日本語動詞文型用例辞典        →意味別動詞分類へ      →五十音順indexへ



                                ま え が き


  この本は、日本語教育のために、現代日本語の動詞の用例を文型別にまとめ、かんたんな意味用法
の解説をつけた動詞辞典です。
 

  この辞典の特徴は、次のような点にあります。
  1.動詞を意味で分類し、まとめたこと
    一般動詞・複合動詞・スル動詞(サ変動詞)を意味別にまとめて記述しました。つまり、意味
   の近い動詞がすぐそばに並べられています。これによって、一般の動詞と複合動詞・スル動詞
   の関連が見えてきます。反対語もなるべく近くに置くようにしました。
    また、自動詞と他動詞の対を並べて記述するようにしました。たとえば、「はいる」と「い
   れる」がすぐ続けて並べられているので、用法を比較するのに便利です。
     2.動詞の語数が多いこと
    これまでの動詞(用法/用例)辞典は、語数が少なく、ある動詞を引いてみると載せられてい
   ない、ということが多くありました。もちろん、日本語のすべての動詞を載せることは、用例
   を多くすることが目的のこの種の辞典では無理があります。
            この辞典では、複合動詞・スル動詞の記述をかんたんにし、できるだけ多くの動詞を載せよ
   うとしました。特に、複合動詞を多く集めることを目標にしました。スル動詞は、はるかに数
   が多く、もっと載せたかったのですが、ある程度のところであきらめざるをえませんでした。
   それでも、全体の動詞数は四千を超えているので、これまでのものより多くなっています。
    なお、複合動詞は、二か所以上でとりあげられているものが多くあります。例えば、「押し
   倒す」は、「押す」の項目と「倒す」の項目の両方に例文があります。これは、全体の分量を
   増やしてしまうのですが、そのほうが利用者には便利だろうと考えました。
  3.記述のしかたを「二重構造」にしたこと
    この辞典は、利用者を二つの層に分けて考え、それぞれに対する書き方を変えています。
    中級以上の学習者を対象にした、やさしく書かれた部分と、上級以上・日本語教師を対象と
   考えて書かれた部分があります。
    辞典本文の内容は、意味で分類した動詞のグループごとにかんたんな意味用法の解説をした
   部分と、動詞項目として用例を文型ごとにまとめたものに分かれています。
    用法の解説は、日本語教師および上級学習者用として書かれています。
    動詞項目の用例には、漢字に読みがなをつけたものと、そうでないものがあります。
    一般動詞の用例には、中級学習者用として、多くの漢字に読みがなをつけて読みやすくして
   ありますが、複合動詞とスル動詞には読みがなをつけてありません。これらの動詞を調べる学
   習者は、ある程度以上の漢字の知識があるものと考えました。

    以上の方針は、徹底していないところもありますが、ご容赦下さい。
   この辞典が、日本語教育のために何ほどかのお役に立てたら幸いです。  

                                                                       庭 三郎

inserted by FC2 system