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[5] 通る・通す

   通る   通り合わせる 通りかかる 通り越す 通り過ぎる 通り抜ける  
           しみ通る 透き通る 突き通る まかり通る  開通する 通過する
     通す  
     通じる

[6] 渡る・渡す

    渡る   渡り歩く  渡航する 渡米する  
     渡す
     横切る  横断する
     くぐる   くぐり抜ける

[7] 越える・越す 過ぎる

     越える  飛び越える 乗り越える 踏み越える  
     越す
     過ぎる  過ぎゆく

[8] 進む・進める

   進む   進み出る  突き進む 掘り進む  踏み出す  
          行進する 進学する 進行する  進出する 進展する 進歩する 推進する
          前進する 難航する 発達する 発展する  徐行する
     進める  書き進める 推し進める  促進する
     はかどる

[9] 歩く・走る・泳ぐ

   歩く   歩き出す 歩き続ける 歩き回る  浮かれ歩く 飛び歩く 出歩く  
              触れ歩く 渡り歩く  散歩する
     走る   走り込む 走り去る 走りすぎる 走り出す 走り出る 走り抜く 走り抜ける
           走り回る 走り寄る    運行する 走行する
     駆ける  駆け上がる 駈け降りる 駆け込む 駆け出す 駆けつける 駆け抜ける
           駆け上る 駆け回る 駆けめぐる 駆け戻る 駆け寄る    かけずり回る
     泳ぐ    泳ぎ疲れる 泳ぎ回る

[10] 飛ぶ・飛ばす

   飛ぶ   飛び上がる 飛び歩く 飛び移る 飛び起きる 飛び降りる 飛び交う  
          飛びかかる 飛び越える 飛び越す 飛び込む 飛び去る 飛び出す 飛び立つ
          飛び散る 飛びつく 飛び出る 飛び抜ける 飛び退く 飛び乗る 飛び離れる
          飛び跳ねる 飛び回る  吹き飛ぶ 乱れ飛ぶ 群れ飛ぶ  飛行する
     飛ばす   書き飛ばす 蹴飛ばす けっ飛ばす 突き飛ばす 殴り飛ばす 投げ飛ばす
          跳ね飛ばす 吹き飛ばす
     羽ばたく

[5]通る・通す

◇とおる
 「通る」は、ある所からある所へ着くために、(妨げられずに)一つの道・経路を行くこと。その
道に焦点を当てた言い方。交通機関が設置されること、つまり通れるようになることも表す。場所の
ヲ格をとる。抽象的な事柄にも使う。ある物事が妨げられることなく、ねらいを達すること。
      人・ものガ 所・ものヲ とおる
      近道を通る  学校の前を通る   車がたくさん通る道  町を鉄道が通る
    糸が針穴を通る  食べ物がのどを通らない  
    法案が議会を通る  製品が検査を通る  一次試験を通る
  通過する場所をニ格で表す場合がある。
        この町に鉄道が通る  糸が針穴に通る    食べ物に火が通る
 到着点をニ格で表すことがある。
   人・ものガ 所ニ とおる
    客がへやに通る
  遠くまで伝わることを表す。
    世間に名が通っている  へやの隅々まで通る声
 人の考えが世の人に受け入れられること。
    主張が通る  わがまま・言い訳は 通らない
 一貫した論理があること。
    筋が通った話  この文は意味が通らない
 世の人に、そのようだと認められること。デ格をとる。
   人・ものガ ものデ とおる
    今でも30代で通る  変わり者で通っている
・複合動詞:「とおり-」「-とおる」のどちらの形もある。「とおり-」は、人の動きを表し、「-
とおる」は、事物の動き、性質などを表すことが多い。
 「通り合わせる」は、何かが起きた時にちょうど通ること。「通りかかる」は、その時にそこを通
  ること。同じような意味だが、前者はニ格をとり、後者はヲ格をとる。
    事件の現場に通り合わせる   目の前を知人が通りかかる
 「通り越す」「通り過ぎる」は、そこを通ってさらに先に進むこと。「通り抜ける」は、何かの中
  を通って向こう側へ出ること。
    降りる駅を通り越してしまう  駅の前を通り過ぎる  商店街を通り抜ける
 「染み通る」は、液体・匂いなどが奥深くまで染みて入っていくこと。ひゆ的に、精神的なことに
  も言う。
 「透き通る」は、光がもの自体を通って、ものの中が見えること。
 「突き通る」は、突き刺したものが反対側まで抜けること。
 「まかり通る」は、回りの迷惑をかまわず通ること。特に抽象的なことに言う。
    寒さが体に染み通る  透き通ったガラス  釘が板を突き通る   不正がまかり通る
◇とおす
 「通す」は、人・ものが、人・ものをある所からある所へ(妨げられずに)行くようにすること。
  性格の違う二つのヲ格をとるが、一つの文で同時には使いにくい。
      人・ものガ 人・ものヲ  所・ものニ とおす
    守衛が訪問客を通す  客を応接間に通す
    針の穴に糸を通す  地下にケーブルを通す  回路に電流を通す  部屋に風を通す
   人・ものガ 所・ものヲ とおす
        見学者が来たら門を通す    (「?見学者を門を通す」は不自然)
 あるものを通過させる・利用すること。
    面会は受付を通してください  仲人を通す  ゴミをとるためフィルターを通す
 料理を火で加熱することを言う。
    肉に火を通す
 ものの性質としてあるものが中を通ること。
    この材料は電気をよく通す  放射線を通さない物質
 抽象的な物事について言う。あるものが妨げられずにねらいを達するようにすること。
    議会が法案を通す  選考委員会が作品を通す  面接試験で応募者を通す
       自分の主張を通す   意地を通す    筋を通す
 人がある状態をずっと変えないこと。デ格でも言う。
    独身を通す    和服で通す  
  「~を通して」の形で、ある方法、状況を表すために使われることが多い。
    書物・実践を通して 学ぶ  ファッションを通して現代を考える
    ステンドガラスを通して光を入れる  全体を通してみる  1年を通して温暖だ  
    作品の全巻を通して読む     
・複合動詞
 「-とおす」の形の複合動詞が多い。前の動詞にある意味を加える。
  向こう側まで~する  刺し通す 突き通す
  最後まで~する   歩き通す 走り通す 言い通す だまり通す 聞き通す 読み通す
                      立ち通す 乗り通す やり通す がんばり通す
・スル動詞
 「通過する」は、ある場所を止まらずに通り過ぎること。抽象的なことにも言う。
 「開通する」は、鉄道・道路・電話などが完成して使えるようになること。
    急行が小さな駅を通過する   法案が議会を通過する  高速道路が開通する 
◇へる
 「経る」は、ある時間、場所を過ぎて先に進むこと。ひゆ的に、必要な手続きについて言う。
   人・ものガ 所・ものヲ へる
    名古屋を経て大阪に行く  試験を経て卒業する  歳月を経る
・スル動詞「経由する」は、ある所へ行くのに他の場所を通っていくこと。
◇つうじる
 「通じる」は、何かがある所まで届いていること、関係があること、使えること、相手にわかるこ
と、人があることをよく知っていることなど、さまざまな意味を表し、文型も数が多い。その基本的
な意味は、二つのものがつながった状態にあるということ。「-ている」の形は状態を表す。
 また、「~を通じて」の形で、「それを使って」あるいは「その期間ずっと」という意味を表す。
   ものガ 所ニ つうじる
    道・鉄道が 山奥にまで通じている  この村には電話が通じていない
   ものガ 人ニ つうじる
      冗談が相手に通じる    英語が通じるホテル  
   人ガ 人ニ/ト つうじている
        敵と通じているスパイ
   人ガ 人ト ものガ/ヲ つうじる
        恋人と気持ちが通じる  
   人ガ ものニ つうじる
        事情に通じた人
   ものガ ものニ つうじる
        中世は現代に通じる所がある
   ~をつうじて   
       秘書を通じて連絡する  一年を通じて温暖だ


とおる(通る)五(とおらない・とおります・とおって・とおれば・とおろう) 
[1]〔人・ものガ 所ヲ〕
 △とおりたい  とおりかける  とおりそうだ  とおりはじめる  とおっていく
  とおってみる  とおってしまう  とおってはいけない  とおらなければならない
  とおれない  とおろうとする  とおらせる  とおられる    とおれ!  とおるな!
 △[たくさん/おおぜい/少し/ときどき/いつも/たまに/何度も/何でも]~。
  [あまり/めったに/少しも/ぜんぜん/まったく/一回も/一人も/何も]とおらない
  [らくに/スムーズに/かんたんに/むりに/強引(ごういん)に/むりやり]~。
 △[人/人々/車/自転車(じてんしゃ)/船/犬/ねこ/風/水/電気/光]が~。
  [道/通り/入口/ろうか/通路(つうろ)/海峡(かいきょう)/水路(すいろ)]を~。
 ・小学生が毎朝私の家の前を通ります。おしゃべりしながら通るのを見ていると楽しいです。
 ・この道は大きなトラックがたくさん通るからうるさい。
 ・パン屋のよこの道を通って行くと、駅に早く着けますよ。
 ・商店街(しょうてんがい)の道が工事中(こうじちゅう)で通れない。
 ・この家は風がよく通るように建ててあるから、夏でもけっこうすずしい。
 ・家の前に大きな木があって、日の光が通りません。
 ・この地面(じめん)の下にあるパイプの中を水道管(すいどうかん)が通っています。
 ・大きな船が狭(せま)い海峡を通っていく。ここを通らないと、かなり回り道になるからだ。
 ・年をとって目が悪くなると、糸(いと)が針穴(はりあな)を通らなくなる。悲しいことだ。
 ・金持ちが天国(てんごく)の門を通るのは、ラクダが針の穴を通るよりむずかしい。
[2]〔所ニ ものガ〕
 △[電話/鉄道(てつどう)/道路(どうろ)]が~。
 ・この村(むら)にもやっと電話が通ることになった。
 ・この村に鉄道が通ったのはほんの三年前のことです。
[3]〔人・ものガ ものニ〕
 △[試験(しけん)/検査(けんさ)/審査(しんさ)/予選(よせん)]に~。
 ・この試験(しけん)に通らなければ、学生は卒業(そつぎょう)できません。
 ・わたしの店には、きびしい検査(けんさ)に通った品物しかおいていません。
[4]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[議会(ぎかい)/検査(けんさ)/審査(しんさ)/予選(よせん)]を~。
 ・すべての商品はきびしい検査(けんさ)を通ったものですから、不良品はないはずです。
 ・来年の予算(よさん)が国会を通ったそうだ。
 ・わたしは、オリンピックに出るのがはじめてです。予選を通れば、満足(まんぞく)です。
[5]〔ものガ〕
 ・あの人のこえはよく通る。(=とおくまでとどく)
 ・つまっていた鼻(はな)がやっと通った。
 ・自分の意見が通らないからといって、おこってはいけない。
 ・あの人はときどき理屈(りくつ)の通らないことを言うのでこまる。
 ・あなたのいまの話はこの前の話とちがいます。それでは話の筋(すじ)が通りません。
 ・翻訳(ほんやく)をする時は意味の通る文を書いてください。
 ・そんな言い訳(いいわけ)が通ると思っているんですか。
[6]〔人・ものガ (所デ) ものデ〕
 ・あの人は友だちの間では物知りで通っている。 
 ・この教科書は正式の名ではなくて、「赤い本」という名で通っている。
 ・わたしの祖父(そふ)はむかしから、毎朝走ることを日課(にっか)にしているので、近所(きんじ
  ょ)では「マラソンじいさん」の名で通っている。
 ・あの自転車屋さんは、とおくまでなおしに来てくれたり、なおし方を教えてくれたりするので、
  この町では親切な自転車屋さんで通っている。
[7]〔ものガ 所マデ〕
 △[へやのすみずみ/うしろの方/]まで~。
 ・もっとよく煮(に)ないと、材料(ざいりょう)の中まで火が通らないよ。
 ・あの人の声はいいね。会場のいちばん後ろのほうまで通る声だ。


<複合動詞:とおり->
[とおりあわせる] 人ガ ものニ
 ・映画のロケをやっているところにちょうど通り合わせた。
 ・事件が起きた時にたまたま刑事が通り合わせるというドラマをよくやっている。話がうますぎる。
   一行が 事故現場に 偶然
[とおりかかる] 人・ものガ (所ヲ)
 ・山田さんの家の前を通りかかると、山田さんがにわの花に水をやっていた。
 ・ちょうど運よくトラックが通りかかったので、けがをした人を病院まで運んでもらった。
   車・タクシーが 近く・目の前を 坂・橋の上・村を 踏切に ちょうど
[とおりこす] 人ガ ものヲ 
 ・その家の前を通り越してしまったのに気がつかなかった。
 ・わたしはだんだんさびしいのを通りこして、なきたい気持ちになって来た。
 ・ざんねんなのを通りこして、はらが立って来た。
   家・入り口・峠・前・横を 危機・最悪の状態・段階・空腹を 驚きを~て
[とおりすぎる] 人ガ ものヲ 
 ・今、駅の前を通りすぎたから、あと10分ぐらいで着きますよ。
 ・毎日、私の家の前を通り過ぎる人の声が聞こえる。「きれいな花壇ねえ。」ちょっとうれしい。
   雨雲・雨・風・車・興奮が 家の前・駅・傍ら・体の中・のどを すばやく
[とおりぬける] 人ガ ものヲ 
 ・この森を通りぬけるのはかなり大変なんですよ。
 ・あの町を通りぬける道はこれ一本だけです。
 ・迷路(めいろ)のような市場(いちば)でまよってしまって、通りぬけるのに二時間もかかった。
      車・風が 商店街・体・後ろ・二人の間・レジを 一気に ゆっくりと
<複合動詞:-とおる>
[しみとおる] ものガ ものニ
 ・骨までしみ通るような冷たい風だ。
 ・心の底までしみとおるような、いい味の酒だ。
   香り・悲しみ・恐怖・声・言葉・寂しさ・寒さ・優しさが 体・心・傷に
[すきとおる] ものガ
 ・この海は水がきれいなので、底まで透き通って見える。
 ・透き通ったガラスを通して、朝の光が部屋いっぱいに満ちている。
   水・体・声・心が 透明に うっすらと ガラスのように ~ような肌・青さ
[つきとおる] ものガ 
 ・男がさしたナイフは相手の肝臓にまで突き通っていた。 
 ・板塀に打ったくぎが反対側まで突き通ってしまった。
   泣き声が 頭の中を 頭の芯に 鋭く
[まかりとおる] ものガ 
 ・こんな理不尽なことがまかり通っていいはずがない。
 ・今はウソと差別が堂々とまかり通る世の中になってしまっている。
      理不尽・定評・要領のいい人間・偽装ビジネス・過剰な警備が 世の中に 堂々と

<スル動詞>
[開通(かいつう)する]  ものガ
 ・新しい地下鉄の路線が開通(を)した。
 ・国道のトンネルが開通(を)して、山の向こうに楽に行けるようになった。
[通過(つうか)する]  ものガ 所・ものヲ
  ・2番線を電車が通過しますので、ご注意ください。
 ・法案が無事国会を通過した。 
 ・試作品が厳しい検査を通過した。


とおす(通す)五(とおさない・とおします・とおして・とおせば・とおそう) 
[1]〔人ガ 人・ものヲ〕
 △とおしたい  とおしかける  とおしてほしい  とおしてみる  とおしておく 
  とおしてもらう  とおしてはいけない  とおさなければならない  とおせない
  とおそうとする  とおさせる  とおられる  とおさせられる
 △[すこし/たくさん/多く/ときどき/いつも/かならず/たまに/しかたなく]~。
 △[子ども/客(きゃく)/訪問(ほうもん)客/参加者(さんかしゃ)/人々(ひとびと)]を~。
 ・守衛(しゅえい)が門を開けて観光(かんこう)客を通した。
 ・すみませんが、カギを開けて私たちを通してくれませんか。この入り口から入るように言われた
  ので。
 ・合い言葉(あいことば)を言うと、見張(みは)りが我々(われわれ)を通してくれた。
[2]〔人ガ 所・ものヲ〕
 △[門/入り口/正面玄関(しょうめんげんかん)/裏口(うらぐち)/検問所(けんもんじょ)]を~。
 ・係(かかり)の人に門を通してもらって、中庭(なかにわ)に入った。
  ・玄関は閉(し)まっていたが、管理人(かんりにん)さんが裏口を通してくれた。
 ・何とかこの検問所を通してもらわないと困るんだが、係官(かかりかん)にワイロを要求(ようき
  ゅう)されたらどうしよう。この国はワイロで有名だからなあ。えらい政治家(せいじか)の名前
  を使って、むりやり通させてしまうのも気分(きぶん)がよくないし。
 ・光(ひかり)は、レンズを通すと曲(ま)がります。私たちの判断力(はんだんりょく)も、偏見(へ
  んけん)を通すと曲がってしまうものです。
[3]〔人ガ 人ヲ 所ニ〕
  ・突然(とつぜん)訪問(ほうもん)したにもかかわらず、こころよく中に通してくれた。
 ・今日は集中(しゅうちゅう)して仕事をしたいので、だれも奥(おく)に通してはいけない。わかっ
  たね。通していいのは、出版社(しゅっぱんしゃ)の人だけだよ。
 ・お客さんを客間(きゃくま)にお通しして下さい。
 ・玄関(げんかん)で失礼しようと思ったが、お上がり下さいと言われ、ざしきに通された。
 ・通せと言われても、許可証(きょかしょう)がない人は通せません。
[4]〔人ガ 所・ものニ ものヲ〕
 △町に[鉄道(てつどう)/道路(どうろ)/新幹線(しんかんせん)]を~。
 ・この村(むら)に鉄道(てつどう)を通したい。
  ・ぜひ、この地方に新幹線を通してほしい。
 ・目がわるくなったので、針(はり)のあなに糸(いと)を通すのがむずかしくなった。
 ・この音をフィルターに通して、ノイズをとりのぞきます。
 ・この料理(りょうり)はおととい作った物だから、食べる前に火を通した方がいい。
 △[目/手]を~。
 ・この服(ふく)はまだ一度も手を通していないが、もうサイズが合わなくなってしまった。(=着
  ていない)
 ・この書類(しょるい)に目を通しておいてください。(=見ておいて)
[5]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[電気/光(ひかり)/水]を~。[要求(ようきゅう)/筋(すじ)/信念(しんねん)]を~。
 ・ガラスは電気を通さない。
 ・このコートは水を通さないぬので作ってあります。
 ・私は筋(すじ)を通さないと気がすまない。
 ・私は信念(しんねん)を通す人が好きだ。
 ・彼は、意地(いじ)を通して、二度と兄の家へ行かなかった。
 ・国会(こっかい)は法案(ほうあん)をぶじに通すことができた。
 ・入院患者に面会(めんかい)される方は受付(うけつけ)を通してください。
[6]〔人ガ ものデ〕
 ・うちへ帰ったあとは、ずっと和服(わふく)で通しています。
 ・体をきたえるために11月の間は半そでシャツで通した。
 ・姉は仕事がおもしろいと言って、今までずっと独身(どくしん)で通している。
 ・国には妻(つま)も子どももいるのだが、日本にいる間は独身で通している。
[7]〔~を通して〕
 ・この国のことは本を通して学んだだけで、まだ自分で行って見てきたことはない。
 ・社会の中での音楽のあり方ということを通して、現代の特徴(とくちょう)を考えてみましょう。
  ・これまでは部分的にやってきましたが、今日は全体を通して練習してみましょう。
 ・この村は、1年を通して美しい花が咲き続ける、ほんとうに極楽(ごくらく)のような村だ。

<複合動詞:-とおす>
  向こう側まで~する  刺し通す 突き通す
  最後まで~する   歩き通す 走り通す 言い通す だまり通す 聞き通す 読み通す
                      立ち通す 乗り通す やり通す がんばり通す  


へる(経る) 一(へない・へます・へて・へれば)
[1]〔人・ものガ 人・所・ものヲ〕
 △へておく  へてある  へなければならない  へるようにする
  ・列車(れっしゃ)は名古屋(なごや)を経て東京に着く。
 ・書類(しょるい)が課長(かちょう)を経て部長(ぶちょう)に渡った。
 ・法案(ほうあん)は委員会(いいんかい)の審議(しんぎ)を経ている。
 ・学生が最終試験(さいしゅうしけん)を経て卒業した。
 ・必要な手続(てつづ)きを経てからでないと、申し込みは受け付けられない。 
 ・十年の歳月(さいげつ)を経て二人は再会した。

<スル動詞>
[経由(けいゆ)する]  人・ものガ 所ヲ
 ・モスクワを経由して、ロンドンに着いた。 
 ・ネパールに行くには、バンコクを経由しなければならない。


つうじる(通じる)  一(つうじない・つうじます・つうじて・つうじれば)
[1]〔ものガ 所ニ〕
 △[道/道路(どうろ)/電気/電話/バス/鉄道(てつどう)]が~。
  △[山奥(やまおく)/海外/離島(りとう)/山頂(さんちょう)/村]に~。
  ・今ではどんな山奥にも電話が通じています。
 ・全国に通じる高速(こうそく)道路網(どうろもう)を作る計画(けいかく)だった。
 ・山頂に通じる道は二本あります。
 ・この電話は海外には通じません。別の電話を使ってください。
[2]〔ものガ 人ニ〕
 △[英語/日本語/言葉(ことば)/片言(かたこと)/冗談(じょうだん)/ユーモア]が~。
 ・日本語が通じるホテルがだんだん増えてきたのはいいけれど、ちょっとは英語を使ってみたい。
  ・日本人には英語が通じないと言われてきたが、都市(とし)では少し通じるようになってきた。
  ・きつい冗談は通じる相手に言わないと危険(きけん)だよ。あの人には通じそうもないね。
 ・本当にこちらの意志が相手に通じたのかどうか、よくわからなかった。
 ・うちのお父さんは頭が固くて、ぜんぜん話が通じないんだからいやになっちゃう。
[3]〔人ガ 人ニ/ト〕
  ・彼は敵(てき)と通じていたらしい。こちらの情報(じょうほう)を流していたようだ。
 ・本省(ほんしょう)の課長が隣国(りんごく)のスパイと通じていたというんだから驚きだね。
  ・ライバル会社に通じていた社員が見つかって、懲戒免職(ちょうかいめんしょく)となった。
[4]〔人ガ 人ト ものガ/ヲ〕
  ・彼とは何となく気持ちが通じる所がある。いちいち説明しなくてもわかるんだ。
 ・あの人とはものの考え方とか、何か通じるものがありますね。
 ・課長は部長と意を通じていて、部長の思い通りに動くから、そのつもりでいたほうがいい。
  ・大手企業(おおてきぎょう)の社長たちは、さまざまな機会(きかい)を通して気脈(きみゃく)を通
  じているらしい。
[5]〔人ガ ものニ〕
 △[事情(じじょう)/歴史(れきし)/法律(ほうりつ)/世情(せじょう)]に通じている
 ・社長は海外の事情に通じているから、現地(げんち)社員の使い方がうまい。
 ・誰か法律の細(こま)かい所に通じている人がいないと、問題になった時に困(こま)るぞ。
 ・私のように無学(むがく)なものは、いろんな学問に通じている人を見るとうらやましい。
[6]〔ものガ ものニ〕
  ・中世(ちゅうせい)の建築(けんちく)には、現代(げんだい)のアートに通じるものがある。
 ・家康(いえやす)の言ったことは現代にも通じる所がある。人の考え方は今と変わらないようだ。
[7]〔~を通じて〕
[~を使って]
 ・小さなミニコミ誌(し)を通じて、自分たちの運動を多くの人に呼びかけてきた。
 ・友人を通じてあるコンサートのチケットを手に入れることができた。
 ・メディアを通じて地域(ちいき)の文化が全国に広まるということが起こりつつある。
[~の間ずっと]
  ・一年を通じて温暖(おんだん)な気候(きこう)です。
 ・彼女の思想(しそう)は生涯(しょうがい)を通じて変わることはなかった。

 

[6]渡る・渡す
◇わたる
 「渡る」は、間にあるものを越えて向こう側にいくこと。特に、川や道を越えて向こうに行くこと。
ひゆ的に、人が世の中で(苦労して)生きていくことを表す。
   人・ものガ (所カラ) 所へ/ニ  わたる
    川・道の向こうに渡る  ここから渡るといい
   人・ものガ 所ヲ  わたる 
      文化が海を渡ってくる  世の中を渡っていく
 人から人にものが移ることを言う。 (→ 対人・ものの移動)
   ものガ 人ニ わたる
    資料が参加者に渡った  財産が人の手に渡る
・複合動詞
 「渡り歩く」は、仕事などを求め、あちこちを移ること。
   全国を渡り歩いた
  「-わたる」の形では、全部の人にものが届くという意味の「行き渡る」、「全体に及ぶ」という
意味を加える「明け渡る・澄み渡る・晴れ渡る・響き渡る」などがある。
・スル動詞「渡航する」は外国へ行くこと、「渡米する」はアメリカに行くこと。
◇わたす
  「渡す」は、ものの上を越えて、一方から他方へ何かが達するようにすること。特に川や道につい
て言う。
      人ガ 所ニ 人・ものヲ わたす
    人を向こう岸に渡す   川に橋を渡す      木から木にロープを渡す
 人の手にものを移すこと。
   人ガ 人ニ ものヲ わたす
    店員にお金を渡す   
・複合動詞:「-わたす」の形で、人にものを渡すことを表す。
 「明け渡す・売り渡す・投げ渡す・引き渡す・譲り渡す」など。
 「見渡す」は、あたり全部を見ること。
 「言い渡す・申し渡す」は、上位の立場のものが、命令などを下の者に告げること。
       部屋を明け渡す  犯人を引き渡す  場内を見渡す  判決を言い渡す
◇よこぎる
 「横切る」は、長いものを切るように渡ること、目の前を(視線を切るように)通ること。
    人・ものガ 所ヲ よこぎる
    動物が道路を横切る
・複合動詞「横断する」は、道などの細長いものを渡ること。地図上で海などを東西に渡ること。
◇くぐる
 「くぐる」は、何かの下を通り抜けること。ひゆ的に、難しい所、危険な所を通ることを表す。
      人・ものガ ものヲ くぐる
       門・のれんを くぐる   法の網をくぐる
・複合動詞「くぐり抜ける」は、何かの下を通って向こう側にいくこと。ひゆ的に、難しい状況を切
り抜けることを表す。

わたる(渡る)五(わたらない・わたります・わたって・わたれば・わたろう)
[1]〔人・ものガ (所カラ) 所ヘ/ニ〕
 △わたりはじめる  わたりかける  わたってみよう  わたってほしい
  わたろうとした時  わたらなかったら  わたらせられた 
 △[いそいで/ゆっくり/歩いて/ふねで]~。
 △[川のむこう/こちら/反対側(はんたいがわ)/島(しま)]に~。
 ・信号(しんごう)があったので、道のむこう側に渡りました。
 ・川のあさい所を歩いてむこう岸(ぎし)に渡った。
 ・川中さんはわかい時にヨーロッパに渡って、そこで商売(しょうばい)をはじめたそうだ。
 ・今年(ことし)も秋になって、北の国からツバメが渡って来た。
 ・当時(とうじ)、多くの移民(いみん)がハワイやブラジルに渡っていった。
 ・仏教(ぶっきょう)は6世紀(せいき)に朝鮮(ちょうせん)から日本に渡ってきた。
 ・浮世絵(うきよえ)がヨーロッパに渡って、大きな影響(えいきょう)をあたえた。
[2]〔人・ものガ 所ヲ〕
 △わたりかける  わたりにくいはし  わたってみる  はしをわたったほうが早い
 △[ゆっくり/急いで/歩いて/船で]川を~。細い橋(はし)を[こわごわ/おそるおそる]~。
 △[海/川/道]を~。[橋/横断歩道(おうだんほどう)/踏切(ふみきり)]を~。
 ・川の水をながめながら、橋をゆっくり渡りました。
 ・海を渡って中国へ行った。
 ・この川を渡れば、そこがわたしの生まれたむらです。
 ・この橋は危険(きけん)ですから、よるは渡らないこと。(この橋を)
 ・つり橋(ばし)を渡らないと向こう岸には渡れません。
 ・赤信号(あかしんごう)なのに、むりに道を渡ろうとして、オートバイにひかれてしまった。
 ・「赤信号みんなで渡ればこわくない」ということばがはやったことがある。
 ・川の上を渡ってくるかぜが気持ちいい。
 ・「石橋(いしばし)をたたいて渡る」(=しんちょうなようす)
 ・あぶない橋を渡らないほうがいい。(=あぶないことをしないほうがいい)
 ・世の中をうまく渡っていくには、人との関係(かんけい)を大切にすることだ。
 ・あの人は官僚(かんりょう)を辞(や)めた後、関係団体(だんたい)を次から次へと渡って歩いて、
  ずいぶん退職金(たいしょくきん)をかせいだそうだ。いわゆる「天下(あまくだ)り」だ。
[3]〔ものガ 人ニ〕   
 △[食べ物が人々(ひとびと)に/資料(しりょう)が全部(ぜんぶ)の委員(いいん)に]~。
 ・企業秘密(きぎょうひみつ)がライバル会社の社員の手に渡ってしまった。
 ・みんなで食べようと桃(もも)を買って来たが、かずが少ないので、みんなには渡らなかった。

<複合動詞:わたり->
[わたりあるく] 人ガ 所カラ 所ニ
 ・そのころの私は、国から国へ、町から町へと渡り歩いていた。
 ・政治家として重要なポストを渡り歩き、大臣にまでなった男が汚職で刑務所行きだ。
      世界・地方・津々浦々・重要なポスト・寺・枝・川・宿屋を 転々と
<スル動詞>
[渡航(とこう)する]  人ガ 所へ/ニ
 ・船でヨーロッパに渡航した時代を知っている人はもう少なくなった。
  ・日本を出たことがないので、渡航するための手続きを誰かに教えてもらわないといけない。
[渡米(とべい)する]  人ガ 
  ・彼女は、若いころ渡米して黒人問題を研究したことがある。
 ・昔は、留学のために渡米するなど、特別な人のすることだと思っていた。


わたす(渡す)五(わたさない・わたします・わたして・わたせば・わたそう)
[1]〔人ガ もの・人ヲ 所ニ/へ〕
 △わたしたい  わたしかける  わたしてあげる  わたそうとする  わたしてくれ
 △[ゆっくり/急いで/慎重(しんちょう)に/きをつけて/しかたなく]~。
 △[向(む)こう/向こう岸(ぎし)/あちら側(がわ)/反対側(はんたいがわ)]へ/に~。
 ・漁師(りょうし)にたのんで、小舟(こぶね)で川の向こう岸に渡してもらった。
 ・その子は、手をとって目の不自由(ふじゆう)な人を道の反対側へ渡してあげた。
 ・こんなにたくさんの荷物(にもつ)を、どうやって川の向こうに渡せばいいのか。
[2]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
 △[川に橋(はし)を/水たまりに板(いた)を]~。
 ・本州(ほんしゅう)と四国(しこく)の間に橋を渡せば、とてもべんりになるとみなが考えた。
 ・この川の上につり橋(ばし)を渡して観光客(かんこうきゃく)を呼ぼうと思うんです。ちょっと揺
  (ゆ)れて怖(こわ)いぐらいのほうが、喜(よろこ)んで渡ろうとするんじゃないでしょうか。
 ・はこを二つおいて、その間に板を渡した。それが、そのころの私の「つくえ」だった。
 ・パーティーのために、柱(はしら)と柱の間にひもを渡して、いろいろ飾(かざ)りを下げた。
 ・木の枝(えだ)から枝にロープを渡して、それにぶら下がって子どもが遊べるようにした。
[3]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △わたしたい  わたしわすれる  わたしてもらう  わたしてはいけない
  わたさなければならない  わたしたはずがない  わたそうとした  わたされる  
  わたそうと思ったがわたせなかった
 △[さっと/ポイと/ていねいに/ゆっくり/落とさないように/気をつけて]~。
  [ひそかに/堂々(どうどう)と/人の目を盗(ぬす)んで]~。
 △[子どもにお金を/車掌(しゃしょう)にきっぷを/学生にプリントを/恋人(こいびと)にプレ
   ゼントを/ともだちにチョコレートを/家の人にこづつみを]~。
 ・A:山中さんにあの本を渡してくださいましたか。
  B:あした渡そうと思っているんですけれど、あしたではおそいですか。
 ・あした、会社で田中さんに会ったら、このしょるいを渡してください。
 ・この封筒(ふうとう)には手紙(てがみ)といっしょにお金が入っていますから、かならず本人(ほ
  んにん)に渡すようにしてください。
 ・優勝(ゆうしょう)カップが市長(しちょう)から優勝者の手に渡された。
 ・道を歩いていたらへんなチラシを渡された。


よこぎる(横切る)  五(よこぎらない・よこぎります・よこぎって・よこぎれば・よこぎろう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △よこぎっていく  よこぎってはいけない  よこぎろうとする   よこぎるな!
  △[ゆっくり/あわてて/急いで/急(きゅう)に/突然(とつぜん)/ふいに]~。
 △[道/大通(おおどお)り/道路/川/線路(せんろ)/海峡(かいきょう)/グラウンド]を~。
  ・馬の群(む)れが草原(そうげん)を横切って行った。
 ・細長い池を横切って橋(はし)がかかっている。
 ・目の前をトンボが横切っていった。トンボを見るのは久しぶりだ。
  ・人が絵を見ている前を横切ってはいけない。後ろを通りなさい。(展覧会で)
    道を横切る   道路・大通り・川・グラウンド・公園を 
  
<スル動詞>
[横断(おうだん)する]  人ガ 所ヲ
  ・道を横断するときは、必ず横断歩道を渡って下さい。
  ・彼は小さなヨットで太平洋を横断した。
  ・初めて大西洋を横断したヨーロッパ人はコロンブスたちだということになっている。


くぐる(潜る)  五(くぐらない・くぐります・くぐって・くぐれば・くぐろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △くぐってしまう  くぐってはいけない  くぐらなければならない  くぐらせる
  くぐられる  くぐれる  くぐろうとする  くぐれ!  くぐるな!
 △[ゆっくり/急いで/あわてて/さっと/素早(すばや)く/わからないように]~。
  △[門/戸(と)/のれん/フェンス/垣根(かきね)/トンネル/地下の穴/水」を~。
  [難関(なんかん)/鉄条網(てつじょうもう)/警戒(けいかい)網/警察(けいさつ)の目]を~。
 ・大きな門をくぐって中に入った。
 ・地下のトンネルとくぐっていくと、塀(へい)の外側に出た。
 ・相手のガードをくぐって懐(ふところ)に入ることに成功(せいこう)した。
  ・監視(かんし)の目をくぐってなんとか目的地に達した。
 ・法の網(あみ)をくぐって悪事(あくじ)を働く連中(れんちゅう)を捕(つか)まえたい。

<複合動詞:くぐり->
[くぐりぬける] 人・ものガ ものヲ
  ・門を潜り抜けて中庭に入ると、小さな噴水があった。
  ・子供たちは、大人たちの足元を潜り抜けて、いちばん前まで行って見物していた。
  ・どうしてこの不良品が厳しい検査を潜り抜けて出荷されてしまったのかわからない。
     アーケード・足元・生け垣・ガードの下・垣根・苦しみ・検査・小径・捜査網・門を
  


[7] 越える・越す 過ぎる
 
◇こえる
 「越える」は、ものの上を通って、向こうに行くこと。
   人・ものガ ものヲ こえる
    とうげを越える  国境を越える
 ひゆ的に、ある範囲・制限から出てしまうことを言う。
   人・ものガ ものヲ こえる 
    想像・常識・限界を超える
 数量がある値より大きくなること。
    千人を超える                 
 慣用表現で「~をこえて」の形で「それにこだわらず」というような意味に使われる。
    立場を越えて協力し合う
・複合動詞:「-こえる」の形で、やり方を示す「乗り越える・飛び越える・踏み越える」がある。
 「乗り越える」は、具体的な障害物のほか、抽象的なものもヲ格にとる。
   人・ものガ ものヲ のりこえる
    フェンスを乗り越える   困難を乗り越える
◇こす
 「越す」は、ものの上を通って、向こうに行くこと。
   人・ものガ ものヲ こす
    山を越す   峠を越す
 ひゆ的に、重大な時を過ぎることを言う。
    国会審議は山を越した   病気は峠を越した
 住まいを移すことを言う。話しことばでは「引っ越す」がよく使われる。
    郊外に越す/引っ越す
 時間を過ごすことを言う。
    冬・年を 越す  
  数量がある値より大きくなること。
    30度を超す暑さ    
◇ひっこす
 「引っ越す」は、人がある所から別の所へ住む場所を変えること
   人ガ 所カラ 所へ/ニ ひっこす
     東京から横浜へ引っ越した  
◇すぎる
 「過ぎる」は、ある地点を通ってさらに行くこと。
   人・ものガ 所ヲ すぎる
        行列が駅前を過ぎる
 物事の程度がある水準以上に行ってしまうこと。
   ものガ すぎる
        いたずら(の度)が過ぎる  冗談が過ぎる
 複合動詞「過ぎゆく」は、人やものが過ぎていくこと。名詞修飾の形で多く使われる。
                                            時間に関する用法は→「自然」


こえる(越える・超える)一(こえない・こえます・こえて・こえれば・こえよう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △こえそうだ  こえかけている  こえてしまう  こえてほしい  こえてみる 
  こえていく  こえてはいけない  こえないようにする  こえようとする 
  こえさせる  こえられる  こえるな! 
 △[少し/わずかに/大きく/はるかに/さっと/すばやく/かるく/みがるに]~。
 △ボールが[フェンス/さく/金網(かなあみ)]を~。
  [山/峠(とうげ)/川/海/砂漠(さばく)/国境(こっきょう)]を~。
  [制限(せいげん)/限界(げんかい)/常識(じょうしき)/想像(そうぞう)]を~。
 ・ボールが学校のへいを越えて外へとび出した。
 ・ハードルを越えるときに足をひっかけてころんでしまった。
 ・ジェット機(き)が音速(おんそく)のかべを越えて飛んだのは60年ぐらい前のことだ。
 ・交通事故(こうつうじこ)の数が今年の十月までで、去年一年間のぜんぶの数を超えてしまった。
 ・部屋の温度が30度を超えると、冷房(れいぼう)が入るようになっています。
 ・部屋の温度(おんど)が22度を超えないようにストーブを調節(ちょうせつ)してください。
 ・雪がふっているから、タイヤチェーンをつけていてもあの山を越えるのはむりだよ。
 ・飛行機(ひこうき)は日本海を越えて、中国の空に入った。
 ・火事(かじ)の被害(ひがい)は十億円(じゅうおくえん)を越えた。
 ・子どもの病気はやっと峠(とうげ)を越えて、よくなって来ました。
 ・あの男の態度(たいど)の悪さは、わたしの我慢(がまん)の限界(げんかい)を越えている。
 ・田中さんとは、立場(たちば)を越えて理解(りかい)し合って来た。
 ・わたしたちの間には立場を越えた友情(ゆうじょう)がある。
 ・国境を越えた愛の行く先を描(えが)いた映画です。

<複合動詞:-こえる>
[とびこえる] 人ガ ものヲ 
 ・その選手は軽がると2mの高さのバーを飛び越えた。
 ・水たまりを飛び越えようとして、水たまりの中に落ちた。
      石垣・囲い・花壇・流れ・頭上・ガードレール・塀・時間・時代・制約を
[のりこえる] 人ガ ものヲ 
 ・ネコがへいを乗り越えてうちの庭に入ってきた。
 ・いろいろ困難があるでしょうが、それを乗り越えてすばらしい研究を続けてください。
 ・私は、もう弟子の田中くんに乗り越えられてしまった。
      荒波・暗礁・岩・垣根・柵・障壁・鉄条網・塀・門を 過去・過酷な現実・悲しみ・危機・
   危険・苦しみ・限界・困難・死・失敗・自分自身・障害・試練・制約・伝統・難関・難局・
   誘惑・猛反対を  あさり 軽々と ひょいと 悠々と
[ふみこえる] 人ガ ものヲ 
 ・足が白線を踏み越えてしまっていたので、ファウルとなった。 
 ・ベーさんは、さまざまな困難を踏みこえて勉強をつづけた。
 ・くるしみもかなしみも踏みこえて、きょうまで生きてきました。
      垣根・ドア・材木・人・限界・一線を 

こす(越す・超す)五(こさない・こします・こして・こせば・こそう)
[1]〔人ガ 所カラ 所ヘ〕
 △こしたい  こすつもりだ  こそうと思う  こさなければならない  こしてくる
 △[いそいで/いつか/そのうちに/急に/とつぜん]~。
 △[アパート/便利なところ/会社のそば/どこか遠く/都会(とかい)]へ~。
 ・つぎの日よう日に父の家から大学の近くのアパートへ越します。
 ・来月あなたの近くへ越しますから、そのうち、あそびに来てください。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 △[年/冬]を~。[山/とうげ]を~。[平均(へいきん)/限度(げんど)]を~。
 ・ことしはふるさとで年を越そうと思っています。
 ・この虫(むし)は土の中で冬を越します。
 ・この仕事をやってしまわなくては、年が越せません。(年を越す)
 ・外は35度を越すあつさですから、1時間もいられません。
 ・どの車も100キロを超すスピードで走ってゆく。ああ、こわい。
 ・練習(れんしゅう)は大切だが、度を超すとよくない。1日に5時間以内にしなさい。
    

すぎる(過ぎる)一(すぎない・すぎます・すぎて・すぎれば) 
[1]〔ものガ 所・ものヲ〕
  △すぎそうになる  すぎてしまう  すぎてはいけない  すぎないようにする
 △[ゆっくり/急いで/ずっと/気づかずに/うっかり/ぼんやりして]~。
 △[橋(はし)/交差点(こうさてん)/信号(しんごう)/中間(ちゅうかん)/半分]を~。
  [二十歳(はたち)/還暦(かんれき)/80歳/花の盛(さか)り]を~。
 ・国境(くにざかい)の長いトンネルを過ぎると、そこは雪国だった。
 ・大阪を過ぎたから神戸(こうべ)はもうすぐだ。
 ・降りるべき駅に気がつかないで、もう過ぎてしまったらしい。
 ・A:いま私たちは、どのへんを走っていますか。
  B:さっき地図(ちず)のこの地点を過ぎましたから、今はこのへんでしょう。
 ・時計の針は、とうに約束(やくそく)の3時を過ぎた。でも、あの人は来ない。
 ・A:あの人、いくつぐらいでしょうねえ。
  B:さあ、40を少し過ぎたぐらいじゃないですか。
 △[いたずら/度(ど)/冗談(じょうだん)/悪ふざけ]が~。
 ・それはちょっと冗談が過ぎるんじゃないかな。(=悪い冗談だ)
  ・子どものいたずらも度が過ぎたら、きびしく注意しておかないといけない。

<複合動詞:すぎ->
[すぎゆく] 人・ものガ 所ヲ
 ・喫茶店の窓から、道を過ぎゆく人々をぼんやり眺めていた。
 


[8] 進む・進める

◇すすむ
 「進む」は、前のほうに(目的を持って)動いていくこと。
   人・ものガ 所へ/ニ すすむ
    前へ三歩進む     船は西に向かって進んだ    川に沿って進んでいる
 次の段階に移ることも言う。「-ている」の形は結果の状態を表す。
    大学・決勝戦・中級に 進んでいる
 抽象的なものがガ格に来る場合、「すべきことが済んでいく」「よりよいほうへ変わっていく」な
どの意味になる。名詞修飾の場合「-だ」の形で結果の状態を表す。
   ものガ すすむ
    仕事・計画が進む   技術が進んだ国   世の中・社会が進む
 可能形は「進める」となり、対応する他動詞「進める」と同じ形になるので注意が必要。
・複合動詞
 「進み出る」は、進んで前に出ること。「突き進む」は、(抵抗を押しのけて)勢いよく進むこと。
 「掘り進む」は、土や砂を掘って進んでいくこと。
 「踏み出す」は、片足を前に出して進もうとすること。ひゆ的に、新しい仕事や活動を始めること。
   へやの中央に進み出る    ゴールへ突き進む  地下を掘り進む     第一歩を踏み出す
・スル動詞
 「進」を要素としたスル動詞が多くある。
 「行進する」は、多くの人が列を作って進むこと。「前進する」は、前に進むこと。また、物事が
  よい方へ進むこと。「直進する」は、まっすぐに進むこと。
   軍隊が行進する  攻撃の選手が前進する  交渉が前進する  交差点を直進する 
 「進学する」は、上級の学校に進むこと。
 「進行する」は、目的地に向かって進むこと。物事が順調に進むこと。他動詞の用法もある。
   議事が/を 進行する
 「進出する」は、新しい分野・地域や、次の段階に進むこと。
   日本企業がアジアに進出する    チームが決勝に進出する
 「進展する」は、物事が時間の経過と共に(新しい局面に)進むこと。
 「進歩する」は、物事がよい方向へ進むこと。「発達する」は、物事がよりよく、大きくなること。
  体や自然現象にも言う。
 「発展する」は、物事がよりよく、勢いが広がっていくこと。
   開発・捜査が進展する    技術・医療が進歩する  科学・交通機関が 発達する
   筋肉・低気圧が 発達する  産業・文化・都市が 発展する    
 「難航する」は、航海が難しいこと。ひゆ的に、物事がうまく進まないこと。
 「徐行する」は、車などが(事故を避けるため)ゆっくり進むこと。
      運営・捜査が難航する  四つ角で徐行する
◇すすめる
 「進める」は、ものを進むようにすること。「進む」の使役形「進ませる」も使われる。
   人ガ ものヲ (所へ/ニ) すすめる
    船を南へ進める  部隊を敵陣に進める  子供を大学に進める/進ませる
 抽象的な対象の場合、よりよい段階、次の段階に進むことを表す。
    計画・交渉・調査を進める  考察・考えを進める  
・複合動詞「推し進める」は、物事を積極的に進めること。「書き進める」は、どんどん書くこと。
    経済政策・商談を 推し進める      原稿を書き進める
・スル動詞「推進する」は、前に推し進めること。物事を強く進めること。「促進する」は、物事が
速く進むようにすること。
        改革・合理化を 推進する   活動・販売を 促進する
◇はかどる
 「はかどる」は、物事が順調に、速く進むこと。
   ものガ はかどる
    仕事・作業が はかどる


すすむ(進む)五(すすまない・すすみます・すすんで・すすめば・すすもう) 
[1]〔人・ものガ 所ニ/ヘ〕
 △すすみたい  すすみそうだ  すすみやすい  すすんでいく  すすんではいけない
  すすまなければならない  すすもうとおもう  すすませる  すすませられる  すすめる
 △[少しずつ/だんだん/どんどん/ずんずん/すいすい/ぐんぐん/ぐいっと/さっと]~。
  [かなり/そうとう/すばやく/さっさと/さっそうと/すごく/おそろしく]~。
 △[前/南(みなみ)/上のほう/大学/決勝戦(けっしょうせん)/上級(じょうきゅう)]に~。
 ・探検隊(たんけんたい)は危険(きけん)をおそれずに(前へ)進んで行った。
 ・デモ隊が力強(ちからづよ)く進んで行く。
 ・渋滞(じゅうたい)していた車の列(れつ)がいくらか進んだようだ。
 ・きょうで初級(しょきゅう)コースがおわるので、来週から中級コースへ進みます。
 ・君は試験で不合格(ふごうかく)だったから、残念だが上級へは進めないよ。
 ・A:あなたはどんな道に進もうと考えていますか。
  B:コンピュータ関係(のしごと)に進みたいと思っています。
 ・大学院まで進もうと思ったのだが、奨学金(しょうがくきん)がもらえず、あきらめてしまった。
 ・わが校のチームは決勝(けっしょう)まで進んだが、決勝戦(けっしょうせん)で、まけてしまった。
 ・敵(てき)がこの川まで進んで来たら、攻撃(こうげき)をはじめよう。
 ・天気さえよければ、もう少し先まで進めたのだが、、、。(天気が悪くて進めなかった)
[2]〔ものガ〕
 △[勉強/仕事/工事/計画(けいかく)/交渉(こうしょう)/商談(しょうだん)]が~。
  [捜査(そうさ)/調査(ちょうさ)/準備(じゅんび)/系列化(けいれつか)]が~。
  進んだ[文明(ぶんめい)/学問(がくもん)/技術(ぎじゅつ)/世の中/考え方]
 ・お金が少ないので、研究(けんきゅう)がなかなか進まない。
 ・つまらない事をながながとしゃべる人がいて、会議(かいぎ)がぜんぜん先に進まない。
 ・A:この時計はずいぶん進んでいますね。
   B:ええ、前はおくれていたんですが、わたしがなおしたら、こうなってしまって...
 ・ただねているだけでは、病気が進んでしまうよ。お医者さんに見てもらいなさい。
 ・兄は知らないらしいが、兄といとこのゆみ子さんを結婚(けっこん)させる話が親たちの間で進ん
  でいる。
 ・この国の進んだ技術をよく学(まな)んで、国へ帰って役立てたい。
 ・学校を休んでいる間に授業はもう15課まで進んでいた。
 ・おばさんが縁談(えんだん)を持ってきたがどうも気が進まない。(=その気にならない。けっこ
  んしたくない。)
 ・母は熱があるため、食(しょく)が進まないそうだ。(=すこししか食べられない)
 ・書きたい事はあるのだが、どうも筆(ふで)が進まない。(=書けない)

<複合動詞:すすみ->
[すすみでる]  人ガ
 ・「私にやらせてください」と一人の隊員が前に進み出た。
 ・名前を呼ばれた二人は部屋の真ん中にしずしずと進み出て、優雅な舞いを舞い始めた。
   前・中央・真ん中・御前・新しい生活に 勇敢に しずしずと 一歩 恭しく
<複合動詞:-すすむ>
[つきすすむ] 人・ものガ (ものヲ)
 ・この戦車は、障害物をものともせず、まっすぐに突き進むことができます。
 ・人に何と言われようと、かまわず、自分の道を突き進む。
   ゴール・死へ 戦争に 尾根・目標・破滅に向かって 船が波間を 脇目もふらず
[ほりすすむ] 人ガ ものヲ 
 ・両側から海底を掘り進み、ついに海底トンネルが完成した。
 ・洞窟をさらに3メートルほど掘り進むと、人の作ったドアのような物があらわれた。
      モグラが 地下・トンネル・洞穴を 地底へ ぐんぐん
<複合動詞:その他>
[ふみだす] 人ガ ものヲ
 ・この時、人類は宇宙時代へ第一歩を踏み出した。
 ・私も、ことし社会人としての第一歩を踏み出しました。よろしくお願いいたします。
    足・片足・ステップ・第一歩・第二の人生・坂道・運命を おもむろに

<スル動詞>
[行進(こうしん)する]  人・ものガ 所ヲ
 ・国会前をデモ隊がプラカードを掲げて行進(を)する。 
 ・目の前を我が国の代表チームが行進(を)していく。
[進学(しんがく)する]  人ガ 所ニ
  ・この時計は高校に進学(を)する時にもらったものです。
 ・大学院に進学(を)しようかどうか迷っています。
[進行(しんこう)する]  ものガ
 ・会議は順調に進行していた。
 ・病気が進行するのを薬で何とかおさえていた。
   異変・円安・会話・株安・議事・グローバル化・計画・ゲーム・
   結婚話・工事・高齢化・再軍備・撮影・病気・病状・変化・変革が
[進出(しんしゅつ)する]  ものガ 所ニ 
  ・日本の企業は海外に進出している。
  ・駅前に有名なスーパーが進出してきた。
 ・今年はチームの調子が良く、準決勝まで進出した。
   工場・デパートが  地方・外国・中央・都心に 本格的に 
[進展(しんてん)する]  ものガ ものニ/へ
 ・誰も気がつかないうちに、事態は意外な方向へ進展していた。
 ・軍縮交渉はなかなか進展しなかった。
 ・当事者どうしの話は、好ましい形に進展しているようだった。
   運動・開発・会話・関係・技術・交渉・事件・事・捜査・二人の仲が
[進歩(しんぽ)する]  人・ものガ 
  ・この百年で技術はずいぶん進歩したが、社会は進歩したと言えるだろうか。
 ・医療が進歩したおかげで、以前は治らなかった病気が治せるようになった。
   科学・学問・性能が 格段に 飛躍的に 順調に 急速に 加速度的に 
[推進(すいしん)する]  人ガ ものヲ
 ・この運動を強力に推進していくために、皆さんの協力をお願いしたい。
 ・地方分権をもっと推進して行かなくてはならない。
   改革・革命・活動・企て・計画・合理化・事業・政策・発展・分権・発展を
[前進(ぜんしん)する]  人・ものガ 
 ・フォワードが力強く前進し、パスをつないだ。   
 ・どんなことがあろうとも、我が国の近代化を前進させなければならない。
   議論・事態・改革・福祉が 一直線に 慎重に そろそろと 一気に 
[難航(なんこう)する]  ものガ
 ・両者の意見の相違は大きく、調整は難航(を)することが予想される。
 ・目撃者もなく、証拠物件の乏しい事件で、捜査は難航(を)した。
[徐行(じょこう)する]  ものガ
 ・曲がり角では徐行(を)すること。
 ・事故の原因は、徐行(を)しなければいけないところで徐行しなかったことだ。
[発達(はったつ)する]  人・ものガ
  ・科学が発達(を)し、人類は大きな力を得た。
 ・交通網が発達したおかげで、生活がずいぶん便利になった。
 ・適当な運動を続けると、筋肉が発達(を)する。
   知能・感覚・能力が 産業・情報網・制度・工業・鉄道・文明・技術が 高度に 著しく
[発展(はってん)する]  人・ものガ (ものニ)
  ・独立以来、わが国は文化・産業が発展(を)しつづけている。
 ・話が意外な方向へ発展(を)してきた。
 ・意見の小さな食い違いが大きな論争に発展(を)した。
 ・工業技術の発達が資本主義を大きく発展させた。
 ・小さな事件が警察の対応のまずさにより、大きな暴動に発展してしまった。
 ・話が思いがけない方向に発展していき、司会者はまとめるのに苦労した。
      学問・経済・工業・産業・ジャーナリズム・生産力・地域・話が 


すすめる(進める)一(すすめない・すすめます・すすめて・すすめれば・すすめよう)
[1]〔人ガ ものヲ 所ニ〕
 △すすめたい  すすめていく  すすめてある  すすめてみる  すすめてはいけない
  すすめなければならない  すすめようとする  すすめさせる  すすめられる
 △[少し/大きく/かなり/どんどん/ぐいぐい/すばやく/おおはばに/むりに]~。
 △[船/車/行列(ぎょうれつ)/足]を~。
 ・マゼランは自分を信じて船を南へ進めていった。
 ・ナポレオンはフランス軍をロシアに進めた。
 ・敵陣(てきじん)に駒(こま)を進めた。
 ・車を建物のすぐ近くまで進めようとしたが、警備員(けいびいん)にとめられた。

[2]〔人ガ ものヲ〕
 △[勉強/仕事/工事/計画/交渉(こうしょう)/捜査(そうさ)/調査(ちょうさ)]を~。
  [準備(じゅんび)/研究(けんきゅう)/検討(けんとう)/データの入力(にゅうりょく)]を~。
 ・契約(けいやく)の条件(じょうけん)がきびしいので、商談(しょうだん)を進めることができない。
 ・叔母(おば)が姉の縁談(えんだん)を進めてくれている。うるさい姉がやっと家から出ていく。
 ・このところ研究が進まなかったのだが、夏休みに現地(げんち)調査をすることができ、いくらか
  研究を進めることができた。
 ・忙しくて引っ越しの準備が進められない。もうあさってだというのに。
 ・私の時計はいつも5分ぐらい進めてあります。「あっ!」と思ってから、2~3分の余裕(よゆ
  う)があるというわけです。   

<複合動詞:-すすめる>
[かきすすめる] 人ガ ものヲ
  ・どんどん原稿を書き進めないと終わらない。
 ・毎日ノルマを決めて書き進めているのだが、かなり疲れる。
[おしすすめる] 人ガ ものヲ
 ・この計画は子どもたちが中心になって推しすすめて来たものです。
 ・あなたは新しい市長になったのですから、あなたが良いと思う方針、新しい政策をどんどん推し
  すすめてください。
     生き方・意見・動き・改革・考え・事業・支配・想像・追求・問題を
<スル動詞>
[促進(そくしん)する]  人ガ ものヲ
 ・店長は、大型テレビの販売を一層促進するために、ベテランの店員を売場に配置した。
 ・市役所も地域の人々の地道な活動を促進しようと考えているようだ。


はかどる(捗る)  五(はかどらない・はかどります・はかどって・はかどれば)
[1]〔ものガ (ものデ)〕
 △はかどりそうだ  はかどってほしい  はかどらなければこまる  
 △[かなり/ずいぶん/すらすら/どんどん/快調(かいちょう)に/着々(ちゃくちゃく)と]~。
  △[仕事/作業(さぎょう)/工事/交渉(こうしょう)/宿題(しゅくだい)]が~。
  ・今日は涼(すず)しいので勉強がはかどります。
 ・OAの導入(どうにゅう)で仕事がはかどるなどと言われたが、単にもっと忙しくなっただけだ。
 ・この作業はなかなか思うようにはかどらない。
 ・いろいろとじゃまが入って、筆(ふで)がはかどらず、締め切りに間に合いそうもない。

[9] 歩く・走る・泳ぐ
                                             
◇あるく
  「歩く」は、足を交互に前に出し、地面を踏んで進むこと。通過する場所のヲ格をとる。範囲を表
す「所カラ 所マデ」をとりうるが、到達点のニ格はとらない(×学校に歩く)が、方向のニ/へ格は
とりうる。「歩いて(行く・来る・帰る)」という形が副詞的に使われる。「-ていく・てくる」の形
とよく使われる。
   人・ものガ 所ヲ (所カラ 所マデ) あるく
    道を歩く  うちから駅まで歩く  川のほうに/へ 歩く  学校に歩いて通う
 何かをするために、あちこちを回ることを言う。実際には乗り物に乗っても「-歩く」と言う。
    昔の友人を訪ねて歩く 
・複合動詞
 「あるき-」の形は少ない。「歩き出す」は歩き始めること。「歩き回る」はあちこち歩くこと。
  「-あるく」の形のものは多い。「~して歩く」または「歩いて~する」の意味のものが多い。こ
の場合の「歩く」は、あちこちを回ること。
      あさり歩く 売り歩く 聞き歩く 配り歩く 探し歩く 尋ね歩く 連れ歩く 飲み歩く
    拾い歩く 触れ歩く 持ち歩く
 「触れ(て)歩く」の「触れる」は、広く人々に知らせること。
  「~ように歩く」の意味のもの。「浮かれ歩く」は、心が浮かれた状態で歩くこと。「飛び歩く」

  は、忙しくあちこちに行くこと。「練り歩く」は、行列を作ってゆっくり歩くこと。
    うわさを触れ歩く  歓楽街を浮かれ歩く  支店を飛び歩く  祭りの行列が練り歩く
 「出歩く」は、あちこちに出かけること。「流れ歩く」は、いろいろな地方を移りながら生きてい
  くこと。「渡り歩く」は、仕事などを求めていろいろな所へ移っていくこと。
    妻は毎日あれこれと出歩いている  諸国を流れ歩く/渡り歩く
・スル動詞「散歩する」は、気晴らしや健康のために、特に目的地を決めずに歩くこと。
◇はしる
 「走る」は、足で地面を後ろに蹴るようにして速く進むこと。人・動物の他、車・電車・自転車・
船についても言う。場所のヲ格をとる。「-ている」の形は、具体的な移動では動作中を表すが、ひ
ゆ的な用法では状態を表すこともある。
   人・ものガ 所ヲ (所カラ 所マデ) はしる
       グラウンドを走る  車が高速道路を走る  ここからあそこまで走ろう
  「急いで行く」という意味で、ニ/へ格をとることがある。
    観客が非常口へ走る  記者が事故現場へ走る 
 また、今の人間関係を離れて、他へ行くという意味で使われる場合もニ/へ格をとる。
    敵方へ走る  恋人のもとに走る
 感覚的・抽象的なものの速い動きを表す。
    背中に痛みが走った   ニュースが世界を走る  驚き・不安が 走る 
 交通機関が通じていること。細い物が続いている状態を表す。
    岬の先端までバスが走っている      山脈・ひび割れが走っている
 ひゆ的に、人が好ましくない方向へ精神・生活態度・行動などが向かってしまうことを意味する。
   人ガ ものニ はしる
       感情・空想に 走る    非行・悪の道に 走る  ドル買い・投機に 走る
・複合動詞:「はしり-」の形のものが多くあり、「走って~する」の意味を表す。
 「走り込む」は、走って何かの中にはいること。十分走って足を鍛えること。
 「走り去る」は、走ってその場を去ること。「走りすぎる」は、走ってある場所を通り過ぎること。
 「走り出す」は、走り始めること。「走り出る」は、走って何かから出ること。
    毎日走り込んである  タクシーが走り去る  店の前を走りすぎる  部屋から走り出る
 「走り抜く」は、終わりまで走ること。「走り抜ける」は、走ってある場所を抜けること。
 「走り回る」は、あちこち走ること。ひゆ的に、何かの目的であちこち忙しく行くこと。
 「走り寄る」は、走って何かの近くによること。
       42キロを走り抜く  ゲートを走り抜ける  金策に走り回る  けが人に走り寄る
・スル動詞
 「運行する」は、決まった所を定期的に巡ることで、天体や交通機関に言う。「走行する」は、車
などが走ること。
◇かける
 「駆ける」は、「走る」と同じ動作を表すが、人と動物のみに言う。話しことば。「-ていく・て
くる」の形で使われることが多い。
   人・動物ガ 所ヲ かける
       子どもたちが駆けてくる  馬が草原を駆けていく
・複合動詞
 「かけ-」の形のものが多くある。「駆け上がる」「駆け下りる」「駆け込む」「駆け上る」「駆け戻
る」は移動の方向を表す。「駆け出す」は、急に走り出すこと。
 「駆けつける」は、急いでその場に到着すること。「駆け寄る」は、走って近づくこと。「駆け抜
  ける」は、走ってその場を通り抜けること。
    現場に駆けつける  恋人に駆け寄る  商店街を駆け抜ける
 「駆け回る」は、あちこちを走ること。ひゆ的に、何かのために忙しくあちこち行くこと。「かけ
  ずり回る」は、より俗語的表現。
    山野を駆け回る  準備に駆け回る/かけずり回る  
 「駆け巡る」は「駆け回る」と同じで、少し文学的表現。ひゆ的な用法がある。
    激痛が体を駆け巡る  さまざまな思いが頭の中を駆け巡る
◇およぐ
  「泳ぐ」は、人や動物が手足やひれを動かして、水面・水中を進むこと。ヲ格をとる。
   人・動物ガ 所ヲ およぐ
       海で泳ぐ  海を泳ぐ魚  
 ひゆ的に、ある世界で(うまく)生きていくこと。
    政界を泳いでいく  人生の荒波を泳いで生きる
  複合動詞は少ない。「泳ぎ疲れる」は泳いで疲れること。「泳ぎ回る」はあちこち泳ぐこと。


あるく(歩く) 五(あるかない・あるきます・あるいて・あるけば・あるこう)
[1]〔人ガ 所ヲ (所カラ) (所マデ)〕
 △あるきはじめる  あるきかける  あるきたい  あるいてみる  あるいておく
  あるいてしまう  あるいてはいけない  あるいたほうがいい  あるくべきだ
  あるかなければならない  あるかせる  あるかれる  あるけ!  あるけない  
 △[ゆっくり/のんびり/急いで/いっしょうけんめい/必死(ひっし)に]~。
  [さっさと/すたすた/どたどた/ぶらりと/ぶらぶら/ふらふら/ふらりと]~。
 △[廊下(ろうか)/道/歩道(ほどう)/公園(こうえん)/へやの中]を~。
 ・試験中(しけんちゅう)ですから、ろうかを歩く時はしずかにしてください。
 ・わたしは子どもの時、毎日5キロのみちをあるいて学校へかよいました。
 ・健康(けんこう)のために家からとなりの駅(えき)まで毎日歩いています。
[2]〔人ガ〕
 △[1時間/3歩(ぽ)]~。
 ・くたくたにつかれてしまって、これ以上もう、歩こうにも歩けない。
 ・健康(けんこう)のために一日に20分は歩くことにしています。
 ・うちの子はこのごろようやく歩けるようになりました。
 ・歩きながら物を食べるのは、行儀(ぎょうぎ)が悪い。
 ・歩きながら本を読んだりすると、目を悪くしますよ。
 ・年をとると、歩こうという気が起きなくなって、ますます足が弱っていく。
 ・たたみの縁(へり)の上を歩かないでください。

<複合動詞:あるき->
[あるきだす] 人ガ ところヲ
 ・「では、出発!」という合図とともに、300人のお年寄りが元気よく歩き出した。
 ・どんな道も、まず歩き出さないと進まない。仕事も同じだ。まず始めてみることだ。
     勢いよく 出し抜けに 一歩遅れて 回れ右をして
[あるきつづける] 人ガ ところヲ
 ・初めて参加した80kmウオーキング大会。どこまでもどこまでも、ただただ、歩き続けた。
 ・道に迷ったような気がして不安になったが、何も考えずに山道をひたすら歩き続けていたら、見
  慣れた風景に出た。 
[あるきまわる] 人ガ 所ヲ
 ・いい考えが思いうかばないので、へやの中をぐるぐる歩きまわった。
 ・町中を歩き回って子供の三輪車を捜したのだが、どうも気に入ったものが見つからない。
      辺り・あちこち・雨の中・家中・家のまわり・海岸・外国・近所・室内・市内・芝生・周囲・
   世界中・デパート・店内・野山・部屋の中・ヨーロッパ・路地を  
   一人で 足の向くままに 自由に 身軽に あてもなく うろうろ ふらふら
<複合動詞:-あるく>
[うかれあるく]  人ガ 所ヲ
  ・子どものころ、夏祭りの夜は何となく楽しく、にぎやかな町を浮かれ歩いた。
  ・大学の卒業式の日は友人と飲み、盛り場を浮かれ歩いて、朝目が覚めたら留置場の中だった。
[とびあるく]  人ガ 所ヲ
 ・毎日しごとのために忙しくあちらこちらととび歩いているので、家族とゆっくり話す時間がない。
 ・社長は日本中の支店を飛び歩いて、店員の営業態度をチェックしている。
      あちこち・近辺・東京を 金策に 忙しそうに 毎日 世界を股に掛けて
[であるく] 人ガ
 ・天気のいい日にちょっと辺りを出歩いてみるのが、その頃の楽しみの一つだった。
 ・病気がなおったばかりなのだから、あちこち出歩いてはいけない。
     外・町を 一人で 自由に 取材に 勝手気ままに まめに 毎日
[ふれあるく]  人ガ ものヲ
 ・あんまり変なことを触れ歩いていると、そのうち誰かに訴えられるよ。
 ・いいかげんなうわさを触れ歩く人間というのは、いつの世にもいるものだ。
[わたりあるく] 人ガ 所カラ 所ニ
 ・そのころの私は、国から国へ、町から町へと渡り歩いていた。
 ・政治家として重要なポストを渡り歩き、大臣にまでなった男が汚職で刑務所行きだ。
   世界・地方・津々浦々・重要なポスト・寺・枝・川・宿屋を 転々と
▽「-あるく」の形のものは多い。「~して歩く」または「歩いて~する」の意味のものが多い。
 この場合の「歩く」は、あちこちを回ること。(以下は例文を省略する)
     あさり歩く 売り歩く 聞き歩く 配り歩く 探し歩く 尋ね歩く 連れ歩く 飲み歩く
   拾い歩く 持ち歩く
<スル動詞>
[散歩(さんぽ)する]  人ガ 所ヲ
  ・公園を散歩してから、うちに帰った。
 ・犬と河原を散歩しようと思って庭に出ると、もう妻が連れていった後だった。


はしる(走る)五(はしらない・はしります・はしって・はしれば・はしろう) 
[1]〔人・ものガ 所ヲ (所カラ 所マデ)〕
 △はしりたい  はしりなさい  はしりだす  はしってみる  はしっていく/くる
  はしらなければならない  はしらないだろう  はしればはやい  はしれない
  はしろうとする  はしらせる  はしれ!  はしるな! 
 △[いつも/ときどき/ゆっくり/速く/のんびり/いっしょうけんめい]~。
  [少し/長く/長い時間/だらだらと/飛ぶように/全速力(ぜんそくりょく)で]~。
 △[道/道路(どうろ)/土の上/グラウンド/芝生(しばふ)/ろうか/へやの中]を~。
  [駅/学校/バス停(てい)/門のところ/子どもが立っているところ]まで~。
 ・わたしは毎朝家の近くを走っているので、いつも健康(けんこう)です。
 ・あのおじいさんが走っている姿(すがた)をきのうも見かけた。
 ・42.195キロメートルを2時間あまりで走れる人はマラソン選手(せんしゅ)の中でも多くはない。
 ・わたしの家から駅まで歩いて15分、走れば5分ぐらいです。
 ・そんないいかげんな走り方をするな。まじめに走れ! 
 ・電車が走っている時はまどから手や足を出さないでください。
 ・汽車(きしゃ)はひろい平野(へいや)の中をつぎの町をめざして走っていく。
 ・海の上を軽快(けいかい)に走るヨット。そんなヨットを買える日をめざして働くのだ。
 ・大きな道が町のまん中を走っている。
 △[公園/運動場(うんどうじょう)/広いところ/車の来ない所]で~。
 ・今グラウンドで走っているのはだれですか。
 ・わたしは毎日近くの公園(こうえん)で走ったり体操(たいそう)をしたりしています。
[2]〔人ガ 所ニ/ヘ〕
 △[現場(げんば)/非常口(ひじょうぐち)/敵方(てきがた)/恋人(こいびと)のもと]へ~。
 ・「火事だ!」という声で、観客(かんきゃく)は先を争(あらそ)って非常口へ走った。
 ・わが社のひみつを知っている課長(かちょう)がライバルのP社に走ったので、こんどの計画(け
  いかく)は失敗(しっぱい)するでしょう。
 ・ゆみ子は夫(おっと)と子どもをすてて恋人(こいびと)のもとへ走った。
[3]〔ものガ 所ニ/ヲ〕
 △[とまどい/恐怖(きょうふ)/痛(いた)み/激痛(げきつう)]が~。
 ・とつぜん、全身(ぜんしん)に痛みが走った。
 ・父からその話を聞いた母のかおに不安の影(かげ)が走った。
 ・西の空に稲妻(いなずま)が走ったかと思うとすぐに雷鳴(らいめい)がひびきわたった。
 ・壁(かべ)を大きなひびが何本も走っている。
 ・この地方は南北(なんぼく)に走る山脈(さんみゃく)で東西(とうざい)に分けられている。
[4]〔人ガ ものニ/へ〕
 △[非行(ひこう)/悪事(あくじ)/悪/極端(きょくたん)/党利党略(とうりとうりゃく)]に~。
 ・あの人はすぐ感情(かんじょう)に走る(=感情的になる)ので、話合いをするのが大変だ。
 ・そのように極端(きょくたん)から極端に走られては困ります。(あなたが極端に走ると私が困る)

<複合動詞:はしり->
[はしりこむ] 人ガ 所ニ
 ・雨がふって来たので、道を歩いていた人たちがデパートの中に走りこんだ。
 ・大会が近づいてきたので、選手たちにたっぷり走りこませた。
   玄関・交番・構内・部屋・物陰に 十分に どやどや ちょこちょこ
[はしりさる] 人・ものガ ものヲ
 ・汽車が雨の中を走ってきて、我々の前を通り過ぎ、また走り去っていった。
 ・車から出てきた男は、逃げるようにその場から走り去った。
   汽車・車・タクシーが 雨の中・その場・そば・廊下を 逃げるように どこかへ
[はしりすぎる] 人・ものガ 
 ・一台のオートバイが目の前を走りすぎていった。乗っていたのは彼女だった。
 ・彼女の写真を見ていると、頭の中をいろいろな思い出が次から次へと走りすぎていく。
   オートバイ・思いが 筆が 暗闇の中・国道・空・前・脇・頭の中を 次から次へと 
[はしりだす] 人・ものガ 
 ・バスがいきなり走り出し、立っていた乗客が倒れそうになった。
 ・集まっていた人たちが皆いっせいに走り出した。どうしたんだろう。
   車・バス・人が いきなり 一生懸命に ばらばらと すごい勢いで 脱兎のように 
[はしりでる] 人ガ ものヲ
 ・ニュースを聞いて、あわてて部屋を走り出て、玄関に行った。
 ・まずい、と気付いたときにはもう言葉が口から走り出てしまい、押さえようがなかった。
   家・木戸・公園・部屋を 道を 外へ あわてて いち早く
[はしりぬく] 人ガ 所ヲ
 ・初めてフルマラソンに参加し、42キロを走りぬいた。
 ・彼女は、短い人生を走りぬき、我々に多くのものを残して、今日、去りました。
   最後まで ゴールまで 倒れるまで
[はしりぬける] 人ガ 所ヲ 
 ・子どもたちの一団が公園の中を走りぬけた。
 ・風が初夏の町を走り抜けた。
   車・一団・痛み・恐怖・影・稲妻が 道路・国境・通り・廊下・体の中・
   人混みの間・交差点を 風のように 素早く 体を熱いものが 思いが頭を
[はしりまわる] 人ガ 所ヲ
 ・テロ事件の時は、町中をパトカーが走り回っていた。
 ・そのへんを走りまわらないでください。うるさいから。
 ・町内のお祭りの準備で、人集めに走り回った。
      子供・車が 辺り・家の中・雨の中・近所・芝生・その辺を 夢中で 無闇に
   準備・工面・調達・食糧の確保・聞き込みに うろうろ ぐるぐると 一日中
[はしりよる] 人ガ 人・ものニ
 ・警備の警官たちが近づいてきた車に走り寄り、止めようとした。
 ・シンポジウムで発言者が突然倒れ、司会者達が驚いて走り寄った。
   無我夢中で 猛烈な勢いで 小走りに そばに ばたばたと あわただしく

<スル動詞>
[運行(うんこう)する]  人ガ ものヲ / ものガ
 ・この登山電車を運行しているのは、地元の自治体です。
 ・去年までバスが運行していたんですが、採算がとれないのでやめてしまいました。
[走行(そうこう)する]  ものガ 所ヲ
 ・左車線は工事中です。右の車線を走行して下さい。
 ・高速道路を走行する車の中には、整備の十分でないものがある。
 

かける(駆ける)  一(かけない・かけます・かけて・かければ・かけよう)
[1]〔人ガ 所ヲ 所へ/ニ〕
 △かけてくる  かけてはいけない  かけようとする  かけるな! 
 △[あわてて/楽しそうに/一目散(いちもくさん)に/無我夢中(むがむちゅう)で]~。
  △[雨のなか/芝生(しばふ)/町中(まちなか)/夜道(よみち)/廊下(ろうか)]を~。
  ・子供たちがきゃあきゃあ言いながらブランコへ駆けていく。
 ・何があったのか、大勢(おおぜい)の人が広場のほうへかけていくのが見えた。
 ・ボールをくわえた犬がうれしそうに駆けてきた。
 ・こら、廊下を駆けるな!
 ▽「~ていく・てくる」の形で使うことが多い

<複合動詞:かけ->
[かけあがる] 人ガ ものヲ
 ・中学の陸上部員がお寺の階段を駆け上がって足を鍛えている。
 ・彼女はめざましい販売実績を次々に上げて、昇進街道を一足飛びに駆け上がった。
   階段・坂・坂道・斜面・ハシゴ・階級を 一気に 一足飛びに 壇上に
[かけおりる] 人ガ ものヲ
 ・駅のかいだんをおおぜいの人が駆けおりてくる。
 ・馬で崖を一気に駆け降りて、裏から敵陣を攻めた。
   石段・丘・崖・下り坂・坂道・斜面・土手・梯子段を 一気に あたふたと
[かけこむ] 人ガ ものニ
 ・突然、雨がふってきたので、ちかくの店に駆けこんだ。
 ・きゅうにおなかがいたくなって、トイレに駆けこんだ。
 ・外から何か言いながら駆け込んでくる人がいたので、よく見たら川口だった。
   家・教室・警察・交番・トイレ・軒下・部屋に 息を切らして 全力で
[かけだす] 人ガ
 ・先生の手があがると、子供たちがいっせいに駆け出した。
 ・あぶないから、信号が青になっても駆け出すな。
   馬・全員が 部屋・道・廊下を 全力で 雨の中・表に 一斉に あわてて 
[かけつける] 人ガ 所ニ
 ・彼女が困っていると聞いて、大勢の男が駆けつけた。
 ・銀行が危ないといううわさが広まって、人々が支店に駆けつけ、預金を引き出した。
 ・事故の現場に何台もの救急車と消防車が駆けつけた。
   人々・救急車が 大急ぎで 応援・救助・見舞いに 現場・病院に 夜中に
[かけぬける] 人ガ ものヲ
 ・選手の一団が目の前を駆け抜けていった。
 ・彼女は、混乱の時代を駆け抜け、多くの仕事を成し遂げて、昨夜、亡くなった。
   風・焦り・思い・戦慄・何かが  短い生涯を 必死で 夢中で 
   後ろ・風の中・体・雑踏の中・背筋・戦場・そば・脇・背後・町・森・目の前を
[かけのぼる] 人ガ ものヲ
 ・長い坂を駆け上ると、目の前に白い雲がぽっかりと浮かんでいた。
 ・彼は必死に働いて、出世街道を駆け上った。
 ・馬が長い坂を一気に駆け上った。
 ・大会社で出世の道を駆け上り、ついに社長になった。
   子供たち・熱いものが 石段・丘・坂道・土手・のどを 胸に 壇上へ
[かけまわる] 人ガ ものヲ
 ・公園では、小さな子供たちが駆け回っていた。
 ・庭を3匹の子犬が駆け回って遊んでいる。
   子供が 辺り・家の中・風の中・山野・場内・世界中・戦場・外を 元気に
[かけめぐる] 人・ものガ ものヲ
 ・情報がネットを駆けめぐっている。
 ・その瞬間、激痛が体中を駆けめぐった。
 ・旅に病んで 夢は枯れ野を駆けめぐる  (芭蕉)
   風・言葉・情報・苦痛・激痛・熱いもの・夢が 家中・体・世界・街を 頭の中を
[かけもどる] 人ガ 所ニ
 ・忘れ物をして、家に駆け戻り、また駅へ走っていった。
 ・ゴールしたあと、走ってきた来た道をまた駆け戻りながら、すれ違う仲間を励ました。
   階段・来た道・廊下を 家・自室に あたふたと 息せき切って
[かけよる] 人ガ 人ニ
 ・チームメートが倒れた選手に駆け寄った。
 ・姉は倒れた女性に駆け寄って、「大丈夫ですか」と声をかけた。
 ・先生が教室を出ると、廊下で待っていた生徒たちが駆け寄った。
   テーブル・そば・窓に 大急ぎで うれしそうに 我を忘れて 真っ先に
[かけずりまわる] 人ガ ものヲ
 ・担当者が町中駆けずり回って、必要なものをなんとか集めてきた。
 ・何とか破産をまぬがれようと、朝から晩まで金策にかけずり回っていた。
      学校中・その辺・山を 金策・陳情に 一日中 ほうぼう 朝から晩まで


およぐ(泳ぐ)五(およがない・およぎます・およいで・およげば・およごう) 
[1]〔人・ものガ (所ヲ)〕
 △およぎたい  およいでみる  およいではいけない  およいだほうがいい
  およがせる  およごうとする  およぐな!
 △[ゆっくり/のんびりと/すいすいと/なめらかに/うつくしく/かるく]~。
 △[人/子ども/魚/小さな虫(むし)]が~。
 ・わたしは、毎日学校のプールで泳いでいます。
 ・このあたりは川のながれが速いから、ここで泳ぐのはきけんです。
 ・その人は泳いでいるうちに足がつって、おぼれたらしい。
 ・こんど、いっしょにプールに泳ぎに行こう。
 ・のんびりと川を泳いでのぼる魚を見ていた。
 ・なかまを見つけるために、警察(けいさつ)は犯人(はんにん)を泳がせている。(=自由に行動さ
  せる)
 ・彼は政界(せいかい)を40年もうまく泳いできて、ついに首相(しゅしょう)の座(ざ)に着いた。

<複合動詞:およぎ->
[およぎつかれる] 人ガ
 ・もう泳ぎつかれたから、はまに上がって少し休もう。
 ・一日中海にいたので、浜に上がったときまっすぐ歩けないほど泳ぎ疲れていた。
   ひどく たてないほど
[およぎまわる] 人ガ 所ヲ
 ・海の中を泳ぎ回る魚になってみたい。
 ・この世の中を泳ぎ回って、いろんな経験をしてきた。

[10] 飛ぶ
  人・ものが空中を移動することを表す動詞。「飛ぶ」「飛ばす」は自動詞・他動詞の対応。複合
動詞が多く、ひゆ的な用法が多くある。

◇とぶ
 「飛ぶ」は、人・ものが空中を何らかの手段で移動すること。場所をヲ格で示す。
   人・ものガ 所ヲ とぶ
    鳥・飛行機が空を飛ぶ   大空を飛んでみたい
 「飛行機に乗って移動する」ということを「飛ぶ」で表すことがある。
    昨夜、特使が北京に飛んだ。
 単に、「急いでいく」ということを表す。
    病気だというので飛んでいった  記者が現場に飛ぶ
 地面などを強くけって上に上がることを表す。「跳ぶ」とも書く。
    跳び箱を跳ぶ
 ひゆ的・慣用的な用法がいくつかある。
    やじ・デマが飛ぶ   ヒューズが飛ぶ   本のページが飛んでいる(落丁)
    首が飛ぶ(辞めさせられる)
・複合動詞は、「とび-」の形のものがたくさんある。意味別に分けてまとめる。「飛ぶ」または「跳
ぶ」の意を付け加える。
   方向 上下  飛び上がる 飛び降りる
      中外  飛び込む 飛び出す 飛び出る
   ここから    飛び去る 飛び立つ 飛び離れる
   対象に対して  飛びかかる 飛びつく
   とんで~する  飛び越える 飛び越す 飛び散る 飛び退く 飛び乗る   
   とぶように~する  飛び抜ける 飛び回る  
   とぶ+~する    跳びはねる
 「飛び抜ける」は、ひゆ的に、他のものとは大きく違うこと。
・スル動詞「飛行する」は、飛行機・鳥などが空中を飛んでいくこと。
◇とばす
 「飛ばす」は、ものを「飛ぶ」ようにすることと、そこから発展した用法がある。
   人ガ ものヲ (所カラ 所へ/ニ) とばす
    子どもが紙飛行機を飛ばす  ボールを遠くへ飛ばす  つばを飛ばすな
  「速く走る」という意味で使われる。
    バイク/タクシーを飛ばす
  その他の発展的な用法。
    ヤジを飛ばす(大きな声で言う)
    一行とばして読んでしまう(順番の途中を抜かして先に行く)
    支店に飛ばされた(遠いところへ追いやる) 
・複合動詞:「-とばす」の形のものが多くある。
 「飛ばすように~する」の意。「蹴飛ばす」「けっ飛ばす」「突き飛ばす」「殴り飛ばす」「投げ飛ば
す」「はねとばす」「吹き飛ばす」などがある。
  「書き飛ばす」は、急いで、推敲などせずに書くこと。ある部分を書き落としてしまうこと。
  「売り飛ばす」は、手元に置かず売ってしまうこと。「笑い飛ばす」は、笑って気にしないこと。

◇はばたく
 「はばたく」は、鳥が羽を上下に動かして飛ぼうとすること。
   ものガ はばたく
    鳥が大空を羽ばたいて飛んでゆく
 ひゆ的に人が広い世界で活躍することを表す。
   人ガ はばたく
    若い人たちが社会に羽ばたこうとしている


とぶ(飛ぶ・跳ぶ)五(とばない・とびます・とんで・とべば・とぼう)
[1]〔人・ものガ 所ヲ (所カラ 所ヘ/マデ)〕
 △とびたい  とびそうだ  とびかける  とびはじめる  とんでいく  とんでくる
  とんでみる  とんでしまう  とんではいけない  とばなければならない
  とばないようにする  とぼうとする  とばせる  とばれる  
 △[少し/大きく/長く/よく/いつも/ゆうゆうと/さっそうと/すいすいと]~。
  [虫がぶーんと/ちょうちょがひらひらと/トンボがすいすいと/鳥がぱたぱたと]とんでいる
  [水がピュッと/ボールがビューンと/ジェット機がゴォーッと]~。
 △[鳥(とり)/虫(むし)/とんぼ/飛行機(ひこうき)/ロケット/宇宙船(うちゅうせん)]が~。
  [空/町の上/上空(じょうくう)]を~。
 ・小鳥(ことり)が枝(えだ)から枝へ飛んでいく。
 ・ジェット機(き)が町の上を北へ飛んで行く。
 ・島(しま)の上をヘリコプターで飛んでみたが、人の住んでいるようすは見られなかった。
 ・噴火口(ふんかこう)の上空(じょうくう)を飛んでもらいますが、十分気をつけて下さい。
 ・この飛行機は、ハワイまで4時間で飛びます。
 ・赤い風船(ふうせん)が空の高いところを飛んでいく。
 ・きゅうに強いかぜがふいてきたので、つくえの上の紙が飛んでしまった。
 ・わたしは事故のニュースを聞くと、すぐに事故のあった場所へ飛んだ。(=いそいで行った)
 ・赤ちゃんのなくこえを聞いて、すぐに母親が台所から飛んできた。(=いそいで来た)
 ・車が水たまりを走りすぎ、泥水(どろみず)がビチャッと飛んできた。
[2]〔人・ものガ ものヲ〕
 ・私は、跳び箱(とびばこ)を跳ぶのはどうも苦手(にがて)だ。
 ・道の水たまりをエイッと跳んで、持っていたカバンを水たまりに落としてしまった。
[3]〔ものガ〕
 △[お金]が~。[かけごえ/やじ]が~。
 ・きょうは天気が悪いから、飛行機はまったく飛ばないそうだ。
 ・家族(かぞく)で旅行(りょこう)したらあっという間に、(お金が)十万円も飛んでしまった。(=
  なくなった。)
 ・こんな風に見たものを何でも買っていたら、お金がどんどんとんでしまう。
 ・電線がショートしたので、ヒューズがとんだ。
 ・アメリカとソ連が戦争(せんそう)を始めたという悪いデマが飛んだ。
 ・あの人の話は次から次へ飛ぶので、聞いていると、つかれる。
 ・本のページが飛んでいることを落丁(らくちょう)といいます。
 ・計画(けいかく)が失敗(しっぱい)したために三人の社員(しゃいん)の首(くび)が飛んだ。(=や
  めさせられた)
 ・客席(きゃくせき)からかけごえが飛んだ。

<複合動詞:とび->
[とびあがる] 人・ものガ
 ・鳥は地面から飛び上がる時にとてもエネルギーを使う。
 ・このニュースを聞いて、山下さんは跳び上がってよろこんだ。
 ・この注射は跳び上がるほどいたかった。
   体・心・鳩が 椅子から 座席の上で 空中・荷台に ~ほど・ように
[とびあるく]  人ガ 所ヲ
 ・毎日しごとのために忙しくあちらこちらととび歩いているので、家族とゆっくり話す時間がない。
 ・社長は日本中の支店を飛び歩いて、店員の営業態度をチェックしている。
   あちこち・近辺・東京を 金策に 忙しそうに 毎日 世界を股に掛けて
[とびうつる] 人・ものガ ものカラ ものニ
 ・動物園から逃げたサルが木から木へ飛び移ってどこかへいってしまった。
 ・ボートを岸に着け、飛び移ろうとしたが、誤って水に足を突っ込んでしまった。
   木の間を 船を 対岸に 枝から枝へと 船から岸に ひょいと
[とびおきる] 人ガ
 ・夜中に地震(じしん)があったので、家中(いえじゅう)のものがとび起きたが、弟だけはへいきで
  寝ていた。
 ・父は毎朝、5時にとび起きて、にわへ出てそうじや体操(たいそう)をやる。
   ベッドから がばっと びっくりして 反射的に はっと気付いて
[とびおりる] 人ガ ものカラ ものニ
 ・電車のドアがしまる直前(ちょくぜん)になって、おりる駅(えき)についたのに気づいて、あわて
  て飛び降りた。
 ・火事にあって、二階から飛び降りたら、足をおってしまった。
   石段・崖・車・電車を 窓・崖・階段から 線路に 身軽に あわてて
[とびかう] ものガ (所ヲ)
 ・ナイチンゲールは弾丸(だんがん)の飛び交う戦場(せんじょう)を走りまわって、けがをした人の
  世話をしてあげたのだ。
 ・いろいろの情報(じょうほう)やデマが飛び交(か)っている。どれを信じたらいいのか。
   鴎・蝙蝠・燕が 話し声・意見・噂・情報・専門用語・中傷・野次・悲鳴が
[とびかかる] 人ガ 人ニ
 ・人の家を訪問したら、その家の犬がきゅうに跳びかかって来た。
 ・わたしが弟をなぐると、弟はそれで泣き出すどころか、ぎゃくに、わたしにとびかかって来た。
   女・相手・背中に 出し抜けに 猛然と いきなり すばやく 一斉に 
[とびこえる] 人ガ ものヲ 
 ・その選手は軽がると2mの高さのバーを飛び越えた。
 ・水たまりを飛び越えようとして、水たまりの中に落ちた。
   石垣・囲い・花壇・流れ・頭上・ガードレール・塀・時間・時代・制約を
[とびこす] 人ガ ものヲ 
 ・小さな(=ほそい)川なので、橋を渡らないで、跳び越した。
 ・飛行機でエベレスト山を飛び越した。
 ・仕事をするには順序があるのです。とちゅうの段階を飛び越してはいけない。
 ・初級の文法を少しやって、そのあと、中級を飛び越していきなり小説を読もうとしたって、それ
  はむりだ。
   小川・柵・茂み・手すり・溝・先輩・時間を ひらりと
[とびこむ] 人ガ ものカラ ものニ 
 ・きゅうに雨がふって来たので、いそいで、そばの店に飛び込んだ。
 ・兄は飛び込み台の上に立つと、プールにいきおいよく跳び込んだ。
   虫・しぶき・銃弾が 海・敵の中・家・学生運動・川・警察・線路・電車に
   流れ・プール・胸・湯船・部屋に あわてて ざぶんと どぶんと 勢いよく 
[とびさる] ものガ 
 ・あの人の乗ったジェット機が遠くの空を飛び去っていくのが見えた。
 ・研究に没頭した十年の歳月は、瞬く間に飛び去ったかのようだった。
   ジェット機・弾・鳥・飛行機・歳月が 空・真上・頭上を 瞬く間に 遠く
[とびだす] 人ガ ものヲ/カラ 
 ・箱を開けるとおばけが飛び出してきた。人形だったけど。
 ・ふと時計を見ると、電車の時間までにあと5分しかないので、あわてて会社を飛び出した。
 ・このサルは目が異常に大きく、飛び出しているのが特徴だ。
   犬・子供・鳩が 弾丸・粒子が 悪口・冗談が 心臓が~くらい驚く
   家・雨の中・日本を 外・雨の中へ 表・車道・対向車線・宇宙に  勢いよく 
[とびたつ] 人ガ ものヲ/カラ 
 ・ライフルの音におどろいて、木の上のことりがいっせいに飛び立った。
 ・被災地(ひさいち)へ救援物資(きゅうえんぶっし)をはこぶ飛行機(ひこうき)がつぎつぎに飛んで
  きては、また飛び立って行く。
   カラス・戦闘機・鳥・鳩・ほこりが 空港を 日本を 大空へ 一斉に
[とびちる] ものガ 所ニ
 ・実験(じっけん)をしている時に薬品(やくひん)が爆発(ばくはつ)して、ガラスの破片(はへん)が
  ほうぼうへ飛び散った。
 ・人間がせきをすると、口からばいきんがはき出されて、部屋中に飛び散ります。
   水・汗・油・血・ガラスの破片・しぶき・火の粉が あたりに 一面に
[とびつく] 人・ものガ 人・ものニ
 ・百万円出せば、一か月で二百万円にしてあげるなどという話にかんたんにとびつくバカな人がい
 る。
 ・にんじんでも、こんなふうに料理してあげれば子どもがとびつくでしょう。
   木・電話・食べ物・胸に 好条件・情報・話題に マスコミが ぱっと
[とびでる] ものガ 
 ・あのレストランは最高級ということになっているので、何でも目の玉のとび出るような(=高い)
  ねだんがついている。
 ・この行だけ左にとび出ているのは変ですね。ほかの行にそろえましょう。
   家を 表通りに ぴょんと 口から反抗的な言葉が 目玉が~ほど高価な
[とびぬける] 人・ものガ 
 ・山下は、この学校の中ではとびぬけて数学がよくできる。
 ・彼女は音楽に関して飛びぬけた才能がある。
   頭の上を 森を 弾丸のように ~てうまい・優れた人・よくできる
[とびのく] 人ガ 所ニ
 ・オートバイがすごいスピードでやって来たので、あわてて道のはじに飛び退いてよけた。
 ・「あぶない!」という声が聞こえ、びっくりしてとっさに壁際に飛び退いた。
   背後・左・横に 身軽に さっと びっくりして 身をかわすように
[とびのる] 人・ものガ ものニ
 ・犯人は走ってきた車に飛び乗って逃走した。
 ・サーカスで、馬に飛び乗り、飛び降りる犬を見た。
   馬・車・自転車・タクシー・電車・船に 発車ぎりぎりに ひらりと
[とびはなれる] 人・ものガ ものカラ/ト                
 ・こんなにとび離れたいくつかの土地に同じ地名があるのはおもしろい事だ。
 ・きゅうに今までの話とはとび離れた事をいわれたので、しばらく何の事だか分からなかった。
   ぱっと  本土から~ている孤島
[とびはねる] 人・ものガ 
 ・子供たちはベッドの上で飛び跳ねていた。
 ・デパートでカエルのように飛び跳ねるおもちゃを売っていた。
   子供・水・声が 座敷・泥の上・まわりを 元気いっぱい ぴょんぴょん
[とびまわる] 人・ものガ 所ヲ
 ・親鳥はあちこちの森を飛び回って、ヒナのためにえさをとってくる。
 ・社長は世界中を飛び回って原料を仕入れ、製品の注文を取り回っている。
   鳥・蝶・蜂・飛行機・虫・蠅が 頭の上・あちこち・雨の中・宇宙・上空を
   金策・買い付けに 元気・自由・縦横・せっかちに 忙しく 一日中

<複合動詞:-とぶ>
[ふきとぶ] 人・ものガ 
 ・強い風でテントが吹き飛んだ。
 ・このビールの一杯で、昼間の仕事のイライラが全部吹き飛ぶ心地がするね。
 ・夜中の電話で起こされ、眠い目をこすって電話に出たが、聞こえてきた一言で眠気が吹き飛んだ。
   感傷・砂・疲れ・眠気・腹立ち・不安・帆・酔いが  一度に 跡形もなく
[みだれとぶ] ものガ 
 ・選挙の前はいろいろな噂、憶測が乱れ飛び、私のような部外者はそれを楽しんだ。
 ・彼の挨拶の間、支持者の声援と批判者の罵声が乱れ飛んで、声がよく聞こえなかった。
[むれとぶ] ものガ
 ・青い海の上をカモメが群れ飛んでいる。絵に描いたような景色だ。
 ・最近はトンボが群れ飛ぶ姿を見たことがない。この辺ではいなくなってしまったのか。
<スル動詞>
[飛行(ひこう)する]  ものガ 所ヲ
 ・大空を飛行する鳥にあこがれて、人類は飛行機を創り出した。
 ・ジャングルの奥地を単独で飛行していた探検家が行方不明になった。

 
とばす(飛ばす) 五(とばさない・とばします・とばして・とばせば・とばそう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △とばしたい  とばしてみる  とばしてはいけない  とばさなければならない
  とばそうとする  とばされる 
 △[少し/たくさん/一度に/遠くまで/思いきり]~。
 △[飛行機(ひこうき)/デマ/野次(やじ)/冗談(じょうだん)/ホームラン/ヒット]を~。
 ・こんな天候(てんこう)の時に飛行機を飛ばすことはできない。
 ・子どもの頃(ころ)、高いところから紙飛行機を飛ばして遊んだ。
 ・上空(じょうくう)の様子(ようす)を知るために、気球(ききゅう)を飛ばしてデータを集めている。
 ・きょうの父はとても機嫌(きげん)がよかった。ときどき冗談(じょうだん)をとばしたほどだ。
 ・だれかが悪いデマを飛ばしても、それを信じる人がいなければ、何も問題は起きないのだ。
 ・課長(かちょう)とケンカをしたので、北海道支店(してん)に飛ばされてしまった。
 ・問題集(もんだいしゅう)のむずかしい問題は飛ばして、やさしいものだけ考えてみた。
 ・日本語の本を読むとき、わかりにくいところは飛ばしてしまってかまいませんから、とにかくた
  くさん読んでみましょう。

<複合動詞:-とばす>                   
[かきとばす] 人ガ ものヲ
 ・流行作家は月に何冊もの小説を書き飛ばすそうだ。
 ・これは短い時間で書き飛ばした覚え書きなので、またじっくり考え直すつもりです。
[けとばす] 人ガ ものヲ
 ・酔っぱらいが吠えかかってきた犬を蹴飛ばした。
 ・オニが守る空き缶を蹴飛ばして、その間に走って逃げる、というような子どもの遊びがあった。
   空き缶・掛け布団・壁・尻・ドア・猫・本の山を マンネリズム・身分差を
[けっとばす] 人ガ ものヲ
 ・くらくてよく見えなかったので、クズカゴをけっとばして(=蹴り飛ばして)しまった。
 ・そんなむちゃな話は蹴っとばして(=ことわって)しまえ。
[つきとばす] 人ガ 人ヲ
 ・「火事だ!」人々は先を争い、他人を突き飛ばして、外へ逃げようとした。
 ・公園で遊んでいたら、走ってきた男の子に突き飛ばされた。
[なぐりとばす] 人ガ 人・ものヲ
 ・昔の父親は息子を殴り飛ばしたそうだが、今はそんな親はいない。
 ・電車の優先席で足を広げて眠り込んでいる若者を殴り飛ばしてやりたいと思うのは私だけだろう
  か。
[なげとばす] 人ガ 人・ものヲ (所カラ 所ニ)
 ・「そんなやつはオレが投げとばしてやる。」山田くんは、おこってそう言った。
 ・柔道二段の彼女が、痴漢が抱きついてきた時、思いきり投げ飛ばしてやったら、そいつは警察が
  来るまで立ち上がれなかったそうだ。
      相手・男・子犬・棒・レンガを ひょいと
[はねとばす] 人・ものガ 人・ものヲ
 ・体の大きな選手が、タックルに来た選手を跳ね飛ばした。
 ・トラックは柵をはね飛ばして暴走していった。
      水・水・雨滴・木刀・群集・努力・煩わしさを 一生懸命 ばしゃっと
[ふきとばす] ものガ ものヲ
 ・木枯しが吹きまくって、木の葉をすっかり吹きとばした。
 ・台風の強い風で体が吹き飛ばされそうになった。
 ・突風で物置のトタン屋根が吹き飛ばされたが、幸いけが人はなかった。
 ・カラオケで歌いまくって、日ごろのイライラを吹き飛ばした。
   紙・土砂・花の種・帽子・屋根・猛暑・空気・灰・すべて・憂さ・感傷を


はばたく(羽ばたく)  五(はばたかない・はばたきます・はばたいて・はばたけば・はばたこう)
[1]〔ものガ〕
 △はばたきたい  はばたかなくてはいけない  はばたいたほうがいい  はばたこうとする
  はばたかせる  はばたけ!
 △[大きく/高く/勢(いきお)いよく/力を込めて/力の限り/ゆったりと]~。
  △[社会/世の中/世界/宇宙(うちゅう)]に~。
  ・空の高いところを大きく羽ばたいて鳥が飛んでいる。
 ・学生たちが社会に羽ばたく季節がやってきた。
 ・若者よ、世界に羽ばたけ!

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