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              ◇状態変化◇
 
     [1] なる・する  
     [2] かわる・かえる  
     [3] 改まる・改める  
     [4] 治る・直す  
     [5] 始まる・始める  
    [6] 起きる・起こる・起こす  
    [7] 現れる・表す  
    [8] 続く・続ける  
    [9] 終わる・終える 済む・済ませる 
    [10] やめる・よす  
    [11] あく・あける・ひらく  
    [12] しまる・しめる・とじる  
    [13] 消える・消す なくなる・なくす 
    [14] 隠れる・隠す  
    [15] 増える・増やす・増す 減る・減らす 
    [16] 太る・やせる  
    [17] 足す・加わる・加える  
    [18] のびる・のばす 広がる・広まる 縮む・縮める 
    [19] 高まる・深まる・強まる・弱まる・衰える・薄まる・静まる 
    [20] 混ざる・混じる・混ぜる 交える  
    [21] 結ぶ つながる・つなぐ・つなげる 継ぐ  
    [22] 分かれる・分ける  
    [23] 揃う・揃える 整う・整える 備わる・備える  
    [24] 積もる・積む 重なる・重ねる  
    [25] 包む 巻く  
    [26] 解く・解ける ほどく・ほどける ほぐれる・ほぐす  
    [27] 縛る くくる 束ねる  
    [28] 詰まる・詰める ふさがる・ふさぐ 
    [29] 満ちる・満たす たまる・ためる  
    [30] 埋まる・埋める うずまる・うずめる 
    [31] はまる・はめる  
    [32] 抜く・抜ける 
    [33] 混む すく・すかす 透ける  
    [34] 冷える・冷やす・冷める 暖まる・暖める 沸く・沸かす 
    [35] 燃える・燃やす 焼く・焼ける 焦げる・焦がす  
    [36] 溶ける・溶かす・溶く 固まる・固める 
    [37] 乾く・乾かす 干す かれる・からす  
    [38] 濡れる・濡らす 浸る・つける 湿る・しける 潤う 
    [39] 腐る・朽ちる 
    [40] よごれる・よごす けがれる・けがす  
    [41] 膨らむ・膨らます しぼむ・へこむ・ゆがむ  
    [42] 剥ける・剥く 剥がれる・剥がす  
    [43] 削る・掘る  
    [44] 曲がる・曲げる ねじる・ひねる  
    [45] 折れる・折る  
    [46] 切れる・切る  
    [47] 割れる・割る 砕ける・砕く  
    [48] 破れる・破る 裂ける・裂く  
    [49] 壊れる・壊す 崩れる・くずす つぶれる・つぶす
    [50] 張る  
    [51] 塗る 染まる・染める 染みる  
 
 
    いわゆる「変化動詞」に、対応する他動詞を含める。変化を表す自動詞の「-ている」
   の形は、状態を表す。他動詞は、動作の進行中、または状態を表す。「-てある」の形も
   使われる。一部、対応する変化の自動詞がない他動詞もここに入れた。


 
                ◇状態変化1◇
 [1] なる・する

   なる  成り上がる 成りかわる 成りきる 成り下がる 成りすます 成り立つ   
                成り果てる   
      する

[2] かわる・かえる

  変わる    変わり果てる 移り変わる 生まれ変わる  一変する 急変する  
                転換する  変化する 変身する 変遷する 変動する 変貌する
      変える    加工する 転換する 変革する  変更する
      代わる   入れかわる 置きかわる 切りかわる すりかわる 成りかわる 生えかわる
             交替する
      代える  切り替える 組み替える 差し替える すげかえる すり替える 建て替える
          取り替える 引き替える 振り替える  換気する 交換する チェンジする
          両替する

[3] 改まる・改める

  改まる  
      改める  言い改める 書き改める 改悪する 改革する 改行する 改札する 改正する
            改選する 改善する 改造する 改築する 改定する 改訂する 改良する
      正す   是正する

[4] なおる・直す

  なおる   居直る 立ち直る 開き直る 向き直る  回復する 全快する  
      直す     洗い直す 思い直す たたき直す 立て直す 出直す 取り直す 見直す
           持ち直す 修正する 修繕する 修理する 治療する 訂正する 添削する

[1]なる・する

◇なる
 「なる」は、前の状態から別の状態に変わること。結果としての状態を表すニ格またはト格をとる。
ト格はやや書きことば。二つの名詞の関係は様々である。カラ格をとることがある。
  人・ものガ (ものカラ) ものニ/ト なる 
      大人・学生・社員・親・友だち・メンバーに/と なる      病気・ノイローゼに なる
   小学生から高校生に・貧乏人から金持ちに なる  二十歳になる 
      信号が赤から青になる  氷が 水・水蒸気に なる  札束・財産が 灰になる
   晩婚化が 問題・分析の対象・議論に なる  世の中が不景気になる
   早起きが習慣になる  寝坊が癖になる  毒草が薬になる  いい教訓になる
   アイデアが金になる   投資が大きな損・得に なる  あいつは使い物にならない
 変化を表すので、「-ている」の形は変化の結果としての状態を表す。
   メンバーになる(変化) → メンバーになっている(状態)
 様々な名詞との組み合わせで、慣用的な意味が生まれる。
   ため・さま・絵・幕・おじゃん・おしゃか・ご破算 になる 
 形容詞「-く/-に」の形も受ける。
  人・ものガ 形-く/-に なる
   大きく・よく・赤く なる  きれい・暇に なる
  ガ格をとらなくてもよい用法がある。時を表す。
      春・朝・三時・休み時間に なる
 「最近になって」「いつになったら」などの時の表現は、「×最近になる」「×いつになる」などの
形が考えられない表現である。
 ニ格をとらない用法もある。構成を表す場合と、達成を表す場合。
    ものガ ものカラ なる
   日本の国会は衆議院と参議院からなる
  ものガ なる
   偉業がなる  連覇はならなかった
  相手のト格をとる用法がある。これは、名詞自体がト格を要求すると考えられる場合である。
  人ガ 人ト ものニ なる
  名詞文でト格をとる名詞
   彼と 知り合い・友だち・親友・夫婦に なる
 ト格をとるサ変動詞になるような名詞
   夫とけんかになった  上司と口論・殴り合いになる  隣国と戦争になる 
 「~ようになる」「~ことになる」の形で動詞を受ける文型を作る。状態・状況の変化などを表す。
   泳げるようになる  留学することになる  
・複合動詞
 「成り上がる」は、身分の低いものが高い地位につくこと。
 「成り下がる」は、経済状態や社会的地位が前より非常に悪くなること。
 「成り果てる」は、人の状況が悪くなっていって、最後に惨めな状態になること。 
 「成り代わる」は、その人の代わりになって、その役目などを務めること。
 「成りすます」は、実際にはそうでないのに、そうであるふりをうまくすること。
 「成りきる」は、そのものに完全になってしまうこと。
 「成り立つ」は、物事がうまく思った通りになったと見なせる状態になること。ものがいくつかの
  部分からできていること。
   契約・商売・理屈が 成り立つ  クラスは教員と学生で成り立つものだ

◇する
 他の人・ものがあるものになるようにすること。変化を表す「なる」に対応する他動詞。基本的に
「~を~に」の順で言う。
  人ガ 人・ものヲ ものニ する
   娘をピアニストにする(娘がピアニストになる)  息子を助手にする
   彼女を委員長・代表に する  恩師を仲人にする
   夕食を刺身にする  出発の時間を8時にする   書名を「文法小論集」にする
      なに・どれ・どこ・いつに しますか
      手品師がトランプを1万円札にする  大辞林を枕にする
   この資料を基礎・出発点に する  病気を口実・言い訳に する  夢を現実にする
 「なる」と対応して、変化の結果を表す形容詞を受ける。
   休み時間を長くする (休み時間が長くなる)
   部屋をきれいにする (部屋がきれいになる)
 動詞を「ようにする」で受けて、状態の変化を表す。「ようになる」と対応する。ガ格・ヲ格のど
ちらも成立する。
   鍵をかけて、人が通らないようにする
   鍵をかけて、人を通さないようにする
   ドアが/を 軽く開くようにする (ドアが軽く開くようになる)
   ドアが/を 開かないようにする (ドアが開かなくなる) 
  名詞節をとり、「目標・条件」などの名詞の内容を示す。ト格は硬い表現。
  人ガ 文ヲ もの ニ/ト する
   金メダルを取ることを目標にする  アルバイトをすることを進学の条件とする


なる(成る)五(ならない・なります・なって・なれば・なろう) 
[1]〔人・ものガ (ものカラ) 人・ものニ/ト〕
 △なりたい  なりそうだ  なりかける  なるかもしれない  なっていく  なってみる 
  なってしまう  なってはいけない  ならなければならない  なろうとする  ならせる 
  なられる  なれ!  なるな!  
 △[すぐに/急に/いつのまにか/すこしずつ/ゆっくりと/だんだんと]~。
 △[子どもが大人(おとな)/二十歳(はたち)/少年(しょうねん)が大人の男」に~。
 ・私の娘(むすめ)です。二十歳になりました。
 ・姉は18になるかならないかの時に結婚した。
 ・今の子どもたちが成長(せいちょう)して大人になるころには月へかんたんに行けるようになって
  いるだろうか。
 ・隣(となり)のうちの息子(むすこ)も、いい若者(わかもの)になったね。
 ・オタマジャクシは虫(むし)ではありません。そだって大きくなるとカエルになるのです。
 △[恋人(こいびと)/夫婦(ふうふ)/友だち/親友(しんゆう)]に~。 
 ・あの二人はいつのまにか恋人どうしになったね。
 ・子どものころけんかばかりしていた二人が夫婦になった。またけんかばかりしている。
 ・私の友だちになってください。
 △[社会人(しゃかいじん)/会社員/スポーツ選手(せんしゅ)/歌手(かしゅ)]に~。
 ・こちらが新しく社長になった中西さんです。
 ・A:大きくなったら何(なん)になりたい。
  B:お母さん。
  A:どうして。
  B:学校にも会社にも行かなくていいし、すきなだけおかしが食べられるから。
 ・A:おとなになったら、何になるつもりですか。
  B:中学校の英語の先生になろうと思っています。
 ・弟に医者(いしゃ)になるようにすすめた。
 ・このドラマでわたしはリア王(おう)の娘(むすめ)になった。(娘の役(やく)になった)
 △[トップ/先頭(せんとう)/最下位(さいかい)/びり/3番目(ばんめ)/まん中]に~。
 ・優勝候補(ゆうしょうこうほ)の選手(せんしゅ)を抜(ぬ)いてトップになった。 
 ・100メートル競走(きょうそう)で一位(いちい)になった。
 ・いそいで列(れつ)に並(なら)んだら、前から5番目になった。
 ・我(わ)がチームはとうとう最下位になってしまった。がんばれ!
 △[氷(こおり)が水に/水がお湯(ゆ)に/午後から雨に/雨が雪に/嵐(あらし)]に~。 
 ・湯(ゆ)がさめて、水になってしまった。
 ・氷を冷蔵庫(れいぞうこ)にしまうのをわすれたために、のこりの氷がみんなとけて水になってし
  まった。
 ・気温が下がり、雨はやがて雪となった。
 ・A:雪がとけると何になるでしょう。
  B:水でしょう?
  A:いいえ、春になります。
  B:なるほど!
 ・3に4を足すと(こたえが)7になる。
 ・x(エックス)に5を代入(だいにゅう)するとy=32(ワイ・イコール32)になる。
 ・32人で62000円かかったのだから、費用(ひよう)は1人あたり2000円ぐらいになる。
 ・ことし30才にもなる、いいおとながそんな子どものような事を言うなんておかしい
 ・この時計(とけい)を質屋(しちや)に持って行けば2000円ぐらいにはなるでしょう。
 ・山中さんが来れば(人数は)みんなで10人になりますね。
 △[薬(くすり)/毒(どく)/金(かね)/もの/ため/身(み)/無(む)]に~。
 ・この草はおなかの薬になります。
 ・酒(さけ)はのみ方によって毒にも薬にもなります。
 ・A:よし子は悪いいたずらをして、先生にとてもしかられたらしいね。
  B:ええ。でも、たまにはいい薬(くすり)になるわ。
 ・これは、かんたんな仕事(しごと)だが、わりあいお金になる。
 ・この発見(はっけん)は大きな金になるぞ!
 ・ドイツ語も勉強した。ロシア語もやった。だが、どれもものにならなかった。(=じょうずにな
  らなかった)
 ・そのもうけ話(ばなし)は、けっきょくものにならなかった。(=実現(じつげん)しなかった)
 ・あんな男はだめだ。使いものにならない。(=やくにたたない) 
 ・この洗濯機(せんたくき)は故障(こしょう)が多くて、使いものにならない。
 ・きょうは、ためになる(=やくに立つ)話を聞いた。
 ・苦労(くろう)して勉強したことは身になる。
 ・せっかくの親切(しんせつ)が無になって(=むだになって)しまった。
 △[様(さま)/絵(え)/幕(まく)/おじゃん/おしゃか/ご破算(ごはさん)]に~。 
 ・きみでも制服(せいふく)を着ると、なんとか様になるね。
 ・この景色(けしき)は絵になりますよ。(うつくしい。おもしろい)
 ・コックがしおと砂糖(さとう)をまちがえたのでは様にならない。
 ・きみの教え方はなかなか様になっている。(≒先生らしい)
 ・試合(しあい)は山下のホームランで幕となった。(=おわった)
 ・姉の縁談(えんだん)は父がバカなことを言ったので、オジャンになった。(=だめになった)
 ・みんなで山にのぼる話があったが、あいた時間がないので、オジャンになった。
 ・古い自動車が、とうとうオシャカになった。(=つかえなくなった)
 ・この機械(きかい)は古いから、もうじきオシャカになるよ。
 ・ビルを建てる計画(けいかく)がご破算になった。(=だめになった)
[2]〔ものニ〕
 △[朝/夕方(ゆうがた)/夜/2時/正午(しょうご)/春/新年/夏休み]に~。 
 ・今年もとうとう大(おお)みそかになった。ぶじに一年が過ぎた。
 ・夏休みになると、いろいろやりたいことがあるが、毎年、たいしたことはできない。
 ・りんごの実(み)がなる季節(きせつ)になると、近くの子どもたちがとりに来る。
 ・A:このごろあたたかくなりましたね。
   B:ほんとうに。やっと春になりました。
 ・A:もう12時になりましたか。
  B:いや、まだ11時半です。
 ・夏になると、北極(ほっきょく)では何時になってもくらくならないそうだ。
 ・A:日本に来てから、どのぐらいになりますか。(どのぐらいですか)
  B:そうですねえ、6年ぐらいですね。
 ・来月の15日で、父がなくなってから、ちょうど5年になります。
 ・あの二人が恋人(こいびと)どうしだということはさいきんになってやっと分かりました。
 ・A:いつになったら、あなたにかしたお金を返してくれるのですか。
  B:もうしわけありません。今はありません。もう少しまってください。
 △[雨/雪(ゆき)/暴風雨(ぼうふうう)/嵐(あらし)]に~。
 ・今は晴れていますが、夕方(ゆうがた)から雨になるそうです。
 ・今夜(こんや)は雪になりそうだ。
[3]〔ものガ ものカラ〕
 ・日本は4つの大きい島(しま)と、たくさんの小さい島からなる。
 ・水は酸素(さんそ)と水素(すいそ)からなっている。
 ・この本は4つの部分(ぶぶん)からなっている。
 ・国会は参議院(さんぎいん)と衆議院(しゅうぎいん)からなっている。
[4]〔ものガ〕
  ・ついに前人未踏(ぜんじんみとう)の偉業(いぎょう)がなった!
 ・今年は惜(お)しくも決勝(けっしょう)で敗(やぶ)れ、我が校の連覇(れんぱ)はならなかった。
[5]〔人ガ 人ト ものニ〕
 ・つまらないことで妻(つま)とけんかになった。あとでいつものとおり仲直(なかなお)りをした。
 ・上司(じょうし)と口論(こうろん)になり、言いたいことをいってしまった。まずかったなあ。
 ・両国(りょうこく)の対立(たいりつ)は激(はげ)しさを増(ま)し、戦争(せんそう)にまでなりそう
  な気配(けはい)だ。

[6] 複合述語の用法
〔形-く/になる〕
 ・ビールをのんだので、かおが赤くなった。
 ・小さかった木がずいぶん大きくなった。
 ・わたしはアキラさんがすきになりました。
 ・しばらく会わなかったら、あなたの娘さんはきれいになりましたね。
〔文ようになる〕
 ・赤ちゃんが立って歩けるようになった。
 ・フランス語が話せるようになりたいなあ。
 ・何度も注意(ちゅうい)したら、かれはやっとしごとの時間におくれないようになった。
 ・今の子どもたちが成長(せいちょう)して大人(おとな)になるころには月へかんたんに行けるよう
  になっているだろう。
 ・外国でひとりで暮(く)らすようになってから、掃除(そうじ)も洗濯(せんたく)も料理(りょうり)
  もなんとかできるようになりました。
 ・この町でもさいきん外国の本を売るようになった。
 ・店はけっきょく2番目(ばんめ)のむすこがつぐようになりました。(≒つぐことになりました)
〔文ことになる〕
 ・来年、中国に留学(りゅうがく)することになりました。
 ・こんど結婚(けっこん)することになりました。
 ・もう2か月で、このまちにまる10年すんだことになる。
 ・いま38才(さい)ということは、30年前のそのころは小学生だった(という)ことになる。

<複合動詞:なり->
[なりあがる] 人ガ
 ・昔、大臣の秘書をやっていた男が、今では大臣に成り上がって、偉そうにしている。
 ・戦後のどさくさに強引な商売をして、大金持ちに成り上がった男が私の父なんです。
   大金持ち・億万長者・大富豪・指揮官・上官・強者に
[なりかわる] 人ガ 人ニ
 ・在学中は娘が大変お世話になりました。娘になりかわってお礼をもうし上げます。
 ・社員一同になり代わって、株主の皆様にご挨拶させていただきます。
   当人・本人に 一同に~て挨拶する
[なりきる] 人ガ ものニ
 ・ドラマの中で小山さんはハムレットになりきっていた。
 ・娘を甘やかしてはいけないと思うのだが、どうも私は厳しい父親にはなりきれない。
   商人・役・馬鹿に すっかり とことん
[なりさがる] 人ガ ものニ
 ・おまえはそんな情けない人間になりさがったのか。
 ・昔は彼も社会改革の夢を持っていたが、金もうけの話しかしない俗物に成り下がってしまった。
   俗物・売国奴・恥知らず・卑怯者・負け犬・つまらぬ男に 資本家の走狗と
[なりすます] 人ガ 人ニ
 ・犯人は、白バイの警察官になりすまして、現金輸送車を奪っていった。
 ・流行作家が、作中人物になりすまして講演をするというスタイルで大人気を得た。
 ・うちの娘もバイトの時はまじめな女の子になりすましている。
   警官・芸術家・記者・作中人物・社長に
[なりたつ] ものガ (ものカラ/デ)
 ・インドネシアは数千の島から成り立っている。
 ・あなたの理論は、特殊な条件の下でしか成り立たない。
 ・こう景気が悪くては、商売が成り立ちませんね。
   仮説・関係・アリバイ・経営・自由な解釈・商売・推定・推理・図式・生活・大義名分・妥協
   ・判断・理論・和解が 自然に 営利的に 事業として 論理的に
[なりはてる] 人・ものガ ものニ
 ・千年前には高い文明をきずいたP国は、今では外国の援助にたよる小国になりはててしまった。
 ・若い頃は事業に成功して意気盛んだった彼も、無理な経営がたたって倒産し、とうとうホームレ
  スになりはてた。
      哀れな人間・ついにこんな姿・やくざ者・廃墟に


する(為る)サ変(しない・します・して・すれば・しよう) 
[1]〔人・ものガ ものヲ ものニ〕
 △したい  しそうだ  しはじめる  しかける  しがちだ  してある  してくる
  してはいけない  しなければならない  しようとする  すればいい  しろ! するな!
 △[何とか/無理(むり)に/思い切って/いやいや]~。
 △[娘(むすめ)をピアニストに/彼を委員長(いいんちょう)に/あの子を嫁(よめ)に]~。
  [みかんをジュースに/夢(ゆめ)を現実(げんじつ)に/留学を目標(もくひょう)に]~。
 ・娘をバイオリニストにしたいという人がいるが、相当(そうとう)お金がかかるようだ。
 ・知人(ちじん)の子を養子(ようし)にしようと考えている。
 ・来月から寮(りょう)の食費(しょくひ)を月(つき)三万円にするそうだ。
 ・今日の夕飯(ゆうはん)は刺身(さしみ)にしよう。
 ・次の会議(かいぎ)はいつにしますか。
 ・教室の机の間隔(かんかく)を1メートルにした。
 ・彼女はとうとう夢を現実にすることができた。
 ・先生は、この資料(しりょう)を出発点(しゅっぱつてん)にして、論文(ろんぶん)を書き上げた。
 ・20年前、故郷(こきょう)をあとにして都会(とかい)へ出た日のことを思い出す。
  ・大辞林(だいじりん)を枕(まくら)にして昼寝(ひるね)したら、頭がよくなるかなあ。 
〔文ヲ ものニ〕
 ・金メダルを取ることを目標にして、毎日練習を重(かさ)ねた。
 ・家に金がなかったので、アルバイトをすることを条件(じょうけん)にして、進学させてもらった。
 ・風邪気味(かぜぎみ)なのを口実(こうじつ)にして、めんどうな仕事を代(か)わってもらった。
 ▽この「ものヲものニ」の語順は「ものニものヲ」にできない。
  2つの名詞の関係は、『「ものガものニなる」ようにする』という関係にある。
   娘がピアニストになる(ようにする)→ 娘をピアニストにする
〔形容詞-く/-に〕
 ・画面(がめん)の文字(もじ)をもう少し大きくしてください。
 ・いつも部屋(へや)をきれいにしていると気持ちがいい。
〔動詞+ように〕
 ・このコンロは、地震(じしん)があったらすぐガスが止まるようにしてあります。
 ・人が近づいたらチャイムが鳴るようにした。
 ・柵(さく)を閉めて、人が通れないようにした。 

[2]かわる・かえる
 変化を表す動詞の最も基本的なもの。「かわる」という音の動詞を「変わる」と「代わる・替わる
・換わる」に分ける。対応する他動詞は、それぞれ「変える」と「代える・替える・換える」。
 「変わる」は一つのものの性質などが違うものになることで、「代わる」はあるものが他の別のも
のに置き換えられること。「-ている」の形は、基本的に変化の結果としての状態を表す。
  「変える」「代える」は、人が対象に変化・交替を引き起こすことを表す。

◇かわる(変わる)
  「変わる」は、ものの性質・形・状態などが違ったものになること。後の状態を示す結果のニ格を
とる。前の状態をカラ格で示す。
  ものガ (ものカラ)(ものニ) かわる
      信号が赤から青に変わる  色・形・大きさ・感じ・態度・事情が 変わった
      天気が変わる  雨が雪に変わる  天気が雨から雪に変わる
 「-ている」および名詞修飾の「-た」の形で、ふつうとは違う、一般的でないことを表す。
   あの人はかなり変わっている  変わったデザインの服
  他動詞的にヲ格をとる用法がある。
      彼は会社を3度も変わった
・複合動詞:あまり多くない。(「-替・代わる」は下に)
 「変わり果てる」は、(よくないほうに)すっかり変わってしまうこと。
 「移り変わる」は、物事が時が経つのとともに変わること。
 「生まれ変わる」は、死後にふたたびほかのものになって生まれること。ひゆ的に、性格などが別
  の人になったようによくなることを言う。 
・スル動詞
 「変化する」は、あるものの性質・形状・状態などが違ったものになること。広く使われるが、も
  の自体が別のものになる場合は言えない。
      色が変化する  社会が情報化社会に変化する     二人の関係が大きく変化した
   ×居間の絵がセザンヌからモネに変化した (○かわった)
 「一変する」は、それまでとはまったく変わること。
 「急変する」は、急に(悪いほうに)様子が変わること。
 「変身する」は、体を他のものに変えること。
 「変遷する」は、時代の推移とともにいくつかの段階を経て変わっていくこと。
 「変動する」は、事態が大きく動くように変わること。
 「変貌する」は、見た様子がすっかり変わること。
 次のものは自動と他動の両方の用法がある。
 「転換する」は、物事の情勢、方針などが大きく変わること。変えること。
◇かえる(変える)
 「変える」は、ものの性質・形・状態などを違ったものにすること。後の状態を示す結果のニ格を
とる。前の状態をカラ格で示す。
  人ガ ものヲ (ものカラ)(ものニ) かえる 
      壁の色・デザイン・話・仕事・立場・主張を 変える 
      壁の色を青から緑に変える   主張を賛成から反対に変える
・スル動詞
 「変革する」は、社会・制度などが根本から変えること。
 「変更する」は、予定や決定されていたことを変えること。
 「加工する」は、原料または他の製品に手を加えて新しい製品を作ること。 
 次の二つは自動と他動の両方の用法がある。
 「一変する」は、それまでとはまったく変わること。変えること。
 「転換する」は、物事の情勢、方針などが大きく変わること。変えること。
◇かわる(代わる・替わる・換わる)
  「代わる・替わる・換わる」は、あるものがしていたことを、他のものがするようになること。
  後の状態を示す結果のニ格をとる。前の状態をカラ格で示す。(漢字表記に大きな差はない)
  人・ものガ (人・ものカラ)(人・ものニ) かわる
   社長が替わる  首相が池田から佐藤に代わる  年度が替わる  
 他動詞的にヲ格をとる用法がある。相手のト格をとる。(「かえる」とは言わない)
  人ガ (人ト) ものヲ かわる
   妻と運転を代わる  電話を代わる  同僚と持ち場を代わる  
・複合動詞:「-かわる」の形のものがいくつかある。何らかの意味で「代わる」ことを表す。
  「入れかわる」は、それまであったものに代わって、別のものが入ること。
 「置きかわる」は、あるものの代わりに別のものが置かれること。
 「切りかわる」は、それまでの考え方・やり方などが別のものになること。
 「すりかわる」は、気がつかないうちに代わっていること。
 「成りかわる」は、その人の代わりになって、その役目などを務めること。
 「生えかわる」は、歯や髪の毛が抜けて、新しいものが生えてくること。
・スル動詞
  「交替する」は、その位置・任務にあった人が他の人と変わること。
◇かえる(代える・替える・換える)     
  「代える・替える・換える」は、ある人・ものを(使うことを)やめて、別の人・ものにすること。
  後の状態を示す結果のニ格または対象のト格をとる。前の状態をカラ格で示す。
    人ガ 人・ものヲ (人・ものカラ)(人・ものニ/ト) かえる 
   議長・部品・包帯を 替える  円をドルに替える 
 他の人に持ち物などを渡し、他の人のものを受け取ること。
   お互いの服・席・担当を 替える
・複合動詞:「-かえる」のものが多い。
 基本的には、「替える」こと、つまり「前に~したのをやめて、新しく~する」ことを表す。
  「言い換える」「入れ替える」「置き換える」「着替える」「住み替える」「建て替える」
  「作り替える」「乗り換える」「読み替える」など。
  動詞の元の意味からはわかりにくいものをとりあげる。
  「切り替える」は、それまでの考え方・やり方などを別のものにすること。
 「差し替える」は、あるものをやめて、別のものを差すこと。別のものに取り替えること。
 「組み替える」は、一度組んだものをやめて、別の組み方にすること。日程や番組など、抽象的な
  ものにも言う。
 「すり替える」は、人に気づかれずに、あるものを別の(悪い)ものに取り替えること。
 「建て替える」は、前の建物を壊して、新しい建物を建てること。(「立て替える」は別語)
 「取り替える」は、今までのものを別のものに替えること。人とものを替えること。
 「引き替える」は、あるものを渡して、代わりのものを手に入れること。
 「振り替える」は、あるものを一時的に別の用途に使ったり、他へ移したりすること。
・スル動詞
 「交換する」は、自分のものを相手に渡し、その代わりに相手のものを受け取ること。
 「換気する」は、室内の空気を入れ換えて、新しい空気を入れること。
 「両替する」は、ある貨幣を他の貨幣にかえること。
 「チェンジする」は、別のものにすること。お互いのものを取り替えること。


かわる(変わる)五(かわらない・かわります・かわって・かわれば・かわろう)
[1]〔人・ものガ〕
 △かわりそうだ  かわりたい  かわっていく  かわってきた  かわってしまう
  かわってほしい  かわってはいけない  かわらなければならない  かわらせる
  かわられる  かわろうとしている  かわれ!  かわるな!
 △[少し/少しずつ/大きく/まったく/すっかり/さっと/完全(かんぜん)に]~。
  [急に/とつぜん/やっと/ついに/知らないうちに/静かに]~。 
 △[色(いろ)/形/大きさ/感じ/印象(いんしょう)/雰囲気(ふんいき)]が~。
  [事情(じじょう)/情勢(じょうせい)/事態(じたい)/病状(びょうじょう)]が~。
  [様子(ようす)/態度(たいど)/顔つき/姿(すがた)/服装(ふくそう)]が~。
 ・見ていてごらん。色がだんだん変わっていくよ。
  ・しばらく会わない間に、彼はずいぶん変わってしまったようだ。
 ・子どものころとは、町の印象がずいぶん変わった。
 ・事情が変わりました。あなたに貸(か)していたお金をすぐに返してください。
 ・政治(せいじ)の流(なが)れがすこしは変わってきています。
 ・こんどの選挙(せんきょ)の結果(けっか)によって、政治は大きく変わるだろう。
 ・この世にあるもので、変わらないものなど何もない。
 ・時代は大きく変わろうとしている。その流れに参加(さんか)したい。
 ・ひさしぶりにふるさとに帰ってみたら、すっかり様子が変わっていたのでびっくりした。
 ・病状がきゅうにかわったので、いそいで看護士(かんごし)さんをよんだ。
 ・学校を出て会社につとめ出したら、弟の顔つきが変わった。おとなの気持ちになれたのだろう。
 ・チップを出したら、ホテルのボーイの態度(たいど)ががらりと変わった。
 ・私が「きのうは、めずらしい所で会いましたね。」と言うと、彼女の顔色(かおいろ)がさっと変
  わった。
[2]〔人・ものガ 人・ものニ〕
 ・まどの外を見ると、いつのまにか雨が雪に変わっていた。
 ・たたみがカーペットに変わったが、日本人のくらし方はあまり変わらない。
 ・六月に入ったら、みんなの来ている物が夏の物にかわった。
[3]〔ものガ ものカラ ものニ〕
 ・空の色が青から赤に変わっていく。夕焼(ゆうや)けだ。
 ・信号(しんごう)が黄色(きいろ)から赤にかわった。
 ・会議(かいぎ)の予定が月よう日から木よう日にかわりました。
[4]〔人・ものガ 人・ものト ものガ〕
 ・あの人はいつも人とは変わった事を言ったりやったりする。
 ・A:今日は変わったかっこうをしていますね。(ふつうとはちがうかっこう)
  B:ああ、これはインドから帰った友だちのおみやげの服(ふく)です。
 ・今日はいつもとかわって、父が料理(りょうり)を作った。
 ・このライターは形が変わっていますね。

[5]〔人ガ ものヲ〕
  ・大学を卒業して5年で、彼はもう三度も会社を変わったそうだ。
  ・ここはどうも釣(つ)れないようだ。ちょっと場所を変わってみよう。


<複合動詞:かわり->
[かわりはてる] 人・ものガ
 ・昔は中学一の美少女だった妻も、60年たつと、変わり果てた姿になってしまった。
 ・大地震とそれに続く火災の後、町は信じがたいほど変わり果てていた。
      ふるさとが 信じられないほど  ~た姿・形  あまりにも
<複合動詞:-かわる>
[うつりかわる] ものガ
 ・世の中は、移り変わろうとしている。
 ・季節の移り変わるのを見ながらくらすのはいいものだ。
   時代・場面・世が 刻々と 時代とともに 時に連れて
[うまれかわる] 人ガ 人ニ
 ・仏教では、人も動物も死ぬとつぎに別の動物に生まれ変わると考えられている。
 ・今までのことを反省して、生まれ変わった気持ちでしごとをしようと思う。
   細胞・市民社会が 勤勉な男に 次の世に ~たつもりでがんばる
   明鏡:鳥に 別人に 組織が 花屋がブティックに ~たら一緒になろう
<スル動詞>
[一変(いっぺん)する]  ものガ
 ・その言葉を聞くと、彼の態度が一変し、急に愛想よくなった。
 ・建設計画が発表されてから、あたりの風景は一変した。「計画反対!」の看板だらけになった。
[急変(きゅうへん)する]  人・ものガ
 ・山の天気は急変することがあるので、特に気をつけなさい。
 ・患者の容態が急変し、医師が呼ばれた。
[転換(てんかん)する]  ものガ
 ・時代は大きく転換(を)しようとしていた。
 ・突然、会社の方針が転換(を)した。
[変化(へんか)する]  ものガ (ものカラ) ものニ
 ・色がだんだん変化(を)します。よく見ていてください。
  ・日本は、この百年で大きく変化した。
 ・色が青から緑に変化(を)していった。
 ・数値がプラスからマイナスに変化(を)した。
[変身(へんしん)する]  人ガ ものニ
 ・人間が巨大なロボットに変身するという発想はどこから生まれたのだろう。
 ・釈迦は動物に変身して人を助けたという。昔からそういう考え方があったのだ。
[変遷(へんせん)する]  ものガ 
 ・日本語の発音がどう変遷してきたかを論じる。
 ・変遷する時代を通じて価値を持つものは何か。
[変動(へんどう)する]  ものガ
 ・ここ数日、円相場が大きく変動している。
 ・観測数値が周期的に変動しているのはなぜか。
[変貌(へんぼう)する]  人・ものガ 
 ・この50年で農村は大きく変貌した。
 ・インターネットの出現で、生活様式が大きく変貌した。


かえる(変える) 一(かえない・かえます・かえて・かえれば・かえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △かえたい  かえてみる  かえてほしい  かえてしまう  かえてはいけない
  かえたほうがいい  かえなければならない  かえさせる  かえられる 
  かえさせられる  かえろ!  かえるな!  かえようとする  
 △[ちょっと/少しだけ/すっかり/そっくり/ぜんぶ/いっさい/ためしに]~。
 △[壁(かべ)の色/大きさ/話/話題(わだい)/仕事(しごと)/価格(かかく)]を~。
 ・壁の色を変えたいと思うのだけど、どうかなあ。
 ・つくえや本だなの位置(いち)を変えてみたら、部屋のふんいきが変わった。
 ・いつもとは髪型(かみがた)を変えて出かけてみた。
 ・仕事をかえたいのですが、ほかにいい仕事がないので、かえられません。
 ・ここでちょっと話題(わだい)を変えて日本とみなさんの国のちがいについて話してください。
 ・人の性格(せいかく)は変えようと思ってもかんたんには変えられない。
 △[姿(すがた)/形(かたち)/おもむき/イメージ/デザイン]を~。
 ・虫(むし)やカエルは、大きくなる途中(とちゅう)で体の形を変えます。
 ・私もちょっとイメージを変えてみようと思って、流行(りゅうこう)の服を買いました。
 ・会社は車のデザインをいろいろ変えているが、いちばん大事なことは運転しやすいことだ。
 △[視点(してん)/見方/立場(たちば)/主張(しゅちょう)/態度(たいど)]を~。
 ・店の人は、私が外国人だと分かるときゅうに態度(たいど)をかえて、不親切になった。
 ・この子はニンジンがきらいだけれど、いろいろの料理(りょうり)にいれて目先(めさき)を変える
  と、少しは食べる。
 ・きょうは気分を変えて、庭(にわ)の木の下で授業(じゅぎょう)をやりましょう。
 ・これは会社の決めた方針(ほうしん)ですから、良くないと思っても、私たちには変えることはで
  きません。(方針を変える)
 ・この国の人はのんびりしすぎるという日本人がいるが、見方をかえて言えば日本人がいそがしす
  ぎるのだ。
 ・男はぬすみの証拠(しょうこ)の写真を見せられても、顔色を変えずに黙(だま)ったままだった。
 ・彼女は自分のフランス語を笑(わら)われて、顔色を変えた。
 ・お金のもうかる話があると聞いて、大山さんは目の色を変えて出かけて行った。
[2]〔人ガ ものヲ (ものカラ) ものニ〕
 ・試験(しけん)の日を月よう日から火よう日にかえました。みなさん、まちがえないようにしてく
  ださい。
 ・来月の二日は用事がありますので、会議(かいぎ)を別の日に変えていただけませんか。
 ・まち合わせの時間を1時から2時にかえた。
 ・船(ふね)はもうすぐ進路(しんろ)を東から南にかえます。

<スル動詞>
[加工(かこう)する]  人ガ ものヲ
 ・合成樹脂を加工して、人間の手の形にし、義手を作る。 
 ・食品を加工して、長期保存できるようにする。
[転換(てんかん)する]  人ガ ものヲ (ものニ)
 ・ここで発想を転換して、別の方向から考えてみよう。
 ・中央委員会が柔軟路線に転換したようだ。
   政治・姿勢・気分・旧来の発想・視点・方向・方針・論調を
[変更(へんこう)する]  人ガ ものヲ
 ・会の名称を変更したいと思います。
  ・会議の日時が何度も変更された。    
 [~の変更をする]
  ・しかたなく、予定の変更をした。


かわる(代・替・換わる)五(かわらない・かわります・かわって・かわれば・かわろう)
[1]〔人・ものガ (人・ものカラ)(人・ものニ)〕
 △かわりそうだ  かわりかけている  かわってしまう  かわらないほうがいい
  かわられる  かわれ!  かわるな!
 △[急に/とつぜん/いきなり/予想(よそう)したとおり/さいわいなことに]~。
 △[係(かかり)/人/相手(あいて)/担当(たんとう)]が~。
 ・相手の人が替わったため、また初めから説明(せつめい)しなければならなかった。
 ・社長が大西さんから小西さんにかわれば、この会社はもっとよくなるだろう。
  ・相手のピッチャーが代わってから、打線(だせん)が爆発(ばくはつ)した。
 ・担当者が替わると、プログラム全体のやり方も変わってしまうので、こまる。
[2]〔人ガ (人ト) ものヲ〕
 △かわりたい  かわってほしい  かわってはいけない  かわらせる  かわれ!
 △[急に/とつぜん/いきなり/予想(よそう)したとおり/さいわいなことに]~。
 △人と[当番(とうばん)/役(やく)/運転(うんてん)/日直(にっちょく)]を~。
  ・この仕事、だれか代わってくれないかなあ。
 ・眠くなってきたので妻と運転を代わり、少しウトウトした。
 ・お客(きゃく)のあいてをする役目(やくめ)を代わってくれませんか。
 ・あしたの当番(とうばん)を代わってほしいんだけど。ちょっと用事ができたもので...。
 ・とちゅうで私が店番(みせばん)を代わりましょう。

<複合動詞:-かわる>
[おきかわる] 人ガ 人ニ
  ・いつの間にかケースの中のダイヤのネックレスが偽物と置き換わっていた。
 ・ぼくの好きな置物が、妻の好きな花瓶に置き換わっているのに気がついた。
[いれかわる] 人・ものガ 人・ものニ/ト (ものヲ)
 ・景色を見たくなったので、窓際に座っていた夫と(席を)入れ替わった。
 ・金庫の中でダイアモンドのゆびわがガラスのゆびわに入れかわっていた。
   客・左右・上下・立場・部屋の空気が 場所を 簡単に 加害者と被害者が
[きりかわる] ものガ ものニ
 ・この映画は、場面が次々と切り替わるので、話についていくのが大変だ。
 ・突然スイッチが自動的に切り替わって、器械が別の動きを始めた。
   画面・スイッチが 夏物に
[すりかわる] 人・ものガ 人・ものト
 ・手品師は誰にも気づかれないようにうまく助手とすりかわっていた。
 ・一瞬のうちに、本物と偽物がすりかわっていた。
   偽物と 見事に
[なりかわる] 人ガ 人ニ
 ・在学中は娘が大変お世話になりました。娘になりかわってお礼をもうし上げます。
 ・社員一同になり代わって、株主の皆様にご挨拶させていただきます。
   当人・本人に 一同に~て挨拶する
[はえかわる] ものガ (ものニ)
 ・イヌやウサギなどの動物の毛は春と秋に新しく生え替わります。
 ・子供の乳歯が少しずつ永久歯に生え替わってきた。
   歯・毛・角・羽毛が 新しく
               
<スル動詞>
[交替・交代(こうたい)する] 
 〔人ガ 人ト〕
  ・ピッチャーが(次のピッチャーと)交替(を)した。
 〔人ガ 人ト ものヲ〕
  ・同僚と任務を交替したいと思ったが、断られた。
  ・彼女と順番を交替して、私が後になった。


かえる(換・代・替える)一(かえない・かえます・かえて・かえれば・かえよう)
[1]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 △かえたい  かえてほしい  かえておく  かえてはいけない  かえなくてはならない
  かえようとする  かえさせる  かえられる  かえろ!  かえるな!
 △[ときどき/いつも/そろそろ/ひさしぶりに/急に/いきなり/うっかり]~。
  △[服(ふく)/カーテン/相手(あいて)/レコード]を~。
 ・毎日ハンカチを替えるのを忘れないようにしている。
 ・よごれたので、このテーブルクロスを換えてください。
 ・ちょっと部屋へ行って服を換えて来ますから、このロビーでまっていてください。
 ・A:胃の病気はよくなりましたか。
  B:もう3か月も医者に通っているんですが、よくなりません。
  A:それは変ですね。医者をかえてみたらどうですか。
 ・決められた所にすわってください。かってに席(せき)をかえてはいけません。
 ・立場をかえて考えれば、私だけが悪いのではないと分かりますよ。
[2]〔人ガ ものヲ ものト〕
 △[シャツ/電池(でんち)/靴(くつ)]を~。
 ・懐中電灯(かいちゅうでんとう)の電池をかえておこう。
 ・あせをかいたから、シャツを新しいのと換えよう(=とりかえよう)。
 ・銀行(ぎんこう)でやぶれたお札を新しいのと換えて(=とりかえて)もらった。
 ・友だちに日本の切手を外国の切手と換えてもらった。(=日本の切手と外国の切手を)
[3]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △[円をドルに/宝石(ほうせき)をお金に/銀(ぎん)を金(きん)に/あかりをLEDに]~。
 ・ここでドルを円に替えることができますか。
 ・健康(けんこう)はお金にはかえられません。よくきく薬(くすり)ならどんなに高くても買います。
 ・お金がないので金(きん)の指輪(ゆびわ)をお金に替えて食べる物を買った。
 ・お金は金(きん)にかえておいた方が安全ですよ。
 ・この機械(きかい)を使うと、海の水を飲み水にかえることができます。

<複合動詞:-かえる>
 基本的には、「替える」こと、つまり「前に~したのをやめて、新しく~する」ことを表す。
  「言い換える」「入れ替える」「置き換える」「着替える」「住み替える」「建て替える」
  「作り替える」「乗り換える」「読み替える」など。
  動詞の元の意味からはわかりにくいものを以下にとりあげる。
[きりかえる] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・電話をわたしのへやの方へ切り替えてください。
 ・テレビのチャンネルを切り替えた。
 ・会社の首脳陣が方針を切り替えたようだ。
   頭・ギア・気分・気持ち・スイッチ・話・ライト・話題を 卒業試験をレポートに
[くみかえる] 人ガ ものヲ
 ・彼女は男たちの視線を意識しながら、足を組み替えた。
 ・地区の高校のサッカートーナメントの日程を組み替えた。
      足・腕・計画・数字・遺伝子・打線を 予算を いろいろに
[さしかえる] 人ガ ものヲ ものニ/ト
 ・この例文はよくないから、他の例文に差し替えよう。
 ・花瓶の花がしおれてきたので、新しいものと差し替えた。
   花瓶の花・記事・写真を 正しいものと
[すげかえる] 人ガ ものヲ                                    
  ・ひな人形の顔に傷が付いてしまったので、新しいものにすげ替えてもらった。
  ・影の権力者は、げたの鼻緒をすげ替えるように、首相の首をすげ替えてきた。
     下駄の鼻緒を 政権を 監督・大臣・人形の首を 
[すりかえる] 人ガ ものヲ ものト
 ・手品師は誰にも気づかれないようにうまくカードをすりかえた。
 ・彼は、一瞬のうちに、本物と偽物をすりかえた。
   薬・手紙・報告・問題・本質・論理・名を 偽物と 涙を笑いに 見事に
[たてかえる] 人ガ ものヲ 
 ・父が建てた家を、私の代になって建て替えた。感慨があった。
   家・校舎・ホテルを 思い切って  そろそろ いい加減
 ・良雄が財布を忘れたので、食事代を立て替えてやったが、まだ返してくれない。
   金・切符代・税金・大金・宿賃を  快く 仕方なく  
[とりかえる]  人ガ ものヲ ものト / 人ガ 人ト ものヲ
 ・すみませんが、この品物、別のと取り替えてくれませんか。ここに傷があるので。
 ・赤ん坊のおしめを取り替えるのは、面倒だけれど、なかなか楽しい作業だ。
 ・王子が乞食の少年と互いの服を取り替えて、ちょっとした冒険をしようとした。
   おしめ・ガーゼ・鍵・機械・着物・車・恋人・下着・畳・電球・ネクタイを
   新品に 別のものと 次々と 手際よく どんどん こまめに 毎日
[ひきかえる] 人ガ ものヲ ものト
 ・これは整理券で、入場券ではありません。入場するためには、あそこの窓口でこれを入場券と引
  きかえなければなりません。
 ・お米の引換券をもらった。米屋に持っていくと、お米と引き替えてくれるそうだ。
   境遇を 当たり券を景品と 
[ふりかえる] 人ガ ものヲ         
 ・休日を振り替えて、月曜に休むことにする。
 ・君の役は彼に振り替えよう。君はこっちをやってくれ。
   資金・預金・休日・授業・コンサートを一週間後に 

<スル動詞>
[換気(かんき)する]  人ガ ものヲ
 ・部屋の空気を換気したいと思っても、春は花粉が入るから窓を開けられない。
 ・ガスストーブを使う場合はこまめに換気して下さい。
[交換(こうかん)する]  人ガ 人ト ものヲ ものト
  ・田中さんとレコードを交換した。
   (私のレコードを田中さんのレコードと)
  ・新聞紙をチリ紙と交換する。
 [~の交換をする]
  ・居間の電球の交換をしなければならない。
[チェンジする]  人ガ ものヲ
 ・登り坂にかかったので、車のギアをチェンジした。
 ・サッカーなどのゲームでは、公平さのためにハーフタイムでコートをチェンジする。
[変革(へんかく)する]  人ガ ものヲ
 ・社会を変革しようという意欲にあふれた若者達が、かつてこの国にはいた。
 ・経済の仕組みを変革しないことには、もうどうにもならないんじゃないだろうか。
 [~の変革をする]
  ・制度の大きな変革をした。
[両替(りょうがえ)する]  人ガ ものヲ (ものト/ニ)
 ・1万円札を千円札10枚に両替してもらった。
 ・空港で円をドルに両替できますか。
 [~の両替をする] 
  ・すみませんが、1万円札の両替をしていただけますか。

[3]改まる・改める
       
◇あらたまる
 「改まる」は、古いものが新しく、よいものになること。書きことば。名詞修飾は「-た」の形が
使われる。
   ものガ あらたまる
    年が改まる  規則・規約・気分・事態が 改まる
 ふだんと違った、きちんとした、正式な態度・様子になること。
    改まった場面・席・服装・表現・態度・口調で 
◇あらためる
  「改める」は、古いものを新しく、よいものにすること。書きことば。
   人ガ ものヲ あらためる
        規則・基準・制度・考え方・方針・認識・気持ちを 改める  日を改める
 ふだんと違った、きちんとした、正式な態度・様子になること。
    態度・姿勢・居ずまい・言葉遣い・服装・行いを 改める
  正式なものかどうか検査すること。硬い表現。
    切符・乗車券・書類・荷物・パスポート・おつり・枚数を 改める
・複合動詞
  「言い改める」は、別の言い方に替えること。より正しい言い方にすること。
 「書き改める」は、不十分に書かれたものを、よりよい書き方・内容に直すこと。
・スル動詞   
 「改悪する」は、改めて、かえって悪くすること。
 「改革する」は、不都合な制度や機構を改め、新しくすること。
 「改行する」は、文章を書く時、行を改めて次の行に次の文を書くこと。
 「改札する」は、駅で切符を調べたり集めたりすること。
 「改正する」は、法令・規則・方式などの不十分な点を改め、よりよいものにすること。
 「改選する」は、議員や役員などの任期満了後、次の議員を選挙すること。
 「改善する」は、悪いところを改めてよくすること。
 「改定する」は、決まっていたことを、改めて決め直すこと。
 「改訂する」は、書物の内容などを改め直すこと。
 「改築する」は、建物の一部または全部を新しく建て替えること。
 「改造する」は、機械、建物や組織に手を入れて作り直すこと。 
 「改良する」は、欠点のあるものをよりよいものにすること。   

◇ただす
  「正す」は、正しくないものを正しく直すこと。正しいかどうかを明らかにすること。
   人ガ ものヲ ただす
        誤りを正す  行い・姿勢を 正す  是非・筋を 正す
 本当にそうかどうかを聞いてはっきりさせること。(「言語」の「尋ねる」を参照))
   人ガ 人ニ ものヲ ただす
    疑問・真相・責任・意向を 質す    罪をただす
・スル動詞
 「是正する」は、悪い点を改めて正しくすること。 
       格差・不合理を 是正する


あらたまる(改まる) 五(あらたまらない・あらたまります・あらたまって・あらたまれば)
[1]〔ものガ〕
 △あらたまりそうだ あらたまりかける あらたまっていない 
 △[もうすぐ/そろそろ/やっと/とても/ひじょうに/とつぜん]~。
 △[年/年号(ねんごう)/態度(たいど)/行(おこな)い/考え/習慣(しゅうかん)/習性(しゅう
   せい)]が~。
  改まった[言いかた/服装(ふくそう)/場所]で
 ・年末(ねんまつ)はいそがしいので、年が改まって(=来年になって)、おちついてから、ゆっくり
  ご挨拶(あいさつ)にうかがいます。
 ・あの学生は、何度(なんど)注意(ちゅうい)しても態度が改まらない。(学生の態度が)
 ・改まった服装をすると気持ちまでひきしまる。
 ・改まった場所へ行くのだから、スーツをきて行ったほうがいい。
 ・ふだんはあまりネクタイをしないが、改まった場所へ行く時はネクタイをしめる。
 ・A:ちょっとお話があるんですが、聞いていただけますか。
  B:きゅうに改まって...何ですか。
 ・年号が改まった。


あらためる(改める) 一(あらためない・あらためます・あらためて・あらためれば・あらため
  よう) 
[1]〔人ガ ものヲ〕 
 △あらためたい あらためておく あらためてしまう あらためてはいけない
  あらためなければならない あらためさせる あらためられる あらためようとする
  あらためろ! あらためるな! あらためられない
 △[少し/すっかり/きちんと/だいたい/進んで/いやいや/しぶしぶ]~。
 △[態度(たいど)/おこない/考え/習慣(しゅうかん)/習性(しゅうせい)]を~。
  [年号(ねんごう)/規則(きそく)/場所/名前]を~。
 ・あなたのような考えかたをしていると、友だちがいなくなってしまうよ。
 ・仕事(しごと)のスピードがおそいのは、やりかたが悪いからだ。やりかたを改めたほうがいい。
 ・私が、いろいろと話をして(あの学生の)良くない所を教えてやったので、それ以来(いらい)あの
  学生はすっかり態度を改めた。
 ・きょうはもう時間がありませんので、この問題は日を改めて(=また別の日に)話し合いたいと思
  います。
 ・将来(しょうらい)稿(こう)を改める(=本を書きなおす)機会(きかい)があれば、次のような点を
  なおしたいと考えています。
 ・悪い制度(せいど)が改められた。(=改善(かいぜん)された)
 ・来年の4月に法律(ほうりつ)が改められる(=改正(かいせい))されることになった。
[2]〔人ガ ものヲ ものニ/ト〕   
 ・この文章(ぶんしょう)の「くだらない仕事が多い」という言いかたはちょっときついから、「む
  だな仕事が多い」に改めたほうがいい。
 ・年齢(ねんれい)について、「30歳以上(さいいじょう)」を「35歳以上」と改める。

[3]〔人ガ ものヲ〕
 △[切符(きっぷ)/おつり/荷物(にもつ)/かばんの中身(なかみ)]を~。
 ・車掌(しゃしょう)がやって来て、「乗車券(じょうしゃけん)を改めさせて(=調べさせて)いただ
  きます。」と言うと、乗客(じょうきゃく)の切符を調(しら)べはじめた。
 ・ハイジャック防止(ぼうし)のため、かばんの中身を改めさせていただきます。
 ・これが代金(だいきん)の 83670円です。まちがいのないようにお改めください。(=たしかめる)

<複合動詞:-あらためる>
[いいあらためる] 人ガ ものヲ ものト
 ・「成人病」という言葉は「生活習慣病」と言い改めるようになった。
  ・つまり、言い改めますと、そもそもこのような物質は存在しないのだ、ということです。
[かきあらためる] 人ガ ものヲ
 ・この本を書いてからもう5年もたったので、その後の研究成果などもとり入れて、書き改めよう
  と思う。
 ・この書類は書き方がちがっているから、書き改めなければならない。
      原稿・作品・童話・論文を
<スル動詞>
[改悪(かいあく)する]  人ガ ものヲ
 ・みなさん、弱者を守ってきた法律が改悪されようとしています!
 ・平和憲法を改悪しようとする勢力がある。
[改革(かいかく)する]  人ガ ものヲ
 ・社内のゆるんだ勤労意識を改革していかなければならない。
 ・官僚機構を改革して、税金の無駄遣いを減らしてほしい。 
 [~の改革をする]
  ・早急に教育の改革をする必要がある。(教育を改革する)
[改行(かいぎょう)する]  人ガ ものヲ
 ・上手に改行すると、文章が読みやすくなる。
 ・ここで新しい話になっているから、改行したほうがいい。
[改札(かいさつ)する]  人ガ ものヲ
 ・改札しますので、切符のご用意をお願いします。
[改正(かいせい)する]  人ガ ものヲ
 ・政府は憲法を改正するというが、改悪ではないか。 
 ・この法律は何度も改正されています。
 [~の改正をする]
  ・専門家にお願いして、規約の改正をしていただいた。
[改選(かいせん)する]  人ガ 人ヲ
 ・委員の任期が終わったので、改選しなければならない。
 ・今回改選される議員は、ベテランの人が多い。
[改善(かいぜん)する]  人ガ ものヲ
 ・わが国の年金制度は、まだまだ改善する余地がある。 
 ・昔に比べて、労働者の労働条件はかなり改善されたが、最近また悪くなってきた。
[改造(かいぞう)する]  人ガ ものヲ
 ・車を改造して、自分の好みに合わせることがはやっている。
 ・内閣を改造するというが、どう変えてみても首相があれじゃねえ。
[改築(かいちく)する]  人ガ ものヲ
 ・思い切って改築したら、ずっと住みやすくなりました。
 ・家が古くなってきたから、改築しようと思うんだが、金がかかりそうだなあ。
[改定(かいてい)する]  人ガ ものヲ  ものニ
 ・毎日乗っている私鉄が運賃を改定するそうだ。「改定」とはつまり「値上げ」だ。
 ・会の規約をよりわかりやすいものに改定することになった。
 [~の改定をする]
  ・条約の改定をするために、使節団が欧米を訪問することになった。
[改訂(かいてい)する]  人ガ ものヲ  ものニ
 ・この辞書は十年ごとに改訂されているので、新語がしっかり載せられている。
 ・経済データを多く使った教科書はすぐに改訂しなければならないので大変だ。
 [~の改訂をする]
  ・文法書の改訂をするために、論文をたくさん読まなければならない。
[改良(かいりょう)する]  人ガ ものヲ
 ・作物の品種を改良して、寒さに強い品種を作った。 
 ・このあたりの土地は、昔に比べるとずいぶん改良されているね。
 [~の改良をする]
  ・イネの品種の改良をして、もっとおいしいお米が食べられるようにしたい。


ただす(正す・質す)  五(たださない・ただします・ただして・ただせば・ただそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ただしたい  ただしておく  ただすべきだ  たださなくてはならない  ただせ!
 △[きちんと/しっかりと/一つ一つ/丁寧(ていねい)に/細(こま)かく]~。
  △[誤(あやま)り/行(おこない)い/姿勢(しせい)/身(み)なり/誤解(ごかい)]を~。
  ・過去(かこ)を反省(はんせい)し、これまでの誤りを一つ一つ正していかなければならない。
 ・首相(しゅしょう)は、政治姿勢(せいじしせい)を正そうという考えをお持ちなのでしょうか。
 ・先生が話し出すと、みな、居(い)ずまいを正した。
 ・行いの正すべきところを正し、自らに厳(きび)しく生きて行きなさい。
 ・つまらぬ誤解を正しておかないと、後で大きな問題になりかねない。
 ・人々の偏見(へんけん)を正して、差別(さべつ)のない世の中にしていきたい。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
  ・議長が提案者(ていあんしゃ)の意見を質した。
 ・野党(やとう)が首相(しゅしょう)に解散(かいさん)の有無(うむ)を質したが、回答はなかった。
   (→「言語」の「尋ねる」を参照)

<スル動詞>
[是正(ぜせい)する]  人ガ ものヲ
 ・社会に存在する様々な不平等を是正していかなければならない。
 ・問題点を調査し、是正すべきところはためらわず是正していきたい。

[4]なおる・なおす
 よくない状態からよい状態になる・する動詞。日常の会話では「よくなる・よくする」もよく使わ
れる。

◇なおる
  「直る」は、壊れたり、乱れたり、間違ったりしたものが元のよい状態に戻ること。病気、けがな
どから元の健康な状態に戻ること。                  
   人・ものガ なおる
    機械・パソコン・車・故障が 直る  風邪・病気・ねんざ・傷が 治る
・複合動詞
 「居直る」は、追いつめられた者が、急に攻撃的な態度になること。
 「立ち直る」は、倒れそうになった者が、またしっかり立つこと。ひゆ的に、悪い状態になったも
  のが元のよい状態に戻ること。
 「開き直る」は、今までの態度を急に変えて、攻撃的な態度になること。
 「向き直る」は、今まで他の方を向いていたものが、あらためてその方へ向きを直す。
・スル動詞
 「回復する」は、病人やけが人が元の健康な状態に戻ること。物事が元のよい状態に戻ること。
 「治癒する」は、病気やけがなどが治ること。
 「全快する」は、病気やけががすっかり治ること。

◇なおす
  「直す」は、壊れたり、乱れたり、間違ったりしたものを元のよい状態に戻すこと。病気やけがを
元の健康な状態に戻すこと。
   人ガ ものヲ なおす
       ドア・機械を 直す  化粧・服装の乱れ・欠点・誤字を 直す   病気・けが・傷を 治す
 ある形式・体系のものを別の形式・体系にすること。
   人ガ ものヲ ものニ なおす
       漢字を仮名に直す  ドルを円に直す  尺貫法の量をメートル法に直す
・複合動詞:「-なおす」の形で多くの動詞につく。基本的な用法は、「さらによくなるように、改
めてもう一度~する」ことを表す。
 「洗い直す」は、具体的にものを洗う意味と、ひゆ的に、問題を調べ直すことを表す。
 「思い直す」は、もう一度考えるというより、一度決めた考えを変えることを表す。
 「叩き直す」は、曲がったものを叩いてまっすぐにすること。人の性格などを鍛え直すこと。
 「立て直す」は、家を造り直すことと、社会的・精神的に好ましくない状態を元の状態に直すこと。
  「出直す」は、「出る」という意味はなく、初めからもう一度何かをやり直すこと。
 「取り直す」は、新たな気持ちになって、ということを「気(持ち)を取り直して」と表す。 
 「見直す」は、もう一度よく見るという意味のほかに、評価をし直すことを表す。
  「持ち直す」は、もう一度持つという意味のほかに、悪い状態が元に戻ることを表す。
・スル動詞
 「修理する」は、いたんだり壊れたりしたもの、機械や車などを直すこと。
 「修繕する」は、いたんだり壊れたりしたものを直すこと。「修理」より比較的簡単で部分的な場
  合に言い、複雑な内部構造より外見に関することに言う。衣類・器物・建物などにも言う。
 「修復する」は、いたんだり壊れたりしたところを作り直して元の形に戻すこと。絵画や人間関係
  などにも言う。
 「修正する」は、不十分なところ、よくないところを直すこと。意見・文章や計算などに言う。
 「訂正する」は、一度できた文章の誤りを直すこと。
 「添削する」は、文章や答案の誤りや不十分なところを指摘したり直したりすること。 
 「治療する」は、手当をして病気・けがなどを治すこと。


なおる(直る・治る) 五(なおらない・なおります・なおって・なおれば) 
[1]〔人・ものガ〕
 △なおりそうだ  なおりたい  なおってほしい  なおらないとこまる  なおりかけている
 △[すぐに/やっと/しだいに/しぜんに/ひとりでに/なんとか]~。
  [ぜんぜん/ちっとも/なかなか/まるで/まったく]なおらない
 △[けが/病気/かぜ/悪いくせ/故障(こしょう)/車/パソコン]が~。
 ・病気がなかなか治らない。
 ・けがが治るのに10日もかかった。
 ・悪い癖(くせ)がどうしても直らない。
 ・A:5日ほど前に時計(とけい)の修理(しゅうり)をおねがいしたんですが、もう直ったでしょうか。
  B:はい、直っています。
 ・いろいろあやまったら、山田さんの機嫌(きげん)がやっと直った。
 ・A:かぜをひいちゃった。
  B:「酒(さけ)は百薬(ひゃくやく)の長(ちょう)」とか言うから、酒を飲んでねていれば、治るよ。
  A:酒で病気が治れば、だれも苦労(くろう)しないよ。

<複合動詞:-なおる>
[たちなおる] 人ガ (ものカラ)
 ・倒産しそうだった会社が何とか立ち直り、社員も明るさを取り戻した。
 ・彼女は両親の死の悲しみから立ち直って、強く生き始めた。
      景気が 痛手・恐怖・虚脱・挫折・ショック・失敗から 自力で ようやく
[いなおる] 人ガ
 ・花瓶をこわしたあと、はじめはあやまっていた山田はそのうち「こわしたのも悪いが、もともと
  こんな所に花瓶をおくのが悪いんだ。」といなおった。
   押し売りが 悪党が ふてぶてしく   
[ひらきなおる] 人ガ 
 ・一勝三敗、あと一つ負ければ終わりだ。こうなったら、開き直っていこう。
 ・人間、開き直ると何か道が見つかるものだ。
   すっかり 居丈高に せっぱ詰まって 半ば  ~た口調・態度 
[むきなおる] 人ガ ものニ 
 ・彼女はこちらに向き直って私の目を見つめた。
 ・遠いから聞こえないだろうと思っていたら、我々のほうに向き直って「聞こえてるわよ」と言っ
  た。こわいこわい。
      こちら・前・まっすぐに くるりと キッと 

<スル動詞>
[回復(かいふく)する]  ものガ
  ・彼の病気が回復したら、お祝いをしよう。
 ・すっきりしなかった天気がやっと回復(を)した。
 ・景気が回復(を)してきたので、わが社の業績もかなり回復(を)した。
〔人・ものガ ものヲ〕
  ・彼女はずいぶん健康を回復したようだ。
 ・この町もやっと治安を回復した。
  <類> とりもどす
[全快(ぜんかい)する]  ものガ
 ・傷が全快するまでは休んでいていいよ。
 ・病気が全快したとのことでおめでとうございます。


なおす(直す・治す)五(なおさない・なおします・なおして・なおせば・なおそう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △なおしたい なおしてほしい なおしておく なおしてある なおしてあげる・もらう
  なおさなければならない  なおさないほうがいい  なおそうとする  なおさせる
  なおされる  なおしつつある 
 △[しっかり/きちんと/ていねいに/かんぜんに/だいたい/てきとうに]~。
  [まっすぐに/ただしく/ぴったりに/うまく/なんども/もういちど]~。
 △[機械(きかい)/テレビ/スイッチ/画面(がめん)/故障(こしょう)]を~。
  [まちがい/あやまり/悪いところ/悪い習慣(しゅうかん)/フォーム/くせ]を~。
  [虫歯(むしば)/かぜ/病気/けが/体/性格(せいかく)]を~。
  [文章(ぶんしょう)/原稿(げんこう)/漢字/字の形/発音(はつおん)]を~。
 ・山田くんはいま自転車(じてんしゃ)のこわれたところを直しています。
 ・A:自転車がパンクしちゃった。
  B:自転車屋(や)で直すとお金がかかるから、わたしが直しましょう。
 ・ネクタイがまがっているわ。直してあげるわね。
 ・スピーチの原稿(げんこう)ができました。先生、悪い所を直してください。
 ・原稿が先生によってなおされた。
 ・子どもの箸(はし)のもちかたを直してやった。
 ・母に敬語(けいご)の使い方を直された。
 ・こわれた時計(とけい)を直そうとして、もっと悪くしてしまった。
 ・10ヤードはメートルに直すと9.144メートルになります。
 ・さっきは言いすぎた。あやまるから、機嫌(きげん)を直してくれないか。
 ・左利(ひだりき)きをむりに右利きに直さなくてもよい。
 ・英語を日本語に直しただけでは翻訳(ほんやく)したことにならない。
 ・医者(いしゃ)が病気を治すのではない。治すのは病人自身だ。
 ・足のけがはじゅうぶんに治してあるから、今度の休みから練習をはじめられるだろう。
 ・試合(しあい)に出る機会(きかい)はこれからもたくさんあるから、今はむりをしないで、まず、
  けがをよく治しなさい。

<複合動詞:-なおす>
[あらいなおす] 人ガ ものヲ
 ・タオルの汚れがよく取れていなかったので、もう一度洗い直した。
 ・今までの会社のやりかたにはいろいろ問題がある。ぜんぶ洗い直してみよう。(=調べて)
[おもいなおす] 人ガ 文ト/ヲ
 ・もしかすると、私の言い方が悪かったのかな、と思いなおし、彼に電話して謝った。
 ・大学をやめてプロになろうかと思ったが、思い直して卒業することにした。
 ・死ぬのを思い直し、もう一度やり直してみようと思った。
   事件を すぐに その都度  ~して進学する
[たたきなおす] 人ガ ものヲ 
 ・腐った根性を叩き直すなどと言って、軍隊でリンチが行われていた。
 ・愚かな学生たちを叩き直すには、合宿で朝から晩まで勉強させるしかない。
   愚か者・腐った性根・ひねくれた根性・土性骨を 
[たてなおす] 人ガ ものヲ 
 ・古くなった家を思い切って建て直した。
 ・経営が悪化していた会社を新社長がみごとに立て直した。
 ・夏休みに崩れてしまった生活習慣を何とか立て直さないといけない。
   家・行き詰まった政治・看板・気分・気持・国・暮らし・計画・経済・財政・姿勢・
   社会保障・自宅・陣容・生活・戦略・体制・秩序・店を 一から 根本的に
[でなおす] 人ガ 
 ・今日は見事に断られたね。もう一度改めて出直すか。
 ・今までのやり方ではもうだめなんだ。一から出直さないと、うまくはいかない。
   一から 初めから 新たに 改めて もう一度 頭を冷やして 顔を洗って
[とりなおす]  人ガ ものヲ 
 ・去年はいい年ではなかった。さて、新年。気持ちを取り直してがんばろう!
   気・気分・気持ち・元気・勇気を
[みなおす] 人ガ 人・ものヲ 
  ・この計画はもう一度よく見直したほうがいい。(考え直す)
 ・いい加減な人だと思っていたら、意外にまじめなので見直した。
[もちなおす] ものガ
 ・落としそうになっていた荷物のひもをもう一度持ち直した。
 ・不調だった経済がやっと持ち直してきた。
 ・ゆうべはあぶなかったのですが、今朝になって、病状が持ちなおしました。このままで3日もて
  ば、もうだいじょうぶですよ。

<スル動詞>
[修正(しゅうせい)する]  人ガ ものヲ
 ・自分の書いた文章を読み直して、いくつか字句を修正し、提出した。
 ・法案は議会でいくつか修正されたあと、可決された。
 [~の修正をする]
  ・不適当な表現の修正をしたほかは、内容は変えていない。
[修繕(しゅうぜん)する]  人ガ ものヲ
 ・台風で屋根が少し壊れたようだ。次の雨までに修繕してもらわないといけない。
 ・車のエンジンを修繕してもらったら、非常に調子よく走るようになった。
 [~の修繕をする]
  ・古い仏像の修繕をする仕事をしています。
[修理(しゅうり)する]  人ガ ものヲ
  ・自分で自転車を修理しました。
 ・パソコンが壊れたので、店へ持っていって修理してもらった。
 [~の修理をする]
  ・弟は自分で簡単な電気器具の修理をするようになった。
[訂正(ていせい)する]  人ガ ものヲ (ものニ)
  ・間違いをすぐ訂正した。
 ・集合時間を「7時」と書いてしまったのを「8時」に訂正した。
 [~の訂正をする]
  ・誤りの訂正をした。
[添削(てんさく)する]  人ガ ものヲ
 ・学生の作文を添削していると、時々笑ってしまうような間違いがある。
 ・レポートがびっしり添削されて返ってきた。
 [~の添削をする]
  ・学生に書かせた小論文の添削をしている。
[治療(ちりょう)する]  人ガ ものヲ
  ・虫歯が痛み出したので、近所の歯医者さんに治療してもらった。
 ・戦争で負傷したが、十分に治療することもできず、後遺症が残った。
 [~の治療をする]
  ・傷の治療をしたかったが、その暇がなかった。

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