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◇感情2◇
笑う 笑い返す 笑いかける 笑い崩れる 笑いこける 笑い転げる
笑いすぎる 笑い出す 笑い続ける 笑い飛ばす 吹き出す
苦笑いする にっこりする にこにこする にやにやする にんまりする
ほほえむ 微笑する
泣く 泣き明かす 泣き落とす 泣き崩れる 泣き暮らす 泣き叫ぶ
泣きじゃくる 泣き出す 泣き疲れる 泣きつく 泣きはらす
泣き伏す 泣きやむ 泣き別れる 泣きわめく 忍び泣く すすり泣く
めそめそする
嘆く 嘆き明かす 嘆き悲しむ 嘆き暮らす
がっかりする 失望する
しょげる
弱る 弱り切る 弱り果てる 打ちしおれる うち沈む うちひしがれる 沈み込む
飽きる 遊びあきる 聞きあきる 着あきる 食べ飽きる 見あきる
退屈する 飽き飽きする
焦る
慌てる 慌てふためく 取り乱す
まごつく 動揺する おたおたする おろおろする まごまごする
心配する 懸念する 警戒する
安心する 油断する
気になる 気にする
気にかかる 気にかける
◇わらう
「笑う」は、人がうれしい時、おかしい時に目を細め、口をゆるめて軟らかい表情を見せること。
声を立てることも多い。その声や笑い方の違いをオノマトペで表すことが多い。
人ガ わらう
あはは/いひひ/うふふ/えへへ/おほほ とわらう
にっこり/にこにこ/げらげら/くすくす/にやにや わらう
また、人の失敗などをあざけることを言う。
人ガ 人・ものヲ わらう
人のミスをわらう 漢字を間違えてわらわれる
・複合動詞:「わらい-」の形の複合動詞が多くある。
「笑い返す」は、人がこちらに笑顔を見せたのに対して、こちらも笑うこと。
「笑いかける」は、人に対して笑顔を見せること。また、笑いそうになること。
「笑い崩れる」「笑いこける」「笑い転げる」は、激しく笑うこと。
「笑いすぎる」は、笑いが長すぎること。「笑い続ける」は笑うのをやめないこと。
「笑い出す」は、(がまんできず)笑い始めること。
「吹き出す」は、(がまんできず)強く笑い出してしまうこと。
「笑い飛ばす」は、他人の意見やうわさなどをまともに相手にせず、笑ってすませること。
・スル動詞
「苦笑いする」は、心では困ったことだと思いながら、しかたなく笑ってすませること。
オノマトペの中でスル動詞になるものがある。「にっこりする」「にこにこする」は好意的な笑い。
「にやにやする」「にんまりする」は、何かよくないことを考えながらの笑い。
「にっこり・にんまり」は短い時間の笑い、「にこにこ」「にやにや」は継続的な笑い。
◇ほほえむ
「微笑む」は、声を立てずに、わずかに笑うこと。多くは好意的な笑い。
人ガ ほほえむ
にっこりとほほえんだ
・スル動詞「微笑する」は、「ほほえむ」の書きことば。
わらう(笑う)五(わらわない・わらいます・わらって・わらえば・わらおう)
[1]〔人ガ〕
△[あはは/いひひ/うふふ/えへへ/おほほ]と~。[はっはっはっ/ふふふっ]と~。
[にっこり/にこにこ](と)~。[くすくす/にやにや/にんまり/げらげら](と)~。
[にこっと/どっと/わっと/にやりと]~。
[楽しそうに/うれしそうに/明るく/大きな声で/心の底(そこ)から]~。
・わたしと目が合うと、女の子は、にこっと笑いました。
・おじいさんは孫(まご)のあそぶ姿(すがた)をにこにこ笑いながら見ていました。
・そんなに大きなこえで笑わないでください。まわりの人が見ていますよ。
・漫画(まんが)を見ながら、子どもがたのしそうに笑っている。
・何かたのしいことを思いだしたのか、田中は一人でにやにや笑っている。
・私が「やあ、おはよう。」と声をかけると、女の子は少しはずかしそうにニッコリと笑った。
・友人たちは、私のつれていた妹(いもうと)を私の恋人(こいびと)だとでも思ったのだろう。意味
ありげににやにや笑っては通りすぎて行く。
・おじいさんの財布(さいふ)がポケットから見えているのを見つけると、スリはニヤリと笑って、
おじいさんに近づいた。
・これは笑ってすませられるような小さな問題(もんだい)ではない。
・笑ってごまかすな。そんな嘘(うそ)をわたしが信(しん)じると思っているのか。
・山田のかっこうがあまりおかしいので、みんな腹(はら)をかかえて笑った。
・ないても笑っても論文(ろんぶん)のしめきりはあと二日だ。間(ま)に合うかなあ。
[2]〔人ガ 人(のもの)ヲ〕
△[人/人の失敗(しっぱい)/まちがい/まずしい身(み)なり]を~。
[人をバカにして/見下(みくだ)すように/軽蔑(けいべつ)するように]~。
・そんな事をすると、世間(せけん)の人に笑われますよ。
・人の失敗を笑う(=あざ笑う)ものではない。
・「人に笑われないような人間になりなさい。」とよく両親(りょうしん)に言われる。
・人に笑われるような事をしてはいけない。
・まちがいを人の前で子どもに笑われたので、わたしの名誉(めいよ)はまるつぶれだ。
・世間の人よ、笑わば笑え。おれはおれの思うようにやるだけさ。
<複合動詞:わらい->
[わらいかえす] 人ガ 人ニ
・赤ちゃんに笑いかけると、赤ちゃんのほうでも笑いかえしてよこした。
・お前も株でかなりもうけたんだろうと笑いかけると、彼は無言のままにやにや笑い返した。
目で 無邪気に 反射的に にやにや 無言のまま 優しく
[わらいかける] 人ガ 人ニ
・朝起きると、壁のポスターの美少女が僕に笑いかけてくる。それでばっちり目が覚める。
・バスの中で泣きそうな顔をした子供に優しく笑いかけたら、子供もにこっと笑い返した。
子供・人々に 目が 目で にこやかに 親しげに 意味もなく 優しく
[わらいくずれる] 人ガ (ものニ)
・落語家の身ぶりと表情のおかしさに客席が笑い崩れた。
・校長先生がおじぎをしたとたんに後ろの幕が突然落下し、校長先生の慌てぶりに講堂中の中学生
が笑い崩れた。
満座の者が どっと わっと
[わらいこける] 人ガ
・テレビの漫才を見て、うちの小学生が笑いこけていた。
・深夜にばかばかしいアニメのビデオを見て一人笑いこけている私は大丈夫だろうか。
苦しそうに 遠慮なく げらげらと きゃっきゃっと
[わらいころげる] 人ガ
・会社から疲れて帰ると、家族はバラエティー番組を見て笑い転げていた。まあ、平和でいいか。
・あまりのおかしさに、おなかを抱え、息ができないほど笑い転げてしまった。
冗談に げらげら 息ができないほど おなか・腹を抱えて
[わらいすぎる] 人ガ
・笑いすぎて、かおとおなかが痛くなった。
・笑いすぎてあごが外れることがあるという。気を付けよう。
[わらいだす] 人ガ
・とつぜん、後ろで人が笑い出したので、びっくりした。
・部下を叱る課長の頬にご飯粒がついているのを発見して、笑い出さないようにするのに苦労した。
急に いきなり げらげら とうとう 突然 大声で ~のをこらえる
[わらいつづける] 人ガ
・田中は、いつまでもうれしそうに笑いつづけるのであった。
[わらいとばす] 人ガ ものヲ
・占いで「死相が出ている。この仏像を買えば助かる」などと言われたが、ばかばかしいと笑い飛
ばした。
・人がいろいろ陰口を言っているらしいが、馬鹿げたことと笑い飛ばして、我々は自分の仕事に誇
りを持ってやっていこう。
杞憂・考え・ばかげた話・人を 豪快に 明るく 根も葉もないことと
<複合動詞:その他>
[ふきだす] ものガ
・弟のかっこうがあまりおかしいので、わたしは思わず吹き出してしまった。
・まじめな式の途中で、おなかがキューと鳴ったので吹き出してしまい、後でひどく叱られた。
<スル動詞>
[苦笑い(にがわらい)する] 人ガ
・子どもに漢字の間違いを指摘されて、苦笑いするほかなかった。
・10年努力してこの程度の成果か、と心の中で苦笑いした。
[にっこりする] 人ガ
・店員は私の目を見てにっこりした。この顔が見たくて、この店で買い物をするんだ。
[にこにこする] 人ガ
・家族みんながにこにこしながら暮らせるような、そんな家庭を夢見ていた。
[にやにやする] 人ガ
・小林は何か考えているらしく、にやにやしながら回りの人たちを見ていた。
[にんまりする] 人ガ
・これでもうかる、と思って、思わずにんまりしてしまった。
ほほえむ(微笑む) 五(ほほえまない・ほほえみます・ほほえんで・ほほえめば・ほほえもう)
[1]〔人ガ (人ニ)〕
△ほほえんでほしい ほほえんではいけない ほほえもうとする
△[にっこり/にこにこ/優(やさ)しく/うれしそうに/無邪気(むじゃき)に]~。
△[店員(てんいん)がお客に/先生が子どもに/母親が赤ん坊(ぼう)に]~。
・赤ちゃんが無邪気に微笑んでいるのを見ると、心がとけていくような気持ちになる。
・かすかに微笑んでいるかのような仏像(ぶつぞう)の魅力(みりょく)に魅(み)せられてしまった。
・写真の中の先生は優しく微笑みながら子どもたちを見つめている。
・彼女は私のほうを見てにっこりほほえんだ、と思ったら私の後ろの男に、だった。
<スル動詞>
[微笑(びしょう)する] 人ガ
・私に向かって微笑しているようなポスターの美人を見ていると、電車に乗り損なう。
・恥ずかしそうに微笑する女性の肩に手を置いて、三年経ったら二児の父だ。
[9]泣く
◇なく
「泣く」は人間について使う。泣き方の違いを表すには、擬音語・擬態語が使われる。「涙を流す
・涙が流れる」などの表現もある。(動物の「鳴く」は、「自然」の「鳴響」を参照)
人ガ なく
赤ちゃん・子ども・大の男が 泣く
しくしく・めそめそ・わんわん・えーんえーん・おいおい と泣く
・複合動詞:「なき-」の形のものが多い。
「泣き明かす」は、一晩中泣いて夜を明かすこと。「泣き暮らす」は、泣いて日を暮らすこと。
「泣き疲れる」は、長く泣いて疲れてしまうこと。「泣きはらす」はひどく泣いて目を腫らすこと。
「泣き出す」は、(がまんできず)泣き始めること。「泣きやむ」は、泣くのをやめること。
「泣き別れる」は、泣きながら別れること。
強く、激しく泣くこと
「泣き崩れる」は、回りを気にせず、姿勢を崩して激しく泣くこと。
「泣き伏す」は、顔を地面・ 床・机などにつけるようにしてひどく泣くこと。
「泣き叫ぶ」は、大きな声で泣きながらさけぶこと。
「泣きわめく」は、わめくように大きな声で泣くこと。
「泣きじゃくる」は、しゃくり上げるようにして大きな声で泣くこと。
相手に同情させるために泣くこと
「泣き落とす」は、泣いて相手に同情させ、自分の思うとおりにさせること。
「泣きつく」は、泣くようにして何かを頼み込むこと。
「-なく」の形
「忍びなく」は、声を立てずに泣くこと。
「すすり泣く」は、声を抑えて、時々 鼻をすするようにして泣くこと。
・スル動詞
「めそめそする」は、声を立てないで弱々しく泣くこと。
◇なげく
「嘆く」は、ひどく悲しんだり、残念がったりすること。社会的なことで、情けないと怒ること。
人ガ ものヲ なげく
若者の死を嘆く 社会の不正を嘆く
・複合動詞
「嘆き明かす」は一晩中嘆いて夜を明かすこと。
「嘆き暮らす」は嘆きながら日を暮らすこと。
「嘆き悲しむ」は、嘆いて、特に悲しむこと。
なく(泣く) 五(なかない・なきます・ないて・なけば・なこう)
[1]〔人ガ〕
△[赤ちゃん/子ども/小さな女の子/男たち/人々]が~。
△なきたい なきそうだ ないてしまう ないてもいい ないてはいけない
なかないように なかせる なかせてしまう なかれる なかされる
△[めそめそ/しくしく/おいおい/わあわあ/わんわん](と)~。
[さめざめ/えーんえーん]と~。
・となりの家で赤ちゃんが大きなこえで泣いている。かわいそうに。
・父親におこられて、びっくりしたのか、女の子は涙(なみだ)をながして泣いている。
・いちばん仲(なか)の良い友だちが死んでしまったと言って、ゆみ子さんは涙をながしながらさめ
ざめと泣いた。
・女の子はしくしくと泣くばかりで、何を聞いても答えようとしなかった。
・あの人はとても感情(かんじょう)をはっきりあらわす人で、かなしい時はわあわあ泣き、うれし
い時はとび上がってよろこぶ。
・かなしくて、かなしくて、わんわん泣いてしまいました。
・こわい先生としてゆうめいな田中先生も、子どもがしんだ時はおいおい泣いた。
・ちょっと課長にちゅういされたぐらいで、めそめそなくなよ。
・わざと泣こうとしても泣けるものじゃない。
<複合動詞:なき->
[なきあかす] 人ガ
・留学していた兄が事故で死んだと知らされた時はかなしくて一晩泣きあかした。
一夜を 遺体の前で 失恋して 親に死なれて 一晩 三日三晩
[なきおとす] 人ガ 人ヲ
・おもちゃを買ってほしかった子供は、とうとう母親を泣き落として手に入れた。
・人のよさそうな人を、財布を落としたと言って泣き落とし、金をだまし取る犯罪が増えている。
人を 気の弱そうな男を
[なきくずれる] 人ガ ものニ
・妻は、父の枕元を離れ、一人で部屋に戻って、床に泣き崩れた。
・家族は遺体を目にすると、声を上げて泣き崩れた。
さめざめと よよと 声をあげて 人目もかまわず 身をよじって 大仰に
[なきくらす] 人ガ
・かわいがっていた子ねこのミミがいなくなってから、妹は毎日「ミミに会いたい」と言って泣き
くらしている。
・情けない話ですが、この年になって妻に先立たれ、泣き暮らす日々です。
あまりの悲しさに 毎日 妻に先立たれて ~日々 泣きの涙で
[なきさけぶ] 人ガ
・兵隊たちは、男たちをトラックにおしこむと、泣きさけぶ家族たちをのこして、村を出て行った。
・赤ん坊がありったけの声で泣き叫んでいるのに、それを見ているおばあさんはにこにこしている。
あれは虐待って言うんじゃないの、とうちの子は言う。どうかなあ。
赤ん坊が ありったけの声で 突然 激しく 悲しげに 子供のように
[なきじゃくる] 人ガ
・父親にきつく叱られた男の子は泣きじゃくりながら、「ごめんなさい。もうしない。」と言った。
・がれきの下から助け出された母親を見て、娘たちはうれし泣きに泣きじゃくっていた。
くやしそうに 肩を震わせて 身をもんで うれし泣きに 畳に伏せて
[なきだす] 人ガ
・その子はじっと痛みをがまんしていたが、母親が来るととうとう泣き出した。
・話を聞いて、思わず泣き出しそうになったが、必死にこらえた。
一斉に 急に 不意に おいおい しくしく わっと 途方に暮れて
[なきつかれる] 人ガ
・おもちゃがほしいと泣いていた子が、泣き疲れて眠ってしまった。
・「一晩中泣いたら、泣き疲れた。私はもう二度と泣かない」とその女性は言った。
[なきつく] 人ガ 人ニ
・先生に泣きついて、レポートのしめきりを3日のばしてもらった。
・あんなヤツに泣きつかれて金を貸したの間違いの元だ。(cf. 泣き疲れる)
親・先生・医者に 金に困って ~て頼む ~れる
[なきはらす] 人ガ ものヲ
・優勝したチームの選手たちは、目をまっ赤に泣きはらして表彰台に上った。
・家内の部屋から、泣きはらした目をして娘が出てきた。何があったんだろう。
目を赤く・真っ赤に ~た目・顔
[なきふす] 人ガ ものニ
・いつも友だちをいじめていた女の子が、先生からやさしいことばをかけられて、とうとう「ごめ
んなさい。」と言ってつくえに泣きふした。
・叱られた子が母親のひざに泣き伏している。母親はそれを優しい目で見つめている。
ひざに テーブルに わっと さめざめと 声を上げて 亡骸に取りすがって
[なきやむ] 人ガ
・眠かったのか、むずかって泣き出した赤ん坊がようやく泣きやんで寝入ったようだ。
・「泣いてもやらないよ」と言ったら、妹はぴたりと泣きやんだ。やはりウソ泣きだった。
不意に すぐ ぴたりと やっと ようやく
[なきわかれる] 人ガ 人ト
・父と離婚した母が妹をつれて出て行く朝、わたしたち兄妹は駅で泣き別れた。
・転校していくクラスメートと教室で抱き合って泣き別れた。
[なきわめく] 人ガ
・おもちゃ屋の前で小さい子が泣きわめいているが、お母さんは知らんぷりだ。
・いくら泣き喚いても、死んだペットは二度と生き返らないことを子供は学んでいく。
大声で 恨みがましく うるさく ありったけの声で きゃあきゃあと
<複合動詞:-なく>
[しのびなく] 人ガ
・死者を惜しんで、人々の間から忍び泣く声が漏れてきた。
・大声で泣きわめくより、こらえきれずに忍びなく様子が、一層見る者の心を打つ。
[すすりなく] 人ガ
・ヒロインが声を殺してすすり泣く様(さま)は、女性客の涙を誘った。
・障子の向こうから、子供のすすり泣く声が聞こえた。
悲しげに 声を殺して 両手で顔を覆って 体を震わせて よよと ~声
<スル動詞>
[めそめそする] 人ガ ものヲ
・母親に叱られた娘は、部屋にこもってめそめそしていたようだが、夕飯には出てきた。
・いつまでもめそめそしていないで、いやなことは忘れてしまって、元気出しなさい!
なげく(嘆く) 五(なげかない・なげきます・なげいて・なげけば・なげこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△なげきがちだ なげいてみる なげいてしまう なげいてはいけない
なげかないほうがいい なげかれる なげくな!
△[つい/どうしても/いつまでも/しみじみと/くどくどと/おおげさに]~。
△[老(お)い/苦しさを/人の冷たさ/みじめさ/我が身(わがみ)の運命(うんめい)]を~。
・あの人はお酒を飲むと難しい話をしたがる。今日も政治の腐敗(ふはい)を嘆いていた。
・ラーメン屋で会った近所の工場の親父(おやじ)さんが、景気(けいき)の低迷(ていめい)をひとし
きり嘆いて行った。
・我が身の運命を嘆いてもしかたがない。与(あた)えられた使命(しめい)を果(は)たすだけだ。
[2]〔人ガ 文ト〕
・叔母(おば)は今月も赤字(あかじ)だと嘆いていた。
・どうして私だけがこんな目にあうのかと嘆いた。
<複合動詞:なげき->
[なげきあかす] 人ガ ものヲ
・昔の友人と、どうして我々の世代は恵まれない時代に生まれたのかと、朝まで飲みながら嘆き明
かした。
[なげきかなしむ] 人ガ ものヲ
・集まった人々は詩人の薄幸と早すぎる死を嘆き悲しんだ。
・いくら嘆き悲しんでも、亡くなった人は戻らない。静かに冥福を祈ろう。
死・死者・不運・報いを
[なげきくらす] 人ガ ものヲ
・なんでこんな情(なさ)けない男と結婚してしまったんだろうと、妹は嘆き暮らしている。だから
やめろと言ったんだ。おれの友だちと結婚するなんて。
◇がっかりする
「がっかりする」は、物事が自分が望んだとおりにならず、何をする元気もなくなること。話しこ
とば。対象のニ格・名詞節をとる。
人ガ ものニ/文ニ がっかりする
自分の間違いにがっかりする 宝くじが外れてがっかりした
うまくいかなかったことにがっかりした
◇しつぼうする
「失望する」は、期待が裏切られて、希望を失うこと。対象のニ格をとる。
人ガ 人・ものニ しつぼうする
夫の態度・会社の将来に 失望した
◇しょげる
「しょげる」は、失敗したり、期待が外れたりして元気がなくなること。話しことば。
人ガ しょげる
そんなにしょげるな
◇よわる
「弱る」は、力などが弱くなること。ひゆ的に、何かにうまく対応できずに困ることを意味する。
対象としてニ格・名詞節をとる。
ものガ よわる
体・体力・足が 弱ってきた
人ガ ものニ/文ニ よわる
叔父の長話には弱る ちょうど雨が降ってきたのには弱った
・複合動詞
「弱り切る」「弱り果てる」は、どちらも非常に弱ること。
「打ち萎れる」は、弱々しく元気がなくなること。
「打ち沈む」は、気持ちがしずんで元気がなくなること。
「打ちひしがれる」は、不幸な出来事などで生きる意欲を失ってしまうこと。
「沈み込む」は、気持ちが暗く重苦しくなること。
がっかりする サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
△がっかりしてしまう がっかりしてはいけない がっかりしないようにする
がっかりさせる がっかりされる がっかりさせられる がっかりするな!
△[ちょっと/かなり/ひどく/心から/心底(しんそこ)/立ち上がれないほど]~。
△[結果(けっか)/失点(しってん)/失敗(しっぱい)/間違(まちが)い/夫の態度(たいど)]に~。
・たくさん買った宝くじがみごとに外(はず)れ、心底がっかりした。期待していたんだけどなあ。
・だめでもがっかりしないようにね。努力(どりょく)したんだから、それだけでいいのよ。
・1等になれなくて、みんなをがっかりさせてしまった。自分でもがっかりした。
・首相の答弁(とうべん)にはがっかりした。もうちょっとしっかりしたことが言えないのか。
・田中さんは子供が受験に失敗して、気の毒なくらいがっかりした様子だった。
〔文ニ〕
・クラス会で初恋(はつこい)の人にあって、名前を忘れられていたことにがっかりした。
・英会話学校を卒業して、1年たったらすっかり英語を忘れていることに自分でもがっかりした。
・一番がっかりしたのは、大金持(おおがねも)ちになった夢(ゆめ)が覚(さ)めたときだった。
しつぼうする(失望する) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ 人・ものニ〕
△しつぼうしてしまう しつぼうしないように しつぼうさせる しつぼうされる
△[まったく/すっかり/心から/深く/いたく/情(なさ)けないほど]~。
△[夫(おっと)/男/息子(むすこ)/子ども/現実(げんじつ)/将来/前途(ぜんと)]に~。
・首相(しゅしょう)の演説(えんぜつ)にはすっかり失望した。なぜこんな人を選んだのか。
・チームの連敗(れんぱい)はファンを大いに失望させた。
・政府(せいふ)の報告書(ほうこくしょ)の内容(ないよう)には失望した。問題点がまったく明らか
にされていないまま、調査(ちょうさ)を打ち切ろうとしている。
・私が病気になった時の夫の言葉には失望した。俺(おれ)のメシはどうするんだ、って、私のこと
なんかぜんぜん心配(しんぱい)していないんだから。
・結婚してから失望しないように、結婚前に相手の欠点(けってん)をよく調べておこう、というの
はいい忠告(ちゅうこく)だが、まあ、無理(むり)だな。「あばたもえくぼ」といういいことわざ
もあるしな。
・期待の代打(だいだ)が三球三振(さんきゅうさんしん)だなんて。失望させられたなあ。
しょげる 一(しょげない・しょげます・しょげて・しょげれば)
[1]〔人ガ〕
△しょげてしまう しょげてはいけない しょげなくていい しょげるな!
△[つい/何となく/小さなことで/ひどく/見ていて気の毒(きのどく)なくらい]~。
△[新人(しんじん)/新米(しんまい)社員/兄/母/友だち]が~。
・新人がミスをし、叱(しか)られてしょげている。がんばれ、新人! みんなそうやってきたんだ。
・彼は最近何となくしょげている。どうしたんだろう。
・兄は恋人(こいびと)に振(ふ)られ、見ていて気の毒なくらいしょげている。
・そんなにしょげるな。入試(にゅうし)一つ落ちたぐらい、どうってことないさ。
よわる(弱る) 五(よわらない・よわります・よわって・よわれば)
[1]〔ものガ〕
△よわってしまう よわってはいけない よわらないようにする
△[かなり/ひどく/だんだん/知らないうちに/見るからに/気の毒(どく)なほど]~。
△[体/体力(たいりょく)/足/足腰(あしこし)/気力/集中力(しゅうりゅうりょく)]が~。
・年を取ると、体だけでなく気力や集中力が弱ってくる。
・最近、目が弱ってきて、本を読むとひどく疲れるようになってしまった。
[2]〔人ガ ものニ〕
・セールスマンのしつこさには本当に弱った。自分のことをする時間がとられてしまう。
・あの人の長話(ながばなし)にはいつも弱らされる。適当な所でやめるということがないんだから。
・急な円高(えんだか)に輸出企業(ゆしゅつきぎょう)は弱っている。
〔文ニ〕
・山道(やまみち)の途中(とちゅう)で雨が降ってきたのには弱ったね。いやー、疲れた。
・客がおしゃべり好きで、いつまでも帰らないのに弱った。次の仕事があるというのに。
<複合動詞:よわり->
[よわりきる]人ガ (ものニ/デ)
・吉田君は、好きでもない女の子に好きだと言われ、どうしようかと弱りきっている。
・父の体は相次ぐ手術のために弱り切っていた。
[よわりはてる] 人ガ
・妻に浮気がばれ、子供たちも妻の味方になって私を責めるので、ほとほと弱り果てた。
・酸性雨によって痛めつけられ、痛々しいまでに弱り果ててしまった森の木々を見ると悲しくなる。
つくづく ほとほと 痛々しいまでに
<複合動詞:その他>
[うちしおれる] 人ガ
・不合格の知らせを聞いて、高山くんはすっかり打ちしおれてしまった。
・そのころの彼は何をやってもうまくいかず、挫折感に打ちしおれた様子だった。
挫折感に しょんぼりと ~た様子
[うちしずむ] 人ガ
・秋子さんはなぜか、朝からうち沈んでいる。
・ヒロインの悲しみに打ち沈む表情がたまらなく美しい映画だった。
悲しみに 暗く 寂しく
[うちひしがれる] 人ガ ものニ
・事故で両親を同時に失った彼女は悲しみに打ちひしがれ、長い間立ち直れなかった。
・地震のあとに大雨が続き、人々の打ちひしがれた姿が今も忘れられない。
気持ち・心が 悲しみ・失望・被害・貧乏に 身も心も ~た人々・姿・表情
[しずみこむ] 人ガ (ものニ)
・このソファーは柔らかすぎて体が沈み込んでしまい、立ち上がりにくい。
・ゆみ子は朝から沈み込んでいる。何があったのだろう。
・新入社員が上司に叱られてしばらく沈み込んでいたが、帰る頃には元気になった。
気分・心が 体がいす・ソファーに 考え・失望・憂鬱に 深く 重く
◇ほしい・ほしがる・ほっする
日本語の欲求表現の基本は「欲しい」という形容詞である。対応する動詞は「欲する」だが、硬い
書きことばで、あまり使われない。「欲しがる」は、「欲しい」に「-がる」がついた形で、「ほしい」
という態度を示すこと。動詞表現としてはこれが使われる。
私はこれが欲しい 私はこれを欲している 子どもがお菓子を欲しがっている
◇よくばる
「欲張る」は、必要以上に多くを欲しがり、能力以上のことをしたがること。
ほしがる(欲しがる) 五(ほしがらない・ほしがります・ほしがって・ほしがれば・ほしがろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△ほしがってもいい ほしがってはいけない ほしがらないようにする ほしがるな!
△[強く/心から/しきりに/むやみに/目の色を変えて/どうしても]~。
△[車/家/犬/ペット/子ども/金/酒/女/刺激(しげき)/幸(しあわ)せ]を~。
・子どもがおもちゃを欲しがって泣いている。
・この子はあまりものを欲しがらない子だった。
・あんまり金を欲しがるのはみっともない。
・子ねこがミルクを欲しがって、親ねこに甘えている。
・「欲しがりません、勝つまでは。」というのは、戦争中のスローガンだった。しかし、戦争に負
けてしまい、人々は豊かさを求め、電化製品(でんかせいひん)を欲しがった。ものを欲しがる強
い気持ちが、高度経済成長(こうどけいざいせいちょう)の原動力(げんどうりょく)となったのだ。
ほっする(欲する) サ変(ほっしない・ほっします・ほっして・ほっすれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△ほっしがちだ ほっすることがおおい ほっせざるをえない
△[心から/心の底(そこ)から/切実(せつじつ)に/強く/切(せつ)に/ひそかに]~。
△[甘いもの/家/あたたかい家庭(かてい)/やすらぎの場/休養(きゅうよう)]を~。
・疲れた時は体が甘いものを欲しているのだ、といいわけして、つい甘いものを食べてしまう。
・長くつづいた独裁政権下(どくさいせいけんか)で、人々は心から自由を欲していた。
よくばる(欲張る) 五(よくばらない・よくばります・よくばって・よくばれば・よくばろう)
[1]〔人ガ〕
△よくばってばかりいる よくばらないほうがいい よくばるといいことはない
・美人で金持ちの娘(むすめ)と結婚したいだなんて、ずいぶん欲張っているね。
・二千円で食べ放題(ほうだい)だと言うから、欲張って食べ過ぎた。
・うちの社長は欲張っているからな。もうけを最大にしたいんだ。
・あんまり欲張ったことを考えていると、逆に大損(おおぞん)するよ。
・欲張った考え方をしていると、人生の大事なものを見そこなう。
◇あきる
「飽きる」は、十分満足して、それ以上はいやだという気持ちになること。対象としてニ格をとる。
文の内容を持つ名詞節をとる。
人ガ ものニ/文ニ あきる
同じ仕事に飽きる 本を読むの(に)も飽きた この人と暮らすのに飽きた
・複合動詞
「-あきる」の形のものは、「~することにあきる」ことを表す。
「聞き飽きる」「着飽きる」「食べ飽きる」「見飽きる」「読み飽きる」など。
・スル動詞
「退屈する」は、何もすることがなく、暇であることをいやに思うこと。興味が持てず、おもしろ
みを感じないこと。現在の気持ちの表出としては、ナ形容詞「退屈だ」の形で表す。
仕事がないと退屈する 映画を見ても退屈する なんか、退屈だなあ
「飽き飽きする」は非常に飽きていること。現在の気持ちを表す場合は、「~た」の形で言う。
もう、いや! あきあきした!
あきる(飽きる) 一(あきない・あきます・あきて・あきれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
△あきはじめる あきてくる あきてしまう あきてはいけない あきてもしかたない
あきさせる あきられる あきるな!
△[すっかり/少し/もう/どうしようもなく/うんざりするほど]あきた。
△[勉強/仕事(しごと)/あまい物/食堂の食事/この服(ふく)/この色/この形]に~。
[職場(しょくば)/同僚(どうりょう)とのおしゃべり/結婚生活/人生/夫]に~。
・もう、ごちそうには飽きました。もっとさっぱりした物が食べたい。
・もうこの仕事にも飽きてきた。転職(てんしょく)しようかな。
・あの人はいつも同じ冗談(じょうだん)を言うので、みんなに飽きられている。
・夏休みのあいだに映画(えいが)は飽きるほど見たから、しばらく見たいと思わない。
・上田さんはいろいろな事を知っているので、いっしょにいる人を飽きさせない。
・子どもは何でも知りたがって、飽きることを知らない。(=飽きない)
・きみはよく、飽きずに毎日あそんでいるね。
・この子は飽きっぽくて、何をしても、とちゅうでやめてしまう。
[2]〔人ガ 文ニ〕
△[働くのに/夫婦でいることに/生きることに/文句を言われ続けることに]~。
・正月で休みだとは言え、毎日テレビを見るのも飽きてきた。(見るのにも)
・辞書の例文を考えるのにも飽きた。何か音楽でも聞こう。
・こうやって、同じくらしを続(つづ)けていくことに飽きてしまったんだよ。離婚(りこん)してく
れないか?
・毎日勉強することに飽きてしまった子どもたちが、学校から、教育(きょういく)から逃(に)げだ
そうとしている。
・何年も同じ人間と顔をつきあわせていることに飽きたので、転職したい。
・あなたの顔を見るのも飽きたわ。別れましょう。
<複合動詞:-あきる>
[あそびあきる] 人ガ
・もう新宿も渋谷も遊びあきた。
・浦島太郎は竜宮城で遊び飽きてしまい、家に帰ることにしました。
[ききあきる] 人ガ ものヲ
・あの人は何度も同じ話をするので、もう聞き飽きた。
・落語というのはいつも同じ話を聞くのだが、名人がやると何度聞いても聞き飽きない。
お説教を 同じような話で つくづく
[きあきる] 人ガ ものヲ
・このドレスはもう着あきたわ。新しいのを買いたいわ。
・姉は買って何回も着ないうちに、もう着飽きたとか言ってまた新しい服を買ってくる。
着飽きないような服はないのか。
[たべあきる] 人ガ ものヲ
・正月のお節料理はおいしいけれど、何日も続くと食べ飽きるね。
・学生食堂の料理はいい加減食べ飽きた。実家に帰って母の料理を食べるとほっとする。
お節料理を いい加減 ~ほど食べ続ける
[みあきる] 人ガ ものヲ
・富士山は見るたびに姿を変えるから、いくら見ても見あきません。
・同じコマーシャルを何回やるんだろう。もう見飽きたよ。
風景・振る舞い・私生活を いつまでも~ない
<スル動詞>
[退屈(たいくつ)する] 人ガ ものニ
・人生に退屈(を)している。
・毎日同じことのくり返しで、すっかり退屈(を)してしまった。
・日々新しいことに出会うので、退屈(を)する暇がない。
人生・生活・暮らし・仕事・会話に あくびが出るほど 死ぬほど
〔人ガ 文ニ〕
・同じ作業を続けることに退屈(を)している。
[あきあきする] 人ガ ものニ / 人ガ 文ニ
・君の顔を見るのも飽き飽きした、とあなたは言うけれど、私だって同じよ。
・こんなことを繰り返すのには飽き飽きした。何か違う仕事を探そう。
◇あせる
「焦る」は、物事が思い通りにならない時に、うまくやろうとして心が落ち着かないこと。
人・ものガ あせる
彼は焦っている 気持ち・心が あせる
実現したいことをヲ格にとることがある。
人ガ ものヲ あせる
勝ちを焦って失敗する
◇あわてる
「慌てる」は、突然の出来事にあって、落ち着きを失うこと。時間がなくて焦って急ぐこと。原
因をニ格で示す。「あわてて~する」の形はほとんど副詞的な用法。
人ガ (ものニ) あわてる
突然の事故に慌てる 慌てて会議室に急ぐ
・複合動詞
「あわてふためく」は、すっかり慌ててどうしていいかわからなくなること。
「とりみだす」は、突然の出来事に心が乱れ、平静を失うこと。
◇まごつく
「まごつく」は、どうすればいいかわからず、ひどく迷い、困ること。ニ格をとる。
人ガ (ものニ) まごつく
突然の質問にまごつく やり方がわからずにまごつく
◇スル動詞
「動揺する」は、ものがぐらぐら動くこと。ひゆ的に、気持ちが不安定になること。原因をニ格で
示す。
「おたおたする」は、状況に対処できず、何をしたらいいかわからない様子を表す。
「おろおろする」は、不安でどうしてよいかわからず、適切な行動がとれない様子を表す。
「まごまごする」は、状況に対処できず、適切な行動がとるのが遅れてしまう様子を表す。
あせる(焦る) 五(あせらない・あせります・あせって・あせれば)
[1]〔人ガ ものガ〕
△あせりそうだ あせってしまう あせってはならない あせらないようにする
あせらせる あせらされる あせるな!
△[つい/思わず/かなり/すっかり/ひどく/めちゃくちゃ]~。
△[心/気/気持(きもち)]が~。
・あせらずに、のんびりと行きましょう。
・まあ、そう焦らないで。もうちょっと落ち着いて。焦っても、早く終わるわけではない。
・最後(さいご)の問題(もんだい)は、時間が足りなくて焦りながらやったので、間違えてしまった。
・一点差(いってんさ)にまで追(お)いつかれた時は、ちょっと焦りましたね。でも、あわてず、そ
こからまたがんばって、なんとか勝(か)ちましたけど。
・あなた一人が焦っても、しかたがない。電車が来なければ出発(しゅっぱつ)できないのだから、
落ち着いて待(ま)ちましょう。
・焦って失敗(しっぱい)しないように。
・焦るな。時(=よい時期(じき))が来るのをじっと待て。
・右から攻(せ)めて、相手(あいて)を焦らせてやろう。
・早く終えなければ、と気ばかり焦ってしまった。
[2]〔人ガ ものヲ〕
・まあ、のんびり行きましょう。先(さき)を焦ってもしかたがないでしょう。
・形勢(けいせい)がよくなった時、勝(か)ちを焦ったのが間違いだった。
・最近の女性は、結婚を焦るということが少なくなったようで、いいことだと思う。
あわてる(慌てる) 一(あわてない・あわてます・あわてて・あわてれば)
[1]〔人ガ (ものニ)〕
△あわてがちだ あわててしまう あわててはいけない あわてないようにする
あわてさせる あわてるな! あわてていられない
△[つい/ひどく/とても/ちょっと/いつも]~。
△[子ども/奥さん/りっぱな紳士(しんし)/駅員(えきいん)/先生]が~。
・学校におくれそうなので、慌てて家を出てきたら、ノートをわすれてしまった。
・とつぜん、よなかにグラリと来たので、慌てて外へとび出した。(じしんが来た)
・火事(かじ)やじしんの時は、慌てないで、まず、おちつくことが大切だ。
・A:たいへんだ。もう8時55分だ。じゅぎょうにおくれますよ。走りましょう。
B:そんなに慌てることはありませんよ。あの先生はたいてい10分ぐらいおそく来ますから。
・子どもが切符をなくしたというので、ずいぶん慌てさせられたが、結局カバンに入っていた。
<複合動詞:あわて->
[あわてふためく] 人ガ
・友だちが慌てふためいて走って来て言った。「たいへんだ。また授業料が上がるそうだ。」
・A:そんなに慌てふためいて、どこへ行くんですか。
B:家を出る時にアイロンのスイッチを切らなかったような気がするんです。
~て駆けつける・追う・探す・逃げ去る・逃げ出す・海に飛び込む
[とりみだす] 人ガ
・警察が来たと言われて取り乱した犯人は、窓から逃げようとして大けがをした。
・突然の事件に取り乱してしまい、思い出すと恥ずかしい、と彼女は語った。
心・気を 恐ろしさ・愛児の死に いささか ~た姿・態度・様子
まごつく 五(まごつかない・まごつきます・まごついて・まごつけば)
[1]〔人ガ (ものニ)〕
△まごつきそうだ まごついてしまう まごつかないようにする まごつかせる
△[少し/すっかり/ひどく/わけもわからず/どうしていいかわからず]~。
△[新しい環境(かんきょう)/その場の空気/やり方の違い/複雑な手順(てじゅん)]に~。
・切符(きっぷ)の自動販売機(じどうはんばいき)のやり方がわからず、まごついてしまった。
・社長の突然(とつぜん)の質問(しつもん)にまごついてしまって、うまく答えられなかった。
・いつも田舎にいる人間がたまに都会に出ると、まごつくことばかりだ。
・新しいコンピュータソフトにはいつもまごつかされる。
<スル動詞>
[動揺(どうよう)する] 人ガ ものニ
・彼女の言葉にひどく動揺(を)してしまい、気持ちが焦るばかりで何も言えなかった。
・支持者が動揺(を)しますから、大臣ともあろう人があまり変な発言をしないで下さい。
・裏の事情を知って心が動揺(を)してしまい、落ちついた態度がとれなくなった。
[おたおたする] 人ガ
・父は、抱きあげた孫(まご)が急に泣き出したのでおたおたしている。
・課長はパソコンのソフトがフリーズしてしまった時、おたおたしてしまい、部下に笑われた。
[おろおろする] 人ガ
・赤ん坊が熱を出して泣き出し、妻はおろおろしている。
・妹は、免許を取って初めてのドライブでさっそく電柱にぶつけ、おろおろして私に電話をかけて
きた。私じゃなくて車の保険会社にかけろ!
[まごまごする] 人ガ
・駅を出てそのビルに行こうとしたが、道がわからなくなってまごまごした。
・まごまごしていると、みんなに置いて行かれそうだ。
[14]心配する・安心する
和語動詞は適当なものがなく、漢語動詞が使われる。「心配する」「安心する」は、「-ている」の
形でその時の状態を表す。その時の気持ちを表すのに「心配だ」「安心だ」というナ形容詞の形も使
われる。
連語表現で、「気になる」「気にする」「気にかかる」「気にかける」が使われる。自他の対応があ
り、それぞれ後者がヲ格をとる。
「~なる・する」のほうが「~かかる・かける」よりも話しことば。
「~なる・かかる」は、そのままの形または「-ている」の形でその時の状態を表す。「~する・
かける」は、「-ている」の形でその時の状態を表す。
◇しんぱいする
「心配する」は、将来どうなるか、悪いことが起きないか、など不安に思うこと。ヲ格、疑問節・
引用節をとる。「心配になる」という表現もある。
人ガ ものヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ト しんぱいする
「懸念する」は、悪いことが予想され、心配すること。硬い表現。
「警戒する」は、予測される犯罪や災害を防ぐために、対策をとること。
これらもヲ格、疑問節・引用節をとる。
◇きになる
「気になる」は、そのことが心から離れず、他のことに集中できないこと。名詞節をとる。
(人ガ) ものガ/文ガ きになる
音・結果・視線・ニュース・評判・相手の態度が 気になる
彼の顔色が悪かったのが気になった
◇きにする
「気にする」は、そのことを考えないようにしようと思っても、何か問題を感じてしまい、忘れら
れないこと。ヲ格・名詞節をとる。
人ガ ものヲ/文ヲ きにする
音・結果・視線・ニュース・評判・相手の態度を 気にする
給料が少ないことを気にしていた
◇きにかかる
「気にかかる」は、そのことが心から離れず、他のことに集中できないこと。名詞節をとる。
(人ガ) ものガ/文ガ きにかかる
試験・安否・つまらないこと・子供のことが 気にかかる
メールの返事が来ないことが気にかかっていた
◇きにかける
「気にかける」は、そのことを常に心に留めていて、忘れたりしないこと。ヲ格・名詞節をとる。
人ガ ものヲ/文ヲ きにかける
自分の評判・つまらないこと・弟子の将来・噂を 気にかける
子どもたちが元気かどうか、いつも気にかけていた
◇あんしんする
「安心する」は、心配がなくなって、心が落ち着くこと。
「油断する」は、大丈夫だと思って、必要な注意をしないこと。
これらはニ格をとる。
しんぱいする(心配する) サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ 人・もの(のこと)ヲ〕
△心配しがちだ 心配してほしい 心配してしまう そんなに心配しなくてもいい
心配しなくてはいけない 心配しないようにする 心配させる 心配される
すこしは心配しろ! そんなに心配するな! もっと心配すべきだ
△[少し/いくらか/非常に/とても/いつも/時々]~。
△[体/健康(けんこう)/病気(びょうき)/危険(きけん)/損害(そんがい)/火事(かじ)]を~。
[影響(えいきょう)/将来(しょうらい)/成り行き(なりゆき)/行く末(ゆくすえ)]を~。
・そんなに何を心配しているんだい? だいじょうぶだよ。なんとかなるよ。
・お前はお金のことを心配しなくていいんだよ。お父さんが何とかするから。
・そんなに病気のことばかり心配していたら、かえって病気になっちゃうよ。
・子供のことを心配するのは親として、とうぜんのことだ。
・母は、いつも交通事故を心配していて、よく気を付けるように子供に言い聞かせていた。
・最悪(さいあく)の事態(じたい)を心配するよりも、今、何をすべきかを考えよ。
[~の心配をする]
・あなたはお金の心配をしなくていい。私に任(まか)せなさい。
〔文ヲ〕
・試験に合格できるかどうか(を)心配しています。
[2]〔人ガ 文(か)ト〕
・期限に間に合わないのではないかと心配した。
・母は、何か事故が起きたのではないかと心配して、眠れなかったそうだ。
・この調子では資金が底を突いてしまうだろうと心配していた。
[懸念(けねん)する] 人ガ ものヲ/文か(どうか)(ヲ)
・政府は、事故の影響の拡大を懸念している。
・目標が達成できるかどうか、懸念する声がある。
〔人ガ 文(か)ト〕
・今回の政府の決断は時期尚早ではなかったのかと懸念する人が多い。
・わたくしが懸念しておりますのは、担当者の経験が不十分だということであります。
[警戒(けいかい)する] 人ガ ものヲ/文ヲ/文か(どうか)(ヲ)
・建物の周りにはおおぜいの警官がいて、あたりを警戒していた。
・テロを警戒するため、飛行機に乗るときの検査が大変なものになっている。
・怪しい者が侵入することを警戒している。
・何か予期せぬ事故が起きることを警戒していた。
あんしんする(安心する) サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ ものニ〕
△安心しかける 安心してはいけない 安心しないほうがいい 安心させられる
△[少し/いくらか/すっかり/ひとまず/やっと/ほっと/心から/やれやれと]~。
△[ことば/話/顔/様子(ようす)/姿(すがた)/態度(たいど)/結果(けっか)]に~。
・手術(しゅじゅつ)と聞いて不安(ふあん)があったが、医者の説明に安心することができた。
・へやにいた二人の様子に私はほっと安心した。何もなかったようだ。
・私はすべて無事(ぶじ)に済んだという彼女のことばに安心した。
・子供がぶじに戻ったと聞いて、安心(を)した。
・はじめはずいぶん心配したが、検査(けんさ)の結果に安心させられた。
・実験に成功したらしいが、まだ正式な発表がないので安心(が)できない。
〔文ニ〕
・試合は負けてしまったが、試合後も、みんなの気持ちが前向きなことに安心した。
[油断(ゆだん)する] 人ガ (ものニ)
・災害(さいがい)は油断(を)したときにやってくる。
・油断(を)すると危ないぞ。
・あいつは油断(が)できないやつだ。
・相手の態度に油断(を)してしまい、うまく逃げられてしまった。
きになる(気になる) 五(ならない・なります・なって・なれば)
[1]〔(人ガ) ものガ〕
△気になってしまう 気になってしかたがない 気にならないわけがない
△[つい/何となく/すごく/やはり/どうにも/いつも/しょっちゅう/時々]~。
△[音/騒音(そうおん)/態度(たいど)/結果(けっか)/視線(しせん)/容態(ようだい)]が~。
[安否(あんぴ)/ニュース/世間体(せけんてい)/評判(ひょうばん)/思惑(おもわく)]が~。
・自分の考えでやっている。人が何と言おうと僕(ぼく)は気にならない。
・いまきみは、何か気になることを言ったね。もう一度言ってくれ。
・どうもあの男の態度(たいど)が気になる。あれは、どういう人なんだ。
・あんなことを言われて、気にならないのか。君はずいぶん落ち着いているんだね。
・彼はいつも自分の評判が気になってしかたがないらしい。
〔文ガ〕
・このレストランの店のきたないのは気にならないが、皿のきたないのはちょっと気になる。
〔文か(どうか)(ガ)〕
・国にいる父の病気がどうなっているか(が)気になる。
・みんなにどう思われているのかが、気になってしかたがない。
・雨が降ってくるのかどうか、気になってテレビドラマに集中(しゅうちゅう)できない。
きにする(気にする) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△気にしてしまう 気にしないようにする 気にしないはずがない 気にしないでいられる
△[つい/案外(あんがい)/多少は/いくらか/すごく/やけに/時々/しょっちゅう]~。
△[音/後ろ/外見(がいけん)/身なり/勝ち負け/結果(けっか)/体面(たいめん)]を~。
[世間体(せけんてい)/天気/年の差(さ)/におい/人目(ひとめ)/評価(ひょうか)]を~。
・人の言うことなんか気にしなくていいからね。あなたは自分の思い通りに生きて行きなさい。
・妻(つま)は私より三つ上だ。この年の差(さ)を気にしているらしいが、私がほれたんだからいい じゃないか。
・タクシーの運転手はなぜか後ろを気にしていた。聞いてみると、車につけられているという。
・今は試合の勝ち負けを気にするな。自分のベストをつくしたかどうかだけを考えろ。
・彼は器械(きかい)の出す小さな音を気にしていた。故障(こしょう)の前兆(ぜんちょう)じゃない
かという。
・身なりを気にしない人はいやですね。小さなことを気にしない人は、大きなことにも気づかない。
〔文ヲ〕
・父は自分の給料が少ないことをいつも気にしていたが、母はそんなことは気にしていなかった。
・兄は髪(かみ)の毛が薄くなってきたのを気にし始めていたが、気にしていないふりをしていた。
きにかかる(気にかかる) 五(かからない・かかります・かかって・かかれば)
[1]〔(人ガ) ものガ〕
△気にかかってしまう 気にかかって眠れない 気にかかってしかたがない
△[つい/何となく/妙(みょう)に/心の隅(すみ)で/なにかと/寝ても覚(さ)めても]~。
△[試験(しけん)/病気/子どものこと/つまらないこと/安否(あんぴ)]が~。
・家においてきた子どものことが気にかかって、パーティーに出ている間、たのしくなかった。
・国にいる母の病気のことが気にかかって、ゆうべはよくねむれなかった。
・きのうやった入学しけんのけっかがどうなるか、気にかかって今日はおちつかない。
・病気はたいしたことはないと思うのだが、ねつが三日も下がらないということが気にかかる。
・きのう彼女と別れる時、「あなたは長く生きてね」と言った彼女のことばがちょっと気にかかる。
〔文ガ〕
・彼がいつもと違うカバンを持ってきたことが気にかかったが、気が付かないふりをした。
きにかける(気にかける) 一(かけない・かけます・かけて・かければ・かけよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△気にかけてほしい 気にかけておく 気にかけないでいい 気にかけるべきだ
△[いつも/ときどき/むやみに/くよくよ/何となく/心から]~。
△[つまらないこと/友だちのこと/人のうわさ/自分の評判(ひょうばん)/名]を~。
・あの学生は体がよわいから、勉強についてきているかどうか、気にかけてやってください。
・ここのスイッチがつけっぱなしになっていることがよくありますから、消し忘れないようにちょ
っと気にかけておいてください。(スイッチのことを)
・この間あなたは家をさがしてほしいと言いましたね。気にかけて知合いに聞いたりしているので
すが、なかなか良いのが見つからないのですよ。
・つまらない噂(うわさ)なんか気にかけるなよ。
〔文ヲ〕
・先生は、山田君の欠席が続いていることを気にかけていた。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
・父はいつも子どもたちが元気でいるかどうかを気にかけていた。
◇くやむ
「悔やむ」は、失敗などをああしなければよかった、などと後でくやしく思うこと。また、人の死
を残念に思うこと。自発の形「くやまれる」がよく使われる。名詞節・引用節をとる。
人ガ ものヲ/文ヲ/文ト くやむ
間違いを悔やむ 友人の死を悔やむ 処置の誤りが悔やまれる
何もできなかったことを悔やんだ やればよかったと悔やむ
・複合動詞「悔やみきる」の可能形の否定「悔やみきれない」の形がよく使われる。どんなに悔やん
でも不十分だという気持ちを表す。
悔やんでも悔やみきれない
◇くやしがる
「悔しがる」は、悔しいと思う気持ちをはっきり態度に表わすこと。ヲ格・名詞節・引用節をとる。
人ガ ものヲ/文ヲ/文ト くやしがる
失敗を悔しがる 負けたことを悔しがっていた
◇こうかいする
「後悔する」は、失敗などをああしなければよかった、などと後で反省し、残念に思うこと。ヲ格
・名詞節・引用節をとる。
人ガ ものヲ/文ヲ/文ト こうかいする
過ぎたことを後悔する 言わなければよかったと後悔する
くやむ(悔やむ) 五(ない・ます・て・ば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△くやみがちだ くやんでしまう くやまなくてもいい くやんではいけない
くやむべきだ くやまれる くやめ! くやむな!
△[あとで/くり返し/何度も/いつも/深く/今になって]~。
△[間違(まちが)い/誤(あやま)り/過(あやま)ち/不注意/失敗(しっぱい)/ミス]を~。
・自分のしてきた間違いを今頃(いまごろ)になってまとめて悔やんでも、もう遅い。
・人を傷(きず)つけるような自分の不用意(ふようい)な発言(はつげん)を悔やんだ。
・過ぎてしまったことを悔やんでもしかたがない。これからのことを考えよう。
・人々は彼女の早すぎる死を悔やんだ。
〔人ガ 文ヲ〕
・私は大学生の時、まじめに勉強しなかったことを今になって悔やんでいる。
・彼女と結婚しなかったことを悔やんでみてもどうにもならない。
・あそこで引き返さなかったことが、悔やんでも悔やみきれない。(~ことをくやむ)
〔~がくやまれる〕
・注意すれば防(ふせ)げた事故(じこ)だと思うと、自分の愚(おろ)かさが悔やまれる。
・あの前に、一言(ひとこと)注意しなかったことが、今になって悔やまれる。
[2]〔人ガ 文ト〕
・試験のあと、もっと勉強すればよかったと悔やんだが、遅かった。
・何であんなヤツを呼んでしまったのかと悔やんだ。
・選手たちは、あそこでもう少し頑張(がんば)っていれば、と悔やんでいた。
・「しまった!」と悔やんだが、後(あと)の祭(まつ)り。
くやしがる(悔しがる) 五(くやしがらない・くやしがります・くやしがって・くやしがれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△くやしがってはいけない くやしがるべきだ くやしがらせる くやしがれ!
△[かなり/とても/すごく/しきりに/泣いて/死ぬほど/地団駄(じだんだ)踏(ふ)んで]~。
△[負(ま)け/失点(しってん)/自分のミス/注意(ちゅうい)不足(ぶそく)]を~。
・負けを悔しがるより、自分たちの練習不足を反省(はんせい)しなさい。
・そんな小さなことで悔しがるな。気持ちを切り替えて、次の問題に集中(しゅうちゅう)しろ。
・いくら悔しがっても、負けは負けだ。
・この次は、何とかあいつをやっつけて、悔しがらせたい。
〔文ヲ〕
・悪口(わるくち)を言われた時、すぐに言い返せなかったことを悔しがっていた。
・同じ負けるにしても、ひどい負け方をしたことをくり返し悔しがった。
〔文ト〕
・子どもたちは、どうして負けてしまったのかとしきりに悔しがっていた。
・あんなことをするんじゃなかったと悔しがってももう遅い。
こうかいする(後悔する) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△後悔しはじめる 後悔してしまう 後悔しなくてもいい 後悔せざるをえない
後悔させられる 後悔しろ! 後悔するな!
△[きっと/必ず/後で/多少/ひどく/心底(しんそこ)/時々/いつも]~。
△[失敗(しっぱい)/油断(ゆだん)/離婚(りこん)/投資(とうし)/土地の売買(ばいばい)]を~。
・兄はあのときの失敗をいつまでも後悔している。もう忘れてもいいことなのに。
・後悔しても、もう何も元には戻(もど)らない。だったら、後悔したってしかたないじゃないか。
・自分の判断(はんだん)でこうなってしまったのだから、まったく、後悔せざるを得(え)ない。
〔人ガ 文ヲ〕
・私と結婚したことを後悔しているの?
・土地(とち)を売ってしまったことを後悔した。もっと値上がりしてから売ればよかった。
[2]〔人ガ 文ト〕
・「愛している」なんて言わなければよかったと後悔(を)している。
・後で、こんなことをするんじゃなかったと後悔することがないように、ゆっくり考えよう。
和語動詞でよく使われるものはなく、漢語動詞が日常的な表現になる。他の表現としては、「素晴
らしいと思った」「美しさに心を動かされた」のような表現が使われることになる。
◇かんしんする
「感心する」は、優れたものや人の行いを素晴らしいと思うこと。ニ格・名詞節・引用節をとる。
◇かんげきする
「感激する」は、人の言動や物事に心を激しく動かされること。ニ格・名詞節・引用節をとる。
◇かんどうする
「感動する」は、すばらしい物事に触れて、心を強く揺さぶられるような感じがすること。ニ格・
名詞節をとる。
◇かんたんする
「感嘆する」は、素晴らしいものだと思ってほめること。ニ格をとる。書きことば。
◇かんじいる
「感じいる」は、心から深く感心すること。ニ格をとる。やや書きことば。
かんしんする(感心する) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
△感心してしまう 感心しすぎだ 感心しないほうがおかしい 感心すべきだ
△[心から/改(あらた)めて/すっかり/つくづく/非常に/すごく/ほとほと]~。
△[大きさ/仕上(しあ)がりの美しさ/安さ/心の広さ/態度(たいど)の立派(りっぱ)さ]に~。
[才能(さいのう)/人柄(ひとがら)/名案(めいあん)/その子ども/人々の行(おこな)い]に~。
・あの大きさには感心した。相当(そうとう)時間がかかっただろうなあ。
・あの人は、才能も、人柄も、感心しないわけにはいかない。
・彼女たちの努力にはまったく感心(を)します。
・私はこの絵にいちばん感心(を)しました。実にていねいに描きこんであると思います。
〔人ガ 文ニ〕
・この国の町がとてもきれいなことに感心(を)した。
・彼女は、日本に来て、電車の時間が正確(せいかく)なのにいちばん感心したという。
[2]〔人ガ 文ト〕
・父は、すごいもんだ、どうしてあんなことができるんだろう、としきりに感心していた。
・推理(すいり)小説を読むと、よくもこんなに込み入った話を書けるものだと感心してしまう。
かんげきする(感激する) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
△感激しがちだ 感激してしまう 感激しないわけがない 感激させられる
△[大いに/大変/非常に/すっかり/たいそう/ますます/いつも/すぐ]~。
△[友情(ゆうじょう)/人の心の温(あたた)かさ/見も知らぬ人の親切(しんせつ)]に~。
[風景(ふうけい)のすばらしさ/料理(りょうり)のおいしさ/美しさ]に~。
・頂上(ちょうじょう)に登った時、その眺(なが)めに感激(を)して、ことばが出なかった。
・海に沈む夕日の美しさにすっかり感激した人々は、その場から動こうとしなかった。
・あの人はなんにでもすぐ感激(を)するタイプだね。
・妹はあこがれのアイドルに会うことができ、サインまでもらって感激して一日はしゃいでいた。
・映画の伝えるメッセージに感激(を)させられた私は、会う人ごとにその映画を見るように勧めた。
・この小説を読んで感激しない人がいるなんて信じられない。
〔人ガ 文ニ〕
・父は、昔の部下(ぶか)たちが会いに来てくれたことに感激(を)していた。
・勝利(しょうり)を決めた瞬間(しゅんかん)、感激してグラウンドに倒れこんだ。
[2]〔人ガ 文ト〕
・私たちは、「二人ともよく生きていたなあ」と感激して手を握り合った。
・学校のチームの優勝に、みんなで「すごい!すごい!」と感激しっぱなしだった。
かんどうする(感動する) サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
△感動してしまう 感動せざるを得ない 感動しない人はいない 感動させられる
△[激(はげ)しく/心から/いたく/いつになく/思いもかけず/深く/どうしようもなく]~。
△[絵/作品/小説/踊(おど)り/すばらしさ/ことば/態度(たいど)/いさぎよさ]に~。
・その映画のあまりの美しさに深く感動(を)した。
・小学生の時に、ある絵を見て感動した私は、画家(がか)になりたいと本気(ほんき)で思った。
・予想外の結末(けつまつ)にどうしようもなく感動させられ、すごい小説家が出てきたと思った。
・どんなことがあっても冷静(れいせい)さを失わない彼女に、私はひそかに感動した。
〔人ガ 文ニ〕
・私のためにみんなが集まってくれたことに感動した。
・この本を読んで、地球の生物が数十億年かけて進化してきたことに、あらためて感動した。
[感嘆(かんたん)する] 人ガ ものニ
・あなたの記憶のよさには感嘆しますね。どうしてそんなに覚えていられるんですか。
・この絵の美しさには誰もが感嘆せざるを得ない。
・父は体操選手の素晴らしい演技にしきりに感嘆していた。
うまさに 演奏に 素早い動きに 性能に しみじみと しきりに 率直に
[かんじいる] 人ガ ものニ
・あの人のサービス精神には感じいったね。だれの話もよく聞くし、本当にりっぱな人だ。
・彼女の踊りの中の、ほんのわずかな動きの中にある表現の深さにいたく感じいった。
・天才の技の微妙さにほとほと感じ入った展覧会だった。
美に 表現の美しさに 意気に つくづく ほとほと
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