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◇日々の生活◇
[1] 住む・泊まる・泊める
住む
住み込む 住み着く 住み慣れる 移り住む 居住する 同居する 別居する
住まう
泊まる
泊まり込む 一泊する
泊める
眠る
眠りこける 眠り込む 眠りほうける 居眠りする 仮眠する 熟睡する
冬眠する うとうとする うつらうつらする こっくりこっくりする
寝る
寝入る 寝込む 寝静まる 寝過ぎる 寝過ごす 寝そびれる 寝たりる
寝違える 寝付く 寝ぼける 朝寝坊する 寝坊する 昼寝する 早寝する
寝かす
寝かしつける 寝かせる
起きる
起き出す 起床する 早起きする
起こす
目覚める
目が覚める 目を覚ます
働く
立ち働く 作業する 残業する 共稼ぎする 共働きする バイトする
勤める
勤め上げる 勤務する 就職する
つとまる
遊ぶ
遊びあきる 遊び歩く 遊び暮らす 遊びほうける 遊び回る ぶらぶらする
戯れる
ふざける
休む
休学する 休業する 休憩する 休講する 休職する 休戦する 欠席する
休める
休息する 休養する
◇日々の生活
人の日々の生活の中の動詞をとりあげる。
生活の基盤になる家に関する動詞「住む」そして「泊まる・泊める」、毎晩「眠る」あるいは「寝
る」。そして「目覚める」「起きる・起こす」。毎日の生活を成り立たせるために「働く」あるいは「勤
める」。そして楽しみを求めて「遊ぶ」。疲れて「休む」。以上の動詞と、それを巡る動詞ををとりあ
げる。
◇住む・泊まる・泊める
生活の中心になる場は家であり、そこで毎晩眠ることを「住む」と言う。「泊まる」は、一時的に
ホテルや人の家で夜を過ごす場合に言う。「泊まる」に対応する他動詞が「泊める」で、自分の家に
人を泊まらせること。
人が家に住む ホテルに泊まる 友人を家に泊める
◇眠る・寝る・寝かす・寝かせる
「眠る」は、夜、休息のためにふとんなどに入って静かにし、意識を失うこと。「寝る」は、単に
体を横にすることと、「眠る」ことを表す場合がある。場所をニ格またはデ格で示す。「寝る」に対
応する他動詞が「寝かす・寝かせる」。使役形「寝させる」も使われる。
ベッドで眠る ベッドに/で 寝る 病人をベッドに寝かせる/寝させる
◇起きる・起こす・目覚める
「目覚める」は、眠った状態から意識を回復すること。「起きる」は、そこから体を起こすこと、
つまり「寝る」の反対の動作だが、「眠る」状態からの回復も表す。なお、「目覚める」より「目が
覚める」が話しことばとしてよく使われる。「目を覚ます」は、形は他動詞だが「目が覚める」と同
じことを表す。
朝、気持ちよく目覚める/起きる ベッドから起きる 自然に目が覚める/目を覚ます
◇働く・勤める・勤まる
「働く」は、生きていくための食料、または収入を得るために、行動すること。「勤める」は、収
入を得るためにある組織に属し、働くこと。その組織をニ格にとる。「勤まる」は、「勤める」に対
応する自動詞で、務め続けることができること。可能の意味があり、人をニ格にとる。
毎日会社で働く 船会社に勤め、船で働いている この仕事は私には勤まらない
◇遊ぶ
「遊ぶ」は、人が自分のしたいこと、好きなことをして、あるいは何もしないで時間を過ごすこと。
具体的に何をするかは、「~で遊ぶ」「~をする」などの形で示される。
ゲームで遊ぶ ゲームをする
◇休む・休める
「休む」は、人が疲れた体を動かさないで回復させること。精神的な疲労にも言う。「休める」は
形が対応する他動詞だが、「×人を休める」とは使わない。体の部分について言う。人には「休ませ
る」が使われる。
日曜日は休む 目・体を 休める 選手たちを休ませる (「兵を休める」は書きことば)
「休憩する・休学する・休職する・休戦する・休講する」など、「休」を含むスル動詞が多い。
〔1〕住む・泊まる・泊める
人の生活の基盤となる家に関わる動詞表現を見る。「住む」、「泊まる」とその他動詞「泊める」。
場所を示す「所ニ」をとる。
◇すむ
「住む」は生活の場として、ある家を毎晩眠る場所とすること。その建物を含む地域にも言う。
人ガ 所ニ すむ
この家に30年住んだ 東京・イギリスに住む ほらあなに住む人々
時間の長さは必要でない。「泊まる」との違いは、そこを自分の家と考える点。
この前のアパートは三日住んだだけで追い出された。友だちを呼んで毎晩騒いだからだ。
「所デ」は、「所ニ」を含んだより広い地域を示す場合に使われる。
東京では高層マンションに住んだが、いいものではなかった
使役形は「住ませる」だが、「住まう」の使役形「住まわせる」も使われる。
息子夫婦を近所のマンションに住ませた/住まわせた
動物にも使う。動物は巣、あるいはその地域に住む。(「棲む」と書く場合がある)
山に住む動物
・複合動詞
「住み込む」は、仕事のために他人の家・地域の中に住むこと。
「住み着く」は、ある場所に住み、そこに定着すること。
「住み慣れる」は、ある場所に住んで慣れること。
「移り住む」は、別の場所に移って住むこと。
・スル動詞
「居住する」は、「住む」の書き言葉。公的な、あるいは学問的な表現。
「同居する」は、ほかの人、特に配偶者や配偶者の親と一緒に住むこと。
「別居する」は、一緒に住むことが自然な相手と別の所に住むこと。
◇すまう
「住まう」は、ある場所に長く住むことだが、使役の形や敬語表現で使われることが多い。
一室に弟子を住まわせる どちらにお住まいですか
◇とまる
「泊まる」は、自分の家以外の所で夜を過ごすことを言う。
人ガ 所ニ とまる
ホテルに(一か月)泊まる
「ホテルに住む」は、自分の家がなく、ホテルに泊まり続ける場合に言う。
「所ニ」をとるが、次の例では「所デ」をとっているように見える。
ロンドンで泊まったホテル
これは、「ロンドンでホテルに泊まった」の中の「ホテル」を修飾する形で、「ニ」は「ホテル」
に関して使われていると考えられる。
ロンドンで三日泊まった
という場合も、「ロンドンで(どこかに)三日泊まった」と考られる。
「住む」に関しても同様の問題が起こる。
東京で住んだアパート (東京でアパートに住んだ)
・複合動詞
「泊まり込む」は、泊まるのがふつうでない、予想されていないような場合に泊まること。
・スル動詞
「一泊(二泊・三泊)する」は、「所デ/ニ」どちらも使う。
◇とめる
「泊まる」に対応する他動詞「泊める」は、人を自分の家に泊まらせること。
人ガ 人ヲ 所ニ とめる
客を家に泊める
自分の家でない場合は、「泊まる」の使役形「泊まらせる」のほうが自然になる。
家は狭くて泊められないので、親戚をホテルに泊まらせた
すむ(住む) 五(すまない・すみます・すんで・すめば・すもう)
[1]〔人・動物ガ 所ニ〕
△すみたい すみはじめる すみやすい すんでみる すんではいけない
すまなければならない すもうとおもう すめる すませる すまれる すめ!
△[しばらく/ずっと/のんびり/ゆったり/楽しく/隠(かく)れて]~。
△[古い家/寮(りょう)/アパート/マンション/町/田舎(いなか)/都会(とかい)]に~。
・わたしは3歳(さい)まで、横浜(よこはま)に住んでいました。
・東京では大学の寮(りょう)に、大阪(おおさか)ではアパートに住んでいました。
・この町にはもう20年も住んでいるのだが、まだ、その公園には行ったことがない。
・こんな大きな家に住んでみたい。掃除(そうじ)するだけで大変かなあ。
・お客さんがとても住みやすい家だと言ってくれると、建てた大工(だいく)としては鼻が高い。
・この町に住んでもう10年になります。「住めば都(みやこ)」というのは本当ですね。
・あの山にはいろいろ珍(めずら)しい動物が住んでいる。
・ペンギンが住んでいるのは南極(なんきょく)だけではない。
・結婚したらどこに住むつもりですか。
・彼と結婚すると、彼の両親と一緒に住まなくてはいけないのが大問題だ。
・わたしは結婚(けっこん)したら、二人だけで住もうと考えています。
・兄は結婚式(けっこんしき)をすます前に、もう彼女といっしょにアパートに住み始めていた。
・わたしがこの町に住み始めた時にはまだスーパーマーケットもなかった。
・入社できたのはいいけれど、会社は、こんな汚(きたな)い寮(りょう)に住めと言うのか。
<複合動詞:すみ->
[すみこむ] 人ガ 所ニ
・昔の女中さんは、部屋を与えられ、家に住み込んで働くことが多かった。
・親方のすし作りの技術を学ぶため、寿司屋に住み込んで必死に修業した。
・人類学者たちはその村に住み込んで、村の生活のようすを記録した。
店・工場・集落に
[すみつく] 人・ものガ 所ニ
・迷い犬がとうとうわたしの家に住み着いてしまった。
・このばい菌は体のどこにでも住み着いてなかまをふやします。
・空前絶後の作品を作り出してやろう、という妄想が私の心に住み着いた。
タヌキ・ネズミ・人が 思い・空想が 家・島・土地・環境・頭・心に
[すみなれる] 人ガ 所ニ
・新しい家に住み慣れるには、多少時間がかかる。猫は特にそうらしい。
・「住めば都(みやこ)」ということわざがあるが、こんな小さな町でも住み慣れるといい所に思わ
われてくる。
~た家・地域社会・土地・故郷
<複合動詞:-すむ>
[うつりすむ] 人ガ (所カラ)所ニ
・静かな田園地帯に移り住んで余生を過ごしたいと言っていた。
・子供の頃、父の仕事の都合で北海道を転々と移り住んだ。
・大陸からこの島に移り住んできた人々が、この寺院を建設した。
家を アパートに 他の市町村に 辺地・町・山の中に 転々と
<スル動詞>
[居住(きょじゅう)する] 人ガ 所ニ
・海外に居住する日本人の数は、毎年増加している。
・一時的に居住する人も含めると、かなりの数になる。
[同居(どうきょ)する] 人ガ 人ト
・学生時代、友達3人と同居(を)した。酒を飲んだり、けんかしたり、、。
・結婚当初は主人の母と同居(を)したが、やはりうまくいかなかった。
[別居(べっきょ)する] 人ガ 人ト
・ついに妻と別居(を)することになった。離婚することになるかどうかはまだわからない。
・両親とは別居(を)していたが、母が弱ってきたので同居することにした。
すまう(住まう)五(すまわない・すまいます・すまって・すまえば・すまおう)
[1]〔人ガ 所ニ〕
△この[部屋(へや)/アパート/土地(とち)/一室(いっしつ)/小屋(こや)]にすまわせる
・建築家(けんちくか)は家を設計(せっけい)する時は、そこに住まう人がどんな人なのかを考える。
・この歴史ある家に住まわれてきた方々のことを思い、私も大事に住まいたいと思った。
・彼は愛人(あいじん)を住まわせるために会社の近くに部屋を借りていた。
・古い工場の横には労働者を住まわせるための粗末(そまつ)な小屋が並んでいた。
・どちらにお住まいになっていらっしゃいますか。
・どちらにお住まいですか。
▽使役形あるいは敬語表現で使われることが多い
とまる(泊まる)五(とまらない・とまります・とまって・とまれば・とまろう)
[1]〔人ガ 所ニ/デ〕
△とまりたい とまってみる とまってはいけない とまったほうがいい とまるつもりだ
とまれる とまろうとおもう とまらせる とまられる とまれ! とまるな!
△[ゆっくり/のんびり/しかたなく/何回も/ときどき/週に一回/一晩(ひとばん)]~。
△[友人の家/旅館(りょかん)/宿屋(やどや)/山小屋(やまごや)/愛人宅(あいじんたく)]に~。
・大阪に一晩(ひとばん)泊まって、大阪大学の友だちと会うつもりです。
・いつものホテルに泊まろうとしたが、満員(まんいん)で泊まれなかった。(泊まる:泊まれる)
・九州から遊びに来た妹夫婦を近所の新しいホテルに泊まらせたら、大喜びだった。
・とつぜん夫の母が来て、すぐ帰るのかと思ったらそのまま泊まられて、どうも気づまりだった。
<複合動詞:とまり->
[とまりこむ] 人ガ 所ニ
・先生は実験がうまく行き出すと、実験室に泊まり込んで研究を続けることがある。
・小説家はホテルに泊まり込んで原稿を書くことがあるそうだ。
会社・研究室・友だちの家に 図々しく 何日も ずるずると
<スル動詞>
[一泊(いっぱく)する] 人ガ 所ニ/デ
・京都で一泊、奈良に三泊した。
・パリにはせめて二泊したいなあ。
とめる(泊める) 一(とめない・とめます・とめて・とめれば・とめよう)
[1]〔人ガ 所ニ 人ヲ〕
△とめたくない とめてあげる・もらう とめてはいけない とめなければならない
とめようとおもう とめられない とめさせられる とめろ!
△[喜んで/いやいや/しかたなく/ときどき/いつも/毎晩/たまに/三日続けて]~。
△[家/アパート/自分の部屋(へや)/二階/離(はな)れ/物置(ものおき)]に~。
・友だちを寮(りょう)の部屋に泊めてはいけません。
・悪いけど、今晩、泊めてもらえない?
・行く所がないと言うので、一晩(ひとばん)だけ泊めてやった。
・私のアパートは狭いので、いなかから母が来ても泊められない。
〔2〕眠る・寝る・寝かす・寝かせる
睡眠に関する動詞をみる。「眠る」と「寝る」の2つがあり、どちらもよく使われる。
「寝る」に対応する他動詞・使役形、さらにその受身形があり、複雑である。
◇ねむる
「眠る」が動物が睡眠状態に入ることを表す基本的な動詞。「眠る」場所は「所デ」で示す。
人・動物ガ ねむる
ゆりかごで赤ん坊が眠っている
「人ガ 所ニ 眠る」は死んだことを現す場合がある
アイザック・ニュートン ここに眠る
◇ねる
「寝る」は、たんに「横になる」ことを表す場合と、「眠る」場合がある。話しことばで「眠る」
の意味でよく使われる。
人ガ 所ニ ねる
ゆうべはよく寝た(=眠った) 台の上に寝たら、そのまま眠ってしまった
「寝る」場所は「所ニ/デ」が使われる。だいたいの傾向として、「眠る」意味の場合は「所デ」
を使い、「横になる」意味の場合は「所ニ」が使われやすい。
イスで寝てしまった ベンチに寝る ソファーで/に 寝る
隣の部屋に母が寝ていますから、あちらの部屋で話しましょう(どちらの意味にもなる)
より広い空間を示す語の場合は「デ」しか使えない。
ホテルで寝ると、どうも熟睡できない。 ?ホテルに
電車で寝てしまう ×電車に寝る
・「人ト」
「人ト 寝る」は、添い寝、あるいは性的な関係を意味する。
人ガ 人ト ねる
赤ん坊と(一緒に)寝る 恋人と寝る
◇「眠る/寝る」を巡ることなど
・時間の表現
「時+ニ」は、眠ろうとする時刻、あるいは眠りに入った時刻を示す。
毎晩11時に寝る 夕べは目がさえて眠れず、けっきょく3時ごろ(に)眠ったようだ
時間の長さの表現は、眠りに入ってから、目が覚めるまでの時間を示す。
1時間眠る 夜12時から朝7時まで寝た
「時間+デ」は、眠ろうとしてから眠りに入るまでの時間を表す。可能形と使われることもある。
ベッドに入って10分で 眠った/寝られる
「時間+ニ」は、ある行動に対して、その基準となる全体の時間を表す用法がある。
1日に8時間 眠る/寝る
「時間+デ」には、ある範囲を表す用法もある。
この3日間で5時間しか寝ていない
・オノマトペ
そのさまざまな状態を表すためのオノマトペが多くある。
ぐっすり・すやすや・ぐうぐう・うとうと・うつらうつら 眠る
この中で、スル動詞としても使われるものがある。
うとうと・うつらうつら する
・ひゆ的用法「ものガ 眠る/寝る」
どちらもひゆ的な用法として、動物以外の物が休止状態になることを表す用法がある。
資金が金庫に眠っている 資材が倉庫で寝ている
・「眠る」の使役形
「眠る」には対応する他動詞はなく、「眠らせる」を使う。
医者が患者を薬で眠らせる
・「寝る」の他動詞・使役形
「寝る」に対応する他動詞は「寝かす・寝かせる」の2つがある。「ねかす」と「ねかせる」は同
じように使われる。(「寝せる」という形もある)
「寝る」の使役形「寝させる」も使われる。
子どもを早く寝かして/寝かせて/寝させて、大人は酒盛りだ
「ねかす」「ねかせる」の受身形は「ねかされる」「ねかせられる」で、「ねる」の使役受身形「ね
させられる」を合わせた3つの形がほぼ同様の意味を表す。
母に少し熱があるみたいと言ったら、むりに ねかされた/ねかせられた/ねさせられた
「ねかす」には、「ねかしつける」という複合動詞がある。
「ねかす」「ねかせる」にはひゆ的な用法として、動物以外のものを活用しないでそのままおいて
おくということを表す用法がある。「寝る」「眠る」と違う点は、積極的にそうする場合もあること。
この金はしばらく寝かせておこう 酒を寝かすと味に深みが加わる
・反対語
「眠る」の反対語は「覚める」、「寝る」の反対語は「起きる」。
よく眠り、すっきり目が覚める
12時に寝て、7時に起きる
・複合動詞
「ねむり-」
「眠りこける」は、眠ってはいけない状況で眠ってしまうこと。「眠り込む」は、深く眠ること。
「眠りほうける」は、眠っていることを否定的にとらえた表現。
「ね-」
「寝る」は複合動詞が多い。「眠る」意味と「横になる」意味とで分けられる。
・「ね-」が「眠る」意味を表すもの
「寝入る」は、(深い)眠りに入ること。「寝込む」は、深く眠ること。また、病気で長く寝付く
こと。「寝静まる」は、人が眠ってしまって、あたりが静かになること。
「寝過ぎる」は、必要以上に長く眠ってしまうこと。「寝過ごす」は、予定の時間よりも長く眠っ
てしまうこと。
「寝そびれる」は、眠りに入れないまま時間が過ぎていくこと。
「寝たりる」は、十分に眠れたこと。否定の形でよく使われる。
「寝付く」は、眠りに入ること。可能形の否定、「ねつけない」、あるいは「ねつかれない」の形
でも使われる。また、病気になって寝たままでいることも言う。
「寝ぼける」は、眠りからはっきり覚めていないこと、さらには、おかしな行動をとること。
「寝違える」は、眠っている間に、無理な姿勢などのせいで体を痛くすること。
「寝かしつける」は、病人や子供などを世話してうまく寝かすこと。
・「ね-」が「横になる」意味を表すものは「姿勢」の「寝る」でとりあげる。
「寝返る」「寝転がる」「寝転ぶ」「寝そべる」
・スル動詞
「居眠りする」は、座った状態で、眠るつもりはないのに眠ってしまうこと。
「仮眠する」は、すぐ起きるつもりで短い時間眠ること。
「熟睡する」は、ぐっすりと深く眠ること。
「冬眠する」は、冬に一部の動物が長くふだんの活動を中止した状態になること。
「うとうとする」は、浅く眠ること。
「うつらうつらする」は、眠気や熱などのために意識がはっきりしない状態。
「こっくりこっくりする」は、居眠りをして、頭が前に傾くことを繰り返す状態。
「朝寝坊する」は、朝遅くまで寝ていて、(予定した時刻に)起きられないこと。
「寝坊する」は、「朝寝坊する」と同じ。
「昼寝する」は、朝起きて活動した後、昼の時間に少し眠ること。
「早寝する」は、いつもの時間より早めに寝ること。
ねむる(眠る) 五(ねむらない・ねむります・ねむって・ねむれば・ねむろう)
[1]〔人・ものガ〕
△ねむりたい ねむりそうだ ねむりかける ねむりはじめる ねむってしまう
ねむってはいけない ねむらないといけない ねむったほうがいい
ねむろうと思う ねむれる ねむらせる ねむらされる ねむれ! ねむるな!
△[すやすや/ぐっすり/うつらうつら/うとうと/ぐうぐう/きもちよく/ふかく]~。
[薬(くすり)/睡眠薬(すいみんやく)/注射(ちゅうしゃ)]で~。
[へや/ベッド/ソファー/たたみ/木の上/床(ゆか)/座席(ざせき)]で~。
・電車ですわっていたら、うとうとして眠りかけ、乗り過ごすところだった。
・ゆうべは、ぐっすり眠ったのでつかれがとれた。
・私の腕(うで)の中で赤ん坊(ぼう)がすやすや眠っているのを見るのは、本当に心が安まる。
・弟が机(つくえ)でぐうぐう眠っているのを見ると、もっと勉強しろ、と思う。
・夫(おっと)はよほどつかれたのだろう。死んだように眠っている。
・小鳥(ことり)が止まり木(とまりぎ)の上で眠っている。よく落ちないものだ。
・しめきりの前の晩は、眠らずに原稿(げんこう)を書いた。
・毎日7時間は眠らないと体によくない。
・疲れ気味(ぎみ)なのでよく眠ろうとしているんだけど、眠れないんだ。何かいい薬はないかな。
・授業中、いちばん前の席で気持ちよさそうに眠られると、教師としてはやる気が出ないよ。
・薬で眠らされ、気づいたら地下室(ちかしつ)に閉(と)じこめられていた。
・ちょっと、コタツで眠っちゃダメ! こら、眠るなー!
[2]〔人・ものガ 所ニ〕
△[安(やす)らかに/永遠(えいえん)に/永久(とわ)に]~。
・「J. S. バッハ ここに眠る 1685-1750」
・我(わ)が友の魂(たましい)よ。安らかに眠り給(たま)え。(=眠ってください)
・海の底(そこ)にはまだ、おおくの資源(しげん)が眠っているはずだ。
・この地下倉庫(ちかそうこ)には、ずいぶん貴重(きちょう)な資料(しりょう)が眠っているそうだ。
・せっかくコンピュータを買ったが、使いこなせる人がいないので、ほこりをかぶって眠っている。
・かれの中に眠っていたプロとしての意識(いしき)が目覚(めざ)めた。
<複合動詞:ねむり->
[ねむりこける] 人ガ
・授業中、ぐっすりと眠りこけてしまった。
・泥酔して電車の中で眠りこけてしまい、気づいたら車庫の中だった。
ぐっすり いぎたなく 不用心に 疲れて 鼾をかいて
[ねむりこむ] 人ガ
・こたつで母をまっているうちにすっかり眠りこんでしまった。
・絵本を読み聞かせていた子供が眠り込んでしまうと、今度は私が本を読んで勉強する番だ。
くたびれ果てて すやすやと そのまま 泣きながら すぐに
[ねむりほうける] 人ガ
・そんなふうに眠りほうけている場合ではない。となりの家がもえているよ。
・年をとると、一日眠りほうけている日が多くなった。これでは頭がぼけてしまう。
安穏に 昏々と 夜となく昼となく
<スル動詞>
[居眠り(いねむり)する] 人ガ
・ひなたで居眠り(を)しているネコを見ていると、本当に平和でいいなあ、と思う。
・こたつでうとうと居眠り(を)していたら、いつのまにか夕方になっていた。
[仮眠(かみん)する] 人ガ
・休憩所で1時間ほど仮眠して、また現場に戻った。(=仮眠をとって)
▽「仮眠をとる」の形がよく使われる
[熟睡(じゅくすい)する] 人ガ
・熟睡しているようだから、起こさないでもう少し寝かしてやろう。
・電車でちょっとウトウトしただけのつもりが、熟睡してしまったらしく、終点で目が覚めた。
[冬眠(とうみん)する] 動物ガ
・クマは冬眠(を)している間ずっと水を飲まないで平気なのだろうか。
・リスって冬眠(を)するんだっけ?
[うとうとする] 人ガ
・春の日を浴びながら、公園のベンチでうとうとしていると、天国だ。午後の授業は休もう!
・湯船に入ってのんびりしていたら、うとうとしかけ、おぼれそうになった。
[うつらうつらする] 人ガ
・日曜の朝、そろそろ起きようかなと思いながら、うつらうつらしているのは最高だ。
・朝から微熱があり、ふとんに入ってうつらうつらしていた。今日が休みでよかった。
[こっくりこっくりする] 人ガ
・電車の中でこっくりこっくりしている人を見ると、お疲れですねえ、と言いたくなる。
・授業中にこっくりこっくりしかかり、あわてて先生を見たら、ニヤニヤしていた。
ねる(寝る)一(ねない・ねます・ねて・ねれば・ねよう)
[1]〔人ガ〕
△ねたい ねそうだ ねてしまう ねてみる ねておく ねてある
ねてはいけない ねてもいい ねないようにする ねたほうがいい
ねようとする ねかせる ねられる ねかせられる ねろ! ねるな!
△[すやすや/ぐっすり/うつらうつら/うとうと/ぐうぐう]~。
[少し/ゆっくり/のんびり/ゆうゆうと/きもちよさそうに/くるしそうに]~。
・毎日何時に起きて、何時に寝ますか?
・あの先生の話を聞いていると、つい寝そうになってしまう。眠くなる話し方なんだよね。
・寝る前にいつも歯(は)と靴(くつ)をみがくことにしている。
・まだ早いよ。子どもたちが寝るまでちょっと待とう。
・やねの上でネコが気持ちよさそうに寝ている。
・明日は試験(しけん)だから、今晩はよく寝ておかないと。
・昨夜よく寝てあるので、今日はぜんぜん眠くない。さあ、徹夜(てつや)でマージャンだ!
・最近よく寝ていないんじゃない? 早く寝たほうがいいよ。
・こんなところで寝たらカゼをひくよ。ちゃんとふとんで寝なさい。(=ふとんに入って)
・運転中に寝ないように、ガムをかみながら運転することにしている。
・明日の試験が心配で寝られない。早く寝ようと思うと、かえって眠れなくなるものらしい。
・子どものころは、早く寝かされて夜のテレビドラマが見られなかった。
・試験中に寝ないでください、先生。いくら試験監督(かんとく)はひまだからって。ねえ、先生。
こら、寝るなー!
・あなたのことを思いながら寝たせいでしょうか。夢で会うことができましたが、夢とわかってい
たなら、覚めなければよかったのに。
・「世の中に寝るよりらくはなかりけり、うき世のバカは起きてはたらく」(昔の文学作品)
(=ねることはいちばんきもちがよい。はたらくのはバカなことだ。)
[2]〔ものガ(所ニ)〕
△[資金(しきん)/機械(きかい)/道具(どうぐ)/原料(げんりょう)]が~。
・寝ている資金(しきん)をもっと生かすように心がけよう。
・高い機械が使われずに寝ている。
・倉庫(そうこ)には使えずにほうってある原料がごっそり寝ている。あれを何とかしないと。
<複合動詞:ね->
[ねいる] 人ガ
・気持ちよい音楽を聴いていたら、つい寝入ってしまった。
・ベビーカーをのぞき込むと、赤ん坊は気持ちよさそうに寝入っていた。
朝方に すぐに 安らかに あっけなく おとなしく 正体もなく 間もなく
[ねこむ] 人ガ
・私はあんまり忙しかったので、とうとう病気になって寝こんでしまった。
・長い間寝込んでいたので、足がすっかり弱ってしまった。
風邪・病気・ショックで しばらく どっと 長いこと 体を壊して 疲れが出て
[ねしずまる] ものガ
・夜中に目がさめた。寝静まった家の中で、時計の音だけがバカに大きく聞こえた。
・村中の家が寝静まった頃、数人の人影が道に現れた。
家々・家の中・村・館が しんと ひっそりと 寒気の底に ~た町・頃
[ねすぎる] 人ガ
・日曜の朝寝過ぎると夜眠れなくなり、結局月曜の朝が大変になる。わかっているんだが。
・芝生で昼寝をしたら寝過ぎてしまい、午後の仕事に遅れてしまった。
[ねすごす] 人ガ
・寝過ごして遅刻しないように目覚ましを二つかけて寝た。
・しまった! うっかり寝過ごした。今日は朝から会議だった!
・春の朝は気持ちがよくて、つい寝過ごしてしまう。「春眠暁を覚えず」と中国の詩人が歌ったよ
うに。
うっかり 気持ちよく ~て遅刻する・会社に遅れる
[ねそびれる] 人ガ
・夜中に地震で目が覚めてしまい、そのあと寝そびれて、なかなか寝つけなかった。
・ふとんの中で仕事のことを考えたらいろいろ気になってきて、寝そびれてしまった。
[ねたりる] 人ガ
・最近疲れているらしい。いくら寝ても寝足りない。
・日曜日は10時まで寝ていたんだが、まだ寝足りない感じがした。
充分 ~ない 何時間寝ても
[ねちがえる] 人ガ
・夕べ、寝違えたらしく、首が痛い。
・枕が替わったせいか、首を寝違えてしまい、目が覚めたとき首が回らなかった。
肩・首を ~て首が回らない
[ねつく] 人ガ
・子どもが寝つくまでしずかにしていてください。
・雨の音が気になって、なかなか寝つけない。
・父は会社の倒産問題がやっと解決すると、その疲れからどっと病の床に寝ついた。(=病気にな
った)
・大会で優勝した日は、興奮してしまってなかなか寝付かれなかった。
・最近いつまでも寝付かれない日が多くなった。年をとったせいだろうか。
[ねぼける] 人ガ
・日曜日の朝、寝ぼけて会社へ行こうとしてしまった。
・授業中に寝ていた学生が目を覚まし、寝ぼけて「え、ここどこ?」と言ったので、皆大笑いした。
~た顔 まだ・半分~ている
<スル動詞>
[朝寝坊(あさねぼう)する] 人ガ
・毎日どうしても朝寝坊(を)して会社に遅刻してしまう。
・朝寝坊(を)しないように、目覚ましを3つかけた。
▽「寝坊する」もほぼ同じ意味
[寝坊(ねぼう)する] 人ガ
・寒い冬はどうしても寝坊(を)してしまう。
・寝坊(を)して学校に遅刻してしまった。
[昼寝(ひるね)する] 人ガ
・夏休みは毎日昼寝(を)した。
・昨日は昼寝(を)しすぎて、夜眠れなかった。
[早寝(はやね)する] 人ガ
・健康のため、早寝(を)しよう。そして、朝は早起きせず、ゆっくり寝よう。
・早寝(を)したいと思っても、どうしても宿題をしておかなければいけない。
ねかす(寝かす)五(ねかさない・ねかします・ねかして・ねかせば・ねかそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ 所ニ〕
△ねかしておく ねかしてある ねかしたほうがいい ねかしてはいけない
ねかそうとする ねかされる
△[少し/ゆっくり/じゅうぶん]~。
△[赤んぼう/子ども/けが人/病人/柱(はしら)/材木(ざいもく)]を~。
・しずかに。やっと赤んぼうを寝かした(=ねむらせた)とこころなんですよ。
・どうすれば授業中(じゅぎょうちゅう)に学生を寝かさないようにできるでしょうか。
・疲れているようだから、ゆっくり寝かしておいてやろう。
・事故(じこ)の後、気が付いたときは、道路の横の草の上に寝かされたいた。
・もっと起きていたいのに、子どもは早く寝なさいとか言われて、早く寝かされる。大人はその後
寝ないで何をやっているんだろうか。
・作業台(さぎょうだい)のまわりには、長い材木が何本も寝かしてあった。
[2]〔人ガ ものヲ〕
△[売れない製品(せいひん)/資金(しきん)/資材(しざい)/酒]を~。
・資金を長い間ねかしておくのはムダだ。
・この計画(けいかく)は少し寝かしておいたほうがいい。
・材料を一晩(ひとばん)ねかすとおいしいいパンができる。
・10年も寝かした梅酒(うめしゅ)だから、おいしい。
<複合動詞:ねかし->
[ねかしつける] 人ガ 人ヲ
・小さい子供たちを寝かしつけるのは、父親であるぼくの楽しい役目だ。
・ある晩、悪夢におびえて目を覚ました私を、母がやさしく寝かしつけてくれた。
赤ん坊を 乳児・幼児を 息子・娘を 絵本を読んで
ねかせる(寝かせる)五(ねかせない・ねかせます・ねかせて・ねかせれば・ねかせよう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ 所ニ〕
△ねかせておく ねかせてある ねかせたほうがいい ねかせてはいけない
ねかせようとする ねかせられる
△[少し/ゆっくり/じゅうぶん]~。
△[赤んぼう/子ども/娘(むすめ)/父/けが人/負傷者(ふしょうしゃ)/病人]を~。
・病人をベッドに寝かせて、脈(みゃく)と血圧(けつあう)を測(はか)った。
・小さな子供たちを寝かせてから、さて、大人の時間だ。
・その辺の長い棒(ぼう)は床(ゆか)に寝かせておいたほうがいい。倒(たお)れるとあぶない。
・柔道場(じゅうどうじょう)に入ると、まずみんな畳(たたみ)の上に寝かせられた。
[2]〔人ガ ものヲ〕
△[売れない製品(せいひん)/資金(しきん)]を~。
・今は資金を動かさない方がいい。しばらくは寝かせておくべきだ。
・この品物はこれから値(ね)が上がるだろうから、少し寝かせておこう。
・パン生地(きじ)は、寝かせておく間にゆっくりふくらみます。
〔3〕起きる・起こす・目覚める
一日の最初の動作である起床に関する動詞をみる。「起きる」「目が覚める」が基本的な表現。
「起きる・起こす」は、自動詞と他動詞の対。「目が覚める・目を覚ます」も自動・他動で対立す
る表現。「目覚める」は、やや書きことば。
「起きる・起こす」の起床以外の用法は「体の動き」を参照。
◇めざめる・めがさめる・めをさます
眠りから「意識が戻る」ことは、「目覚める・目が覚める/目を覚ます」で表す。
人ガ めざめる/めがさめる/めをさます
今朝は6時に 目覚めた/目が覚めた/目を覚ました
目が覚めたが、しばらくふとんの中にいた (ふとんから出なかった)
「目が覚める」が話しことばとして一般的な言い方。「-てくる」をつけた「目が覚めてくる」は、
眠りの後のぼんやりした状態から次第に意識がはっきりしてくることを表す。
さっき目覚まし時計に一度は起こされたんだが、眠くて起きられなかった。それでもだんだ
ん目が覚めてきた
「目を覚ます」は、形は他動詞だが、他への働きかけではなく全体として自動詞相当。
物音で子供が目を覚ました 私は物音で目が覚めた
「目が覚める・目を覚ます」は、どちらもひゆ的な用法として、自分の思いこみや誤りに気づく、
という使い方がある。
「目覚める」はやや書きことば。ひゆ的な用法として、それまで知らなかった物事の価値や意味を
知るという使い方がある。
自我・良心・性・民族意識に 目覚める
◇おきる
「起きる」は「自分の体を起こす」ことであるが、「眠り」を終えて活動を始めることも表す。
「寝る・眠る」に対するもっとも一般的な表現。
人ガ (時ニ) おきる
夜12時に寝て、朝7時に起きる
「目が覚める」こととは別に「ふとん・ベッドから出る」ことも表す。「ものカラ」をとれる。
7時にふとん・ベッドから 起きる
「起きている」は、「起きた結果の状態」であるが、「寝ない」ことも意味する。ふとんの中で本
を読んでいても、「起きていた」と言える。
「起きた?」「うん、起きて(い)るよ」 昨晩は2時まで起きていた
「起きてくる」は、「起きて、(家族のいる所へ)来る」ことを表す。
朝ご飯だよ、起きて来なさーい
◇おこす
「起きる」に対応する他動詞は「起こす」。「(人の)体を起こす」わけではなく、「目覚めさせる」
だけでよい。
人ガ 人ヲ おこす
声をかけて/ドアをたたいて/体を揺さぶって 子どもを起こした
強力な目覚まし時計が起こしてくれる
「起きる」の使役形「起きさせる」は、「自分で起きる」ことをさせる、という意味合い。
子供を起こしてやるのではなく、子供に自分で起きさせるようにするのがよいしつけだ
「起こす」の受身形は「起こされる」。使役形は「起こさせる」で、「人ガ 人ニ 人ヲ 起こさせる」
という形になる。受身使役形は「起こさせられる」。
母・目覚まし時計に 起こされる (母が私を起こす)
母親が姉に弟を起こさせた (姉が弟を起こす)
姉は毎朝弟を起こさせられる (母に言われて姉が弟を起こす)
・複合動詞
「起き出す」は、寝ていたふとんやベッドから起きて出ること。
・スル動詞
「起床する」は、寝ているところから起きて出ること。書きことば。
「早起きする」は、朝早く起きること。
おきる(起きる)一(おきない・おきます・おきて・おきれば・おきよう)
[1]〔人ガ〕
△おきかける おきてほしい おきてみる おきてはいけない おきてしまう
おきなくてはいけない おきさせる おきられる おきろ! おきるな!
△[早く/すぐ/いつもどおり/さっと/ぐずぐず/ゆっくり]~。
△[赤ちゃん/子供(こども)/母親(ははおや)/おじいさん/ねこ]が~。
・私は毎朝7時に起きます。
・7時半にはいつも起きています。
・そろそろ赤ちゃんが起きそうだから、いっしょに買い物に行こうかな。
・朝目が覚めて、起きかけたんだけど、もうちょっと寝てようと思ってたら、また眠っちゃった。
・朝早く流れ星(ながれぼし)が見られるという話で、5時に起きたいと思ったがむりだった。
・子供が起きるといけないから、大きなこえを出さないでください。
・ゆうべは2時まで起きていたので、けさは6時に起きられなかった。
・夫は目が覚めているらしいのだが、なかなか起きてこない。(起きて、食堂に来ない)
・帰宅(きたく)が夜中になってしまったので、妻が起きないようにそっとカギを開けた。
・今日は6時に起きようと思ったが、目が覚めたら8時だった。
・おさけをのみすぎて、けさは起きようにも、起きられなかった。(起きようとしても)
・もう昼の12時だよ。いい加減に起きろよ。
・私は子供がころんでも、起こさないで、自分で起きる(=起き上がる)のをまつことにしている。
・病気で寝ていた母が、ベッドの上で起きていられるようになった。
・無理(むり)をして起きるな。疲れて倒(たお)れたんだ。一日ゆっくり休んでいろ。
<複合動詞:おき->
[おきだす] 人ガ
・父はいつも5時ごろまでには起き出して、庭のそうじをしたりする。
・今日は日曜日、妹は11時になっても起きだしてこない。
床を 床から 昼過ぎに こっそり 寝巻きのまま 夜中にそっと
<スル動詞>
[起床(きしょう)する] 人ガ
・この寮に、この時間までには起床しなければならない、という時間はありますか。
・合宿の間は、毎日6時に起床した。今考えると、信じられない。
[早起き(はやおき)する] 人ガ
・今朝、早起き(を)して散歩したら、財布を拾った。
・早起き(を)すると、夜眠くなり、早寝することになっていい。
おこす(起こす)五(おこさない・おこします・おこして・おこせば・おこそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
△おこしかける おこしてほしい おこしておく おこしてはいけない おこしてしまう
おこさなければならない おこさせる おこされる おこせ! おこすな!
△[ゆっくり/そっと/ぐいと/力いっぱい/らんぼうに/むりに]~。
△[子ども/妹(いもうと)/おじいさん/病人(びょうにん)]を~。
・毎朝小さな妹を起こすのは私の役目(やくめ)です。
・明日は6時に起きたいんだけど、起こしてくれる?
・眠っている子どもを起こさないように(=目ざめさせないように)しずかに窓(まど)をあけた。
・夜中にまちがい電話で起こされた。まったくめいわくな話だ。
・この子は起こされるまで寝ているんだから、朝のいそがしい時はほんとうにこまる。
めざめる(目覚める) 一(めざめない・めざめます・めざめて・めざめれば)
[1]〔人ガ ものカラ/ニ〕
△めざめそうだ めざめている めざめないようにする めざめさせる
△[ゆっくり/少しずつ/次第(しだい)に/気持ちよく/すっきりと/はっと/はっきり]~。
△[眠り/夢(ゆめ)/催眠術(さいみんじゅつ)/昏睡(こんすい)]から~。
[本能(ほんのう)/愛(あい)/現実(げんじつ)/自由(じゆう)/祖国愛(そこくあい)]に~。
・けさは涼しくて、気持ちよく目覚めました。
・赤ん坊(あかんぼう)が目覚めたらしい。となりの部屋(へや)からかわいい声が聞こえる。
・朝、眠りから目覚めたときに、夢を覚(おぼ)えているかどうかは日によって違う。
・世間(せけん)知らずの彼も、やっと現実のきびしさに目覚めたようだ。(=きびしさを知った)
・高校生になって社会問題に目覚めて、急に新聞や本を読み出した。
・私が性に目覚めたのは、小学校6年の秋だった。担任(たんにん)の先生が好きになったのだ。
[2]〔ものガ〕
・私の自我(じが)が目覚めたと言えるのは、中学三年の春のことだった。
・その時、私の中に眠っていた本能(ほんのう)が目覚めたようだった。
・子供を産むと母性(ぼせい)本能が目覚める、などというのは神話(しんわ)にすぎない。
めがさめる(目が覚める)一(さめない・さめます・さめて・さめれば)
[1]〔人ガ ものカラ〕
△さめそうになる さめてしまう
△[ゆっくり/少しずつ/次第(しだい)に/気持ちよく/すっきりと/はっと/はっきり]~。
・朝、目が覚めたときにいつも思うのは、今日が休みだったらいいのになあ、ということだ。
・三十分も前から目は覚めているのだが、なかなか起きる気にならない。
・けさは6時に目が覚めた。目が覚めてからしばらくふとんの中にいた。起きたのは7時近くだ。
・今日は6時に起きようと思ったが、目が覚めたら8時だった。
・ぜったいに目が覚めるような、超(ちょう)強烈(きょうれつ)な目覚まし時計(めざましどけい)を
買ってきた。
・ゆみ子にキスしようとしたところで目が覚めた。何だ、夢だったのか。
・目が覚めるような(=びっくりするほどの)きれいな朝焼(あさや)けだ。
・お話をうかがって目が覚めました。(=自分のまちがいがわかった)
・今までこの商売(しょうばい)で大金持ちになれるというような夢を見ていたが、夢から(目が)覚
めて見ると、現実(げんじつ)はそんなに甘くないことがわかった。
めをさます(目を覚ます)五(さまさない・さまします・さまして・さませば)
[1]〔人ガ ものカラ〕
△めをさましてほしい さまさないようにする さまさせる
△[ゆっくり/少しずつ/次第(しだい)に/気持ちよく/すっきりと/はっと/はっきり]~。
・いつも目覚ましをかけて、6時には目を覚ますようにしている。それから、その日の仕事をあれ
これ考えて、頭がはっきりしてきてから起き出す。
・夜中(よなか)に地震(じしん)があって、家族(かぞく)みんな目を覚ました。
・赤ん坊が目を覚まさないように、静かな声で妻(つま)と離婚(りこん)の相談(そうだん)をした。
・夢(ゆめ)の中で、これは夢だ、早く目を覚まさなくちゃ、今日は朝早くから出張(しゅっちょう)
だ、などと思って目を覚ますと、まだ夜中(よなか)の3時だったりする。
◇はたらく
「働く」は、人が社会の中である役割を果たして、社会の存続・発展に貢献する行動。
また、個人の生活を支えるための物資・金銭を売るための行動。場所は「所デ」で示す。
人ガ はたらく
毎日会社で働く 畑で働く
ふだんの話しことばでは、「働く」と共に「仕事をする」という表現が多く使われる。
もうちょっと仕事をしてから寝る
ひゆ的に、ものがある機能・作用を持つことを言う。
ものガ 働く
ビタミン・自動装置・遠心力が 働く 頭・カンが 働く
人が反社会的な行動を取ること。ヲ格をとり、他動詞の用法になる。
人ガ ものヲ 働く
悪事・盗み・詐欺を 働く
・複合動詞
「立ち働く」は、体をよく動かして働くこと。
・スル動詞
「作業する」は、体や頭を働かせて一定の手順で仕事をすること。
「残業する」は、決められた仕事時間以上に働くこと。
「共働きする・共稼ぎする」は、夫婦が二人とも働き、収入があること。
「バイトする」は、学生または職業を持つ人が、別の仕事をして収入を得ること。
◇つとめる
「勤める」は、ある組織に属し、その組織のために働き、そこから収入を得ること。場所は、そこ
に所属するという意味合いで「所ニ」で示す。「働く」との違いに注意。
人ガ ものニ つとめる
船会社に勤め、船で働く
また、ある役割を果たすという意味に使われる。(表記は「務める」)
会議の議長を務める
・複合動詞
「勤め上げる」は、勤めているところの仕事を予定の期間の終わりまできちんとすること。
・スル動詞
「勤務する」は、あるところに勤めて働くこと。
「就職する」は、ある企業などに雇われること。
◇つとまる
「勤める」の二つの用法に対応する自動詞として「つとまる」がある。(「勤まる・務まる」)
その会社、その役割で働き続けることができること。「できる」と同様に、人をニ格にとる。
人ニ ものガ つとまる
あの会社なら、君でも勤まる 私にはこの役は務まらない
はたらく(働く)五(はたらかない・はたらきます・はたらいて・はたらけば・はたらこう)
[1]〔人ガ (所デ)〕
△はたらきたい はたらいてみる はたらかなくてはいけない はたらくべきだ
はたらけない はたらかせる はたらかされる はたらこうと思う はたらけ!
△[まじめに/ねっしんに/こつこつと/黙々(もくもく)と/汗水(あせみず)たらして]~。
[楽しく/元気よく/楽しそうに/のんきに/気楽(きらく)に/夢(ゆめ)を持って]~。
[いやいや/しかたなく/あくせく/疲れ切って/やめたいと思いながら]~。
[毎日毎日/来る日も来る日も/夜中まで/死ぬまで/残業(ざんぎょう)して]~。
[ひとり/パート/日雇(ひやと)い/アルバイト/住み込み/無給(むきゅう)]で~。
[家族(かぞく)の/子どもの/社会の/お金の/生きる/食べていく]ために~。
[会社/工場/デパート/現場(げんば)/海/都会(とかい)/いなか/島(しま)]で~。
・もっと働きやすい職場(しょくば)で働きたい。
・父は貿易会社(ぼうえきがいしゃ)で30年間働いていた。
・明日からはまじめに働きますから、首(くび)にしないでください、社長!
・こんどのしごとではきみによく働いてもらったので、大いにたすかったよ。
・働かずにすむものならそうしたいのだが、働かないと、食べていけない。
・こんな残業の多い会社ではとても働けない。どこかまともな会社に転職(てんしょく)したい。
・むかしの人は朝から晩(ばん)まで働かされたが、それが当然だと思わされていた。
・就職難(しゅうしょくなん)のこの時代、働かせてもらうだけでもありがたいと思わないといけな
いのかもしれないが、「給料分は働け!」と言われるほどもらってはいない。
・以前は自分のために働いていたが、これからは人のために働こう、と思った。
・働いても働いても、私の暮(くら)しは楽(らく)にならない。どうしたらいいんだろう。
・「働かざる者、食(く)うべからず。」とある人が言ったそうだ。まったくだ。
[2]〔ものガ〕
△[頭/知恵(ちえ)/勘(かん)/直感(ちょっかん)/理性(りせい)/自制心(じせいしん)]が~。
[機械(きかい)/ブレーキ/警報装置(けいほうそうち)/自動(じどう)スイッチ]が~。
・きょうは寝不足(ねぶそく)で頭がよく働きません。
・ちょっと頭を働かせればわかることじゃありませんか。
・あの人は勘がよく働く人で、何か変わったことがあると、すぐ気がつく。
・酒に酔(よ)うと自制心が働かなくなり、ついバカなことをやってしまうから気をつけよう。
・この中にニセモノのお医者さんがいます。勘(かん)を働かせて見つけ出してください。
・あの男はじつに悪知恵(わるじえ)の働くやつだ。
・この建物(たてもの)は火事があるとすぐにスプリンクラーが働くようになっています。
・ATSが働いて電車がとまり、事故(じこ)を未然(みぜん)に防(ふせ)いだ。
[3]〔ものガ ものニ〕
△[引力(いんりょく)/遠心力(えんしんりょく)/影響力(えいきょうりょく)]が~。
・地球上(ちきゅうじょう)のすべての物に引力(いんりょく)が働いている。
・器械(きかい)が回転(かいてん)すると、その中のものに遠心力が働き、落ちなくなるわけです。
・この薬の効き目が胃腸(いちょう)によく働いて、症状(しょうじょう)がよくなるはずです。
・ボスの力が弱くなり、若い連中(れんちゅう)に対して影響力が働かなくなっているようだ。
・上からの力が各部署(かくぶしょ)に働いて、無謀(むぼう)なプロジェクトがスタートした。
[4]〔人ガ ものヲ〕
△[悪事(あくじ)/すり/盗(ぬす)み/強盗(ごうとう)/恐喝(きょうかつ)/ゆすり/犯罪行為(は
んざいこうい)/不正(ふせい)/無礼(ぶれい)]を~。
・その男は今までに20回もいろいろな所で盗みを働いていたらしい。
・いちど犯罪行為を働くと、その事になれてしまうらしい。
・酔っぱらいが駅員に乱暴(らんぼう)を働いたとして警察(けいさつ)につかまった。
・このカンダタという男は、いろいろ悪事を働いた大どろぼうでございます。
<複合動詞:-はたらく>
[たちはたらく] 人ガ
・中をのぞいてみると、店の中は満員で、店員が忙しそうに立ち働いていた。
・毎日こまめに立ち働いている職員さんたちを見ていると、大変だなあと思います。
従業員・主婦・店員が こまめに あわただしく 忙しく きびきびと せわしく
<スル動詞>
[作業(さぎょう)する] 人ガ
・災害現場では、多くの人が復興のため、作業(を)していた。
・午後はずっと外で作業(を)していたので、日に焼けてしまった。
[残業(ざんぎょう)する] 人ガ
・このところ、毎日3時間ぐらい残業(を)している。
・夜遅くまで残業(を)させられて、くたくただ。
[共稼ぎ(ともかせぎ)する] 人ガ(人ト)
・ご主人と共稼ぎ(を)していて、お子さんもまだだからお金を使うひまがないんだって。
[共働き(ともばたらき)する] 人ガ(人ト)
・主人と二人で共働き(を)してお金を貯めようと思っている。
・あの夫婦は共働き(を)していて、子どもはお母さんに見てもらっているそうだ。
[バイトする] 人ガ
・バイト(を)して学費を出そうと思ったのだが、思ったよりずっと大変だった。
・一週間に4日はバイト(を)しないと生活費が足りない。
つとめる(勤める・務める) 一(つとめない・つとめます・つとめて・つとめれば・つとめよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
△[会社/役所(やくしょ)/銀行(ぎんこう)]に~。
△つとめたい つとめつづける つとめなければならない つとめようと思う
つとめさせる つとめられる つとめさせられる
△[まじめに/真剣(しんけん)に/しっかり/ずっと/何とか/誠心誠意(せいしんせいい)]~。
・兄はコンピュータの会社に勤めています。
・わたしは学校を出てから三年ぐらい建設会社(けんせつがいしゃ)に勤めていました。
・前はもっと有名な会社に勤めたいと思っていたけれど、今はこの会社にずっと務め続けたいと思
っています。
・いい加減(かげん)な会社に勤めれば、いい加減な人間になってしまう。会社選びは大切だ。
・息子(むすこ)は、一度他の会社に勤めさせていろいろ経験をさせ、何年かたったら私の会社で働
かせようと思っている。
・音楽関係の仕事をしたかったのだけれど、大学を出たら、父の会社に勤めさせられた。
[2]〔人ガ ものヲ〕
△[司会(しかい)/議長(ぎちょう)/大役(たいやく)]を~。
・わたくしは今日議長を務めます中山でございます。どうぞよろしく。
・本日(ほんじつ)の会は、わたくしが司会を務めさせていただきます。
・きみがあんな大役を務めることができるなんて、すごいね。
<複合動詞:つとめ->
[つとめあげる]
・定年まで40年勤め上げて、これだけの退職金で放り出されるのか。
・会社を移ることもなく、最後まで無事に勤め上げ、老後ののんびりした生活に入った。
一生・大役・二年の刑期・年季を 定年まで 無事に 無難に 大過なく
<スル動詞>
[勤務(きんむ)する] 人ガ 所ニ
・東京銀行の新宿支店に勤務(を)しています。
・この、ちょっと変わった能力のある新人をどこに勤務させようかと考えた。
[就職(しゅうしょく)する] 人ガ ものニ
・学校を卒業して、会社に就職(を)した。
・親のコネで一流企業に就職(が)できたが、仕事がきつくてすぐ止めてしまった。
つとまる(勤まる・務まる)五(つとまらない・つとまります・つとまって・つとまれば)
[1]〔人ニ ものガ〕
△つとまりそうだ つとまりそうもない つとまるといい つとまらないかもしれない
△[うまく/何とか/問題なく/大過(たいか)なく]~。
[ぜんぜん/まるで/とても/まったく]つとまらない
△[仕事(しごと)/役(やく)/任務(にんむ)]が~。
・あの会社なら君でも勤まるよ。のんびり働いてくれ。
・わたしにはこんな大切な役職(やくしょく)は務まりません。 (=つとめられない)
・そんな考え方ではこの仕事は務まらないよ。 (=つとめられない)
◇あそぶ
「遊ぶ」は、人がしなければならないことをせず、好きなことをして時間を過ごすこと。「仕事を
しない」「勉強をしない」こと。具体的に何をするかは、多くの場合「~で遊ぶ」か「~をする」と
いう形で表す。
人ガ あそぶ
会社を辞め、毎日遊んでいる
カードで遊ぶ ゲームをして遊んでいる 絵を描いて遊ぶ
一人でも遊べるが、「人ト」の例も多い。
友達と遊ぶ 兄弟で遊ぶ
場所は「所デ」で示す。「所ニ」は古い用法で、「その地を旅行・見物する」意味になる。
部屋・公園で 遊ぶ
京都に遊ぶ
ひゆ的な用法で、ものについて、「有効に利用されていない」という意味を表す。
ものガ あそぶ
土地・資金が 遊んでいる
最近の用法で、「もの/所ヲ 遊ぶ」という形が使われる。まだ一般的な使い方ではない。
ゲームを遊ぶ 盆栽を遊ぶ
東京を遊ぶ
受け身の「遊ばれる」の形で、「人ガ 人ニ 遊ばれる」となると、「相手が本気でなく、楽しみ
の対象として扱われる」というような意味合いになる。
おまえは本気でも、結局遊ばれているだけだよ。
類義の対立するような語はない。具体的な行為を表す「~(を)する」という表現と対立する。
トランプをする テニスをする
・複合動詞
「遊び飽きる」は、長く(何度も)遊んで、遊ぶことに飽きること。
「遊び歩く」は、娯楽・買い物などのために外出し、あちこち歩き回ること。
「遊び暮らす」は、何も仕事・勉強などをせずに毎日遊んだり、ぶらぶらしたりして過ごすこと。
「遊びほうける」は、遊びに夢中になってすべてのことを忘れてしまうこと。
「遊び回る」は、次から次へと場所を変えて遊ぶこと。
◇たわむれる
「たわむれる」は、人と楽しそうにふざけあって遊ぶこと。
人ガ 人・ものト たわむれる
子ども・ペットと たわむれる
◇ふざける
「ふざける」は、冗談を言ったり、おかしなことをして人を笑わせたり、からかったりすること。
名詞修飾で「ふざけた」は、人を馬鹿にするような、という意味になる。
人ガ ふざける
子どもがふざけて騒ぎ回る ふざけたことを言うな!
・スル動詞
「ぶらぶらする」は、すべき仕事・勉強などをせず、遊んで時間を過ごすこと。特に目的もなく、
のんびりと歩くこと。
あそぶ(遊ぶ)五(あそばない・あそびます・あそんで・あそべば・あそぼう)
[1]〔人ガ (ものデ)〕
△あそびたい あそんでほしい あそんでみる あそんでもらう あそんではいけない
あそばなくてはいけない あそばせる あそぼうとする あそべ! あそぶな!
△[たのしく/毎日/のんびり/気楽に/すきなように/時間を忘れて]~。
[人形(にんぎょう)/おもちゃ/パソコン/ゲーム/カード/プラモデル]で~。
・もっと遊びたいけど、勉強もしないと。
・子どもは、おもちゃよりは大人(おとな)のどうぐで遊びたがる。
・子ども時代は、精一杯(せいいっぱい)遊んでほしいと思います。(親が子どもに)
・この子は男の子だけれど人形で遊ぶのがすきだ。
・道で遊ぶとあぶないよ。向こうの公園(こうえん)で遊んだほうがいいよ。
・ねえ、いっしょに遊ぼうよ。
・こんな所で遊んじゃあぶないよ。(あそんじゃ=あそんでは)
・せっかく大学に入ったのに、勉強(べんきょう)せずに遊んでばかりいた。
・山田さんは1年も前に大学を出たのにしごとをしないで、ぶらぶらと遊んでいる。
・いくらしごとがないとは言っても、あしたから遊んでくらすわけにもいかない。
・我(われ)と来て遊べや親のないすずめ (小林一茶の俳句)
[2]〔ものガ〕
△[土地(とち)/資金(しきん)]が~。
・せっかく高いコンピューターを買ったが、うまくつかえる人がいないので、遊んでいる。
・ひだり手が遊んでいるぞ。(ただしく動かしていない)
・こんないい土地を遊ばせておくのはもったいない。有効利用(ゆうこうりよう)すべきだ。
<複合動詞:あそび->
[あそびあきる]人ガ
・浦島太郎は竜宮城で遊び飽きてしまい、家に帰ることにしました。
・もう新宿(しんじゅく)も遊びあきた。この次からは池袋(いけぶくろ)を遊び歩こう。
[あそびあるく] 人ガ 所ヲ
・その頃の私は、毎晩新宿あたりを遊び歩いていた。
・仕事をやめて、何年間かあてもなく南米を遊び歩いていたとき、彼と出会った。
あたりを 外を あてもなく 男とちゃらちゃら
[あそびくらす] 人ガ (時ヲ)
・彼は毎日仕事もせずに遊び暮らしているそうで、うらやましい話です。
・ぶらぶら遊び暮らして一生を過ごせればいいのだが、そうもいかない。
半年を 豪勢に のんべんだらりと ぶらぶら 仕事もせずに
[あそびほうける]人ガ
・うちの息子は浪人のくせに、ちっとも勉強しないで毎日遊びほうけている。
勉強もしないで のらくらと
[あそびまわる]人ガ 所ヲ
・若いころはあの男といっしょにずいぶんあちこち(を)遊び回ったものだ。
<スル動詞>
[ぶらぶらする] 人ガ
・一年ぐらい、何もしないでぶらぶらしていたいが、そうも行かない。
・入試が終わってから一週間ぐらい、どこにも行かず、家でぶらぶらしていた。
・林の中をぶらぶらしていたら、タヌキに出会った。
たわむれる(戯れる) 一(たわむれない・たわむれます・たわむれて・たわむれれば・たわむれ
よう)
[1]〔人ガ 人・ものト〕
△たわむれたい たわむれてはいけない たわむれてばかりいる
△[ときどき/いつも/のんびり/気楽(きらく)に/自由に/軽く]~。
△[子ども/ペット/ネコ/犬/波(なみ)]と~。
・ペットとたわむれる妻(つま)を見て、いつまでも若いなあ、と思う。
・庭の芝生(しばふ)で子供たちがたわむれている。平和(へいわ)なひとときだ。
・浜辺(はまべ)でカニとたわむれるなんて、誰かみたいだ。
・ヨットが風とたわむれるようにして軽快(けいかい)に海の面(おもて)を滑(すべ)っていく。
ふざける 一(ふざけない・ふざけます・ふざけて・ふざければ・ふざけよう)
[1]〔人ガ〕
△ふざけてはいけない ふざけてばかりいる ふざけるな!
△[無邪気(むじゃき)に/仲(なか)よく/しきりに/いつまでも/しつこく]~。
・自転車に乗ってふざけていたら、車にぶつかりそうになった。あぶない、あぶない。
・子どもと犬がふざけてじゃれあっている。平和な一時だ。
・いつまでもふざけてばかりいないで、仕事をしっかりやれ。
・ふざけたことを言うな。
・ふざけたまねをすると、ただじゃおかないぞ!
〔6〕休む・休める
人の休息に関する動詞表現を見る。「休む」と、形が対応する「休める」の2語である。「休」を
要素とするスル動詞が多い。対象を語の中に含むものがある。
◇やすむ
「休む」は、疲れた体を動かさず、次の活動のための力を回復させること。精神的な疲労にも使う。
人ガ 休む
昼休みにゆっくり休む 木陰で休む
使役形「休ませる」は、人に対して使う以外に、自分の体にも使う。
人ガ 人・ものヲ 休ませる
選手を休ませる(選手が休む) 頭・目を休ませる(「頭が休む」とは言わない)
・場所の「デ/ニ」
休むための場所は「所デ」で示すのが基本。「所ニ」は文学的な表現になる。
木陰で休む あちらの部屋で休んでください 木陰に休む
・時間の表現
休む時間の長さ 10分休む 12時から1時まで休む
日の指定 毎週日曜日に休む
範囲の設定 1年で/に 10日休むことができる
・対象のヲ
「休む」は他動詞としての用法もある。「ものヲ」は、すべきこと・その場所などを示す。
人ガ ものヲ 休む
会社・学校を 休む 入学式・忘年会を 休む 仕事・勉強を 休む
名詞の所に「文ヲ」をとりうる。
日記をつけるのを休む
この「ものヲ」の範囲が拡張され、次のような使い方もなされるが、まだ一般的ではない。
期間 正月を休む 人生を休む
立場 大人・女・主婦を 休む
・スル動詞
「休憩する」は、短い時間、休むこと。
「休学する」は、病気・留学などで、手続きをとって長期間学校を休むこと。
「休業する」は、会社・商店などが営業を休むこと。
「休講する」は、教師が大学の講義などを、その時限、臨時に休みにすること。
「休職する」は、病気などのため、届け出て勤務を長期間休むこと。
「休戦する」は、交戦国が合意の上で、戦闘を一時的に中止すること。
「欠席する」は、病気や用事などで学校を休むこと。
◇やすめる
「休める」は、体の部分を対象とする他動詞。人に対しては「休ませる」が使われる。
人ガ ものヲ 休める
頭・目を 休める
疲れているようなので、選手たちを休ませた
「兵を休める」という言い方は、かなり硬い書きことば。
・スル動詞
「休息する」は、仕事などをやめて心身をやすめること。
「休養する」は、比較的長い時間体を休めること。
やすむ(休む)五(やすまない・やすみます・やすんで・やすめば・やすもう)
[1]〔人ガ〕
△やすみたい やすみがちだ やすんだほうがいい やすむべきだ やすめる
やすませる やすまれる やすませられる やすもうとおもう やすめ! やすむな!
△[へや/家/控え室(ひかえしつ)/休憩室(きゅうけいしつ)/待合室(まちあいしつ)/喫茶店
(きっさてん)/あちら]で~。 [ベッド/ベンチ/木陰(こかげ)]で~。
△[ゆっくり/のんびりと/こっそり/持ち場をはなれて]~。
・ここで10分ぐらい休みましょう。
・仕事(しごと)がひとくぎりついたからちょっと休もう。
・一段落(いちだんらく)ついたから、ちょっと休んで、おちゃでも飲もう。
・さあ、これで仕事は終りだ。あしたからしばらくはゆっくり休んでください。
・あの木の下ですこし休んでもいいですか。もうつかれました。
・今日はいそがしくて、休むひまがぜんぜんなかった。
・休みたいのだけれど、私が休むとみんなに迷惑(めいわく)がかかるから、休めない。
・リーダーの田中さんに休まれたら、仕事が進まないよ。お願いだから休まないで。
[2]〔人ガ ものヲ〕
△〔学校/授業(じゅぎょう)/仕事/会社/店/作業(さぎょう)/当番(とうばん)〕を~。
・子どもが学校へ行きたくないと言い出して、さいきん(学校を)休みがちだ。
・一度休みはじめると、また出て行くのがいやになってしまう。
・彼女はかぜでもう一週間も学校を休んでいる。あまり休むと授業が分からなくなるのだが...。
・母の病気がきゅうに悪くなったので、勤(つと)めを休んで母を病院につれていった。
・田中さんが研究会(けんきゅうかい)を休むなんて、めずらしい。
・お父さん、こんなに働きづめじゃ病気になっちゃうわ。たまには(会社を)休んだら?
・ずいぶん疲れているようだったので、コーチは選手に練習(れんしゅう)を休ませた。
・あのう、あしたの卒業式は休ませていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
・私は学校に行きたかったのに、親に休ませられた。
・きみは学校を休みすぎるよ。休めば休むほど、いっそう行きたくなくなってしまうよ。
・パソコンを使うときは、ときどき目を休ませたほうがいい。
〔人ガ 文のヲ〕
・母のぐあいがよくないので、しごとに行くのを休んで家にいることにした。
・目がつかれてきた。ワープロを打つのを少し休んだほうがいいようだ。
・毎日ジョギングをしているが、今日は疲れていたので走るのを休んだ。
<スル動詞>
[休学(きゅうがく)する] 人ガ (ものヲ)
・大学を休学して、外国で働いた。
・高校の時、病気で一年間休学しました。
[休業(きゅうぎょう)する] 人・ものガ / 人ガ ものヲ
・仕事につかれてきたので、1年休業(を)します。
・駅前のラーメン屋はしばらく休業(を)していたが、また営業し始めた。
・映画に出るのでテレビのお仕事は休業させていただきたい、と女優は言った。
[休憩(きゅうけい)する] 人ガ
・「あと少しで終わりですから、休憩(を)しないで続けますか?」
「いや、少し休憩(を)してからにしましょう」
[休講(きゅうこう)する] 人ガ ものヲ
・かぜで熱が出たため、今日の授業は休講した。(休講にした)
▽「休講にする」の形がよく使われる。
[休職(きゅうしょく)する] 人ガ ものヲ
・精神的な病気のために休職せざるをえない人が増えている。
・一年間休職して、人生を考え直してみた。
[休戦(きゅうせん)する] ものガ ものト
・休戦(を)していた両国がふたたび戦争を始めた。どこまでおろかなのか。
・戦闘が一時的に収まり、クリスマスは休戦(を)することになった。
[欠席(けっせき)する] 人ガ ものヲ
・頭がいたいので、会議を欠席することにした。
・どうしてもはずせない用事があって卒業式を欠席せざるをえなくなった。
やすめる(休める)一(やすめない・やすめて・やすめれば・やすめよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△やすめたい やすめておく やすめてはいけない やすめたほうがいい
やすめなければならない やすめられる やすめさせる やすめさせられる
やすめようとする やすめろ! やすめるな!
△[ゆっくり/のんびり/ゆったりと/ときどき/何回も/しばらく/長い時間]~。
△[手/あたま/神経(しんけい)/体(からだ)/足/機械(きかい)/はし]を~。
・疲(つか)れたので、ベッドによこになって体を休めました。
・疲れた目を休めるには、目をとじてじっとしているか、とおくのみどりをながめるのがよい。
・つかれた頭を休めるために音楽(おんがく)を聞いた。
・機械も休めたほうがいいので、ひる休みにはスイッチを切ってください。
・父は手にもっていたペンを休めて(=書くのをやめて)、母のほうをふりむいた。
・木々(きぎ)の緑(みどり)に眼(め)を休めた。
<スル動詞>
[休息(きゅうそく)する] 人ガ
・木のかげで休息(を)していたら、眠ってしまったらしい。いい夢を見た。
・山道の見晴らしのいいところで休息(を)した。さわやかな風が気持ちいい。
[休養(きゅうよう)する] 人ガ
・正月休みはゆっくり休養(を)した。
・「あなたは働き過ぎです。少し休養(を)する必要があります。」なんて言われてみたい。
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