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                           ◇感 情◇
 
       [1] 愛する・好む  
       [2] 嫌う・憎む  
        [3] 喜ぶ・楽しむ・悲しむ・苦しむ・悩む  
       [4] 怒る・叱る  
       [5] こわがる・恐れる  
       [6]  驚く・あきれる  
     [7]  恥じる  
     [8]  笑う  
          [9]  泣く  
     [10]  がっかりする  
     [11]  欲しがる  
        [12] 飽きる  
     [13] 焦る・あわてる  
     [14] 心配する・気になる・安心する  
        [15] 悔やむ・後悔する  
     [16] 感心する・感動する  
 


 
        ◇感 情  1◇
 
 [1] 愛する・好む  

       愛する  愛し合う        
    好む   好く  好き合う 好きこのむ
     ほれる  聞き惚れる  のぼせ上がる  恋(を)する  慕う
     ひかれる    

 [2] 嫌う・憎む  

      嫌う   忌み嫌う  嫌悪する 辟易する    
     憎む    
     嫌がる
     恨む

  [3] 喜ぶ・楽しむ・悲しむ・苦しむ・悩む

     喜ぶ   喜び勇む  大喜びする  満足する   
      楽しむ
     悲しむ    嘆き悲しむ   悲しがる
     苦しむ  苦しみ抜く うめき苦しむ  苦悩する 苦労する
     悩む   悩み抜く  思い余る 思いつめる  思い悩む  思いわずらう

  [4] 怒る・叱る

     怒る      当たり散らす    
    叱る   叱りつける 叱りとばす    
     いかる  怒り狂う  憤慨する
    いらだつ  いらいらする 
     怒鳴る  怒鳴り合う 怒鳴り込む 怒鳴りつける

  [5] こわがる・恐れる

    怖がる         
     恐れる  恐れ入る
     脅える  すくむ  立ちすくむ
     脅かす
          おどおどする ぞくぞくする ぞっとする びくびくする
               びくっとする ひやひやする ひやりとする

  [6] 驚く・あきれる

    驚く   驚きあわてる 驚き入る     
    驚かす  脅かす  びっくりする          
     呆れる  呆れかえる 呆れ果てる 

  [7] 恥じる

    恥じる  恥じ入る    
     恥ずかしがる  恐縮する 赤面する
     上がる  緊張する

感情
 感情を表す表現は、動詞で表される場合と、形容詞で表される場合がある。また、形容詞に「-が
る」を付けて動詞が形づくられる。
◇感情表現の種類
 感情表現をいくつかに分ける。
 まず、人間同士の間の感情がある。愛憎、好き嫌いなどがある。
     人を愛する/憎む  私は彼が好きだ/嫌いだ  彼女にほれる/恋をする
 次に、物事に対する感情。喜怒哀楽など。驚き、恐れ、苦しみ、心配、安心、感動など。
   合格を喜ぶ  死を悲しむ  音に驚く  雷を恐れる  技に感心/感動する
 ある状況での人間の心理状態を表すもの。慌てる、焦る、興奮する、など。
   失敗に慌てる  得点に興奮する
 自分の行為に対する心理、特にマイナスの感情を表すもの。恥じる、悔やむ、など。
      ミスを恥じる  罪を悔やむ/悔いる
 感情によって起こされる動作を表すもの。笑う、泣く、など。
◇対象・原因
 感情を表す動詞は、感情の対象・原因を示す格助詞の用法が複雑である。その対象をヲ格・ニ格で
示すものと、原因としてデ格・ニ格で示すものがある。
   人ガ 人/ものヲ 動詞    愛する 憎む 悲しむ 恐れる
   人ガ 人/ものニ 動詞   ほれる 感心する 飽きる 感動する  
   人ガ ものデ/ニ 動詞      驚く  苦しむ 興奮する
◇感情動詞と感情形容詞   
 感情を直接表すには、動詞よりも感情形容詞を使うのが一般的である。
    君を愛している   → 君が好きだ
    あいつを憎んでいる → あいつが憎い
    犬を嫌っている      → 犬が嫌いだ 
 感情を表す動詞と形容詞の対応(意味のずれのあるものも含む)
    愛する・ほれる・恋する・好む・好く   好きだ・恋しい 
      憎む・嫌う・嫌悪する          嫌いだ・いやだ
    恨む                  恨めしい
    喜ぶ・楽しむ              うれしい・楽しい 
    悲しむ                 悲しい 
    苦しむ・苦労する・苦悩する       苦しい
    悩む                  悩ましい
    恐れる                 怖い・恐ろしい
    恥じる                 恥ずかしい
    惜しむ                 惜しい
    悔やむ・後悔する                      悔しい
    欲する・欲張る             欲しい
    うらやむ                うらやましい
    ねたむ                 ねたましい
・以上の感情形容詞は、「-がる」の形で動詞化されるが、その場合は他者の状態の描写になる。
    彼は悲しがっている/彼は悲しそうだ/彼は悲しんでいる
 (「好きだ」と「嫌いだ」は「-がる」の形がない点で例外)

[1] 愛する・好む・恋する

◇あいする 
 「愛する」は、人や物事をとても好きで、大切に思い、失いたくないと思うこと。特に、男女間の
感情について使われることが多い。
   人ガ 人・ものヲ あいする
        夫・妻・子ども・家族・国を 愛する
 ただし、「愛する」は、あらたまった、かたい表現になる。多くの場合、「愛する」よりも「好き
だ」が広く使われる。
  「(私はあなたを)愛して(い)る!」 → 「好きだ!」
  活用変化の形は、サ変の変化形と、五段変化の「愛す」の変化形との混合になり、例外的である。
   愛さない 愛して 愛する 愛すれば 愛せ 愛そう
・複合動詞「愛し合う」は、互いに相手を愛すること。 
◇このむ 
 「好む」は、ある人や物事を自分に合うものとして好きであること。書きことば。話しことばでは
「Nが好きだ」にあたる。名詞節をとる。ひゆ的に、動植物がある環境に適合していることを言う。
   書を好む  さっぱりした味を好む  この植物は湿地を好む
   山を歩くことを好む
◇すく 
  「好く」は、人やものが好きであること。受身の形「すかれる」でよく使われるほかは、「すかな
い」「すいている」の形がまれに使われるだけで、他の活用形は使われない。
   彼女はみんなに好かれている  人に好かれる性格
・複合動詞
 「好き合う」は、互いに相手が好きになること。
 「好き好む」は、「好く」を強めて言うが、副詞的に「好き好んで」の形で否定または反語ととも
 に使われることが多い。
◇ほれる 
  「ほれる」は、非常にその人・ものが好きになって、心を奪われ、うっとりすること。対象として
ニ格をとる。俗語的。
   人ガ 人ニ ほれる
    評判の美人にほれる
・複合動詞:「-ほれる」は、うっとりすることを表す。「聞き惚れる」「見ほれる」など。
 「のぼせ上がる」は、頭に血がのぼったように、何かを好きになり、夢中になること。
◇こい(を)する
 「恋(を)する」は、主に異性に対して愛情を感じること。ただし、夫婦間については言わない。「人
ヲ 恋する」または「人ニ 恋(を)する」の形をとる。
   人ガ 人ヲ こいする / 人ガ 人ニ こい(ヲ)する
        隣の席の女性に恋した
◇したう
 「慕う」は、人が好きで、その人のそばにいたい、行きたいと思うこと。書きことばで、現代では
少し古めかしい表現。
   人ガ 人ヲ したう
        子どもが母を慕う
◇ひかれる
 「引かれる」は、心が引きつけられるように、人・ものが好きになること。
   人ガ 人・ものニ ひかれる
        彼の人柄に惹かれた


あいする(愛する) 五・サ変(あいさない・あいします・あいして・あいすれば・あいそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △あいしたい  あいしてほしい  あいしそうになる  あいしてはいけない
  あいさなければならない  あいせない  あいされる  あいせ!  あいするな! 
 △[心から/深く/ずっと/死ぬまで/永遠(えいえん)に/死ぬほど]愛している  
   [ぜんぜん/まったく/少しも/まるで/これっぽっちも]愛していない
 △[人/子ども/妻(つま)/家内(かない)/夫(おっと)/主人(しゅじん)/恋人(こいびと)/彼女
   (かのじょ)/隣人(りんじん)/神(かみ)/ペット/動物/花/木/自然(しぜん)]を~。
  [文学(ぶんがく)/詩(し)/本/書物(しょもつ)/音楽(おんがく)/歌/芸術(げいじゅつ)/絵
   (え)/仕事(しごと)/国/故郷(こきょう)]を~。
 ・おやは子どもを愛するものだ。
 ・花を愛する人に悪い人はいないそうだ。
 ・人を愛するということはやさしいようだが、なかなかできないものだ。
 ・この子はやさしい子だから、みんなに愛されている。
 ・ぼくはこんなに彼女を愛しているのに、彼女はちっともぼくのことを愛してくれない。
 ・愛そう、愛さなければ、と思うのだが、愛せない。
 ・自分の子どもを愛さない人はいない。(×愛しない)
 ・「愛さずにはいられない」というのは、エルビス・プレスリーの歌だ。
 ・「国民の皆様(みなさま)に愛される政治家(せいじか)をめざしています!」なんて、どうもうそ
  っぽいなあ。
 ・あの二人は、うわべだけ愛しているふりをしているだけだよ。もうすぐ別れるさ。
 ・「誰(だれ)よりも誰よりも君を愛す」という古い歌があった。

<複合動詞:あいし->
[あいしあう] 人ガ 人ト
 ・二人はいつまでも愛し合い、助け合って暮らしたそうです。
 ・家族が愛し合っていれば、それだけで幸せだ。
 ・一郎はゆみ子と愛し合っていたが、ゆみ子の親は一郎をよく思っていなかった。

<活用について>
・「愛す」と「愛する」
 「愛する」は「サ変動詞」だが、五段動詞の「愛す」の活用形と混ざったような変化形が使われる。
 一般のサ変動詞と同じ活用をする「得する」と、一般の五段動詞「話す」を比較のため並べて示す。
   得する  得しない  得します  得する 得すれば  得しろ  得しよう
   愛する (愛しない) 愛します  愛する 愛すれば (愛しろ)(愛しよう)
   愛す   愛さない  愛します (愛す)  愛せば   愛せ   愛そう
   話す   話さない  話します  話す  話せば   話せ   話そう
 「愛しない・愛しろ・愛しよう」は使われない。「愛す」は古い言い方。


このむ(好む) 五(このまない・このみます・このんで・このめば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △このみそうだ  このむかもしれない  このまないわけではない  このまれる
 △[非常に/とても/多少/いくらか]~。
 △[魚/からい食べ物/しずかな音楽(おんがく)/さむい所]を~。
  [争(あらそ)い/大げさな表現(ひょうげん)/濃(こ)い味]を好まない
 ・日本人が魚などの海産物(かいさんぶつ)をとくに好むのは、日本が海に囲まれているからだろう。
 ・わたしは、にぎやかな都会(とかい)よりもしずかな田舎(いなか)を好むほうだよ。
  ・日本食が海外で好まれているそうだ。
 ・若い女性に好まれるようなデザインにしたほうが、よく売れるだろうと思ったのです。
 ・なぜこのような程度(ていど)の低いテレビ番組(ばんぐみ)が多くの人に好まれるのだろうか。


すく(好く) 五(すかない・すいて) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △[人/子ども/みんな]にすかれている
 △[とても/ほんとうに/すごく/まあまあ/多少(たしょう)は]すかれている
 ・あの先生はどの生徒(せいと)にも好かれている。
 ・あの子は人のいやがることをよくやるので、クラスメートからあまり好かれていないらしい。
 ・児童(じどう)に好かれていない先生の授業(じゅぎょう)は、どうもうまくいかない。
 ・彼はどうもおばあさんに好かれるたちらしい。老人ホームへ行くと、すごい人気(にんき)だ。

<複合動詞:すき->
[すきあう] 人ガ 人ト 
 ・どういう事情があるにせよ、好き合っている二人を別れさせるのはかわいそうだ。
  ・好き合ってしまったら、もう何を言ってもむだだ。聞く耳をもたない。
[すきこのむ] 人ガ ものヲ (ほとんど副詞として、否定または反語と共に使われる)
 ・私だって、好き好んでこんな仕事をやっているわけじゃない。
  ・こんなへんな動物を好きこのんで飼う人がいるのだろうか。


ほれる(惚れる)  五(ほれない・ほれます・ほれて・ほれれば)
[1]〔人ガ 人ニ〕
 △ほれてみる  ほれてしまう  ほれてはいけない  ほれないほうがいい  ほれられる
 △[つい/いつのまにか/心底(しんそこ)/ぞっこん/命(いのち)がけで]~。
  △[いい男/かわいい娘(むすめ)/ふと見せたさびしげな横顔(よこがお)]に~。
  ・彼女がかわいそうだと思うのかい? それはつまり、惚れたってことじゃないのかい?
 ・異国(いこく)で出会った娘(むすめ)に惚れて、そのままそこに住み着いて、もう50年が過ぎた。
 ・その時は、命がけで惚れたと思ったんだけど、一緒になってみればまあ、どうってことないね。
  ・わがままな人なんだけど、惚れた弱(よわ)みね。やりたいようにやらせてあげるしかないのよ。
 ・あの女優さんは立ち姿(たちすがた)がいいよねえ。立ち姿に惚れちゃったよ。
 ・今日のうちの亭主(ていしゅ)はかっこよかったなあ。チンピラ相手(あいて)にたんか切っちゃっ
  て。もう、惚れ直しちゃったよ。

<複合動詞:-ほれる>
[ききほれる] 人ガ ものニ
 ・彼女の歌声に聞きほれた。顔もきれいだが、声はもっと美しい。
 ・三味線の音色に聞き惚れた。やはり邦楽はいいなあ。
<複合動詞:その他>
[のぼせあがる] 人ガ (人ニ)
 ・若い女の子たちがアイドルにのぼせ上がり、追っかけ回している。
 ・美人の先生に「かわいいね」と言われ、我が家の幼稚園児はのぼせ上がってしまった。


こい(を)する(恋(を)する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ 人ヲ/ニ〕
 △こいしてしまう  こいしてはいけない  こいさなくてはいけない
 △[ひそかに/まじめに/命(いのち)がけで/身(み)も焦(こ)がれるほど]~。
  △[隣(となり)の娘(むすめ)/学校の先生/小説の主人公(しゅじんこう)/まだ見ぬ人]を~。
  ・ある日、突然(とつぜん)隣の家の娘を恋してしまった。
  ・恋してはいけない人を恋してしまった。兄の婚約者(こんやくしゃ)だ。
 ・幼稚園(ようちえん)の先生が好きだった。人を恋した初めだった。
 ・なんということだ。アニメの主人公に恋してしまった。
  ・電車で毎朝会う男の子に恋をした。


したう(慕う)  五(したわない・したいます・したって・したえば)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △したってほしい  したわれる  
 △[心から/ひそかに/一途(いちず)に/親のように]~。
  △[先生のお人柄(ひとがら)/高僧(こうそう)の人徳(じんとく)/師(し)の学風(がくふう)]を~。
  [祖国(そこく)/故郷(ふるさと・こきょう)/亡(な)き母の面影(おもかげ)]を~。
  ・子どもが母親を慕うのは自然な情景(じょうけい)だ。
 ・かわしい子犬が飼い主(かいぬし)を慕ってついて歩いている。
  ・以前からあなたのことをお慕い申しておりました。
 ・国民に慕われる皇室(こうしつ)でありたいと常におっしゃっておられます。


ひかれる(引かれる・惹かれる)  一(ひかれない・ひかれます・ひかれて・ひかれれば)
[1]〔人ガ 人ニ〕
 △ひかれがちだ  ひかれてしまう  ひかれない人はいない
 △[なんとなく/次第(しだい)に/いつの間(ま)にか/だんだん/無性(むしょう)に]~。
  △[美しさ/男らしさ/美貌(びぼう)/まっすぐな性格(せいかく)/初々(ういうい)しさ]に~。
  ・彼のどんな所にひかれたんですか? 
 ・初めは何とも思っていなかったんだけど、一緒に仕事をしているうちに、次第にひかれるように
  なったんです。
 ・彼女の初々しさに惹かれましたね。  

[2] 嫌う・憎む
  あることが(ひどく)嫌いであることを表す動詞。「人ガ 人・ものヲ」の文型をとる。
 「きらいだ」がもっともよく使われる日常的な表現で、「きらう」は受身の形でよく使われる。
 「憎む」は、特に人に対する強い感情を表す。「いやがる」は、その気持ちを外にはっきり示して
いること。「うらむ」は、されたことに対する気持ちを表す。

◇きらう
  「嫌う」は、人や物事がいやで、近づきたくないと思うこと。ひゆ的に、あるものにとって害とな
ることを言う。「-ている」の形で使われることが多い。また、受身の形でよく使われる。
      人ガ 人・ものヲ きらう
       親を嫌っている  みんなに嫌われる  うそを嫌う
   ものガ ものヲ きらう
    器械がホコリを嫌う(ホコリで器械が故障する)
 名詞節をとる。
    うそをつかれることを嫌う
・複合動詞
 「忌み嫌う」は、いやがってそれに近づいたり触れたりすることを非常にいやがること。
・スル動詞
 「嫌悪する」は、ひどく嫌うこと。
  「辟易する」は、不快なことが何度も繰り返されて、うんざりだという気持ちを持つこと。
◇にくむ
  「憎む」は、人や物事を強く嫌い、それがなければいいとか、害を与えたいとか思うこと。
      人ガ 人・ものヲ にくむ
    敵を憎む  病気・不正を 憎む  
 名詞節をとる。
       人がうそをつくことを激しく憎む
◇いやがる
  「嫌がる」は、ナ形容詞「いやだ」に接辞の「-がる」が付いた形で、嫌だという気持ちを態度に
表すこと。名詞節をとる。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ いやがる
       勉強をいやがる  みんなにいやがられる  会うことをいやがる
◇うらむ
  「恨む」は、自分に害を与えた人やものを嫌い、害を受けたことを忘れないこと。名詞節をとる。
      人ガ 人ヲ/文ヲ うらむ
       加害者を恨む  世間を恨む  いじめられたことを恨む


きらう(嫌う) 五(きらわない・きらいます・きらって・きらえば)
[1]〔人・ものガ もの・人ヲ〕
 △きらいがちだ  きらってしまう  きらってはいけない  きらわれる  きらうな!
 △[とても/ひじょうに/心の底(そこ)から/心底(しんそこ)]~。
 △[人/兄弟(きょうだい)/考え方/政治(せいじ)/偏見(へんけん)/貧乏(びんぼう)]を~。
 ・兄は父を嫌って、顔を合わそうとしない。
 ・アメリカは共産主義(きょうさんしゅぎ)を嫌っている。
 ・そんなにいつもウソをついていると、みんなに嫌われますよ。
 ・人に嫌われるよりは、好かれた方がいいだろう。
 ・お願いですから、私のことをそんなに嫌わないでください、と夢(ゆめ)でゴキブリが言った。
 ・父はいなかの単調(たんちょう)な暮(く)らしを嫌って東京へ出てきたのだそうだ。
 ・彼女は、暗い冬が長く続くこの土地(とち)を嫌っていた。
 ・このくすりは湿気(しっけ)を嫌うので気をつけてください。
〔文ヲ〕
 ・母は、父がトイレのあとで手をあらわないことをひどく嫌っていた。

<複合動詞:-きらう>
[いみきらう] 人ガ 人・ものヲ
 ・まるでヘビやマムシを忌み嫌うように、私は彼女に嫌われていた。
 ・王女は貧しさを忌み嫌い、目の前のそれが存在しないかのように振る舞った。
<スル動詞>
[嫌悪(けんお)する]  人ガ ものヲ
 ・彼はなぜ女性を嫌悪するのだろうか。
 ・私は、このような人間の精神的堕落を心から嫌悪するものだ。
[辟易(へきえき)する]  人ガ ものニ
 ・部屋の中の汚さに辟易した。どうすればこんなに汚せるのか。
 ・長期の、根気と集中力のいる仕事に辟易(と)したが、給料のよさを思って我慢した。


にくむ(憎む)  五(にくまない・にくみます・にくんで・にくめば・にくもう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △にくみがちだ  にくんでしまう  にくまないようにする  にくまれる  にくむな!
 △[強く/心の底(そこ)から/殺(ころ)したいほど/一生(いっしょう)/死ぬまで]~。
  △[親/敵(てき)/犯人(はんにん)/世の中/不正(ふせい)罪(つみ)/運命(うんめい)]を~。
  ・彼は上司(じょうし)の冷たいやり方を憎んだ。
 ・彼女は暴力(ぼうりょく)を振(ふ)るう夫を憎んでいた。
 ・公害(こうがい)を出す企業(きぎょう)が被害者(ひがいしゃ)から憎まれるのは当然だ。
 ・病気を憎んでみてもしかたがない。早く治(なお)すよう努力(どりょく)するだけだ。
 ・どうしてこんなことになったのか。私は自分の運命を憎んだ。  
〔文ヲ〕 
 ・誰も助けてくれなかったことを強く憎んでいた。
 ・私は、こんな家庭に生まれてきたことを憎む。


いやがる(嫌がる)  五(いやがらない・いやがります・いやがって・いやがれば)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △いやがりがちだ  いやがってしまう  いやがらないようにする  いやがられる  
 △[どうしても/つい/なんとなく/極端(きょくたん)に/強く/少し]~。
  △[厳(きび)しい先生/うるさい上司(じょうし)/だらしない夫/すぐほえる犬]を~。
  [掃除(そうじ)/かたづけ/雑用(ざつよう)/手術(しゅじゅつ)/忠告(ちゅうこく)]を~。
  ・子どもは勉強をいやがるものだと思っていませんか? 本来、そうではないはずです。
 ・面倒(めんどう)な仕事をいやがって避(さ)けていたら、能力(のうりょく)が伸びないよ。
 ・彼はすぐ人を批判(ひはん)するのでみんなに嫌がられている。
〔文ヲ〕
 ・子どもが学校に行くのを嫌がるというのはふつうのことだから、心配しなくてもいい。
  ・あの学生はまちがいを直されるのをいやがる。直さないと上手(じょうず)にならないんだが。
 ・いい大人が会社に行くのをいやがるなんてねえ。子どもじゃないんだから。
  ・彼女は人に指図(さしず)されることをいやがって、自分で会社を興(おこ)した。


うらむ(恨む)  五(うらまない・うらみます・うらんで・うらめば・うらもう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △うらみがちだ  うらんではいけない  うらまないほうがいい  うらむな!
 △[心の底(そこ)から/殺(ころ)したいほど/心ひそかに/つい]~。
  △[冷たい恋人(こいびと)/他人(たにん)/世間(せけん)/神様(かみさま)/雨]を~。
  ・彼は自分の頭が悪いのは親のせいだと言って、親を恨んでいた。
 ・幽霊(ゆうれい)は恨んでいる人の所に出るという。    
 ・人を恨んでも、今の状態(じょうたい)が変わるわけではない。
 ・この民族(みんぞく)は長年(ながねん)の差別(さべつ)的なあつかいを恨んでいた。
〔人ガ 文ことデ 人ヲ〕 
 ・彼は会社を辞めさせられたことで社長を恨んでいたらしい。
 ・父は、金融(きんゆう)引き締めのため資金繰りに苦労したことで、政府を恨んでいた。
[2]〔文ヲ〕
 ・彼は会社を辞めさせられたことをいつも恨んでいた。
 ・彼女は私が人前(ひとまえ)でひどく叱(しか)ったのを恨んでいるようだ。

[3] 喜ぶ・楽しむ・悲しむ・苦しむ
 悲喜・苦楽などの感情表現は、ヲ格をとるものとニ格をとるものがある。  
    勝利を喜ぶ  映画を楽しむ  別れを悲しむ  借金に苦しむ
 これらの動詞に対応する形容詞がある。「楽しい・悲しい・苦しい」は、発話時点での感情の表出
を表す。
    楽しいね!  とても悲しい!  苦しい!  
 「喜ばしい」は、感情の表出ではなく、その原因となる物事に対する形容である。
    喜ばしい事実 
 「楽しい・悲しい・苦しがる」には、「話し手以外の人がそのような態度を外に示す」という意味
を表す「楽しがる・悲しがる・苦しがる」という動詞の形がある。ただし、「楽しがる」はあまり使
われない。似た意味を持つ「うれしがる(←うれしい)」はよく使われる。
    みんなうれしがっていた

◇よろこぶ
  「喜ぶ」は、人がよいことに出会ってうれしく思うこと。具体的なきっかけとなる事柄があり、そ
れによって喜ぶ感情が生まれる。ヲ格、またはニ格で示す。ニ格のほうが「きっかけ」としての意味
合いがはっきり示される。名詞節をとる。
   人ガ もの・文 ヲ/ニ よろこぶ
       みなが彼の合格を喜んでいる  彼は合格の知らせに喜んでいる
    子供が無事に生まれたことを喜ぶ
・複合動詞
 「喜び勇む」は、「喜び勇んで」の形で、積極的に楽しそうに何かをしようとする様子を表す。
・スル動詞「大喜びする」は、大変に喜ぶこと。「満足する」は、自分の思い通りになって、これで
十分だと思うこと。
◇たのしむ
  「楽しむ」は、人が気持ちよく楽しい状態であることを表す。対象をヲ格で示し、それがあること
によって自分の心が満たされていることを表す。名詞節をとる。
      人ガ ものヲ/文ヲ たのしむ
       ゲームを楽しんでいる  人生を楽しむ  走ることを楽しむ
◇かなしむ
  「悲しむ」は、悲しいと感じ、泣きたい気持ちになること。対象としてヲ格をとる。そう感じてい
る人を客観的に描写する、やや書きことば。現在の自分に気持ちについて「×私は悲しんでいる」と
は言わない。「(私は)悲しい」と言う。名詞節をとる用法は書きことば。
     人ガ ものヲ/文ヲ 悲しむ
     愛犬の死を悲しむ   愛を失ったことを悲しむ
・複合動詞「嘆き悲しむ」は、悲しいと嘆くこと。書きことば。
◇かなしがる
 「悲しがる」は、悲しいと思い、それを態度に表すこと。対象としてヲ格をとる。名詞節をとる。
      人ガ ものヲ/文ヲ 悲しがる
    別れを悲しがる  別れなければならないことを悲しがる
◇くるしむ
 「苦しむ」は、苦しいと思うこと。困難なことに困ること。やや書きことば。原因を示すニ格、ま
たはデ格をとる。デ格のほうが話しことば。
   人ガ ものニ/デ くるしむ
    飢え・病に/で 苦しむ  理解・判断に 苦しむ
・複合動詞
  「苦しみ抜く」は、ひどく苦しむこと。
    「うめき苦しむ」は、苦しく、うめくこと。
・スル動詞
  「苦悩する」は、解決できない問題でどうしていいかわからず悩み、苦しむこと。
  「苦労する」は、何かをするために苦しい思いをしながらがんばること。
◇なやむ
  「悩む」は、精神的・肉体的な苦痛に苦しむこと。人生や仕事でどうしていいかわからず、非常に
困って考えること。その原因をニ格・デ格で示す。「に」のほうがやや書きことば。「のことで/に
ついて」などの形もよく使われる。
   人ガ ものニ/デ なやむ
    恋・人生・生き方・仕事・借金・赤字ニ/デ 悩む
 ヲ格をとることがある。
    何をそんなに悩んでいるの? 
 名詞節・疑問節をとる。「ヲ・ニ・デ」のいずれも使われる。引用の「と」も使われる。
    恋人とうまくいっていないことを悩んでいるらしい
    いかに生きるべきかに悩んでいる
    彼は成績が下がってきたことで悩んでいた
    会いに行ったほうがいいのかどうか(と)、悩んでいた
    どんな仕事についたらいいのか(と)悩んでいる
・複合動詞
 「悩み抜く」は、どこまでも悩むこと。
 「思いあまる」は、悩みなどを一人で考えて、解決できず、困ること。
 「思い詰める」は、あることばかり考えて悩み、ほかのことが考えられなくなること。
 「思い悩む」は、あることについていろいろと考え、悩むこと。
 「思い煩う」は、あれこれ考えて悩むこと。 


よろこぶ(喜ぶ)五(よろこばない・よろこびます・よろこんで・よろこべば・よろこぼう)
[1]〔人ガ〕
 △よろこびたい  よろこんでくれる  よろこんでもらいたい  よろこばざるをえない
 △[おもわず/とびあがって/心から/とても/たいへん/ひじょうに/すごく]~。
 ・そういう良い事につかうお金なら喜んで出しますよ。
 ・ちょっとたのんだら、かれは喜んでてつだいに来てくれた。
 ・しけんに合格(ごうかく)したのはいいが、これからのむずかしい勉強のことを考えると、手ばな
  しで喜んでばかりはいられない。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[合格(ごうかく)/成功(せいこう)/完成(かんせい)/子どもの誕生(たんじょう)]を~。
  [プレゼント/おどり/うた]を~。
 ・人の不幸(ふこう)を喜ぶとは、きみはなんとくだらない人間なんだ。
 ・大川さんはどんな小さなプレゼントをしても喜んでくれました。
 ・あなたのそんなくらし方をあなたの両親(りょうしん)は喜ぶと思いますか。
 ・あなたの成功(せいこう)を自分のことのように喜んでくれる友だちを持っていますか。
〔文ヲ〕
 ・私の研究(けんきゅう)が完成(かんせい)したことを妻(つま)は心から喜んでくれた。
 ・彼女が当選(とうせん)したことを喜ばない人たちがいるようだ。
 ・子どもの成長(せいちょう)するのを喜ばない親はいない。
[3]〔人ガ ものニ〕
 △[合格(ごうかく)の知らせ/全員(ぜんいん)無事(ぶじ)というニュース]に~。
 ・先生のおどりに子どもたちはたいへん喜んだ。
 ・ふねが無事(ぶじ)にみなとに帰ったという知らせに、かぞくは手をたたいて喜んだ。

<複合動詞:よろこび->
[よろこびいさむ] 人ガ
 ・見合いの日、むすめが「こんどこそは、うまく行きそうだわ。」と喜び勇んで出かけて行った。
 ・会社に入って最初(さいしょ)のあさ、むすこは「きょうは初出勤(はつしゅっきん)だ。」と言っ
  て、喜び勇んで会社に出かけて行った。
<スル動詞>
[大喜び(おおよころび)する]  人ガ ものニ
 ・みんなはその知らせに大喜び(を)した。(その知らせを聞いて)
 ・姉は宝くじが当って大喜び(を)している。
 〔人ガ 文ニ〕
 ・隣の夫婦は初孫が生まれたことに大喜び(を)している。
[満足(まんぞく)する]  人ガ ものニ
  ・私は、現在の生活に満足(を)しています。
 ・この程度の成果に満足(を)していちゃダメだ。もっと上を目指せ! 
 〔人ガ 文ニ〕
 ・今回は大きなミスをしなかったことに満足(を)しています。


たのしむ(楽しむ)五(たのしまない・たのしみます・たのしんで・たのしめば・たのしもう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △たのしみたい  たのしんでほしい  たのしんでおく  たのしまないといけない
  人をたのしませる  たのしもうと思う
 △[のんびり/ゆっくり/ゆったり/心から]~。
 △[音楽(おんがく)/つり/旅行(りょこう)/ドライブ/スポーツ/俳句(はいく)]を~。
  [人生(じんせい)/青春(せいしゅん)/午後のひととき/一家(いっか)だんらん]を~。
 ・おいしいコーヒーを飲みながら、好きな音楽を楽しむのがいちばんの幸(しあわ)せだ。
 ・おじいさんが公園(こうえん)のベンチにすわってやわらかな日のひかりを楽しんでいる。
 ・ひさしぶりにむかしの友だちと会って、語(かた)らいを楽しんだ。
 ・生活を楽しむためには、小さな事をあまり気にしないようにしなくてはだめだ。
 ・今夜はしごとをわすれて大いに楽しもう。
 ・こんな小さい庭(にわ)だけれども、花をうえたり、いけに金魚(きんぎょ)をおよがしたり、鳥が
  あそびに来たりして、なかなか楽しめるんですよ。
〔文ヲ〕
 ・毎週日曜日の朝、仲間(なかま)と走ることを楽しんでいます。
 ・遠くから来た友だちとゆっくり話すことを楽しむ時間があるというのは、退職(たいしょく)して
  よかったことの一つだ。


かなしむ(悲しむ)五(かなしまない・かなしみます・かなしんで・かなしめば・かなしもう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かなしみがちだ  かなしんではいけない  かなしまないようにする  かなしませる
  かなしまれる  かなしめ!  かなしむな!  かなしめない
 △[ひどく/ひじょうに/心から/深く/すこしだけ]~。
 △[死/早すぎる死/別れ/別離(べつり)/文化財(ぶんかざい)の焼失(しょうしつ)]を~。
 ・かの女の死を悲しんで、イヌのシロがほえている。
 ・いくら悲しんでも、なくなった人は帰ってこない。
 ・今の私のみだれた生活(せいかつ)を知ったら、母はどんなに悲しむだろう。
 ・こういう若者(わかもの)にだれも注意(ちゅうい)しないというのは悲しむべきことだ。
 ・父の死の後、葬儀(そうぎ)だ香典返(こうでんがえ)しだと言っていそがしく、ゆっくり悲しむひ
  まもなかった。
 ・だれがどんなに悲しもうと、嘆(なげ)こうと、死んでしまえば一番らくだ。
 ・何をそんなに悲しむのか。死は一時的(いちじてき)な別離(べつり)に過ぎない。悲しむべきこと
  ではない。またあの世(よ)で会おう。
 ・親を悲しませてはいけないと思って、彼のへやではなく、友だちの女の子のへやに泊めてもらっ
  たとうそをついた。
〔文ヲ〕
 ・そんな大事なことをだれも知らせてくれなかったということを私は悲しんだ。
 ・子どもをうしなったことを悲しむあまり、母親は気がくるってしまった。

<複合動詞:-かなしむ>
[なげきかなしむ] 人ガ ものヲ 
 ・集まった人々は詩人の薄幸と早すぎる死を嘆き悲しんだ。
 ・いくら嘆き悲しんでも、亡くなった人は戻らない。静かに冥福を祈ろう。
   死・死者・不運・報いを


かなしがる(悲しがる)五(かなしがらない・かなしがります・かなしがって・かなしがれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
  △かなしがりそうだ  かなしがってしまう  かなしがるな! 
 △[とても/ひじょうに]~。
 △[死/失恋(しつれん)/別離(べつり)/不合格(ふごうかく)]を~。
 ・親の死を悲しがる(=悲しむ)のはどの動物も同じだ。
 ・失敗(しっぱい)を悲しがっているだけではどうにもならない。
 ・かわいがっていた犬が死んだのに、うちの子はあんがい悲しがっていない。
〔文ヲ〕
 ・弟は大学におちたのを悲しがって、泣いているのです。
 ・むすめは私と外国へ行くことはよろこんだが、友だちと別れなければならないことを悲しがった。


くるしむ(苦しむ)五(くるしまない・苦しみます・苦しんで・苦しめば・苦しもう)
[1]〔人ガ ものニ/デ〕
 △くるしみたくない  くるしんではいけない  くるしんだほうがいい
  くるしまないようにする  くるしませる  くるしめ!  
 △[ひどく/非常に/死ぬほど/多少/むだに/必要以上(ひつよういじょう)に]~。
 △[水不足(みずぶそく)/飢(う)え/借金(しゃっきん)/罪悪感(ざいあくかん)]に/で~。
  [解釈(かいしゃく)/処置(しょち)/判断(はんだん)/判読(はんどく)/理解(りかい)]に~。
 ・母は、交通事故(こうつうじこ)の後遺症(こういしょう)で苦しんでいる。
 ・国民はひどいインフレに苦しみ、政府(せいふ)を非難(ひなん)した。
 ・あき子はひどいねつで(=に)三日間苦しんだ。(=熱のために)
 ・ゆみ子は、まだ罪悪感に苦しんでいる。
 ・インフレで国民は生活に(≠で)苦しんでいる。
 ・あの人の話はどうも理解に苦しむ。他国に攻め入ることは侵略(しんりゃく)じゃないそうだ。
 ・政府(せいふ)は判断に苦しんだすえに、政府発表ではこの問題にはふれないことにした。
 ・学生の答案(とうあん)で、判読に苦しむような字で書かれたものがいい答案だったことはない。
 ・しかたのなかったことだ。きみ一人が責任(せきにん)を感じて苦しむことはない。
 ・父がこれ以上(いじょう)苦しまないように、くすりをのませた。

<複合動詞:くるしみ->
[くるしみぬく] 人ガ ものニ 
 ・父は、このひどい病気にくるしみぬいて死んだ。
 ・社長は借金の返済に苦しみぬいたが、何とか経営を立て直した。
<複合動詞:-くるしむ>
[うめきくるしむ] 人ガ ものニ
 ・あなたには、悪政にうめき苦しむ民衆の声が聞こえないのか。
 ・基地の病院には、敵に撃たれ、傷の痛みにうめき苦しむ兵士たちの姿があった。

<スル動詞>
[苦悩(くのう)する]  人ガ ものニ
 ・過酷な運命に苦悩する中で、彼は新しい芸術を生み出した。
 ・この彫刻は苦悩する人の表情を写実的に表現している。
[苦労(くろう)する]  人ガ ものデ/ニ
 ・若い時は苦労(を)したほうがいいというけれど、苦労しすぎてつぶれた者もいるんじゃないか。
  ・学生のころ、金がなくて毎日アルバイトばかりしていて、けっこう苦労(を)した。
〔文ニ〕
 ・彼を説得するのに苦労(を)した。
 ・仕事の時間のほかに、子どもの世話や家事の時間をひねり出すのに、毎日苦労(を)した。


なやむ(悩む)五(なやまない・なやみます・なやんで・なやめば)
[1]〔人ガ ものニ/デ〕
 △なやみだす  なやみたくない  なやみつづける  なやんでしまう
  なやんではいけない  なやまなければならない  なやまないようにする  なやむな
 △[とても/ひどく/少し/真剣(しんけん)に/本気(ほんき)で/ぐずぐず/くよくよ]~。
 △[物価高(ぶっかだか)/赤字(あかじ)/資金難(しきんなん)/経営難(けいえいなん)]に~。
  [騒音(そうおん)/胃痛(いつう)/恋(こい)/]に~。
  [進路(しんろ)の問題/恋愛(れんあい)問題/人気(にんき)の低下(ていか)]で~。
  [仕事(しごと)のこと/お金のこと/勉強のこと]で~。
  ・彼女、最近なんか悩んでいるみたいだよ。だれか相談(そうだん)に乗ってあげられないかなあ。
 ・近ごろは、いろいろと悩むことが多くていけません。
 ・どこの国でも、主婦(しゅふ)は物価高に悩んでいる。
 ・企業(きぎょう)は人材不足(じんざいぶそく)に悩んでいる。
 ・山田は、日ごろから自分の会社の経営難(けいえいなん)に悩んでいたということから、警察(け
  いさつ)は、山田をこの強盗事件(ごうとうじけん)の犯人(はんにん)と見ています。
 ・そんなつまらない事で悩むなよ。
 ・あき子さんは体重のことで悩んでいるらしい。もっと大事なことで悩めばいいのに。
 ・自殺(じさつ)した中山さんはしごとのことで悩んでいたらしい。
 ・学生たちは進学のことで悩んでいる。
 ・わたしのむすめも恋に悩む年ごろになった。
[3]〔人ガ 文ヲ/ニ/デ〕
 ・女の子はうたのへたなことを悩んでいる。
 ・男の子は走るのがおそいのを悩んでいた。
 ・彼は成績(せいせき)が下がってきたことで悩んでいた。
〔カ(ドウカ)(ニ/デ/ト)〕
 ・60才を過ぎても、まだいかに生きるべきかに悩んでいる。
 ・娘(むすめ)はどういう仕事につこうかと悩んでいる。
 ・私は、父にあやまろうかどうか悩んだ。

<複合動詞:なやみ->
[なやみぬく] 人ガ ものヲ 
 ・学校を卒業するとき、進路に関して悩みぬいた。
 ・これは、私にとっては悩み抜いたすえの結論です。

<複合動詞:その他>

[おもいあまる] 人ガ
 ・彼は自分の責任を感じ、思い余って自殺しようとしたらしい。
 ・彼女はずっと一人で悩んでいたが、とうとう思いあまって我々に相談しにきたそうだ。
   ~て言う・意見をする・訴える・相談する・尋ねる (「~て」の形で使われる)
[おもいつめる] 人ガ 
 ・あれぐらいの失敗のことで、あまり思いつめない方がいい。
 ・入学試験に失敗したので、思い詰めて自殺したそうだ。
 ・中西は恋人に「わかれましょう」と言われ、いま思い詰めている。
   一途に かなり ~た顔・表情・様子 ~たようなまなざし  
[おもいなやむ] 人ガ 
 ・彼、最近何か思い悩んでいるみたいだよ。
 ・彼女は、結婚について思い悩んでいた。
   ひそかに あれこれ いろいろと ぐずぐずと くよくよと さんざん
[おもいわずらう] 人ガ ものヲ
 ・あれこれと明日のことを思い煩うのは意味のないことだ。
   明日を いろいろに あれこれと くよくよと とりとめもなく  

[4] 怒る・叱る

◇おこる
  「怒る」は、不快・不満の気持ちを強く外に表すこと。また、人を叱ること。
 ヲ格をとることもあるが、自動詞として原因をニ格、デ格で示すことが多い。叱る意味の場合は、
対象となる人をヲ格で示す。名詞節をとる。
 話し手自身の感情の場合は、適当な動詞・形容詞がない。「腹が立つ」「頭に来る」「むかつく」な
どが代用されてきた。「怒(いか)りを感じる」も。
      人ガ もの・文 ニ/デ/ヲ おこる 
    なぜか父は怒っている  些細なことで怒る  つまらないことを怒る
    母に怒られた(母が私のことを怒る)  小さな子供を怒ってもしかたがない
    うそをついたことを怒る
・複合動詞
 「当たり散らす」は、まわりの人に自分の不満やイライラをぶつけること。
◇しかる
  「叱る」は、目下の人(の行為)がよくないと言って強く注意すること。名詞節・引用節をとる。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ/文ト しかる
       親が子どもを叱る  先生に叱られた  いたずらを叱る
    うそをついたことを叱る  「静かにしろ!」と叱る
・複合動詞「叱りつける」「叱り飛ばす」は、強く叱ること。
◇いかる
  「いかる」は「おこる」の少し古い言い方。原因をデ格、ニ格で示す。
      人ガ ものニ/デ/ヲ いかる
       彼は政府の福祉政策に怒っていた  つまらないことで怒る
 「いかる」は、「おこる」と漢字表記が同じで、ある文章の中で「怒る」をどちらに読めばいいか
はわからない。
 名詞形「いかり」は、やや硬い表現だが「怒りを感じる」の形で、話し手の気持ちの表現として使
われる。「おこる」に対応する「×おこり」という名詞はない。
・複合動詞「怒り狂う」は、非常に興奮して怒ること。
・スル動詞「憤慨する」は、(何かを不正・不当だと考えて)激しく怒ること。
◇いらだつ
 「苛立つ」は、物事が思い通りにならず、冷静さを失い、じっとしていられない気持ちになること。
・スル動詞「いらいらする」は、物事が思い通りにならず、あせって冷静さを失うこと。
◇どなる
  「怒鳴る」は、非常に大きな声を出すこと。特に、人を叱ること。対象をニ格で示す。ヲ格をとる
こともある。引用節をとる。
   人ガ 人ニ/ヲ (文ト) どなる
    教師が生徒に「静かにしろ!」と怒鳴った
・複合動詞
 「怒鳴り合う」は、互いに相手に対して怒鳴ること。
 「怒鳴り込む」は、人の所に行って、大声で文句を言うこと。
 「怒鳴りつける」は、(失敗・失礼などをした)人に対して怒鳴ること。


おこる(怒る) 五(おこらない・おこります・おこって・おこれば・おころう)
[1]〔人ガ (ものニ/デ)〕
  △[つまらないこと/成績(せいせき)のこと]で~。
 ・父はちょっとしたことですぐに怒る。
 ・まあ、つまらないことにそう怒るなよ。血圧(けつあつ)が上がるよ。
 ・父は私の勉強のことで頭からゆげをたてておこっている。
 ・おじいちゃんが真っ赤(まっか)になって怒っている。
[2]〔人ガ 人ヲ〕
 ・宿題(しゅくだい)を忘れて、先生に怒られた。 (先生が私を)
 ・おとうさんは、いつもぼくのことをおこっているばっかりだ。
[3]〔人ガ ものヲ〕
 ・そんなつまらないことを怒るなよ。
 ・母が何を怒っているのかわからない。
〔文ヲ〕
 ・A:おとうさんは何を怒っているんだろう。
  B:あなたが、おとうさんに言わないで結婚(けっこん)をきめたことを怒っているんですよ。

<複合動詞>
[あたりちらす] 人ガ 人ニ
 ・父は、仕事がうまく行かず、家族や犬に当りちらしている。
 ・部長に叱られてイライラし、自分の部下に当り散らすなんて、最低の課長だね。


しかる(叱る) 五(しからない・しかります・しかって・しかれば・しかろう) 
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △しかりにくい  しかっておく  しかってみる  しかってはいけない
  しからねばならない  しかるべきだ  しかろうとする  しかられる 
 △[厳(きび)しく/きつく/強く/軽く/ひどく/はげしく/なんども/いつも/よく]~。
 △[こども/学生/部下(ぶか)/犬/ネコ/馬]を~。
 ・私は小さい頃、いたずらをしてよく母に叱られた。(母が私を)
 ・この学生はもう十分反省(はんせい)していますから、あまりきつく叱らないで下さい。
 ・お父さん、叱ってばかりいないで、たまにはほめてやって下さい。(子供を)
 ・この前悪いことをした時にきつく叱っておかなかったから、あの子はまた同じことをやったよ。
  ・部下は叱って育てるのではなく、ほめて育てろという。
 ・ネコを叱っても何の効き目(ききめ)もない。犬は叱ると覚えているようだ。
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[間違(まちが)い/いたずら]を~。
 ・部下の失敗(しっぱい)をあまり厳(きび)しく叱るのはよくない。しかし、叱らないと、それでい
  いのだと思ってしまう。
 ・間違いを叱るよりも、どうして間違ったのかをよく考えさせるほうがよい。
〔文ヲ〕
 ・子どもが桜(さくら)の木を切って黙(だま)っていたのをきびしく叱った。
  ・母親(ははおや)は子供がうそをついたことを叱った。

[3]〔人ガ 文ト〕
 ・「静かにしなさい!」と大声で叱ったが、学生たちはいっこうに話をやめなかった。
 ・電車で騒(さわ)いでいた子供を「騒ぐんじゃない!」と叱ったら、母親ににらまれた。

<複合動詞:しかり->
[しかりつける] 人ガ 人ヲ
 ・図書館でおじいさんが騒ぐ子供たちを叱りつけた。
 ・この子は、いくら叱りつけてもまたいたずらを繰り返す子だった。
   犬・子供・生徒・妻・若い者・無礼を 頭から きつく やんわりと
[しかりとばす] 人ガ 人ヲ
 ・村の名物のがんこ爺さんが「ばかもん!」と若い男たちを叱りとばした。
 ・子供が悪いことをしたら叱りとばすような、そんなオヤジがいなくなった。
   女・女房・息子を やたらに ひどく ぴしぴし 


いかる(怒る)  五(いからない・いかります・いかって・いかれば)
[1]〔人ガ ものニ/デ〕
 △いかってしまう  いかってはいけない  いからないようにする  いかれ!
 △[つい/本気(ほんき)になって/とつぜん/狂気(きょうき)のように]~。
  △[差別(さべつ)/不正(ふせい)/偏見(へんけん)/テロ/卑劣(ひれつ)さ]に~。
  ・今の政治(せいじ)のひどさに、国民はもっと怒るべきだと思う。
 ・不正に対して怒る気持ちを失ってはいけない。
 ・こういうときにこそ、人は怒るべきだ。
  ・人を差別する愚(おろ)かな知事(ちじ)の言動(げんどう)につい怒ってしまう。
 ・テロに怒った人々が戦争の後押(あとお)しをするという悪循環(あくじゅんかん)が起きている。

<複合動詞:いかり->
[いかりくるう] 人ガ ものニ
 ・部長は部下の失態に怒り狂った。
 ・相手のファウルに怒り狂っては負けだ。あくまで冷静なプレーをすること。
 ・ここで、踊り手はさも怒り狂ったように激しく動き回る。一つの見せ場だ。
<スル動詞>
[憤慨(ふんがい)する]  人ガ ものニ
 ・相手のあまりの暴言に憤慨して、こちらもひどいことを言ってしまった。
 ・いちばん何に憤慨したかというと、言われた内容より、その言い方だった。
   時勢を憤慨する


いらだつ(苛立つ)  五(いらだたない・いらだちます・いらだって・いらだてば)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △いらだってしまう  いらだってはいけない  いらだたないようにする  いらだつな!
 △[つい/どうしても/すぐに/しばしば/がまんできず]~。
  △[相手(あいて)のことば/応対(おうたい)/態度(たいど)/遅(おそ)さ/言いわけ]に~。
 ・あの人の話を聞いていると、どうもいらだってくる。
  ・遅(おく)れたこと自体(じたい)はしかたないとしても、あの言いわけにいらだってしまった。
 ・相手の態度(たいど)にいらだつ心を抑(おさ)えて説明を続けた。
 ・お前の笑い方は人をいらだたせる笑い方だな。
 ・冷静(れいせい)になれ。ここでいらだったら、相手の思うつぼだぞ。

<スル動詞>
[いらいらする]  人ガ ものニ
  ・言い訳するな。お前の顔を見ているとイライラする。あっちへ行け! 
 ・その音楽を聴いているとイライラするからやめてくれ。


どなる(怒鳴る)  五(どならない・どなります・どなって・どなれば・どなろう)
[1]〔人ガ 人ニ/ヲ 文ト〕
 △どなりたい  どなりかける  どなってしまう  どなってはいけない
  どならないようにする  どなろうとする  どなられる  どなるな!
 △[つい/かっとなって/怒(おこ)って/かんかんになって/大きな声で/いきなり]~。
 ・隣(となり)のおじいさんが子どもに何か怒鳴っている。何かいたずらでもしたんだろうか。
  ・大声(おおごえ)で怒鳴れば相手(あいて)が言うことを聞くだろうと思うのは、ヤクザか警察(け
  いさつ)の考え方だ。
 ・社長はすごい剣幕(けんまく)で「馬鹿者(ばかもの)!」と部長(ぶちょう)に怒鳴った。
  ・毎晩、隣(となり)の主人が奥さんを怒鳴る声が聞こえていやになる。
  ・ドイツ人の先生が真っ赤(まっか)になって何か怒鳴っていたが、学生は何を怒られているのか、
  だれもわからなかった。

<複合動詞:どなり->
[どなりあう] 人ガ 人ト
 ・うちの父と隣の家のおじさんはとても仲が悪く、時々怒鳴りあってけんかしている。
 ・国会の議場は、与野党の議員が怒鳴りあう声であふれていた。
 ・議論が沸騰し、委員が怒鳴り合う中で議決がなされた。
[どなりこむ] 人ガ 人・ものニ
 ・隣の猫がうちの子供を引っかいたと言って父が隣の家に怒鳴り込んだ。
 ・近所の子どもが家の塀を少し壊したが、怒鳴り込むのは大人げないのでやめた。私も子どもの頃
  よくやったことだし。
   こっちから 隣家に 血相を変えて
[どなりつける] 人ガ 人ヲ
 ・新人が横柄な言葉づかいをして、監督に「態度がでかい!」と怒鳴りつけられていた。
 ・祖父は気が短く、いつも祖母や母を怒鳴りつけていたが、孫の私には甘かった。
   運転手・客・子ども・生徒・妻・家人を 頭から 頭ごなしに かっとなって

[5] こわがる・恐れる
 恐怖を表す「恐れる」は、書きことば的な表現で、話し言葉では「こわい」に「-がる」が付いた
「こわがる」がよく使われる。
    どうしてそんなに怖がっているの?  あなたは何を恐れているのか  

◇こわがる
  「怖がる」は、怖いと思い、そのような態度を示すこと。「恐れる」より日常語的で実感がある。
 名詞節をとる。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ こわがる
    子どもは大きな犬を怖がって泣いた   暗い所を怖がる
    ジェットコースターに乗るのを怖がる 
◇おそれる
  「恐れる」は、恐ろしいと思って避けようとすること。名詞節をとる。やや書きことば。
      人ガ 人・ものヲ/文ヲ おそれる
       死を恐れる  地震を恐れる   神を畏れる  恥をかくことを恐れる
 「神を畏れる」は、優れたもの、偉大なものに対する近づきがたい気持ちを表す。
 疑問節・引用節をとる用法がある。
    秘密がいつばれるか(と)恐れた  大地震が起こるかもしれないと恐れている
・複合動詞「恐れ入る」は、相手の能力の高さや、自分のしたことと相手への迷惑などを考えて、自
 分を低く、相手を高く思うこと。皮肉な言い方で、感心すること。
       誠に恐れ入ります   あいつの厚かましさには恐れ入ったよ
◇おびえる
  「脅える」は、体が震えるくらい怖いと思っている状態を表す。対象としてニ格をとる。
      人ガ ものニ おびえる
     ヘビ・死・不安に 脅える  
◇おびやかす
  「脅かす」は、相手の体が震えるほど怖く思わせるようなことをすること。対象としてヲ格をとる。
ひゆ的に、抽象的な事柄が何かを危険な状態にすることを言うことが多い。受身形「(に)脅かされる」
は「(に)脅える」とほぼ近い意味になる。
      人・ものガ 人・ものヲ おびやかす
    暴力団が市民の生活を脅かす  大国の軍事力が小国を脅かす  平和を脅かす宗教対立
    地震の不安に脅かされる(脅える)
◇すくむ
  「すくむ」は、緊張して体が自由に動かなくなること。恥ずかしくて体を縮めること。
      ものガ すくむ
    足・身・体が すくむ  恥ずかしさに身のすくむ思い
・複合動詞「立ちすくむ」は、恐ろしさのために、立ったままで動けなくなること。

◇スル動詞 
 オノマトペに「する」が付いた形のものが多くある。
 「おどおどする」は、人や動物が何かを怖がっていて落ち着かない状態を表す。
 「ぞっとする」は、寒さや恐ろしさなどによって体が震えるような気がすること。
 「ぞくぞくする」は、主に寒さで震える場合と、恐怖、期待によって興奮することを言う。
 「びくびくする」は、悪いことが起こりそうだと恐れて強く不安になった状態。
 「びくっとする」は、何かに脅えて体が震えること、またそのような気持ちになること。
 「ひやひやする」は、危険・不安を感じて非常に心配していること。 
 「ひやりとする」は、危険を感じて、瞬間的に体に寒さを感じるような気持ちになること。
 「ぞっと・びくっと・ひやりと」は、一時的な感情を表す。継続的な状態は「びくびくしている・
  ひやひやしている」という「-ている」の形で表される。


こわがる(恐がる・怖がる) 五(こわがらない・こわがります・こわがって・こわがれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △こわがってしまう  こわがられる  こわがらせる  こわがらそうとする
 △[びくびく/ひどく/極端(きょくたん)に/おかしいぐらい/みっともないほど]~。
 △[くらい所/知らない人/ひこうき/おばけ]を~。
 ・いまの子どもはおばけを怖がらない。テレビで見なれているからだろう。
 ・あの先生はとても厳(きび)しいので生徒たちに恐がられている。 
 ・A:何をそんなに怖がっているんですか。
   B:はあ、つまが帰って来るといけないと思って...。
 ・こわがることはないよ。死人(しにん)は食いつかないよ。
 ・夫はジェットコースターを怖がって乗ろうとしないので、私が子供と乗った。
〔文ヲ〕
 ・今時(いまどき)飛行機に乗るのを恐がる人は珍(めずら)しいんじゃないか?
 ・私は小さいときから知らない人に会うのを恐がったそうだ。今でも初対面(しょたいめん)の人と
  話すのは苦手(にがて)だ。


おそれる(恐れる)  一(おそれない・おそれます・おそれて・おそれれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おそれがちだ  おそれてはいけない  おそれてしまう  おそれなくてもいい
  おそれさせる  おそれられる  おそれるな!
 △[何となく/心から/必要以上(ひつよういじょう)に/いたずらに/極度(きょくど)に]~。
  △[犬/へび/うわさ/死(し)/事故(じこ)/災害(さいがい)/火事(かじ)/闇(やみ)/自然の猛
   威(もうい)/失敗(しっぱい)/損失(そんしつ)/批判(ひはん)/敵国(てきこく)]を~。
  ・うちの子は犬を恐れて、近づこうとしない。
  ・政府(せいふ)は国民の批判を恐れている。
 ・あの先生は学生に恐れられている。
  ・多くの国が、大国(たいこく)の軍事力(ぐんじりょく)を恐れ、その政策(せいさく)に従(したが)
  わざるを得なくなっていた。
 ・神を恐れることを忘れた人間は、やがてひどい罰(ばつ)を受けることになるだろう。
〔文ヲ〕
 ・失敗(しっぱい)することを恐れずに、思い切ってやってみろと言われた。
 ・恥(はじ)をかくことを恐れるな。
  ・保健所(ほけんじょ)は病気が広がることを恐れ、広報活動(こうほうかつどう)に努めた。
[2]〔人ガ 文ト〕
 ・台風がこの町を直撃(ちょくげき)するのではないかと恐れていたが、大丈夫だった。
 ・浮気(うわき)を妻に見つかるのではないかと恐れていたが、やめられなかった。 
 ・長い間、秘密(ひみつ)がいつばれるかと恐れていた。
 ・うちの父は、あの人は怒ると何をするかわからない、と近所の人に恐れられていた。
 ・人々は、大地震(おおじしん)が起こるかもしれないと恐れている。

<複合動詞:おそれ->
[おそれいる] 人ガ 人・ものニ
 ・まことに夜分恐れ入りますが、田中さんのお宅でしょうか。(電話)
 ・まったく、あいつの度胸には恐れ入ったよ。ヤクザ相手に詐欺をやろうというんだから。
 ・セルフサービスの喫茶店で飲んだカップを返しに行ったら、「恐れ入ります」と言われた。誰か
  を恐れ入らせるほどのことじゃないんだが。
     度胸・名声に 慧眼に ひたすら 誠に恐れ入りますが


おびえる(怯える・脅える)  一(おびえない・おびえます・おびえて・おびえれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △おびえがちだ  おびえてしまう  おびえてはいけない  おびえさせる  おびえるな!
 △[ひどく/死ぬほど/びくびくと/理由(りゆう)もなく/ただ]~。
  △[物音(ものおと)/予感(よかん)/恐怖(きょうふ)/悪夢(あくむ)/不安(ふあん)/罪(つみ)の
   意識(いしき)/敵(てき)の報復(ほうふく)]に~。
  ・その子は何かにおびえているようだった。
 ・昔の人々は、日食(にっしょく)を悪いことの前兆(ぜんちょう)だと考え、ひどくおびえたそうだ。
  ・犬は迫(せま)ってくる火におびえ、鎖(くさり)を切ろうと暴(あば)れ回っていた。 
 ・警察(けいさつ)で証言(しょうげん)した女性は、犯人(はんにん)の報復に脅えていた。
  ・人々はあやうく避難(ひなん)することができたが、まだ脅えたように辺(あた)りを見回していた。
  ・罪の意識と、警察に捕(つか)まるのではないかという不安に脅えながら毎日を暮らしていました。


すくむ  五(すくまない・すくみます・すくんで・すくめば)
[1]〔ものガ〕
 △すくみそうだ  すくんでしまう  すくんではいけない  すくまないようにする
 △[思わず/こわくて/どうしても/突然(とつぜん)/ぎょっと]~。
  △[足/ひざ/手足(てあし)/体/全身(ぜんしん)/身(み)]が~。
  ・谷底(たにそこ)をのぞいたら、思わず足がすくんでしまった。
 ・それを思い出すと、今でも体がすくむ思いがします。
 ・「何をやってるんだ!」と怒鳴(どな)られ、恥(は)ずかしさに身がすくみました。

<複合動詞:-すくむ>
[たちすくむ] 人ガ
 ・突然、大きな犬にほえられ、思わず立ちすくんでしまった。
 ・冗談で飛び込み台の上に立ってみたが、足が立ちすくんで動けなくなった。
     驚いて おもわず ぎょっとして その場に しばらく 凍り付いたように

おびやかす(脅かす)  五(おびやかない・おびやかします・おびやかして・おびやかせば・おび
  やかそう)
[1]〔ものガ 人・ものヲ〕      人ガ?
 △おびやかしてしまう  おびやかしてはいけない  おびやかされる  おびやかすな!
 △[常(つね)に/絶え間(たえま)なく/時に/不意(ふい)に/しばしば]~。
  △[安全(あんぜん)/健康(けんこう)/生命(せいめい)/生存権(せいぞんけん)/独立(どくりつ)
   /平和(へいわ)/人類(じんるい)/家族(かぞく)/家庭(かてい)/人々(ひとびと)]を~。
 ・核兵器(かくへいき)が世界の平和を脅かしている。
 ・彼は自分の王座(おうざ)を脅かす存在(そんざい)を消していった。
 ・原発(げんぱつ)事故(じこ)の恐怖(きょうふ)が人々を脅かし続けている。
  ・閣僚(かくりょう)の発言(はつげん)が内閣(ないかく)の存続(そんぞく)を脅かし始めている。
 ・不毛(ふもう)な宗教的(しゅうきょうてき)対立(たいりつ)によって、地域(ちいき)の平和が脅か
  されている。   

<スル動詞>
[おどおどする]  人ガ
 ・王の前に出ると、おどおどした態度で頭を下げた。
 ・彼らは何をしていいのかわからず、おどおどしていた。
[ぞくぞくする]  人ガ ものヲ
 ・思わずぞくぞくするような怖い話が聞きたい。
 ・雪山で道に迷い、体が冷えてぞくぞくしてきた。
[ぞっとする]  人ガ ものヲ
 ・その光景を見てぞっとした。
 ・あの先生と1対1の授業なんて、想像しただけでぞっとする。
[びくびくする]  人ガ ものヲ
 ・体が大きいからってびくびくするな。大した相手じゃない。
 ・びくびくしていると実力が出ないよ。
[びくっとする]  人ガ ものヲ
 ・ウサギは、物音にびくっとした。
 ・後ろから声をかけると、その男はびくっとして走り出した。
[ひやひやする]  人ガ ものヲ
 ・ひやひやしながら、谷に架かったつり橋を渡った。
 ・子どもがセリフを間違えないかとひやひやしたが、何とか無事に言い終えた。
[ひやりとする]  人ガ ものヲ
 ・乗っていた台がぐらりと揺れ、ヒヤリとしたが大丈夫だった。
 ・大きな当たりでヒヤリとしたが、打球は左に切れ、ファウルになってホッとした。

[6] 驚く    

◇おどろく
  「驚く」は、思いがけない出来事に出会って心が非常に不安定になること。原因となる物事をニ格
またはデ格で表す。「私は驚いている」というのは冷静・客観的な描写で、その時の気持ちの動揺は、
「驚いた!」で表す。
   人ガ ものニ/デ おどろく
    大きな音に驚く  こんなことで驚くな  うわっ、なんだ!驚いたなあ。
 名詞節をとる。また、「文とは」の形で話し手の驚きを表す用法があり、ガ格は示されない。
   人ガ 文ニ/トハ おどろく
    彼女は、彼がそのことを知らなかったことに驚いたらしい
    そんなことがあったとは驚いた
・複合動詞
 「驚きあわてる」は、驚いてあわてること。「驚き入る」は非常に驚くこと。
◇おどろかす・おどろかせる
  「驚かす」は、人を驚くようにさせること。「驚く」の使役形「驚かせる」も同じ。
   人ガ 人ヲ おどろかす/おどろかせる
    急に「わっ」と言って驚かす  大きな音で驚かせる
◇おどかす
 「脅かす」は、人を驚くようにさせること。また、「おどす」と同じ意味で、人をことばや刃物な
どでこわがらせて言うとおりにさせること。
      人ガ 人ヲ おどかす
        大きな音を立てて脅かす  ナイフで脅して金を取る
◇びっくりする
 「びっくりする」は、意外なことに出会って心が動揺すること。原因をニ格またはデ格で示す。
   人ガ ものニ/デ びっくりする
    速さにびっくりする  
◇あきれる
  「あきれる」は、常識はずれの物事に出会って、どう反応していいかわからないこと。対象となる
物事をニ格で示す。名詞節をとる。
      人ガ 人・ものニ/文ニ あきれる
       相手の態度(のひどさ)にあきれる     何、それ!? あきれた!
    課題をまったくやってこないのにあきれた
・複合動詞
 「あきれ返る」「あきれ果てる」は、どちらもひどくあきれること。
  

おどろく(驚く) 五(おどろかない・おどろきます・おどろいて・おどろけば・おどろこう)
[1]〔人ガ (ものニ)〕
 △おどろいてはいけない  おどろくべきこと  おどろかないでほしい  おどろかせる
  おどろかれる  おどろかされる  おどろくな! 
 △[ひどく/とても/非常に/いきがとまるほど]~。
  [あまり/ぜんぜん/少しも/ちっとも/まったく/まるで]おどろかない
 △[事故(じこ)/地震(じしん)/大きな音/美しさ/あまりの寒さ/そのことば]に~。
 ・急に大きな音がしたので、とても驚きました。
 ・とつぜん目の前で起こった殺人事件(さつじんじけん)に、人々は驚いて物も言えないほどだった。
 ・ホテルのシャンデリアがとつぜん落ちてきた時は、心臓(しんぞう)がとまるほど驚いた。
 ・チューさんの日本語があまりに上手(じょうず)だったのでみんな驚いた。
 ・驚いたことに、このむらではだれも戸(と)にカギをかけないそうだ。
 ・大川さんが一月でこの本を書き上げたということは驚くべきことだ。
 ・そんなことは別に驚くにはあたらない。当(あた)り前のことです。
 ・驚くなかれ、山本さんは10の言語を同じぐらい上手に話すことができるそうだ。
[2]〔(人ガ) 文ニ〕
 ・みんなは彼がうそをついていたことに驚いたようだが、私はちっとも驚かなかった。
 ・こんな田舎(いなか)のまちにディスコがあったのには驚いた。
 ・中山くんがピアノを上手に弾(ひ)いたのには驚いたねえ。
 ・大学生がこの程度のことを知らないということに驚いていては、教師は務(つと)まらない。
 ・しかし、担当教員(たんとうきょういん)の顔を知らないとは驚いた。
  ・山田君が結婚(けっこん)していたとは驚いた。てっきり独身(どくしん)だと思っていた。
 ・あの人がそんなことを言うとはねえ、驚いたねえ。そうとう腹(はら)が立ったんだろうなあ。

<複合動詞:おどろき->
[おどろきあわてる] 人ガ
 ・社長がきゅうに私の家にたずねて来たので驚きあわててしまった。
 ・地震の時は、驚きあわててしまい、火を消すどころではなかった。
     ひどく 我を忘れるほど
[おどろきいる] 人ガ ものニ
 ・万里の長城のスケールの大きいのには驚きいった。
 ・美術館で本物を見て、500年も前の画家の見事な腕に驚き入って言葉も出なかった。
      事件に みごとな手法に ~た話 何とも~た次第だ


おどろかす(驚かす)  五(おどろかさない・おどろかします・おどろかして・おどろかせば・
  おどろかそう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △おどろかしたい  おどろかしてやれ  おどろかしてはいけない  おどろかそうとする
  おどろかされる  おどろかせ!  おどろかすな!
 △[ちょっと/突然(とつぜん)/いきなり/虚(きょ)をついて]~。
  △[大きな音/ライト/爆竹(ばくちく)/ことば/プレゼント/訪問(ほうもん)]で~。
 ・突然、「わっ」と言って、友達(ともだち)を驚かした。
  ・いつも偉(えら)そうなことを言っているから、これでちょっとあいつを驚かしてやろう。
 ・おいおい、驚かすなよ。いきなり、会社をやめるだなんて。 
 ・あの映画(えいが)は、派手(はで)な衣装(いしょう)と演出(えんしゅつ)で観客(かんきゃく)を驚
  かしたが、映画自体は二流(にりゅう)だった。
[2]〔文ガ 人ヲ〕
 ・前の床(ゆか)が急に落ちて、大きな穴があいたのには驚かされた。


おどかす(脅かす)  五(おどかさない・おどかします・おどかして・おどかせば・おどかそう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △おどかしたい  おどかしてみたい  おどかしてはいけない  おどかさないほうがいい
  ・お化け屋敷(おばけやしき)はいろいろ人を脅かそうとしているが、ちっともこわくない。
 ・会社の金を使い込んでクビになっただなんて、脅かさないでよ。うそでしょ。え、ほんと!?
 ・あいつを何とかして脅かしてやりたいなあ。いつも人のことをバカにしているから。


びっくりする  サ変(しない・します・して・すれば)
[1]〔人ガ ものニ〕
 △[ひどく/とても/非常に/息(いき)がとまるほど/我(われ)ながら]~。
  △[大きな音/雷(かみなり)/あまりのうまさ/安さ/大きさ/やつれかた]に~。
 ・大きな音と光にびっくりして、だれかがそっと入ってきたのに気づかなかった。
 ・急に停電(ていでん)して、真っ暗(まっくら)になった時はびっくりした。
  ・オリの中のライオンが一瞬で消えるなんて、ほんとにびっくりした。
 ・あ、田中さんじゃない! びっくりしたなあ。どうしてこんな所にいるの?
  ・まったく、君の発言(はつげん)にはびっくりさせられたよ。急にあんなことを言い出すなんて。
 ・しばらく会わなかった間の、彼女のやつれ方にびっくりして声も出なかった。 
  ・子どもたちをびっくりさせてやろうと思って、奮発(ふんぱつ)して大きなケーキを買った。
 ・そんなものを出されたら、びっくりしないわけがないよ。


あきれる(呆れる) 一(あきれない・あきれます・あきれて・あきれれば)
[1]〔人ガ 人・ものニ〕
 △あきれそうになる あきれてしまう あきれてはいけない あきれてもしかたない
 △[まったく/ほんとうに/少し/心底(しんそこ)]~。
 △[こどものいたずら/隣(となり)の奥(おく)さん/首相(しゅしょう)の答弁(とうべん)/テレビ
  のニュース/記事(きじ)の内容(ないよう)/ばかばかしさ]に~。
  彼の[ことば/せりふ/いいぐさ/やったこと]に~。
  あきれた[人/話/事件(じけん)]
 ・あの家の人たちはあきれるほどのんびりしている。(人があの家の人たちに)
 ・川口くんがあまりくだらない事を言うので、みんなあきれてかおを見合わせてしまった。
 ・何だよ、あの店は。まったくあきれるね!(店の人の態度、店の料理など二) 
 ・哲学(てつがく)の本はわからないねえ。この本のむずかしさにはあきれるよ。
 ・彼女のやることにはあきれてしまう。何しろ、お弁当(べんとう)がこんにゃくばかりなんだ。
  (彼女がなにかをやる、そのことに呆れる。下の[2]とはちがう)
 ・こんなことであきれていては、この仕事は勤まらない。〔ことデ〕
 ・大臣(だいじん)が賄賂(わいろ)をもらったというぐらいのことであきれていては、この国では生
  きていけない。
〔文ニ〕
 ・あの店(みせ)の値段(ねだ)んの高いのにはあきれてしまった。
 ・弟(おとうと)がゆうべの地震(じしん)にぜんぜん気がつかなかったというのにはあきれたね。あ
  んなにゆれたのに。よほどぐっすり眠(ねむ)っていたんだろう。
 ・こんなかんたんな計算(けいさん)をまちがえたことに、われながらあきれた。

<複合動詞:あきれ->
[あきれかえる] 人ガ ものニ
 ・市長の無責任さにあきれかえってしまった。
 ・学生たちの態度の悪さには、あきれ返ってものも言えない。
[あきれはてる] 人ガ ものニ
 ・母は、毎日毎日の弟のいたずらにあきれ果てていた。
 ・おやの財布から金をとるなんて、あきれはてた子だ。

[7]恥じる

◇はじる
 「恥じる」は、自分の欠点・失敗などを恥ずかしく思うこと。名詞修飾の「恥じるべき」は、古い
形の「恥ずべき」が使われることがある。名詞節をとる。
      人ガ ものヲ/文ヲ はじる
       自分の行いを恥じる  恥じるべき/恥ずべき 行い
    簡単な問題ができなかったことを恥じた
・複合動詞「恥じ入る」は、強く恥じること。
◇はずかしがる
 「恥ずかしがる」は、恥ずかしく思い、その態度を見せること。ヲ格、名詞節をとる。
   人ガ ものヲ/文ヲ はずかしがる
    自分の勘違いを恥ずかしがった  間違ったことを恥ずかしがる
・スル動詞
  「赤面する」は、恥ずかしくて顔を赤くすること。
 「恐縮する」は、相手の厚意や、自分がかけた迷惑などで体が縮まるほど申し訳なく思うこと。
◇あがる
 「上がる」は、緊張して落ち着いた気持ちを失い、自分がコントロールできなくなること。
   人ガ あがる
        人前で上がりやすい性格だ
・スル動詞
 「緊張する」は、大事なことや危険なことを前にして、心や体が堅くなってしまうこと。


はじる(恥じる)  一(はじない・はじます・はじて・はじれば・はじよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はじることはない  はじなくていい  はじなければならない  はじろ!  はじるな!
 △[非常に/心から/心深(こころふか)く/ひそかに/顔を真っ赤(まっか)にして]~。
  △[失言(しつげん)/失敗(しっぱい)/ミス/無知(むち)/無能(むのう)/弱さ]を~。
  ・ミスを恥じることはない。しかし、ミスをしないように努力しないのは恥(はじ)だ。
  ・今回の作品は、大賞(たいしょう)受賞作(じゅしょうさく)の名に恥じない、すばらしい作品だ。
 ・彼は「まったく、穴があったら入りたいくらいです」と言って恥じていた。
 ・政治家は公約(こうやく)を果たさなくとも、何ら恥じる所はないような顔ができるもののようだ。
 ・人生八十年、省(かえり)みて恥じるべきことは一つもない。常に真摯(しんし)に生きてきた。
〔文ヲ〕
 ・先生は誤(あやま)りに気づいたのにすぐ訂正(ていせい)しなかったことをずっと恥じていた。
  ・うそをついたことを恥じていては、政治家(せいじか)は続けられない。

<複合動詞:はじ->
[はじいる] 人ガ 
 ・今回の不手際に関して、我々は準備の不十分さ、態度の甘さを恥じ入るべきでしょう。
 ・自分のしたことに、今はただただ深く恥じ入っております。
       ひとり 深く 不用意を こそくな行為に  ただただ~のみ

はずかしがる(恥ずかしがる)  五(はずかしがらない・はずかしがります・はずかしがって・
  はずかしがれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はずかしがってしまう  はずかしがらなくていい  はずかしがらせる  はずかしがるな!
 △[ちょっと/非常に/顔を真っ赤(まっか)にして/気の毒(きのどく)なくらい]~。
  △[間違(まちが)い/漢字の誤(あやま)り/自分の格好(かっこう)の悪さ/知識(ちしき)のなさ/
   不勉強/方言(ほうげん)/家の貧(まず)しさ]を~。 
 ・彼女は自分の方言を恥ずかしがっていたが、私にはそれがまた魅力(みりょく)の一つだった。
 ・恥ずかしがってばかりいないで、ちゃんとやりなさい。
 ・人間はいつから裸を恥ずかしがるようになったのだろうか。
 ・そんなことを恥ずかしがらなくていい。
〔文ヲ〕
  ・問題に答えられなかったことを恥ずかしがった。   
  ・その子はかんたんな計算を間違えたことを恥ずかしがっていた。
      
<スル動詞>
[恐縮(きょうしゅく)する]  人ガ
 ・宴会の会場に遅れて入ったら、年輩の方にざぶとんをすすめられ、恐縮(を)してしまったが、
  結局そのざぶとんにすわることになった。
 ・電話で取引先の相手の名前を間違えてしまい、ひどく恐縮(を)した。
[赤面(せきめん)する]  人ガ ものニ
 ・間違いを指摘され、自分の間抜けさ加減に思わず赤面(を)した。
 ・自分の子どもが学校でしたことを聞いて、赤面(を)せざるを得なかった。


あがる(上がる)  五(あがらない・あがります・あがって・あがれば)
[1]〔人ガ (ものデ)〕
 △あがりがちだ  あがりそうになる  あがってしまう  あがらないようにする 
 △[どうしても/いつも/ときどき/ひどく/何も言えないほど/足がふるえるほど]~。
  ・総会(そうかい)で発言(はつげん)した時は、ずいぶん上がっていたようで、声がうわずっていた。
 ・初舞台(はつぶたい)の緊張(きんちょう)であがってしまった。

<スル動詞>
[緊張(きんちょう)する]  人ガ 
 ・試験の面接で緊張(を)するなと言っても無理だ。でも、緊張してもいいよというのも変だ。
  ・彼女は初めてのお見合いでは緊張(を)していたが、5回、10回と数をこなすうちにすっかりな
  れてきて、ぜんぜん緊張(を)しなくなったようだ。
 

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