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[20] 残る・残す

     残る  生き残る 居残る  売れ残る 勝ち残る 消え残る 散り残る 燃え残る   
           焼け残る
      残す   書き残す し残す 積み残す やり残す

[21] 待つ

      待つ     待ちあぐむ 待ち合わせる 待ち受ける 待ちかねる 待ちかまえる
            待ちくたびれる 待ちこがれる 待ち望む 待ち伏せる 待ちわびる       
             待ちきれない  待機する

[22] 遅れる・急ぐ

      遅れる  言い遅れる 立ち遅れる 出遅れる 乗り遅れる  遅刻する  
      遅らせる
      間に合う
    急ぐ  急がせる
    急かす

[23] 逃げる・逃がす

      逃げる  逃げおおせる 逃げ遅れる 逃げ帰る 逃げ切る 逃げ込む 逃げ去る  
                逃げ出す 逃げ延びる 逃げまどう 逃げ回る  切り抜ける 抜け出す
                やり過ごす 落ち延びる  脱出する 脱走する 逃走する 逃亡する  避難する
      逃がす  取り逃がす
      逃れる  言い逃れる
      逃す   聞き逃す 見逃す
      脱する
      免れる

[24] 追う

       追う  追い上げる 追い落とす 追い返す 追いかける 追いかけ回す 追い越す   
           追い込む 追いすがる 追い出す 追い立てる 追い散らす 追いつく
           追いつめる 追い抜く 追い払う 追いまくる 追い回す 追い求める 追いやる
           おっかける おっぱらう   追跡する

[25] 乗る・のせる

      乗る  乗り上げる 乗り合わせる 乗り入れる 乗り移る 乗り遅れる 乗り換える 
           乗りかかる・乗りかける 乗り切る 乗り組む 乗り越える 乗り越す
           乗りこなす 乗り込む 乗り過ごす 乗り捨てる 乗り損ねる 乗り出す
           乗り継ぐ 乗り付ける 乗り通す 乗り回す  乗っ取る  飛び乗る
               乗車する 搭乗する
      のせる  掲載する

[26] その他 
      至る
      赴く
       たどる   たどり着く
       さまよう  さまよい歩く
       うろつく

[20]残る・残す 
 移動せずにそのままの位置にある、いることを表す動詞。意志的、無意志的の両方がある。

◇のこる
 「残る」は、人・ものが、他の人・ものがそこになくなっても、まだあること。
  人の場合、意志的な行動で、「どこかへ行かない・そこを去らない」ということ。
 ものの場合、他のものは何かに使われた後で(不要のものとして)まだある場合、他のものが消えて
しまった後、価値あるものとして、あるいは消えにくいものとして、まだあり続ける場合などがある。
 人・ものが存在する場所をニ格で示す。「-ている」の形は状態を表す。
     所・もの・人ニ  人・ものガ のこる
    教室に生徒が何人か残っている  料理が残ってしまう  地面に足跡が残っている
    後世に残る仕事  子孫に財産が残る
 ひゆ的に、抽象的・感覚的・精神的なものがあり続けることを表す。
    やっかいな問題が残る  彼女の声が耳に残っている
    部下の心に不満が残る    両者の間にしこりが残った
・複合動詞:「-のこる」の形のものがある。
 「~せずに残る」意味のもの。非意志的な現象について言う。
 「売れ残る」は、売れずに残ること。ひゆ的に、婚期を過ぎても結婚の相手がいず、独身であるこ
  と。特に女性に対して差別的に言う。
 「消え残る」は、他が消えても、消えてしまわずに残ること。
 「散り残る」は、他が散った後も散らずに残ること。
  「焼け残る」は、同じ火事で他のものが焼けても、それだけが焼けずに残ること。
 「燃え残る」は、他のものが燃えた中で、それが残ること。
 以下は意志的なもの。それぞれ反対の意味の動詞を「~せずに」残る、こと。
 「居残る」は、他の人が帰った後も、あるいは定刻が過ぎた後も、残ること。(行かずに)
 「生き残る」は、他の人が死んでも、その人だけが生きていること。(死なずに)
 「勝ち残る」は、試合・勝負に勝って、次の段階に進む権利を得ること。(負けずに)
◇のこす
 「残す」は、「残る」に対応する他動詞で、何かが残るようにすること。場所をニ格で示す。人の
場合、「残る」の使役形「残らせる」との使い分けがある。ものの場合、後で必要なものとして、と
いう場合と、なくすのが本来だが残ってしまった、という場合などがある。
      人ガ (所ニ) ものヲ のこす
    へやに見張りを残す  小さな子どもを後に残して死ぬ  生徒を罰当番に残らせる
    帰りの電車賃を残す  ご飯を残す(食べきれずに:後で食べるために)
    犯人が指紋を残す  持ち時間を少し残して発表を終える
 「人ニ ものヲ」の形で、後の人のためによいものを、という意味を表す。
     人ガ 人ニ ものヲ のこす
    子に財産を残す  次の世代に豊かな自然を残す
 ひゆ的に、精神的なものが後に残ることを表す。その対象をニ格で表す。
   人ガ ものニ ものヲ のこす
    この世に未練を残す  最後の一球に悔いを残した 
 時間や空間についても言う。やや書きことば。
    卒業まであと5日を残すのみとなる    ゴールまで1キロを残すところで棄権する
・複合動詞:「-のこす」の形のものがある。
 「書き残す」は、後のために書いて残すこと。また、書かずに残してしまうこと。
    メモ・遺書を 書き残す    最後のページを書き残す   
 「積み残す」は、荷物や客を積みきれずに残すこと。ひゆ的に、問題を解決できずに残すこと。
    トラックが小さくて、荷物を積み残した   積み残された問題がある
 「し残す」「やり残す」は、すべきことが全部はできずに一部残ってしまうこと。  
       人生で し残した/やり残したこと


のこる(残る)五(のこらない・のこります・のこって・のこれば・のころう) 
[1]〔所・ものニ 人・ものガ〕
 △のこりたい  のこりそうだ  のこってほしい  のこってしまう  のこってはいけない
  のこらなければならない  のこらせる  
 △[少し/少しずつ/たくさん/たっぷり/十分に/大部分(だいぶぶん)/ほとんど]~。
  [進んで/よろこんで/いやいや/意地(いじ)で/何となく/しかたなく]~。
 △[家/へや/ここ/車の中/会社/大学/故郷(こきょう/ふるさと)/国]に~。
  [伝説(でんせつ)/古い考え方/身分制度(みぶんせいど)/差別(さべつ)]が~。
 ・きのうは会社におそくまで残ってしごとをしたので、とてもつかれた。
 ・連絡(れんらく)のために私がここに残りますから、ほかの人は先に行ってください。
 ・A:あなたは卒業(そつぎょう)してから何をするつもりですか。
  B:わたしは大学院に残って研究をつづけるつもりです。
 ・その町には千年以上も前の建物が今も残っています。
 ・山道をのぼって行くと、上の方にはまだ雪(ゆき)が残っていた。
 ・子どもの時のけがの傷跡(きずあと)がまだ足に残っている。
 ・ひざに交通事故の後遺症(こういしょう)が残ってしまった。
 ・出かける時に「さようなら」と言ったあの人の声が今も耳に残っている。あの人が事故(じこ)で
  死ぬなんて、、、。
 ・映画が終わってしばらくは、心に余韻(よいん)が残っていて、席(せき)を立つ気になれなかった。
 ・後世(こうせい)に名が残るような仕事がしたいなあ。
 ・子どものころのできごとがかすかに記憶(きおく)に残っている。
 ・この地方にはむかしの習慣(しゅうかん)が残っている。
[2]〔ものガ〕
 △[しごと/宿題/お金/予算(よさん)/料理(りょうり)]が~。
 ・お客が少なかったので、料理が残った。
 ・残った料理(りょうり)は悪くなるから、すててしまいます。
 ・みんなに分けてあげたら、うちで食べる分が残らなかった。
 ・A:食べる物は何か残ってませんか。
  B:もう、みんな食べてしまいました。もっと早く来ればいいのに。
  A:しごとで会社に残っていたんですよ。
 ・時間が足りなくてしごとが残ってしまった。
 ・今ごろ行っても良い物はみんな売れてしまって、残っていないでしょう。
 ・まだ話が残っています。帰らないでください。
 ・まだ、時間が残っていますから、まちがいのないように問題(もんだい)と自分の答えをもう一度
  よく見なおしてください。

<複合動詞:-のこる>
[いきのこる] 人・動物ガ 
 ・ひこうきがおちて、ほとんどの人がなくなったが、子どもが一人だけ生きのこった。
 ・動物は子どもや卵をたくさん生むが、その中で生きのこるものはとてもすくない。
      競争に この世に 無事に 辛くも ただ一人 一人だけ たまたま 細々と
[いのこる] 人ガ 所ニ
 ・私だけが仕事が終わらず、誰もいないオフィスに居残って仕事を片づけた。
 ・仕事時間に遊んでいた社員を居残らせ、みっちり仕事をさせた。
      あとに 会社に 辛抱強く ひとり 車に
[うれのこる] 人・ものガ
 ・毎年思うんだが、クリスマスケーキが売れ残ったら店員で分けるんだろうか?
 ・少し前までは、女性がある年齢になると売れ残るかどうかなどと言ったものだが、今は
  そんなことを言わなくなった。
[かちのこる] 人ガ ものニ
 ・このジャングルでは、生存競争に勝ちのこった者だけが生きて行く。
 ・あぶない試合もあったが、とうとう決勝まで勝ち残った。
      激戦・決勝・本戦に
[きえのこる] ものガ
 ・山をのぼっていくと、上の方には、八月なのにまだ雪が消えのこっていた。
 ・空を見上げると、先ほどの飛行機雲がうっすらと消え残っていた。
      雪がまだらに 緑が 煙が空に
[ちりのこる] ものガ
 ・塀を伝うツタの最後に散り残った一枚が風に震えている。私の命のようだ。
 ・秋風の中に、散り残った花の匂いがかすかに漂っているようだ。
     最後の一葉が  ~た葉が風に震える・花の匂いがかすかに漂う
[もえのこる] ものガ
 ・火事のあと、燃え残った倉の中から昔の物をいろいろ見つけだした。
 ・山火事が広がり、山に近い家はほとんど焼けたが、何軒かの家は燃え残った。
[やけのこる] ものガ
 ・大火事があったが、幸い私のうちの回りは焼け残った。
 ・町はすべて焼けてしまったが、中央の公園の木だけが焼け残り、春に緑の芽を吹いた。


のこす(残す)五(のこさない・のこします・のこして・のこせば・のこそう) 
[1]〔人ガ (所ニ) もの・人ヲ〕
 △のこしたい  のこしそうだ  のこしてほしい  のこしておく・ある  のこしてみる
  のこしてしまう  のこしてはいけない  のこさなければならない  のこしなさい
  のこそうとする  のこされる  
 △[少し/少しずつ/たくさん/たっぷり/十分に/多めに/ほとんど/ぜんぶ]~。
  [つい/うっかり/わざと/何となく/しかたなく/いやいや/進んで/そのつもりで]~。
 △[家族(かぞく)/子ども/夫(おっと)/親(おや)/私/社員/部下(ぶか)/みんな]を~。
  [仕事(しごと)/宿題(しゅくだい)/お金/予算(よさん)/ごはん/料理(りょうり)]を~。
  [記録(きろく)/業績(ぎょうせき)/作品(さくひん)/名作(めいさく)/名前]を~。
  [伝説(でんせつ)/身分制度(みぶんせいど)/差別(さべつ)/古い考え方]を~。
  [家/へや/ここ/車の中/会社/大学/故郷(こきょう/ふるさと)/国]に~。
 ・ごはんは残さないで、みんなきれいに食べなさい。
 ・私を一人残してクラスの友だちはハイキングに行ってしまった。
 ・毎日の小テストで点の悪い学生は(教室に)残して勉強させることにしています。
 ・宿題(しゅくだい)をわすれたら、先生に残されて、問題(もんだい)をやらされた。
 ・5才(さい)と3才の子を後に残して妻(つま)はガンで死んでしまった。
 ・お金を残そうと思ったら、ケチにならなくてはいけない。
 ・引っこす時に古い冷蔵庫(れいぞうこ)は前の所に残して来た。
 ・家に子どもを残してはたらきに出るのがはやっているが、これでいいのか。
 ・家族(かぞく)を家に残して出かせぎに行く人が多い。この地方はまずしいのだ。
 ・町はこの20年間の間にすっかり変わってしまったが、このあたりにはむかしの面影(おもかげ)
  を残している。
 ・20年ぶりで小学校の時の友だちに会った。目のあたりに子どものころの面影を残していたので、
  なんとか名前を思い出した。
 ・後(のち)の世(よ)に名を残すような人は子どものころからふつうとちがう。
 ・後世(こうせい)に名を残すような人はやはり、努力(どりょく)しているのだ。
 ・川口先生はりっぱな業績(ぎょうせき)を残してなくなられた。
 ・山田先生は日本文学史上に大きな足跡(そくせき)を残した。
 ・どろぼうはにわにいくつも足跡(あしあと)を残していた。
 ・犯人(はんにん)は現場(げんば)に指紋(しもん)を残していた。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △[財産(ざいさん)/遺産(いさん)/食べ物]を~。
 ・A:私もあとで行きますから、少しは食べる物を残しておいて(=別にとっておいて)くださいよ。
  B:食べ物だけではなくて、仕事も残しておいてあげますよ。
 ・おじがなくなる時、わたしにいくらかの財産を残してくれた。
 ・私は子どもに遺産を残す気などぜんぜんありません。
 ・弟があとで帰って来るから、このケーキを一つ残しておいてやろう。

<複合動詞:-のこす>
[かきのこす] 人ガ ものヲ
 ・先生の書きのこした論文を集めて本を作ることになった。
 ・父の書きのこした遺言によって、わたしはいくらかの土地を手に入れた。
   遺書・記録・言葉・時間・自叙伝・文章・メモ・遺言・理由を
[しのこす] 人ガ ものヲ
 ・仕事をし残すのはいやだったから、遅くまで現場に残って完成させた。
 ・夏休み最後の日だ。宿題を少しし残してしまったが、まあ充分遊んだからしかたがない。
[つみのこす] 人ガ ものヲ
 ・トラックが小さかったので荷物をいくつか積み残してしまい、友人の車を頼んだ。
 ・二日間の会議で多くの成果が上がったが、積み残された問題もまた多くあった。
[やりのこす] 人ガ ものヲ
 ・最後の作業をやり残したまま、みんなどこかへ行ってしまった。
 ・80年の人生でやり残したことはない。したいと思ったことでやってないのは離婚と自殺だけだ。
      課題・作業・仕事・掃除・多くの計画を あえて  もう~たことはない

[21]待つ

◇まつ
 「待つ」は、ある物事が起こってほしいと思いながら、時を過ごすこと。名詞により、文脈により、
実際に何が起こるかが示される。
   人ガ 人・ものヲ まつ
    友だち・バスを待つ (友だち・バスが来ること)
    歯医者で待たされた (診療を受けること)
    結果を待つ (結果が出ること)   相手のミスを待って攻める
    学生が答案用紙の回収を待つ   (教師による回収を)
    教師が答案用紙の回収を少し待つ (学生が書き終わるまで時間を与える)
 ヲ格の名詞のところに「文+の」の形をとることができる。その内容は、物事が起こることを期待
している場合と、自分が何かをするのを少し後に延ばす場合とがある。
   人ガ 文ヲ まつ
    電車が来るのを待つ   映画が始まるのを待つ
    議長が会議を始めるのを少し待つ (遅れてくる人のために)
    車掌がドアを閉めるのを待つ  (後から乗る人のために)
・複合動詞は、待つことに関するいろいろな態度を表す。
 「待ちあぐむ」は、長く待って、待つのがいやになること。「まちあぐねる」とも言う。
 「待ちかねる」は、長く待って、待つことがができなくなること。「待ちくたびれる」は、長く待
  って疲れてしまうこと。 
 「待ちこがれる」は、切実な気持ちで心から待つこと。「待ち望む」は、そのことの実現を期待し
  て待つこと。「待ちわびる」は、なかなかそのことが実現しないので、心配しながら待つこと。
    相手の返事を 待ちこがれる/待ち望む/待ちわびる
 「待ち受ける」は、そのことが起こったら何かをしようと考えて待つこと。「待ち構える」は、会
  うことに対して準備や覚悟を充分して待つこと。「待ち伏せる」は、不意に相手を襲おうと隠れ
  て待つこと。 
      相手が来るのを 待ち受ける/待ちかまえる/待ち伏せる
 「待ち合わせる」は、時間と場所を約束して会うこと。
 「待ちきれない」という形がよく使われる。最後まで待つ、という意味の「待ちきる」はあまり使
  われない形だが、可能形「待ちきれる」の否定形が「待ちかねる」と近い意味でよく使われる。
    デートの時間まで待ちきれない  料理ができるのが待ちきれない
・スル動詞「待機する」は、準備を整えて、その時が来るのを待つこと。


まつ(待つ)五(またない・まちます・まって・まてば・まとう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △まちなさい  まって!  まってくれ  まて!  まってほしい  おまちください
  少しお待ちいただけませんか  またせる  またされる  またれる
  またなければならない  まつ必要がある  ここでまとう
 △[じっくり/ゆっくり/おちついて/いらいらしながら/すわって/たったまま]~。
  [本を読みながら/ビールでも飲んで/何もせずにただ]~。
 △[友だち/電車/バス/発表(はっぴょう)/出発(しゅっぱつ)の時間]を~。
 ・もう30分も待っているのですが、まだバスが来ません。
 ・歯医者(はいしゃ)へ入ったら、こんでいて、1時間も待たされた。
 ・私もすぐに行きますから、げんかんのそばで待っていてください。
 ・もうすぐ電車が来ます。プラットフォームで待ちましょう。
 ・では、あした9時に山下駅(えき)で待っています。
 ・土よう日の1時に大学のバス停(てい)で待っていてくれないか。車でむかえに行くから。
 ・私たちは父の帰って来る日をたのしみにして待った。
 ・お返事を待っています。すぐにおたよりをください。
 ・出かける時に人に待たれているとおちついて用意ができなくて、たいていわすれ物をする。
 ・わたしは学生のみなさんにもう注意(ちゅうい)をしません。これからはみなさんの自覚(じかく)
  を待ちます。(=自覚するのを)
 ・国と国がなか良くしなければならないということは言(げん)を待たない。(=言うまでもない)
[2]〔人ガ 文ヲ〕
 ・みんなは、あなたが来るのを待っていますよ。早く用意をしなさい。
 ・わたしは、あき子が卒業(そつぎょう)するのを待って、結婚(けっこん)するつもりです。
 ・学生たちは、新しいプールが完成(かんせい)するのをたのしみにして待っています。
  ・バスに乗り込むのはちょっと待ってください。まだ遅れてくる人がいます。
 ・駅のアナウンスは「駆け込み乗車はおやめください」と言っているが、電車の車掌は後から客が
  駆け込んでくるのを待つかのように、なかなかドアを閉めない。

<複合動詞:まち->  
[まちあぐむ] 人ガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・信者は神の国の到来を待ちあぐんでいる。
 ・国民は政治が変わるのを待ちあぐんでいた。
   合格発表・採用通知・初日・返事・訪問を じりじりと
[まちあわせる] 人ガ 人ト / ものガ ものヲ  
 ・みんなと駅の前で十時に待ち合わせた。
 ・この電車は特急列車を待ち合わせるため、2分ほど停車する。
   人と 電車・下り・上りを 駅・喫茶店・バー・ロビーで 六時に
[まちうける] 人・ものガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・私が行くと、待ち受けていたように皆が書類を持って説明に来た。
 ・人々は春の到来を待ち受けていた。(春が来るのを)
 ・どんな困難が待ち受けていようとも、私は恐れない。
 ・前途に何が待ち受けているかは、神のみぞ知る、だ。我々はただ進むのみ。
   危険・苦難・困難・前途・不測の死・刑罰・忙しさが 先・前途に 帰り・機会・帰宅・結果
   ・質問・自分の番・手術の日・便り・手紙・到来・一言・恵みを
[まちかねる] 人ガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・春を待ちかねているかのように、木々の芽がふくらんできた。
 ・彼女が来るのを待ちかねて、その間にタバコを10本も吸ってしまった。
 ・ごはんの時間になるのを待ちかねて、せんべいをぼりぼり食べてしまった。
   朝・夫の帰宅・帰る日・機会・交代・出発の時・新作の映画・到着・春・
   返事・迎え・休み時間・夜・来訪・読み終わるの・話が一区切りつくのを 
[まちかまえる] 人・ものガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・家に帰ると、妻が待ちかまえていた。テレビゲームの対戦の続きだ。
 ・相手の攻撃を待ち構え、即座に反撃できるようにした。
 ・危険が我々を待ち受けているだろう。
 ・城にこもって、敵が攻めてくるのを待ちかまえていた。
   危険・死・泥沼・難問が 男・客・最終組を 好機・順番・敵・返事を
[まちくたびれる] 人ガ 人・ものヲ 
 ・いくらおいしい料理を作ると言われても、もう待ちくたびれたよ。まだできないの?
 ・クリスマスの夜、子供は夫の帰りを待っていたのだが、待ちくたびれて眠ってしまった。
   夫・恋人・夜・運命の日を 待ちに待って
[まちこがれる] 人ガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・今日こそ、長い間待ちこがれていた定年退職の日だ。今日から自由だ! 
 ・難民たちは帰国できる日をひたすら待ちこがれていた。
   帰国・父親・母・船・夜明け・卒業・会える日・春の訪れを ひたすら
[まちのぞむ] 人ガ ものヲ/文ヲ   
 ・世界の多くの人は、世界に平和が来ることを待ち望んでいます。
 ・心ひそかに独裁政権が倒れ、革命が起こることを待ち望んでいた。
   革命・出現・到来・発生・収穫期・愛・手当・抱擁を 心ひそかに 切実に
[まちぶせる] 人ガ 人ヲ/文ヲ 
 ・バッグをひったくろうと、一人歩きの女性を暗がりで待ち伏せていた。
 ・犯人たちは、道路工事を装って、現金輸送車が来るのを待ち伏せていた。
   帰り・女性・敵・歩いてくるところを 暗がりで
[まちわびる] 人ガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・雪国の人が春を待ちわびる気持ちは、本当に強いものがある。
 ・学校の帰り道の公園で、彼のクラブが終わるのを待ちわびていた。我ながら純情だったなあ!
   男・神・式の当日・春・来訪・おすそ分け・愛を 心から 今か今かと
[まちきれない] 人ガ 人・ものヲ/文ヲ 
 ・野球をやりたくて、春を待ちきれない子どもたちが雪の上でキャッチボールを始めた。
 ・姉は、結婚式まで待ちきれず、相手といっしょに住み始めた。
 ・父は、食事ができるのが待ちきれず、台所でうろうろして母にしかられた。

<スル動詞>
[待機(たいき)する]  人ガ (所ニ)
  ・何か起こった時のために、近くに警官隊が待機していた。
 ・指示を待って自宅で待機していた。
  ・すぐにも出発できるように準備を整えて全員待機していたが、なかなか命令が来なかった。

[22]遅れる・急ぐ

◇おくれる
 「遅れる」は、人・ものが予定や約束した時間より遅くなること。ニ格をとる。
   人・ものガ ものニ おくれる
    授業・会議・式・約束・時間に 遅れる
 人が物事の進み方に追いつけなくなっていることを表す。
        世の中に遅れてしまう  
 ものの進み方が遅い場合にも使う。「-ている」の形で状態を表す。
   ものガ おくれる 
    時計が遅れる   調査・研究・発表が 遅れる
  物事が他のものより遅いことを表す。「-ている」の形で状態を表す。比較の対象をヨリ格、カラ
格で表す。
    文化・技術・発展が 遅れている       先頭から10分遅れている
・複合動詞:「-おくれる」の形のものがある。
 「言い遅れる」は、言うのが遅かったこと。言うべき時に言えなかったこと。
 「立ち遅れる」は、立つのが遅かったこと。出発や発展が遅く、他より劣ってしまうこと。
 「出遅れる」は、何かのスタートが遅いこと。
 「乗り遅れる」は、乗り物の時間に遅れ、乗れないこと。
    訂正を言い遅れる  研究が立ち遅れている  立候補が出遅れる  バスに乗り遅れる
・スル動詞「遅刻する」は、人が決められた時刻に遅れること。ニ格をとる。
        授業・会議・式・約束・時間に 遅刻する
◇おくらせる・おくらす
  「遅らせる」は、遅くすること。予定などを後の時間にすること。「遅らす」も同じ。
      人ガ ものヲ 遅らせる/遅らす
        時計を少し遅らせる  出発を遅らす
◇まにあう
 「間に合う」は、物事が予定や約束した時間に遅れずに済むこと。
   人・ものガ ものニ まにあう
    授業・会議・式・約束・時間に 間に合う
  時間に関する用法以外に、道具やものの量が十分であることを表す用法がある。
    一泊旅行はこのカバンで間に合う   食事代は2千円で間に合う
◇いそぐ
 「急ぐ」は、物事を早くしようとすること。特に、早く行こうとすること。
   人ガ (所へ/ニ) いそぐ
    会社・現場・目的地へ急ぐ
 通過の場所をヲ格にとる。
   人ガ 所ヲ (所へ/ニ) いそぐ
    夜の道を病院へ急ぐ
 抽象的な事柄を対象としてヲ格にとる。
   人ガ ものヲ いそぐ
    対策・結論・実現・発表を急ぐ
 事柄のヲ格の代わりに、「文ことヲ」の形をとることができる。
    労働条件を改善することを急ぐ  
 受身形「急がれる」は、自発の意味合いで使われる。
    対策が急がれる(=急いで対策を講じることが必要だ)
 「急いで」の形で副詞的に使われることが多い。
    急いで行く  急いで作る
◇いそがせる・いそがす
  「急がせる」は、「急ぐ」の使役の形である。何かを急いでするようにさせること。「急がす」も
同じ意味で、活用の型が違う。
     人ガ 人ニ/ヲ (所ヲ)(所へ/ニ) 急がせる
       客が運転手を急がせた  客が運転手に(夜の道を)(病院へ)急がせた
   人ガ 人ニ ものヲ 急がせる
    子どもに結婚を急がせる       
◇せかす
 「せかす」は、急ぐように促し、要求すること。
   人ガ 人ニ ものヲ せかす
    仕事をせかす  返却・完成・結婚を せかす
  

おくれる(遅れる)一(おくれない・おくれます・おくれて・おくれれば・おくれよう)
[1]〔人・ものガ ものニ〕
 △おくれそうだ  おくれてしまう  おくれてはいけない  おくれないようにする
  おくれさせる  おくれるな! 
 △[いつも/ときどき/つい/うっかり/ぼんやりしていて]~。
 △[学校/授業(じゅぎょう)/会議(かいぎ)/式(しき)/予定(よてい)/時間]に~。
  [世の中/時代/社会の進歩(しんぽ)/世界の変化/情報機器(じょうほうきき)の進歩]に~。
 ・早く行かないと、学校に遅れますよ。
 ・式の始まりに遅れないように、20分前に着くように家を出た。
 ・兄夫婦(あにふうふ)は子どもの入学式に遅れそうになって、あわててタクシーで行った。
 ・父は約束(やくそく)の時間におくれることをいちばんいやがった。
 ・恋人(こいびと)との待ち合わせに遅れてしまい、あやまるのに大変だった。
 ・おじいちゃん、家にばかりいないで、時々は外に出ないと、世の中に遅れてしまうわよ。
 ・私の頭は東京の地下鉄(ちかてつ)の発達(はったつ)にかなり遅れてしまったようで、どこでどう
  乗り換えたらいいか、さっぱりわからなくなった。
 ・山田さんと山口が婚約したね。え、あなた、知らなかったの。おくれてるー。
[2]〔人・ものガ〕
 △[時計(とけい)/電車/バス/船]が~。
  [研究(けんきゅう)/文化/技術(ぎじゅつ)/発展(はってん)/成長(せいちょう)]が~。
 ・このとけいは少し遅れているようだ。
 ・気温(きおん)がひくいので、バラの花の成長がいつもより遅れている。
 ・日本の選手(せんしゅ)は先頭(せんとう)からずいぶん遅れてしまった。
 ・日本は、まだこの方面(ほうめん)の研究ではだいぶ遅れている。
 ・飛行機(ひこうき)の到着(とうちゃく)が遅れて、ずいぶんまたされた。

<複合動詞:-おくれる>
[いいおくれる] 人ガ ものヲ
 ・「言い遅れましたが、私はこういうものです」と言いながら、その男は名刺を出した。
 ・ディベートは気合が大事だ。一度言い遅れてしまうと、後から言っても負けてしまう。
[たちおくれる] 人ガ ものニ
 ・我が社がソーラーカーの開発に立ちおくれていることは否定できない。
 ・仕切りで立ち遅れ、うまくまわしをとられてしまったのが敗因です。(すもう)
      競争力・準備・取材・福祉政策・研究開発が スタートで 受験勉強に
[でおくれる] 人ガ 
 ・スタートで出遅れると、なかなか追いつけない。
 ・立候補が出遅れてしまい、選挙戦がうまくいかなかったのが敗因だ。
    スタート・発言が 家を 選挙・レースで スタートで 市場に 
[のりおくれる] 人ガ ものニ
 ・寝坊をして、いつもの電車に乗り遅れてしまった。会社に遅刻してしまう。
 ・飲みすぎて、終電車に乗り遅れ、タクシーで帰る羽目になった。大出費だ。
      汽車・時代・終電車・バスに うかうか・ぼやぼやしていると
<スル動詞>
[遅刻(ちこく)する]  人ガ ものニ
  ・朝寝坊して、会社に遅刻してしまった。
 ・遅刻しないように急いで行ったら、今日は創立記念日で休みだった。


おくらせる(遅らせる)  一(おくらせない・おくらせます・おくらせて・おくらせれば・おく
  らせよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △おくらせたい  おくらせたほうがいい  おくらせなければならない  おくらせるな!
 △[少し/大きく/大幅(おおはば)に/多少/一日/十年]~。
  △[時計(とけい)/予定(よてい)/締切(しめきり)/出発(しゅっぱつ)/開始(かいし)]を~。
  ・電車が遅れているようなので、試験(しけん)の開始を1時間遅らせたほうがいい。
 ・朝の事故(じこ)がダイヤを大幅に遅らせた。
 [文ヲ]  
  ・準備(じゅんび)がまだできていないようなので、式を始めるのを少し遅らせましょう。


まにあう(間に合う)五(まにあわない・まにあいます・まにあって・まにあえば) 
[1]〔人ガ ものニ〕
 △まにあいそうだ  まにあってほしい  まにあわないかもしれない
  まにあうといいんだが  まにあうように急ぐ  まにあうためには  まにあわせる
 △[じゅうぶん/ゆうゆう/やっと/ぎりぎり/なんとか/あぶないところで]~。
  [ほんのちょっと/わずかの差(さ)で/おしいところで/ざんねんながら]まにあわなかった。
 △[電車/飛行機の時間/会社/仕事(しごと)/授業(じゅぎょう)/期限(きげん)]に~。
 ・いそいで行けば、急行列車(きゅうこうれっしゃ)に間に合います。
 ・1時間目の授業(じゅぎょう)に何とか間に合うように七時に家を出た。
 ・論文がやっと締め切り(しめきり)に間に合った。
 ・ほんの少し間に合わなかったために、コンサート会場に入れなかった。
[2]〔ものニ ものデ〕
 ・三日ぐらいの旅行(りょこう)ならこのカバンで間に合いますよ。(旅行に)
 ・こんな大雨にはかさなんか、さしたって間に合わない。
 ・電話で間に合う用事なんだから、わざわざ来なくてもいいですよ。
[3]〔ものガ〕
 ・A:何か足りない物があれば、わたしが買って来ますよ。
  B:ありがとう。でも、今のところ間に合っていますから。だいじょうぶです。
 ・今のところ、お酒は間に合っていますね。ビールがちょっとたりないかも。
 ・ここは、人手は間に合っていますか。応援(おうえん)はなくてもだいじょうぶですか。
[4]〔文(の)ニ ものデ〕
 ・このぐらいのにもつを運ぶのには、このトラックで間に合う。
 ・この店で食事をするのには、二千円ではとても間に合いません。(=たりません)


いそぐ(急ぐ) 五(いそがない・いそぎます・いそいで・いそげば・いそごう) 
[1]〔人ガ〕
 △いそぎたい  いそいでほしい  いそいでみる  いそいではいけない
  いそがなければならない  いそがせる  いそがれる  いそごうとおもう
  いそげ!  いそぐな! 
 △[少し/かなり/ひじょうに/いっしょうけんめい/必死(ひっし)で/つい]~。
 ・時間がないから、急いで食事をしてください。
 ・ぐずぐずしないで、急いで、急いで。
 ・あわてなくてもいいから、急いでください。
 ・今はおちついてお茶を飲んでいる時間はありません。私は急いでいるんです。
 ・急がないと7時の電車に間に合いませんよ。
 ・急いで家を出てきたので、ハンカチをわすれてしまった。
 ・やつらに遅れを取るな! 急げ! 急げ! 死にものぐるいで急げ!  
 ・人生、急いでもいいことはない。急いで生きて、急いで死んで、どうするの?
[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[結論(けつろん)/対策(たいさく)対応(たいおう)/完成(かんせい)/整備(せいび)]を~。
 ・そんなに結論を急がないでください。じゅんじゅんに話をしていきますから。
 ・オリンピックまであと三か月です。Q国では、国をあげて、その準備(じゅんび)を急いでいます。
 ・わたしは事故(じこ)の知らせをうけて、出かけるしたくを急いだ。
 ・勝(か)ちを急ぐあまり、田中は自分がおかした大きなミスに気がつかなかった。
 ・原発(げんぱつ)事故(じこ)で避難(ひなん)している人は疲れている。対策を急いでほしい。
 ・大会に間に合うように、競技場(きょうぎじょう)の整備を急いでいる。
 ・わかい人は功(こう)を急いで、かえって失敗(しっぱい)することが多い。
 ・この問題(もんだい)は解決(かいけつ)が急がれますね。
 ・親の反対を押し切ってかけおちした二人は夜の道を急いだ。
 ・わたしはちょっと先を急ぎます(=急いで行かなくてはならない)ので、これでしつれいします。


いそがせる(急がせる)  一(いそがせない・いそがせます・いそがせて・いそがせれば・いそ
  がせよう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △いそがせてしまう  いそがせてはいけない  いそがせなくてはならない  いそがされる 
 いそがせないほうがいい  いそがせようとする  いそがせろ!  いそがせるな! 
 △[できるだけ/どんどん/せっせと/やいのやいのと/むりをして]~。
  ・客がタクシーの運転手を急がせた。
 ・親に急がされて小さな子どもがいっしょうけんめい走っている。かわいそうに。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
  △[工事(こうじ)の完成(かんせい)/貸金(かしきん)の返却(へんきゃく)/結婚(けっこん)/就職
  (しゅうしょく)/退院(たいいん)/職場(しょくば)への復帰(ふっき)]を~。
 ・職人(しょくにん)に仕事(しごと)を急がせるな。急がせてもいい仕事はできない。
 ・業者(ぎょうしゃ)は工事の完成を急がされ、手抜(てぬ)き工事をしてしまった。
 ・体力(たいりょく)が充分(じゅうぶん)回復(かいふく)しないうちに、退院を急がされた。
  ・子どもに結婚を急がせないほうがいいよ。変な相手(あいて)を捕(つか)むだけだよ。
〔文ヲ〕
  ・報告をまとめることを急がせた。
▽「急がす」も同じ用法。活用形が違う。
 いそがす(急がす) 五(いそがさない・いそがします・いそがして・いそがせば・いそがそう)
    ・そんなに急がさないでください。


せかす(急かす)  五(せかさない・せかします・せかして・せかせば・せかそう)
[1]〔人ガ 人ヲ〕
 △せかせてみる  せかせてはいけない  せかせないほうがいい  せかせようとする
  せかされる  せかせろ!  せかせるな!
 △[しつこく/何度も/くり返し/なんだかんだと/うるさく/軽く/少しだけ]~。
  ・子どものやることを見ていると、ついせかしたくなってしまうが、せかさないようにしている。
  ・母はいつも私たちをせかして歩かせたので、私は子供にゆっくり歩かせたいと思う。
 ・仕事をせかす電話が何度もかかってくる。その電話に出るために仕事が進まない。
  ・せかされていい仕事ができるわけがない。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
  △[工事(こうじ)の完成(かんせい)/貸金(かしきん)の返却(へんきゃく)/結婚(けっこん)/就職
  (しゅうしょく)/退院(たいいん)/職場(しょくば)への復帰(ふっき)]を~。
 ・図書館から延滞(えんたい)している本の返却をせかされた。わかってはいるんだが、、、。
  ・親に結婚をせかされているけれど、いい男がいないんだから仕方(しかた)ないじゃないの。
 ・せかせばせかすほど、緊張(きんちょう)して間違え、遅くなるものだ。ゆっくり待とう。
 ・そんなにせかすなよ。電車の一台や二台、遅れたって大したことないじゃないか。
▽「せかせる」という形もある。活用の型が違う。
 せかせる(急かせる)一(せかせない・せかせます・せかせて・せかせれば・せかせよう)
    ・急かせれば早くできると思うのは大間違(おおまちが)いだ。急かせないほうが結局早いのだ。

[23] 逃げる・逃がす
  移動することで、いやな人・状態から離れることを表す動詞。「にげる・にがす」「のがれる・の
がす」は自他の対応。「のがれる・のがす」のほうがやや書きことば。

◇にげる
 「逃げる」は、捕まらないように相手から遠く去る、あるいは、捕まっている状態から離れること。

 いやなものから遠ざかろうとすること。対象または出発点をカラ格で、到達点をニ格/へ格で表す。
      人・動物ガ 人・所カラ 所ニ/へ にげる
    ストーカーから逃げる  動物がオリから逃げる    ネコが木の上に逃げる
 競技で、勝っている者が追いつかれないようにすることを表す。ひゆ的に、抽象的な対象を避ける
ことを表す。対象をヲ格で表す場合がある。
    一点差で逃げる  現実・批判・質問から 逃げる     いやな仕事を逃げる
・複合動詞:「にげ-」の形のものが多い。
 「逃げ帰る」は、何かから逃げて帰ること。「逃げ去る」は、逃げて遠くへ去ること。
       子どもがけんかに負けて家に逃げ帰る  ウサギはすばやく逃げ去った
 「逃げ込む」は、逃げて安全なところに入ること。「逃げ出す」は、逃げてその場から離れること。
       追われて陣地に逃げ込む   都会・仕事から 逃げ出す
 「逃げ遅れる」は、逃げる時機を失い、逃げられなくなること。
 「逃げまどう」は、どこへ逃げたらいいか迷うこと。「逃げ回る」は、あちこち逃げて回ること。
    火事で逃げ遅れそうになる  戦火の中で逃げまどう  日本中を逃げ回る
  「逃げ失せる」は、逃げて行方がわからなくなること。
 「逃げおおせる」は、逃げて最後まで捕まらないこと。
 「逃げ切る」は、捕まらないで何とか逃げてしまうこと。競技で、追いつかれずに何とか勝つこと。
 「逃げ延びる」は、安全なところまで逃げること。
 「落ち延びる」は、(戦いのあと)遠くまで苦労して逃げること。
       犯人がまんまと逃げ失せる  追っ手から逃げおおせる  警察から逃げ切る
    一点差で逃げ切る  海外へ逃げ延びる  深い山の中に落ち延びる
 「切り抜ける」は、困難な状況から何とか逃れること。
 「抜け出す」は、いやな状況からうまく逃げること。
 「やり過ごす」は、問題に深く関わらないように避けること。
    ピンチを切り抜ける  最下位を抜け出す  批判・攻撃をやり過ごす
・スル動詞
 「避難する」は、災難を避けて安全な場所に移ること。
 「脱出する」は、危険な場所から抜け出すこと。
 「脱走する」は、束縛されている場所から逃げ出すこと。
 「逃亡する」は、その場所から逃げて見つからないようにすること。
◇にがす
 「逃がす」は、「逃げる」に対応する他動詞で、捕まえようとして捕まえそこなうこと。捕まえて
あるものを放して自由にすること。対象をヲ格、対象の出発点をカラ格、到達点をニ格で示す。
      人ガ 人・動物ヲ 所カラ 所ニ にがす 
      警察が犯人を逃がしてしまう  オリから動物を逃がす  釣った魚をまた海に逃がす
 ひゆ的に、抽象的なものを得ることができなかったことを表す。
      人ガ ものヲ にがす
    チャンス・絶好の機会を 逃がす
・複合動詞「取り逃がす」は、捕らえかけたものを逃がしてしまうこと。ひゆ的にも使う。
    犯人を取り逃がす  チャンスを取り逃がす
◇のがれる
 「逃れる」は、捕まらないように相手から離れること。いやな状態から遠ざかること。いやなこと
を(その前に)避けること。精神的な事柄にも多く使われる。対象をヲ格、カラ格で示す。「にげる」
に比べてやや書きことば。
      人ガ ものヲ/カラ のがれる
       追跡・追及を のがれる     暗い過去から逃れる    兵役・取り調べを逃れる
    苦痛・苦しみ・不安から 逃れる   
・複合動詞「言い逃れる」は、うまく言い訳をして、責任や罪を逃れること。
    失敗の責任を言い逃れる
◇のがす
 「逃す」は、捕まえようとして捕まえそこなうこと。ひゆ的にも言う。
      人ガ 人・ものヲ のがす
       あと一歩のところで犯人を逃してしまう  勝利・いいタイミングを 逃す 
・複合動詞
 「聞き逃す」は、聞く機会を逃すこと。
 「見逃す」は、見る機会を逃すこと。また、見て、対処すべきことをしないこと。
       音楽番組を聞き逃す  決勝戦を見逃す    いたずらを見逃してやる
◇だっする
 「脱する」は、危険な場所や苦しい状況から出ること。対象をヲ格/カラ格で示す。書きことば。
   人ガ ものヲ だっする
    危機・わなを 脱する    困難な時期・スランプから 脱する
◇まぬがれる
 「まぬがれる」は、好ましくない事柄や状況の影響を受けずにすむこと。書きことば。
      人ガ ものヲ まぬがれる
    罪・衝突・感染を 免れた 
  「まぬかれる」とも言う。


にげる(逃げる)一(にげない・にげます・にげて・にげれば・にげよう) 
[1]〔人ガ 所カラ 所ニ/へ〕
 △にげたい  にげかける  にげてみる  にげてしまう  にげてはいけない  
  にげてもいい  にげなければならない  にげようとする  にげられる
 △[こっそり/さっと/うまく/ひっしに/するっと/みごとに]~。
 △[小鳥(ことり)/動物(どうぶつ)/犯人(はんにん)]が~。
 ・カゴから小鳥が逃げそうになった。逃げられないようにカギをつけたのだが、かけるのを忘れて
  しまっていた。
 ・犯人が銀行からどうやって逃げたのかはわかっていない。
 ・囚人(しゅうじん)が刑務所(けいむしょ)から逃げたそうだ。(=逃亡(とうぼう)する)
 ・兵隊(へいたい)が戦場(せんじょう)から逃げたそうだ。その気持ちはわかる。
 ・動物園(どうぶつえん)のトラがオリから逃げてしまい、大騒(おおさわ)ぎになった。
[2]〔人ガ 人・ものカラ〕
 △[警官(けいかん)/警察(けいさつ)/パトカー/追っ手(おって)]から~。
  [うるさい上司(じょうし)/恋人(こいびと)/夫(おっと)/妻(つま)]から~。
  [仕事(しごと)/問題/悩(なや)み/苦労(くろう)/わずらわしさ]から~。
 ・追ってくる警官から逃げて、川に飛び込んだら、なんと、ワニがいた! 
 ・ここは、暴力(ぼうりょく)を振(ふ)るう夫から逃げてきた女性たちが集まるところです。
 ・いやな業務(ぎょうむ)から逃げるために病気のふりをした。
 ・子どもたちが勉強から逃げているという。楽しいはずの勉強が苦しみになっている。
 ・問題(もんだい)から逃げることは問題を解決(かいけつ)することではない。
 ・生活の苦労から逃げるためにいっしょうけんめい働いたが、今、その仕事から逃げたい。
 ・田中さんは結婚(けっこん)の話をしようとすると、いつも話を変えて逃げてしまう。私と本当に
  結婚する気があるのかしら。(その話から)

<複合動詞:にげ->
[にげおおせる] 人ガ (ものカラ)
 ・ここまでおいつめられても、まだ逃げおおせると思っているのか。
 ・政府軍からまんまと逃げおおせた、と思ったら、別の一隊が目の前に現れた。
   うまく まんまと ~チャンスは十分ある ~と思いきや、敵が目の前に
[にげおくれる] 人ガ (ものカラ)
 ・大勢の人が火事で逃げ遅れ、煙を吸って病院に運ばれた。
 ・もうすぐこの村で戦闘が始まるそうだ。逃げ遅れると巻き込まれてしまうぞ。
   大勢の人が 火事で もう少しで~ところだった ~て焼け死ぬ
[にげかえる] 人ガ ものカラ 所ニ/へ
 ・けんかに負けたうちの子は、泣きながら家に逃げ帰ったそうだ。まあ、いいか。
 ・川原で花火で遊んでいたら、火が草に燃え移り、青くなって逃げ帰ったそうだ。
   実家・部屋に 無我夢中で 青くなって 一刻も早く 命からがら かろうじて
[にげきる] 人ガ  (ものカラ)
 ・小山選手はゴールの前で大山選手に追いつかれそうになったが、なんとか逃げきってゴールにと
  びこんだ。
 ・国際警察(こくさいけいさつ)の捜査(そうさ)から逃げようとしても、逃げきれるものではない。
   津波・海賊から 見事に 何とか 一点差で 鼻の差で
[にげこむ] 人ガ ものニ/へ
 ・犬に追われて、うさぎは穴に逃げ込んだ。
 ・妻に浮気(うわき)を疑われ、追及(ついきゅう)されて、私はトイレに逃げ込んだ。
   家・縁の下・山奥・隠れ場所・安全圏・仕事・沈黙の中に あわてて やっと
[にげさる] 人ガ 所カラ  所へ
 ・敵が攻めてきたと聞くと、軍隊は戦うどころか一目散に逃げ去ってしまった。
 ・自分の卑怯さを明らかにされ、その場から逃げ去りたい気持でいっぱいだった。
   その場から 海の彼方へ いずこかへ 一目散に 四方に ちりぢりに あたふたと
[にげだす] 人ガ ものカラ
 ・その病人は夜中(よなか)にこっそり病院から逃げだしてしまった。
 ・陸上部(りくじょうぶ)に入ってみたが、練習がつらいので、3日で逃げ出してしまった。
 ・たまには都会の人ごみから逃げ出して、いなかへ来てみるのもいいね。
   妻・夫から 仕事・重圧・責任から 都会・オリ・人間関係・刑務所から 
[にげのびる] 人ガ (ものカラ)
 ・バイクで二人乗りをしていて、パトカーに追われ、細道(ほそみち)に入り込んでどうにか逃げ延
  びた。
   着の身着のままで 必死に 命からがら かろうじて どうにか
[にげまどう] 人ガ 所ヲ
 ・デパートで火事があり、煙(けむり)の中を買い物客が逃げまどって、多くのけが人が出た。
 ・オオカミが現(あらわ)れ、羊たちはあたりを逃げまどった。
   群集が あちこち 右に左に やみくもに おろおろと 我先に 
[にげまわる] 人ガ 人カラ
 ・広場で幼稚園の先生が鬼ごっこの鬼になり、園児たちはきゃーきゃー逃げ回った。 
 ・田中はたくさんの人からお金をかりているので、いつも逃げまわっている。
   部屋の中を 車で 仕事・責任から 必死に 機敏に よろよろと 息せき切って なんとか
<複合動詞:その他>
[きりぬける] 人ガ ものヲ
 ・敵の中を、両手の刀を振り回して、何とか切り抜けた。
 ・会社は倒産寸前だったが、社員の努力であぶないところをようやく切り抜けた。
[ぬけだす]  人ガ ものヲ/カラ
 ・パーティーを抜け出して二人でさんぽに出た。
 ・10時ごろ会社を抜け出して、コーヒーをのみながら野球を見た。
 ・雑踏を抜け出して公園でひと休みした。
      家・会社・会場・囲い・仕事・職場・寝床・人ごみ・病院を 会議・穴から
   赤字・経営不振・困難・最下位・支配・スランプ・泥沼・貧困・不況・貧しさ・連敗・衝撃・
   悪の道から  ひそかに 無事に こっそりと するりと 夢中で
      危機・この場・危ないところ・困難・生死の境・難関・ピンチを 無事に
[やりすごす] 人ガ ものヲ 
 ・しっかり防御して敵の攻撃をやりすごした。
 ・大臣はあいまいに答えて、野党の批判をやりすごそうとした。
      電車・バス・駅・車・子供たち・他者の連中・人・人目・怒り・嫌なことを
   うまく かろうじて そのまま 黙って 身をかわして 見て見ぬふりで 
[おちのびる] 人ガ 
 ・源氏(げんじ)におわれた平家(へいけ)の人々は、ここまで落ち延びてきて、村を作ったのです。

<スル動詞>
[避難(ひなん)する]  人ガ 所ニ
  ・ここは危険です。はやく広場に避難してください。
 ・火災現場から避難してきた人であふれていた。
[脱出(だっしゅつ)する]  人ガ ものヲ/カラ
 ・寒い冬、日本を脱出してハワイへ行った。
 ・地震のあと、崩れた建物の下から何とか脱出して、生き延びた。
 ・大関が千秋楽に勝って、カド番を脱出した。
   危機・島を 連敗から  国外へ  非常口から(通過点)
[脱走(だっそう)する]  人ガ ものヲ/カラ
 ・囚人が刑務所を脱走して山に逃げ込んだというニュースが報道された。
 ・動物園からオランウータンが脱走し、付近の住宅街を歩き回って大変な騒ぎだった。
[逃走(とうそう)する]  人ガ 所・ものカラ
 ・犯人が逃走(を)した経路を追って、遺留品を捜索している。
 ・この現代の錯綜した人間関係から逃走(を)して、山奥で自給自足の生活をしてみたい。
[逃亡(とうぼう)する]  人ガ 所ニ
 ・犯人が海外へ逃亡(を)する恐れがある。
 ・クマが動物園から逃亡(を)し、あたりの住民は大騒ぎとなった。

にがす(逃がす) 五(にがさない・にがします・にがして・にがせば・にがそう) 
[1]〔人ガ (所カラ) 人・ものヲ〕
 △にがしそうだ  にがしかける  にがしてしまう  にがしてやる  にがしてもらう
  にがしてはいけない  にがしたほうがいい  にがそうとする  にがされる  
 △[うっかり/ぼんやりしていて/不注意(ふちゅうい)で/とうとう/わざと]にがしてしまう
 △[魚/小鳥(ことり)/犯人(はんにん)/人質(ひとじち)]を~。
 ・えさをやろうとして、カゴから小鳥を逃がしそうになった。
 ・小鳥を逃がしてやっても、自然の中では生きていけないだろう。
 ・せっかく犯人(はんにん)のすがたを見たのに逃がしてしまった。
 ・釣(つ)った魚(さかな)はあとで逃がしてやろうと思っているのだが、そもそも逃がすための魚が
  釣れないのはどうしたことか。
 ・30センチもある大きな魚が針(はり)にかかったのだが、おしくも逃がしてしまった。逃がした
  魚は大きい、というが、まったくそうだ。
 ・あの学生はまだ宿題(しゅくだい)を出さないので、今日はつかまえてしかろうと思っていたのだ
  が、また逃がしてしまった。
 ・ユダヤ人をナチスの手から逃がそうと努力した有名な人の映画を見た。
 ・時間をまちがえて、歌手のおかのゆみ子のサインをもらう、大事なチャンスを逃がしてしまった。

<複合動詞:-にがす>
[とりにがす]  人ガ ものヲ 
 ・庭の柿の実を盗んだ子供を追いかけたが、取り逃がした。足の速いガキだ。
 ・犯行現場にふたたび現れた犯人を取り逃がした警察は、世間の非難を浴びた。
      獲物・機会・幸運・幸せ・犯人・虫・果報を 


のがれる(逃れる)  一(のがれない・のがれます・のがれて・のがれれば・のがれよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ/カラ〕
 △のがれたい  のがれてほしい  のがれなければならない  のがれようとする
  のがれさせる  のがれろ!  のがれられない
 △[やっと/ついに/かろうじて/紙一重(かみひとえ)で/どうにかして/死にものぐるいで]~。
  △[疑(うたが)い/監視(かんし)/危険(きけん)/苦しみ/死/責任(せきにん)/束縛(そくばく)
  /その場/徴兵(ちょうへい)/追及(ついきゅう)/追跡(ついせき)/迫害(はくがい)/包囲(ほ
  うい)/誘惑(ゆうわく)]を~。
  [緊張(きんちょう)/都会(とかい)の喧噪(けんそう)/現実(げんじつ)/不安(ふあん)]から~。
  ・夫の暴力(ぼうりょく)から逃れた女性たちが保護(ほご)されている施設(しせつ)を訪問した。
 ・なんとか危機(きき)を逃れた主人公だったが、また新(あら)たな敵(てき)に襲(おそ)われた。
 ・暴力団(ぼうりょくだん)の幹部(かんぶ)は、政治家の圧力(あつりょく)によって、警察(けいさ
  つ)の取り調べから逃れてしまった。
 ・どうやったらこの不安から逃れられるのだろうか。

<複合動詞:-のがれる>
[いいのがれる] 人ガ ものヲ
 ・首相は発言の矛盾をつかれたが、冗談でごまかし、何とか言い逃れた。
 ・どう言い逃れようとしても、彼に責任があることは明らかだ。(責任を)
        責任・罪を うまく 辛くも 何とか ぬらりくらりと 


のがす(逃す)  五(のがさない・のがします・のがして・のがせば・のがそう)
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △のがしそうになる  のがしてしまう  のがしてはいけない  のがしてやる  のがすな!
 △[つい/またまた/もう少しで/結局(けっきょく)/みすみす/タッチの差(さ)で]~。
  △[大物(おおもの)/機会(きかい)/好機(こうき)/勝利(しょうり)/金星(きんぼし)/宝(たか
  ら)の山/優勝(ゆうしょう)/金メダル/桜(さくら)の見頃(みごろ)]を~。
  ・せっかくのチャンスを逃してしまった。
 ・逃した魚は大きく見えるものだという。去っていった恋人がいちばん美人。
  ・あいつは、ねらった獲物(えもの)は逃さない。きっと捕(つか)まえるさ。
  ・あと一人というところでヒットを打たれ、完全試合(かんぜんじあい)を逃してしまった。

<複合動詞:-のがす>
[ききのがす] 人ガ ものヲ
 ・大事な講義を聞き逃した。誰か詳しくノートを取っていないだろうか。
 ・一度しか言いませんから、聞き逃さないようにして下さい。
   声・言葉・情報・話を 軽々しく 
[みのがす] 人ガ ものヲ/文ヲ 
 ・今日は決勝戦のテレビ中継があったんだ! 見逃してしまった! 
 ・子供が庭の柿をとっていくぐらいは見逃してやるさ。
   過ち・欠点・誤植・事実・不正・変化・横流し・死亡記事・好球を うっかり


だっする(脱する)  サ変(だっしない・だっします・だっして・だっすれば・だっしよう)
[1]〔人ガ ものヲ/カラ〕
 △だっしたい  だっしなくていけない  だっしようとする  だっしろ!
 △[やっと/なんとか/ぎりぎり/どうにかして/きっぱり/決然(けつぜん)と]~。
  △[殻(から)/危機(きき)/窮地(きゅうち)/困難な時期/虎口(ここう)/ワンパターン]を~。
  [因習(いんしゅう)/危険(きけん)/最下位(さいかい)/スランプ/束縛(そくばく)]から~。
  ・長く続いたスランプをやっと脱することができた。
 ・最悪(さいあく)の状態(じょうたい)から脱しようと毎日あがいていた。
 ・狭い集団(しゅうだん)の中の人間関係の煩(わずら)わしさから脱することを強く望んでいた。
  ・わなにかかったオオカミは、わなから脱することができず、そのまま飢(う)えて死んだ。
 ・我が応援(おうえん)する球団(きゅうだん)は、シーズンの最後になってやっと最下位を脱した。


まぬがれる(免れる)  一(まぬがれない・まぬがれます・まぬがれて・まぬがれれば・まぬがれ
  よう)
[1]〔人・ものガ (ものデ)ものヲ〕
 △まぬがれたい  まぬがれそうだ  まぬがれてはいけない  まぬがれようとする
 △[なんとか/かろうじて/ぎりぎりで/あぶないところで/必死(ひっし)の努力で]~。
  △[事故(じこ)/出費(しゅっぴ)/けが/感染(かんせん)/責任(せきにん)/罪(つみ)]を~。
  [破産(はさん)/破滅(はめつ)/被害(ひがい)/有罪(ゆうざい)/連敗(れんぱい)]を~。
  ・新しい治療法(ちりょうほう)の発見(はっけん)によって多くの人が死を免れた。
 ・彼は15年間日本中を逃げ回り、時効(じこう)で罪を免れた。
 ・大きな火事があったが、さいわい彼の家は類焼(るいしょう)を免れた。
 ・飛行機がエンジンの故障(こしょう)を起こしたが、墜落(ついらく)を免れることができた。
 ・政府(せいふ)は民間(みんかん)の協力で感染(かんせん)の拡大(かくだい)を免れようとした。
 ▽「まぬかれる」ともいう

[24] 追う  

◇おう
「追う」は、何かのあとから、それを捕まえようとして同じ方向に急いで行くこと。比ゆ的に、抽象
的なものを得ようとすること。ヲ格をとる。
   人ガ 人・ものヲ おう
    警察が犯人を追う   流行・理想・夢を追う
 また、動物などを後ろからむりに進ませたり、人や動物をその場所から去らせることを言う。
    牛を追って暮らす   社長をその地位から追う
 「人ガ ものニ 追われる」の形で、何かにせかされることを表す。
    仕事・原稿の締め切り・金策に 追われる
  「人ガ ものヲ 追われる」の形で、そこから去ることを強制されることを表す。
      国を追われる  職・地位を 追われる  
・複合動詞は、大きく上の二つの用法に分けられる。(どちらにも使うものもある)
 [捕まえようとする]  ヲ格をとるものが多い
 「追いかける」は、捕まえようとして後から行くこと。「追う」と同じことで、話しことばでよく
  使われる。「おっかける」はさらに俗語的な話しことば。
 「追い回す」は、あちこち逃げるものをしつこく追うこと。「追いかけ回す」は、その話しことば。
 「追っかけ回す」とも言う。
   泥棒を追いかける/おっかける   犬がネコを追い回す 
 「追い上げる」は、追って高い所へ行かせること。追って相手との距離を詰めること。
 「追いつく」は、あとから出た者が先に進んだ者と同じになること。ニ格をとる。
   トップを2位が追い上げる  2位がトップに追いつく
 「追い越す」「追い抜く」は、先にいた者を抜いて前に出ること。競争では「追い抜く」を使う。
   前の車を追い越す/追い抜く  ゴール直前で追い抜く
 「追いすがる」は、追っていって、すがりつくこと。
 「追いつめる」は、逃げる所がなくなるまで追うこと。
      子が母に追いすがる  警察が犯人を追いつめる 
 「追い求める」は、それが手に入るまでどこまでも求めること。抽象的な対象を求める用法が多い。
    夢・理想・快楽を 追い求める
 [駆りたてる・去らせる] ヲ格の他に、ニ格・カラ格をとれるものが多い
 「追い出す」は、何かの外に出るように追うこと。
 「追い散らす」は、多くいるものを追って、ばらばらにさせること。
 「追い払う」は、じゃまなものを追って、その場所から遠くに行かせること。「おっぱらう」は俗
  語的な表現。
 「追い返す」は、来た者を追い払って、元の所へ帰させること。
   部屋からネコを追い出す  軍隊が群衆を広場の外へ 追い散らす/追い払う
   大使を本国に追い返す
 「追い立てる」は、追ってほかの場所に行かせること。家を立ち退かせること。ひゆ的に、物事を
  急がされること。
 「追いまくる」は、はげしく追うこと。ひゆ的に、物事を急がされること。(受身の形で使う)
   アパートから追い立てられる  ゴキブリを追いまくる  仕事に追いまくられる
 「追い込む」は、それ以上逃げる所がないような所へ追いつめること。ひゆ的に、相手が困るよう
  な状況にすること。
 「追いやる」は、追ってその場から去らせること。相手が困るような状況にすること。  
 「追い落とす」は、下の地位の者が力を増し、上の者をその地位から落とすこと。
   泥棒を行き止まりの路地に追い込む  敵を窮地に追いやる  社長のイスから追い落とす
・スル動詞
 「追跡する」は、逃げる者の後を追うこと。ひゆ的に、物事の経過を調査すること。
   パトカーが不審車を追跡する  日米安保条約の歴史を追跡する


おう(追う)五(おわない・おいます・おって・おえば・おおう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △おいたい  おってみる  おってはいけない  おってしまう
  おわなければならない  おわせる  おわれる  おえ! おうな!
 △[ゆっくり/いそいで/走って/必死(ひっし)に/あせって]~。
 △[犯人(はんにん)/牛(うし)/夢(ゆめ)/理想(りそう)/あと]を~。
 ・警察(けいさつ)がにげた犯人を追っている。
 ・羊(ひつじ)が犬に追われて囲(かこ)いの中に入っていった。
 ・わたしの妻(つま)は流行(りゅうこう)を追って(=おいかけて)次々とふくを買うので、とてもお
  金がかかる。
 ・いつまでも理想(りそう)を追っていないで、ふだんの生活のことを考えてください。
 ・現代の生活に疲れると、人はかなわぬ夢を追ってしまいがちだ。
 ・この民族(みんぞく)は、牛(うし)や馬(うま)を追って草原(そうげん)を移動(いどう)しながら暮
  (く)らしている。
 ・毎日しごとに追われていて、ゆっくり本を読むひまもない。
 ・あしたはそつぎょうしきだ。みんなそのじゅんびに追われていて、いそがしい。
 ・ワンマン社長は、取締役会(とりしまりやくかい)のクーデターで会社を追われてしまった。
 ・王は革命(かくめい)によって国を追われ、隣国(りんごく)へ亡命(ぼうめい)した。
 ・ジュリエットはロミオのあとを追って自殺(じさつ)してしまった。(=同じように)
 ・思い切って手術(しゅじゅつ)を受けたら、この子は日を追って元気になって来た。(=日増しに))
 ・このテレビドラマは、回を追うごとに面白くなってきた。(=放送の回が進むに連れて))
 ・おばあさんは友だちと遊(あそ)んでいる孫(まご)をたのしそうに目で追っている。(=見続ける)

<複合動詞:おい-:おっ->
[おいあげる] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・後ろを振り返ると、2位の選手が追い上げてきた。
 ・日本の企業は東南アジアの企業に追い上げられている。
   先行する対立候補を トップ集団を 背後から レースで 激しく
[おいおとす] 人ガ 人ヲ (所カラ)
 ・彼らは、権力者を追い落として、自分がその位置に立とうとしている。
 ・今回の問題を材料にして社長を追い落とそうという動きがあるそうだ。
   首相・政権の座から
[おいかえす] 人ガ 人ヲ
 ・公害企業の社長に面会を求めた弁護士を守衛が追い返した。
 ・中央政府は、地方政府の横暴を直訴しようとした農民グループを追い返した。
   子供・使者を 入り口・玄関で けんもほろろに すぐ やっと
[おいかける] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・うさぎを夢中で追いかけているうちに道にまよってしまった。
 ・青年はゆめを追いかけるものだ。
 ・にげ出したうまを五人で追いかけてやっと柵の中に追いこんだ。
   アイドル・新しいもの・後ろ姿・獲物・音・女のあと・行列・事件を
   チャンス・バス・フライ・ボール・群れを 執拗に 必死に どこまでも
[おいかけまわす] 人ガ 人・ものヲ
 ・子供たちが子犬を追いかけ回して遊んでいる。子犬も楽しそうだ。
 ・あいつはまったく女好きで、若い頃から女の尻ばかり追いかけ回していた男だ。
   女・若い男・アイドルを 鳥・厄介事を 執拗に
[おいこす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・日本はこの100年ぐらいの間、「西洋に追いつけ、追いこせ。」と言ってがんばってきた。
 ・後ろから来たスポーツカーに追いこされた。
   一団・先輩・そば・隣・バス・母親の背丈・横・老人を 足早に すれすれに
[おいこむ] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・羊はかしこい犬に追いかけられて、柵の中に追い込まれた。
 ・会社はお金をかりることができなくなって解散に追いこまれた。
 ・刑事は証拠を突きつけて犯人の自供に追い込んだ。
   鮎・牛・家畜・自分・与党を 網・危険・恐怖・惨敗・自白・自滅・退陣に
   土壇場・廃案・わな・辞任・羽目・制度を廃止に  ~立場に追い込まれる
[おいすがる] 人ガ 人ニ
 ・「お前はクビだ!」と怒鳴った社長に追いすがり、何とか怒りを静めようと謝り続けた。
 ・あれはいつのことだったか、家を出ていく母に追いすがって泣いた。それ以来、泣いていない。
   背中に 必死に じりじりと 
[おいだす] 人ガ 人・ものヲ 所カラ
 ・よその犬が庭に入ってきたので、追いかけて庭から追い出した。
 ・へや代を三か月もはらわないでいたので、アパートから追い出されてしまった。
   夫・家畜・客・妻子・住人・前任者・虫・嫁を 部屋・村を 穴から ~れる
[おいたてる] 人ガ 人・ものヲ ものカラ
 ・訓練された犬が羊たちを追い立てて、さくの中に追い込んだ。
 ・ボス教授に逆らった助手は、追い立てられるようにして大学を去った。
   牛・子供・鶏を 後ろから 下宿から 家を 荒々しく とっとと ~れる
[おいちらす] 人ガ 人・ものヲ
 ・警官隊がデモの群衆に放水し、追い散らした。
 ・老人がゴミに群がるカラスを追い散らそうとしているが、なかなか難しい。
   ネズミ・民衆・群れ・先陣を   野次馬を
[おいつく] 人ガ 人・ものニ
 ・A:私はまだちょっとする事があるので、先に行ってください。あとから追いかけますから。
  B:そうですか。じゃあ、ゆっくり行きます。あなたは足が速いからすぐに追いつくでしょう。
 ・病気で3週間も授業を休んでしまった。いっしょうけんめい勉強しないとみんなに追いつけない。
   仲間・ボール・先進諸国のレベル・水準に 後から あっと言うまに 急いで
[おいつめる] 人ガ 人・ものヲ
 ・さあ、とうとう犯人を追い詰めたぞ。
 ・借金取りに追い立てられ、追い詰められた心理になって、父は自殺したらしい。
 ・敵の王を隅に追い詰めた。(将棋)
   相手・企業・殺人犯・自分・政権・容疑者を とことんまで 壁に 隅へ
   ~られる 敵に 土壇場・破局・窮地に ひとたまりもなく ~られた心境
[おいぬく] 人ガ 人・ものヲ
 ・日本は西洋のあとを追いかけはじめて、百年あまりで、もう、いろいろな西洋の国々を追いぬい
  てしまった。
 ・わたしはゆっくり車を走らせているので、後ろから来た車がどんどん追いぬいて行く。
   傍ら・そば・人ごみ・群れ・父・西洋を 弟子・後続に~れる
[おいはらう] 人ガ 人・ものヲ
 ・ハエが食べ物の上を飛び回っている。追い払おうとしてもなかなかしつこい。
 ・映画スターが泊まっているので、女の子がホテルの周りでさわいでいる。うるさいから、ホテル
  の人に追い払ってもらった。
 ・テストの時は、隣を見ようという邪念を追い払うのに疲れ、考えに集中できなかった。
   悪霊・虻・後ろめたさ・押し売り・蛾・恐怖・煙・幻影・子供・死・邪念を
   敵・野良犬・不安・よそ者を 妄想を頭から  城を 家を追い払われる 
[おいまくる] 人ガ 人・ものヲ
 ・パトカーが何台も来て犯人の車を追いまくったが、結局逃げられた。
 ・直線に入って先頭の馬を追いまくり、ゴール直前でついに追い抜いた。
 ・毎日雑事に追いまくられ、じっくりものを考える暇がない。
   ひるんだ敵を 執拗に  家事・雑用・仕事・締め切り・生活に~られる
[おいまわす] 人ガ 人・ものヲ
 ・ディフェンスがボールを持った選手を追い回したが、逃げ切ってゴールした。
 ・若いころはいろいろと悪いことをやって、警察に追いまくられたりしたものだ。
 ・犬が猫を追い回し、猫は木に登って逃げた。
   後・犬・女・敵・尻・ボール・雌を 幸福を 地球上を 雑用・警察に~れる
[おいもとめる] 人ガ ものヲ
 ・私は、宇宙飛行士になるという夢を追い求めて生きてきた。今、その夢がかなった。
 ・あの人は70才になっても、まだ、少年のように理想を追いもとめている。うらやましい。
 ・初恋の人の面影を追い求めて、よく似た今の妻と結婚したんだが、、、、。
   面影・快楽・希望・実像・姿・成功・名・初恋の人・問題・夢を 
[おいやる] 人・ものガ 人ヲ ものニ
 ・山田を死に追いやったものは何だったのだろうか。
 ・この数年、多くの労働者が過労死に追いやられている。
 ・事故の責任を取らされ、閑職に追いやられた。
      人々・自らを 死地・隅・絶望へ 窮地・死・辞任に 崖っぷちに~れる
[おっかける] 人・ものガ 人・ものヲ     (←おいかける)
 ・もういい年なんだから、若い娘を追っかけるのは止したらどうだ。
 ・何だかわからないものに追っかけられる夢を見て、目がさめてもどきどきする。
   後・男・牛・ゴシップ・姿・雌・理論・若さを
[おっぱらう] 人・ものガ 人・ものヲ      (←おいはらう)
 ・火事を消すよりも先に、集まってくる野次馬を追っ払うのが大変だ。
 ・まず、頭の中から、かなうわけがない夢を追っ払って、現実的な道を探そう。
   犬・女・雀・ハエ・貧乏神・野次馬を 頭の中から うるさそうに

<スル動詞>
[追跡(ついせき)する]  人ガ ものヲ
 ・警官隊が犯人を追跡して、山奥に入っていった。 
  ・パトカーが怪しい車を追跡している。
 [~の追跡をする]
  ・あのトラックの追跡をしてくれ、とタクシーに乗って言ったら、運転手が喜んだ。

[25] 乗る・のせる

◇のる
  「のる」は、あるものの上に上がり、そこに存在すること。移動するためのものを利用すること。
情報が媒体を利用して伝わることや、人が他人のことばや話に積極的に関わること。ひゆ的に、何か
にうまく合った状態になることなどを表す。場所・ものをニ格で示す。
      人・ものガ ものニ のる
    台・机の上に乗る  バス・担架に乗る  海流・風に乗る  果物がかごに載っている
    写真・記事が新聞に載る  声が電波に乗る  相談・計略・おだてに乗る
    調子が載る  気が乗らない  
・複合動詞は「のり-」の形のものが非常に多くある。ヲ格をとるものがある。
 「乗りかかる」は、乗ろうとすること、相手を抑えるようにおおいかぶさること。ひゆ的に、物事
  をし始めることを表す。「乗りかける」は、乗ろうとすること。
       船に 乗りかかる/乗りかける  大きな体で相手に乗りかかる
 「乗り切る」は、終わりまで乗っていること。困難な状況を切り抜けること。みんなが乗ること。
 「乗り通す」は、始めから終わりまで乗っていること。
       急場を乗り切る  客が乗り切るまで待つ  始発駅から終点まで乗り通す
 「乗り遅れる」は、乗り物の時間に遅れて乗れないこと。ひゆ的に、世の中の進歩に遅れること。
 「乗り損なう・損ねる」は、乗ろうとして乗れないこと。
 「乗り上げる」は、船や車が障害物の上に上がって動けなくなること。
       終電車に 乗り遅れる/乗り損ねる    船が浅瀬に乗り上げる
 「乗り換える」は、ある乗り物から他の乗り物に移ること。ひゆ的に、これまでの立場・考え方か
  ら他に移ることなどをいう。
 「乗り継ぐ」は、別の乗り物に乗り換えて、先へ進み続けること。
 「乗り移る」は、ある乗り物から他の乗り物に移ること。神仏や霊魂が人間の体に入ること。
       バスを 乗り換える/乗り継ぐ  フェリーに乗り換える  悪魔が人に乗り移る
 「乗り合わせる」は、(偶然)別の人と同じ乗り物に乗ること。
 「乗り組む」は、(業務として)他の人といっしょに乗ること。
       知人と同じ飛行機に乗り合わせる  宇宙船に乗り組む
 「乗り越す」は、電車などで降りる予定の所より先に進むこと。ものの上を越えて進むこと。
 「乗り過ごす」は、電車などで降りる予定の所より先に行ってしまうこと。
 「乗り越える」は、ものの上を越えて向こうに行くこと。ひゆ的に、困難な状況を切り抜けること。
  また、他の人がしたことよりもっと上のことをすること。
       乗り越した人が精算する  居眠りして乗り過ごす  失敗を乗り越える
 「乗りこなす」は、乗るのが難しいものにうまく乗ること。
 「乗り付ける」は、車などに乗ったまま、そこに着くこと。いつも乗って慣れていること。
 「乗り回す」は、ある乗り物に乗って、あちこち走り回り、楽しむこと。
       馬を 乗りこなす/乗り回す  車で玄関に乗り付ける  タクシーに乗り付ける
 「乗り込む」は、乗り物の中に入ること。勇気を持ってある所に行くこと。
 「乗り入れる」は、車などに乗ったままあるところに入ること。バスや電車が路線を延長すること、
  また他社の路線にまで入って運行すること。
 「乗り出す」は、船などに乗って出発すること。乗り物に乗り始めること。積極的に物事に取りか
  かること。体を前のほうへ出すこと。
       車・敵地に 乗り込む  私鉄が地下鉄に乗り入れる  ヨットで太平洋に乗り出す
    事業に乗り出す  車の窓から身を乗り出す  
 「乗っ取る」は、乗り物・組織などを奪い取って支配すること。
 「乗り捨てる」は、乗り物から降りて、そのまま省みない。
       銃で脅して飛行機を乗っ取る  駅でタクシーを乗り捨てる
・「-のる」の形の複合動詞
 「飛び乗る」は、跳びつくようにして乗ること。
    馬・車に 飛び乗って急ぐ
・スル動詞
 「乗車する」は、電車・自動車などに乗ること。「搭乗する」は、飛行機や船などに乗り込むこと。
◇のせる
  「のせる」は、「のる」に対応する他動詞で、ものを他のものの上に乗るようにすること、乗り物
を利用させること、情報を媒体を利用して伝えることや、人を話に関わらせたりすることなどを表す。
人の意志を考慮する場合は、「のる」の使役形「のらせる」を使う場合もある。
     人ガ 人・ものヲ ものニ のせる
    子どもを台に 乗せる/乗らせる  ヨット・グライダーを 海流・風に 乗せる
    荷物を車に載せる  記事を新聞に載せる  意見を電波に乗せる  計略に乗せる
    人を調子に乗せる  
・スル動詞「掲載する」は、文章や写真を新聞や雑誌などに載せること。


のる(乗る・載る)五(のらない・のります・のって・のれば・のろう) 
[1]〔人ガ ものニ〕
 △のりたい  のりかける  のってみる  のってしまう  のってはいけない
  のらなければならない  のったほうがいい  のろうとする  のらせる  のられる
  のれ!  のるな!     
 △[ちょっと/ずっと/長い間/いつも/ときどき/つねに]~。
 △[電車/車/自転車(じてんしゃ)/馬(うま)/船(ふね)/飛行機(ひこうき)]に~。
 ・市民病院(しみんびょういん)へ行く時はこのバスに乗ると早くていいですよ。
 ・電車に乗っている時しか本を読むひまがない。
 ・わたしが自転車に乗れるようになったのは10さいの時です。馬(うま)には乗れません。
 ・この遊園地(ゆうえんち)の乗り物は、もうほとんどみんな乗ってしまった。最後にジェットコー
  スターに乗ってみよう。
 △[踏み台(ふみだい)/人の肩(かた)/木の枝(えだ)/塀(へい)の上]に~。
 ・この台の上に乗ると前がよく見えますよ。
 ・電球(でんきゅう)が切れたので、イスに乗ってとりかえた。
 ・その箱(はこ)に乗らないでください。中の物がつぶれてしまいます。
 ・棚(たな)の上に乗っている本をとってくれませんか。
 ・赤ちゃんがお父さんの背中(せなか)に乗ってあそんでいる。
 △[話/提案(ていあん)/リズム/調子(ちょうし)]に~。
 ・ちょっと相談(そうだん)に乗ってくれまんせか。
 ・うまい儲け話(もうけばなし)があるんですが。あなたもひとつ話に乗りませんか。
 ・ダンスをする時はリズムに乗ることが大切だ。今日はうまくリズムに乗れたので楽しかった。
 ・あまり調子に乗って、かってなことをやるとひどい目にあうぞ。
 ・あの選手(せんしゅ)が調子に乗ると、だれもかなわない。
 ・新人の小山くんは好調(こうちょう)の波に乗り、ついに優勝(ゆうしょう)した。
 ・相手の弱味(よわみ)をにぎっているからといって、あまり図(ず)に乗ってむりなことを言うな。
 ・あの会社は時流(じりゅう)にうまく乗って、さいきんとても大きくなった。
 △[誘(さそ)い/おだて/甘(あま)い言葉]にのってしまう。
 ・何度も同じ手に乗ると思ったら大まちがいですよ。
 ・山田さんは反対派(はんたいは)の計略(けいりゃく)に乗って、社長をやめさせられた。
[2]〔ものガ ものニ〕
 △のりにくい  のるといい  のっている  のらないとこまる 
 △本の初めにその[話/絵(え)/図(ず)/表(ひょう)/グラフ]がのっている。
 ・中山さんのことが今日の新聞に載っていますよ。
 ・友だちの投書(とうしょ)が新聞に載っていた。
 ・おもしろい話がこの雑誌(ざっし)に載っている。
 ・クッキーのやき方はこの本の59ページに載っていますから、そこを見てください。
 ・この教科書(きょうかしょ)は絵(え)や写真(しゃしん)がたくさん載っていて、たのしい。
 ・このトラックの荷台(にだい)にこの荷物(にもつ)がぜんぶ載るだろうか。
 ・そのつくえの上に載っている本をとってくれませんか。
 ・この話は電波(でんぱ)にのって全国(ぜんこく)に放送(ほうそう)された。
 ・わたしの声(こえ)はひくいので、マイクにのりにくい。
 ・ゆうべよくねむれなかったので、けさはお化粧(けしょう)がのりにくいわ。
 ・うつくしい音楽(おんがく)が風(かぜ)にのって流(なが)れて来た。
 ・どの辞書(じしょ)にも載っていないことばがあって、こまった。
[3]〔ものガ〕
 △のりそうだ  のるといい  のってほしい
 △[気(き)/気分(きぶん)/調子(ちょうし)]が~。
 ・兄は、「きょうは、しごとの気分が乗らない」と言って遊んでばかりいる。いつもじゃないか。
 ・気分が乗った時は夜中の2時、3時までしごとをします。
 ・暑くて調子が乗らない。少し休憩(きゅうけい)しよう。

<複合動詞:のり->
[のりあげる] ものガ ものニ  
 ・ハンドルを切りすぎてしまい、タイヤが道端の段に乗り上げてしまった。
 ・船首を浅瀬に乗り上げてしまい、船は動けなくなった。
 ・貿易交渉が暗礁に乗り上げた。打開の道を探っているが難航しそうである。
   車・船首・ボート・半身を 浅瀬・岩礁・土砂・舗道に 交渉が暗礁に
[のりあわせる] 人ガ 人ト ものニ
 ・田舎のバスで、おばあさんたちの一団と乗り合わせて、いろいろ話を聞いた。
 ・昨日けんかした同僚とエレベーターで偶然乗り合わせ、気まずい沈黙が続いた。
   電車・バス・自動車・エレベーターに 偶然に
[のりいれる] 人ガ ものヲ ものニ/ものガ ものニ 
 ・上半身を窓から乗り入れて、机の上の財布を盗もうとした。
 ・彼は何も言わずに車を狭い路地に乗り入れ、小さなバーの前で止めた。
 ・この私鉄はそのまま地下鉄に乗り入れているので、乗り換えなくてすみます。
   地下鉄が 馬・車・自動車・身・半身を 国道へ 浅瀬に へんぴな道・路地に
[のりうつる] 人ガ ものカラ ものニ
 ・小さなボートから船に乗り移った。
 ・悪魔が子供からその親に乗り移った。
   悪魔・霊・精霊・心・心情・憎しみ・不安が 船・艀・ボートに
[のりおくれる] 人ガ ものニ
 ・寝坊をして、いつもの電車に乗り遅れてしまった。会社に遅刻してしまう。
 ・飲みすぎて、終電車に乗り遅れ、タクシーで帰る羽目になった。大出費だ。
   汽車・時代・終電車・バスに うかうか・ぼやぼやしていると
[のりかえる] 人ガ ものヲ (ものカラ ものニ)
 ・毎朝この駅で電車を乗り換える。その時、彼女とすれ違う。
 ・新宿駅で中央線に乗り換えてください。
   汽車・車・地下鉄・電車・バス・列車を 支線に 牛を馬に 別口に
[のりかかる・のりかける] 人ガ ものニ
 ・「その話はどうも怪しいね」と言われた時は、うまいもうけ話にほとんど乗りかかっていた。
 ・「乗りかかった船」という表現がある。自分の誤った選択を正当化するためか?
   上から 相手に 背中に 新しい計画に 
[のりきる] 人ガ ものヲ
 ・荒波を乗り切って、彼らの船は無事、目的地に着いた。 
 ・うちの会社は苦しい時期を何とか乗り切った。
   脂が 嵐・荒波・危機・急場・苦境・苦難・国難・序盤・審議・濁流・夏場・難局・不況・
   冬を 一息に 見事に とにかく 何とか 脂の~た女盛り・仕事ぶり
[のりくむ] 人ガ ものニ 
 ・次の任務では、姉は大型のタンカーに乗り組むそうだ。
 ・宇宙船に乗り組むメンバーが発表された。私もその中に入っていた。
   宇宙船・飛行機・船・定期便に
[のりこえる] 人ガ ものヲ 
 ・いろいろ困難があるでしょうが、それを乗り越えてすばらしい研究を続けてください。
 ・私は、もう弟子の田中くんに乗り越えられてしまった。
   荒波・暗礁・岩・垣根・柵・障壁・鉄条網・塀・門を 過去・過酷な現実・悲しみ・危機・
   危険・苦しみ・限界・困難・死・失敗・自分自身・障害・試練・制約・伝統・難関・難局・
   誘惑・猛反対を  あさり 軽々と ひょいと 悠々と
[のりこす] 人ガ ものヲ 
 ・本に熱中していて、降りるべき駅で気がつかず、乗り越してしまった。
 ・お乗越しの方はここで精算してください。
   甲板・柵・塀を  電車で
[のりこなす] 人ガ ものヲ
 ・どんな馬でも乗りこなす自信があります。
 ・彼女は始めて一週間でスノボーを自由に乗りこなしている。うまいものだ。
   暴れ馬・荒馬を 自由に
[のりこむ] 人ガ ものニ 
 ・我々は船に乗り込んだ。
 ・選手たちは待っていたバスに次々と乗り込んだ。
 ・日本のサッカーチームが敵地に乗り込んで、今夜一戦を交える。
   乗客・人・男たちが 車・汽車・船・荷台・宇宙船・会社・悪の巣・敵地に
   強引に 気軽に 白昼堂々と ひらりと しずしずと せっかちに 真っ先に
[のりすごす] 人ガ ものヲ 
 ・電車でねむってしまって乗り過ごしてしまった。
 ・読書に夢中になって乗り越さないよう、電車では勉強の本を読むことにしている。
[のりすてる] 人ガ ものヲ
 ・駅前でタクシーを乗り捨てて、急いで改札に向かった。
 ・犯人は車を駐車場に乗り捨てて逃走したらしい。
 ・駅前には、おそらく盗まれて、乗り捨てられた自転車が何日もそのままになっている。
   車・自転車・タクシーを 駅まで 駐車場に  ~て逃げる
[のりそこねる] 人ガ ものニ
 ・最終電車に乗り損ねたら、うちへ帰れないよ。
 ・我が社も時代の波に乗り損ねないよう、海外での生産を考えなければならない。 
[のりだす] 人・ものガ ものニ
 ・川を下っていた船は、いよいよ海に乗り出した。        「身・膝を乗り出す」は他動詞
 ・学術委員会がその現象の調査に乗り出した。
 ・あの人が乗り出してくるようだと、我々に勝ち目はないな。
 ・窓から身を乗り出して、手を振った。
[のりつぐ] 人ガ ものヲ
 ・電車とバスを乗り継いで、郊外の友人の家を訪ねた。
 ・バンコクの空港で飛行機を乗り継いで、ネパールに向かった。
   かご・汽車・車・電車・乗り物・バス・飛行機を バスに バスと地下鉄を
[のりつける] 人ガ ものニ
 ・仕事で使う大型トラックで役所の玄関に乗りつけたら、警備員がびっくりした。
 ・うちの子は車に乗りつけていないので、乗り物酔いになりやすい。
   馬・自家用車・タクシー・ハイヤー・馬車・船を 車で 玄関に  車に
[のりとおす] 人ガ ものニ
 ・シルクロードで3日間列車に乗り通した。疲れたが印象深い経験だった。
 ・始発駅から終点まで各駅停車に乗り通して、それぞれの駅の様子を調査した。
[のりまわす] 人ガ ものヲ/所ヲ 
 ・彼は派手なスポーツカーを乗り回している。
 ・4歳の息子が公園で三輪車をうれしそうに乗り回している。
 ・中古車を買って田舎道を乗り回したら、すぐに故障してしまった。
   馬・外車・高級車・自転車・単車・オートバイを 田舎道・草原・街を 
[のっとる] 人ガ ものヲ
 ・銀行や会社を乗っ取るドラマが多いが、どの程度本当のことなんだろう。
 ・テロリストに乗っ取られた飛行機が北朝鮮に向かった。
   銀行・城・本家・財産・船・名前・看板・大将の地位を
<複合動詞:-のる>
[とびのる] 人ガ ものニ
 ・犯人は走ってきた車に飛び乗って逃走した。
 ・サーカスで、馬に飛び乗り、飛び降りる犬を見た。
      馬・車・自転車・タクシー・電車・船に 発車ぎりぎりに ひらりと

<スル動詞>
[乗車(じょうしゃ)する]  人ガ ものニ
  ・皆さんは一番前の車に乗車(を)して下さい。
 ・5台のタクシーに分かれて乗車(を)し、急いで現地に向かった。
[搭乗(とうじょう)する]  人ガ ものニ
 ・飛行機に搭乗(を)する前に、手荷物の検査を受けなければならない。
 ・ジャンボに搭乗(を)してから、出すはずの手紙をまだ持っていることに気がついた。


のせる(乗せる・載せる)一(のせない・のせます・のせて・のせれば・のせよう) 
[1]〔人ガ ものニ もの・人ヲ〕
 △のせたい  のせてほしい  のせてもらう  のせておく  のせてある  のせてしまう
  のせてはいけない  のせないほうがいい  のせなければならない  のせようとする
  のせられる  のせろ!  のせるな!
 △[たくさん/ときどき/むりに/うまく/何度も]~。
 △[トラック/船/車/台/テーブル/肩(かた)/子どもをひざ]に~。
  [雑誌(ざっし)/本/新聞/広告(こうこく)/電波(でんぱ)]に~。
  [うまい話/策略(さくりゃく)/口車(くちぐるま)/おだて/誘惑(ゆうわく)]に~
 ・トラックで港(みなと)まで運ばれた自動車は、船に載せられて外国に運ばれます。
 ・子どもを(車に)乗せている時はとくに注意(ちゅうい)して、運転(うんてん)してください。
 ・そのはこは棚(たな)に載せておいてください。
 ・いろいろな品物(しなもの)を載せたトラックがこの道路(どうろ)を走っている。
 ・うまい話に乗せられて、200万円も損(そん)してしまった。
 ・じょうだんに乗せられて、ばかなことをやってしまった。
 ・敵(てき)の計略(けいりゃく)に乗せられて、会社を乗っ取られてしまった。
 ・この曲(きょく)をタンゴのリズムにのせてひいてみましょう。
 ・さいきんのテレビの番組(ばんぐみ)はひどい。電波にのせる物なのだから内容についてもっとよ
  く考えてほしい。
 ・たのしいおしゃべりを音楽にのせてお送(おく)りする1時間です。
 ・うつくしい詩(し)をうつくしいメロディにのせる。
 ・この話はおもしろいからわたしたちの雑誌に載せよう。
 ・たくさんの雑誌に載せられた論文(ろんぶん)をぜんぶ読むことはできない。
 ・まちではいろいろな事件(じけん)が起きているが、新聞に載せられるものはかぎられている。

<スル動詞>
[掲載(けいさい)する]  人ガ ものヲ
 ・大新聞が市民団体の原発反対の意見広告を掲載して話題になった。
 ・毎週日曜日に新聞に掲載されているクロスワードを解くのが楽しみです。

[26]その他
 分類から漏れてしまった移動表現をいくつか。

◇いたる
 「至る」は、ある所・状態に行き着くこと。書きことば。使役形「いたらせる」の古い形「いたら
しめる」も硬い表現として使われる。
  ものガ もの・所ニ いたる
      山頂に至る道  現在の状態に至るまでの経緯  何の連絡もなく現在に至っている
     死に至らしめる   
 慣用的な表現として「至る所で」「至らぬ点(はご容赦を)」などがある。
◇おもむく  
 「赴く」は、ある所に向かっていくこと。また、ある状態に向かってゆくこと。硬い言い方。
  人ガ 所ニ おもむく / ものガ ものニ おもむく
      赴任地に赴く  病気が快方に赴く
 ひゆ的に、精神的な状態が変化していくことを言う。
     心・本能の赴くままに
◇たどる
 「たどる」は、道に従って進むこと。苦労して進む、悪い方へ進むという意味合いを持ちやすい。
 抽象的・ひゆ的な意味でよく使われる。
  人ガ 所ヲ たどる / ものガ ものヲ たどる
   夜道をたどる  ぼんやりした記憶をたどる  衰退の一途をたどる
・複合動詞「たどりつく」は、苦労してやっと行き着くこと。
◇さまよう
 「さまよう」は、迷ってあちこち行ったり来たりすること。ヲ格をとる。ニ格は文学的。
  人ガ 所ヲ さまよう
      闇の中をさまよう  闇にさまよう
・複合動詞「さまよい歩く」は、道がわからずあちこちをさまよって歩くこと。
◇うろつく
 「うろつく」は、当てもなく歩き回り、同じ所を行ったり来たりすること。
  人ガ 所ヲ うろつく
      怪しい男がビルの回りをうろついている  犬が家の前をうろついている


いたる(至る)  五(いたらない・いたります・いたって・いたれば)
[1]〔ものガ もの・所ニ〕
 △[ついに/最終的に/結局(けっきょく)のところ/とうとう]~。
  △[結末(けつまつ)/合意(ごうい)/事態(じたい)/実現(じつげん)/正常化(せいじょうか)/
   大事(だいじ)/逮捕(たいほ)/破局(はきょく)/発表(はっぴょう)/離婚(りこん)]に~。
   開戦に至る経緯(けいい)  死に至る病(やまい)  至る所で  至らぬ点はお許しを
  ・現在の状況に至った経緯を御説明(ごせつめい)いたします。
 ・とりかえしのつかない事態に至った責任(せきにん)は、すべて首相(しゅしょう)にある。
 ・敗戦(はいせん)に至るまでの歴史は、くりかえし反省(はんせい)されるべきものだ。
  ・5年前に今の職場(しょくば)に着任(ちゃくにん)し、現在に至っています。
  ・「至大阪」というのは、地図の略した書き方で「大阪に至る」という意味だ。
〔文ニ〕
 ・とうとうと社長がみずからの判断(はんだん)の失敗(しっぱい)を認(みと)めるに至った。
 ・小さなミスの積み重(つみかさ)ねが、ついには死を招(まね)くに至る結果となった。
 ・参加者のようすを見て、展示(てんじ)会の成功(せいこう)を確信(かくしん)するに至った。
  ・最終的に、計画は日の目を見る(=実現する)に至らなかった。


おもむく(赴く)  五(おもむかない・おもむきます・おもむいて・おもむけば・おもむこう)
[1]〔人ガ 所・ものニ〕
 △おもむきたくない  おもむいてみる  おもむくつもりだ  おもむかなくてはならない
  おもむこうとおもう  おもむかせる
 △[しかたなく/いやいや/喜(よろこ)んで/みずから/進んで/結局(けっきょく)]~。
  △[任地(にんち)/現場(げんば)/赴任先(ふにんさき)/死地(しち)/死出(しで)の旅]に~。
  ・一行(いっこう)は明朝(みょうちょう)、任地に赴く予定である。
 ・まず現場に赴き、状況(じょうきょう)を把握(はあく)することが第一だと考えます。
 ・死地に赴く兵士(へいし)たちに何か言うべきことばがあるだろうか。
[2]〔ものガ ものニ〕
 ・病気は何とか快方に赴いています。 
[~の赴くまま]
 ・足の赴くままに日本中を旅行して回った。
 ・心の赴くまま、思いついたことを書いていく。


たどる(辿る)  五(たどらない・たどります・たどって・たどれば・たどろう)
[1]〔人ガ 所ヲ〕
 △たどっていく  たどってみる  たどるといい  たどらせる  たどれ!
 △[ゆっくり/のんびり/とぼとぼ/注意深(ちゅういぶか)く/正確(せいかく)に]~。
  △[家路(いえじ)/海岸線(かいがんせん)/経路(けいろ)/コース/道順(みちじゅん)]を~。
  ・疲れ切った私たちは、夜道をとぼとぼとたどって我が家へ帰り着いた。
 ・道に迷ってしまったが、この細い道をたどっていけば何とかふもとの町へ降りられるだろう。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
  △[足跡(あしあと)/地図(ちず)/におい/目印(めじるし)/矢印(やじるし)]を~。
 ・犯人の足跡をたどって刑事たちは林の中を進んだ。
 ・犬が残されたにおいをかぎ取ったようだ。これをたどっていけば見つかるんじゃないか。
 ・案内の地図をたどって、何か所かのポイントをすべて回る競技(きょうぎ)です。
  △[記憶(きおく)/記録(きろく)/軌跡(きせき)/経過(けいか)/筋道(すじみち)]を~。
 ・小さい頃のかすかな記憶をたどって、ふるさとの山を歩き回ってみた。
  ・筋道をたどって考えれば、だれでもわかるはずのことです。
 ・文章の文脈(ぶんみゃく)を正確にたどって、一つ一つの文の意味を理解していきましょう。
 ・彼女の生涯(しょうがい)の軌跡をたどっていくと、様々(さまざま)な人との出会いが大きな意味
  を持っていることがわかる。
  ・事件は次のような経過をたどって収束(しゅうそく)に向かった。
  ・会社の業績(ぎょうせき)は、下降線(かこうせん)をたどっている。
 ・革命(かくめい)の年に生まれた彼の人生は、数奇(すうき)な運命(うんめい)をたどったのです。
 ・それ以後、この文明は衰退(すいたい)の一途(いっと)をたどることとなる。

<複合動詞:たどり->
[たどりつく] 人ガ 所ニ      
  ・地震で電車が動かないので、5時間歩いてやっと家にたどり着いた。
 ・ふらふらになりながらも、なんとか無事にゴールにたどり着くことができた。
     家・生まれ故郷・山頂・宿舎・目的地・我が家に 家まで やっと 無事に


さまよう(さ迷う)  五(さまよわない・さまよいます・さまよって・さまよえば)
[1]〔人ガ 所ヲ〕
 △さまよいがちだ  さまよってしまう  さまよってばかりだ  さまような!
 △[うろうろと/ふらふらと/あてもなく/さびしく/毎日/いつまでも]~。
  △[海辺(うみべ)/荒野(こうや)/ジャングル/大陸(たいりく)/日本中/異国(いこく)]を~。
  ・ジャングルの中で道に迷い、あちこちをさまよいながら何とか生き延びた。
 ・仕事も家も失い、路頭(ろとう)をさまよう身となった。
 ・車にはねられ、三日間生死(せいし)の境(さかい)をさまよった。
 ・異国にさまよう暮らしを二十年続け、ある時、何をせねばならぬかに気づいて国に戻った。
 
<複合動詞:さまよい->    
[さまよいあるく] 人ガ 所ヲ
 ・私は何日もジャングルの中をさまよい歩いた。 
    

うろつく  五(うろつかない・うろつきます・うろついて・うろつけば・うろつこう)
[1]〔人・動物ガ 所ヲ〕
 △うろつきがちだ  うろついてほしくない  うろついてはいけない  うろつくな! 
 △[ときどき/いつも/毎日/あてもなく/ふらふらと]~。
  △[野良犬(のらいぬ)/あやしい男/不良(ふりょう)/山犬(やまいぬ)]が~。
  [近所(きんじょ)/家のまわり/付近(ふきん)/裏通(うらどお)り/街(まち)/森の中]を~。
  ・動物園(どうぶつえん)のトラが、おりの中をうろついている。
 ・毎晩変な男があたりをうろついていると思ったら、近所のおじさんが見回りをしてたんだそうだ。
 ・気が散(ち)るから、あんまり私のまわりをうろつかないでほしいんだ。
 ・毎日ひまで、家の回りをうろついていたら、母がみっともないからやめろと言う。給料(きゅう
  りょう)は安くてもいいから、仕事がほしいなあ。

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