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              ◇言 語◇
 
    [1] 言う・申す 
    [2] 話す・述べる   
    [3] 書く・記す     
    [4] 知らせる・伝える  
    [5] 読む  
   [6] 聞く・尋ねる・問う  
    [7] 答える  
    [8] 黙る  
 
 
      言語活動に関わる動詞をとりあげる。その中でも、言語活動そのものを表すものだけ
     をここで扱う。言語は、基本的に相手があるが、言語を使って人に対して何かを求めた
     り、何かの気持ちを表したりする動詞は、次の「対人:精神」のところでとりあげる。
       
      言語を発する「言う・書く」などと、それを受ける「聞く・読む」が基本となる。
       「話す」は、「言う」に近いが、ト格をとって相互のやりとりも表す。  
       伝わる内容に関して、情報の受け渡しに重点を置く「知らせる・伝える」、不明の情報
     を求める「聞く・尋ねる」とそれに対する「答える」がある。                          
      なお、行動要求に関わる「命じる・頼む」「禁じる」などは、次の「対人」で扱う。言
     語を使うことによって行われる「謝る・わびる」「ほめる・けなす」などもそこで扱う。
       
      基本的な文型は、   
        人ガ 人ニ/カラ/ト ものヲ 動詞 
     となる。ニ格は言語活動の相手を表し、ト格は相互行為の相手、カラ格は相手を情報の
     出所と考える場合の格である。  
      言語活動の動詞は、名詞節・疑問節・引用節などをとる。その中でも特に、引用節を
     とることが大きな特徴になる。     

 
             ◇言 語  1◇
  [1] 言う・申す

  言う  言い合う 言い当てる 言い誤る 言い争う 言い改める 言い表す   
         言い合わせる 言い置く 言い遅れる 言い落とす 言い返す 言い換える
         言いかける 言いかねる 言い交わす 言い聞かす・聞かせる 言い切る
         言い暮らす 言いくるめる 言い込める 言い渋る 言い過ぎる 言い捨てる
         言い添える 言い損なう・損ねる 言いそびれる 言い足す 言い出す
         言い立てる 言い違える 言いつかる 言い尽くす 言い繕う 言いつける
         言い伝える 言い続ける 言い通す 言い直す 言い習わす 言い抜ける
         言い逃れる 言い残す 言い放つ 言い張る 言い広める 言い含める
         言いふらす 言い古す 言い負かす 言い紛らす 言いまくる 言い漏らす
         言いよどむ 言い寄る 言い忘れる 言い渡す  主張する 証言する
         宣言する 代弁する 断言する 発音する 発言する 予言する
     おっしゃる
     申す  申し合わせる 申し入れる 申し受ける 申し送る 申し遅れる 申しかねる
         申し聞かせる 申し込む 申し添える 申し立てる 申しつける 申し伝える
         申し出る 申し述べる 申し渡す
     申し上げる
     [2] 話す・述べる

   話す    話し合う 話しかける 話し込む  打ち明ける   
         噂する 演説する 会話する 協議する 議論する 講演する 講義する
         合議する 雑談する 審議する 対談する 対話する 提案する 討議する
         討論する 論議する 論争する
     相談する  打ち合わせる   
     しゃべる    しゃべり出す しゃべりまくる  おしゃべりする
     述べる  論じる
     語る   語り合う 語り明かす 語りかける 語り聞かせる 語り継ぐ 語り尽くす
          語り伝える
     ささやく ささやきかける
     つぶやく
     説く  説き明かす 説き起こす 説き及ぶ 説き聞かせる 説き伏せる 
         言い聞かす・言い聞かせる 言い含める  解説する 説得する 説明する

 [3] 書く・記す

  書く  書き上げる 書き改める 書き表す 書き入れる 書き写す 書きおく   
         書き送る 書き起こす 書き落とす 書き下ろす 書き換える 書き下す
         書き加える 書き込む 書きしたためる 書き記す 書き捨てる 書き添える
         書き損なう・損ねる 書き損じる 書き足す 書き出す 書き立てる
         書き溜める 書き散らす 書き継ぐ 書き尽くす 書き付ける 書きつづる
         書き連ねる 書き飛ばす 書きとめる 書き取る 書き直す 書き流す
         書きなぐる  書き並べる 書き慣れる 書き抜く 書き残す 書きまくる
         書き漏らす 書き分ける 書き忘れる
         記述する 記入する 記録する サインする 作文する 下書きする
         執筆する 署名する 清書する 筆記する メモする 
     記す
     描く  描きあげる 描き出す 描き分ける 描写する

 

 

 

[1]言う・おっしゃる・申す

◇いう
 「言う」は、思ったこと、人に伝えたいことをことばにして口から発すること。言語に関する動詞
の中でもっとも基本的な動詞である。基本形は「ゆう」という発音もある。
 相手のニ格、対象のヲ格をとる。引用節をとる。
   人ガ 人ニ ものヲ いう
        優勝者にお祝いを言う  言いたいことを言う
   人ガ 人ニ 文ト 言う
    毎朝、母に「おはよう」と言う
 「文ト」のあとにその内容を表す名詞を入れる形もある。
    遅いと文句を言われた  「ありがとう。」とお礼を言った
 聞き手がいなくても使える。(他の多くの動詞は聞き手の存在が前提)
    彼女に言った   独り言を言った(自分に?)
 特に内容のあることを述べなくてよい。感嘆詞などでもいい。引用符の中は外国語でもいい。
    「あ~あ。」と言った  フランス語で「Oui.」と言った  
 引用の内容は、意志や命令の形もとれる。
    早くしろと言われた  彼女は「私もやりましょう」と言った
 引用の「~ト」以外に、名詞節、疑問節をとる。
    明日遅くなることを上司に言った
    行くのかどうか言ってほしい 
    いつやるか言わなかった
 内容が命令・依頼を表す「~ヨウニ」の形をとる。
    すぐやめるように言った   二度と来ないようにと言った
 ヲ格をとり、そのものをどう呼ぶかを示す。外国語でどう表現するか、などを表す。
   (ものヲ) ものト いう
        この定理をピタゴラスの定理と言う
    「人」は、インドネシア語では「オラン」と言う
    私(の名前)は吉田和夫と言います
 「~と言われる/と言う」は、一般にそのような考え方があることを表す。
   男女の脳には違いがあると言われる
 「~ということだ」は、その情報が他からの伝聞であることを表す。
   人類はアフリカで誕生したということだ
  「という」は内容節を受けて、後に続く名詞の内容を示す。
   大雪になるという天気予報  子供が生まれたという知らせ
   日本に留学するという目標  
 「名詞+という/といった+名詞」の形で、前の名詞の属性を示すなどの用法に使われる。
      田中と言う人  日本という国  円という形  愛というもの  
 その他さまざまな慣用的表現に使われる。いくつか例をあげる。
      ~と言えば      田中さんと言えば、あの人、最近どうしてる?
   ~と言い、~と言い  アメリカと言い、ロシアと言い、どうして戦争をしたがるのか
   ~からといって        難しいからといって、あきらめてはいけない
      これと言った欠点はない   どう/なん ということもない
      中国語をやったとはいっても、ほんの半年だ
・複合動詞:「いい-」の形の複合動詞が非常に多い。いくつかに分けてまとめる。
 相手と対立する場合
  「言い合う」は、おおぜいの人が互いに言うこと。言葉で争うこと。
 「言い争う」は、言葉で争うこと。
 「言い返す」は、人の言葉に対して、返答する。特に相手に反対する意見を言うこと。
 「言いくるめる」は、言葉巧みに話して、初めは反対した相手に自分の考えを信じさせること。
 「言い込める」「言い負かす」は、言い争って相手に反論できなくさせること。
 「言いまくる」は、(相手の話を聞かず)自分だけどんどん話し続ける。
 「言い捨てる」は、相手の答えを待たず、自分だけ言って話をやめる。吐き捨てるように言うこと。
 「言い立てる」は、(問題点などを)一つ一つ並べるように、強く言うこと。
 「言い通す」は、自分の主張をどこまでも言い続けること。
 「言い放つ」は、遠慮なく、はっきりと言うこと。
 「言い切る」は、強く、はっきり言うこと。(長い言葉を)言い終わること。
 「言い張る」は、自分の言っていることが正しいとあくまでも言い、主張を変えないこと。
 ごまかす場合
 「言い抜ける」「言い逃れる」は、自分の失敗や責任などをうまく言って逃れること。
 「言い紛らす」は、話を別の関係のないことに移して、今の話をごまかす。
 「言い繕う」は、うまいことを言って、過ちや欠点をごまかすこと。
 説明、説得する場合
 「言い聞かす」「言い聞かせる」は、目下の者に、よくわかるようにわけを説明すること。特に、
  相手の非や、行動を禁止する理由を説明したりする場合に言う。
 「言い含める」は、相手が納得するようによく説明しておくこと。
 命令する、される場合
 「言いつかる」は、(目上の人から)用事などを命令されること。
 「言いつける」は、目下の者に命令すること。告げ口をすること。言い慣れていること。
 「言い渡す」は、上の者が決定したことに従うように下の者に言うこと。   
 まちがって言う場合
 「言い誤る」は、まちがって正しくないことを言うこと。
 「言い損なう・損ねる」は、まちがった言い方をする。言おうと思ったことを言わないでしまう。
 「言い違える」は、まちがって言うこと。
 「言い落とす」は、言うべきこと(の一部)を言い忘れること。
 「言い過ぎる」は、言うべきでないことまで言ってしまうこと。
 「言い直す」は、言い間違ったため、またはより適当な言い方をするため、もう一度言うこと。
 「言い漏らす」は、言うべきことの一部を言わないでしまうこと。
 「言い忘れる」は、言うつもりだったことを忘れて言わないでしまうこと。
 言わない/言えない場合
 「言いかける」は、話そうとして、または話し始めて、やめてしまうこと。
 「言いかねる」は、何らかの事情により、言うことができないこと。
 「言い渋る」は、そのまま言うのはまずいと思って、言うのをためらうこと。
 「言いそびれる」は、言おうとしながら、言い出す機会を失うこと。
 「言いよどむ」は、言おうとしてためらったり、言いたいことがうまく言えず、つかえること。
 「言い遅れる」は、先に言うべきことを言えず、あとで言うこと。
 「言い残す」は、一部を言わないでしまうこと。別れる時、その後のことについて言うこと。
 少し変えて言う
 「言い改める」は、別の言い方で言うこと。
 「言い換える」は、同じことを別の言い方で言い直すこと。
 「言い添える」は、言い足りないと思って、言葉を付け加える。ものを渡す時などに、一言言う。
 「言い足す」は、すでに言ったことに、さらに言葉を加えること。
 広く伝える場合
 「言い伝える」は、次代の人、あるいは現在の多くの人に伝えること。伝言すること。
 「言い習わす」は、世間で昔から習慣としてそう言ってきたこと。
 「言い広める」は、ある言葉・考えを多くの人が知るように広く伝えること。
 「言いふらす」は、(正しくないことや人の悪口などを)多くの人に言って広める。
 その他
 「言い表す」は、自分の考えなどを言葉で表すこと。書く場合にも言える。
 「言い当てる」は、(推測して)事実を正しく言うこと。
 「言い合わせる」は、前もって話し合い、意見を合わせておくこと。
 「言い交わす」は、あいさつなどの言葉を交わすこと。男女が結婚の口約束をすること。
 「言い置く」は、人に伝えてほしいことをそこにいる人に言ってから、出かけること。
 「言い暮らす」は、毎日そのことばかり言って一日を過ごすこと。
 「言い出す」は、(考えていたことを)口に出して言うこと。言い始める。いちばん初めに言う。
 「言い尽くす」は、言いたいことを全部言うこと。可能形の否定「言い尽くせない」でよく使う。
 「言い続ける」は、同じことをくり返し言うこと。
 「言い古す」は、くり返し言われてきたことで新鮮な情報でないこと。受身の形でよく使われる。
 「言い寄る」は、ことばで求愛すること。くどくこと。
◇スル動詞
 「主張する」は、自分の意見・説を相手に対して強く言うこと。
 「証言する」は、ある事柄を証明するために体験した事実を(証人として)話すこと。
 「宣言する」は、個人・団体が意見・方針などを外部に対して公式に発表すること。
 「代弁する」は、本人に代わって意見などを述べること。
 「断言する」は、間違いなくこうだ、と相手に向かってはっきり言い切ること。
  「発音する」は、音声器官を使って言語の音を発すること。
 「発言する」は、自分の意見などを(公的な場で)述べること。
 「予言する」は、未来の出来事を(必ず起きることとして)言うこと。
◇おっしゃる
  「仰る」は、「言う」の尊敬語。目上の人などの動作に使う。活用形の例外がある。
   おっしゃいます  おっしゃいなさい  早くおっしゃい!
◇もうす
  「申す」は、「言う」の丁寧な言い方。また、補助動詞として、相手に対する動作の丁寧表現。
    そう申しました   後ほどお知らせ申します
・複合動詞
  「申し合わせる」は、話し合ってある事柄を決めること。
 「申し入れる」は、意志や要求を改まった態度で相手に伝える
 「申し受ける」は、願い出て受けること。相手の依頼を受けること。
 「申し送る」は、あることを伝えること。特に、事務上の必要事項などを次の担当に伝えること。
 「申し送れる」は、「言い遅れる」の丁寧な表現。早く言うべきことが遅くなること。
 「申しかねる」は、「言いかねる」の丁寧な表現。立場や状況のせいで言うのがためらわれること。
 「申し聞かせる」は、「言い聞かせる」の謙譲表現。目下のものによく分かるように説明すること。
 「申し込む」は、相手の答えを期待してこちらの応募、依頼、主張、要求などを伝えること。
 「申し添える」は、「言い添える」の丁寧な表現。後から付け加えて言うこと。
 「申し立てる」は、公の機関や目上の人に対して意見や希望を主張すること。
 「申し付ける」は、上のものが下の者に対して命令すること。
 「申し伝える」は、「言い伝える」の丁寧な表現。別の人に伝言すること。
 「申し出る」は、(公の機関や目上の人に)自分の意見や希望を(改まって)言うこと。
 「申し述べる」は、「述べる」の謙譲表現。
 「申し渡す」は、「言い渡す」の荘重な言い方。(新明解)
◇もうしあげる
  「申し上げる」は、「申す」より一層高い敬意を表す謙譲表現。


いう(言う) 五(いわない・いいます・いって・いえば・いおう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △[感謝(かんしゃ)/別(わか)れ/お祝(いわ)い/謝罪(しゃざい)]の言葉(ことば)を~。
  [お礼(れい)/お別れ/お祝い/お悔(く)やみ]を~。
  [意見(いけん)/感想(かんそう)/建前(たてまえ)/本音(ほんね)]を~。
  [うそ/お世辞(せじ)/皮肉(ひにく)/文句(もんく)]を~。
  [なきごと/愚痴(ぐち)/でまかせ/でたらめ/きやすめ]を~。
  [何か/変なこと/言いにくいこと/思っていること]を~。
 △いいたい  いいかける  いってみる  いってほしい  いってはいけない
  いったほうがいい  いうべきだ  いわなければならない  いわせる  いわれる 
  いわせられる  いおうとする  いえ!  いうな!
 △[小声(こごえ)で/大声(おおごえ)で/はっきり/あいまいに/早口(はやくち)で]~。
  [らんぼうに/ていねいに/えらそうに/ずうずうしく/おそるおそる/うっかり]~。
 ・中西さんはちょっとしたことをしてあげても、ていねいにお礼を言う。
 ・私にそんなお世辞(せじ)を言わなくてもいいんですよ。
 ・ほかの人には言わないから、私にだけはほんとうの事を言ってください。
 ・田中は、なかなか本音を言わない。
 ・なぜこんな事をしたのか、その理由(りゆう)を言ってください。
 ・人の悪口(わるくち)を言ってはいけない。
 ・A:おなかがいたかったので、休みました。
  B:うそを言うな。お前が映画館(えいがかん)から出てきたのを見たぞ。
  A:先生はそこで何をしていたのですか。
  B:.....。
 ・きのうのお客(きゃく)は、飯(めし)がまずいだの、へやがきたないだの、言いたいことを言って
  帰っていった。
 ・言いたいことを言わないでおくと体によくありませんよ。
 ・野田さんは独り言(ひとりごと)を言うくせがある。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・けっきょく、彼女は何時に来るのか言ってくれなかった。
 ・では、どうすればいいのか、言いましょう。
 ・いろいろまよってしまって、大学に行くのかどうか、まだ父に言えなかった。
〔文ヨウニ〕
 ・先生からあしたは7時半までに来るように言われた。
 ・学生に二度(にど)と遅刻(ちこく)をしないようにきつく言っておいた。
 ・この箱(はこ)を二階(にかい)にはこぶように言われて来たんですが....。
[2]〔人ガ (人ニ) 文ト (ものヲ)〕
 ・先生が私に「あなたのスピーチはとても良かった。」と言ってくれた。
 ・あの人はだれが仕事(しごと)をたのんでも「はい。はい。」と言って、すぐにやってくれる。
 ・日本人は御飯(ごはん)を食べる時、「いただきます。」と言います。
 ・「さよなら。」なんて言わないで。「いつかまた。」と言って別れましょう。
 ・人から物をもらった時は「ありがとうございます。」とお礼を言いなさい。
 ・ファンは監督(かんとく)に「お前のせいでまけたんだぞ。」と文句を言った。
 ・近所(きんじょ)の人にばかと言われても、中西は少しも気にしなかった。 
 ・すみません。今、なんと言いましたか。
 ・人に何と言われようと、金は金だ。 
[3]〔人ガ ものヲ ものト〕
 ・「いぬ」はえいごで「DOG」と言います。
 ・A:「自動車」のことをフランス語で何と言いますか。
  B:「AUTO」とか「VOITURE」などと言います。
 ・この定理(ていり)を「ピタゴラスの定理」と言う。
 ・あの人(の名前)は、山田太郎と言います。(=あの人は、山田太郎という人です)
       
<複合動詞:いい->
[いいあう] 人ガ (人ト)ものヲ 
 ・久しぶりに古い友人と会い、冗談を言い合って楽しかった。
 ・小山氏は大山氏について、大山氏は小山氏について、おたがいに陰で悪口を言い合っている。
 ・夫とほんのつまらないことでどちらが悪いか言い合ってしまった。夜は仲直りしたけれど。
      恨み・おめでとう・勝手なこと・軽口・ぐち・冗談・本心・文句・悪口を
[いいあてる] 人ガ ものヲ (文ト)
 ・山田先生はわたしのことばをきいて、わたしの生まれた所をずばりと言いあてた。
 ・占い師(うらないし)はわたしの手相(てそう)を見て、私の年やかぞくの数などをぴたりと言いあ
  てた。
      考え・関係・気持ち・曲名・弱点・真実・名・年齢・本音・胸の内を
   正確に・みごとに・あっさりと・ズバリと・ぴたりと
[いいあやまる] 人ガ ものヲ ものト/文ト
 ・ついブロッコリーをカリフラワーと言い誤ってしまい、八百屋のおばさんに笑われた。
 ・大事な席で客の肩書を言い誤り、あとで部長に厳しく叱られた。
 ・車内放送で車掌が次の駅名を言い誤ったのに気づき、子供が、ん?という顔をした。
      駅名・肩書き・名前を 椅子を机と
[いいあらそう] 人ガ 人ト 
 ・となりのへやから人が言いあらそっているような声がきこえてきた。母の遺産をめぐって兄と姉
  が言い争っていたのだ。私も加わらなくちゃ。
 ・ここは人が言いあらそうようなこともない平和なまちだ。
      親子・男女が  いろいろ はげしく  ~声を耳にした
[いいあらためる] 人ガ ものヲ ものト
 ・「成人病」という言葉は「生活習慣病」と言い改めるようになった。
[いいあらわす] 人ガ ものヲ (ものデ)
 ・自分の考えていることをことばで言いあらわすのは意外にむずかしい。
 ・わたしのこの感謝の気持ちをどう言いあらわしたらいいのでしょうか。
      考え・感じ・気持ち・状況・体験・胸の内を  一言で・的確に・端的に
[いいあわせる] 人ガ 
 ・きのうは言い合わせたように、みんなが赤いネクタイをして来た。
[いいおく] 人ガ ものヲ/文ト 
 ・父は、客が来たら、父が帰ってくるまで待ってもらうようにと言いおいて出かけた。
      行く先を 細かく 言葉少なに 
[いいおくれる] 人ガ ものヲ
 ・「言い遅れましたが、私はこういうものです」と言いながら、その男は名刺を出した。
 ・ディベートは気合が大事だ。一度言い遅れてしまうと、後から言っても負けてしまう。
[いいおとす] 人ガ ものヲ 
 ・先ほど言いおとした事が一つございます。
 ・言うべきことを言い落とさないよう、メモを見ながらしゃべった。
      一言を うっかり  肝心・大事なことを
[いいかえす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・こちらの痛い所ばかりずばずばとついて来るので、ひとことも言い返すことができなかった。
 ・あなたはおとなしすぎる。あんなふうに言われてだまっていることはない。少しは
  言い返してやればいいじゃないか。
      文句を 本気で 控えめに 負けずに 反抗的に はげしく 憤然と
[いいかえる] 人ガ ものヲ ものニ/ト
 ・この話はこのままでは難しいから、子どもに話す時はやさしい言葉に言いかえたほうがいい。
 ・温度によってここの電圧が変わります。言いかえれば、電圧をはかれば、温度が分かるというわ
  けです。
      学術用語を 島言葉を 専門語を 他の表現に
[いいかける] 人ガ ものヲ/文ト
 ・彼女は何か言いかけて、そのまま黙ってしまった。
 ・A:ねえ、じつはきょう....いいわ、何でもない。
  B:何だい。言いかけてとちゅうでやめるなんて、気持ちが悪いじゃないか。
       冗談・無理難題を 何か  言いかけて言葉を飲み込む・危うくこらえる
[いいかねる] 人ガ ものヲ/文ト 
 ・さすがに義母への批判は言いかねた。
 ・忙しい時に客に来られてこまった。忙しいから帰ってくれとも言いかねて、三時間もむだにして
  しまった。
 ・きゅうにお前の妹がすきかなんてきかれても何とも言いかねるよ。
      いやとは いずれとも いいとも悪いとも いまさらあれは冗談だとは
[いいかわす] 人ガ 人ト ものヲ
 ・朝の光の中で、町の人々と朝のあいさつを言い交わして、また新しい一日が始まった。
 ・本屋の店員と、隣の喫茶店のウエイトレス、二人は三年前から言い交わした仲だった。
      おやすみを  言葉少なにものを 深く  ~た仲
[いいきかす・きかせる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト/文ヨウニ 
 ・子供に世の中の常識をよく言い聞かした。
 ・子どもが悪いことをした時は、ただ叱るのではなく、なぜそれが悪いのかをよく言いきかせる。
 ・この子には、あなたの言う事をよくきくように言いきかしましたから、どんどん仕事をさせてく
  ださい。悪い事があったらどんどん叱ってください。
 ・村の古老は若者たちに古くから伝わる教えを言い聞かせた。
 ・私は自らに言い聞かせた。お前は彼のような天才ではない、地道に進め、と。
      教え・苦労・説教・注意を  厳しく・諄々と・熱っぽく・力を込めて  
   聞かせる 幼い子・心・自分自身・自ら・胸・我と我が身に
[いいきる] 人ガ ものヲ/文ト
 ・その子役は、長いせりふを一気に言い切った。
 ・彼女は、あんな人に負けるわけがない、と強く言い切った。
      最後まで・簡潔に・言下に・自信たっぷりに・大胆に・潔く・きっぱりと・ズバリ・力強く
[いいくらす] 人ガ ものヲ/文ト
 ・うちの娘は、「なんか面白いことないかなあ」と毎日言い暮らしている。子供が毎日を楽しく過
  ごせなくてどうする! 大人はもっと大変なんだぞ。
 ・家内は朝から晩まで忙しい、忙しいと言い暮らしている。まあ、個人商店の嫁に来たんだから仕
  方がないのだが、一度ゆっくり温泉にでも連れていってやろう。
[いいくるめる] 人ガ 人ヲ 文ト 
 ・あの男はよの中のことを知らないから、ひと月でお金が二倍にふえると言いくるめられてお金を
  だましとられたらしい。
 ・わたしは子どもじゃないから、そんなばかばかしい話で言いくるめられたりしない。
 ・仕事になれたら、月に50万円ぐらいかせげるようになるなどと言いくるめられてセールスマン
  になったが、とてもむりだ。
 ・組合との団交で、黒を白と言いくるめるような会社側の説明に、組合員は怒りの声を挙げた。
        第三者を 舌三寸で うまいこと うまく 鷺を烏と
[いいこめる] 人ガ 人ヲ
 ・夫婦げんかはするもんじゃない。何を言っても、家内に言い込められ、丸め込まれてしまう。 
  口では女に勝てない。
 ・職場にやたら自慢話をして偉そうにする同僚がいる。何とかあの男を言い込めてやりたいものだ。
      相手・母親を  しつこく  
[いいしぶる] 人ガ ものヲ
 ・母に結婚当時のことを聞こうとしたが、なぜか言い渋った。どうやら照れくさいらしい。
 ・彼が会社をやめた理由は聞き出せたが、そのあとの仕事については言い渋った。あまりまともな
  仕事ではなかったようだ。
      あと・返事・本心・本音・理由を
[いいすぎる] 人ガ (人ニ) ものヲ 
 ・A:山中先生の説明は長くて、分かりにくいね。
  B:あの先生はよけいな事を言いすぎるんだ。
 ・さっき、わたしは言いすぎました。ごめんなさい。
 ・「お前なんかいてもいなくても同じだ。」なんて言いすぎた。ほんとうの気持ちじゃない。
       思わず 少し ちょっと ついつい 調子に乗って
[いいすてる] 人ガ 文ト
 ・おこったきゃくは「こんなみせで二度(ど)と買わないぞ。」と言いすてると、出て行った。
 ・「もうあなたとは会いたくない。」彼女はそう言い捨てて、立ち去った。
       邪険に 切り口上で 乱暴に 冷たく ぽつりと 吐き捨てるように
[いいそえる] 人ガ ものヲ/文ト
 ・自分の考えを少し述べた後、彼は言い添えた。「で、あなたの考えは?」
 ・蛇足ながら、次のことを言い添えさせていただきます。それは、子供を、大人の都合のいいよう
  に育ててはいけないということです。以上です。
       言葉少なに 催促がましく
[いいそこなう/いいそこねる] 人ガ ものヲ 
 ・大西さんに会ったらお礼を言おうと思っていたのだが、しごとがいそがしくて、言いそこなって
  しまった(=言うことができなかった)。
      あいさつの言葉を 肝心なことを セリフを 礼を
[いいそびれる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・きょうこそはかのじょに「結婚(けっこん)してください。」と言おうと思って家を
  出たのだが、はずかしくて、言いそびれてしまった。(=言うチャンスが見つけられなかった)
 ・中西さんにおわびをしようと思っていたのだが、つい言いそびれてしまった。
      あいさつ・肝心なこと・断り・礼を 遠慮してしまい 気後れして とうとう なんとなく
[いいたす] 人ガ ものヲ
 ・以上でお話は終わりなのですが、いくつか言い足しておきたいことがあります。
 ・担当者の長い説明のあと、その上司というのがまたいろいろと言い足して、聞いているこっちは
  いいかげん疲れてきた。
      二言三言 甘えるように 説明不足を補うように
[いいだす] 人ガ ものヲ/文ト
 ・旅行はあなたが言い出したことだから、あなたが計画をたててください。
 ・食事がはじまってしばらくすると、子どもがガスのにおいがすると言い出した。
      無理・見直し・文句・用件・離婚・わがまま・別れ・悪口を 急に 出し抜けに
   やぶから棒に おずおずと 恥ずかしげもなく あらぬことを 言い出したら聞かない 
[いいたてる] 人ガ ものヲ
 ・互いに相手の非を言い立てるばかりで、ちっとも議論が進まない。これが国会か。
 ・小さなミスをとやかく言い立てられて腹が立ったが、じっと我慢して聞いていた。
      相手の非を 故障・難・不満・悪口を あしざまに 大げさに 口々に くどくどと
   とやかく やかましく あおるように  恥・誹謗を
[いいちがえる] 人ガ ものヲ ものト
 ・私が大事なセリフを言い違えてNGとなった。また同じ場面のやり直しだ。
 ・「黒白をつける」というつもりが、「紅白をつける」と言い違え、気づいて赤面した。
[いいつかる] 人ガ 人カラ/ニ ものヲ/文ト
 ・部長からこちらの作業を手伝うようにと言いつかっております。
 ・このてがみを小西先生にわたすように(と)言いつかって来ました。
      買い物・社命・使い・用・用事・留守を  家に帰る早々
[いいつくす] 人ガ ものヲ
 ・この気持は言葉では言い尽くすことができない。
 ・すべてを言い尽くそうとしているかのように、死を前にした老人は話し続けた。
 ・あなたの功績は、どんなに言葉を尽くしても言い尽くせないほど大きなものです。
      ことば・すべて・ニュアンスを 話すべきことをすべて 
   言い尽くせない:怨恨の数々 口では~大きな打撃  気持ちが 万分の一も
[いいつくろう] 人ガ ものヲ (文ト)
 ・自分の間違いを言いつくろうのはよしなさい。みっともない。
 ・愛人から電話がかかってきて、妻の手前、うまく言いつくろうのに苦労した。
      いいかげんに 適当に あれこれ うまく なんとか
[いいつける] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・弟は私のいたずらを父に言いつけた。
 ・大山先生は学生にてがみを中山先生にとどけるように言いつけた。
 ・私は上司に用を言いつけられて、隣の部署へ書類を探しに行った。
      お茶・買い物・家事・交替・子のお守り・酒・雑事・雑用・仕事・支度・食事を
   供・見張り・もの・役目・用・用事を 父に 早口に 矢継ぎ早に 荒々しく きつく
[いいつたえる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト 
 ・この村に長く言い伝えられている伝説がある。
 ・今回の災害と、それに対する人々の戦いは、末永く言い伝えられるべきものだ。
[いいつづける] 人ガ (人ニ) ものヲ/文ト
 ・相手が納得するまで、くり返し同じことを言い続けるしかない。
 ・子供はいやだいやだと言い続けていたが、おやつをやらないぞと言ったら、やっと注射をさせた。
[いいとおす] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト 
 ・警察では何も知らないと言い通していたが、帰りの飲み屋でぽろっと見たことを話した。
 ・お前があくまでウソを言い通すつもりなら、こっちにも考えがあるぞ。 
     ウソを 頑強に あくまで 無実だと 最後まで知らないと 知らぬ存ぜぬと
[いいなおす] 人ガ ものヲ 
 ・説明の最初の部分を間違ってしまい、あとで言い直した。
 ・わたしはフランス語がまだへたなので、何度もまちがえた。それで何度も言いなおしていたら、
  話が分からなくなった。
      適切な表現に 別の言葉に 何度となく わかりやすく 何度~ても通じない
[いいならわす] 人ガ 文ト 
 ・この地方では昔から、正月に仕事をしてはいけないと言いならわして来たそうです。
      古くから~と言い習わしてきた 「暑さ寒さも彼岸まで」と
[いいぬける] 人ガ ものヲ/文ト 
 ・あいつは上司に間違いを指摘されても、上手に言い抜けてとがめられずにやってきた。
 ・警察の追及もうまく言い抜けてかわしてきたそうだ。
      小学館:うまく言い抜けられると思ったら大まちがいだ。
[いいのがれる] 人ガ ものヲ/文ト
 ・首相は発言の矛盾をつかれたが、冗談でごまかし、何とか言い逃れた。
 ・どう言い逃れようとしても、彼に責任があることは明らかだ。(責任を)
      うまく 辛くも 何とか ぬらりくらりと
[いいのこす] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト 
 ・何か言い残したことはないか。
 ・父は、兄弟五人で仲よく暮らしなさいと言い残して亡くなった。
      死に際に 再三 この家を守れと 母さんを大事にしてくれと
[いいはなつ] 人ガ ものヲ/文ト
 ・捕らわれた盗賊は将軍に向かって悪口雑言の限りを言い放った。
 ・多くの部下を見据えながら、「このおれが天下を取る!」と力強く言い放った。
   力強い声で 冷淡に 重々しく きっぱりと 語気鋭く 力強く 短く
[いいはる] 人ガ 文ト 
 ・このしごとはじぶんがやると山田さんはあくまでも言いはった。
 ・自分はまちがっていないと、田中さんは強く言いはった。 
      あくまで 頑強に 頑固に 強硬に 強情に 必死に 知らないと
   知らぬ存ぜぬと 強く 心配は要らないと
[いいひろめる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・戦争が起こるといううわさを世間に言い広めて、人々の不安をかき立てようとしたスパイが捕ま
  った。
 ・ありもしないことを社会に言い広めようとして本を書く「予言者」が時々いる。
      社会・近所・世間・みんな・多くの人・世の中に  
[いいふくめる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト/文ヨウニ
 ・あなたの言うことをよくきくようにこの子に言いふくめて(=言いきかせて)おきまし たから、
  どんどん仕事を言いつけてください。
 ・ここで見たことはいわないように(と)言いふくめられた。
      たばかる方法を 子細に くれぐれも しっかりと 親が子に
[いいふらす] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・だれかが、うちのみせではりょうりに犬の肉をつかっていると言いふらしているらしい。どうし
  て分かったんだろう。
 ・この事をみんなに言いふらしてやる。
      誰彼かまわず べらべらと ありもしないことを 針小棒大に
[いいふるす] 人ガ ものヲ
 ・彼の最新作は、言い古された表現ばかりを使ったまったく価値のない小説だ。
 ・校長は、言い古されたことわざを使ってさも偉そうに話す。子供が聞くわけがない。
      言い古された言葉・ことわざ・話
[いいまかす] 人ガ 人ヲ 
 ・もう家内とはけんかをしないことにしているんです。いつもわたしが言いまかされてしまうから。
 ・兄が妹に言い負かされて、ひっぱたいてしまい、母に叱られた。
 ・議論は相手を言い負かすためにするんじゃない。正しい結論を得るためにするんだ。
      相手・弟・妻・亭主・論敵を
[いいまぎらす] 人ガ ものヲ
 ・主任は自分の立場が悪くなると、あれこれ言って言い紛らしてしまう。
 ・論点をずらし、劣勢を何とか言い紛らして、討論を終えた。
[いいまくる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・子供どうしのけんかを聞いていたら、自分の主張ばかり言いまくって相手の言うことをぜんぜん
  聞かない。われわれ夫婦の悪いところがすっかり遺伝しているようだ。
 ・歩いていたら自転車をぶつけられ、文句を言ったらそのおばさんにギャンギャンワアワア言いま
  くられて、いやまいった、まいった。
     悪口を 一方的に あることないこと  相手に~られる
[いいもらす] 人ガ ものヲ 
 ・さっき言いもらしたことがありますので、ちょっと言わせてください。
 ・電話で用事を伝えたのだが、急いでいたのでかんじんなことを言い漏らした。
      不満 うっかり かんじんなことを 
[いいよどむ] 人ガ (ものヲ)
 ・彼女は続きを話そうとして、一瞬、言いよどんだ。いやな光景を思い出したらしい。
 ・大勢を前にして緊張していたせいか、言葉が出てこなくてしばらく言いよどんだ。
      しばらく 少し わずかの間 言葉を探して おしまいの部分を
   小学館:反論されて 言葉を忘れて
[いいよる] 人ガ 人ニ
 ・誰か言い寄ってくるような人はいないかなあ。
 ・戦争で夫を失ったあと、言い寄る男もいたようだが、彼女は独身を貫いた。
      女性に 人妻に しつこく
[いいわすれる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・さっき言い忘れたことがあります。明日、それぞれ自分のハシを持ってきて下さい。
 ・最初に言おうと思っていたのに、言い忘れてしまったので最後に言った。
      用件を つい うっかり
[いいわたす] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・校長はその学生に三日間の停学を言いわたした。
 ・裁判長は被告に四年の刑を言い渡した。
      解雇・解散・刑・死刑・実刑・処罰・退職・破門・罷免・無罪判決を

<スル動詞>
[主張(しゅちょう)する]  人ガ ものヲ
 ・生徒会は制服の廃止を主張しているが、校長は反対している。
  ・自分の意見ばかり主張しないで、相手の意見をもっと聞くべきです。
    労働環境の改善・議会の解散・減刑・自説・進化論・正当性・無罪・無実を
 〔人ガ 文ト〕
 ・野党は総選挙を早く行うべきだと主張している。
[証言(しょうげん)する]  人ガ ものヲ/文ト  人ニ?
 ・証人はその時に見たことをありのままに証言して下さい。
 ・店の主人が私のアリバイを証言してくれた。(店にいたことを)
 ・その女性は容疑者がその店にいたと証言した。
[宣言(せんげん)する]  人ガ ものヲ
 ・植民地が本国からの独立を宣言し、独立戦争が始まった。
 ・大会委員長が力強く開会を宣言した。
   独立 非常事態 閉会 発足 開催 開幕 死 条約の破棄 断行 中立 梅雨明け
[代弁(だいべん)する]  人ガ ものヲ
 ・我々低所得者層の意見を代弁してくれる議員を国会に送ろう!
 ・この評論は、常々私の思っていることをそっくり代弁してくれている。
[断言(だんげん)する]  人ガ (文ト)
 ・その判断の是非については、今は断言できない。
 ・助言を求められ、この計画は実行不可能だと断言した。
[発音(はつおん)する]  人ガ ものヲ  (ものト)
 ・この言葉を発音してみてください。
 ・「フイルム」と発音する人と、「フィルム」と発音する人と、どちらが多いだろうか。
 [~の発音をする]
  ・中国語のrの発音をするのは難しい。
[発言(はつげん)する]  人ガ (ものヲ)
  ・あの人は会議でよく発言する。
 ・間違ったことを発言したときは、すぐに訂正したほうがいい。
[予言(よげん)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・世界の終末を予言する本が出ているが、みんなうそばかりだ。 
  ・将来のことについて、多くの人が多くのことを予言しているが、当たるんだろうか?
 [~の予言をする]
  ・人類滅亡の予言をし、本を書いて儲けた人は、予定日の後はどうしているのか。


おっしゃる(仰る)五(おっしゃらない・おっしゃります・おっしゃって・おっしゃれば) 
[1]〔人ガ 人ニ 文ト/文か(どうか)/文ヨウニ〕
 △おっしゃったほうがいい  おっしゃってみる  おっしゃられる
 △[よく/なんども/いつも/きびしく/やさしく/はっきりと]~。
 △[社長/お客さん/先生/おばあさん]が~。
 ・明日は来なくていいとおっしゃいました。
 ・先生が何と仰ろうと、私は参(まい)ります。
 ・この部屋(へや)も掃除(そうじ)するようにおっしゃったので、参りました。
 ・この荷物をどうなさるのかはおっしゃいませんでした。
 ・実験を続けるかどうかは明日おっしゃるそうです。
 ・この問題についてどうおっしゃるかはわかりません。
 ・ご自分のことをいろいろとおっしゃいました。
 ・山中様とおっしゃるお方がお見えです。
 ・そのようにおっしゃられると、こちらとしては反論しようがありません。
 ・すみません。今、なんとおっしゃいましたか。
[2]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △[お世辞(せじ)/皮肉(ひにく)]を~。
 ・よく聞こえませんでしたので、もう一度仰ってください。
 ・わたしの考えも社長の仰ったことと同じでございます。(=おなじです)
 ・先生が先週仰った本はこれですか。
 ・A:まあ、きれいなドレス。あなたにぴったりだわ。
  B:まあ、お世辞をおっしゃらないでよ。
 ・そうおっしゃられては何も言えません。


もうす(申す)  五(もうさない・もうします・もうして・もうせば・もうそう)
[1]〔人ガ 人ニ (ものヲ)〕  
 ・申しわけありません。先ほどは偽(いつわ)りを申しました。
 ・私は本当のことを申したのですが、相手は信用しませんでした。
 ・いくらしつこく聞かれても、私は何も申しませんので、そのおつもりで。
  ・手短(てみじか)に申します。会社をやめさせてください。
  ・わざわざ申すまでもなく、私などにできる仕事ではございません。
 ・はい、弟が私にそう申しました。
 ・妻が申すには、子どもは転校(てんこう)したくないので、転勤(てんきん)は断(ことわ)ってほし
  いとのことです。 
[2]〔人ガ 人ニ 文ト〕 
 ・私も無理だと申したのですが、父はどうしてもやりたいようでした。
 ・息子(むすこ)は何も知らないと申しております。彼を信じてやりたいと思います。
 ・「そんなことをして、警察沙汰にはならなかったんですか」「まあ、何と申しますか、のんびり
  した時代だったんですねえ」
[3]〔人ガ ものト〕
 ・私は木村と申します。よろしくお願いいたします。

<複合動詞:もうし->
[もうしあわせる] 人ガ 人ト ものヲ/文ヲ 
 ・意見を聞かれるとみなが同じようなことを言う。どうやら事前に申し合わせているようだ。
 ・環境を汚染する製品の開発を自粛することを業界で申し合わせた。(製品の開発自粛を)
   時間・自主公開を ひそかに 前もって ~たように三人とも席を立った
[もうしいれる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ヨウニ 
 ・建設業界が公共工事の削減の見直しを政府に申し入れた。
 ・次回からは事前に連絡をくれるよう、事務局に申し入れておきました。
   援助・寄付・買い取り・協力・交換・試合・借金・取材・団交・訂正・撤回・取りやめ・面会
   ・破談・借用・抗議・移籍を  正式に 強く
[もうしうける] 人ガ ものヲ 
 ・送料に関しては、実費を申し受けます。
 ・今回の講習料は無料ですが、材料費は実費を申し受けますので、ご了解下さい。
   命・一命・寄付・実費・別途送料を 
[もうしおくる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・この間の事情は、各企業の担当者に申し送ってあります。
 ・詳しい経緯は、次回の受付の者に正確に申し送りますので、引き続きご相談ください。
   懸案事項・事件を 口頭で 文書で
[もうしおくれる] 人ガ
 ・「申し遅れました。わたくしは、こういう者です」と言って名刺を差し出した。
[もうしかねる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・その辺の詳しい事情は申しかねます。本人に直接伺ってください。
 ・ここでは申しかねることもいろいろとありますので、また次の機会に。
[もうしきかせる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・条件がきびしいことは、志願者によく申し聞かせてあります。
 ・罰則や例外事項については、私から申し聞かせておきます。
[もうしこむ] 人ガ ものニ                                 独立項目に
 ・今、申し込むと特別にプレゼントがもらえます。お申し込みはお早めに!
 ・このオーストラリア・ツアーに申し込みたいのですが。
 ・彼女に結婚を申し込んだが、あっさりと断られた。
   会見・求職・求人・苦情・結婚・抗議・決闘・交際・借金・取材・奨学金・訂正・デート・
   果たし合い・面会・予約を 正式に 大胆に 直接
[もうしそえる] 人ガ ものヲ
 ・参考までに気がついたことをいくつか最後に申し添えておきます。
 ・念のために一言申し添えますと、このことはまだ内密にお願いします。
   苦情・印象を  参考までに 念のために 一言
[もうしたてる] 人ガ ものニ ものヲ 
 ・与党からの提案に野党が強く異議を申し立てた。
 ・借金が返済できなくなり、自己破産を申し立てて認められた。
   異議・意見・救済・故障・不服・離婚・裁判官の忌避・自己破産を
[もうしつける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・御用の際は何なりとお申し付けください。(何でも命令してください)
 ・役員として恥ずべき行動を取ったため、謹慎を申しつけられた。
   用事・供・警護を 重罪・追放・閉門・禁固を かたく しかと
[もうしつたえる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・今おっしゃったことは、そのまま部下に申し伝えます。
 ・社長の指示を全員に申し伝えるように。
[もうしでる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト 
 ・研修への参加を申し出た。
 ・希望者を募集していたので申し出た。
 ・人手がなくて困っているようなので、「私たちが手伝いましょう」と申し出た。
   案内・延期・休養・降伏・辞任・退職・和解を 自発的に 思いきって
[もうしのべる] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・なぜ受賞を辞退したのかと問われ、詳しい理由を申し述べた。
 ・今は私の心境を申し述べる場ではないと思いますので、事実だけを申し述べます。
   意見・所見・心境・真実・存念・卑見・礼・挨拶・問題の中心を
[もうしわたす] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・では、これから処分を申し渡す。
 ・会社に大きな損失を与えたため、解雇を申し渡された。
      解散・帰休・禁止・決定・絶縁・別居・離縁・切腹・一部変更を 厳しく


もうしあげる(申し上げる)  一(もうしあげない・もうしあげます・もうしあげて・もうしあ
  げれば・もうしあげよう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △もうしあげたい  もうしあげてみる  もうしあげてはならない  もうしあげろ!
 △[もう一度/何度でも/ていねいに/かんたんに/くりかえし/心から]~。
  △[感謝(かんしゃ)/意見(いけん)/事実(じじつ)/真実(しんじつ)/真相(しんそう)]を~。
  [お礼(れい)/お祝(いわ)い/お喜(よろこ)び/お詫(わ)び/お悔(く)やみ/お願い]を~。
  ・ありがとうございました。心からお礼を申し上げます。
 ・この度(たび)はおめでとうございます。心からお喜びを申し上げます。
 ・そのことは私から先生に申し上げました。
 ・私が何度も御注意を申し上げたのですが、お聞き入れくださいませんでした。
 ・今こそは真実を申し上げます。政府は、事故の原因(げんいん)を隠(かく)しておりました。
 ・最後に、わたくしの意見も一言(ひとこと)申し上げておきたいと思います。
 ・申し上げます。会長のお車が向こうを出発(しゅっぱつ)されたそうです。   
〔文ヲ〕
 ・お荷物(にもつ)が届(とど)きましたたことを奥様(おくさま)に申し上げておきます。
 ・買収(ばいしゅう)が失敗(しっぱい)に終わったことを会長に申し上げると、大層(たいそう)御立
  腹(ごりっぷく)の御様子(ごようす)でした。
〔文ヨウニ〕
 ・御無理(ごむり)はおやめくださるよう(に)、重(かさ)ねて申し上げました。
[2]〔人ガ 人ニ 文ト〕
 ・お客様には「ここでお待ちください」と申し上げました。  
 ・先生に「ぜひいらしてください」と申し上げたところ、「喜んで」とおっしゃってくださった。

[2]話す・述べる

◇はなす
  「話す」は、声に出して人に物事や自分の考えを告げること。人と言葉を交わすこと。音声言語を
使うこと。相手のニ格をとる。互いに話す場合はト格をとる。
  人ガ 人ニ/ト ものヲ はなす
   人に秘密を話す  人と将来の夢を話す  彼女はロシア語を話す
 名詞節・疑問節をとる。「ト」で引用を受ける。
    人ガ 人ニ/ト 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ト はなす
      金を盗んだことを話す  何が問題か話す  続ける意志があるかどうかなどを話した
   一緒に暮らしたいと話していた  夫と家を買おうと話した
・複合動詞   
  「話し合う」は、互いに話すこと。問題解決のために意見を出し合うこと。
 「話しかける」は、相手に言葉をかけて話をしようとすること。また、話し始めること。
 「話し込む」は、相手との話に夢中になって長時間話すこと。
 「打ち明ける」は、秘密・悩みなどを隠さずに全部話すこと。
・スル動詞:漢語のスル動詞が多い。
 「うわさする」は、そこにいない人を話題にしてあれこれ言うこと。身の回りや世の中のことで、
   事実かどうか不確かなことを人に言うこと。
 漢語のスル動詞をいくつかに分ける。
 一人が多数を相手に話す
 「演説する」は、多くの人の前で自分の意見・主張を述べること。
 「講演する」は、(話を聞こうと集まった)大勢の人の前である題目について話をすること。
 「講義する」は、大学などでまとまった知識や学問を説いて聞かせること。
 数人で話す
 「会話する」は、2人または数人の人が、日常的な事柄などについて、互いに話をすること。
 「雑談する」は、はっきりした目的もまとまりもない話を気楽にすること。
 「対談する」は、2人で向かい合って話すこと。なごやかで、結論を必要としない。
 「対話する」は、2人で向かい合って話すこと。また、多数の人が2つの立場に分かれて、ある問
   題について(おだやかに)意見・主張を述べ合うこと。
 議論・決議に関するもの
 「議論する」は、ある問題について、それぞれが意見を出し合って、その良し悪しを論じること。
 「論議する」は、「議論する」と類義のより硬い表現で、日常的な事柄には用いられない。
 「論争する」は、異なる意見を持つ人が、互いに自説を主張して争うこと。
 「討論する」は、特に設けた機会に、問題について意見を述べ合い、その良し悪しを論じること。
 「討議する」は、「討論する」と類義で、さらに何らかの結論、決議を得ようとすること。
 「合議する」は、関係者が集まって相談すること。
 「協議する」は、ある問題を解決するために関係者が話し合うこと。2人でも言える。
 「審議する」は、提出された案などを詳しく調べ、それでいいか、直すかなどを話し合うこと。
 「提案する」は、(意見を求めるため)人にある案を述べたり、会議に議案を出したりすること。
◇そうだんする
  「相談する」は、ある問題について、人に意見を求めたり、互いに考えを出し合ったりすること。
  相談の相手としてニ格またはト格をとる。また、疑問節をとることができる。
   人ガ 人ニ/ト ものヲ そうだんする
    友だちに/と 旅行の日程を相談する
   人ガ 人ニ/ト 文か(どうか)(ヲ) そうだんする
    あしたやるかどうか・いつからやるか(を) 相談した
◇うちあわせる
  「打ち合わせる」は、前もって話し合い、物事の進み方を決めておくこと。ト格をとる。疑問節を
とる。
   人ガ 人ト ものヲ/文か(どうか)(ヲ) うちあわせる
    家族と日程を打ち合わせる  何時に集まるか打ち合わせる
◇しゃべる
  「しゃべる」は、「話す」のくだけた表現。特に、むだなことを多く話したり、言ってはいけない
ことを言うこと。
  人ガ (人ニ/ト) ものヲ しゃべる
      友だちと3時間しゃべった    このことはだれにもしゃべるな
    人ガ 人ニ/ト 文ヲ/文か(どうか)(ヲ) しゃべる
      宝くじが当たったことを親戚にしゃべったら、その後大変だった
   だれが車を盗んだのかを警察にしゃべってしまった
   友だちとその歌手が好きかどうかしゃべっていた
・複合動詞「しゃべりだす」は話を始めること。「しゃべりまくる」は一方的に長くしゃべること。
・スル動詞「おしゃべりする」は、互いに(気楽に、楽しく)しゃべること。ト格をとる。
◇のべる
  「述べる」は、ある程度まとまった気持ちや考えをことばで言い表すか、文章に書き表すこと。改
まった表現。引用節をとる。
    人ガ ものヲ のべる / 人ガ 文ト のべる
   意見・感想・反論・結論・理由を 述べる     証人はそのことは知らないと述べた
◇ろんじる
 「論じる/論ずる」は、ある物事について、筋道を立てて自分の考えを述べること。人と互いに意
見を出して、それを検討すること。やや書きことば。
  人ガ ものヲ (人ト) ろんじる
   芸術・政治・是非 を論じる  酒を酌み交わしながら友人と大いに論じた
   増税すべきかどうかを論じる  
◇かたる
 「かたる」は、ある出来事や体験・感想など、まとまった内容を人に話すこと。やや改まった言い
方。引用節をとる。
  人ガ 人ニ ものヲ かたる / 人ガ 人ニ 文ト  かたる
   自分の信条・体験・理想を 語る  真相を知りたいと記者に語った
・複合動詞
  「語り合う」は、お互いに語ること。
 「語り明かす」は、一晩中話をして夜を明かすこと。
 「語りかける」は、何かを伝えようとして、人に向かって話を始めること。
 「語り聞かせる」は、主に体験や経験など、よく知っていることをわかりやすく語ること。
 「語り継ぐ」は、次々にそのことを語って、次の世代に伝えていくこと。
 「語り尽くす」は、すべてを語ること。
 「語り伝える」は、そのことを世間の人々や次の世代の人に語ることで伝えていくこと。

◇ささやく
  「ささやく」は、(他の人に聞こえないように)人に小声でものを言うこと。
      人ガ 人ニ ものヲ ささやく
    耳元で愛のことばをささやく  妹が姉に何かをささやいた
・複合動詞「ささやきかける」は、ささやくような声で話しかけること。
◇つぶやく
  「つぶやく」は小声で独り言を言うこと。ツイッターに書き込みをすること。
   人ガ (文ト) つぶやく 
    父が一人でぶつぶつつぶやいている  ハラ減ったなあ、とつぶやく
◇とく
 「説く」は、相手にわからせようとして、物事の考え方・正しさを述べること。引用節をとる。書
きことば。
   人ガ 人ニ ものヲ/文ト とく
    子どもにすべきことを説く  「仏を敬え」と説いて回る
・複合動詞
 「説き明かす」は、言葉や物事の意味などをよくわかるように話して聞かせること。
 「説き起こす」は、説明の順序として、そのことから説明を始めること。
 「説き及ぶ」は、説明がそのことにまで及ぶこと。
 「説き聞かせる」は、わかるようにじっくり話して聞かせること。
 「説き伏せる」は、よく説明して自分の考えに従わせること。
 「言い聞かす」「言い聞かせる」は、目下の者に、よくわかるようにわけを説明すること。特に、
  相手の非や、行動を禁止する理由を説明したりする場合に言う。
 「言い含める」は、相手が納得するようによく説明しておくこと。
 スル動詞
 「説得する」は、自分の考えをよく話して、相手に納得させること。
  「解説する」は、その物事の内容・本質・意義などをわかりやすく説明すること。
 「説明する」は、物事がなぜそうなのかを相手にわかるように(順序よく)説くこと。 
◇となえる
  「唱える」は、自分の主張を発表すること。声高く叫ぶこと。書きことば。また、決まった言葉を
くり返し(調子をつけて)言うこと。
   人ガ ものヲ/文ト となえる
        異論・反戦・祈りを 唱える   「何妙法蓮華経」と唱える
◇ものがたる
  「物語る」は、まとまった話をすること。ひゆ的に、ある事実が何かの事情を示していること。
      人・ものガ ものヲ ものがたる
    体験・昔話を 物語る  顔の深いしわが人生の労苦を物語る


はなす(話す)五(はなさない・はなします・はなして・はなせば・はなそう) 
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △はなしたい  はなしかけた  はなしてほしい  はなしておく  はなしてある
  はなさなければならない  はなすべきだ  はなそうと思う  はなせばわかる 
  はなしなさい  はやくはなせ!    
 △[ゆっくり/急いで/早口(はやくち)で/大声(おおごえ)で/小さい声(こえ)で/低い声で]~。
  [楽しそうに/よろこんで/進んで/いやいや/しかたなく/もったいぶって/こっそり]~。
  [何でも/どんなことでも/いつでも/だれとでも/みんなに]~。
  [何も/ぜんぜん/いっさい/だれにも/みんなには]はなさない
  [詳(くわ)しく/細(こま)かく/詳細(しょうさい)に/大まかに/ざっと/だいたい]~。
  [細かいこと/詳細(しょうさい)/だいたいのこと/概略(がいりゃく)]を~。
 △[話/将来(しょうらい)の夢(ゆめ)/希望(きぼう)/自分の経験(けいけん)/思い出]を~。
  [家族のこと/学校のこと/考えていること/くわしい事情(じじょう)/ほんとうの事]を~。
  [秘密(ひみつ)/わけ/考え/会社の状況(じょうきょう)]を~。
 ・父が自分の子どもの時のことを話してくれた。
 ・私は、その夜のふしぎな体験(たいけん)を翌日(よくじつ)みんなに話した。
 ・あなたから町のようすを警察(けいさつ)に話してください。
 ・その話はもう社長に話してある。
 ・会社に話して(=事情(じじょう)をせつめいして)、大きい車を買ってもらった。
 ・係(かかり)に話して、計画(けいかく)をかえてもらうことにしよう。
 ・学生はみんなそれぞれ思い出を話した。
 ・先生が何か話しているが、まわりがうるさくて、聞き取れない。
〔文ヲ〕
 ・子どもに、その切符(きっぷ)では中に入れないことを話した。
 ・宿題(しゅくだい)を家に忘れてきたことを先生に話したら、ひどくおこられた。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・学生にどこがまちがっているかをじっくり話した。
 ・友だちと、夏休みに旅行するかどうか、行くとしたらどこがいいか、などを話した。
 ・どこがいたいか、よくお医者さんに話してごらん。
 ・なぜ、みんなといっしょに行けないのか、そのわけを話してください。 
 ・なぜ休んだのか、ほんとうの事を話してみなさい。
[2]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 ・友だちとおたがいの悩みを話して、少しすっきりした。
 ・母と結婚式(けっこんしき)のことを話した。
 ・クラスメートと試験(しけん)のことを話した。
 ・習ったばかりのマレー語をつかって、留学生と話してみた。
[3]〔人ガ ものヲ〕
 △はなしたい  はなさなければならない  はなそうとする  はなせるようになる
 △[ぺらぺら/流暢(りゅうちょう)に/じょうずに/まちがいながら]~。
 △[日本語/外国語/英語/中国語/方言(ほうげん)]を~。
 ・兄はフランス語を話すことができる。
 ・ブラジルではポルトガル語が話されている。
[4]〔人ガ 人ニ/ト 文ト〕
 ・こういうわけで一緒に行けないのだと子どもに話したが、わかったかどうか。
 ・父は母に、子どもの成績(せいせき)がいいのはお前のおかげだと話したそうだ。

<複合動詞:はなし->
[はなしあう] 人ガ 人ト ものヲ/ニツイテ
 ・友だちと旅行の計画を話し合った。
 ・家を建てる前に家の部屋の大きさや部屋のならべかたについて、家族と話し合ったほうがいい。
 ・議員(ぎいん)たちは来年の予算(よさん)について話し合っている。
   感想・近況・事情・思い出・対策・プラン・問題を 家族・みんなで
   深夜まで 活発・自由・率直・具体的に じっくり ちゃんと 友人と ゆっくり
 〔文ヲ/ト〕
 ・夏休みにどこの海に行くか(を)、友だちと話し合ってきめた。
 ・どういう順序(じゅんじょ)で仕事をすすめるか、仲間同士で話し合った。
 ・婚約者(こんやくしゃ)とどんな家庭(かてい)を作ろうかと話し合った。
[はなしかける] 人ガ 人ニ
 ・運転中は運転手に話しかけないでください。
 ・町を歩いていたら、変な人ががわたしに話しかけて来た。
   目が 人々に 希望を 笑顔・大声・早口で 気さくに うるさく 気安く おずおず
   しつこく 誰彼かまわず なんやかやと 自分から進んで 
[はなしこむ] 人ガ 人ト
 ・久しぶりに姉(あね)がたずねてきて、夕べは遅くまであれこれと話し込んだ。
 ・ちょっとだけのつもりが、話がおもしろいので、つい話しこんでしまった。
      明け方まで 夜遅くまで 熱心に しんみり 熱っぽく ひそひそと

<複合動詞:その他>
[うちあける] 人ガ 人ニ ものヲ 
 ・私は、誰にも言わなかった秘密を、娘に打ち明けた。
 ・北山さんの打ちあけてくれた話によると、初めはこの仕事をするつもりはなかったのだそうだ。
      愛・ありのまま・いきさつ・一切・思い・考え・気持ち・胸中を
   経緯・苦悩・心・事実・事情・真実・真相・すべて・本心を 正直・率直に 残らず

<スル動詞>
[噂(うわさ)する]  人ガ ものヲ 
 ・人のことを噂してはいけない。
 ・こっそりデートしていたのだが、二人の仲が噂(を)されるようになり、おおやけにした。
[演説(えんぜつ)する]  人ガ 
 ・選挙カーの上で演説(を)している候補者は私の中学の先輩だ。
 ・人前で演説(を)するのはどうも苦手だ。政治家なのに。
[会話(かいわ)する]  人ガ 人ト
  ・日本人と日本語で会話(を)するのは初めてです。
 ・男女に分かれて会話(を)していたので、男女が混ざるように組み替えた。
[協議(きょうぎ)する]  人ガ ものヲ    
 ・地球温暖化について世界各国が対策を協議している。
 ・今、審判団が先ほどのプレーについて協議(を)しています。
[議論(ぎろん)する]  人ガ 人ト ものヲ
  ・私は先生と留学生の問題を議論していた。
 ・本を読み、人と議論し、自分の考えを文章に書く。これを教えるのが教育です。
[講演(こうえん)する]  人ガ 
  ・吉田先生が日本文学について講演(を)したが、ぜんぜんつまらなかった。
 ・市の集まりで講演(を)してほしいと頼まれたが断った。

[講義(こうぎ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
  ・教授が一年生に経済学を講義している。
  ・日本の文化について講義してくれた。
 [~の講義をする]
  ・政府の委員会で、金融問題の講義をした。
[合議(ごうぎ)する]  人ガ 人ト ものヲ
 ・各部署の代表が集まり、今後のそれぞれの役割について合議(を)した。
 ・相手国の担当大臣と合議しなければならないことがいくつか残っている。
[雑談(ざつだん)する]  人ガ 人ト
 ・運転するときには雑談(を)していたほうが眠くならなくていい。
 ・忙しくて同僚と雑談(を)する暇もない。
[審議(しんぎ)する]  人ガ ものヲ
 ・今日審議しなければならないのは、次の三つの議案です。
 ・重大な問題を十分に審議しないで議決するのはいかがなものでしょうか。 
 [~の審議をする]
  ・明日は、予算案の審議をすることになっている。
[対談(たいだん)する]  人ガ 人ト
 ・雑誌の企画でノーベル賞学者が女優と対談(を)した。
 ・あの人と対談(を)するのは楽だ。ほとんど向こうがしゃべってくれる。
[対話(たいわ)する]  人ガ 人ト 
 ・経営者はもっと労働者と対話(を)すべきである。
 ・「書物と対話(を)する」という表現があるが、本当にその著者と対話(を)しているような気がす
  るときがある。
[提案(ていあん)する]  人ガ ものヲ    
 ・素案に対して、いくつかの変更を提案してみた。
  ・みんな疲れているようなので、20分の休憩を提案したら、全員一致で賛成だった。
 〔人ガ 文ヲ〕
 ・道路と住宅との間に細長い公園を作ることを提案した。
 [~の提案をする]
  ・決議の延期を提案しようとしたが、議長は受け付けなかった。
[討議(とうぎ)する]  人ガ ものヲ
 ・提案について討議(を)したが、結論は得られなかった。
 ・多くの問題を慎重に討議していく中で、今後の方向性が明らかになった。
[討論(とうろん)する]  人ガ 人ト (ものヲ)
  ・私は、若い人たちと現在の日本の状況について討論したいと思っている。
 ・次回は、この問題を討論してみたい。
[論議(ろんぎ)する]  人ガ ものヲ
 ・長い時間かけてあれこれ論議したが、結局最初の案のまま可決した。
 ・消費税の問題が今盛んに論議されている。
   あれこれ 活発に 盛んに 公然と やかましく
[論争(ろんそう)する]  人ガ 人ト  
 ・微妙な問題なので、委員会で論争(を)せずに方向をまとめられればいいのだが。
 ・若いころは社会の問題についてよく友人と論争(を)したものだ。


そうだんする(相談する)  サ変(しない・します・して・すれば・しよう)
[1]〔人ガ 人ニ/ト ものヲ〕
 △相談したい  相談してはいけない  相談すべきだ  相談しようと思う  相談するな!
 △[ゆっくり/急いで/細かく/あらかじめ/いろいろと/それとなく]~。
  △[悩(なや)み/方針(ほうしん)/スケジュール/善後策(ぜんごさく)/だいたいのこと]を~。
 ・先生に大学進学について相談(を)した。
  ・こんなことは人に相談できることではない。一人で考えて結論(けつろん)を出すべきことだ。
 ・相談(を)してものごとを決めるのはいいことだが、試験の時は相談(を)してはいけないよ。
 ・彼女と結婚式の日取(ひど)りを相談した。
 [~の相談をする]
  ・だれに進路の相談をしたらいいだろうか。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・会社をかわった方がいいかどうか、妻(つま)と相談した。
 ・両親(りょうしん)にどう打ち明けたらいいか(を)彼に相談した。
 ・友達と旅行に何をもっていくか相談(を)した。


うちあわせる(打ち合わせる)  一(うちあわせない・うちあわせます・うちあわせて・うちあ
  わせれば・うちあわせよう)
[1]〔人ガ 人ト ものヲ〕
 △うちあわせたい  うちあわせておく  うちあわせなくてはいけない
 △[事前(じぜん)に/あらかじめ/至急(しきゅう)/念入(ねんい)りに/綿密(めんみつ)に]~。
  △[時間/日にち/場所/方針(ほうしん)/段取(だんど)り/台詞(せりふ)]を~。
 ・次の会議の予定はあいてのQ社と打ち合わせてきめます。
  ・あのー、あしたのことを打ち合わせておいたほうがいいですよね。時間はありますか。
 ・会議の前にあちこちでひそひそと何か打ち合わせている。今日は何かありそうだ。
 ・よし、メンバーは決まった。では、時間と場所を打ち合わせよう。


しゃべる(喋る)  五(しゃべらない・しゃべります・しゃべって・しゃべれば・しゃべろう)
[1]〔人ガ (人ニ/ト) ものヲ〕
 △しゃべりたい  しゃべりすぎる  しゃべってはいけない  しゃべらないようにする
  しゃべらせる  しゃべられる  しゃべるな!  
 △[ぺらぺら/べらべら/ぺちゃくちゃ/うるさく/大声で/大げさに/せっかちに]~。
  △[うわさ/いきさつ/一部始終(いちぶしじゅう)/でたらめ/秘密(ひみつ)]を~。
  ・今日はしゃべりすぎて疲れた。
 ・このことは誰にもしゃべらないでください。
 ・え? ひみつだったんですか? もうあちこちでしゃべっちゃった!
 ・久しぶりに妹と会って、いろんなことをしゃべった。(妹と)
  ・ずいぶん変なことばをしゃべるオウムだね。
[2]〔人ガ 人ニ/ト 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)〕
  ・宝(たから)くじが当たったことを親戚(しんせき)にしゃべったら、そのあと大変だった。
 ・だれが車を盗(ぬす)んだのかを警察(けいさつ)にしゃべってしまった。
 ・友だちとアイドルでだれが好きかしゃべっていたら、兄にバカにされた。

<複合動詞:しゃべり-> 
[しゃべりだす] 人ガ ものヲ
 ・彼女の言葉をきっかけに、ずっと黙っていた人たちが少しずつしゃべりだした。
 ・あの人はしゃべり出すと止まらないから、なるべく話を向けないように。
   すごい勢いで 出し抜けに 唐突に 少しずつ ふたたび ぼつぼつ
[しゃべりまくる] 人ガ ものヲ 
 ・あの人は、ただしゃべりまくれば議論に勝つと思っているようだ。
 ・話がうまいのとあれこれしゃべりまくるのはぜんぜん違う。
   推理・理由を 大声・早口・一人で 自分勝手に 陽気に 得意げに
<スル動詞>
[おしゃべりする] 人ガ 人ト
 ・飛行機で隣り合った人とずっとおしゃべり(を)していた。
 ・妻が道で隣の奥さんとおしゃべり(を)している。また亭主の悪口か。


のべる(述べる)  一(のべない・のべます・のべて・のべれば・のべよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △のべたい  のべてほしい  のべておく  のべてみる  のべなくてはならない
  のべられない  のべようと思う  のべよ  のべるな!
 △[詳(くわ)しく/じっくり/丁寧(ていねい)に/時間をかけて/あっさりと/かんたんに]~。
  △[意見(いけん)/感想(かんそう)/印象(いんしょう)/主張(しゅちょう)/反論(はんろん)/
   運営方針(うんえいほうしん)/問題点(もんだいてん)/結論(けつろん)/理由(りゆう)]を~。
  ・では、問題点をかんたんに述べます。
 ・いくつか、感想を述べたいと思います。
  ・あなたがこの会社を選(えら)んだ理由を述べなさい。
 ・あなたが知っていることを詳しく述べてください。
 ・今の意見に対して反論を述べてみたいと思います。その後に私の主張を述べます。
 ・そろそろ議論(ぎろん)は終わりにして、結論を述べなくてはなるまい。(=ならないだろう)
 ・この問題については、次の章(しょう)でくわしく述べよう。 
 ・問題が大きすぎるので、短い時間では述べきれない。
〔文ヲ〕
 ・私はこの論文で原子力(げんしりょく)が効率(こうりつ)的なエネルギーでないことを述べた。 
 ・事件(じけん)への関与(かんよ)を聞かれたが、何も関(かか)わっていないことを述べて、釈放(し
  ゃくほう)された。
[2]〔人ガ 文ト (ものヲ)〕    
  ・証人(しょうにん)は、詳(くわ)しいことは知らないと述べた。
 ・会長に「お世話(せわ)になりましたと」礼を述べた。


ろんじる(論じる)  一(ろんじない・ろんじます・ろんじて・ろんじれば・ろんじよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △ろんじたい  ろんじてほしい  ろんじようとする  ろんじられる  ろんじるな!
 △[大いに/詳(くわ)しく/盛(さか)んに/縦横(じゅうおう)に/詳細(しょうさい)に]~。
  △[価値(かち)/芸術(げいじゅつ)/憲法(けんぽう)/時事問題(じじもんだい)/政治(せいじ)/
   是非(ぜひ)/哲学(てつがく)/得失(とくしつ)/内容(ないよう)/文学/方法]を~。
 ・この本では、多くの研究者が少子化(しょうしか)問題を論じている。
 ・いつかこの問題を論じてみたいと思っていたので、今回はこれを取り上げることにする。
  ・本日(ほんじつ)は、憲法(けんぽう)に関して対立する意見をお持ちの方々にお集まりいただいて、
  大いに論じていただこうという趣旨(しゅし)の会です。
 ・天皇(てんのう)に関する問題を軽々(かるがる)しく論じるな、とある人は言うが、軽々しくでは
  なく、大いに論じるべきであると私は思う。
 ・あの教授(きょうじゅ)は、セクハラなどというのは論じるに足りない問題だと思っているらしい。
  (=論じる必要がない、たいした問題ではない)
〔文か(どうか)(ヲ)〕
  ・テレビの討論番組(とうろんばんぐみ)で、増税(ぞうぜい)すべきかどうかを論じていた。
 ・議員(ぎいん)たちは代表(だいひょう)をだれにするかを論じあっていた。
 ・今、何がいちばん必要(ひつよう)なことなのかを皆(みな)さんで論じていただきたい。
[2]〔人ガ 文ト〕    
 ・学者たちは、現在の科学では地震予知(じしんよち)は不可能(ふかのう)だと論じている。
 ・この本で著者(ちょしゃ)は新しい型(かた)の福祉(ふくし)の必要性を論じている。
☆「論ずる」という形もある。仮定の形が「論ずれば」になる。
 ・天下国家(てんかこっか)を論ずる大学生、などというのはもう昔の話になってしまった。


かたる(語る)  五(かたらない・かたります・かたって・かたれば・かたろう)
[1]〔人ガ (人ニ) ものヲ〕
 △かたりたい  かたりはじめる  かたってはいけない  かたらなければならない
  かたろうとする  かたらせる  かたらせられる  かたれ!  かたるな!
 △[じっくりと/詳細(しょうさい)に/ゆっくり/細(こま)かく/しんみりと/楽しそうに]~。
  △[考え/信念(しんねん)/体験(たいけん)/夢(ゆめ)/昔のこと/理想(りそう)]を~。
 ・父は若いころの思い出をなつかしそうに語り出した。父がこのように語るのは初めてのことだ。
 ・私は彼に、これまで考えてきたことを一つ一つ、ゆっくりと語った。彼もまた、彼の考えを初め
  て私に語ってくれた。
  ・事件(じけん)の目撃者(もくげきしゃ)に、ぜひ真相(しんそう)を語ってもらいたい。
 ・「歴史を語る」と題(だい)して、歴史家の方々(かたがた)にそれぞれのご研究について語ってい
  ただきたいと思います。
  ・歴史の中で、底辺(ていへん)の人たちが語った言葉を探し出し、残して行かねばならない。
 ・敗戦(はいせん)をもたらした指導者(しどうしゃ)たちは、自分たちの責任(せきにん)について何
  も語ってこなかった。隠(かく)された事実を、彼らに語らせねばならない。
 ・彼女たちの受けてきた差別(さべつ)の歴史は、涙(なみだ)なしには語れない話だ。
[2]〔人ガ (人ニ) 文ト〕
  ・首相(しゅしょう)は、記者たちを前に、増税(ぞうぜい)を行う考えはないと語った。
  ・選(えら)ばれた選手たちは、大会でぜひ優勝(ゆうしょう)したいと抱負(ほうふ)を語った。

<複合動詞:かたり->
[かたりあう] 人ガ 人ト ものヲ
 ・私たちは夜中まで今後の方針を語り合った。
 ・明日で別れる仲間たちと思う存分語り合いたいと考え、今日の会を計画しました。
   愛・思い出・思いのたけ・近況・経験・体験・抱負・身の上・未来を 友と
   遅くまで 親しげに 思う存分 心おきなく じっくり しみじみ 一晩中  
[かたりあかす] 人ガ 人ト ものヲ 
 ・30年ぶりに旧友に会って、朝まで語り明かした。
 ・クラブの仲間と合宿したとき、最後の日は夏の夜を朝まで語り明かした。
 ・彼女と語り明かしたことは何度あったか。遠い昔の思い出だ。
   昔を 夜長を あかずに 夜もすがら 
[かたりかける] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・大統領はテレビを通じて事態の深刻さを国民に語りかけた。
 ・ゴッホの自画像は、何を我々に語りかけているのだろうか。
   体験・生き様・何か・何ごとかを 国民・死者・視聴者・若者に 真剣・熱心に
[かたりきかせる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・戦争の体験者は、自分の思いを次の世代の若者に語り聞かせるべきだと思う。
 ・父が語り聞かせてくれたのは、私が生まれる前の母の生き方だった。
   経験・戦争体験・前歴を 物知り顔に
[かたりつぐ] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・我々は、戦争の悲惨さを次の世代に語り継いでいかなければならない。
 ・今回本にまとめられたこの物語は、口から口へ代々語り継がれてきたものだ。
   戦争体験・物語・歴史・様子を 後世に 代々 現代に 親から子へと
[かたりつくす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・この民族の受けてきた迫害の歴史は、語り尽くせないほどの苦労に満ちている。
 ・膨大な長さの伝承なので、一週間でもすべてを語り尽くすことはとてもできない。
   思いのたけを すべてを  一口には~せない
[かたりつたえる]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・昔、どのような暮らしがあったのかを、人々は民話という形で語り伝えたのだ。
 ・先祖の英雄の話が語り伝えられているが、その多くは伝説に過ぎない。
   教え・思い・話・物語を 面白おかしく 失われた人々の暮らしを ~られる


ささやく(囁く)  五(ささやかない・ささやきます・ささやいて・ささやけば・ささやこう)
[1]〔人ガ (人ニ) ものヲ〕
 △ささやいてみる  ささやこうとする  ささやかれる  ささやくな!
 △[小声(こごえ)で/甘い声で/低い声で/小さく/ひそかに/こっそり/口を寄せて]~。
  △[秘密(ひみつ)/内緒(ないしょ)の話/愛の言葉(ことば)/うわさ話(ばなし)/デマ]を~。
  ・「あのね。」と彼女はささやくような声で言った。
 ・女の子が母親の耳に何かささやいた。 
 ・愛の言葉をささやくには、広い公園の、緑の木陰(こかげ)のベンチがいい。
 ・夜の公園では、恋人(こいびと)たちがひそひそと何かをささやき合っている。
[2]〔人ガ (人ニ) 文ト〕
 ・子どもが私の耳元(みみもと)で「母さんには内緒だよ」とささやいた。
 ・酔っ払(よっぱら)った課長(かちょう)が私にささやいた。「このあとどこ行くの?」お前の知っ
  たことか!

<複合動詞:ささやき->
[ささやきかける]  人ガ 人ニ ものヲ/文ト
 ・恋人が私の耳にささやきかけた。「どこか人のいないところに行きましょう」と。


つぶやく(呟く)  五(つぶやかない・つぶやきます・つぶやいて・つぶやけば・つぶやこう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △つぶやいてみる  つぶやいてしまう  つぶやかないほうがいい  つぶやこうとする
 △[ひそかに/ひっそり/小声(こごえ)で/ポツリと/心の中で/思わず]~。
  △[寝言(ねごと)/うわごと/番号(ばんごう)/不満(ふまん)/独り言(ひとりごと)]を~。
  ・幼児(ようじ)が何か片言(かたこと)をつぶやいているので、聞こうとしたら、ニコッとした。
 ・何かいいことないかなあ、とつぶやいてみる。もちろん、何も起こらない。
 ・父はパソコンを打ちながら、何かつぶやいている。
  ・こんな所で一人不満をつぶやいていても何も変わらないよ。職場(しょくば)で声を上げないと!
  ・毎日がつまらない。口の中で不平(ふへい)をつぶやく。どこかへ行きたい、とつぶやく。夫には
  聞こえない。
 ・彼女がネットでつぶやいた一言がもとで、彼女のサイトは「炎上(えんじょう)」した。最近はこ
  ういうケースが多く見られる。ネットのつぶやきはみんなに聞こえているということをもう一度
  よく考えた上で、つぶやこう。 


とく(説く)  五(とかない・ときます・といて・とけば・とこう)
[1]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △といてみる  とかねばならない  とこうとする  とかせる  とかれる  とけ!
 △[じっくりと/丁寧(ていねい)に/詳(くわ)しく/何度も/一通(ひととお)り/少し]~。
  △[法/正義(せいぎ)/事の是非(ぜひ)/真理(しんり)/あるべき道/人生の意義(いぎ)]を~。
  ・息子に人間としてすべきこと、すべきでないことをじっくり説いた。わかっただろうか。
 ・壇上(だんじょう)では、教授が自由の重要性を説いているが、私にはこの教室を出る自由がない。
 ・その人は神の教えを説くために日本にやってきた。
  ・そんな人間の道なんて説いていないで、私とお酒を飲みません? 

<複合動詞:とき->
[ときあかす] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・難しい言葉の意味をじっくりと説き明かしてくれる良い辞書がほしい。
 ・息子が不満な顔をしていたので、事の是非をじっくりと説き明かしてやった。
[ときおこす] 人ガ ものヲ
 ・事の発端から説き起こすと、歴史の話になって、かなり長い話になるぞ。
 ・途中から説明するのではなくて、基本的な問題点から説き起こす覚悟でないと、かえってわかり
  にくい説明になってしまう。
   由来・手順を 第一歩・遠因から
[ときおよぶ] 人ガ ものニ
 ・先生の話はペリーの来航から始まって、歴史の流れを追い、現代社会の問題にまで説き及んだ。
 ・あの人の話は、古今東西、物の由来から人物伝まで、説き及ばざる所なしという、その場の雑談
  として消え去ってしまうには惜しいような話だ。  

[とききかせる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・選手一人一人に、チームの中での各選手の役割を説き聞かせた。
 ・母は祖母に女としての心得を説き聞かせられたそうだが、私には何も言わない。
   心得・欠点・生者必滅の道を 噛んで含めるように なだめるように
[ときふせる] 人ガ 人ヲ 
 ・どうやってお客を説き伏せ、商品を買わせるか。詳細なマニュアルを使ってセールスマンの実習
  が始まった。
 ・我々は基本的には提案に反対だったが、提案者に説き伏せられてしまった。
      親父・奥さん・隊長・母親・校長を 理詰めで 見事に 無理やりに
<複合動詞:その他>
[いいきかす・きかせる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト/文ヨウニ 
 ・子供に世の中の常識をよく言い聞かした。
 ・子どもが悪いことをした時は、ただ叱るのではなくて、なぜそれが悪いのか、よく言いきかした
  ほうがいい。
 ・この子には、あなたの言う事をよくきくように言いきかしましたから、どんどん仕事をさせてく
  ださい。悪い事があったらどんどん叱ってください。
 ・村の古老は若者たちに古くから伝わる教えを言い聞かせた。
 ・私は自らに言い聞かせた。お前は彼のような天才ではない、地道に進め、と。
      教え・苦労・説教・注意を  厳しく・諄々と・熱っぽく・力を込めて  
   幼い子・心・自分自身・自ら・胸・我と我が身に
[いいふくめる] 人ガ 人ニ ものヲ/文ト/文ヨウニ
 ・あなたの言うことをよくきくようにこの子に言いふくめて(=言いきかせて)おきましたから、
  どんどん仕事を言いつけてください。
 ・ここで見たことはいわないように(と)言いふくめられた。
      ごまかす方法を 子細に くれぐれも しっかりと 親が子に
<スル動詞>
[解説(かいせつ)する]  人ガ 人ニ ものヲ
 ・子どものためにニュースを解説する番組を見ると、いろいろと勉強になる。
 ・教養講座の先生が古典作品鑑賞のポイントをわかりやすく解説してくださった。
 ・テレビで野球の試合を解説する人はもっと勉強すべきだ。
 ・兄が問題の解き方を解説してくれた。
 [~の解説をする]
  ・新聞社の解説委員が時事問題の解説をしてくれた。
[説得(せっとく)する]  人ガ 人ヲ
 ・両親を説得するのは大変だったが、日本に留学することにした。
 ・反対派を何とか説得して、ゴミ焼却場を建設した。
 [~の説得をする]
  ・まず社長に理解を求め、次に従業員の説得をして、工場の移転を決定した。
[説明(せつめい)する]  人ガ 人ニ ものヲ
〔人ガ 人ニ ものヲ〕
  ・これから、この機械の使い方を説明しますから、よく聞いて下さい。
 ・そのときの気持ちは、自分でも説明できない。
 [~の説明をする]
  ・ここで使われている専門用語の説明をします。
〔人ガ 文ヲ〕
 ・この機械では振り込めないことを何度も説明したが、わかってもらえなかった。
 ・なぜ現状のままではいけないのかを社長にじっくり説明した。


となえる(唱える)  一(となえない・となえます・となえて・となえれば・となえよう)
[1]〔人ガ ものヲ〕
 △となえたい  となえてはいけない  となえなければならない  となえようとおもう
 △[声高(こわだか)に/大きな声で/しきりに/高らかに/ひたすら/]~。
  △[異議(いぎ)/異説(いせつ)/異論(いろん)/新説(しんせつ)/反戦(はんせん)/反対(はんた
   い)/祈(いの)り/お経(きょう)/念仏(ねんぶつ)/呪文(じゅもん)]を~。
 ・ご意見はしっかり筋の通ったものと思いますが、私はあえて異(い)を唱えたいと思います。
  ・彼は盛(さか)んに新説を唱えたが、誰も耳を傾(かたむ)けようとしなかった。
  ・独裁者(どくさいしゃ)の言葉に異議を唱えることは、命(いのち)をかけることになる。
  ・ここで慎重論(しんちょうろん)を唱えることは、臆病者(おくびょうもの)と見なされるおそれが
  あるが、あえて私は慎重論を唱えたい。
 ・一心不乱(いっしんふらん)に念仏を唱えれば、極楽浄土(ごくらくじょうど)に行けるそうだ。
  ・祈りは、一人静かに唱えるものです。
[2]〔人ガ 文ト〕
  ・祖母は、口の中でくり返し「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)、南無阿弥陀仏」と唱えていた。


ものがたる(物語る)  五(ものがたらない・ものがたります・ものがたって・ものがたれば・も
  のがたろう)
[1]〔人・ものガ (人ニ) ものヲ〕
 △ものがたりたい  ものがたってくれる  ものがたろうとする  ものがたらせる
 △[克明(こくめい)に/手短(てみじか)に/延々(えんえん)と/さりげなく/しみじみと]~。
  △[過去(かこ)/あらすじ/期待(きたい)の大きさ/厳(きび)しさ/これまでの苦労(くろう)/現
   状(げんじょう)/昔話(むかしばなし)/伝説(でんせつ)/歴史(れきし)]を~。
 ・祖母(そぼ)の手に刻(きざ)まれた深いしわが、これまでの苦労を物語っていた。
  ・集会に集まった人々の多さが、この問題の重大(じゅうだい)さを物語っていると言える。
  ・昔、祖父(そふ)がこの土地(とち)に伝えられてきた話を物語ってくれた。
 ・この昔話は、後世(こうせい)の私たちに何を物語っているのでしょうか。
  ・月末(げつまつ)の数字が、現在の苦境(くきょう)を雄弁(ゆうべん)に物語っていた。

[3]書く

◇かく
  「書く」は、文字や符号の形を何かを使って作り出すこと。文章を作って文字で表すこと。
   人ガ ものヲ かく
       字を書く  ペン・ワープロで 書く  小説・本を 書く
 字や文章を書くところ、手紙などの送り先ををニ格で示す。
   人ガ もの・人ニ ものヲ かく
     砂に字を書く  ノートに日記を書く  新聞に記事を書く  母に手紙を書く
 ある内容を書いたものが一つの作品としてまとまる場合、「ものヲ ものニ」の文型をとる。
   人ガ ものヲ ものニ かく
    悲しい気持ちを詩に書く   
  名詞節・疑問節・引用節をとる。
   人ガ 文ヲ/文か(どうか)(ヲ)/文ト かく
    雪が降ったことを日記に書く  なぜ留学するか(を)手紙に書いた
    壁に「今年はやるぞ」と書いた
・複合動詞:「かき-」の形のものが非常に多い。いくつかに分けてまとめる。
 書く目的
 「書き表す」は、書くことによって考えや気持ちをはっきり表すこと。音声を文字で表すこと。
 「書き記す」は、後で読むために記録を残す、という気持ちで書いておくこと。
 「書き付ける」は、忘れないように何かに書いておくこと。書き慣れること。
 「書きとめる」は、忘れないように何かに書いて記録を残しておくこと。
 「書きおく」は、出かけるときに、用件を何かに書いて、相手に伝わるようにしておくこと。
 「書き残す」は、後のために書いて残すこと。ある部分を書き終わらないまま残すこと。
 「書き抜く」は、重要な点や必要なところだけを書き写すこと。
 「書き分ける」は、文体や内容の違いがはっきりわかるように区別して書くこと。
 始める・終わる
 「書き起こす」は、文章の一番はじめを書くこと。録音したものを文字化すること。
 「書き出す」は、重要なことを一つ一つ取り出すように書くこと。書き始めること。
 「書き上げる」は、すっかり書き終えること。一つ一つ書いて並べ、示すこと。
 さらに書く
 「書き加える」は、書いてあるところにさらに書いて情報を加えること。
 「書き添える」は、絵や文章に一言、ことばを加えること。
 「書き足す」は、足りないところにさらに書くこと。
 「書き継ぐ」は、書くことが止まっているものを、また続けて書くこと。
 もう一度書く
 「書き改める」は、一度書いたものをよりよく書くこと。まちがいを直して書くこと。
 「書き換える」は、一度書かれたものを、事情の変化に合わせてかえて書くこと。
 「書き直す」は、一度書いたものをきれいに(正しく)もう一度書く。
 「書き写す」は、書いてあるものを、別の所にそのまま同じように書くこと。 
 たくさん書く
 「書き尽くす」は、書こうと思ったことをすべて書くこと。
 「書き連ねる」は、並べるように長々と書くこと。
 「書き並べる」は、たくさんのことを並べて書くこと。
 「書き溜める」は、たくさん書いたものをためておくこと。
 失敗
 「書き落とす」「書き漏らす」は、不注意で、書くべきことを書かないでしまうこと。
 「書き損なう・損ねる」は、間違って書くこと。書こうと思って書けないでしまうこと。
 「書き損じる」は、間違って書いてしまうこと。(そのため、使えないこと)
 「書き残す」は、後のために書いて残すこと。ある部分を書き終わらないまま残すこと。
 「書き忘れる」は、書こうと思って忘れること。   
 書く態度
 「書き捨てる」は、書いたまま、ほうっておくこと。気ままに、いい加減に書くこと。
 「書き散らす」は、書けるだけむぞうさにどんどん書くこと。あちこちに書くこと。
 「書き飛ばす」は、勢いに乗ってどんどん書くこと。書くべきことを書き落とすこと。
 「書き流す」は、(うまく書こうと思わず)楽な気持ちですらすらと書く。
 「書きなぐる」は、乱暴に書くこと。
 「書きまくる」は、どんどんたくさん書くこと。
 「書き立てる」は、問題をとりあげて書き並べること。特に、あおるように盛んに書くこと。
 書く場所
 「書き入れる」は、書くべき所、書くのにちょうどいい所に必要なことを書くこと。
 「書き込む」は、書くべき所、ちょうどいい所に書くこと。細かいことまできちんと書くこと。
 その他
 「書き送る」は、手紙などを書いて人に送ること。
 「書き下ろす」は、(前に発表されたものでなく)ある目的のために新しく作品を書くこと。
 「書きしたためる」は、手紙などをきちんと書くこと。
 「書きつづる」は、言葉をつなげて(思いのこもった)文章を書くこと。
 「書き取る」は、人が言ったことをそのまま全部書くこと。文章などを書き写すこと。
 「書き慣れる」は、筆記具について、いつも使って慣れていること。人について、いつも字や文章
  を書いていて上手であること。

◇スル動詞
 「書く」と類義のスル動詞は数が多い。
 「記述する」は、ある物事について、客観的によくわかるように書き記すこと。
 「描写する」は、見た姿、状態、情景をできるだけ客観的にわかるように書き表すこと。
 「記入する」は、必要なことを決まった場所に書くこと。
 「筆記する」は、聞いたこと、見たこと、考えたことなどを書くこと。
 「メモする」は、忘れないように、聞いたこと、考えたことなどの要点を書いておくこと。
 「記録する」は、あとに残すべき事柄を書くこと。
 「下書きする」は、きちんと書く前に、試しに(だいたいのことを)書くこと。
 「清書する」は、下書きなどを(提出などのため)新たにきれいに書くこと。
 「作文する」は、文章を作ること。形だけで実質のない文章を作ることも言う。
 「執筆する」は、まとまった文章・作品を書くこと。
 「サインする」は、本人であることや責任を明らかにするために自分の氏名を書くこと。有名人が
  それをほしい人のために何かに自分の名前を書くこと。
 「署名する」は、本人であることや責任を明らかにするために自分の氏名を書くこと。

◇えがく
  「えがく/かく」は、絵や図をかくこと。絵・文章・音楽などで何かを表すこと。「描く」をどう
読むかはその描き手の考えによるので、わからない。場所のニ格をとる。
      人ガ ものニ ものヲ えがく
       画用紙にデッサンを描く    グラフをノートに描く
 作品としてまとまったものをニ格で示す。「~に~を」の順にはできない。
      人ガ ものヲ ものニ えがく
    風景を絵に描く    (×絵に風景を描く)
・複合動詞「えがき出す」は、はっきりと見えるように描くこと。 
◇しるす
  「記す」は、文字(で何か)を書くこと。ニ格をとる。書きことば。
      人ガ ものニ ものヲ しるす
        手帳に日程を記す
◇のべる
  「述べる」は、ある程度まとまった気持ちや考えを文章に書き表すこと。(「話す」の項で既述)


かく(書く・描く)五(かかない・かきます・かいて・かけば・かこう)
[1]〔人ガ (ものニ) ものヲ〕
 △かきたい  かいてみる  かいてほしい  かいてしまう  かいてはいけない
  かいたほうがいい  かくべきだ  かかなければならない  かけない  かこうとする
  かけ!  かくな!  かいてみろ!
 △[ゆっくり/たくさん/大きく/きれいに/うまく/じょうずに]~。
 △[字/小説(しょうせつ)/詩(し)/脚本(きゃくほん)/論文(ろんぶん)]を~。
  [地図(ちず)/グラフ/花の絵(え)/花/風景(ふうけい)/景色(けしき)]を~。
 ・卒業(そつぎょう)論文は中国語で書きました。
 ・この書類(しょるい)は黒か青のペンで書いてください。
 ・先生はいま日本文学についての本を書いているそうだ。
 ・三島はたくさんの小説を書いている。
 ・うちの子どもは4才(さい)だが、もうひらがなが書ける。
 ・この漢字は読むことはできるのだが、書こうとすると書けない。
 ・A:駅(えき)へはどう行ったらいいでしょうか。
  B:ちょっと地図を描いてあげましょう。
 ・パンダを描いたつもりだったができあがったら、ねこになっていた。
 ・肖像画(しょうぞうが)を描くのはむずかしい。似(に)ていると本人から文句(もんく)が出るし、
  似ていないと他人から文句が出る。
 ・キャンプに行ってみずうみの絵を描いた。
 ・この夏はひとつ30号ぐらいの大作を描こう。
 △[ノートに数字(すうじ)を/黒板(こくばん)に答えを/日記(にっき)に決意(けつい)を]~。
  [手帳(てちょう)に詩を/雑誌(ざっし)に小説を/専門誌(せんもんし)に論文を]~。
  [黒板に式を/キャンバスに風景を/小説に実際(じっさい)の事件(じけん)のことを]~。  
 ・中山くん、黒板にこの問題の答えを書いてください。
 ・入口に店の名前が書いてなかったので、だいぶ探(さが)しました。
 ・ここに住所(じゅうしょ)と氏名(しめい)を書いてください。
 ・ノートに住所を書いておこう。
 ・紙にかんたんな地図を描いて渡した。
 ・本に書いてあることがみんな正しいわけではない。
〔文ヲ〕
 ・恋人(こいびと)に振(ふ)られたことを日記に書いた。
 ・この古新聞(ふるしんぶん)に、初めてのワープロが発明(はつめい)されたことが書いてある。
〔文か(どうか)(ヲ)〕
 ・なぜ留学したいのか(を)留学の申請書(しんせいしょ)にくわしく書いた。
 ・先生は私のレポートに、どこがどうだめなのか、コメントを書いてくださった。
[2]〔人ガ ものニ 文ト〕
 ・元旦(がんたん)の日記に「今年はがんばるぞ!」と書いたが、今年もどうもだめだ。
  ・母への手紙に、送金(そうきん)をもう少し多くしてほしいと書いた。
 ・4千年前の古文書(こもんじょ)に、「最近の若い者はだらしない」と書いてあるそうだ。
[3]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △[研究成果(けんきゅうせいか)を論文に/気持ちを詩に]~。
 ・見てきたことを報告書(ほうこくしょ)に書いた。
 ・本で読んだことをそのままレポートに書いて出す学生がいる。
 ・ゆみ子への想(おも)いを詩に書いて、ゆみ子におくった。
 ・自分の体験(たいけん)を小説(しょうせつ)に書いたら、みんながおもしろがってくれた。
 ・心にうかぶイメージを絵に描いてみた。
 ・道順(みちじゅん)を地図に描こうと思うが、ここには紙もペンもない。
[4]〔人ガ 人ニ ものヲ〕
 △[手紙(てがみ)/メール/請願書(せいがんしょ)]を~。
 ・毎日恋人(こいびと)に手紙を書いている。恋人は週に一度しか書いてくれない。
 ・友だちに手紙を書こうと思っているが、時間がなくて、なかなか書けない。
 ・国王に請願書(せいがんしょ)を書いた。

<複合動詞:かき->
[かきあげる] 人ガ ものヲ
 ・やっと論文を書き上げた。
 ・今年は去年からの連載小説を書き上げ、本として出版する予定だ。
   曲・結末・原稿・小説・便り・短編・長編・手紙・返事・報告書・論文を
[かきあらためる] 人ガ ものヲ
 ・この本を書いてから、もう5年もたった。その後の研究成果などもとり入れて、書き改めようと
  思った。
 ・この書類は書き方がちがっているから、書きあらためてください。
   原稿・作品・童話・論文を
[かきあらわす] 人ガ ものヲ
 ・日本語では一つのことばをいろいろに書き表すことがある。
 ・日本語の書きあらわしかたはむずかしい。
   意味・構造・純粋さ・日本語・発音・悲哀を 文字で
[かきいれる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・帳簿に今日の売り上げを書き入れた。
 ・壁のカレンダーに一か月の予定を書き入れた。今月も忙しそうだ。
   記録・生命・相違・名前・場所・符号・屋号・行く先を こまめに こまごまと
[かきうつす] 人ガ ものニ ものヲ
 ・コピー禁止の文書なので、ノートに全部を書き写した。
 ・お経を一字一字書き写すことを写経という。
   記事・記録・氏名・住所・問題・訳文を 手帳に ひたすら
[かきおく] 人ガ ものヲ
 ・「急用で出かける。」と書きおいて家を出た。
 ・後の時間の担当者のために連絡事項を書き置いてから事務所を出た。
   用件・連絡事項を 死後の始末を
[かきおくる] 人ガ 人ニ ものヲ
 ・実家にいる妹に送ってほしい物のリストを書き送った。
   暗合文・恋文・抗議・事の成り行き・事情・手紙・理由を 子細に せっせと
[かきおこす] 人ガ ものヲ
 ・彼女は、新しい小説を書き起こした。
 ・そもそもの問題の起こりから書き起こして、その後の経過を詳しく書いておいた。
   脚本・小説・論文を  入学の思い出から
[かきおとす] 人ガ ものヲ
 ・大事な事を書き落としたので、レポートを書きなおした。
 ・うっかりして封筒の宛名の一部を書き落としたままポストに入れてしまった。
   重要な部分・名前・郵便番号を テキストに うっかりして
[かきおろす] 人ガ ものヲ
 ・私の友人の小説家がこの事件を元に小説を書き下ろし、出版した。
 ・短編を雑誌に発表するほか、年に一冊は長編を書き下ろして出版している。
   脚本・小説・長編を 立て続けに
[かきかえる] 人ガ ものヲ
 ・契約書を書きかえるのはむずかしい。
 ・これはヨーロッパの歴史を書きかえる大事件だった。
   記録・自作・データ・手紙・名前・話・文章・名義・遺言状・歴史を
[かきくだす] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・詩人は長編の詩を一気に書き下した。
 ・高校生は漢文と言って古典中国語を日本語に書き下したものを読まされる。
[かきくわえる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・自分の文章を読み直すと、あとからいろいろ書き加えたくなる。
 ・この部分はあとから書き加えられた部分のようだ。前後とうまくつながっていない。
   新たな一ページを 一行を 書き足りなかったことを 注を わざわざ
[かきこむ] 人ガ ものニ ものヲ
 ・田中さんは本の余白に自分の意見を書き込むくせがある。
 ・書類の記入欄に住所・名前と日付を書き込んだ。
   感想・記号・言葉・印・数字・データ・名前・番号・日付を 克明に 表に
[かきしたためる]  人ガ ものニ ものヲ
 ・新しいノートの1ページに今の胸の内を書きしたためた。
 ・淡い花模様の便箋に書きしたためられた彼女の気持ちが、私の心に響いた。
[かきしるす] 人ガ ものヲ
 ・ある記録にはこの火山の爆発のようすがこんな風に書き記されている。
 ・紙もペンもなかったので、この地方の人々は、さまざまな事柄を粘土板に書き記したのです。
   エピソード・感想・結果・事実・体験・名・変化を ありのままに
[かきすてる] 人ガ ものヲ
 ・私はこれまでたくさんの詩を作り、書き捨ててきた。
 ・これは、小説家によって書き捨てられ、偶然発見された未発表の作品である。
[かきそえる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・事務的な連絡の最後に一言書き添えた。「仕事以外で一度会いたいね」
 ・論文の原稿に書き添えられたメモが、後の偉大な発見の端緒となった。
   住所・職業・年齢・訳語・わけを 念のために 何気なく
[かきそこなう・そこねる] 人ガ ものヲ
 ・書類に自分の署名をしようとして、字を書き損なってしまった。何ということだ。
 ・手で書くとどうしても書き損なうので、ワープロで書いて最後にサインをしている。
 ・年賀状を書いていて、毎年一枚は宛名を書き損ねてしまう。
 ・あれこれ近況ばかり書いていたら、用件を書きそこねたまま出してしまった。
   記事・受験番号・署名・年賀状・ブログ・用件を
[かきそんじる] 人ガ ものヲ
 ・履歴書を書こうとして、何枚も書き損じた。どうも緊張して間違えてしまう。
 ・きれいな便箋を使うと、かえって書き損じてしまうことが多いのはなぜだろう。
   宛名・住所・署名・年賀状・履歴書を
[かきたす] 人ガ ものヲ ものニ
 ・手紙の終わりに、書き落としたことをまた10行ばかり書き足した。
 ・メールを書いていると、後から書き足したいことが出てきて、なかなか終わらない。
[かきだす] 人ガ ものニ ものヲ (ものカラ)
 ・一覧表の中から、必要な事項を書き出した。 
 ・買物に行く前に買う物を書き出してみよう。
 ・みせのかべには料理の名前がずらりと書き出してあった。
 ・一覧表の中から、必要な事項を書き出した。  
 ・私が初めて詩を書き出したのは中学生の時です。
   注文・名前・値段・ベストテンを
[かきたてる] 人ガ ものヲ
 ・会社の小さなひみつを新聞に書きたてられて、こまった。
 ・大臣が自分の失態を新聞に書き立てられ、弁護するものもなく、ついに辞職した。
   記事・スキャンダル・プライバシー・問題・悪口を 興味本位に 
[かきためる] 人ガ ものヲ
 ・高校生の頃から少しずつ書きためてきた詩のノートがあります。
 ・短編を書きためて、一冊分になったら出版社に渡すことにしている。
   シナリオ・習作・短編・手紙を すこしずつ
[かきちらす] 人ガ ものヲ
 ・机の上には弟が思ったことを書き散らしたノートがあった。
 ・雑文をとりとめもなく書き散らしてきたが、そろそろまた小説に取りかかろうと思う。
   絵・思い付いたまま・雑文を  とりとめもなく 
[かきつぐ]  人ガ ものヲ
 ・兄が書き始めた小説を弟が書き継いで完成させた。
 ・私の家には代々書き継がれてきた一族の記録がある。
   短篇を 連載を 思い付くままに
[かきつくす]  人ガ ものヲ
 ・これまでに評論家として10冊の本を出した。書きたかったことはだいたい書き尽くした。
 ・あの災害の悲惨さは、どんなに書いても書き尽くせない。
[かきつける] 人ガ ものニ ものヲ
 ・そんな小さな事までいちいち書きつけることはない。大事な事だけでいい。
 ・母は買った物のねだんをいちいちノートに書きつけた。
 ・わたしは聞いた話をするにノートに書きつけた。
   一行・考え・言葉・心情・電話番号・メモ・文句・用事を 手帳に
   ノートに わすれずに 細々と ひそかに 大きく  
[かきつづる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・日常生活の中で考えたことを毎日ブログに書きつづっている。
 ・押し入れから出てきた古い日記には母の子育ての思いが書きつづられていた。
   気持ち・生涯・言葉・日常・文章・問答を  ありのままに 手記に
[かきつらねる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・石碑には戦争で死んだ人たちの名前が書き連ねてあった。
 ・要求書には、職場での不満が長々と書き連ねてあり、改善を求めていた。
   行動・言葉・文字・夢を 思い付くままに 延々と 長々と 綿々と
[かきとばす] 人ガ ものヲ
 ・流行作家は月に何冊もの小説を書き飛ばすそうだ。
 ・これは短い時間で書き飛ばした覚え書きなので、またじっくり考え直すつもりです。
[かきとめる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・これから本の名前を言いますから、書きとめておいてください。
 ・会合の日時を手帳に書き留めた。
   アイデア・記録・事件・所見・着想・ナンバー・番地を メモ用紙に
[かきとる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・妻は電車の時刻表をノートに書きとった。
 ・私は電話帳からホテルの番号をいくつか書きとった。
   英語・住所・ナンバー・番号・要点を ノートに
[かきなおす] 人ガ ものヲ
 ・この作文は字が汚いし、名前の書き方も違っています。もう一度きれいに書きなおしてください。
 ・原稿を何度も書き直し、少しでもよいものにしようとした。
   誤り・原稿・小説・書類・手紙・遺言・旧作を 一度 再度
[かきながす] 人ガ ものニ ものヲ
 ・その人は、和紙の上に細い筆でさらさらと文字を書き流した。
 ・このエッセイ集は、私が日常感じたことをそのまま書き流したものです。
   身辺の日常を 美しく さらさらと すらすらと
[かきなぐる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・工場の塀には、「スト決行!」という文字が乱暴に書きなぐってあった。
 ・自分の妄想を書き殴った文章を雑誌に投稿したら、文学新人賞を受賞してしまった。
   思ったままを 雑文を 字を 下手な字で 乱暴に
[かきならべる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・台所のメモに買い物の予定が書き並べてあった。大根・牛乳・パン...
 ・相手を中傷する文書とは言え、よくもまあ、こんなウソを書き並べたものだ。
   名前を 文字を くどくどと まことしやかに嘘を
[かきなれる] 人ガ ものヲ
 ・わたしは文章を書きなれていないので、短い文を書くのにもとても時間がかかった。
 ・書きなれたペンで書くと文章もすらすらと書ける。
   漢字・文章・レポート・論文を
[かきぬく] 人ガ ものカラ (ものニ) ものヲ
 ・この名簿から、あなたの知っている人を書き抜いてください。
 ・有名な「源氏物語」からいくつかの歌を書き抜いて、解説を付けてみました。
   一節・歌・字・必要な部分・文章を
[かきのこす] 人ガ ものヲ
 ・先生の書き残した論文を集めて本を作ることになった。
 ・父の書き残した遺言によって、わたしはいくらかの土地を手に入れた。
   遺書・記録・言葉・時間・自叙伝・文章・メモ・遺言・理由を
[かきまくる] 人ガ ものニ ものヲ
 ・革命の現場で、私は記事を書きまくり、本国の新聞社に送り続けた。
 ・やっと売れ出した彼は、雑誌に小説やエッセイを書きまくり、次第に有名になった。
   脚本・原稿・作品・小説・宣伝文・台本・短編小説を
[かきもらす] 人ガ ものヲ (ものニ)
 ・手紙の本文で書き漏らしたことを「追伸」として書き足した。(本文に)
 ・会の名簿を作ったのだが、うっかり何人かの名前を書き漏らし、後で文句を言われた。
   名前・必要な事項・日付・郵便番号を うっかり
[かきわける] 人ガ ものヲ
 ・上手な小説家は何十人もの登場人物の性格をみごとに書き分ける。
 ・これは優れた短編小説集で、作品ごとに文体を書き分けるという試みがなされている。
 ・作者はこの絵の中で何十種類もの花を見事に描き分けている。
   スタイル・清濁・文字を 厳重に きちんと ちゃんと   肖像・花・明暗を
[かきわすれる] 人ガ ものヲ
 ・連絡のメールを出した後で、集合時間を書き忘れていたことに気付いた。
 ・この絵は、画家がサインを描き忘れていて、真贋が問題になったことがあります。

<スル動詞>
[記述(きじゅつ)する]  人ガ ものヲ
 ・客観的に歴史を記述することは非常に難しい。
 ・日本語の文法をきちんと丁寧に記述した文法書がない。
[記入(きにゅう)する]  人ガ ものヲ / 人ガ ものニ ものヲ
 ・ここと、ここを記入してください。 
 ・この書類に名前と住所、電話番号を記入してください。
 [~の記入をする]
  ・会員番号の記入をした。
[記録(きろく)する]  ものガ ものヲ  / 人ガ ものニ ものヲ/文ヲ
  ・今年の寒さはこれまでの最高を記録した。
  ・実験の結果をノートに記録した。
  ・私のるすの間に客があったことがノートに記録してあった。

[サインする]  人ガ ものニ
  ・この書類にサイン(を)して下さい。
 ・プロの選手にTシャツにサイン(を)してもらった。
[作文(さくぶん)する]  人ガ ものヲ
 ・官僚がいい加減に作文し、政治家がそれを読む。 
 ▽「作文を書く」がふつうの表現
[下書き(したがき)する]  人ガ ものニ ものヲ
 ・だいたいの内容を一度ノートに下書きしてから原稿用紙に書いたほうがいいよ。
 ・模造紙に鉛筆で薄く下書きをしてから、マジックで大きな字を書いた。
 [~の下書きをする]
  ・夜遅くまで部員募集のポスターの下書きをした。
[執筆(しっぴつ)する]  人ガ ものヲ
 ・この5年の間、大河小説を執筆しているため、他には何も書いていない。
 ・学会長にも辞典の項目を執筆して頂けると助かります。
[署名(しょめい)する]  人ガ ものニ
 ・青いボールペンで署名しようとしたら、黒でなければだめだと言われた。
 ・ここに署名して下さい。なつ印は不要です。
  ・この紙に署名して下さい。
 [~の署名をする]
  ・契約書の署名をしてしまったら、もう取り消せない。
[清書(せいしょ)する]  人ガ ものヲ
 ・原稿を清書して、出版社に送った。賞をもらえるといいのだが。 
 ・下書きの推敲が終わった。後は清書するだけだ。
 [~の清書をする]
  ・何度も書き直した下書きの清書をして、先生に提出した。
[筆記(ひっき)する]  人ガ ものヲ
 ・日本語の口語文の最初は、落語を筆記したものがきっかけになっているそうだ。
 ・今の学生は、講義の内容を筆記するということはできないから、レジュメが必要になる。
 [~の筆記をする]
  ・講演の筆記をした。
[メモする]  人ガ ものニ ものヲ
 ・スケジュールを手帳にメモして、忘れないようにしている。
  ・思いついたことを紙にメモしたが、その紙が見当たらない。


しるす(記す)  五(しるさない・しるします・しるして・しるせば・しるそう)
[1]〔人ガ ものニ ものヲ〕
 △しるしたい  しるしておく  しるすべきだ  しるそうとする  しるされる  しるせ!
 △[はっきり/正確(せいかく)に/詳(くわ)しく/克明(こくめい)に/一通(ひととお)り]~。
  △[内容(ないよう)/経過(けいか)/結果(けっか)/事実(じじつ)/沿革(えんかく)]を~。
  ・手帳(てちょう)に来月の会議の予定を記した。
 ・ノートには実験(じっけん)のデータが克明に記されていた。
 ・この本は、2千年の歴史を簡潔(かんけつ)に記してあるので、読みやすい。
 ・その間(かん)の事情(じじょう)を詳細(しょうさい)に記した記録(きろく)が見つかった。
 ・年賀状(ねんがじょう)の宛名(あてな)を、一字(いちじ)一字丁寧(ていねい)に記していった。
 ・私の考えをここに記しておく。後(のち)のだれかが参考(さんこう)にしてくれることを願って。


えがく(描く)  五(えがかない・えがきます・えがいて・えがけば・えがこう)
[1]〔人ガ ものヲ ものニ〕
 △えがきたい  えがいてみる  えがかなければならない  えがけない  えがこうとする
  えがかれる  えがかせる  えがかせられる  えがけ!  えがくな!
 △[美しく/ていねいに/正確(せいかく)に/ゆっくり/急いで/心をこめて]~。
  △[景色(けしき)/風景(ふうけい)/人物(じんぶつ)/室内(しつない)/夢(ゆめ)/幻想(げんそ
   う)/体験(たいけん)/理想(りそう)/心理(しんり)/静物画(せいぶつが)]を~。
  [絵(え)/詩(し)/小説(しょうせつ)/文章(ぶんしょう)/心/胸(むね)]に~。
  [ノート/黒板(こくばん)/キャンバス/画用紙(がようし)]に~。
 ・だれでも、自分の体験を小説に描くことは、うまい下手(へた)は別にして、できるはずだ。
 ・正確に、見たように描くことが、画家(がか)たちの初めの挑戦(ちょうせん)だった。
 ・彼女は、自分が感じた世界を主観(しゅかん)的に絵に描こうとした。
 ・この音楽は、自然の美しさ、鮮(あざ)やかさを見事(みごと)に描いていると思う。
  ・私はその話を聞いて、情景(じょうけい)を心に描いてみた。

<複合動詞:えがき-> 
[えがきあげる] 人ガ ものヲ
 ・この大河小説は戦後という時代の複雑さを見事に描き上げている。
 ・大きな絵だ。中央に神を描き、その周りに世界の諸相がくまなく描き上げられている。
   生活・死後の世界・心象風景・対象を 一気に
[えがきだす] 人ガ ものヲ
 ・人生というものが生き生きと描き出されていて、実に楽しめる小説です。
 ・社会の一断面を鋭く描き出すルポルタージュの名作を集めたシリーズが発売された。
   イメージ・運命・光景・心のひだ・死・地獄絵・事象・自然美・社会の一断面を
   執念・人生の哀歓・生活・世界・波紋・悲劇・未来・明暗・輪郭を 鮮やかに
   陰影豊かに 縦横に ユーモラスに 生き生きと 美しく イメージ豊かに 
[えがきわける] 人ガ ものヲ 
 ・登場人物の特徴をくっきりと描き分ける作者の技巧に脱帽だ。
 ・空の明るさと森の暗さが巧みな表現によってイメージ豊かに描き分けられている。
    登場人物を 肖像画を 的確に くっきりと
<スル動詞>
[描写(びょうしゃ)する]  人ガ ものヲ
 ・彼女の、人間を描写する文章力はまったくすばらしい。
 ・虫の行動をありありと描写したその文章は、ずいぶん評判になった。
 [~の描写をする]
  ・人々の表情の描写をする練習をしていた。

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