「迷う」こともあるが、何かを「決める」。
    精神の働きを表す動詞は、その内容を示す引用節または名詞節をとり、複文となることが
   多い。

 
              ◇精 神  1◇
 
 [1] 思う・考える

    思う    思い上がる 思い当たる 思いあまる 思い至る 思い浮かぶ 思い浮かべる   
          思い描く 思い起こす 思い返す 思い切る 思い込む 思い知る 思い出す
          思い立つ 思いつく 思い詰める 思い通す 思いとどまる 思い直す 思い悩む
          思い残す 思いまどう 思い乱れる 思いめぐらす 思いやる 思い煩う
    考える  考え合わせる 考え込む 考え出す 考えつく 考え直す 考え抜く  ひらめく
          意図する 企画する 空想する 工夫する 計画する 研究する 検討する
          構想する 考慮する 思考する 推測する 推定する 推理する 設計する
             想像する 想定する 探求・探究する 発想する 発明する  判断する
          予感する 予期する 予想する 予測する 予知する 楽観する 類推する 連想する

 [2] わかる・知る

    わかる   分かり合う 分かりかねる 分かり切る  飲み込む 見抜く 見破る 読み解く 
            読みとる 解釈する 自覚する 承知する 精通する 納得する 発覚する
            判明する 理解する 了解する
    知る    知り合う 知り尽くす 知り抜く  見知る
    知れる  知れ渡る
    存じる   存じ上げる
    わきまえる  悟る
    気づく   察する

 [3] 覚える・忘れる・思い出す

    覚える  覚え込む 覚え損ねる  聞き覚える 畳み込む  暗記する 記憶する     
     忘れる  忘れかける 忘れ去る 忘れ果てる  言い忘れる  書き忘れる 置き忘れる
           言い落とす 言い漏らす 付け落とす
    思い出す   回想する

   

[1] 思う・考える
  「思う」は、精神の働きを表す動詞で、もっとも基本的なものである。「思う」は精神の働きが存
在するということそのものを表す。「考える」と対立して思考の内容を主観的に示すとともに、希望
や意志、さらには感覚・感情を表す表現にも使われる。
 「考える」は、「思う」と対立して、より客観的、論理的な思考の存在を示す。

◇おもう
  「思う」は、心を働かせ、物事について直感的またはその状況での判断をすることを示す。その判
断を自分の意見として示す。文相当の内容を受け、「~と」の形で判断の内容を示す。ただし、述語
の丁寧形は受けない。過去形「~と思った」は、その時点での判断の報告になる。
   人ガ 文ト 思う
     これがいいと思う  この計画はむりだと思う  ここにある(だろう)と思う
    やってもいいと思った  こうなるとは思っていなかった
 また、自分の感覚や感情、主観的な気持ちの表現などを、「~と思う」の形で示して、そういう心
の状態であることを表す。
    暑いと思う  悲しいと思う  行きたいと思う
    やめよう(か)と思う    二度と行くまいと思う
 「~と思う」をつけない形、「暑い」「悲しい」「行きたい」「やめよう」は、その時の話し手の気
持ちの直接的な表出である。それに「~と思う」をつけることは、自分の心の状態を一度ことばにま
とめた形にしてから相手に提示することになり、幾分か落ち着いた表現になる。
 「~と思う」は、文末に置かれて、話し手のその時の判断を示す。第三者の判断を叙述するには、
「-ている」の形で示されるのが一般的である。(小説などを除く)
    (私は)それでいいと思う   彼はそれでいいと思っている
 ある名詞に対する判断を表す場合、その名詞をヲ格にとって、述語で判断を示すこともできる。
   人ガ ものヲ 述語-ト 思う  (名詞(だ)/ナ形容詞/イ形容詞)
    彼の行動を はったりだ・非常識だ・ずるい と思う
    あの計画を無謀な計画だったと思う人がいる  (=あの計画は無謀な計画だったと~)
    この料理をおいしくないと思う人 
 イ形容詞の述語は「-く」、ナ形容詞は「-に」の形をとることもできる。
    親切を煩わしく思う  忠告を迷惑に思う
  名詞述語の場合、「-だ」を省略することができる。
    その男を外国人(だ)と思った  
  「思う」は、以上のように文または述語を「と」で受ける用法が基本的な用法であるが、ヲ格の名
詞をとる用法もある。特定の人・もののことを、何らかの深みのある感情を込めて心に浮かべること
を表す。「~のこと」という形がよく使われる。
   人ガ 人・もの(のこと)ヲ 思う
    ふるさとを思う  あの人のことを思う
・複合動詞:「おもい-」の形のものが非常に多い。
 頭の中から何かが出る/出す
 「思い浮かぶ」は、それが心の中に出てくること。
 「思い浮かべる」は、思い出して心の中に描くこと。
 「思い描く」は、その情景を心の中で想像してみること。
 「思い起こす」は、記憶を探るようにして思い出すこと。
 「思い出す」は、意識になかった過去のこと、特に忘れていたことを心に呼び出すこと。
 ちょうど適当な考え
 「思い当たる」は、ある問題を考えているときに、ああこれか、と気づくこと。ニ格をとる。
 「思い至る」は、いろいろ考えて、そこに考えが及ぶこと。ニ格をとる。
 「思いつく」は、ある考えが頭に浮かぶこと。
 「思い立つ」は、あることをしようという考えを起こすこと。
 考えを決めようとする
 「思い切る」は、いろいろな思いを断ち切って、あきらめること、決心すること。
 「思い返す」は、過ぎ去ったこと、一度決めたことを改めて考えること。
 「思いとどまる」は、しようと思ったことを考え直してやめること。
 「思い直す」は、一度決めた考えを変えること。
 「思い残す」は、したかったことが十分できず、後で気になること。
 考えが決まらず、困る
 「思いあまる」は、悩みなどを一人で考えて、解決できず、困ること。
 「思い詰める」は、あることばかり考えて悩み、ほかのことが考えられなくなること。
 「思い悩む」は、問題の解決法が考えても見つからず、悩むこと。
 「思いまどう」は、どうしていいかわからず、迷うこと。
 「思い乱れる」は、いろいろ考えが浮かぶが決められず、混乱すること。
 「思い煩う」は、あれこれ考えて悩むこと。 
 その他
  「思い上がる」は、実際より自分を偉い、有能なものと思うこと。
 「思い込む」は、心の底までそう思うこと。一つのことを強く思ったり、根拠もないのにそう思っ
  たりすること。
 「思い知る」は、経験したりして、身にしみて深くわかること。
 「思い通す」は、ある思いをずっと持っていること。特に、恋心を持ち続けること。
 「思いめぐらす」は、過去のことやこれからのことなどをあれこれ考えること。
 「思いやる」は、遠く離れている人・もののことを考えること。人の気持ちをよく考えて、その人
  によいように行動すること。自発形「思いやられる」の形で、そのことが心配になること。
◇かんがえる
 「考える」は、「思う」に近い意味を表すが、知的に頭を使って問題を解決したり、新しい物事の
内容を作ったりする創造的な頭の働きを表す点で「思う」とは違う。逆に、感覚や感情を表すには「思
う」のほうが適切な表現となる。
   人ガ ものヲ 考える
    数学の問題を考える    計画・費用・危険性を 考える
    いい方法・新しいやり方を 考える
 文相当の内容を受け、「~と」の形で内容を示す。この文型では「思う」とかなり近いが、自分の
意見の表明としては少し改まった表現になる。
   人ガ 文ト 考える
    どうにかなると考えた      こうなるとは考えていなかった
    これが優れていると考える  これではむりだと考えます
 判断の対象となる名詞をヲ格にとる文型もある。
   人ガ ものヲ 述語-ト 考える
    その計画を無謀だと考える 
  感覚や感情の表現としては使いにくい。
    ?おいしいと考える      ?悲しいと考える 
  ただし、希望・意志などの表現としては使うことができる。やや改まった表現。
    参加したいと考えます   試験を受けてみよう(か)と考えている
・疑問文と「思う」「考える」
 「思う」は、意志と修辞的疑問、あるいは軽い疑いに使われる「か」しか受けられない。
    しようかと思う  するのではないかと思う   やめるべきだったかと思う
    これでいいのか、と思う(いや、よくない)
 「考える」は、上の例の外、一般の疑問文を受けることができる。これらでは「思う」は使えない。
    しようかと考える  するのではないかと考える   やめるべきだったかと考える(○思う)
    いつ行くか考える  行くかどうか(を)考える  甲か乙か(と)考える      (×思う)
・複合動詞は「かんがえ-」の形のものがある。
 「考え合わせる」は、その問題を解くために、他の問題のことを同時に考えること。
 「考え込む」は、その一つのことを考えることに集中し、ほかのことを忘れること。
 「考え出す」は、考えて新しいやり方、ものなどを生み出すこと。また、考え始めること。
 「考えつく」は、(考えた結果)ある考えが頭に浮かぶこと。
 「考え直す」は、もう一度考えること。考えを変えること。
 「考え抜く」は、途中でやめずにどこまでも考え続けること。
◇ひらめく
 「ひらめく」は、よい考えなどが瞬間的に思い浮かぶこと。
      ものガ (ものニ) ひらめく
    答えが頭にひらめく  アイデアがひらめく
◇スル動詞:類義の漢語スル動詞が数多くある。
・基本的な考え、また、新しい考えを生むこと 
 「思考する」は、落ち着いて、ゆっくり論理的に考えること。 
 「発想する」は、その問題について新しい考えを得ること。 
 「発明する」は、今までになかったものを新しく考え出すこと。 
・全体を考える
  「計画する」は、あることを行うために、あらかじめその手順・方法などを考えること。
 「設計する」は、建築・土木工事や機械製作の計画を図面などで具体化すること。ひゆ的に、個人
  の人生の計画などを考えること。 
 「企画する」は、事業・イベントなどの計画を考えること。 
 「構想する」は、これからする物事の全体的な構成、実行の手順などを考え、まとめること。
・目的を意識して考える
 「意図する」は、何か目的があって、特にそうしようと考えること。
 「工夫する」は、あれこれと考え、よいやり方でよい結果を得ようとすること。
 「検討する」は、問題の内容・対処などについて、いろいろな面からよく調べ、考えること。
 「考慮する」は、ある物事について、関連するさまざまな条件や要素を合わせて考えること。
・事実とは別の頭の中の考え
 「想像する」は、実際に見たことのない物事について、多分こうだろうと頭の中で考えること。
 「空想する」は、現実にはあり得ない、できないことを頭の中だけで考えてみること。 
 「連想する」は、一つの考え・物事に伴って、それとの関連で別の考え・物事を思うこと。
 「類推する」は、ある物事と似た点をもとにして、他の物事がどのようなものか考えること。
・将来のことに対する考え
 「予感する」は、あることが起こることを、前もって何となく感じること。 
 「予期する」は、何かが起こることを前もって推測し、期待したり覚悟したりすること。
 「予想する」は、物事の成り行きや結果を前もってこうだろうと考えること。 
 「予測する」は、将来どうなるかを、得られた情報などに基づいて考えること。 
 「予知する」は、将来のことを前もって知ること。特に自然の異変などを知ること。
 「楽観する」は、物事がうまくいくだろうと考えて心配しないこと。  
・より深く考える
 「研究する」は、問題になる事柄をよく調べ、事実を明らかにしたり、深く考えたりすること。 
 「探究する」は、物事の深い意味や本質などを探り、明らかにしようとすること。
・推測や判断に関するもの
  「推測する」は、情報・知識に基づいて、ある事柄がたぶんこうであろうと考えること。
  「推定する」は、周囲の状況やその他の情報から、ある事柄がこうであろうと判断すること。
 「推理する」は、既知の事実や経験に基づいて、未知の事柄を(論理的に)判断すること。
 「想定する」は、ある条件・状況などを仮に考えてみること。
 「判断する」は、ある基準・論理・情報などに基づいて、物事の是非や真偽、価値、内容などにつ
  いて、自分の考えを決めること。


おもう(思う・想う)五(おもわない・おもいます・おもって・おもえば・おもおう)
[1]〔人ガ 文ト〕  
 △(~と)思いかける  思ってはいけない  思ってしまう  思ってもみなかった 
  思わせる  思われる  思わせられる  思おうとする  思うな!
 △[ぼんやりと/何となく/特に理由もなく/心の底(そこ)から/強く/ふと]~。
 △[面白い/さむい/きれいだ/わからない/大丈夫(だいじょうぶ)だろう/行こう]と~。
 ・これはまちがいだと思います。このやり方では絶対(ぜったい)にむりだと思うんです。
 ・父は8時ごろまでには帰ると思いますが、、、。
 ・私は悪いことをしたとは思っていません。あなたはどうしてそう思うんですか。
 ・まあ、すんでしまったことはしかたがないと思いなさい。
 ・私は日本に留学しようと思います。難しいことですが、がんばれば、大丈夫だろうと思います。
 ・A:卒業(そつぎょう)してからどうするつもりですか。
  B:親と相談(そうだん)しなければならないのですが、外国の大学院に留学しようと思っています。
 ・けさは死ぬほどの二日酔(ふつかよ)いだった。もう、お酒は飲むまいと思った。
 ・二度とあの人からお金をかりるまいと思う。
 ・これ以上食べるまいと思うのだがつい食べてしまう。
 ・だめだろうとは思っていたが、こんなにひどく負けるとは思っても見なかった。
 ・私は優勝(ゆうしょう)する気がないとみんなには思わせておいたが、実はねらっていたのだ。
 ・発表(はっぴょう)の後、きびしく批判(ひはん)されて、つくづく勉強がたりないと思わせられた。
 ・これでいいのだと思おうとしたが、やはり私にはそう思えなかった。
 ・人類(じんるい)の歴史(れきし)は、おおむね、よりよい方へ進んでいると思われる。
 ・食わせてやっているんだから、ありがたいと思え! 
〔文かト〕
 ・午後はさんぽにでも行こうかと思っています。
 ・雪山(ゆきやま)で道に迷(まよ)ったことがある。あのときは、もうだめかと思った。
 ・事故(じこ)の報告書には反省(はんせい)のあとが見られない。こんなことでいいのかと思う。
 ・私は、人類(じんるい)は遠からず滅(ほろ)びるのではないかと思っている。 
[2]〔人ガ 人・もの(のこと)ヲ〕
 △[ふるさと/国の母/別れてきた友だち/残してきた子ども](のこと)を~。
 ・彼女のことを思うと夜も眠れない。
 ・勝ったときの歓(よろこ)びを思って、苦しい練習に励(はげ)んだ。
 ・強いチームと戦ってみて、つくづく実力(じつりょく)の違(ちが)いを思わされた。
 ・俺(おれ)のことをひどい男だなんて、そんなふうに思うなよ。たしかに、だらしない男だけど。
 ・お金のない人のことを思って、やすい旅行(りょこう)を計画(けいかく)した。
 ・お母さんのいない人のことを思って、「母の日」の話をしないようにした。
 ・ふるさとは遠くにありて思うもの そして悲しくうたうもの (室生犀星)

[3]〔人ガ 人・もの(のこと)ヲ もの(だ)/イ形容詞/ナ形容詞 ト〕
 ・落ちていた木の枝(えだ)をヘビだと思って、大げさにこわがってしまった。
 ・子どものころ、月と星を天の穴(あな)だと思っていた。
 ・小さいとき、父のことを何でもできる、すごい人だと思っていた。
 ・私のほうは、彼のことを何でも話せる親友(しんゆう)と思っていたが、彼のほうでは私のことを
  そうは思っていなかったようだ。
 ・私は、こういう時に現れる、人々の助け合いの心を本当に大切だと思っている。
 ・都会に出て50年になるが、いまだにふるさとを懐(なつ)かしいと思う。
〔ものヲ ナ形容詞-に〕
 ・親が残してくれた、この近所の昔の写真を貴重(きちょう)に思い始めた。(貴重だと)
〔ものヲ イ形容詞-く〕
 ・私は、兄弟(きょうだい)がいないことを前からさびしく思っている。(さびしいと)

<複合動詞:おもい->
[おもいあがる] 人ガ
 ・どうやら私は思い上がっていたようだ。彼女にそれを指摘されて、やっとわかった。
 ・たしかに彼は能力があるかもしれないが、あの思い上がった態度が気にくわない。
   育ちを鼻にかけて~ている  ~た男・気持ち・態度・物腰・不遜な言葉
[おもいあたる] 人ガ ものニ (文ト)
 ・長く生きていると、暮らしの中の伝統的な慣習の意味にいろいろ思い当たることが多くなった。
 ・ゆうべ妻の気に障るようなことを言ったらしいが、特に思い当たることはない。
   用件・真意・自分の幼さに 今になって はたと はっと ふと ~節がある
[おもいあまる] 人ガ
 ・彼は自分の責任を感じ、思い余って自殺しようとしたらしい。
 ・彼女はずっと一人で悩んでいたが、とうとう思いあまって我々に相談しにきたそうだ。
   ~て言う・意見をする・訴える・相談する・尋ねる (「~て」の形で使われる)
[おもいいたる] 人ガ もの・文ニ
 ・忙しくて、そんな細かいことにまで思い至らなかった。
 ・私の言葉が子供の気持ちをそんなに傷付けていたということには、当時は思い至らなかった。
   考え・自分の使命・事態の深刻さ・問題の本質・我が身の不明に
[おもいうかぶ] ものガ
 ・彼に「誰かいい人いないかなあ」と聞かれたとき、あなたの顔が思い浮かんだんです。
 ・その絵を見たとき、頭の中に私のふるさとの街並みがはっきりと思い浮かんだ。
   面影・顔・情景・様子が 頭・心・脳裏に まざまざと はっきりと
[おもいうかべる] 人ガ ものヲ
 ・故郷の山や川を思いうかべて、なつかしく思う。
 ・子供のころ見ていた父の顔を思いうかべ、今の鏡の中の自分と似ていると思う。
   有様・一日の出来事・イメージ・笑顔・幼い日・面影・光景を 鮮やかに
[おもいえがく] 人ガ ものヲ
 ・20年後の自分と、家族の生活を思いえがいてみた。
 ・縄文時代の人々はどんな生活をしていたのか。その時のようすを心に思いえがく。
   顔・暮らし・結果・光景・情景・姿・場面・様子を 頭・心・胸に 懐かしく
[おもいおこす] 人ガ ものヲ
 ・もう一度、この計画を始めたときの我々の気持ちを思いおこしてみよう。
 ・思いおこせば、この10年、世界では多くの災害、戦争で人が死んでいった。
   幼い頃・面影・会話・過去・感触・記憶・教訓・苦しみ・言葉をまざまざと
[おもいかえす] 人ガ ものヲ
 ・自分のしたことを思い返してみた。何が悪かったのだろうか。
 ・思い返せば、私がこの会社に入ってから、今日で40年になります。
   苦しさ・言動・細部・生涯・前夜の出来事・当時・昔・やりとりを 生々しく
[おもいきる] 人ガ ものヲ
 ・子供のころからの夢を思い切って、父の仕事を継ぐことに決めた。
 ・「私はこの家を出ます」姉は思いきったように、父に向かって言った。
   恋を ひと思いに きっぱりと ~た改革・決断・対策・手 ~て実行する
[おもいこむ] 人ガ (ものヲ) 文ト
 ・人は、一度思いこむとそれ以外の可能性が考えられなくなる。
 ・庭に落ちていたなわをヘビだと思い込んで、悲鳴を上げてしまった。
 ・なぜか今日は休みだと思いこんでいたら、電話で呼び出された。
 ・私は、自分は母に愛されていないのだと思いこんでいた。
   頭から 本気で 一途に かってに すっかり てっきり 自分を神と
[おもいしる] 人ガ ものヲ
 ・その時、私は自分の無能力さを思い知った。
 ・この告訴状を読めば、彼らも我々の怒りの深さを思い知るだろう。
 ・今回の試合で実力の差を思い知らされた。
   偉大さ・苦労・世間知らず・冷たさ・難しさを 骨の髄まで つくづく
   ~せる:恨み・格差を ~される:恐さ・弱さを 痛い・嫌というほど 改めて
[おもいだす] 人ガ ものヲ/文ヲ
 ・最近、昔のことを思い出すことが多くなった。年をとったせいだろうか。
 ・その街に住んでいたこと、そこであったことを思い出せなくなった。
 ・思い出してごらん 五つの頃を 涙流していた 五つの頃を (中島みゆき)
   悪夢・幼い日・急用・死んだ妻・手触り・当時・ときめきを 克明に 切なく
[おもいたつ] 人ガ ものヲ/文ト 
 ・何事も、思い立った時が始めるのにいちばんいい時だと言う。
 ・同じ事故がまた起こったとき、もう一度調査をやり直してみようと思い立ったのです。
   旅・突如帰国・リフォーム・転職を 急に ~たが吉日 
[おもいつく] 人ガ もの・文ヲ
 ・新しいやり方を思いついた。
 ・別の道をためしてみることを思いついた。
   アイデア・いい方法・題名・トリック・妙案を とっさに ふと ~ままに
[おもいつめる] 人ガ 
 ・あれぐらいの失敗のことで、あまり思いつめない方がいい。
 ・入学試験に失敗したので、思い詰めて自殺したそうだ。
 ・中西は恋人に「わかれましょう」と言われ、いま思い詰めている。
   一途に かなり ~た顔・表情・様子 ~たようなまなざし  
[おもいとおす] 人ガ 人ヲ
 ・その時以来、一郎は彼女のことを一生思い通し、それを誰にも言わずに死んだ。
[おもいとどまる] 人ガ ものヲ (文ト)
 ・銀行で金を振り込もうとして、「もしかして、詐欺ではないか」と思いとどまった。
 ・一時は辞職することも考えたが、同僚に引き留められ、かろうじて思いとどまった。
      帰国・計画・行動・死・辞職・退学・離婚を かろうじて 何とか
[おもいなおす] 人ガ 文ト/ヲ
 ・もしかすると、私の言い方が悪かったのかな、と思いなおし、彼に電話して謝った。
 ・大学をやめてプロになろうかと思ったが、思い直して卒業することにした。
 ・死ぬのを思い直し、もう一度やり直してみようと思った。
   事件を すぐに その都度  ~して進学する
[おもいなやむ] 人ガ 
 ・彼、最近何か思い悩んでいるみたいだよ。
   ひそかに あれこれ いろいろと ぐずぐずと くよくよと さんざん
[おもいのこす] 人ガ ものヲ
 ・やるだけのことはやった。もう思い残すことはない。
 ・思い残すことと言えば、最後の試合でゴールを決められなかったことでしょうか。
[おもいまどう] 人ガ 文ト
 ・彼女との関係をどうしたらいいか、私は思い惑っていた。
 ・就職試験にすべて落ち、これからどうすればいいのかと思い惑う日々だった。
[おもいみだれる] 人ガ 文ト
 ・病気のことを家族に告げるべきか、告げるべきではないのか、思い乱れる日々だった。
 ・会社をクビになり、恋人にも去られ、千々に思い乱れて夜の町をさまよった。
[おもいめぐらす] 人ガ ものヲ
 ・子供のころのことをあれこれと思い巡らし、楽しいひと時を過ごした。
 ・仲間と始める店のことをあれこれ思いめぐらしていると、胸が膨らむ思いだ。
   運命・過去・計画を 先の先まで さまざまに あれやこれや
[おもいやる] 人ガ ものヲ (文ト)
 ・いつ、どんな時も相手の気持ちを思いやることが大切です。
 ・今頃は雪の中を進んでいるのだろうと、登山に行った息子のことを思いやっていた。
   夫・気苦労・気持ち・兄弟・心中・旅路・冬の厳しさ・胸の内・身の上を
[おもいわずらう] 人ガ ものヲ
 ・あれこれと明日のことを思い煩うのは意味のないことだ。
   明日を いろいろに あれこれと くよくよと とりとめもなく


かんがえる(考える)一(かんがえない・かんがえます・かんがえて・かんがえれば・かんが
    えよう)
[1]〔人ガ 人・もの(のこと)ヲ〕
 △かんがえがちだ  かんがえてみる  かんがえておく  かんがえてしまう
  かんがえたほうがいい  かんがえてはいけない  かんがえなければならない
  かんがえさせる  かんがえようと思う  かんがえろ!  かんがえられない
 △[いつも/ときどき/毎日/ずっと/長い間/深く/ぼんやり/何となく]~。
  [集中(しゅうちゅう)して/一生懸命(いっしょうけんめい)/できるだけ]~。
 △[問題(もんだい)/将来(しょうらい)のこと/うまい方法(ほうほう)]を~。
  [すばらしい計画(けいかく)/スケジュール/危険性(きけんせい)/案(あん)]を~。
 ・数学の有名な問題があり、私の先生はその問題をずっと考え続けている。
 ・考えれば考えるほどわからなくなるという場合もあるが、まあふつうは、考えたほうが先へ進む
  ことが多い。考える力を付けるには、何よりもまず、深く考えさせられるような問題を探して、
  それを考えてみることだ。
 ・話をする時は、あらかじめだいたいの内容を考えておくことにしている。何も考えないまま話し
  始めると、話がどこへ行くかわからない。
 ・新しい計画を考えているが、そのための資金(しきん)をどうするかも考えなくてはならない。
 ・あしたの結婚式(けっこんしき)のことを考えると、わくわくして眠れない。
 ・愛子はさいきん恋人(こいびと)のことばかり考えているようだ。
 ・じしんが来た時のことを考えて、水やしょくりょうを準備(じゅんび)しておいた方がいい。
 ・そのことはいつか時間をとって考えようと思っていたのですが、また考えていません。
 ・ちょっと考えたぐらいであきらめるな。もっとじっくり考えろ!  
〔文ヲ〕
  ・駅前に新しい店を出すことを考えているが、よい土地(とち)が見つからない。
 ・大西さんにもとけなかったことを考えると、この問題はそうとうむずかしいらしい。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・これでいいかどうか(を)もう一度考えてみてください。
 ・どうすればいいか、みんなで考えたが、けっきょく良い案(あん)は出なかった。
 ・いつにするか、だれがするか、どこでするか、じっくり考えよう。
[2]〔人ガ 文ト〕
 ・もっとあついだろうと考えていたが、それほどでもなかった。
 ・まったく、こんなひどいことになるとは、考えても見なかった。
 ・ちょっとむりがあると考えなかったわけではないが、みんな、なんとかなるだろうと無責任(む
  せきにん)に考えていたのだ。
 ・その火事の損害(そんがい)は1億(おく)円以上だと考えられている。
 ・来年こそはぜひ結婚(けっこん)しようと考えています。考えてはいますが、、、どうなるかは、
  わかりません。

<複合動詞:かんがえ->
[かんがえあわせる] 人ガ ものト ものヲ 
 ・前回と今回のデータを考え合わせると、結局システム全体の問題だということがわかります。
   事実・実状・その後の歩みを 両者を 背景と心境を いろいろと
[かんがえこむ] 人ガ ものヲ
 ・何をそんなに考えこんでいるのですか。
 ・私は、難しい問題にぶつかって、頭をかかえて考えこんでしまった。
   何か・方策を くよくよ じっと すっかり 長い間 ぼんやりと 深刻に
[かんがえだす] 人ガ ものヲ/文ヲ
 ・私はおふろで子どもを遊ばせている時、新しい商品を考え出した。
 ・小説家という人たちは、どうやってこんな奇妙なストーリーを考え出すのだろう。
 ・むかしの人々は自分たちで火を作ることを考え出した。
   解釈・金の出所・簡便な形・工夫・計画・計略・言葉・仕掛け・手段・商品を
   新兵器・つまらないもの・方法・話・様式・理由を 苦心の末に 次から次へと
[かんがえつく] 人ガ ものヲ
 ・いろいろ考えているうちに、新しい方法を考え付いた。
 ・ねぼうして遅れて会社に行く途中で、いい口実を考えついた。
 ・誰でも考えつくようなやり方ではだめだ。何かまったく新しいものを考え出さないと。
   一策・嘘・工夫・組み合わせ・口実・言葉・作戦・冗談・せりふ・方法・道を
[かんがえなおす] 人ガ ものヲ
 ・とちゅうでよく分からなくなったので、もう一度はじめから考えなおしてみた。
 ・学校をやめるのはかんたんだが、入るのは難しい。やめるのは考えなおした方がいいよ。
   原因・言葉・事実・心理・対策・物事・問題・権威・本質を 一から 再度
[かんがえぬく] 人ガ ものヲ
 ・難しい問題を考え抜き、解いたときの快感は何とも言えない。
 ・考え抜いた末の結論だったが、親に反対され、家を出た。
      意義・本質・問題を 必死で 考えに~ 自分なりに 周到に ~た計画


ひらめく(閃く)  五(ひらめかない・ひらめきます・ひらめいて・ひらめけば)
[1]〔ものガ (ものニ)〕
 △ひらめきかける  ひらめきそうだ  ひらめいてほしい  
 △[突然(とつぜん)/パッと/瞬間(しゅんかん)的に]~。
  ・彼はあるアイディアがひらめいた。
 ・彼女の心に、これでいけるかもしれない、という思いがひらめいた。
      

<スル動詞>
[意図(いと)する]  人・ものガ ものヲ
 ・今回の改革は明らかに基本的方針の大きな変更を意図している。
 ・中国政府の強硬な態度は何を意図したものなのか、慎重な分析が必要だ。
[企画(きかく)する]  人ガ ものヲ
 ・新入生の歓迎パーティーを企画しました。
 ・客を大勢集めるために、いろいろな催し物が企画されている。 
 [~の企画をする]
  ・地区のマラソン大会の企画をしています。
[空想(くうそう)する]  人ガ ものヲ
 ・ぼんやりと、いろいろなことを空想するのが楽しい。 
 ・小説家たちが百年前に空想したことが、かなり実現している。
[工夫(くふう)する]  人ガ ものヲ  ものニ?
  ・やり方をいろいろと工夫する。(やり方に工夫する)
  ・もっと見やすく、工夫して書きなさい。
  ・この機械は使いやすいように工夫してある。
[計画(けいかく)する]  人ガ ものヲ
  ・今、九州旅行を計画しています。
 [~の計画をする]
  ・来週、神戸で大きなイベントの計画をしています。
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・わが社は海外に支店を出すことを計画している。
[研究(けんきゅう)する]  人ガ ものヲ
  ・私は日本語の文法を研究しています。
 [~の研究をする]
  ・明治時代のことばの研究をしてみたい。
 〔人ガ 文か(どうか)(ヲ)〕
  ・どうすればよく眠れるか(を)研究する。
  ・このやり方でいいかどうか(を)もっとよく研究する必要がある。
[検討(けんとう)する]  人ガ ものヲ
  ・この計画を検討していただきたい。
 ・調査の内容を一つ一つ検討していかなければならない。
 [~の検討をする]
  ・では、実施案の検討をしましょう。
 〔人ガ 文か(どうか)(ヲ)〕
  ・委員会からの提案について、問題がないかどうか(を)検討します。
[構想(こうそう)する]  人ガ ものヲ
 ・前大統領は近代的な都市を構想し、実現しようとしたが、失敗した。
 ・人類の新しい未来を構想した、すばらしい文学が誕生した。
[考慮(こうりょ)する]  人ガ ものヲ
  ・事情/条件を考慮した上で、決定します。
 ・犯罪は、その時の社会的状況を考慮して分析しなければならない。
[思考(しこう)する]  人ガ ものヲ
 ・ただ考えるのではなく、科学的・論理的に思考することが重要だ。
 ・宇宙の構造について思考する動物は人間だけだ。
[推測(すいそく)する]  人ガ ものヲ
 ・選挙の結果を推測する。
 ・五十年後の日本の人口を推測する。
 [~の推測をする]
  ・選挙結果の推測をしてみたが、ずいぶん外れた。
 〔人ガ 文ヲ/ト〕
 ・20年後はどんな世界になっているか(を)推測してみた。
 ・たぶんそうなるだろうと推測していた。
[推定(すいてい)する]  人ガ ものヲ
 ・1年後の状況を推定するには、少なくとも次のデータが必要です。
 ・研究チームは、何らかの生物の存在を推定している。
 〔人ガ 文ヲ/ト〕 
 ・進化の分岐点は何億年前だったかを推定する。
 ・デモの参加者は三十万人に達したものと推定される。
[推理(すいり)する]  人ガ ものヲ            
 ・探偵小説は、犯人を推理する楽しみが何とも言えない。
 ・実験装置の中はどういう状態になったか(を)、推理してほしい。
 〔人ガ 文ト/文か(どうか)(ヲ)〕
  ・犯人はこの大学教授だと推理してみたんだが、どうかな。
 ・犯人はだれか、推理してみよう。
 [~の推理をする]
  ・みんなで犯人の推理をした。
[設計(せっけい)する]  人ガ ものヲ
 ・自分の家を自分で設計してみたいと思った。
  ・宇宙ロケットを設計するのが夢です。
 [~の設計をする]
  ・コンピュータの設計をするのが仕事です。
[想像(そうぞう)する]  人ガ ものヲ
  ・結婚は、あれこれ想像しているときが楽しい。
 ・子どもの時、想像した「将来の自分」と今の自分はどう違うだろうか。
 〔人ガ 文か(ヲ)/ト〕
 ・地球が温暖化するとどうなるか(を)想像してみた。
 ・20年前、「20年後、自分は何をしているだろうか」と想像した。
[想定(そうてい)する]  人ガ ものヲ
 ・起こりうる中でいちばん難しい状況を想定して、それに対する訓練を行う。
 ・あらゆる場合を想定して予め対策を立てる、と言うのは簡単だが、現実にはムリだ。
   実戦 いくつかの局面 事態 状況 突発事故を
 〔人ガ 文ヲ/ト〕 
 ・関東地方で大地震が起きることを想定する。
 ・有権者の4割が無党派だと想定して、選挙運動を行った。
[探求・探究(たんきゅう)する]  人ガ ものヲ
 ・世界の構造を探求する科学者になりたい。
 ・真理を探究するために人生を捧げた。
 [~の探求をする] 
  ・宇宙の探求をしたいと思って天文学者になった。
[発想(はっそう)する]  人ガ ものヲ
 ・まったく新しいことを発想するというのは、非常に困難なことだ。
 ・広告制作者として、人の常識的な発想を裏切るような非常識なものを発想していきたい。
[発明(はつめい)する]  人ガ ものヲ
 ・エジソンは多くのものを発明したことで有名です。
  ・人類は数々のすばらしい道具を発明してきた。
 [~の発明をする]
  ・新しい記憶装置の発明をした。
[判断(はんだん)する]  人ガ ものヲ
  ・データに基づいて相手チームの実力を判断する。
 〔人ガ 文ト/文か(どうか)(ヲ)〕
 ・委員会は報告書の内容に誤りがあると判断した。
 ・この絵が本物かどうか(を)、判断しなければならない。
[予感(よかん)する]  人ガ ものヲ
 ・彼の練習ぶりを見ていて、今年の活躍を予感した。
 ・その頃には、多くの人が敗戦を予感していたはずだ。
   活躍・危険・事態・事故・自殺・絶滅・迫り来る死・次の場面・出来事・敗戦・
   破滅・冬・未来・別れを  
 〔人ガ 文ヲ/ト〕
 ・私たちは別れなければならないことを予感していた。
 ・そろそろ母が来るんじゃないかと予感していたら、その日の午後、母がやってきた。
[予期(よき)する]  人ガ ものヲ
 ・彼女の参加はまったく予期していなかった。うれしい驚きだった。
 ・政府の回答は、予期していたとおりの回答だった。話にならない。
   異変・結末・答え・言葉・死・発覚・返事・訪問・申し出を 内心 半ば 
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・こういう結末になることはある程度予期していた。
 ・彼女がどう返事するかだいたい予期していたから、あまり驚かなかった。
[予想(よそう)する]  人ガ ものヲ
  ・試験問題をいろいろ予想するのだが、当たったことがない。
 ・野党の反論を予想して、対策を考えています。
 [~の予想をする]
  ・競馬の予想をするのだが、当たったためしがない。
[予測(よそく)する]  人ガ ものヲ
  ・地震の発生を予測することは、現在の科学でもまだ難しい。
 ・教授は、今後の展開をどう予測されますか。
   展開 近未来  時期 前途の困難 パターン 破滅 発病
 [~の予測をする]
  ・将来の予測をすることは難しい。
[予知(よち)する]  人ガ ものヲ
 ・地震が来るのを予知して異常な行動をとる動物があるそうだ。
 ・何百億円もかけて設備を作っても、地震を予知するのは難しいことらしい。
   運命・危険・死・死期・地震・破滅を 本能的に 悪いことが起こるのを
[楽観(らっかん)する]  人ガ ものヲ
 ・弟は、自分の将来については楽観しているようだ。
 ・政府は少子化問題を楽観していたが、そのツケが今回ってきているのだ。
   事態を 根拠もなく  楽観視する
[類推(るいすい)する]  人ガ ものヲ
 ・同じシリーズの製品から類推すると、価格は2万円ぐらいだろう。
 ・いくつかのサンプルから類推して、全体的に同じような問題がありそうだ。
[連想(れんそう)する]  人ガ ものヲ
 ・その話を聞いて、ある小説の一場面を連想した。
 ・彼の詩の言葉は、いろいろなことを連想させる、含みの多い言葉が多い。

〔2〕わかる・知る
 「わかる」と「知る」は、非常に基本的な動詞だが、意味が重なる部分があり、区別が難しい。

◇わかる
  「わかる」は、物事がどういうものか、何を意味するか、どうなるのかなどが、頭ではっきりとと
らえられること。対象をガ格で示す。主体はニ格またはガ格(多くは「ハ」で置き換えられる)で示す。
    人ニ/ガ ものガ わかる
       私(に)は ことばの意味・相手の主張・冗談・回りの状況が わかる   
  そのことにかんする能力があること。正しい判断ができること。
    中国語・数学が わかる       音楽・絵が わかる
    私がアラビア語がわかることは、だれにも言っていない 
  相手への応答としての「わかった/わかりました」は、依頼などを理解し、認めることを表す。
    「これを頼む」「わかった。まかせておけ」
 文相当の内容を「こと/の」または「ト」で受け、知らなかったことが明らかになったことを表す。
   人ニ/ガ 文ガ/ト わかる 
    いないことがわかる  いないとわかる
 疑問文相当の内容を「か(どうか)」で示し、その答えが明らかになる(ならない)ことを表す。
   人ニ/ガ 文か(どうか)(ガ) わかる
    中に何があるかわかる  あるかどうかわからない
・複合動詞 
  「分かり合う」は、お互いに相手のことをわかろうとすること。
 「分かりかねる」は、(わかろうとしても)わからないこと。
 「分かり切る」は、「-ている」または名詞修飾で「-た」の形で使われ、当たり前のことで改め
  て問題にする必要がないこと。
  類義の複合動詞がいくつかある。
 「飲み込む」は、ものを飲み込むことからのひゆ的な言い方で、よく理解すること。
  「見抜く」は、物事の表面に現れていない本当の性質・状態などを直感や観察で知ること。
 「見破る」は、隠された秘密・計略などを観察・推論などによって知ること。
 「読み解く」は、文字表記や内容が難しい文章・暗号などを読んで理解すること。
 「読み取る」は、読んで理解すること。ひゆ的に外観から内面を推測し、理解すること。
・スル動詞
 「発覚する」は、隠していた悪事・計画・秘密などが人に知られること。
 「判明する」は、調査・研究の結果、原因・事情・経過などが明らかになること。
 「理解する」は、物事がどういうものであるか、何を意味するか、などを正しく判断すること。
  他人の立場や事情などをよく知り、その行動の理由を知ること。
 「了解する」は、物事の内容・事情などを理解すること。そして承認すること。
 「承知する」は、詳しい状況・事情がよくわかっていること。相手の依頼などを認めること。
 「納得する」は、他人の考え、行為、説明などをよく理解して、もっともだと認めること。
 「自覚する」は、自分の地位・責任・能力などをはっきりと知り、それに合った行動をとること。
 「精通する」は、そのことの細かいことまでよく知っていること。ニ格をとる。
 「解釈する」は、物事や人の行為、特に言葉や文章の意味を解き明かして説明すること。
◇しる
  「知る」は、情報や経験によって、物事の意味・性質などを頭でとらえること。「-ている」の形
は、そのことに関する情報を頭に持っていること。その否定の形「?知っていない」は使われず、情
報がない状態は「「知らない」で表す。
   人ガ ものヲ しる
       ニュースでその事件を知った  
  文相当の内容を「こと/の」または「ト」で受ける。
   人ガ 文ヲ/ト
       ここにないことを知った  来ないと知った
  疑問文相当の内容を「か(どうか)」で示し、その答えを知っている(知らない)ことを表す。
   人ガ 文か(どうか)(ヲ) しる
    来るかどうか知らない
・複合動詞
 「知り合う」は、お互いに相手のことを知ること。
 「知り尽くす」は、そのことのすべてを知っていること。
 「知り抜く」は、非常によく知っていること。
 「見知る」は、前に見て(会って)知っていること。
◇ぞんじる・ぞんじあげる
 「存じる」は、「知(ってい)る」のへりくだった言い方。「存じ上げる」は、さらにへりくだった
言い方。また、対象となる人に対する謙譲語。
 「知っている」の尊敬語としては、動詞ではないが、「ご存じだ」がある。
    そのことはあの方がご存じだ  この話はご存じですか
◇しれる
  「知れる」は「しる」に対応する自動詞で、容易に知ることができること。人に知られること。
   ものガ (人ニ) しれる 
    行方が知れない人々  世間に知れてしまう  名の知れた人
・複合動詞「知れ渡る」は、広く人に知られること。
◇わきまえる
 「わきまえる」は、正しく判断して、物事にきちんと対処すること。
   人・ものガ ものヲ わきまえる
    道理・場所・状況を わきまえる
◇さとる 
  「悟る」は、ものの本質や隠されていた意味などを(直観的に)はっきり理解すること。名詞節・引
用節をとる。
      人ガ ものヲ/文ヲ/文ト さとる
    無情・愚かさ・重大さを 悟る  不可能であることを/不可能であると 悟る 
◇きづく 
 「気づく」は、ものの存在や状態を(急に)心に感じ取る。ニ格・名詞節をとる。
   人ガ ものニ/文ニ きづく
    物音・異常・危険・変化・間違いに きづく  忘れ物をしたことに気づく
◇さっする 
 「察する」は、物事や他人の事情を推測すること。そして人に同情すること。名詞節をとる。
   人ガ ものヲ/文ヲ さっする
        気持ち・気配を 察する  人が困っているのを察する

わかる(分かる)五(わからない・わかります・わかって・わかれば・わかろう)
[1]〔人ニ ものガ〕
 △わかりかける  わかりそうになる  わかりはじめる  少しずつわかってくる 
  わからなくなる  わかるわけがない  わかってほしい  わかってあげる/くれる
  人の考えをわかろうとする  わからせようとする
 △[少し/だいたい/かなり/よく/完全(かんぜん)に/すっかり/ぜんぶ]~。
  [すらすら/どんどん/おどろくほどよく/なんとなく]~。
  [ぜんぜん/まったく/少しも/ちっとも/ぼんやりとしか]わからない。
  [何も/どうしても/どうにも/いくら考えても]わからない。
 △[数学のむずかしい問題/クラシック音楽/ペットの気持ち]が~。
  [ことばの意味/事情(じじょう)/しゃれ/彼の言いたいこと/ドイツ語]が~。
  [出口/スイッチの場所/道/食べ方/まどの開け方/パソコンの使い方]がわからない。
  [名前/住所(じゅうしょ)/電話番号(でんわばんごう)/身元(みもと)/顔/気持ち]が~。
 ・私の能力(のうりょく)では、いくら考えても、この問題はわからない。
 ・考えているうちに、少しずつわかってきた。
 ・今はわからないけれど、もっと勉強すれば、わかるようになるだろう。
 ・この文章(ぶんしょう)はわかりにくい。
 ・こんなにむずかしい本が6さいの子どもにわかるわけがない。
 ・さいきん、少しですが、フランス語がきいてわかるようになりました。
 ・私には、こういう抽象的(ちゅうしょうてき)な絵はぜんぜんわからない。
 ・時計(とけい)を持っていないので時間がわからない。
 ・太陽の位置(いち)と時間から方角(ほうがく)が分かるらしい。
 ・私にしか、この子の気持ちは分からない。
 ・私のつらい気持ちも少しは分かってくださいよ。
 ・いぬを長く飼(か)っていると、いぬの気持ちがだんだんわかってくるそうだ。
 ・かれの気持ちは分かりすぎるほどよく分かるのだが、かれの希望(きぼう)は規則(きそく)に合わ
  ないので、通らない。
 ・風邪(かぜ)を引いているので、においがぜんぜん分からない。(=感じない。くべつできない)
 ・おめでたでしょう。見て分かりますよ。
 ・旅行(りょこう)のこまかい予定(よてい)は分かりしだい、みなさんにお知らせします。
 ・山川書店(しょてん)という本屋(ほんや)へ行きたいのですが道が分からないのです。(=道を知
  らない)
 ・コピーの機械(きかい)のつかいかたが分かりません。(=つかいかたを知らない)
 ・住所が分からないので、てがみが出せない。
 ・事情がお分かりにならない(=事情を知らない)かたが、他人(たにん)の家のことに口を出さない
  でください。
 ・いろいろな人がかってな意見を言うから、何が何だかさっぱり訳(わけ)がわからない。
 ・ゆみ子ちゃん、泣いてばかりいたのでは訳がわからないわ。お母さんに事情(じじょう)を話して
  ちょうだい。
 ・あなたも、もう三十さいなんだから、子どもみたいな、わからない事を言わないでください。
 ・あなたがこんなに話のわからない男だとは思わなかった。
〔文ガ〕
 ・この本の英訳(えいやく)がカナダで出ていることがわかった。
 ・犯人(はんにん)が車でスイスににげたことが分かった。
 ・そのダイヤモンドがぬすまれているのがあとで分かった。
 ・撃ったしゅんかんにたまがあたったのが分かった。    ?
 ・その音でだれかが来たのが分かった。
〔文か(どうか)(ガ)〕
 ・今、何を考えているか、わかる?
 ・何をすべきか、わかっていますか?
 ・この絵(え)がほんとうにピカソのものかどうか、わたしには分からない。
 ・道がとてもこんでいるので、時間までに駅(えき)につけるかどうか、わからない。
 ・わたしがどんなにこまっているか、あなたには分からないでしょう。
 ・大きな事故(じこ)が起きた。何人たすかるか、分からない。
 ・どうしたらいいかわからない。
 ・母が何を言いたいのか、かおを見ただけですぐに分かった。
 ・兄がどうしてあんな事を父に言ったのか、いくら考えてもわからない。
 ・くらくて、どこに電灯(でんとう)のスイッチがあるのか、分からない。
 ・P社の辞書(じしょ)もQ社のもどちらも良いところがある。どちらを買ったらいいかわからない。
[2]〔(人ニ) 文ト〕
 ・次の日になって、まどガラスを割ったのはとなりの家の子どもだと分かった。
 ・体によくないとわかっていながら、つい(お酒を)飲みすぎてしまう。
 ・そのことばで、ゆみ子さんが本当に好きなのはアキラだと分かった。

<複合動詞:わかり->
[わかりあう] 人ガ 人ト (ものヲ)
 ・同じ日本人どうしなのだから、よく話し合えば、気持ちが分かり合えるはずだ。
 ・立場の違う者同士がお互いにその主張を分かり合うのは、難しいことだが不可能なことではない。
  そこでの努力が、人間を獣から区別するものではないか。
[わかりかねる] 人ガ 人・ものヲ
 ・哲学者の文章は、単純ことを回りくどく言うのでどうもわかりかねる。
 ・あなたの言いたいことは何なんですか。そんな非論理的な話ではわかりかねます。
   意図・意味・理由が ちょっと とんと
[わかりきる] 人ニ ものガ
 ・そんなことはわかりきっているじゃないか。
 ・金がたりないなどというのは、わかりきったことだよ。
     ~ている 最初から 答え・返事は ~た話・道理・こと

<複合動詞:その他>
[のみこむ] 人・ものガ ものヲ  
 ・事情がよく飲み込めないでしょうから、詳しく説明しましょう。
 ・彼女はカンがいい。すぐやり方のこつをのみこんで、手早く作業を始めた。
      手順・要領・事情・事態・趣旨・二人の関係・彼の癖・気質を いち早く 一目で
 飲み込める:扱い方・贈り物の意味・ことの重大さ・わけが すらりと ようやく
 飲み込めない:真意・話・理屈が 十分に 素直に 感覚的に すぐには とっさに
[みぬく] 人ガ ものヲ 
 ・子供は、大人のウソを見抜いているが、気付かないふりをする。
 ・教授は、彼女の素質を見抜いて助手にした。
      誤り・いかさま・意図・嘘・裏・お芝居・価値・からくり・考え・関係・偽装・偽造・気持ち
   ・欠陥・仮病・才能・資質・魂胆・下心・弱点・実体・正体・真相・企み・手の内・秘密・
   不正・変装・本質・目的・弱みを 正確・的確に 素早く 鋭く
[みやぶる] 人ガ 人ものヲ
 ・あいつの嘘を見破るくらい簡単なことはない。うそを言うときは必ず眉毛が上がるんだ。
 ・レポートはコピぺを見破られて0点、単位はもらえなかった。世の中甘くない。
      いたずら・嘘・からくり・偽造・気持ち・計略・計画・ごまかし・招待・真意・真相・素性・
   度胸のなさ・ピンハネ・丸写し・回し者を  たちどころに 一目で にせものと 変装を
[よみとく] 人ガ ものヲ 
 ・あの人の原稿を読みとくのはむずかしい。
 ・難解な、しかし論理的な文章をじっくりと読み解いていくのは、知的な探検だ。
   暗号・情報・資料・データ・難解な文章を 論理的に
[よみとる] 人ガ ものヲ ものカラ
 ・父の表情から父の気持ちを読みとることができた。
 ・すぐれたセースルマンは、話をしながらお客がどう思っているか読みとってしまう。
 ・これからのビジネスマンには、時代の変化をすばやく読みとることが求められる。
 ・器械でバーコードを読みとると、生産地や価格がわかるようになっています。
   字・文字・番号・数字・記号・バーコードを  意図・甘え・意味・イメージ・意欲・考え・
   感情・関心の深さ・気持・胸中・結論・心・言葉の裏・情報・大意・表情・不満・変化・本心
   ・本音を  地図から 正確に 冷静に すばやく 表情に  
<スル動詞> 
[解釈(かいしゃく)する]  人ガ ものヲ
 ・古代の碑文の語句を解釈するには、多くの学者の努力が必要だった。
 ・彼の言葉を解釈すると、次のようになるでしょう。
 ・政府は、憲法の条文を都合のいいように解釈している。 
 ・この主人公の行動は、次のように解釈されます。
 〔人ガ ものヲ ものト/文ト〕
 ・私は学生たちの行動を単なる甘えの現れ(だ)と解釈します。
 ・ある研究者は、この土器の模様は古代の神を表していると解釈した。
 [~の解釈をする]
  ・先生の前で古典テキストの解釈をして、批評していただいた。
[自覚(じかく)する]  人ガ ものヲ/文ヲ     
 ・自分の研究能力の衰えを痛切に自覚している。
 ・どうも彼は自分の話のわかりにくさを自覚していないようだ。
 ・私が会長として適任でないことはいやというほど自覚しております。
   体力の衰え・使命・責任・立場・敗北・非力・不利・無力さ・自分の限界を
[承知(しょうち)する]  人ガ ものヲ
  ・そちらの事情はよく承知しています。
  ・「これをしてください」「はい、承知しました」
 〔人ガ 文ヲ/ト〕
 ・これが最後だということをよく承知しておいてほしい。
 ・期限が過ぎていることは承知しています。
[精通(せいつう)する]  人ガ ものニ
 ・この方面のことに精通している人を誰か知らないか。
 ・工場の部品調達に精通している職員を呼んできてくれ。
[納得(なっとく)する]  人ガ ものニ/ヲ
 ・調査報告書の結論に納得(を)した。
  ・国民は政府の説明に納得(が)できなかった。
 ・歴史の本を読んで、その改革の意味を納得した。
 ・あの人の考えを詳しく聞いて、なるほどと納得(を)しました。
 〔人ガ 文ヲ〕  
 ・専門家の説明を聞いて、なぜ処理がうまくいかなかったのか(を)納得した。
[発覚(はっかく)する]  ものガ
 ・軍部の陰謀が発覚(を)した。首相を殺してクーデターを起こす計画だった。
 ・企業の組織的な脱税が発覚(を)し、社長以下の幹部が辞任した。
[判明(はんめい)する]  ものガ
 ・調査を進めると、意外な事実が判明(を)した。
 ・外交文書の公開によって、右翼政治家と外国政府のつながりが判明(を)した。
 〔文ガ〕
 ・政府が密約を隠していたことが判明(を)し、内閣は総辞職した。
[理解(りかい)する]  人ガ ものヲ
 ・親が子どもの気持ちをよく理解していないのが問題だ。
 ・科学を理解するには、記憶力よりも、疑問を持つ心が大切だ。
  ・あなたは、自分の状況を理解していますか?
 ・この本の言いたいことがどうしても理解できない。
[了解(りょうかい)する]  人ガ ものヲ
    事情 意味 本質 すべて 申し出 意義 原因
 ・皆が監督の意図を了解して、その通りに動き、みごとにゴールを決めた。
 ・「12番車、駅南口、高橋様、お願いします」「12番車、了解しました。駅に向かいます」


しる(知る)五(しらない・しります・しって・しれば・しろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △しりたい  しっておく  しってもらう  しらなければならない  しらないほうがいい
  しろうとする  しられる  しらせる  しるべきだ  
 △[偶然(ぐうぜん)/たまたま/ニュースで/新聞で/人から聞いて/自分で調べて]~ 。
  [もちろん/当然(とうぜん)/何となく/前から/はっきり/いくらか/少しは]しっている
 △[事故(じこ)のこと/真実(しんじつ)/秘密(ひみつ)/欠点(けってん)/酒の味(あじ)]を~。
  [その人の名前/カレーのおいしい店/外国の文化/戦前の生活/その話]をしっている
 ・A:あの人を知っていますか?
  B:いえ、知りません。だれですか?
 ・彼から聞くまでそのことは知りませんでした。
 ・わたしは十年前から彼を知っています。
 ・やり方を知っているということと、実際にできるということは違います。
 ・まず、自分の欠点をよく知らなければいけない。次に、相手の欠点も知っておくべきだ。そうし
  ないと、結婚はうまくいかない。
 ・新聞で事故のことを知るまで、何も知らずに彼女が来るのを待っていた。
  ・今は、何でも知ろうと思えばすぐ知ることができる便利な時代になった。
 ・顔が広く知られているということは、便利な点も不便な点もある。
[2]〔人ガ 文ヲ〕
 ・山田さんが来るのを知っていたので、帰らずに待っていた。
  ・箱の中には何もないことを知っていたのは、私と彼だけだった。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・誰がやったか(を)知っているのはわたしだけです。
 ・二人がいつ会うことになっているのか、あなたは知っていますか。
 ・あの人がどんなお嫁(よめ)さんをもらったのか知りたいなあ。
 ・いつ大地震が起こるのかは、誰も知らない。そもそも大地震が起こるかどうか、知っている人は
  いない。しかし、起こるかもしれない地震に備えておくことはむだではない。
[3]〔人ガ 文ト〕
 ・台風(たいふう)が来ているとは知らなかった。(日本のちかくに)
 ・君もこの会に来ると知っていたら、この前かりた本を持ってきたのになあ!

<複合動詞:しり->
[しりあう] 人ガ 人ト 
 ・夫と私が知り合ったのは3年前です。
 ・この研究会に出るようになって、多くの研究者と知り合うことができた。
   偶然 ふとしたことで 半年ほど前に  ~て間もない
[しりつくす]
 ・彼女はこの分野を知り尽くしているから、何を聞いても知らないことはない。
 ・両チームはお互いの手の内を知り尽くしているので、面白い試合になりそうだ。
   相手・男・気心・すべて・互いを 何もかも 隅から隅まで 裏も表も
[しりぬく] 人ガ ものヲ 
 ・彼は、この業界のことは隅から隅まで知り抜いている。
 ・さすが専門家だ。すべての問題点を知りぬいた上で、対策を立てている。
      恐ろしさ・弱点・人物・性格・つぼ・裏を 充分 痛いほど 骨身にしみて
<複合動詞:-しる>
[みしる] 人ガ 人・ものヲ
 ・会場には特に見知った顔はいなかった。
 ・小林と申します。どうぞ今後お見知りおき下さい。
   男・顔・姿・先生・隣人・ホテルを


ぞんじる(存じる)  一(ぞんじない・ぞんじます・ぞんじて・ぞんじれば)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[いくらか/多少は/詳しく/よく/だいたい/かなり]存じています
  [あまり/少しも/まったく/ほとんど/ぜんぜん]存じません
  △[お名前/ご住所/ご経歴(けいれき)/場所/行き方/やり方]は存じております
  ・そのことはよく存じております。
 ・残念ながら、その件に関しては何も存じません。
 ・ご病気だとは存じていましたが、お亡くなりになるとは、、。
〔文ヲ〕
  ・そういう事件があったことは存じていますが、それとどういう関係があるのですか。
〔文か(どうか)(ヲ)〕 
  ・どこにあるか、私は存じておりますが、申し上げられません。
 ・さあ、いついらっしゃるかは存じません。
[2]〔人ガ 文ト〕
  ・この方のお名前は存じておりましたが、このビルの設計(せっけい)者だとは存じませんでした。
  ・厚(あつ)かましいお願いだとは存じておりますが、ぜひお願いいたします。


ぞんじあげる(存じ上げる)  一(ぞんじあげない・ぞんじあげます・ぞんじあげて・ぞんじあ
  げれば)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △[よく/詳しく/細かく/多少/だいたい/]~。
  △[お名前/お住まい/御住所(ごじゅうしょ)/御経歴(けいれき)/御両親(りょうしん)]を~。
  ・お名前は存じ上げておりますが、どこにお住まいかは存じません。
 ・娘さんのことはよく存じ上げておりますが、御両親は存じ上げません。
 ・申し訳ありません。その後の消息(しょうそく)については、何も存じ上げません。
〔文ヲ〕
 ・お父上(ちちうえ)がご高名(こうめい)な方であることは存じ上げています。
 ・あの方がこの会の会長をなさっていらっしゃったことは存じ上げております。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・どこにお住まいか存じ上げておりますが、お教えはできませんので悪(あ)しからず。
[2]〔人ガ 文ト〕
  ・大変りっぱな方だと存じ上げております。


しれる(知れる)  一(しれない・しれます・しれて・しれれば)
[1]〔ものガ 人ニ〕
 △しれそうもない  しれてしまう  しれていく  しれないようにする 
 △[すぐに/だんだんに/みんなに/あっさり/ぱっと/あっという間に/意外に]~。
  △[名前/顔/底(そこ)/先(さき)/程度(ていど)/気心(きごころ)]が~。
  ・災害(さいがい)のあと、いまだに行方(ゆくえ)の知れない人がたくさんいる。
 ・このことが世間に知れたら大変だ。だれにも知られないように隠(かく)しておかないと。
 ・名の知れた人が公(おおやけ)の場でしっかりと発言(はつげん)してくれれば、この問題が広く知
  られるようになるだろう。
 ・卒業式であんなバカ騒ぎをやるなんて。まったく、今の学生って、気が知れない。
  ・気心(きごころ)の知れた友人たちとゆっくり酒を飲むのがいちばん楽しい。

<複合動詞:しれ->
[しれわたる]
 ・あなたのことは学校中に知れ渡っていますよ。
 ・この話は関係者(かんけいしゃ)に知れ渡っていて、いくらデマだと言っても信じてもらえない。
 ・私の名前は知れ渡っているらしく、どこへ行っても、あの話の男かという顔をされる。
   噂・名が 会社・関係者・世界・世間・隣近所・病院中に 広く あっという間に

わきまえる(弁える)  一(わきまえない・わきまえます・わきまえて・わきまえれば・わきまえよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △わきまえなければならない  わきまえるようにする  わきまえさせる  わきまえろ!
 △[よく/きちんと/ちゃんと/しっかり/重々(じゅうじゅう)]~。
  △[礼儀(れいぎ)/時/分(ぶん)/公私(こうし)の別/人情(にんじょう)/限度(げんど)]を~。
  [エチケット/区別/作法(さほう)/事情(じじょう)/節度(せつど)/立場(たちば)]を~。
  ・彼女は道理(どうり)をわきまえている。
 ・彼の態度(たいど)は場所柄(ばしょがら)をわきまえていない。
 ・彼の服装(ふくそう)は、公的な席という状況(じょうきょう)をわきまえていない、不適切(ふて
  きせつ)なものだった。
 ・「なにをやってるんだ! 場所をわきまえろ!」「そういうあなたこそ、礼儀をわきまえたものの
  言い様(いいよう)ができないんですか?」  


さとる(悟る)  五(さとらない・さとります・さとって・さとれば・さとろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △さとりたい  さとらねばならぬ  さとれない  さとろうと努力する  
 △[ついに/最後には/結局(けっきょく)/ようやく/はっきりと/しみじみ/つくづく]~。
  △[無常(むじょう)/死期(しき)/真理(しんり)/愚(おろ)かさ/過(あやま)ち]を~。
 ・感染者(かんせんしゃ)が続出(ぞくしゅつ)し、政府はようやく事(こと)の重大さを悟った。
  ・戦場(せんじょう)で敵味方(てきみかた)の多くの死体を見て、戦争の愚かさを悟った。
 ・人生の無常を悟った時、筆者はまだ20代であった。それから、この小説を書き始めた。
 ・医者の説明を聞き、死期を悟った時、また自分の生涯(しょうがい)の過ちも悟った。
 ・死ぬ間際(まぎわ)に自分の愚かさを悟っても、もう遅い。仏教の教えに早く接することだ。
〔文ヲ〕
 ・その瞬間(しゅんかん)、物事の発生(はっせい)にはすべて動機(どうき)が存在することを悟った。
 ・自分にはこれを成(な)し遂(と)げるだけの能力(のうりょく)がないことを悟った。
[2]〔人ガ ものヲ ものト〕
 ・人生を無常と悟るだけでは何も始まらない。その次に何を考えるかだ。
[3]〔人ガ 文ト〕
 ・彼女は、相手と議論(ぎろん)するうちに、自分にも非があったと悟ったようだ。
 ・さまざまな工夫(くふう)を試(こころ)みた結果、結局ありのままが大切だと悟った。 


きづく(気付く)  五(きづかない・きづきます・きづいて・きづけば・きづこう)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △きづきそうだ  きづくべきだ  きづかせる  きづかれる  きづけ!  きづくな!
 △[すぐに/すばやく/なんとなく/ふと/ぼんやり/はっと/はたと/はっきり]~。
  [いちはやく/改(あらた)めて/今ごろ/あとになって/やっと/ようやく/初めて]~。 
  △[足音(あしおと)/物音(ものおと)/誤(あやま)り/異状(いじょう)/異変(いへん)]に~。
  [危険(きけん)/事件(じけん)/尾行(びこう)/変化/間違(まちが)い/わな]に~。
  ・ふと、後ろから近づいてくる足音に気づいた。
 ・数日前、体の不調(ふちょう)に気づいたが、忙しかったのでそのままにしてしまった。
 ・付き合っている時は、彼の欠点(けってん)に気づかなかったので、結婚してしまいました。
 ・巡回(じゅんかい)の時、警備員(けいびいん)は何も異状に気づかなかったそうだ。
 ・誰にも気づかれないように部屋に入ることができた。
 ・自分の間違いに気づいた時、どうしようかと思った。このまま、だれも気づかなければそれでい
  いかとも思ったが、やはり気づいてしまったものはしかたがない、直すべきだと考え直した。
  ・子どもが何となく言ったことばで、自分の考え方の誤りに気づかせられた。      
〔文ニ〕
 ・電車に乗って、ドアが閉まった時、喫茶店(きっさてん)に忘れ物をしたことに気づいた。
 ・彼女の後ろ姿(すがた)を見て、彼女が髪を切ったことに気づいた。何かあったんだろうか。 
 ・夫は、へやの中の家具(かぐ)の位置(いち)が変わっているのに気づかなかった。
 ・何となくみんなが私を避(さ)けているのに気づいて、どうしたのだろうと思った。
 ・ゆうべはよく眠っていて、地震があったことに気づかなかった。


さっする(察する)  サ変(さっしない・さっします・さっして・さっすれば・さっしよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △さっしてほしい  さっしてくれる  さっしてみる  さっせられる 
 △[うすうす/おぼろげに/すぐに/すばやく/敏感(びんかん)に/未然(みぜん)に]~。
  △[苦労(くろう)/驚(おどろ)き/気持ち/胸中(きょうちゅう)/上司(じょうし)の立場]を~。
  ・商談(しょうだん)では相手の気持ちを察することが大切だ。
 ・子どもが病気の時の親の気持ちを察してごらんなさい。
 ・見張(みは)りが敵(てき)の夜襲(やしゅう)を察したおかげで、損害(そんがい)は少なかった。
 ・動物が天変地異(てんぺんちい)を察することがあるらしいが、その研究は進んでいるのだろうか。
 ・ナマズは地震(じしん)の気配(けはい)を察すると言われてきた。
〔文ヲ〕
 ・彼が困っているのを察して、助け船(たすけぶね)を出した。
  ・社長は状況(じょうきょう)が変わりつつあるのを察して、早速(さっそく)次の手を打った。
 ・家族が悲しみをこらえて明るくふるまっているのを察して、私も明るい声を出そうとつとめた。
 ・彼女は相手が反省(はんせい)していることを察して、それ以上は言わなかった。


〔3〕覚える・忘れる

◇おぼえる
  「覚える」は、経験したこと、感覚でとらえたことをを心にとどめること。何かを反復練習して、
うまくできるようになること。「-ている」の形で結果の状態を表す。
     人ガ ものヲ おぼえる
    人の顔・名前を 覚える      車の運転を覚える    早く覚えろ!  覚えていてください
 名詞節や疑問節を受ける。
   人ガ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ) おぼえる
    そこに住んでいたことを覚えている     いつ行ったか/行ったかどうか 覚えていない
・複合動詞
 「覚え込む」は、しっかり忘れないように覚えること。
 「覚えそこねる」は、覚えようとして覚えられないこと。
 「聞き覚える」は、聞いて覚えること。
 「(胸に)たたみ込む」は、心の奥にしっかり覚えておくこと。
・スル動詞
 「記憶する」は、経験したこと、感覚でとらえたことをを心にとどめること。
 「暗記する」は、読んだ(聞いた)文章をそのまま口で言えるように覚えること。
◇わすれる
  「忘れる」は、経験したこと、覚えたことが頭の中から取り出せなくなること。すべきこと、気を
つけるべきことを、うっかりしてしないままにしてしまうこと。名詞節や疑問節を受ける。
   人ガ ものヲ わすれる
    人の名前・約束の時間・事故のことを 忘れる  財布・ぼうしを 忘れる
   人ガ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)
      窓を閉めるのを忘れる(窓を閉め忘れる)  窓を閉めたかどうか(を)忘れる
・複合動詞
 「わすれ-」の形の複合動詞は少ない。
  「忘れかける」は、忘れそうになること。
  「忘れ去る」「忘れはてる」は、すっかり忘れてしまうこと。
 「-わすれる」は多くの動詞につく。「~するのを忘れる」ことを表す。
  「言い忘れる」「入れ忘れる」「し忘れる」「取り忘れる」「見忘れる」「読み忘れる」など。
  「置き忘れる」は別で、何かを置いて、そのまま持ってくるのを忘れること。
 「-わすれる」と同じような用法のものに、「-おとす」「-もらす」などがある。
  「言い落とす」「言い漏らす」は、言うつもりで忘れること。
  「つけ落とす」は、つけるべきものをうっかりしてつけないこと。
◇おもいだす
  「思い出す」は、経験したことや忘れていたことを再び頭の中に思い浮かべる。名詞説・疑問節を
受ける。可能形の否定の形「思い出せない」がよく使われる。
   人ガ ものヲ おもいだす
       小学校のことを思い出す   電話番号が思い出せない
     人ガ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ) 
       昔会ったことを思い出す  やったかどうか(を)思い出す  いつだったか思い出せない
・スル動詞「回想する」は、経験したことをなつかしいこととして思い出すこと。
       学生時代を回想する      そこで過ごしたことを回想する


おぼえる(覚える) 一(おぼえない・おぼえます・おぼえて・おぼえれば・おぼえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[名前/住所/電話番号(ばんごう)/顔(かお)/漢字(かんじ)]を~。
  [道順(みちじゅん)/場所/行き方/車の運転/パソコンの使い方]を~。
 △おぼえたい  おぼえてほしい  おぼえておく  おぼえてもらう
  おぼえたほうがいい  おぼえなくてはいけない  おぼえなくてもいい
  おぼえさせる  おぼえられる  おぼえさせられる  おぼえられない 
  おぼえようとする  おぼえろ! 
 △[ぜんぶ/少しずつ/いっぺんに/順に/はじから/そのまま]~。
  [やっと/何とか/がんばって/いっしょうけんめい/むりに]~。
 ・わたしは人の名前を覚えるのがへたです。
 ・このことばはもうべんきょうしましたね。覚えていますか。
 ・あの人に前に会ったことがある。かおは覚えているのだが、名前はわすれてしまった。
 ・わたしは先月この会社に入った。早くしごとを覚えなくてはいけない。
 ・このしごとは、ちょっとむずかしそうだが、コツを覚えればそんなにむずかしくない。
 ・中西が酒(さけ)やタバコのあじを覚えたのは、中学生の時だった。
 ・早くこの機械(きかい)の使い方を覚えてください。
〔人ガ 文ヲ〕
 ・子どものころに、よく家の前の川でおよいだのを覚えています。
 ・二、三年前に私といっしょにつりに行ったことを覚えていますか。
 ・その日、たしかに大山さんを駅で見たのを覚えています。
〔人ガ 文か(どうか) (ヲ)〕
 ・パスポート、どこに入れたか(を)、覚えている? 
 ・結婚式(けっこんしき)に横田さんがいたかどうかなんて、覚えてないなあ。
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △[生き方/意見]に共感(きょうかん)を~。
 ・あの人の生き方に共感(きょうかん)を覚えました。
 ・よわい人々をたすけることのできない社会のあり方に怒(いか)りを覚えます。
 ・彼は結婚(けっこん)しようと言いながら、なかなか動こうとしない。私はだんだん彼の態度(た
  いど)に疑(うたが)いを覚えはじめた。
 ・魚の必死(ひっし)に逃(に)げようとする様子(ようす)に、なんだか哀(あわ)れを覚えてしまった。
 ・この小説(しょうせつ)を読んで大変な感動(かんどう)を覚えました。
 △[つかれ/めまい/かなしみ/さびしさ/いたみ]を~。
 ・わたしの行為(こうい)がそんな結果(けっか)になってしまったと聞いて胸(むね)に痛(いた)みを
  覚えた。
 ・きゅうにつかれを覚えて、立っていられなくなった。
 ・コップの水をのんだ時に、舌(した)にかすかに苦(にが)みを覚えた。
 ・ボールをなげようとした時に、うでに痛みをおぼえた。
〔人ガ 文ニ ものヲ〕   
 ・かれのしごとの鈍(のろ)いのには苛立(いらだ)ちを覚えてしまった。

<複合動詞:おぼえ->
[おぼえこむ] 人ガ ものヲ 
 ・この仕事は、一度覚えてしまえばかんたんだが、覚えこむまでが大変だ。
 ・毎年新入生が入ってくると、まず顔と名前を覚え込むのが一苦労だ。
   歌・顔・曲・声・コツ・作法・仕事・呪文・順序・数字・作り方を 一通り
[おぼえそこねる] 人ガ ものヲ
 ・歌の歌詞を覚え損ねていて、合唱の時に私一人違う歌詞を歌ってしまった。
 ・子どもの時に一度読み方を覚え損ねた漢字は、大人になってもつい間違えてしまう。

<複合動詞:-おぼえる>
[ききおぼえる] 人ガ ものヲ
 ・私は車のことはよく知らなかったのですが、車の好きな友だちがいろいろ話して聞かせるので、
  もう、だいたいのことは聞きおぼえてしまいました。
 ・その俳優の顔はもう忘れていたのだが、その特徴ある声は聞き覚えていた。
<複合動詞:その他>
[たたみこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・和夫は、別れの時の母の言葉をしっかりと胸にたたみ込んでふるさとを出た。
 ・会場付近の地図を頭の中に畳み込んで、家を出た。
      地図・切手・思い出を 頭・胸の中に
<スル動詞>
[暗記(あんき)する]  人ガ ものヲ
  ・外国語の勉強は、短い文をどんどん暗記してしまうのが上手になる近道だ。
 ・彼女は円周率を100けたまで暗記しているそうだ。
 [~の暗記をする]
  ・明日のテストのために英単語の暗記をした。
[記憶(きおく)する]  人ガ ものヲ
  ・小学校の同級生の名前をみんな記憶しています。
 ・このコンピューターは1億人の住所と電話番号を記憶することが出来るそうだ。
〔人ガ 文ヲ〕
  ・この点について私が強く反対したことを、よく記憶しておいてください。
  ・彼は、ゆうべ酒を飲んだ後、どうやって家まで帰ったか(を)記憶していないそうだ。


わすれる(忘れる)一(わすれない・わすれます・わすれて・わすれれば・わすれよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[名前/住所(じゅうしょ)/電話番号(でんわばんごう)/自分の年]を~。
  [楽しかった日々(ひび)/いやな思い出/だいじなこと/忘れたいこと]を~。
  [先生の注意(ちゅうい)/せんぱいの忠告(ちゅうこく)/親の恩(おん)]を~。
  [かばん/財布(さいふ)/ハンカチ/メモ]を~。(=持ってこなかった)
  [会う約束(やくそく)/朝の会議(かいぎ)のこと]を~。(=行かなかった)
 △わすれそうだ  わすれやすい  わすれにくい  わすれたい  わすれてしまう 
  わすれてしまいたい  わすれさせてほしい  わすれないようにする  わすれずにいる
  みんなにわすれられる  わすれようとしてもわすれられない
  わすれられない[思い出/光景(こうけい)/事件(じけん)/体験(たいけん)/顔(かお)]
 △[少し/かなり/ほとんど/ぜんぶ/完全(かんぜん)に]~。
  [まったく/すっかり/みごとに/きれいに/まるっきり]忘れていた。
  [ぜったい/いつまでも/何があっても/死んでも/いやでも]忘れない。
  [どうしても/なんとなく/なぜか/死ぬまで]忘れられない。
 ・すみません。しゅくだいを忘れました。
 ・A:あそこにいる人はなんという人ですか。名前を忘れてしまって、どうしても思い出せません。
  B:あの人は中田さんですよ。
  A:ああ、中田さんか。こんどは忘れないようにしなくては。
 ・こんないやな事故(じこ)は早く忘れたい。
 ・この事は死んでも忘れられません。
 ・A:ノートを出してください。
  B:あ、忘れました。
  A:では、あした忘れずに持って来てください。
 ・いつまでも自分のミスを気にするな。そんなつまらないことは早く忘れろ!  
〔人ガ 文ヲ〕
 △[家に電話をする/人と会う/お金を払(はら)う/届(とど)けを出す]のを~。
 ・すみません。きょう、会議があるのを忘れていました。
 ・ひさしぶりに友だちと会って、時間のたつのも忘れて話した。
 ・あしたパスポートを持って来るのを忘れないように。では、おやすみなさい。
 ・人々は、いつかは死ななければならないことさえ忘れ、快楽(かいらく)にふけった。
 ・忘れるな。人々が苦しめられたことを。忘れるな。人々が殺(ころ)されたことを。
〔人ガ 文か(どうか) (ヲ)〕
 ・今日の会議で何を報告(ほうこく)すればいいのか忘れてしまった。ぼけたなあ。
 ・出発(しゅっぱつ)が何日だったか忘れたが、何よう日だったかは覚えている。
 ・今度の飲み会に田中も誘ったかどうか忘れた。   
[2]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △[時計(とけい)/かさ/バッグ/上着(うわぎ)/コート/めがね]を~。
  [家にさいふを/へやに書類(しょるい)を/網棚(あみだな)に荷物(にもつ)を]~。
 ・家に教科書(きょうかしょ)を忘れて来てしまった。
 ・(電車の)あみだなにカバンを忘れた。
 ・買ったばかりのカサ、どこに忘れて来たの。

<複合動詞:わすれ->
[わすれかける] 人ガ ものヲ
 ・傘を電車に忘れかけて、あわてて取りに戻ったらドアが閉まり、降りそこねた。
 ・今日は結婚記念日なのを忘れかけていた。忘れていると怒られるからなあ。
[わすれさる] 人ガ ものヲ
 ・戦争のあの辛さは、忘れようとしてもなかなか忘れ去ることはできない。
 ・故郷を出てからもう40年。一度も帰っていないから、もう私のことなど忘れ去られてしまった
  だろう。
   苦しみ・経験・現実・思い出を 言うそばから けろりと たちまち 何もかも
[わすれはてる] 人ガ ものヲ
 ・若い時の日記が出てきて、もう忘れ果てていた古い恋のてんまつが書いてあった。懐かしいとい
  うか、恥ずかしいというか。
 ・昔のことは忘れ果て、今現在のことにしか関心はない。私はそういう老人だ。
      過去・恥・古い恋・昔・使用法・激痛を いつしか 何もかも

<複合動詞:-わすれる>
[いいわすれる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ヲ 
 ・さっき言い忘れたことがあります。明日、それぞれ自分のハシを持ってきて下さい。
 ・最初に言おうと思っていたのに、言い忘れてしまったので最後に言った。
      用件を つい うっかり
[かきわすれる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ヲ 
  ・テストの最後の問題まで苦しんで、やっとできて出したが、名前を書き忘れた。
[おきわすれる] 人ガ 所ニ ものヲ
 ・電車にかさを置きわすれる人がとても多い。
 ・コートを映画館に置きわすれてしまった。
      鍵・傘・荷物・本・過去・気持ち・心を 網棚・仕事場に 忘却の彼方に
<複合動詞:その他>
[いいおとす] 人ガ ものヲ 
 ・先ほど言いおとした事が一つございます。
 ・言うべきことを言い落とさないよう、メモを見ながらしゃべった。
      一言を うっかり  肝心・大事なことを  
[いいもらす] 人ガ ものヲ 
 ・さっき言いもらしたことがありますので、ちょっと言わせてください。
 ・電話で用事を伝えたのだが、急いでいたのでかんじんなことを言い漏らした。
      不満・不平を うっかり 大切なことを 
[つけおとす] 人ガ ものヲ 
 ・帳簿の監査で、入金が付け落とされていることがわかった。意図的なものだろうか。
 ・テストを返すとき、何か所かマルバツを付け落としていることに気づいた。


おもいだす(思い出す)  五(おもいださない・おもいだします・おもいだして・おもいだせば
  ・おもいだそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おもいだしかける  おもいだしそうだ  おもいだしたい  おもいだしてほしい
  おもいださないといけない  おもいだせない  おもいだそうとする  おもいだせ!
 △[久しぶりに/あざやかに/細かく/生々(なまなま)しく/ぼんやりと/はっきり]~。
  △[幼(おさな)い日/学生時代/故郷(こきょう・ふるさと)の景色(けしき)/当時(とうじ)]を~。
  [夢(ゆめ)/悪夢(あくむ)/過去(かこ)/事件(じけん)/古い記憶(きおく)/道]を~。
 ・クラス会で久しぶりに会って、いろいろ昔のことを思い出した。
  ・試験の時、一生懸命(いっしょうけんめい)単語の意味を思い出そうとしたが、思い出せなかった。
 ・最近、昔のことを思い出すことが多くなった。年をとったせいだろうか。
 ・思い出してごらん 五才(いつつ)の頃を 涙流していた 五才(いつつ)の頃を  (中島みゆき)
 ・上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 思い出す 春の日 一人ぼっちの夜  (永六輔)
〔人ガ 文ヲ〕
 ・写真を見ていたら、ふと、正月にみんなでお寺へ行ったことを思いだした。
  ・駅へ向かう途中で、ストーブをつけたままだったことを思い出して、あわてて家に戻った。
〔人ガ 文か(どうか) (ヲ)〕
 ・そこにだれがいたのか、思い出してください。
  ・どこかで会ったことがあるように思うのだが、どこだったか思い出せない。
  ・あの時、窓が開いていたかどうか、思い出そうとしても、どうもはっきりしない。

<スル動詞>
[回想(かいそう)する]  人ガ ものヲ
 ・戦争当時の生活を回想して書かれた作品は数多くある。
 ・このエッセイは、作者が幼いころのことを回想して書いたものです。

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