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変化7
満ちる 満ちあふれる 満ち足りる
満たす
溜まる
溜める 溜め込む 書き溜める 積み立てる
滞納する 蓄積する 貯金する 貯蔵する 貯蓄する
埋まる
埋める 埋め合わせる 埋め込む 埋め立てる 埋め尽くす
うずまる うずめる
うもれる うずもれる
抜く 抜き去る 抜き出す 抜き取る 引き抜く
抜ける 抜け上がる 抜け落ちる 抜け替わる 抜け出る 抜け出す 切り抜ける
混む 混み合う こみ上げる 込み入る 混雑する
すく 透き通る
すかす
透ける
◇みちる
「満ちる」は、ものがある場所にいっぱいになる。ひゆ的に、精神的なことに多く使われる。場所
をニ格、ものをガ格で示すが、精神的なものはニ格で示されることが多い。やや書きことば。
ものガ ものニ 満ちる
ダムに水が満ちる 体中が活力に満ちている/体中に活力が満ちている
彼の言葉は 自信・希望・矛盾に 満ちている 楽しみ・不安・安らぎに 満ちた生活
ある期間が終わること。潮が満ち潮になること。月が満月になること。
ものガ 満ちる
任期が満ちる 潮が満ちてきた 月が満ちる
・複合動詞
「満ちあふれる」は、ものが満ちて外にあふれること。あふれるほど多くあること。
「満ち足りる」は、物事が自分の思い通りになって心が落ち着くこと。
◇みたす
「満たす」は、限界までいっぱいにすること。ひゆ的に、精神的なことにも言う。容器に当たるも
のをニ格またはヲ格で表し、中に入れるものをヲ格またはデ格で表す。ひゆ的に、抽象的な内容につ
いて言う。やや書きことば。
人ガ ものニ ものヲ 満たす / 人ガ ものヲ ものデ 満たす
杯に酒を満たす 杯を酒で満たす 腹を満たす
条件を満たす 好奇心を満たす
◇たまる
「溜まる」は、物事が少しずつ加わって多くなること。増える量が減る量より多く、多く残ること。
ひゆ的に、抽象的なこと、精神的なことにも言う。意図的に集めるもの以外は好ましくないもの。
ものガ (所・ものニ) たまる
水・金・部屋代・仕事・宿題・ストレスが たまる
ゴミ箱にゴミが・メールボックスに未読メールが・目に涙が・心に不満が たまる
◇ためる
「溜める」は、少しずつ増やして多くすること。片づけないために、不要のものが多くなること。
ひゆ的に、抽象的なもの、精神的なことにも言う。
人ガ ものヲ (ものニ) ためる
水をバケツに溜める 金・結婚資金を 貯める 目に涙をためる
ゴミ・宿題・仕事を ためる 力・エネルギー・ストレス・不満を ためる
・複合動詞
「ため込む」は、熱心に、盛んにためること。特にお金に言う。
「書きためる」は、書いたものをたくさんためておくこと。
「積み立てる」は、何かの目的で(何回かにわたって)お金を少しずつたくわえること。
・スル動詞
「蓄積する」は、役立つものをためておくこと。
「貯金する」は、郵便局などに金を預けて貯めること。
「貯蔵する」は、後で使うためにものをためてとっておくこと。
「貯蓄する」は、現金・預貯金・株券などを貯めておくこと。
「滞納する」は、税金・会費・授業料などを期限までに納めないこと。
みちる(満ちる) 一(みちない・みちます・みちて・みちれば)
[1]〔ものガ〕
△みちはじめる みちかける みちてくる みちていく
△[ゆっくりと/次第(しだい)に/少しずつ/だんだん/すっかり/すみずみまで]~。
△[潮(しお)/月/時/任期(にんき)]が~。
・夜になって、次第に潮が満ちてきた。月の光が美しい。
・小学生の子どもが、毎晩(まいばん)少しずつ月が満ちていくのを写真に撮(と)っている。
・私はもう少しでこの国での任期が満ちるので、日本に帰ります。
[2]〔ものガ ものニ〕
△[霧(きり)/湯気(ゆげ)/光(ひかり)/静けさ]が~。
[表情(ひょうじょう)/態度(たいど)/ことば/顔(かお)/主張(しゅちょう)/プレゼン]が~。
[愛情(あいじょう)/アイデア/悪意(あくい)/偽(いつわ)り/意欲(いよく)/輝(かがや)き/
確信(かくしん)/活力(かつりょく)/活気(かっき)/危険(きけん)/偽善(ぎぜん)/希望(き
ぼう)/苦渋(くじゅう)/苦悩(くのう)/自信(じしん)/説得力(せっとくりょく)/創意(そう
い)/敵意(てきい)/熱気(ねっき)/不安(ふあん)/魅力(みりょく)/矛盾(むじゅん)/安ら
ぎ/余裕(よゆう)/バイタリティー]に~。
・あたり一帯(いったい)に霧が満ちていた。
・街(まち)は花の香(かお)りに満ちていた。(街に花の香りが)
・水の満ちた貯水池(ちょすいち)をバックにみんなで記念写真(きねんしゃしん)を撮(と)った。
・彼女の顔はいつも自信に満ちているね。
・公害企業(こうがいきぎょう)の社長の謝罪(しゃざい)のことばは、苦渋に満ちたものだった。
・若い社員のプレゼンは、希望と矛盾に満ちていて、思わず苦笑(くしょう)せざるを得なかった。
<複合動詞:みち->
[みちあふれる] ものガ ものニ
・会場は喜びに湧く人々の明るい声に満ちあふれていた。
・地球の表面には人間が満ちあふれ、今にもこぼれ落ちそうだ。
乗客・音・光・活気・健康・声・力・喜びが 地球上に人間が 愛情・確信・活力・色彩・
自信・精力・勇気・バイタリティーに 心・巷に 隅々まで 限りなく
[みちたりる] 人ガ ものニ
・経済的、物質的には不足するところもあるが、人間どうしのつながりに関しては満ち足りた生活
をしていると言えるだろう。
・満ち足りた気持ちで暮らせる日が、たとえ一日でも来ないだろうか。
気持ち・心が 愛・生活に 経済力・物質的に 十分に ある程度
満ち足りた一日・暮らし・生活・眠り・表情・思いで暮らす 満ち足りない思い
みたす(満たす) 五(みたさない・みたします・みたして・みたせば・みたそう)
[1]〔人・ものガ ものヲ〕
△みたしたい みたしてほしい みたしておく みたしてある みたさなくてはいけない
みたそうとする みたされる みたせ! みたすな!
△[少しずつ/ゆっくりと/急いで/一気(いっき)に/あわてて/慎重(しんちょう)に/すっかり
/すみずみまで/なみなみと/しずかに]~。
△[コップ/グラス/杯(さかずき)/水筒(すいとう)/家の中/あたり/部屋(へや)]を~。
[条件(じょうけん)/需要(じゅよう)/必要(ひつよう)/ニーズ/不足(ふそく)/要求(ようき
ゅう)/好奇心(こうきしん)/虚栄心(きょえいしん)/心(こころ)/気持(きも)ち]を~。
・みな、新しいワインでグラスを満たした。さあ、新酒(しんしゅ)で乾杯(かんぱい)だ。
・出発前(しゅっぱつまえ)に、井戸(いど)の水で水筒を満たした。
・朝の輝(かがや)かしい光が家の中を満たしていた。
・隊長(たいちょう)のことばを聞いたとたん、ざわめきがあたりを満たした。
・一杯(いっぱい)のビールがのどの渇(かわ)きを満たす瞬間(しゅんかん)、生きていてよかったと
思うのだ。
・彼の愛の告白(こくはく)が、私の渇(かわ)いた心を暖かさで満たしてくれた。
・私は毎日何か満たされない気持ちを抱(いだ)いて、いらいらしていた
・食事はただ空腹(くうふく)を満たすだけのものではない。文化の一つの要(かなめ)なのである。
・募集(ぼしゅう)の条件を満たす候補者(こうほしゃ)は一人もいなかった。
・この市場(しじょう)の需要を満たすだけの供給(きょうきゅう)を確保(かくほ)できるのか。
・消費者(しょうひしゃ)のニーズをいかに満たすかが我々(われわれ)の課題(かだい)だ。
・食糧(しょくりょう)の不足(ふそく)は輸入(ゆにゅう)で満たせばいいというのは、正しい政治(せ
いじ)のあり方とは言えない。
・週刊誌(しゅうかんし)はゴシップ記事(きじ)で読者(どくしゃ)の好奇心を満たそうとする。
・あなたは自分の虚栄心を満たすために、こんなばかな浪費(ろうひ)をしているのか。
[2]〔人ガ ものニ ものヲ〕
・そこのバケツにはいつも水を満たしておくようにしてください。防火用(ぼうかよう)です。
・プールに水を満たすには、けっこう時間がかかるんですよ。
・タンクに燃料(ねんりょう)を満たしたら、出発(しゅっぱつ)だ。
・タンク内に高温(こうおん)の蒸気(じょうき)を満たさなければならない。
たまる(溜まる・貯まる)五(たまらない・たまります・たまって・たまれば)
[1]〔ものガ〕
△たまりそうだ たまってしまう たまっては困る たまらないようにする
△[すこしずつ/そうとう/かなり/どんどん/意外(いがい)に/知らないうちに]~。
△[お金/宿題(しゅくだい)/借金(しゃっきん)/家賃(やちん)/部屋代(へやだい)]が~。
[仕事/ストレス/イライラ/不満(ふまん)]が~。
・長い間がまんして、お金を使わないようにしていたので、百万円たまった。
・病気でねていたので、宿題がたくさんたまってしまった。
・山田さん、あなたは部屋代(へやだい)が4か月も溜っていますよ。
・休暇(きゅうか)をとって旅行(りょこう)したら、仕事がずいぶんたまってしまった。
・しなければいけないことがどんどんたまっていく。
・酒屋(さかや)の払(はら)いがだいぶたまっている。(酒屋に払いが)
・サービス残業(ざんぎょう)が多く、社員の間には不満が溜まっていた。
[2]〔所・ものニ ものガ〕
△[水/泥(どろ)/ゴミ/ほこり/涙(なみだ)]が~。
・そうじをしないから棚(たな)にほこりがたまっている。
・道のひくい所に水がたまって池(いけ)のようになっている。
・叱(しか)られた子どもの目には涙があふれそうにたまっていた。
ためる(溜める・貯める)一(ためない・ためます・ためて・ためれば・ためよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
△ためそうだ ためやすい ためてしまう ためておく ためてはいけない
ためたほうがいい ためておかなければならない ためようとする
ためさせる ためられる ためてしまいがちだ
△[少しずつ/たくさん/どんどん/そうとう/かなり/しっかり/がっちり]~。
「着実(ちゃくじつ)に/地道(じみち)に/堅実(けんじつ)に/本気(ほんき)で]~。
△[お金/ゴミ/洗濯物(せんたくもの)/宿題(しゅくだい)/仕事/家賃(やちん)]を~。
・毎月少しずつお金をためています。
・金は貯めようと思ってもなかなかたまらないが、ゴミと洗濯物(せんたくもの)はどんどんたまる。
・にわにバケツをおいて雨水(あまみず)をためた。
・部屋代(へやだい)を3か月もためてしまった。
・宿題(しゅくだい)はためないで、出されたらすぐにやりましょう。
・いろいろ頼(たの)まれた原稿(げんこう)をためてしまって、この週末はたいへんだった。
・ストレスをためないように、ときどきスポーツをすることにしています。
・腰(こし)に力をためて、一気(いっき)に押していったらかんたんに勝(か)てた。
[2]〔人ガ 所・ものニ ものヲ〕
・ここは水道がないので、雨水を大きないれものにためておいて、使っています。
・お母さんに叱(しか)られた子どもが目にいっぱい涙(なみだ)をためて泣(な)いている。
<複合動詞:ため->
[ためこむ] 人ガ ものヲ
・中山さんは、あそびにも行かないし、人ともつき合わないから、かなり(お金を)貯めこんでい
るらしい。
・権力者はその地位を利用して賄賂を貯め込み、資産を海外に移していた。
小金・黒字・莫大な金・もの・利益を 内部留保を 反発心を 際限もなく
<複合動詞:-ためる>
[かきためる] 人ガ ものヲ
・高校生の頃から少しずつ書きためてきた詩のノートがあります。
・短編を書きためて、一冊分になったら出版社に渡すことにしている。
シナリオ・習作・短編・手紙を すこしずつ
<複合動詞:その他>
[つみたてる] 人ガ ものヲ
・来年、海外旅行に行こうと思って、少しずつお金を積み立てている。
・今から教育資金を積み立てておかないと、この子が大学に入ったときに大変よ。
学資・結婚資金を 定額を 毎月一定額を
<スル動詞>
[滞納(たいのう)する] 人ガ ものヲ
・この国では税金を滞納している人が多く、財政の大きな問題になっている。
・授業料を滞納すると、退学になるかもしれない。
[~の滞納をする]
・家賃の滞納をしつづけていたら、ついにアパートを追い出された。
[蓄積(ちくせき)する]
〔人ガ ものヲ〕
・会社は資本を蓄積し、新たな発展を準備していた。
・これまでに蓄積してきたデータとノウハウで大きな発見を成し遂げたい。
〔ものガ〕
・最近、疲労が蓄積しているようだ。
[貯金(ちょきん)する] 人ガ (ものニ) ものヲ
・銀行にボーナスを貯金した。
・利率が低すぎるので、貯金する人が少なくなったそうだ。
[貯蔵(ちょぞう)する] 人ガ ものヲ
・ウイスキーの原酒を、この倉庫で長い年月貯蔵します。
・リスは冬のためにどんぐりを貯蔵している。
[~の貯蔵をする]
・原油の貯蔵をするための大きな施設を建設している。
[貯蓄(ちょちく)する] 人ガ ものヲ
・余った金を貯蓄するのではなく、貯蓄する金を残さなければいけない。
・老後の生活のために十分な資金を貯蓄しておかねばなりません。
[30] 埋まる・埋める
空間が何かでいっぱいになること、いっぱいにすること。類義の語の漢字表記が同じ場合があり、
紛らわしい。
◇うまる
「埋まる」は、穴などが何かでいっぱいになること。ひゆ的に、不足のものが補われることを言う。
ものガ うまる
くぼみが落ち葉で埋まる 会場が人で埋まる 赤字が埋まる
低いところにあるものが上を何かで覆われて見えなくなること。ニ格をとる。
ものガ ものニ うまる
線路が土砂に埋まる 家が雪に埋まる
価値のあるものが土などの下にあり、人の目に触れていないこと。「-ている」の形で言う。
ものガ うまっている
遺跡が砂に埋まっている
◇うめる
「埋める」は、穴などをものでいっぱいにすること。ひゆ的に、不足のものを補うこと。
人ガ ものヲ うめる
溝をセメントで埋める 赤字を埋める
穴などにものを置き、上を何かで覆って見えなくすること。
人ガ 所ニ ものヲ うめる
庭にゴミ・宝物を 埋める 山の中に財宝が埋められている
・複合動詞
「埋め合わせる」は、不足や損失を他のもので補うこと。
「埋め込む」は、中に埋めること。
「埋め立てる」は、海・川・沼などを土で埋めて陸地にすること。
「埋め尽くす」は、全部をすっかり埋めてしまうこと。
◇うずまる
「うずまる」は、上を土などですっかり覆われて外から見えなくなること。場所がすき間なくいっ
ぱいになること。漢字表記は「うまる」と同じ。
人・ものガ ものニ うずまる
雪国の雪に埋まった暮らし 書物に埋まって暮らす
◇うずめる
「うずめる」は、上を土などですっかり覆って外から見えなくすること。場所をすき間なくいっぱ
いにすること。漢字表記は「うめる」と同じ。
人・ものガ 所ヲ うずめる
群衆が広場を埋めている
人ガ 所ニ ものヲ うずめる
裏庭に金を埋めて隠した
◇うもれる
「うもれる」は、低いところにあるものが上を何かで覆われて見えなくなること。ひゆ的に、価値
のあるものが人に知られずにいること。「うずもれる」よりもやや話しことば。漢字表記は「うずも
れる」と同じ。
人・ものガ もの・所ニ うもれる
雪に埋もれた村 なべの肉が野菜の中に埋もれている 埋もれた人材
◇うずもれる
「うずもれる」は、低いところにあるものが上を何かで覆われて見えなくなること。ひゆ的に、価
値のあるものが人に知られずにいること。漢字表記は「うもれる」と同じ。
人・ものガ もの・所ニ うずもれる
雪に埋もれた村 埋もれた人材
うまる(埋まる) 五(うまらない・うまります・うまって・うまれば)
[1]〔ものガ〕
△うまりそうだ うまってしまう うまっていく うまってはこまる
うまるといい うまるな!
△[少しずつ/一部/大部分/ほとんど/見る見るうちに/ざんねんなことに]~。
△[穴(あな)/赤字(あかじ)/欠員(けついん)/定員(ていいん)/席(せき)]が~。
・ゴミを流すみぞがうまってしまったので、みんなで掃除(そうじ)した。
・A:あのう、Bコースのりょこうに参加(さんか)したいんですけれど..。
B:ああ、Bコースはもう定員が埋まってしまいました。
・ロックのコンサートだといっぱいになるのだが、クラシックのコンサートではなかなか席が埋ま
らない。
・いろいろな資金(しきん)をあつめて来て、やっと赤字(あかじ)が埋まった。
[2]〔所ニ ものガ〕
△[お金/宝物(たからもの)/文明]が~。
・この土(つち)の下にナンダス文明(ぶんめい)の遺跡(いせき)が埋まっているはずだ。
・あの松(まつ)の木の下にお金が埋まっているそうだ。ほってみよう。
・この島(しま)のどこかにキャプテン・フックがかくした宝物が埋まっているそうだ。
[3]〔ものガ ものニ/デ〕
・むかしのお城(しろ)の跡(あと)が、さばくからふく風によって運ばれて来る砂(すな)に毎年少し
ずつ埋まっていく。
・土砂(どしゃ)に埋まった家の中には、まだ生きている人もいるにちがいない。
・広場(ひろば)は、政府打倒(せいふだとう)を叫(さけ)ぶ12万人の民衆(みんしゅう)で埋まった。
うめる(埋める) 一(うめない・うめます・うめて・うめれば・うめよう)
[1]〔人ガ 所ニ ものヲ〕
△うめてしまう うめておく うめてある うめてはいけない
うめさせる うめられる うめようとする うめろ! うめるな!
△[少し/たくさん/浅(あさ)く/深(ふか)く/急いで/あわてて/ていねいに]~。
△[ゴミ/パイプ/下水管(げすいかん)/宝物(たからもの)/遺体(いたい)]を~。
・庭(にわ)に生(なま)ごみを埋めた。
・うちの犬はくつをどこかへもって行って埋めてしまうくせがある。
・庭に穴(あな)を掘(ほ)って、落ち葉(おちば)を埋めた。
・道路の下に埋められた下水管にひびが入り、下水が漏(も)れているようだ。
・池(いけ)の底(そこ)に戦国時代(せんごくじだい)の宝物が埋めてあるという話を信じて、みなで
金を出し合って池を掘(ほ)ってみた。
・友だちの遺骸(いがい)を雪の中に埋めて、わたしたちは山を下りた。
[2]〔人ガ (ものデ) ものヲ〕
△[穴(あな)/赤字(あかじ)/損失(そんしつ)/欠員(けついん)/定員(ていいん)]を~。
・赤字をどうやって埋めたらいいか、社長が困り切っている。
・事業(じぎょう)の失敗(しっぱい)で出した損失を埋めなければ、会社がつぶれてしまう。
・新聞の紙面が100行ほどあいてしまった。わたしが何かちょっと書いて埋めよう。
・この事務所(じむしょ)は10人の定員があるのだが、今はそれを埋める予算(よさん)がないのだ。
・おふろが熱かったら、水でうめてください。(=おんどをさげてください)
・P国とわが国の間には考え方に大きなちがいがある。この差(さ)をうめるのは難しい。
<複合動詞:うめ->
[うめあわせる] 人・ものガ ものヲ
・事業での損失を埋め合わせるため、社員のボーナスがカットされるという。
・どうもご迷惑をおかけしました。今回のことは、いつか必ず埋め合わせますので。
恨み・感傷・失言・時間・賃金を
[うめこむ] 人ガ 所ニ ものヲ
・患者の胸にペースメーカーを埋めこんだ。
・このビルの下には、飲み水のタンクが埋めこんであります。
ガラス・金属弁・計器・柱・元肥を 腰から下を砂に
[うめたてる] 人ガ 所ヲ
・海岸を埋め立てて、工場のための土地を作っています。
・埋め立てられた土地はどうしても地盤が弱い。
池・海・小川・田・沼地・湾を
[うめつくす] 人・ものガ ものヲ
・広場を埋め尽くす群衆はそのエネルギーのはけ口を求めているようで、暴動寸前だった。
・会場は現地のチームのファンで埋め尽くされていて、日本チームの応援はほとんどない。
壁・劇場・視野・周辺・上空・全ページ・前面・空・地・広場・壁面・町を
うずまる(埋まる) 五(うずまらない・うずまります・うずまって・うずまれば)
[1]〔ものガ ものニ〕
△うずまりそうだ うずまってしまう うずまらないようにする
△[ほとんど/かなり/少しずつ/急速(きゅうそく)に/ゆっくりと/確実(かくじつ)に]~。
・山間部(さんかんぶ)では、家々(いえいえ)がほとんど雪に埋まってしまっている。
・火山が噴火(ふんか)し、街(まち)は火山灰(かざんばい)に埋まってしまった。
・植物園(しょくぶつえん)の中の道は、桜の花びらで埋まり、歩くのが惜(お)しいほどだった。
・彼の部屋(へや)に行ってみると、彼は本とゴミに埋まって暮らしていた。
・倒(たお)れたラクダの体は、少しずつ、風に舞(ま)う砂(すな)に埋まっていった。
[2]〔ものガ ものデ〕
・コンサート会場はファンで埋まっていた。
・その家は、家の中も庭もゴミで埋まっていた。
うずめる(埋める) 一(うずめない・うずめます・うずめて・うずめれば・うずめよう)
[1]〔人・ものガ 所・ものヲ〕
△うずめてほしい うずめておく うずめてはいけない うずめさせる うずめられる
△[いっぱいに/びっしり/すっぽり/こっそり/ひそかに/急いで/あわてて]~。
△[広場(ひろば)/駅前/空き地(あきち)/あたり/一帯(いったい)/視界(しかい)/部屋(へや)
/草原(そうげん)/ノート]を~。
・革命(かくめい)を叫(さけ)ぶ群衆(ぐんしゅう)が広場を埋めていた。
・彼は山のような本に埋められた部屋の中心にいた。
・広い草原を埋めていたのは、野牛(やぎゅう)の群(む)れだった。
・パーティー会場は色とりどりの花で埋められていた。
・彼女のノートのページは、細(こま)かな字でびっしりと埋められていた。
[2]〔人ガ ものヲ 所ニ〕
・子どもが宝物を庭に埋めた。
・犯人(はんにん)は死体を裏庭(うらにわ)の桜(さくら)の木の下に埋めていたそうだ。
・海賊(かいぞく)は奪(うば)った財宝(ざいほう)を山の穴に埋めたのだが、大雨(おおあめ)で山が
崩(くず)れ、位置(いち)がわからなくなってしまった。
・寒かったので、体をすっぽりふとんの中に埋めて、気持ちよく寝た。
・子どもは母の胸(むね)に顔を埋めて眠ってしまった。
・私はこの地に骨(ほね)を埋める覚悟(かくご)だ。(=ここで死ぬ)
うもれる(埋もれる) 一(うもれない・うもれます・うもれて・うもれれば)
[1]〔ものガ もの・所ニ〕
△うもれそうだ うもれかけている うもれてしまう うもれないようにする
△[ほとんど/かなり/少しずつ/急速(きゅうそく)に/ゆっくりと/確実(かくじつ)に]~。
△[砂(すな)/土/落ち葉(おちば)/雪/本/田舎(いなか)/下町(したまち)のアパート]に~。
・砂に埋もれていた錆(さ)びたナイフを掘り出した。
・遊び回っていた子供の靴(くつ)がない。あちこち探すと、子供の靴は落ち葉の中に埋もれていた。
・大雪(おおゆき)に埋もれて動きのとれなくなった車をみんなの力で引っぱり出した。
・本に埋もれて暮(く)らすという生活を夢(ゆめ)見ていたが、電子本(でんしぼん)になっては味気
(あじけ)ない。
・彼女はこのまま田舎に埋もれていてはいけないと思い、つてを頼(たよ)って都会(とかい)に出た。
・埋もれた才能(さいのう)を探(さが)し出すのが、私たちの仕事です。
うずもれる(埋もれる) 一(うずもれない・うずもれます・うずもれて・うずもれれば)
[1]〔ものガ もの・所ニ〕
△うずもれそうだ うずもれかけている うずもれてしまう うずもれないようにする
△[ほとんど/かなり/少しずつ/急速(きゅうそく)に/ゆっくりと/確実(かくじつ)に]~。
△[砂(すな)/土/雪/本の山/都会(とかい)の片隅(かたすみ)/歴史の一(ひと)こま]に~。
・砂の中に埋もれていた遺跡(いせき)を掘り出した。
私の才能(さいのう)は50年間埋もれっぱなしだ。
・古代(こだい)の遺跡は土に埋もれて数千年、掘(ほ)り出されるのを静かに待っていた。
・船の残骸(ざんがい)は、しだいに砂に埋もれていった。
・私は、売れない小説家(しょうせつか)として都会の片隅にこのまま埋もれてしまうのだろうか。
・歴史の一こまに埋もれた人々の生活を明らかにしていくのが、歴史研究のおもしろさです。
・ファイルのどこかに埋もれているデータを探し出そうとしている。
◇はまる
「はまる」は、あるものの内側または外側にぴったり合うこと。対象のニ格をとる。
ものガ ものニ はまる
指輪が指にはまる 窓が枠にうまくはまる びんの栓がはまらない
物事の関係がうまく合うこと。
条件・規格に はまる
穴や泥の深みに落ち込むこと。
人・ものガ ものニ はまる
穴・池・泥沼に はまる
精神的なことにも言う。人の計略などにかかること。
計略・わな・思惑・思うつぼ・ねらいに はまってしまう
俗語的表現で、そのことに熱中すること。
ゲーム・骨董に はまる
慣用表現で「型にはまる」は、決まり切った内容で、個性や独創性がないこと。
・複合動詞「はまりこむ」は、深くはまってしまうこと。
◇はめる
「はめる」は、あるものの内側または外側にぴったり合うようにすること。
人ガ ものニ ものヲ はめる
ボタン・指輪・グラブ・キャップを はめる 枠に 板・ガラスを はめる
ひゆ的に、人をだましたりおとしいれたりすること。
人ガ 人ヲ ものニ はめる
わな・計略に はめる 一杯はめられた
・複合動詞「はめこむ」は、型や枠にぴったり入れること。人を計略にかけること。
はまる(嵌る) 一(はまらない・はまります・はまって・はまれば)
[1]〔人・ものガ ものニ〕
△はまりそうだ はまってしまう はまらないとこまる はまらせる
△[ぴったり/ぴたりと/しっかり/すき間なく/うまく/ちょうど]~。
△[指輪(ゆびわ)が指に/ガラスが窓枠(まどわく)に/タイヤが溝(みぞ)に]~。
・このキャンバスがちょうどはまる枠(わく)を探しているんですが。
・写真(しゃしん)がフレームにぴったりはまって、いい感じだ。
・太ったらしく、指輪が指にはまらなくなった。
・ボタン穴が小さすぎて、ボタンがうまくはまらない。
・泥道(どろみち)を走っていたら、タイヤが穴(あな)にはまってしまった。
△[わな/策略(さくりゃく)/計略(けいりゃく)/ねらい/たくらみ/思うつぼ/型(かた)]に~。
・わなにはまったけものは暴(あば)れるから、近づく時は気をつけて。
・まんまと敵(てき)の計略にはまってしまって、シュートを入れられた。
・みごとに相手のねらいにはまったようだ。これでは逃(に)げられない。
・あの役者(やくしゃ)はこの役にはまっているね。
・あの俳優(はいゆう)の演技(えんぎ)は、型にはまっていておもしろみがない。
・ちょっと試(ため)しにやってみたゲームにはまってしまった。
<複合動詞:はまり->
[はまりこむ] 人・ものガ ものニ
・犬が地面の穴にちょうどはまり込んでしまって、出られなくなった。
・相手のペースにまんまとはまりこんでしまった。どうやって抜け出せばいいか。
頭から 穴・困難な状況・相手のペースに ずるずる まんまと すっぽり
はめる(嵌める) 一(はめない・はめます・はめて・はめれば)
[1]〔人ガ 人・ものヲ ものニ〕
△はめてみる はめてしまう はめておく はめてほしい はめてはいけない
はめなければならない はめさせる はめられる はめようとする はめるな!
△[しっかり/ゆっくり/急いで/ぴったり/きっちり/うまく]~。
△[指に指輪(ゆびわ)を/枠(わく)にガラス板(いた)を/手にグラブを]~。
・彼女は薬指(くすりゆび)にダイヤの指輪(ゆびわ)をはめている。
・窓(まど)に網戸(あみど)をはめたいのだけれど、うまくはめられない。
・オーブンの中に手を入れる時は、厚(あつ)い手袋(てぶくろ)をはめないとやけどする。
・車をバックで端(はじ)に寄せようとしたら、タイヤを溝(みぞ)にはめてしまった。
・敵国(てきこく)のスパイをわなにはめてみごと捕(つか)まえた。
・彼らはお互いに相手を策略(さくりゃく)にはめようとしていて、だまし合いをしている。
・若い人に演技(えんぎ)の指導(しどう)をするばあい、型にはめようとしてはいけない。
<複合動詞:はめ->
[はめこむ] 人ガ ものニ ものヲ
・土木業者が城の石垣の欠けた部分に新しい石をうまくはめ込んだ。
・テレビの画面の一部に別の画面をはめ込むというやり方で、美しい画面を作る。
板・鏡・ガラス・真珠・パネル・ボタン・墓碑銘・表札・言葉を 型・壁に
[32] 抜く・抜ける
入っているもの、つまっているものがとれる動きを表す動詞。「通る」の意味に近い用法もある。
◇ぬく
「抜く」は、ものの中に入っている細長いもの(の部分)を引いて取り出すこと。
人ガ ものヲ ぬく
刀・歯・草・ダイコン・毛・くぎ・栓を 抜く
全体から一部を取り出すこと。
カードを一枚抜く 任意に製品を抜いて調べる(=抜き取る・抜き出す)
中に入っている気体・液体を少しずつ外へ出すこと。
タイヤの空気・エンジンオイル・風呂の水を 抜く
不要と考えるものを何かから取り去ること。ひゆ的に、体の力や精神に関して言う。
服のシミを抜く (すしの)わさびを抜く 籍を抜く 模様を白く抜く
朝食を抜く あいさつを抜いて本題に入る
肩の力を抜く 気を抜く
慣用表現で「度肝を抜かれる」はひどく驚かされること。
競争相手を追い越して前に出ること。(=追い抜く)
人・ものガ 人・ものヲ ぬく
前の選手を3人抜く ウサギがカメに抜かれる
スポーツで、相手の守りを突破すること。
人・ものガ 所ヲ ぬく
三遊間を抜くヒット 固い守備の間を抜いてシュートする
・複合動詞:「ぬき-」の形のものと、「-ぬく」が多くの動詞に付く用法がある。
「抜き去る」は、あるものの中から(不要なものを)取り去ること。追い抜いて先に進むこと。
名簿から名前を抜き去る 花壇の花が抜き去られる 前の3人を抜き去る
「抜き出す」は、多くの中から抜いて取り出すこと。選び出すこと。
本棚から何冊か抜き出した 財布から一万円札を抜き出す
「抜き取る」は、(多くの中から)抜いて取ること。多くの中から選んで盗むこと。
雑草・立て札・鍵・とげを 抜き取る 精気を抜き取られたような顔
「-ぬく」の形のものはいくつかの用法がある。
「最後まで、どこまでも~する」という意を表す
生き抜く 勝ち抜く がんばり抜く 困り抜く 知り抜く 耐え抜く 戦い抜く 走り抜く
守り抜く やり抜く 弱り抜く
「ある一部を取り去る(穴をあける)、取り出す」という意を表す
打ち抜く 書き抜く くりぬく 染め抜く 引き抜く 踏み抜く
「他の者を追い越す、勝つ」という意を表す
追い抜く 出し抜く
「引き抜く」は、引いて抜き取ること。ひゆ的に、他の団体の優秀な人を自分のところへ(よい条
件を出して)来させること。
草・毛・ファイル・矢を 引き抜く 有力選手・社員を 引き抜く
◇ぬける
「抜ける」は、「抜く」に対応する自動詞で、何かの中に入っていた細長いものがとれること。
ものガ ぬける
歯・草・毛・くぎ・栓が 抜ける のこぎりの柄が抜ける
中に入っている気体・液体・成分が(少しずつ)外へ出ること。ひゆ的に、精神的なことに言う。
タイヤの空気・プールの水が 抜ける 臭い・香りが 抜ける 酒・酔いが 抜けない
肩の力・気・疲れが 抜ける 学生気分が抜けない
穴が空くこと。
床・バケツの底が 抜ける ズボンのひざが抜ける
ある一部分がなくなること。ひゆ的に、知恵が足りないことを軽蔑して言う。
本のページ・必要な項目・名簿から名前が 抜けている 抜けたやつだ
人がグループや仕事から離れること。
人ガ ものヲ/カラ ぬける
チーム・仲間・会議・仕事・列を/から 抜ける
人・物が動いてある場所を通り、反対側へ出ること。道などがある場所へつながっていること。
人ガ ものヲ ぬける / ものガ 所へ ぬける
路地・裏道・林を 抜ける 神社の裏へ抜ける道
慣用表現で「腰が抜ける」は、腰に力が入らず、立てなくなること。「間が抜ける」は、大切な部
分が足りない、愚かな行為を言う。
・複合動詞:「ぬけ-」の形のものは多くない。「抜け出す」と「抜け出る」は同じ用法がある。
「抜け上がる」は、額の毛が抜けて、生え際が上に上がっていくこと。
「抜け落ちる」は、抜けて落ちること。揃っているべきものの一部が欠けること。
「抜け替わる」は、(毛や歯などの)古いものが抜けて新しいものができてくること。
くぎ・ねじ・髪の毛が 抜け落ちる いくつか項目がリストから抜け落ちている
歯・羽・角が 抜け替わる
「抜け出る」は、入っていたものが抜けて出ること。何かを通って出ること。ひそかにまたは苦労
して、よくない状態から離れること。回りのものより特に高く出ている、または優れていること。
刀がさやから抜け出る 森・トンネルを抜け出る 包囲・ベッドを/から 抜け出る
家並みから高く抜け出た塔 才能がひときわ抜け出ている
「抜け出す」は、ひそかにまたは苦労して、よくない状態から離れること。特に抽象的な状況に言
う。毛や歯などが抜け始めること。
教室・会議・どん底・不況を/から 抜け出す 髪の毛が抜け出す
「-ぬける」の形のものは、ある場所、状況を「通って向こう側へ行く」意を表す。
駆け抜ける すり抜ける 突き抜ける 通り抜ける 走り抜ける 吹き抜ける
「切り抜ける」は、戦いの中を、相手を切って抜け出すこと。ひゆ的に、困難な状況を何とか解決
することを表す。
ぬく(抜く)五(ぬかない・ぬきます・ぬいて・ぬけば・ぬこう)
[1]〔人ガ (ものカラ) ものヲ〕
△ぬきたい ぬきそうだ ぬきかかる ぬいてみる ぬいておく ぬいてある
ぬいてしまう ぬいてはいけない ぬいてもらう ぬいたほうがいい
ぬかなくてはならない ぬこうとする ぬかせる ぬかれる ぬかせられる
△[少し/たくさん/かなり/ほとんど/どんどん/急いで/一つのこらず]~。
[あっさり/さっと/一気(いっき)に/やっと/何とか/ぐいっと/ぎゅっと]~。
△[歯(は)/髪(かみ)/白髪(しらが)/毛(け)/とげ/栓(せん)/釘(くぎ)]を~。
[草/雑草(ざっそう)/畑(はたけ)の大根(だいこん)/刀(かたな)]を~。
[タイヤの空気(くうき)/ガソリン/オイル/水]を~。
[洋服(ようふく)のシミ/野菜(やさい)のあく]を~。
・虫歯(むしば)がいたくてしょうがないので、歯医者(はいしゃ)さんで抜いてもらった。
・夏になると週に一度は、にわの雑草(ざっそう)を抜かなければなりません。
・ときどき花壇(かだん)の雑草を抜きます。
・そのコンセントからプラグを抜いてください。
・このワインの栓(せん)はかたいので、抜こうにもなかぬけません。
・子どもがいたずらをして、タイヤの空気(くうき)を抜いてしまった。
・こら、しごとの手を抜くな。
・風呂(ふろ)の水を抜いてふろおけを洗ってください。
・肩(かた)の力を抜いてなげた方がいい。
・こら、しごとの手を抜くな。
・健康診断(けんこうしんだん)のために、朝食を抜いていかなければならない。
・子どものために、わさびを抜いたおすしを作ってもらった。
・彼女の浴衣(ゆかた)は、青い生地(きじ)の中に、鳥の形が白く抜かれている。
[2]〔人・ものガ 人・ものヲ〕
・山中は前を走っていた山下に追いつき、ゴールの手前(てまえ)で抜いて、トップでゴールした。
・すもうの勝ち抜き戦(かちぬきせん)で5人抜いた。(あいてを)
・今年の交通事故(こうつうじこ)の数は昨年(さくねん)を抜いてしまった。ざんねんなことだ。
・銀の生産額(せいさんがく)で昨年2位だったP国は、ことしQ国を抜いて一位(いちい)になった。
・お話ではカメがウサギを抜くけれども、実際(じっさい)には抜けないだろうなあ。
・次郎(じろう)が打った打球(だきゅう)はファーストとセカンドの間を抜いた。
・他の新聞社に特ダネを抜かれ、うちの記者(きしゃ)たちはみながっくりしていた。
<複合動詞:ぬき->
[ぬきさる] 人ガ ものヲ ものカラ / 人ガ 人ヲ
・花壇からもう枯れてしまった花を抜き去った。
・せっかく植えた花が何者かによって抜き去られていた。
・十位でたすきを受け取った選手が、一気に9人を抜き去ってトップに躍り出た。
・二世議員である息子は、父親から生活力と突進力を抜き去ったようなお坊っちゃんだ。
歯・個性・生活力・政治性・精神性を 一気に 草・雑草を
[ぬきだす] 人ガ ものヲ ものカラ
・名簿から北海道出身者の名前を抜き出した。
・この論文を読んで大事な部分を抜き出してください。
札・紙幣・新聞・中身・ピストルを タンスから引き出しを 本棚から本を
[ぬきとる] 人ガ ものヲ ものカラ
・箱からたばこを一本抜き取った。
・畑のねぎを抜き取って夕食に食べた。
金・財布・カード・雑草・とげ・花・鍵・骨・指輪・コルク栓・空気・精気を
<複合動詞:-ぬく>
[ひきぬく] 人ガ ものヲ (ものカラ)
・小西さんはタバコの箱をとり出すと1本ひきぬいて、火をつけた。
・さいきんはしごとのよくできるサラリーマンがほかの会社から引きぬかれて行く。
・あの選手はなかなか良い。うちのチームに引きぬこう。(よそのチームから)
草・木・立て札・本・拳銃・毛・ファイル・矢・有力選手・社員を ぐいと
▽他の「-ぬく」の形の複合動詞
「最後まで、どこまでも~する」という意を表す
生き抜く 勝ち抜く がんばり抜く 困り抜く 知り抜く 耐え抜く 戦い抜く 走り抜く
守り抜く やり抜く 弱り抜く
「ある一部を取り去る(穴をあける)、取り出す」という意を表す
打ち抜く 書き抜く くりぬく 染め抜く 踏み抜く
「他の者を追い越す、勝つ」という意を表す
追い抜く 出し抜く
ぬける(抜ける)一(ぬけない・ぬけます・ぬけて・ぬければ・ぬけよう)
[1]〔ものガ (ものカラ)〕
△ぬけそうだ ぬけかかる・ぬけかける ぬけてしまう ぬけてはいけない
ぬけなくてはいけない ぬけるべきだ ぬけようと思う ぬけられる
△[少し/かなり/ほとんど/すっかり/すっぽり/全部/まったく]ぬけてしまう
△[歯(は)/髪(かみ)/白髪(しらが)/毛(け)/とげ/栓(せん)/釘(くぎ)]が~。
[タイヤの空気(くうき)/ガス/オイル/水]が~。
[臭(にお)い/香(かお)り/疲(つか)れ/毒(どく)/毒気(どっけ)]が~。
[説明(せつめい)/解説(かいせつ)/この部分(ぶぶん)]がぬけている
・子どもの歯が抜けました。また新しい歯が生えてきます。
・さいきん、髪の毛が抜けてこまる。
・プラグがコンセントから抜けていたのに気づかなかった。
・ワインの栓を抜こうとしているのだが、なかなか抜けない。
・タイヤの空気が抜けたままでは走れない。どこで入れようか。
・ついでから、1時間もたったので、ビールの気がすっかり抜けてしまった。
・このお茶(ちゃ)はもう香り(かおり)がぬけてしまっておいしくない。
・いくらねても体から疲れが抜けない。
・一度ついてしまった悪いくせは、なかなか抜けるものじゃない。(=くせがぬけない)
・本の重みで床(ゆか)が抜けそうだ。
・びっくりして、腰(こし)が抜けてしまった。(=歩けない)
・何度も書きなおしているうちに大事な部分が抜けてしまった。
・125ページから132ページまで7ページ抜けている。
・あいつは頭のねじが1本、いや2,3本抜けているんじゃないか?
・なんとまあ、間(ま)の抜けたことをしてくれたもんだ。
[2]〔人・ものガ ものヲ・カラ〕
△[グループ/リーグ/なかま/団体(だんたい)/同盟(どうめい)/列(れつ)]を~。
・P社はこのことがあってから、グループを抜けた。
・ベテラン選手がつづけて3人もチームから抜けてしまった。
・悪い仲間(なかま)から抜けたいのだが、あとがこわくて抜けられない。
・今、きみに抜けられるとこまるんだがなあ。まあ、留学するんじゃ、しかたがない。
・敵(てき)のかこみを抜けて、にげ出した。
[3]〔人・ものガ ものヲ (所カラ 所へ)〕
・汽車はトンネルを抜けるとまっしろい雪野原(ゆきのはら)へ入った。
・この路地(ろじ)を抜けて行くとはやく着きますよ。
・この部屋(へや)は10階(かい)だから、北と南のまどをあけると、風が抜けてとてもすずしい。
(へやを南から北へ)
・この地下道(ちかどう)を通って行けば向こう側(がわ)へ抜けられます。
・日よう日にはこの道はとてもこむので、抜けるのは大変だ。
・弾丸(だんがん)は胸(むね)から背中(せなか)へ抜けていた。
<複合動詞:ぬけ->
[ぬけあがる] ものガ
・兄は30代のなかばごろからひたいが抜け上がってしまった。
・彼は抜け上がった額に手を当てて、しばらく考え込んでいた。
[ぬけおちる] ものガ ものカラ
・震動で車輪カバーのボルトが抜け落ちて、事故になったらしい。
・この説明には、大事な事例が抜けおちている。
髪・毛・歯・力・中身・理論が 頭・記憶・全身・指の間から ごっそり
[ぬけかわる] ものガ
・イヌなどの動物は春と秋に毛が抜けかわります。
・髪の毛がただ抜けるのでなく、新しい毛に抜け替わってくれるのならいいんだが。
羽毛・毛・髪の毛・角・歯が
[ぬけだす] 人ガ ものヲ/カラ
・パーティーを抜け出して二人でさんぽに出た。
・10時ごろ会社を抜け出して、コーヒーをのみながら野球を見た。
・雑踏を抜け出して公園でひと休みした。
家・会社・会場・囲い・仕事・職場・寝床・人ごみ・病院を 会議・穴から
赤字・経営不振・困難・最下位・支配・スランプ・泥沼・貧困・不況・貧しさ・連敗・衝撃
・悪の道から ひそかに 無事に こっそりと するりと 夢中で
[ぬけでる] 人ガ ものヲ/カラ
・この森の中に一度入ると、抜け出るのはやさしくない。
・浮世絵(うきよえ)から抜け出たようないい女だ。
家・殻・林・町を 絵・殻・苦界・ベッド・興奮から 内緒で こっそり
<複合動詞:-ぬける>
[きりぬける] 人ガ ものヲ
・敵の中を、両手の刀を振り回して、何とか切り抜けた。
・会社は倒産寸前だったが、社員の努力であぶないところをようやく切り抜けた。
危機・この場・危ないところ・困難・生死の境・難関・ピンチを 無事に
▽その他の「-ぬける」の形の複合動詞
ある場所、状況を「通って向こう側へ行く」意を表す
駆け抜ける すり抜ける 突き抜ける 通り抜ける 走り抜ける 吹き抜ける
[33] 混む・空く
ある場所に人・物が多くあるかどうかを表す動詞。状態の変化を表し、「-ている」の形で変化の
結果の状態を表す。その状態を表す名詞修飾は「-ている/た」の形が使われる。
◇こむ(混む・込む)
「混む」は、ある場所に人や物が集まって動きにくい状態になること。ひゆ的に、するべきことが
多く、時間の余裕がないことなどにも言う。(「込む」とも書く)
ものガ こむ
電車が混む 買い物客で混んだ店 車で道が混んでいる 日程が混む
「負けがこむ」は、勝負で負けることが続くこと。
やり方が複雑なこと、細かいこと。
手の込んだ仕事 目の込んだ編み物
・複合動詞:「こみ-」の形のものが少しある。
「こみあう」は、ひどく混んで動きにくい状態になること。「混む」を強めた言い方。
「こみいる」は、物事・事情が複雑に入り組んでいること。
混み合った車内・会場 込み入った事情・話
「こみあげる」は、体の中のものが急に外で出そうになること。ひゆ的に、感情にも言う。
涙・怒り・喜びが こみ上げてくる
「-こむ」の形のものが多くあるが、それらは「入る」の意で、ここでは扱わない。(→「入る」)
・スル動詞
「混雑する」は、人や物がある場所にたくさん集まって動きにくくなり、無秩序になること。
◇すく(空く・透く)
「すく」は、用法の違いによって「空く・透く」という表記の使い分けがある。
「空く」は、ある場所に多くあった人や物が少なくなり、空間ができること。
ものガ すく
電車が空く 店の中が空いてくる 道が空く
ひゆ的に、「腹・おなかが 空く」は、食べ物を食べたい気持ちが強くなること。
「胸が空く」は、心がすっきりすること。「手が空く」は、するべきことがなく暇になること。
「透く」は、ものを通して中や向こう側が見えること。ものの間に細い空間ができること。
箱の中が透いて見える ドアと床の間が透いている
・複合動詞
「透き通る」は、ものを通して、その中のものや向こうが見えること。声が澄んでいること。
池の水が透き通っている 透き通っていないガラス 彼女の透き通った声
◇すかす(透かす・空かす)
「透かす」は、「すく」に対応する他動詞で、ものの間に細い空間を作ること。何かを通して、ま
たは何かの間から向こうを見ること。光がものやその間を通して入ること。
人・ものガ ものヲ すかす
戸を少し透かす 木の葉の間を透かして見る 陽光が障子を透かして降り注ぐ
「腹・おなかを 空かす」の形で、食べ物を食べたい気持ちが強くなること。
◇すける
ものを通して中や向こうが見えること。「透けて見える」の形でよく使われる。ひゆ的に、精神的
なことにも言う。
ものガ すける
包帯が透けて傷口が見える 相手のねらいが言葉から透けて見える
こむ(混む・込む)五(こまない・こみます・こんで・こめば)
[1]〔ものガ (人・ものデ)〕
△こみそうだ こみはじめる こんでしまう こまないでほしい こまないといい
△[いくらか/多少/かなり/ぎゅうぎゅうに/おそろしく/むちゃくちゃ]~。
△[電車/バス/お店/会場/スタジアム]が~。
・朝の電車は会社や学校へ行く人でひどく混んでいる。
・どうもすみません。道が混んでいたので、おくれてしまいました。
・歯医者(はいしゃ)へ行くのなら、込まない朝のうちに行った方がいいですよ。
・動物園(どうぶつえん)は日よう日は込みますから、ふつうの日に行きましょう。
・込んだバスが3台続いたあとに空(す)いたバスがやっと来た。
[2]〔ものガ〕
△[手/目/予定(よてい)]が~。目の込んだ{ぬの/あみ}
・今週(こんしゅう)は予定が込んでいて、ひまがありません。
・このおき物の細工(さいく)はずいぶん手が込んでいますね。(=ふくざつだ)
・こんなに手の込んだいたずらをやるのは弟にちがいない。
・さいきん、手の込んだ犯罪(はんざい)がおおくなった。
<複合動詞:こみ->
[こみあう] ものガ (ひと・ものデ)
・朝のバスは混み合うので、おりるのが大変だ。
・込み合っている電車の中で新聞をひろげて読む人がいるので、みんながめいわくしている。
階段・客車・車・車内・店・道が 客・人で いつになく いっそう
[こみあげる] ものガ
・宝くじの賞金3億円を目の前に積んでながめていると、心の底から喜びがこみ上げてきた。
・ついに1位が決まったとき、彼はこみ上げる涙をおさえられなかった。
熱いもの・怒り・いとおしさ・嗚咽・恐怖・実感・嫉妬・涙・吐き気・喜び
[こみいる] ものガ
・ちょっと事情が込み入っているので、ゆっくり説明しますね。
・友達の恋の相談を聞いていたら、だんだん込み入った話になってきた。三角関係だ。
筋・段取り・話・物事・装置が ちょっと ~た事情・相談・話・表現
<スル動詞>
[混雑(こんざつ)する] ものガ
・デパートは買物客で混雑(を)していた。
・混雑(を)する時間を避けたつもりだったが、やはりひどい混雑だった。
すく(透く・空く)五(すかない・すきます・すいて・すけば)
[1]〔ものガ〕
△すぎすぎる すいてくる すいてしまう すかないようにする
△[すこし/とても/かなり/ひじょうに]すいている
[すこしずつ/だんだん/どんどん/急に]すいていく
△[おなか/腹(はら)]が~。[電車/道/スーパー/風呂屋(ふろや)]がすいている
すいた[お店/バス/旅館(りょかん)/映画館(えいがかん)]
・今は時間がおそいので、電車は空いているだろう。
・この電車はいつも込んでいるが、今日は日曜日だから空いている。
・この海岸(かいがん)は、あまり有名ではないから夏でも空いていて、泳ぐのにいい。
・虫歯(むしば)のために歯(は)が何本か抜(ぬ)けてしまったので、歯と歯の間が空いている。
・A:もうおなかが空きましたか。
B:いいえ、まだ空きません。
・手の空いている人はこちらの仕事を手伝って下さい。
・あちらの方が空いているようですよ。
・おなかが空きすぎて、もう動けない。
・そろそろおなかが空いてきたから、仕事をやめて、お昼(ひる)ご飯を食べよう。
・肉がとても薄(うす)く切ってあるので、お皿(さら)の絵(え)が透いて見える。
<複合動詞:すき->
[すきとおる] ものガ
・この海は水がきれいなので、底まで透き通って見える。
・透き通ったガラスを通して、朝の光が部屋いっぱいに満ちている。
・ガラスはなぜ透き通って見えるのでしょうか。
・ほら、体が透き通った魚がいる。内臓が見えて面白いよ。
・透き通るような白い肌に誘惑され、犯罪の道に入り込んでいった。
水・体・声・心が 透明に うっすらと ガラスのように ~ような肌・青さ
すかす(透かす・空かす) 五(すかさない・すかします・すかして・すかせば・すかそう)
[1]〔人ガ ものヲ (ものニ)〕
△すかしてみる すかしてしまう すかさないと見えない すかせば見える
△[カーテン/網戸(あみど)/垣根(かきね)/薄(うす)い紙/ガラス/木の間]を~。
・窓(まど)の下に忍(しの)び寄(よ)り、カーテンをすかしてへやの中をのぞきこんだ。
・道から、茂(しげ)った生け垣(いけがき)の間を透かして、その家の庭(にわ)をのぞいた。
・大きな葉(は)を日(ひ)の光に透かしてみると、葉脈(ようみゃく)があざやかに見えた。
・手のひらを太陽(たいよう)に透かして見れば、真っ赤(まっか)な血が流れているのがわかる。
・おなかを空かした子どもたちが食器(しょっき)をたたいて騒(さわ)いでいる。
・当時(とうじ)は金がなく、いつも腹を空かしていた。
すける(透ける) 一(すけない・すけます・すけて・すければ)
[1]〔ものガ〕
△すけそうだ すけてしまう すけるといけない すけないようにする
△[うすく/かすかに/わずかに/はっきり/すけすけに/くっきりと]~。
△[肌(はだ)/下着(したぎ)/ブラジャー/血管(けっかん)/静脈(じょうみゃく)]が~。
[意図(いと)/思惑(おもわく)/考え/下心(したごころ)/狙(ねら)い]が~。
・水が透明(とうめい)なので、池(いけ)の底(そこ)が透けて見える。
・水に濡(ぬ)れたら透けてしまうなんて、なんてひどい水着(みずぎ)だ!
・あまりに薄(うす)い絹(きぬ)の着物(きもの)で、肌が透けて見えるようだ。
・下着が透けて見える服(ふく)が流行(はや)り始めた。男はよろこび、女は困惑(こんわく)する。
・相手(あいて)の思惑がことばから透けて見えすぎるので、思わず笑いそうになった。
・向こうが何をねらっているか、態度(たいど)から透けて見える。
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