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変化9

[39] 腐る・朽ちる

      腐る      腐りきる  腐敗する  
      朽ちる  朽ち果てる

[40] よごれる・よごす けがれる・けがす

     汚れる  汚れきる   
      汚す   汚染する
      けがれる けがす

[41] 膨らむ・膨らます しぼむ・へこむ・ゆがむ

    膨らむ  
    膨れる  膨れ上がる 着膨れる  膨張する
    膨らます
    しぼむ
    へこむ
    くぼむ  落ちくぼむ
    ゆがむ
    ひずむ
      まるまる 丸める

[42] 剥ける・剥く 剥がれる・剥がす

     剥く   剥き出す  すりむく  
     剥ける  すりむける
     剥がれる  剥がれ落ちる
       剥げる   剥げ落ちる 剥げかける
       剥がす   引きはがす
     剥ぐ   剥ぎ取る

[43] 削る・掘る

      削る   削り落とす 削り取る                                             
       掘る   彫り上げる 掘り当てる 掘り起こす 掘り返す 彫り込む 掘り下げる  
           掘り進む 掘りだす 彫りつける 掘り抜く  発掘する  
       えぐる  えぐり出す えぐり取る  

[44] 曲がる・曲げる ねじる・ひねる

    曲がる  曲がりくねる  折れ曲がる  カーブする 屈折する  
    曲げる
    反る   反り返る     
    反らす    
    捩る   ねじ上げる ねじ切る ねじ込む ねじ伏せる ねじ曲がる ねじ曲げる
    捩れる  
    捻る   ひねり出す ひねりつぶす  

[45] 折れる・折る

    折れる  折れ合う   
    折る   折り合う 折り返す 折り重なる 折り重ねる 折り込む 折り畳む   
          折り曲げる   骨折する 
    畳む   畳みかける 畳み込む  

 


[39]腐る・朽ちる
  ものが悪く変質してしまうことを表す動詞。

◇くさる
 「腐る」は、食べ物や動植物、木材などが細菌、熱などの作用によって変質し、悪臭を発したり崩
れたりすること。ひゆ的に、精神的に堕落したり活力を失ったりすることを言う。
      もの・ひとガ くさる
       肉・魚・死体が 腐る   家の土台が腐っている
    腐った根性・政治  叱られて腐る
 慣用表現で、「くさるほどある」とは、非常にたくさんあることを言う。
 ことわざ「腐っても鯛」は、もともと良い物は、だめになったとしてもほかの物よりは良いこと。
・複合動詞
 「腐りきる」は、完全に腐ってしまうこと。
 「-くさる」の形で、その行為を憎みさげすむ気持ちを表す。補助動詞用法。俗語的な表現。
       よけいなことをしくさる      威張りくさっていやがる
・スル動詞「腐敗する」は、腐ること。ひゆ的に、精神が堕落することを言う。
    腐敗した政財界
◇くちる
  「朽ちる」は、木・材木などが腐ってぼろぼろになること。ひゆ的に、名声が時とともに衰えるこ
と、世に知られずに死ぬことを言う。やや書きことば。
      もの・人ガ くちる
    立ち木のまま朽ちる  朽ちた木々  貧困のうちに朽ちてしまう 
・複合動詞「くちはてる」は、すっかり朽ちてしまってだめになること。


くさる(腐る)五(くさらない・くさります・くさって・くされば)
[1]〔ものガ〕
 △くさりやすい くさりそうだ くさりかけている くさりはじめた くさってしまう
  くさらせる くさらないようにする 
 △[少し/ひどく/におうほど/かなり/完全に/まるで]くさっている
 △[魚(さかな)/ハム/牛乳(ぎゅうにゅう)/肉(にく)/とうふ]が~。
  [精神(せいしん)/根性(こんじょう)/政治(せいじ)/世界(せかい)]が~。
 ・冷蔵庫(れいぞうこ)の古いたまごが腐ってしまった。
 ・この家は古いから、柱(はしら)の下の方がぼろぼろに腐っている。
 ・おちばを腐らせて、肥料(ひりょう)をつくります。
 ・腐った物を食べるとおなかをこわしますよ。
 ・食べ物が腐らないようにするには、カンづめのように空気にふれないようにするのがいちばんい
  いです。(食べ物を)
 ・国民はいつも腐った政治家(せいじか)を批判(ひはん)するが、そもそも彼らを選(えら)んだのは
  国民ではないか。
  ・腐った教育(きょういく)の世界の中で、犠牲(ぎぜい)になっているのが子どもたちだ。
 ・あいつは根性が腐っている。あの根性からなおさなくてはだめだ。
 ・おまえのような、腐った心のもちぬしとは二度と会いたくない。
 ・腐っても鯛(たい)とは、おれのことだ。
  (=もともと良い物はだめになったとしても、ほかの物よりは良い)
[2]〔人ガ〕
 ・こんなことで腐ってもしかたがない。またやる気を出してがんばるだけだ。
 ・いろいろ批判(ひはん)されたくらいで、まあ、そう腐るなよ。
  ・何をやってもうまくいかず、彼は腐りきっていた。
<複合動詞:くさり->
[くさりきる] ものガ / 人ガ ものニ
 ・政治の世界は腐りきっている。
 ・彼は現状のひどさに腐りきったような顔で調査の報告を始めた。
[-くさる]
 ・あいつはいつも威張(いば)りくさっていて、いやなやつだ。
 ・何というよけいなことをしくさって、まったく、えらい迷惑(めいわく)だ。
<スル動詞>
[腐敗(ふはい)する]  ものガ
 ・暑さで腐敗した死体が戦場のあちこちに残されていた。
 ・今の政治は腐敗しきっている。
  

くちる(朽ちる)  一(くちない・くちます・くちて・くちれば)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △くちかけている  くちてしまう  くちていく  くちようとしている 
 △[次第(しだい)に/いつの間にか/ぼろぼろに/見る影(かげ)もなく/無惨(むざん)に]~。
  △[木/杭(くい)/根元(ねもと)/橋/桟橋(さんばし)/屋根(やね)/木の階段(かいだん)]が~。
  ・住む人もなくなった家が次第に朽ちていくのを見ると、人もまた同じだと思う。
 ・木の根元が朽ちかけている。そのうちに木全体(きぜんたい)が朽ちてしまうのだろう。
 ・雨に打たれ、朽ちたベンチが荒れた庭にころがっている。
 ・我が身(わがみ)は世に知られず朽ちようとも、きっと我が子がこの家の名を高らしめてくれるで
  あろう。

<複合動詞:くち->
[くちはてる] 人・ものガ
 ・老木が朽ち果てて、惨めな姿をさらしていた。私もああなるのかもしれない。
 ・私には青雲の志があるのだ。こんなへんぴな田舎で朽ち果てるわけにはいかない。
   切り株が いたずらに 名もなく 人知れず ゆっくりと 一生その家で

[40]汚れる・汚す
  きれいなものが汚くなることを表す動詞。自動詞は状態の変化を表し、「-ている」の形は結果の
状態を示す。名詞修飾で「-た」の形が使われる。
 「よごれる」「よごす」は自動詞・他動詞の対。文型は、次のように対応する。
   ものガ 汚れる
   人ガ ものヲ 汚す
 日常的な言い方として、「きたなくなる・きたなくする」がある。
 「よごれる・よごす」は主に具体的なことに使われ、「けがれる・けがす」は精神的なこと、特に
宗教的な意味合いで使われる。どちらも漢字表記は同じになり、文脈から区別するしかないが、はっ
きりは決められない。

◇よごれる 
  「汚れる」は、泥や油、排水などで汚くなること。ひゆ的に、正しくないことをすること。
      ものガ よごれる
       服が泥で汚れる  汚れた皿を洗う    汚れた心
・複合動詞「汚れきる」は、ひどく汚れていることの強調表現。
◇よごす 
  「汚す」は、「汚れる」に対応する他動詞で、きれいなものを泥や油、排水などで汚くすること。
ひゆ的に、悪いことをすること。
      人ガ ものヲ よごす
       服を汚す  排水で川を汚す     悪事に関わって手を汚す
・スル動詞
 「汚染する」は、細菌・放射性物質・毒性の物質などによって、空気・水・土・食物などが生物に
有害な状態になること。そういう状態にすること。自動詞・他動詞両用だが、主に他動詞。
   大気・海・環境が 汚染される   
◇けがれる 
  「けがれる」は、あるものの正しさ・神聖さなどが損なわれること。(宗教的な考え方から)死や血
に関わることで、体が清い状態でなくなること。原因をニ格で表すことがある。書きことば。
      人・ものガ けがれる
       心が汚れる  汚れた行い  この者は汚れている    罪に汚れた者
◇けがす 
  「けがす」は、正しさ・神聖さなどを損なうこと。書きことば。
      人ガ ものヲ けがす
    名誉・家名・神を 汚す
 慣用表現で「末席を汚す」は、立派な席・地位にいることを謙遜する言い方。


よごれる(汚れる)一(よごれない・よごれます・よごれて・よごれれば) 
[1]〔ものガ (ものデ)〕
 △よごれやすい  よごれにくい  よごれてしまう  よごれてはいけない
  よごれたら洗う  よごれないようにする
 △[ひどく/真っ黒(まっくろ)に/薄汚(うすぎたな)く/どろどろに/すっかり]~。
 △[手/体/顔/服(ふく)/ハンカチ/シャツ/部屋(へや)/空気/川の水/車]が~。
 ・テーブルが汚れていたので、きれいにふいておきました。
 ・壁(かべ)汚れていると、気持ちが落ち着かない。
 ・東京はとても空気が汚れています。
 ・工場(こうじょう)が出した汚(きたな)い水のために川が汚れている。
 ・川の上流(じょうりゅう)のほうに人がたくさん住(す)むようになってから、川の水がすっかり汚
  れてしまった。
 ・汚れにくい布(ぬの)が発明されたそうだ。
 ・そんな汚れたハンカチで手をふかないでください。
 ・汚れた手で目や食べ物にさわると、病気になるよ。
 ・あせで汚れた下着(したぎ)は早くとりかえたほうがいいですよ。
 ・どろで汚れたくつはあらってもなかなかきれいにならない。
 ・服が汚れることをあんまり気にしなくていい。汚れたら洗えばいいだけのことだ。
 ・ソファーの背(せ)が汚れないようにカバーがつけてある。
 ・彼女は顔や手がどんなに汚れようと気にせず、けんめいに働(はたら)いた。
[2]〔ものガ ものニ〕
 △[泥(どろ)/手あか/都会(とかい)のあか]に~。
 ・妻は、泥に汚れた子どもたちの服を見てためいきをついた。
 ・その男は、まっくろに手あかに汚れたノートをとり出して、自分が作ったばかりの俳句(はいく)
  を書きつけた。
 ・私は、都会のあかに身(み)も心も汚れてしまった。もう、まともな暮らしに戻ることはできない。

<複合動詞:よごれ->
[よごれきる] ものガ
 ・油と泥で汚れきった作業着を洗剤につけておいた。
 ・わたしは身も心も汚れきってしまった。
 

よごす(汚す)五(よごさない・よごします・よごして・よごせば・よごそう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △よごしやすい  よごしてしまう  よごしてはいけない  よごさないように 
  よごされる  よごしかねない  よごそうとする
 △[ひどく/真っ黒(まっくろ)く/薄汚(うすぎたな)く/どろどろに/すっかり]~。
 △[ズボン/服(ふく)/手/皿(さら)/部屋(へや)/本/空気(くうき)/川の水]を~。
 ・子どもはよく服を汚してしまうので、洗濯(せんたく)がたいへんです。
 ・ちょっと本を汚したからといって、そんなにおこらないでください。わざと汚そうとしたんじゃ
  ないんですから。
 ・子どもが服をすぐに汚すので、日になんども洗濯(せんたく)をしなくてはならない。
 ・できるだけ食器(しょっき)を汚さないように、たべ物を一つのお皿にのせましょう。
 ・子どもたちが大ぜいあそびに来て、すっかり部屋を汚された。
 ・車の出すガスのために空気が汚されている。
 ・社会へ出て、自分の手を汚して働(はたら)かなくては、労働(ろうどう)の大切さは分からない。
 ・あの人は、悪い事をするときに、自分では手を汚さないで、人にやらせる。

<スル動詞>
[汚染(おせん)する]  ものガ ものヲ
 ・工場からの排水が川を汚染している。
 ・私たちが使う車の排気ガスによって空気が汚染され、私たちの健康を損なっている。
      大気・海・海水・海洋・環境を  農薬で・放射能に~される


けがれる(汚れる)  一(けがれない・けがれます・けがれて・けがれれば)
[1]〔ものガ (ものニ)〕
 △けがれてしまう  けがれないようにする  けがれさせる  
 △[すっかり/ひどく/取り返しがつかないほど/心の底(そこ)まで]~。
  △[心/体/精神(せいしん)/血/名誉(めいよ)/家名(かめい)/純潔(じゅんけつ)]が~。
 ・私は心も体もすっかりけがれてしまった。もう元(もと)には戻(もど)れない。
 ・大人(おとな)たちは、若い二人のしたことで家名が汚れることを恐(おそ)れていた。
 ・子どもの、汚れていない、純粋(じゅんすい)な心を大切に育(そだ)てていきたい。
 ・あの方が罪(つみ)に汚れた私たちを救(すく)ってくださった。
 ・その本の中の言葉(ことば)が、私のけがれた心を清(きよ)めてくれた。
  ・精神が汚れることのないよう、日々(ひび)、行(おこな)いを省(かえり)みることが大切だ。
  ・古代(こだい)、ある職業(しょくぎょう)を汚れたものと考えるという差別(さべつ)があった。
 ・女もまた、汚れた者とされた。


けがす(汚す)  五(けがさない・けがします・けがして・けがせば・けがそう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △けがしかねない  けがしてしまう  けがしてはいけない  けがさないようにする
  けがされる  けがすな!
 △[すっかり/ひどく/わざと/悪意(あくい)を持って/口汚(くちぎたな)く]~。
  △[名誉(めいよ)/名/家名(かめい)/神(かみ)/誇(ほこ)り/伝統(でんとう)]を~。
 ・その人々は家名(かめい)を汚すこと、汚されることを何よりも恐(おそ)れていた。
 ・神を汚してはならない。たとえ自分の信じない宗教(しゅうきょう)であっても、その神を汚すよ
  うなことを言ってはならない。
  ・お前の言葉(ことば)は我々(われわれ)の名誉を汚した。故(ゆえ)に、ここに決闘(けっとう)を申
  し込む。
 ・政治家(せいじか)のその発言で、心の中の大事なものを汚されたように感じた。
 ・高名(こうめい)な方々が大勢(おおぜい)おられる委員(いいん)会の委員に選ばれるという栄誉 
  (えいよ)に浴(よく)し、末席を汚しております。
  


[41] 膨らむ・膨れる しぼむ・へこむ・くぼむ・ゆがむ
 ものガ内部からの圧力で大きくなったり、逆に小さくなったり、変形したりすること。
 自動詞は、「-ている」の形で状態を表す。名詞修飾は「-た」の形になる。

◇ふくらむ 
  「膨らむ」は、ものが内側から外へ盛り上がって大きくなること。ひゆ的に、数量が大きくなるこ
と、精神的な内容についても言う。
      ものガ ふくらむ
    風船・シャボン玉が ふくらむ  花のつぼみがふくらんできた
    借金がふくらむ  希望・疑惑が ふくらむ
◇ふくれる 
  「膨れる」は、内から外へと盛り上がって大きくなること。人が不満そうな顔をすること。
      もの・人ガ ふくれる
    モチがふくれる  お菓子が小さいので子どもがふくれている
・複合動詞
 「膨れ上がる」は、ひどく膨れること。「着ぶくれる」は、衣類をたくさん着て、体が膨れたよう
になること。
・スル動詞
 「膨張する」は、膨れて大きくなること。ひゆ的に、量が増すことを言う。
◇ふくらます 
  「膨らます」は、膨らむようにすること。ひゆ的に、精神的なことにも言う。「胸をふくらます」
は期待すること。対象をニ格にとる。「ふくらむ」の使役形「ふくらませる」も同義で使われる。な
お、「ふくらます」の可能形も「ふくらませる」という形なので、区別が付きにくくなる。
      人ガ ものヲ ふくらます/ふくらませる
    浮き輪をふくらます  イメージをふくらませる(←イメージがふくらむ)
    風船をふくらませる(ふくらむようにする/ふくらますことができる)
   人ガ ものニ ものヲ ふくらます/ふくらませる
期待に胸をふくらまして/ふくらませて
◇しぼむ 
  「しぼむ」は、ふくらんでいたものが、力を失って小さくなること。ひゆ的に、精神的なことにも
言う。
      ものガ しぼむ
    風船がしぼむ  夢がしぼむ
◇へこむ 
  「へこむ」は、強い力が加わって、面の一部が周囲より低くなること。精神的にくじけること。
      もの・人ガ へこむ
       テーブルのまん中がへこむ   厳しく叱られてへこむ
◇くぼむ 
  「くぼむ」は、地面や壁などの一部分が周囲より落ち込むこと。
      ものガ くぼむ
       くぼんだ地面に水がたまっている  疲労で目がくぼんでいる
◇ゆがむ 
 「歪む」は、ものの正しい形が崩れて、曲がったりねじれたりすること。ひゆ的に、心や行動が正
しくないことを言う。
      ものガ ゆがむ
       鏡がゆがんでいる  ゆがんだ性格
◇ひずむ 
  「歪む」は、ものに力が加わって正しい形が失われること。映像や音に関してよく使われる。
      ものガ ひずむ
    画像が歪んでいる  歪んだ音
◇まるまる
  「丸まる」は、形容詞「丸い」に「-まる」がついた動詞。丸くなること。
      ものガ まるまる
       先端・角・背が 丸まっている  ネコ・子どもが 丸まって寝ている
◇まるめる
  「丸める」は、形容詞「丸い」に「-める」がついた動詞。丸くすること。ひゆ的に、うまく話し
て相手を自分の思うように納得させること。 慣用表現で「頭を丸める」は、髪の毛を剃ること。出
家してお坊さんになること。
      人ガ もの・人ヲ まるめる
       紙・ハンカチ・雪を 丸める  上司にうまく丸められる
 

ふくらむ(膨らむ)  五(ふくらまない・ふくらみます・ふくらんで・ふくらめば)
[1]〔(人・ものガ) ものガ〕
 △ふくらみそうだ  ふくらんでくる  ふくらまないようにする  ふくらませる
 △[ゆっくり/少しずつ/次第(しだい)に/だんだん/急に/突然(とつぜん)/大きく]~。
  △[花のつぼみ/風船(ふうせん)/シャボン玉/バッグ/かばん/袋(ふくろ)]が~。
  ・春になって日に日に暖かくなり、桜(さくら)のつぼみもふくらんできた。
 ・うちの娘(むすめ)も少し胸(むね)が膨らんできたようだ。
  ・大きくふくらんだ風船のひもを持って、小さな子がにこにこしている。
 ・子どものポケットはもらったお菓子(かし)でふくらんでいた。
 ・私の財布(さいふ)は、お札(さつ)でなくて小銭(こぜに)でふくらんでいるだけだ。
 ・網(あみ)にのせ、火にかけて、次第にふくらんでくるおもちを見ていると、幸せだ。
 ・ヨットの帆(ほ)は風を受けて大きくふくらみ、水しぶきを上げて快走した。
 ・そのころの会社は借金(しゃっきん)がふくらみ、倒産(とうさん)寸前(すんぜん)だった。
 ・不景気(ふけいき)で赤字(あかじ)がふくらみつつある。
[2]〔ものガ ものニ〕
  ・留学(りゅうがく)の試験(しけん)に合格し、彼女の胸は希望(きぼう)にふくらんでいた。
 ・絶好(ぜっこう)のチャンスをいただいて、期待(きたい)に胸がふくらんでいます。


ふくれる(膨れる)  一(ふくれない・ふくれます・ふくれて・ふくれれば)
[1]〔ものガ〕
 △ふくれかける  ふくれてくる  ふくれないようにする  ふくれさせる  
 △[少し/大きく/急に/ぷうっと/ぷくっと]~。
  △[パン/焼き餅(やきもち)/手のひらのマメ/袋(ふくろ)]が~。
  ・おもちが焼き網の上でぷっくりと膨れている。おいしそう。
 ・カバンが大きく膨れているのは、古本屋(ふるほんや)でたくさんマンガを買ったからだ。
 ・母のがま口(ぐち)が小銭(こぜに)で膨れている。
[2]〔ものガ 数ニ〕
 ・同窓会(どうそうかい)の会員が1万名に膨れたころから、名簿(めいぼ)作りが大変になった。
 ・今年は輸出量(ゆしゅつりょう)が2倍に膨れ、関係企業は大忙(おおいそが)しだ。
[3]〔人ガ (ものガ)〕
 ・最近の新入社員は少し小言(こごと)を言うとすぐ膨れるのでこまる。
  ・彼女はささいなことでふくれた顔をするんだけど、そこがまたかわいいんだよね。
  ・ビールで腹がふくれて、もう何も食べられない。
 ・この花瓶(かびん)は胴(どう)がちょっとふくれていて、柔(やわ)らかな形をしている。
  ・中年(ちゅうねん)太(ぶと)りで腹が膨れてきて、みっともない体型(たいけい)になってきた。

<複合動詞:ふくれ->
[ふくれあがる] ものガ 
 ・網の上で餅がぷっくり膨れ上がり、破裂してしぼんだ。
 ・工員の間で不満が膨れ上がっているのを工場長は感じていた。
 ・原油高でコストが膨れ上がり、会社は赤字に転落した。
      足・怒り・腕・顔・期待・希望・恐怖・疑惑・好奇心・コスト・数量・総額が
   腹・不安・不満・頬・まぶた・真ん中・餅・列が  異様に 巨大に たちまち
[きぶくれる] 人ガ 
 ・寒がりの子供が何枚も重ね着して、ころころに着膨れている。
 ・冬は皆が着ぶくれているので、通勤ラッシュの時はいっそうきつくなる。
<スル動詞>
[膨張(ぼうちょ)する]  人ガ ものヲ
 ・我が国の借金は毎年膨張している。
 ・組織がしだいに膨張していくのをどうやって抑えるか。


ふくらます(膨らます)  五(ふくらまさない・ふくらまします・ふくらまして・ふくらませば
  ・ふくらまそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ふくらましてみる  ふくらましてはいけない  ふくらまさないほうがいい
  ふくらませない  ふくらまそうとする    ふくらますな! 
 △[大きく/息(いき)を吹き込んで/思いきり/ひそかに]~。
  △[おなか/頬(ほお)/風船(ふうせん)ガム/気球(ききゅう)/浮き輪(うきわ)]を~。
  [イメージ/思い/想像(そうぞう)]を~。
  ・空気を吸い込んで肺をふくらまして下さい。
  ・おみやげが気に入らなかったのか、娘(むすめ)は不満(ふまん)そうに頬をふくらましていた。
 ・浮き輪はふくらませた? まだ? ふくらましておいてね。(ふくらませる:可能)
 ・子どもたちは風船ガムをどれだけ大きくふくらませるかで競争(きょうそう)していた。
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 ・若い人たちは希望に胸を膨らませ、留学説明会に集まった。(ふくらませる:「ふくらむ」の使
  役形)


しぼむ(萎む)  五(しぼまない・しぼみます・しぼんで・しぼめば)
[1]〔ものガ〕
 △しぼみかける  しぼんでいく  しぼんでしまう  しぼまないようにする
 △[急に/すこしずつ/はかなく/だんだん/次第(しだい)に/見る影(かげ)もなく]~。
  △[花/朝顔(あさがお)/葉(は)/風船(ふうせん)/心/気持ち]が~。
  [希望(きぼう)/夢(ゆめ)/期待(きたい)/空想(くうそう)/計画(けいかく)]が~。
  ・朝早く開(ひら)いた花が、昼過ぎにはしぼんでしまった。花の命(いのち)は短いねえ。  
  ・この朝顔は昼になってもしぼまない。品種(ひんしゅ)が違うらしい。
 ・試験に落ちてしまい、私の夢はしぼんでしまった。
  ・初めは意気込んでいた気持ちが、だんだんしぼんできて、ダメかなあと思い始めた。 


へこむ(凹む)  五(へこまない・へこみます・へこんで・へこめば)
[1]〔ものガ〕
 △へこみはじめる  へこんでしまう  へこまないようにする  へこませる
 △[少し/大きく/かなり/ひどく/深く/あちこち/でこぼこに]~。
  △[地面(じめん)/土(つち)/座布団(ざぶとん)/おなか/ドア/真ん中(まんなか)]が~。
  ・壁がへこんでいる。どうしたんだろう。
 ・土が軟(やわ)らかいので、車の通ったあとがへこんでいる。
 ・昨夜の暴動(ぼうどう)で、駐車(ちゅうしゃ)してあった車がぼこぼこにへこまされている。
 ・中年になると、出てきた腹をどうへこませるかに悩むようになる。
 ・このへやの床(ゆか)はまん中あたりがなぜかへこんでいて、ボールを置くところがっていく。
[2]〔人ガ〕
  ・この前の会議ではさんざん批判(ひはん)されたけれど、それぐらいでへこむ人間じゃないぞ。


くぼむ(窪む)  五(くぼまない・くぼみます・くぼんで・くぼめば)
[1]〔ものガ (ものデ)〕
 △くぼみそうだ  くぼみかけている  くぼんでしまう  くぼまないようにする
 △[少し/大きく/深く/かなり/急に/だんだん/日に日に]~。
  △[道路(どうろ)/地面(じめん)/床(ゆか)/まん中/岩(いわ)/砂浜(すなはま)の一部]が~。
  ・道のまん中が地震(じしん)で大きくくぼんでしまい、車が通れなくなった。
 ・大型トラックが多く通るため、道路の一部が少しくぼんでいて、自転車には危険(きけん)だ。
 ・疲れすぎると、表情(ひょうじょう)に力がなくなって目がくぼんでいるように見える。
 ・壁(かべ)の一部がくぼんでいて、そこに飾(かざ)り物を置くようなデザインになっています。
<複合動詞:-くぼむ>
[おちくぼむ] ものガ
 ・父は病気のために目がすっかり落ちくぼんでしまった。
 ・彼女は長い間の苦しい生活で頬が落ちくぼんでしまっていた。


ゆがむ(歪む)  五(ゆがまない・ゆがみます・ゆがんで・ゆがめば)
[1]〔ものガ (ものデ)〕
 △ゆがんでしまう  ゆがんではいけない  ゆがまないようにする
 △[少し/かなり/相当(そうとう)/ひどく]~。
  △[形/画面(がめん)/画像(がぞう)/映像(えいぞう)/性格(せいかく)/心]が~。
  ・昔の茶人(ちゃじん)は、ゆがんだ形の茶わんを好んだそうだ。
 ・大きな飛行機が上空(じょうくう)を通過(つうか)すると、テレビの画面がゆがむんです。
 ・どこか故障(こしょう)しているらしく、モニターの画像がゆがんでしまって、字が読めない。
  ・この古い建物は、長い間に湿気(しっけ)を吸って、壁(かべ)が所々ゆがんでいる。
 ・彼は複雑な家庭(かてい)環境(かんきょう)で性格が歪んでしまったらしい。
 ・うちの親(おや)はかなり変人(へんじん)だったので、私は親の影響(えいきょう)でものの見方が
  歪んでしまったようだ。  
[2]〔人ガ ものガ ものニ〕
 ・彼はあまりの苦痛(くつう)に顔が歪んだ。
  ・悔(くや)しさに唇(くちびる)がゆがむのを抑(おさ)えられなかった。

ひずむ(歪む)  五(ひずまない・ひずみます・ひずんで・ひずめば)
[1]〔ものガ〕
  ・スピーカの調子が悪くて、音がひずんで聞こえる。
 ・この絵の中の顔がひずんでいるのは、精神のひずみを表しているのだろう。
  ・世の中がひずんでいるために、人の心もゆがんできているのではないか。
 ・資本主義(しほんしゅぎ)はよい制度(せいど)なのかもしれないが、競争(きょうそう)のあまりの
  激(はげ)しさに、社会がひずんできているのではないか。
 
▽「ゆがむ」「ひずむ」は、漢字で表記すると同じになり、どちらか区別がつけにくい。多くは「ゆ
 がむ」だと思われる。


まるまる(丸まる)  五(まるまらない・まるまります・まるまって・まるまれば・まるまろう)
[1]〔ものガ〕
 △まるまってしまう  まるまらないようにする
 △[少し/やや/すっかり/くるっと/くるくると/すぐに/だんだん]~。
  △[先(さき)/先端(せんたん)/角(かど)/端(はし)/背(せ)/紙/ネコ/子ども]が~。
  ・紙にクセがついていて、置いておくと丸まってしまう。
 ・ネコが縁側(えんがわ)で丸まって居眠(いねむ)りしている。春だねえ。
  ・子どもの鉛筆(えんぴつ)の先端がみな丸まっている。削(けず)るのがめんどうらしい。
 ・机(つくえ)の角が丸まっているのは、幼児が頭をぶつけても痛くないように、ということだろう。
 ・葉っぱの先が丸まっているのが、何ともかわいい。
 ・おばあちゃんの丸まった背中(せなか)を見て、これまでの苦労(くろう)を思った。


まるめる(丸める)  一(まるめない・まるめます・まるめて・まるめれば・まるめよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △まるめておく  まるめてしまう  まるめてはいけない  まるめようとする
  まるめられる
 △[少し/すっかり/くるっと/くるくると/ゆっくり/ていねいに/慎重(しんちょう)に]~。
  △[粉(こな)/ハンカチ/パンツ/書類(しょるい)/紙くず/背中(せなか)/新聞紙]を~。
 ・小麦粉(こむぎこ)を水で練(ね)って、小さく丸めます。
  ・子どもの時は、泥(どろ)を丸めて団子(だんご)にするという遊びをよくやったものだ。
 ・積(つ)もっていた雪を手に取り、丸めて彼の頭にぶつけた。
  ・書き損(そん)じた原稿(げんこう)を丸めてくずかごに放(ほう)り込んだ。
 ・洗濯機(せんたくき)の中にシャツとパンツを丸めて入れた。
  ・ネコが背中を丸めてじっと座りこんでいる。
 ・主任(しゅにん)に、おかしいじゃないですかと文句(もんく)を言いに行ったが、まあいろいろあ
  るからとか何とか、うまく丸められてしまった。
  ・不平(ふへい)を口にする部下(ぶか)をなんとか丸めて働かせるのは楽じゃない。 

[42] 剥ける・剥く 剥がれる・剥がす
  ものの表面が薄くとれること、とることを表す動詞。

◇むける 
  「剥ける」は、ものの表面に薄く付いて覆っていたものがとれること。
      ものガ むける
       日に焼けて、背中の皮が剥けてきた
◇むく 
  「剥く」は、(中のものを使うために)何かの表面に力を加えて薄く取り去ること。
      人ガ ものヲ むく
     バナナの皮を剥く   卵の殻を剥く
・複合動詞
 「むき出す」は、ふだんは他のものに覆われているものを出してみせること。ひゆ的に、感情など
  をはっきり表すこと。
 「すりむく」は、何かとすって皮膚をむいてしまうこと。
    歯をむき出す  感情をむき出して話す     ひざをすりむく 
・「むく」の可能形は「むける」で、自動詞の「剥ける」と形が同じで、その区別がはっきりできな
い場合がある。「剥くことができる」のか、「自然にそうなる」のか、の違いだが、どちらかに決め
る必要はないだろう。
    ゆでた栗はうまくむけないが、甘栗は皮がきれいにむけるので食べやすい。
・複合動詞「すりむける」は、皮膚などが何かとすってむけてしまうこと。
◇はがれる 
  「剥がれる」は、ものの表面に薄く付いていたものが(全体的に)とれること。
      ものガ はがれる
     ポスターが壁から剥がれる   ペンキがはがれている
・複合動詞「剥がれ落ちる」は、剥がれて落ちること。
◇はげる
  「剥げる」は、表面を覆っていたものが(部分的に少しずつ)とれること。
      ものガ はげる
      壁の塗料が剥げている
・複合動詞「はげ落ちる」は、剥げて落ちること。「剥げかける」は、剥げそうな状態になること。
◇はがす 
  「剥がす」は、表面に薄く付いていたものを力を加えて取ること。
      人ガ ものヲ はがす
      電柱の張り紙をはがす   爪をはがしてしまって痛い
・複合動詞「引きはがす」は、引いてむりに剥がすこと。
◇はぐ 
  「剥ぐ」は、外側に付いているものを引き離すように取ること。
      人ガ ものヲ はぐ
      木の樹皮をはぐ
  「はぐ」の可能形は「はげる」で、自動詞の「はげる」と同じ形になる。
    この木の皮は、人の手ではうまく剥げないが、放っておくと自然に剥げる
・複合動詞「はぎ取る」は、剥ぐようにしてむりに取ること。

むく(剥く) 五(むかない・むきます・むいて・むけば・むこう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △むきやすい   むきにくい皮  むいておく  むいてみる  むいてある  むいてしまう 
  皮をむきかけのリンゴ  皮をむかずに食べる  皮をむかれる  皮をむかせる
 △[ゆっくり/急に/むりに/力を入れて/じょうずに/きれいに]~。
  [全部(ぜんぶ)/半分ぐらい/少しだけ/少しずつ/]~。
 △[じゃがいもの皮(かわ)/みかんの皮/ゆで卵(たまご)の殻(から)/りんご]を~。
 ・まず、なべにお湯をわかしておきます。それから、ジャガイモの皮をむきます。
 ・姉(あね)はリンゴの皮(かわ)をむくのが上手だ。
 ・タマネギをむこうとすると、そばにいたネコが逃(に)げていった。やはり目にしみるのだろうか。
 ・A:リンゴは皮をむかないで食べたほうがいいっていうのは本当?
  B:そうも言うけれども、今のリンゴは農薬(のうやく)がついているんじゃないかなあ。皮をむい
   たほうがいいと思うよ。
 △[歯(は)/目/キバ]を~。
 ・ライオンはキバをむいて、人々をふるえあがらせた。
 ・「このTシャツが1万円!?」父は目を剥いて驚いていたけれど、そんなの珍(めずら)しくないよ。

<複合動詞:むき->
[むきだす] 人ガ ものヲ 
 ・犬は歯をむき出してうなった。
 ・厳しく批判された彼は、感情をむき出して反論の言葉を返した。 
   牙・歯・敵意・感情・欲望を あらわに 露骨に 目を~て怒る
<複合動詞:-むく>
[すりむく] 人ガ ものヲ 
 ・幼児が転んでひざをすりむいた。
 ・自転車でスピードを出して派手に転び、ももから脇腹のあたりをひどくすりむいた。
      足・くるぶし・ひざ・膝頭・ひじ・指先を はでに


むける(剥ける) 一(むけない・むけます・むけて・むければ) 
[1]〔ものガ〕
 △むけやすい  むけそうだ  むけかけている  むけてしまう  むけないようにする
 △[ゆっくり/急に/きれいに/すっきり/半分]~。
 △[皮(かわ)/ひふ/背中(せなか)/表面(ひょうめん)/一部分(いちぶぶん)]が~。
 ・夏、毎日山を歩いていたら、腕(うで)の皮が少しむけました。
 ・海で日やけした所の皮がむけてきた。全部むければきれいになる。
  ・皮がむけやすい体質(たいしつ)なので、ちょっと焼けただけでむけてしまいます。
 ・この木は、この季節になると、自然に皮がむけて落ちていく。
 ・このあたりの木は、みな皮が剥けている。何かの動物が剥いたのだろうか。
 ・どういうゆでかたをすると、たまごのカラがうまくむけるようになるんだろう?
 ・チョコレートを食べようとしたら、アルミ箔(はく)が少しむけていた。不良品(ふりょうひん)か?

<複合動詞:-むける>
[すりむける] ものガ
 ・転んですりむけたひざに、大きなばんそうこうを貼った。
 ・久しぶりに木に登ったら手の皮がすりむけた。
      手の皮・肌・鼻の頭・ひざ・皮膚が


はがれる(剥がれる)  一(はがれない・はがれます・はがれて・はがれれば)
[1]〔ものガ ものカラ〕
 △はがれやすい  はがれそうだ  はがれかけた  はがれてはいけない  はがれてしまう
  はがれないようにする
 △[少しずつ/全部/ぽろぽろ/ぼろぼろと/一気(いっき)に/突然(とつぜん)]~。
  △[ポスター/切手(きって)/ばんそうこう/ガムテープ/セロテープ/のり]が~。
  ・ポスターが雨で塀(へい)からはがれてしまった。
 ・サラ金(きん)のビラが電柱からはがれて落ちた。
 ・ぼろぼろになった辞書のノリでつけた所がはがれてきた。何年も使ったからなあ。
 ・セロテープははがれやすいから、もっと丈夫なテープを貼(は)らないとだめだよ。
 ・転(ころ)んですりむいたヒザのかさぶたが剥がれそうだ。むりに剥がすと痛いんだろうけど、ど
  うも気になるなあ。
<複合動詞:はがれ->
[はがれおちる] ものガ 
 ・壁に貼ったポスターが急にはがれ落ちた。受験の日に落ちるなんて縁起でもない。
 ・小包に貼った切手がはがれ落ちないように、強力接着剤を使った。


はげる(剥げる)  一(はげない・はげます・はげて・はげれば)
[1]〔ものガ〕
 △はげそうだ  はげかけている  はげないようにする  
 △[少し/一部/だんだん/だいぶ/大部分/所々(ところどころ)/ぼろぼろと/ぽろっと]~。
  △[ペンキ/塗料(とりょう)/塗装(とそう)/しっくい/化粧(けしょう)/おしろい]が~。
  ・屋根(やね)のペンキがはげてきたので、そろそろ塗(ぬ)り直さないといけない。
 ・家の外壁(がいへき)が少し剥げてきた。
  ・高速道路(こうそくどうろ)の柱のコンクリートがあちこち剥げている。大丈夫だろうか。
  ・古い漆器(しっき)のうるしがところどころ剥げてきた。
  ・彼はこれまでうまく人をだましてきたが、そろそろ化けの皮がはげてきたようだ。 

<複合動詞:はげ->
[はげおちる] ものガ 
 ・外壁のペンキがところどころ剥げ落ちて、何だか面白い模様になっている。
 ・若くして成功した実業家という外面が剥げ落ちてしまうと、ただのわがままな男だ。
      壁・化粧・幻想が ところどころ ぼろぼろ ぽろぽろ 
[はげかける] ものガ
 ・塀に縫った塗料が剥げかけていてみすぼらしい感じがする。
 ・有能な政治家だという彼の仮面も、次第に剥げかけてきている。


はがす(剥がす)  五(はがさない・はがします・はがして・はがせば・はがそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はがしたい  はがしにくい  はがしてはいけない  はがさなければならない
  はがさせる  はがされる  はがそうとする  はがせ!  はがすな!
 △[少し/すこしずつ/ぜんぶ/一気(いっき)に/慎重(しんちょう)に/丁寧(ていねい)に]~。
  △[切手(きって)/ポスター/張り紙(はりがみ)/ビラ/絆創膏(ばんそうこう)]を~。
  ・やかんの湯気(ゆげ)で封筒(ふうとう)から切手をはがした。うまくはがせた。
 ・ツメをはがしてしまって、猛烈(もうれつ)に痛(いた)い。
 ・足に貼(は)ったサロンパスをはがす。足の毛が引っ張られて痛い。
 ・絆創膏をはがしてみると、傷(きず)はかなり治っていた。
 ・濡(ぬ)れたぞうきんでこすり、壁(かべ)のポスターをはがそうとしたが、なかなかはがれない。
 ・寝ている子どものふとんをはがして起こした。9月1日。今日から学校だよ。
  ・偉(えら)そうにしているヤツの化けの皮をはがしてやろうと計画(けいかく)を立てた。

<複合動詞:-はがす>
[ひきはがす] 人ガ ものヲ (ものカラ) 
 ・リフォームの業者が壁の板を引き剥がし始めた。
 ・兄弟げんかをして、怒った弟は兄の部屋のかべのポスターを引きはがした。
      ラベル・ポスター・床板・テーブルかけ・絆創膏・体を べりべりと


はぐ(剥ぐ)  五(はがない・はぎます・はいで・はげば・はごう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △はいでみる  はいでしまう  はいではいけない  はがないほうがいい  はごうとする
  はがせる  はがれる  はげ!  はぐな!
 △[少しずつ/乱暴(らんぼう)に/力まかせに/べりべりと/ゆっくり]~。
  △[皮(かわ)/薄皮(うすかわ)/布(ぬの)/ふとん/毛布(もうふ)/屋根(やね)/芝(しば)]を~。
  ・日曜の朝、のんびり寝ていると子どもが来て、ふとんをはぎ、毛布をはいで、「お外で遊ぼう」
  と言う。
 ・一枚、一枚、古いガーゼをはいでいくと、中からミイラが姿(すがた)を現(あらわ)した。   
  ・木の皮を丁寧(ていねい)にはぐと、中から真っ白(まっしろ)な幹(みき)が現れます。   

<複合動詞:はぎ->
[はぎとる] 人ガ ものヲ ものカラ
 ・電柱に張られた違法なチラシをはぎ取って回った。
 ・あの県会議員のうそで固められた仮面をはぎ取ってやりたい。
      皮・服・掛け布団・上着・覆いを 金目のものを 神話・属性を 力任せに

[43] 削る・掘る
              
◇けずる
  「削る」は、刃物を使って、ものの一部を少しずつ表面にそって取ること。ひゆ的に、一部分を取
り除くこと。
      人ガ ものヲ (ものカラ) けずる
    材木・鉛筆を 削る  予算を削る  名簿から名前を削る
・複合動詞「削り落とす」「削り取る」は、「削って~する」ことを表す。
◇ほる
 「掘る」は、地面や材木などの一部を削って穴をあける(低い部分を作る)こと。対象のヲ格として、
その場所、取り去るもの、結果としてできるものの三つをとりうる。
      人ガ (ものニ) ものヲ ほる
    地面を掘る  地面の土を掘る  地面に穴を掘る  溝を掘る
 また、掘った結果取り出すものもヲ格になる。
    石炭・石油を 掘る
 「彫る」は、刃物でものの表面に形を刻む、あるいはそのもの全体で形を表すように削ること。
    銅板にイニシャルを彫る   木の仏像を彫る
・複合動詞
 掘る:
 「ほり-」が「掘ることによって~する」ことを表すもの。ひゆ的な意味にもなる。
  「掘り当てる」「掘り起こす」「掘り進む」「掘り出す」
    石油・意外な事実を 掘り当てる  畑・歴史を 掘り起こす  トンネルを掘り進む 
    土器・埋もれた人材を 掘り出す
  「掘り返す」は再び掘ること。「掘り下げる」は掘る方向を表す。「掘り抜く」はある地点(向こ
   う側)まで掘ること。
        畑・記憶を 掘り返す  穴・問題点を 掘り下げる  岩山を掘り抜く
 彫る:
  「彫り上げる」の「-あげる」は方向ではなく、完成を意味する。
    仏像を彫り上げる
  「彫り込む」「彫りつける」は、内部に向かって、離れないように、ということを表し、ほぼ同
  じ意味になる。ヲ格とニ格をとる。
    板に名前を彫りこむ/彫りつける
・スル動詞
 「発掘する」は、土の中に埋まっている遺跡や財宝などを掘り出すこと。ひゆ的に、優れた人や知
られていないものを見つけ出すことを言う。
◇えぐる
 「えぐる」は、ナイフなどを差し込み、回すようにしてその部分を掘り抜くこと。ひゆ的に、社会
的な問題などを鋭く暴くこと。心を突き刺すような強い衝撃を与えること。
      人ガ ものヲ えぐる
    腹をえぐる  社会の暗部をえぐる  肺腑をえぐる一言
・複合動詞
 「えぐり出す」は、えぐって出すこと。「えぐり取る」は、えぐって取ること。
 

けずる(削る) 五(けずらない・けずります・けずって・けずれば・けずろう)
[1]〔人ガ ものデ ものヲ〕
 △けずりたい  けずりすぎる  けずっておく  けずってある  けずってもらう
  けずったほうがいい  けずってはいけない  けずらせる  けずられる
  けずらないでほしい  けずろうとする  けずれ!  けずるな! 
 △[少し/かなり/大きく/ほそく/こまかく/ていねいに/慎重(しんちょう)に]~。
 △ナイフで[鉛筆(えんぴつ)/木/板(いた)/角(かど)/端(はし)]を~。
 ・ナイフで木を削って、ペーパーナイフを作った。
 ・父がかんなで板を削っている。本棚(ほんだな)を作るそうだ。
[2]〔人ガ ものカラ ものヲ〕
 △文章(ぶんしょう)から[不適切(ふてきせつ)なことば/悪い表現(ひょうげん)]を~。
  予算(よさん)から[人件費(じんけんひ)/図書費(としょひ)/事務費(じむひ)]を~。
 ・この文章は長すぎます。ここの20行(ぎょう)を削ってください。(文章から)
 ・時間がないので、このお寺の見学は削ることにします。(予定(よてい)から)
 ・かんづめや、ジュースは重いから持って行きません。だから、買物のリストから削りますよ。
 ・ことしは予算から図書費を削られた。(=予算の中に図書費がなくなった)
 ・ことしは事務費が削られてしまったので、えんぴつやはさみは自分で買ってください。

<複合動詞:けずり->
[けずりおとす] 人ガ ものヲ
 ・木の皮をこのナイフで削りおとしてください。
 ・ボクサーは死ぬ思いで体重を削り落としていく。
 ・こびりついてとれなかった汚れをカッターナイフを使って削り落とした。
   文字・汚れ・余分のものを
[けずりとる] 人ガ ものヲ
 ・この部分がナイフで削り取られている。名前が書いてあったらしい。
 ・ゆかにくっついたガムのかすを掃除のおじさんが削りとっている。
 ・裏の崖を少し削り取って、そこに物置を建てようと思っている。
      枝・崖・過剰なエネルギー・皮・小山・資本・肉・パテを


ほる(掘る・彫る) 五(ほらない・ほります・ほって・ほれば・ほろう) 
[1]〔人ガ (所ニ) ものヲ〕
 △ほりやすい  ほりにくい  ほりかける  ほってみる  ほってある ほっておく
  ほってはいけない  ほろうとする  ほられる  ほらせる
 △[少し/浅く/深く/丸く/四角(しかく)く/縦長(たてなが)に]~。
 △[穴(あな)/溝(みぞ)/トンネル/井戸(いど)]を~。[土/砂]を~。
 ・うちの犬(いぬ)は庭(にわ)に穴(あな)を掘るのが好きでこまる。
 ・ここの地下水はおいしいそうなので、家のうらに井戸(いど)を掘らせています。
 ・P町とQ町の間の山にトンネルを掘ることになった。
[2]〔人ガ 所ヲ〕
 △[地面(じめん)/砂浜(すなはま)/裏(うら)の畑(はたけ)/床下(ゆかした)]を~。
 ・子どもたちが砂浜を掘って落とし穴を作ろうとしていた。
 ・木の根元(ねもと)を掘って肥料(ひりょう)を入れた。
 ・妻が作っている花壇(かだん)を犬が掘ってしまった。
[3]〔人ガ ものヲ〕
 △[金鉱(きんこう)]を~。[石油(せきゆ)/石炭(せきたん)]を~。
 ・むかしは、このあたりでも金鉱を掘っていたそうだ。
 ・にわの土を掘ってゴミを埋(う)めた。
 ・社長が会社の金をつかうとは、自分で墓穴(ぼけつ)を掘るようなものだ。
[4]〔人ガ ものヲ〕
 △[名前/イニシャル/魚の形]~を。[石仏(せきぶつ)/お地蔵(じぞう)さん]を~。
 ・粘土板(ねんどばん)に名前を彫って焼き、表札(ひょうさつ)にした。
 ・うちのおじいちゃんはこのごろ木で仏像(ぶつぞう)を彫っています。

<複合動詞:ほり->
[ほりあげる] 人ガ ものヲ 
 ・6か月もかかって、やっと仏像を彫り上げた。
 ・ホールの大きな壁面にはこの地方の伝統の模様が美しく彫り上げられている。
[ほりあてる] 人ガ ものヲ 
 ・調査に3年もかかったが、とうとう油田を掘り当てた。
 ・読みにくい歴史文書を読み進めるうちに、意外な新事実を掘り当てた。
   鉱脈・水脈・石油・小判の壺・貝を 
[ほりおこす] 人ガ ものヲ 
 ・種をまくために{畑/畑の土}を掘り起こした。
 ・各地方に埋もれている民謡や民話を掘り起こして、人々に知らせることは大切なことです。
 ・あの戦争についての、埋もれた史料や真実を掘り起こすのがわたしの目的です。
   畑・土・根・切り株・土管・死体・古文書・史実・需要・可能性・真実の姿・問題・票を
[ほりかえす] 人ガ ものヲ 
 ・水道工事のためにいま道路を掘り返しています。別の道を通ってください。
 ・古い記憶を掘り返して、当時の状況を再現してみました。
   砂・土・庭・芝生・木の根・畑・墓場・焼け跡・一帯・記憶・スキャンダルを
[ほりこむ] 人ガ ものニ ものヲ 
 ・背中に龍が彫り込んである。
 ・このナイフは山田和夫さんのらしい。柄に「K.Y.」と彫り込んである。
   名前・銘・線を 深く 記念碑に かっきりと 顔面に~れた深いしわ
[ほりさげる] 人ガ ものヲ 
 ・ここはまわりより少し高いから、掘り下げよう。
 ・A:その話はおもしろいから、もっとくわしく聞きたいですね。
  B:こういう話はあまり掘り下げるものじゃないですよ。
   穴・地面・雪・川・出来事・問題点・実例・原因を 詳しく 一歩
[ほりすすむ] 人ガ ものヲ 
 ・両側から海底を掘り進み、ついに海底トンネルが完成した。
 ・洞窟をさらに3メートルほど掘り進むと、人の作ったドアのような物があらわれた。
   モグラが 地下・トンネル・洞穴を 地底へ ぐんぐん
[ほりだす] 人ガ (ものカラ) ものヲ 
 ・村人たちが、土砂崩れで埋もれた家を掘り出している。
 ・あの社長は埋もれた人材を掘り出すのがうまい。
 ・土の中から古い時代の土器が掘り出された。
   芋・黄金・死体・石棺・埴輪・骨・真実・埋もれていたもの 根気よく
[ほりつける] 人ガ ものニ ものヲ
 ・庭の木の幹に自分の名前を彫りつけた。
 ・メダルには勝利の女神の像が彫りつけてあった。
   言葉・姿・説明・文字・紋章・神・印象・くさび形文字を 胸・脳裏に 粘土板に
[ほりぬく] 人ガ ものヲ
 ・岩山を掘り抜いて、核シェルターを建設している。
 ・地下の水脈まで井戸を掘り抜いた。
      岩山・山の腹を ~た洞窟
<スル動詞>
[発掘(はっくつ)する]  人ガ ものヲ
 ・古代の遺跡を発掘していると、隣に古代人がいるような気がしてくる。
 ・一人一人の中の、埋もれた能力を発掘するのが教師の仕事だと思っている。
 [~の発掘をする]
  ・人骨の発掘をするのは、さすがにあまり気持ちのいいものではない。


えぐる(抉る)  五(えぐらない・えぐります・えぐって・えぐれば・えぐろう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
 △えぐってみる  えぐってしまう  えぐってはいけない  えぐられる  えぐるな!
 △[深く/乱暴(らんぼう)に/力を込めて/すばやく//]~。
  △[壁(かべ)/地面(じめん)/皮膚(ひふ)/傷(きず)/腹(はら)/社会の暗部(あんぶ)]を~。
  ・リンゴの腐(くさ)ったところをナイフでえぐって取った。
 ・果物(くだもの)の芯(しん)をえぐって取るための便利な道具(どうぐ)があります。
 ・悲しみが彼の心を深くえぐった。
 ・その悲惨(ひさん)な映画を見るのは、はらわたをえぐられるような苦しみだった。
  ・優(すぐ)れたジャーナリストが問題の核心(かくしん)をえぐるルポを発表(はっぴょう)した。
 ・オイディプスは、苦悩(くのう)のあまり、自(みずか)ら両目(りょうめ)をえぐって盲目(もうも
  く)となった。

<複合動詞:えぐり->
[えぐりだす] 人ガ ものヲ
 ・彼は人間のもっとも腐った部分をえぐり出すような、そんな映画を作ろうとしている。
 ・社会の暗黒をえぐり出す、真のノンフィクションが生まれた。
   暗黒の部分・膿・業・恥部・内臓・犯罪行為・本質・醜さを 悪いところを
[えぐりとる] 人ガ ものヲ
 ・芽の部分には毒がありますから、ていねいにえぐり取ることが大切です。
 ・悲劇の主人公は、自ら目をえぐり取って、二度とこの世界を見ることのないようにした。
   心臓・内臓・肉を  芽を コンクリート壁の一部を

[44] 曲がる・曲げる

◇まがる
 「曲がる」は、まっすぐでない状態・進み方になること。ひゆ的に、性格や行動が正しくないこと。
「-ている」の形で状態を表す。
    ものガ まがっている
     道が曲がっている     ネクタイが曲がっている  彼は性格が曲がっている
・複合動詞
  「曲がりくねる」は、何回も曲がっていること。「折れ曲がる」は、折れるように鋭く曲がること。
◇まげる
 「曲げる」は、ものを曲がった状態にすること。ひゆ的に、事実や規則などを意図的に違ったよう
にすること。自分の主義・主張を変えること。
   人ガ ものヲ まげる
       鉄の棒を曲げる  ひざを曲げる  事実を曲げて報道する    信念を曲げない
◇そる・そらす
  「反る」は、まっすぐなもの、平らなものが弓のように曲がること。体が後ろに曲がること。
   ものガ そる
    板・紙・本の表紙が 反る  体が後ろに大きく反る
 「反らす」は自分の一部を反るようにすること。
   人ガ ものヲ そらす
    体を後ろにそらす
・複合動詞
 「反り返る」は、ものが大きく反ること。人が胸を張って体を後ろへ引くこと。
    偉そうに反り返っている
◇ねじる
  「ねじる」は、長いものの両端を逆向き強く回すこと。ものの端を強く回すこと。
   人ガ ものヲ ねじる
       体をねじる  電気コードをねじる  相手の腕をねじる
◇ねじれる
  「ねじれる」は、ねじられたような状態になること。ひゆ的に、人の性格や交渉などについて言う。
     ものガ ねじれる
    リボンがねじれている     ねじれた性格  話し合いがねじれてしまう
◇ひねる
  「ひねる」は、長いものの一部を回すこと。軽くねじること。
     人ガ ものヲ ひねる
    上体をひねる  スイッチ・蛇口を ひねる  
 慣用表現で、「首をひねる」は、疑問に思い、考え込むこと。「赤子の手をひねるように」は、弱
い相手にかんたんに勝つことを表す。


まがる(曲がる)五(まがらない・まがります・まがって・まがれば・まがろう) 
[1]〔ものガ〕
 △[道/川/枝(えだ)/線路(せんろ)/レール/線(せん)]が~。
  [からだ/ひざ/腰(こし)]  が~。
  [ネクタイ/かべにかけた絵(え)]がまがっている 
 △まがりやすい  まがりすぎる  かんたんにまがりそうだ  まがってしまった
  まがらないように  まがってしまったものは直せない  右にまがれば 反対にまがれ
 △道が[急に/大きく/するどく/ゆるく/ゆるやかに/なだらかに/くねくね]まがっている
  棒が[グニャリと/グニャッと]まがる  ボールがぐーんと右にまがる
  まがった[道/棒(ぼう)/くぎ/柱(はしら)/ネクタイ/腰(こし)]をまっすぐにする
  からだがやわらかくまがる  ゴムの棒がグニャグニャまがる   
 ・この道はもう少し先で大きく右に曲がります。
 ・このように何度も曲がった道では、とくに前に注意(ちゅうい)して運転(うんてん)してください。
 ・この材料(ざいりょう)は温度(おんど)が上がると曲がりやすくなる。
 ・「ニット」は、先の曲がった棒(ぼう)であんで、作ります。
 ・足を前に上げたとき、ひざが曲がらないように注意してください。
 ・曲がった腰(こし)に手をあてて、おばあさんが歩いて行く。
 ・壁(かべ)の絵(え)が曲がっていますよ。
 ・ネクタイが曲がっていますよ。(=むきがただしくない)
 ・お前は根性(こんじょう)が曲がっている。(=せいかくがわるい。いじわるだ。)
[2]〔人ガ 所ヲ (左/右ニ)〕
 △[かど/交差点(こうさてん)/ろうか]を~。
 ・運転手(うんてんしゅ)さん、つぎのかどをみぎに曲がってください。
 ・そのバスは交差点(こうさてん)を曲がって(=おれて)少し行ってとまった。
 ・つきあたりのろうかを曲がったら、すぐに「中田研究室」という札(ふだ)が見えますよ。

<複合動詞:まがり->
[まがりくねる]  ものガ
 ・曲がりくねった山道を登っていくと、小さなホテルがあった。
 ・旅館(りょかん)の廊下(ろうか)は迷路(めいろ)のように曲がりくねっていて、一人では元の所に
  戻れないような気がした。
      道・谷間・幹が くねくね うねうね 複雑・蛇のように ~た階段・坂
<複合動詞:-まがる>
[おれまがる] ものガ
 ・3センチのふとさの鉄の棒が折れ曲がってしまった。何があったのだろう。
 ・折れまがった釘でも、叩いてのばせば、また使えますよ。
 ・廊下がジグザグに折れ曲がった変な建物だった。
      道が  小径・廊下を 左右に ジグザグに 直角に くねくねと
 (「ねじまがる」→「ねじる」)
<スル動詞>
[カーブする]  ものガ (ものニ)
 ・ボールは大きくカーブ(を)して、右にそれた。
 ・この先で道は大きく左にカーブ(を)しています。
[屈折(くっせつ)する]  もの・人ガ
 ・光は水に入ると屈折する。
 ・山に入ると、道はくねくねと屈折した。
 ・屈折した心理を抱えて、町を彷徨した。
 ・あいつ、だれとも口をきかないね。だいぶ屈折しているみたいだな。

まげる(曲げる) 一(まげない・まげます・まげて・まげれば・まげよう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △[パイプ/ビニール・パイプ/針(はり)/鉄(てつ)のぼう/光(ひかり)]を~。
  [法(ほう)/法律(ほうりつ)/きまり/規則(きそく)/真実(しんじつ)]を~。
 △まげておく  まげてある  まげてしまう  まげてはいけない  すこしまげればいい
  まげられない  まげようとした
 △[大きく/少し/少しずつ/ゆっくり/急に/むりに/力を入れて/ひっぱりながら]~。
 ・針金(はりがね)を曲げて(=おりまげて)、人形(にんぎょう)を作った。
 ・ガラスぼうをバーナーで熱(ねっ)して、やわらかくして曲げてください。
 ・強い重力(じゅうりょく)が空間を曲げるというのはほんとうですか。
 ・この新聞は真実(しんじつ)を曲げて書いている。
 ・あなたの話を聞くとほんとうにかわいそうで、何とか助(たす)けてあげたいのだが、規則(きそ
  く)を曲げることはできないのです。
 ・あの人は、人の言葉(ことば)を曲げてとる(=違う意味に理解する)からこまる。
[2]〔人ガ (人の)ものヲ〕
 △[意志(いし)/方針(ほうしん)]を~。[体/足/ひざ/腕(うで)/腰(こし)/首]を~。
 ・あの人はまわりの人が何と言っても信念(しんねん)を曲げない。えらいなあ。
 ・この事は会社として決めた事です。その方針(ほうしん)を曲げるわけにはいきません。
 ・この作家は、戦争中(せんそうちゅう)にも節(せつ)も曲げないで戦争に反対してきたそうだ。
 ・運動(うんどう)をする前にひざやひじ、手首などの関節(かんせつ)を曲げたりのばしたりしてお
  いたほうがいい。     
<複合動詞:-まげる>
   「おりまげる」→「おる」 「ねじまげる」→「ねじる」


そる(反る)  五(そらない・そります・そって・それば・そろう)         
[1]〔もの・人ガ ものニ〕
 △そりやすい  そりかける  そってしまう  そらないようにする  そらせる
 △[少し/だいぶ/かなり/ひどく/大きく/丸く]~。
  [後(うし)ろ/横(よこ)/斜(なな)め/しなやか/弓(ゆみ)なり]に~。
  △[紙/表紙(ひょうし)/棚(たな)/柱(はしら)/体]が~。
  △[板(いた)/本の表紙(ひょうし)/木の枝(えだ)/背骨(せぼね)/指(ゆび)]が~。
  ・日が当たっていたので、本の表紙が大きく反ってしまっている。
 ・紙が丸く反ってしまうので、反対にまき直してなおした。
 ・棚が本の重さで弓形(ゆみがた)に反っている。
 ・ボクサーの身体(からだ)が後ろに大きく反った。      
 ・ボールを避けるため、体が大きく後ろに反った。 

<複合動詞:そり->                                                  
[そりかえる] 人ガ 人ものヲ
 ・安物の雑誌らしく、ビニールの表紙が陽に当たって反り返ってしまっている。
 ・叔父はソファーにどっかりと腰を下ろし、反り返ってテレビを見ていた。
      体・表紙・指・尾・厚紙が 後ろへ 椅子・ソファーに ぐっと 


そらす(反らす)  五(そらさない・そらします・そらして・そらせば・そらそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △そらしてみる  そらさなければならない  そらさせる  そらすな!
 △[しなやかに/思いきり/できるだけ/ぐいっと/悠然(ゆうぜん)と]~。
  △[頭/肩/体/上体(じょうたい)/身(み)]を~。
  ・映画の中で、体を後ろに大きく反らして銃弾(じゅうだん)をよけたが、あんなことできるのか?
 ・ギャングのボスはソファーに深く座り、胸を反らして偉(えら)そうな顔をしている。
 ・この寺(てら)の本堂(ほんどう)は、屋根(やね)の線を軽く反らしてあるのがじつに美しい。
     (☆「逸(そ)らす」は別語)


ねじる(捩る)  五(ねじらない・ねじります・ねじって・ねじれば・ねじろう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ねじってみる  ねじってはいけない  ねじらないようにする  ねじろうとする  ねじれ
 △[少し/軽く/ギュッと/ぐいっと/力いっぱい/思い切り]~。
  △[頭/首/腕(うで)/上体(じょうたい)/手/腰(こし)/スイッチ/針金(はりがね)]を~。
  ・水道の蛇口をねじったが、水がでない。また断水だ。
 ・体を伸ばしたり、ねじったり、久しぶりのサッカーだから、準備運動が肝心だ。
 ・通信機(つうしんき)のつまみをねじってみたが、聞こえるのは雑音(ざつおん)ばかりだった。
 ・おじいさんは、手ぬぐいを細くねじってひたいに巻(ま)き、踊(おど)りの輪(わ)に加わった。
 ・柔道(じゅうどう)の練習をしていて、ちょっと手首(てくび)をねじってしまった。

<複合動詞:ねじ->
[ねじあげる] 人ガ ものヲ 
 ・兄は、殴りかかってきた男の腕をつかんでねじ上げた。
 ・突然、腕を後ろにねじ上げられ、顔を地面に押し付けられた。誤認逮捕?? 
   片腕・手・両腕を 後ろに 苦もなく
[ねじきる] 人ガ ものヲ 
 ・隊員が扉の取っ手に巻いてあった針金をねじ切って扉を開けた。
 ・焼いた餅を小さくねじ切って子供に与えた。のどに詰まらせるといけない。
   ナス・針金・餅を ペンチで
[ねじこむ]
 ・右腕に力をこめて、堅い柱に木ねじをねじ込んだ。
 ・難しい位置から、強引なシュートをゴールにねじ込みました!
 ・暴力団員が道路拡張計画に言いがかりをつけて、役所にねじ込んだ。
   吸い殻・札束・金・財布・手紙・ボルトを 灰皿・懐・ポケット・口に 
[ねじふせる] 人ガ 人ヲ 
 ・ライバル選手を何とか押し倒し、ねじ伏せた。
 ・反対者たちは強引な議論で提案者の主張をねじ伏せ、廃案に追い込んだ。
   相手・娘・罪悪感・自己嫌悪・視線・後ろめたさを 力で 強引に 床に
[ねじまがる] ものガ
 ・針金が変にねじまがってしまって、まっすぐに戻らない。
 ・息子のねじまがった根性を何とかしないと社会で使いものにならない。
   心・根性・感情・虚栄心が 複雑怪奇に
[ねじまげる] 人ガ ものヲ 
 ・太い針金をねじまげて、棒を押さえつけ、固定した。
 ・私の意図をねじまげて解釈されてしまった。
   体・首・上半身・チューブ・理論・解釈・データ・政治・運命を 
▽「ねじる」の複合動詞の形は「ねじり-」となるはずだが、上の「ねじ-」は「ねづ」という古い
 形の連用形で、それが複合動詞を作っている。「ねじりあげる」などの形も使われる。


ねじれる(捩れる)  一(ねじれない・ねじれます・ねじれて・ねじれれば)
[1]〔ものガ〕
 △ねじれかける  ねじれてしまう  ねじれないようにする
 △[少し/ひどく/かなり/複雑(ふくざつ)に/何回も]~。
  △[ひも/ロープ/リボン/心/根性(こんじょう)/性格(せいかく)/関係/言い方/心]が~。
  ・朝、家を出ようとしたら、ネクタイがねじれているよと子どもが教えてくれた。
 ・盆栽(ぼんさい)の根(ね)はみょうな形にねじれているのがいいらしい。変な趣味(しゅみ)だ。
 ・SF小説の中では、すぐ空間が捩れたり、別の世界に行ってしまったりする。
 ・どうもあいつは性格がねじれているといつも言われる。大きなお世話(せわ)だ。


ひねる(捻る)  五(ひねらない・ひねります・ひねって・ひねれば・ひねろう)
[1]〔人ガ ものヲ (方向ニ)〕
 △ひねりがちだ  ひねってある  ひねってしまう  ひねってはいけない  ひねれない
  ひねらせる  ひねられる  ひねろうとする  ひねるな!
 △[少し/軽く/ぐいっと/強く/おもいきり/力いっぱい/むりに/むりやり]~。
  △[首/頭/腰(こし)/体/スイッチ/栓(せん)]を~。
  ・水道の栓を左にひねった。
 ・腰をひねって後ろを見た。
 ・太い針金(はりがね)をペンチでひねって小さなかごを作った。
 ・サッカーの練習で足首をひねってしまった。 (けがをする)
 ・あの大学はひねった問題を出すので、受験生(じゅけんせい)に嫌(きら)われている。 
 ・難しい問題に彼は首をひねっていた。
[2]〔人ガ 人ヲ〕
  ・弱い相手をかんたんにひねって勝った。

<複合動詞:ひねり->
[ひねりだす] 人ガ ものヲ 
 ・何か新しいアイデアをひねり出そうとしてあれこれ考えているが、何も出てこない。
 ・今の苦しい状況の中で、新事業の財源をどうやってひねり出せばいいのか。
   金・財源・時間・生活費・題名・知恵・適当な名前・奇策・筋書きを
[ひねりつぶす] 人ガ ものヲ                                     
 ・幼稚園の男の子が、粘土の小さな玉を指でひねりつぶして見せた。なぜ男は自分の力を誇示した
  がるのだろう?
 ・今日の試合は負けてしまったが、今度戦うときは相手をひねりつぶしてやる。
      虫けら・ニキビ・悪党・蛆・提案・敵を 指先で ひとつまみに

[45] 折れる・折る

◇おれる
 「折れる」は、棒状の固いものに力が加わって曲がり、あるところで二つに離れること。道路が鋭
く曲がっていること。紙などがある線に沿って鋭く曲がって重なっていること。人が自分の主張を抑
えて周りの意見に従うこと。
   ものガ おれる
    枝が折れる  足の骨が折れる  道が右に折れる  ページの端が折れている
・複合動詞
  「折れ合う」は、人がそれぞれ相手の主張を理解して、自分の主張を一部抑えること。
 「折れ曲がる」は、長いものや面状のものが折れるように曲がること。
    与党と野党が折れ合う  枝が折れ曲がっている
◇おる
  「折る」は、棒状の固いものに力を加えて曲げ、あるところで二つに離れるようにすること。
  関節など、曲がるようにできているところで鋭い角度に曲げること。紙や布など面状のものをある
線に沿って鋭く曲げ、重なるようにすること。
   人ガ ものヲ おる
    枝を折る  指を折る(骨折する/曲げて手のひらに重ねる) 新聞を折り、たたむ
・複合動詞
 「折り合う」は、対立しているものが妥協すること。「折れ合う」と同じ。
    夫婦が折り合って暮らす
 「折り返す」は、折って重ね、二重にすること。来た道を戻ること。「折り返し」は副詞として使
  われる。 
    袖を折り返す   駅前で折り返す   折り返し連絡する
 「折り重なる」は、多くのものが次々に重なること、「折り重ねる」は、折って上に重ねること。
    人が折り重なって倒れる  新聞紙を折り重ねる   
 「折り込む」は、折って中に入れること。「折り畳む」は、大きなものを折って小さくすること。
       チラシを新聞に折り込む  洗濯物を折り畳む
 「折り曲げる」は、折るように鋭く曲げること。
    体を前に折り曲げる
・スル動詞
 「骨折する」は、人がけがなどで骨を折ること。また、骨が折れること。
◇たたむ
 「畳む」は、広がっているものを折り重ねて小さくすること。開いているものを閉じること。
   人ガ ものヲ たたむ
    ハンカチ・新聞・ふとんを 畳む  かさ・店を 畳む


おれる(折れる) 一(おれない・おれます・おれて・おれれば) 
[1]〔ものガ〕
 △おれそうだ  おれかけている  おれてしまう  おれたらこまる  おれないようにする
  おれろ!  おれるな!  
 △[ぽきっと/ぽっきり/ぽきぽき/ぼきっと/ばきっと/かんたんに/すぐ]~。
 △[鉛筆(えんぴつ)の芯(しん)/シャーペン/クレヨン/骨(ほね)/かさの骨/枝(えだ)]が~。
 ・鉛筆を落としたら、芯(しん)が折れてしまった。
 ・ころんだ時に手をついたのだが、その時に手首(てくび)の骨(ほね)が折れてしまった。
 ・強い風のためにかさの骨が折れてしまい、服がびしょびしょになった。
 ・台風(たいふう)で大きな木のえだが折れ、電線(でんせん)に引っかかった。
 ・これはとても骨の折れる(=むずかしい)しごとです。
 ・古本(ふるほん)のページの端(はし)が何か所か折れている。前に読んだ人が、感心(かんしん)し
  たところで折っておいたのだろう。どういう所に感心したかがわかるので面白い。
[2]〔もの・人ガ 所デ (方向ニ)〕
 ・庭(にわ)のさくらの木がまん中でポキリと折れているのを見つけた。
 ・この道は100メートルほど先で右に折れています。
 ・その十字路(じゅうじろ)を左に折れてください。
 ・さか道をのぼって、パン屋のかどを右に折れると、すぐに駅が見えますよ。
[3]〔人ガ〕
 ・相手(あいて)がやっと折れて来たので、一年もかかった話し合いがどうにかまとまった。
 ・さんざん不満(ふまん)を言っていたが、最後には彼もやっと折れてくれた。
 ・賛成派(さんせいは)も反対派(はんたいは)も、それぞれ言い分はあるでしょうけれど、どちらか
  が折れないと、事態(じたい)は進みませんね。

<複合動詞:おれ->
[おれあう] 人ガ 人ト
 ・両方が自分の意見を変えなければ、話し合いはできない。おたがいに折れ合わなくてはいけない。
 ・組合も経営者もまったく折れ合おうという姿勢がない。これでは交渉は決着しない。
      メーカーと販売店が 互いに 話し合いで 適当なところで どこでどう~かが問題だ
(「おれまがる」→「まがる」)


おる(折る) 一(おらない・おります・おって・おれば・おろう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △おりたい  おってはいけない  おってしまう  おってみる  おってはいけない
  おったほうがいい  おるべきだ  おらなければならない  おろうとする
  おらせる  おられる  早くおれ!  おるな! 
 △[ぽきりと/ぽきっと/ぼきっと/ぽきぽき/ぼきぼき/ばきっと/ばきばき]~。
  [かるく/力を入れて/思い切り/うっかり/次々と/かたっぱしから]~。
 △[木の枝(えだ)/棒(ぼう)/バット/テニスラケット/足の骨(ほね)]を~。
  [指(ゆび)/ひざ/紙/書類(しょるい)/布(ぬの)/ページの角(かど)]を~。
 ・さくらの花があまりきれいだったので、小さな枝を一本折って、持って帰った。
 ・手の力がつよいので、えんぴつの芯(しん)をよく折ってしまう。
 ・子どもがゆびを折りながら数(かず)を数(かぞ)えている。
 ・私たちは日数(にっすう)を数える時に、指を折って数えることがおおいが、逆(ぎゃく)に、折っ
  た指を立てながら数える人たちもいる。
 ・この書類(しょるい)は折らないでください。賞状(しょうじょう)が入っています。
 ・私の兄は、本のページの端(はし)を折って目印(めじるし)にするくせがある。
 ・山道を歩いているとき、ころんで足の骨(ほね)を折ってしまった。
 ・あいての選手(せんしゅ)はチャンピオンのパンチをあごにうけて、とうとう、がっくりとひざを
  折ってたおれた。
 ・子供のころ、よく紙で鶴(つる)を折ったりしたが、今はもう折り方を忘れてしまった。
 ・けがをした時、ハンカチを三角(さんかく)に折って、けがをしたところを包(つつ)むといい。
 ・私がこの会社に入る時、おじがとても骨を折ってくれた。(人のために苦労(くろう)する)
 ・とちゅうで口を出されて話の腰(こし)を折られてしまった。(話を中断(ちゅうだん)する)
 ・あの人はけっして我(が)を折ろうとしない。だからいつも回りの人と衝突(しょうとつ)する。

<複合動詞:おり->
[おりあう] 人ガ 人ト
 ・狭い中でお互いがうまく折り合ってやっていかないと、避難所暮らしはつらくなる。
 ・もう何十年もこの病気と折り合ってやってきました。まだまだ生きられます。
   皆・与野党が そこそこで 円満に うまく 病気と
[おりかえす] 人ガ ものヲ
 ・ズボンのすそを折り返すのがこのごろのはやりらしい。
 ・布のはじは折り返してぬいこんでください。
 ・選手たちはここで折り返して、スタート地点まで戻るんだ。
 ・このメールをごらんになったら、折り返しご返事下さい。(副詞として)
   襟・新聞・袖口・端を ~し電話・返事・メールをする 中間地点で
[おりかさなる] ものガ
 ・地震でたおれた家の柱や壁などが折り重なるようにして道をふさいでいる。
 ・「火事だ!」という声に驚いて人々が走り出し、何人かが折り重なって倒れた。
   死体・葉・人々・紙が 幾重にも 次々と ~て倒れる
[おりかさねる] 人ガ ものヲ
 ・紙を何枚も折り重ね、その上に皿をおいた。
 ・布を折り重ねて厚みを出し、中のガラスが割れないように包んであります。
   紙・布・服・両足・濾紙を 何枚も 
[おりこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・シーツのはじはマットの下に折りこんでください。
 ・きょうも新聞にたくさん、広告のチラシが折りこんである。
   裾・前足を 新聞にチラシを
[おりたたむ] 人ガ ものヲ
 ・この鳥は、ふだん折りたたんであるつばさを広げると、三メートルもある。
 ・雨がやんだから、かさを折りたたもう。
   椅子・帯・紙・紙幣・新聞・洗濯物・翼・端・羽・ハンカチ・領収書を
[おりまげる] 人ガ ものヲ
 ・この書類は、コンピュータにかけますから、折り曲げないでください。    
 ・はりがねを折りまげてブローチを作った。                              
      足・体・釘・腰・上体・パイプ・膝・指を くの字に 心持ち
<スル動詞>
[骨折(こっせつ)する]  人ガ ものヲ
 ・今の子供は骨が弱く、ちょっとしたことで骨折することが多いということだ。
 ・「骨を丈夫にして、骨折しにくい骨にすることが大切です。このサプリメントは、骨を丈夫にす
  る成分が他の製品よりも、、、」はいはい、わかりました。私はテレビを消した。
 ・「骨を折った」というのは、「骨折した」という意味じゃなくて「努力した」という意味だよ。

たたむ(畳む) 五(たたまない・たたみます・たたんで・たためば・たたもう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △たたみにくい  たたんでしまう  たたんでおく  たたんである  たたんでみる
  たたまなければならない  たたもうとする  たたませる  たたまれる
 △[すぐに/いそいで/ゆっくり/もう一度/くりかえし/何度も/丁寧(ていねい)に]~。
 △[着物(きもの)/洋服(ようふく)/ハンカチ/毛布(もうふ)/かさ/テント]を~。
 ・洗濯(せんたく)したワイシャツを丁寧にたたんでしまった。
 ・ハンカチにアイロンをかけ、四つにたたんだ。
 ・新聞を広げて読みっぱなしにするな、ちゃんとたたんでおけ、と妻に言いたいのだけれど、、、。
 ・あさ起きるとふとんを畳み、夜になるとまた敷(し)く。めんどうなのでベッドにした。
 ・着物がうまく畳めない人が多い。そもそもうまく着られないのだからしかたがない。
 ・白鳥(はくちょう)が池(いけ)で翼(つばさ)を畳んで休んでいる。
 ・この鳥はふだんは畳んでいる翼を広げると、4メートルにもなる。
 ・山田さんは商売がうまくいかないので、店(みせ)を畳んで(=やめて)ふるさとに帰った。
 ・わたしは友だちのことばを自分ひとりの胸(むね)に畳んでおくことにした。
 ・今わたしがもうし上げたことはすべてあなたの胸に畳んで、だれにもおっしゃらないでください。

<複合動詞:たたみ->
[たたみかける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・「あなたもやりますね。」「この係(かかり)でいいですね。」「じゃあ、あした8時に会場に来てく
  ださい。」と畳みかけるように言われて、手伝うことになってしまった。
 ・相手の弁護士(べんごし)は、次々と質問を畳み掛け、証人(しょうにん)にゆっくり考える暇(ひ
  ま)を与えなかった。
 ・窓口に来た女性は、畳みかけるように早口で書類の書き方を尋ねた。
   早口・震える声で 性急に 息をはずませて ~ように尋ねる・言う
[たたみこむ] 人ガ ものヲ ものニ
 ・和夫は、別れの時の母の言葉をしっかりと胸にたたみ込んでふるさとを出た。
 ・会場付近の地図を頭の中に畳み込んで、家を出た。
      地図・切手・思い出を 頭・胸の中に  ~ように質問する
  (「折り畳む」→「おる」)

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